霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 罪人橋(ざいにんばし)〔一二六三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第48巻 舎身活躍 亥の巻 篇:第2篇 幽冥摸索 よみ:ゆうめいもさく
章:第9章 罪人橋 よみ:ざいにんばし 通し章番号:1263
口述日:1923(大正12)年01月13日(旧11月27日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年10月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高天原の霊国および天国は光明の世界である。その光明は実性において神真である。すなわち霊的神的証覚である。また天人は高天原の愛の熱に包まれている。この熱は実性において神善・神愛にして、われわれがますます証覚に入ろうとする情動、願望を有するのは、この熱より来るのである。
高天原の霊国・天国は万善の集合所であり、天人の証覚の程度は、現界人の口舌のよく尽くしえるところではない。大本開祖の真湯も、その密意は現代人では容易に解し難いが、智慧証覚のはる天人には直ちに無辺無量の密意を諒得することができる。
この語辞については霊界物語第二輯第三巻(第十五巻)第一天国というところにその状況を示していあるので参照されたい。
ゆえに人間はその精霊を善と真とに鍛え上げ、生きながら高天原の団体に籍を有するようにしなければ、大本の神諭は容易に解釈することはできない。国祖大国常立尊が厳霊として顕現し、稚姫君命、国武彦命等の精霊にその神格を充たし、そうして天人の団体に籍を有する予言者である出口開祖の肉体に来して、大神の直々の御教えを伝達されたものだからである。
しかしながら大神は至仁至愛にましますがゆえに、神諭の密意を自然界の人間に容易に諭らしむために瑞霊の神格を精霊に充たし、変性女子の肉体に来らしめ、その手と口を通して霊界の真相を覚らしめ給はんとの御経綸をあそばしたのである。
神格に充たされた天人すなわち本守護神の言語は衝動と相一致し、一々概念と一致するものである。内辺の天人は言者の音声および言う所の僅少なる語字によってその人の一生を洞察し知悉し得るのである。
人間の想念および情動はその声音に現れ、皮膚に現れ、霊的智者賢者の前にはこれを秘することができないものである。しかし心に欲があり悪を包み利己心あるときは、情動は鈍り知性はおとろえて、人に欺かれ失敗を招く。
すべてのこの宇宙は至善至真至愛の神が目的のために万物を造り、相応の順序によって人間を神の形体に作り、神業を完全に遂行せしめ給はんとして万物の霊長として人間を世に下し給うた。人間は神界の秩序整然たる順序を守り、善のために善をなし真のために真を尽くさねばならない。
しかし神が人間に自由を与えて十二分の神的活動を来さしめ給はんとしたのを、人間が次第に神に背き曲神等の捕虜となり、神を無視して暗黒無明の世界が現出したのである。ここに大神は現幽神三界の大革正を遂行するために予言者を地上に降し、一定の猶予期間を与えて人間に対して神の愛を覚らしめ、行動を改めしめようと画策し給うたのである。
さて、ランチ、片彦、ガリヤ、ケースたちは伊吹戸主神のはらかいによって地獄に追い込められることになった。四人は斜め下方に続く暗黒の隧道を次第に下って行く。最後に、大きな川が横たわって細い長い橋が架けられている少し広いところに着いた。
ここには武装し厳めしい顔をした冥官が武装して二十人ばかり控えていた。冥官の一人が前に進み寄って四人に説明をした。非常な悪業を盛んにやった四人は、この橋を渡りきらなければ娑婆に帰れないのだという。
橋の幅はわずかに一尺ばかり、手すりもなく上下左右に揺り動いている。橋の下の激流には怪物が大口を開けて通行人が落ちてくるのを待っている。橋の上は膚をつんざく寒風が吹き、いやらしい声が八方から聞こえている。
ランチは恐ろしさに身体すくんで震え、冥官に許しを乞うた。冥官は、身魂が地獄に落ちるのを望む者は一人もない、自らの罪業によってこの罪人橋を渡るよう準備をなし、永久の住処を地獄に作った以上、誰も救うことはできないのだ、と涙を流して説明した。
冥官は四人の霊衣を見て、まだ冥途へくるべき命数でないことに気が付いていぶかった。そこへ我利我利亡者の一隊が現れて四人に武者ぶりついた。四人は悲鳴を上げて泣き叫んでいる。
このときどこともなく天の数歌がかすかに聞こえてきた。見る見るうちに我利我利亡者たちは煙のように消えてしまった。そして冥官の姿も一人減り二人減っていく。宣伝歌の声がおいおい近づいてきた。薄暗かったあたりは次第に明るくなってきた。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:134頁 八幡書店版:第8輯 638頁 修補版: 校定版:140頁 普及版:69頁 初版: ページ備考:
001 高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)(およ)天国(てんごく)光明(くわうみやう)世界(せかい)である。002(その)光明(くわうみやう)実性(じつせい)(おい)神真(しんしん)である、003(すなは)霊的神的証覚(れいてきしんてきしようかく)である。004(この)神真(しんしん)なる光明(くわうみやう)諸天人(しよてんにん)内視(ないし)外視(ぐわいし)とを同時(どうじ)照破(せうは)するものである。005さうして内視(ないし)とは天人(てんにん)自身(じしん)(こころ)(うち)にあり、006外視(ぐわいし)とは(その)()にあるを()ふ。007(また)諸天人(しよてんにん)高天原(たかあまはら)(あい)(ねつ)(つつ)まれてゐる。008(すなは)(この)(ねつ)実性(じつせい)(おい)神善(しんぜん)(すなは)神愛(しんあい)にして、009吾々(われわれ)益々(ますます)証覚(しようかく)()らむとする情動(じやうどう)(およ)願望(ぐわんまう)(いう)するものは(この)(ねつ)より(きた)るものである。010(えう)するに高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)011天国(てんごく)万善(まんぜん)集合所(しふがふしよ)である。012天人(てんにん)証覚(しようかく)程度(ていど)現界人(げんかいじん)口舌(こうぜつ)のよく(つく)()(ところ)でない。013人間(にんげん)一千言(いつせんげん)(つひや)しても(なほ)(つく)(あた)はざる(ところ)をも、014天人(てんにん)数言(すうげん)にて(これ)(べん)ずる(こと)()くするのである。015(その)()天人(てんにん)一言一句(いちげんいつく)(なか)にも無辺(むへん)無量(むりやう)密意(みつい)(ふく)まれてある(こと)は、016到底(たうてい)人間(にんげん)言語(げんご)(ぞく)する文字(もじ)にて(あら)はす(こと)出来(でき)ない。017天人(てんにん)(その)言語(げんご)(もち)ふる所謂(いはゆる)語字(ごじ)(もつ)十分(じふぶん)(あら)はし()ざる(ところ)は、018幽玄微妙(いうげんびめう)なる音調(おんてう)(もつ)(これ)(おぎな)ふ。019そして(その)音調(おんてう)によつて情動(じやうだう)(あら)はし、020情動(じやうだう)よりする想念中(さうねんちう)諸概念(しよがいねん)語字(ごじ)によつて(これ)(あら)はすのである。021大本開祖(おほもとかいそ)神諭(しんゆ)(また)(その)密意(みつい)(ぞん)する(ところ)到底(たうてい)現代人(げんだいじん)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)にては容易(ようい)(かい)(がた)きものである。022されども智慧(ちゑ)証覚(しようかく)ある天人(てんにん)(これ)()(とき)は、023(ただち)無辺(むへん)無量(むりやう)密意(みつい)(ふく)まれてある(こと)諒得(りやうとく)()るものである。024そして(この)語字(ごじ)については霊界物語(れいかいものがたり)第二輯(だいにしふ)第三巻(だいさんくわん)第十五巻(だいじふごくわん)第一天国(だいいちてんごく)()(ところ)(その)状況(じやうきやう)(しめ)しあれば参照(さんせう)されたい。025(ゆゑ)人間(にんげん)(その)精霊(せいれい)(ぜん)(しん)とに(きた)()げ、026()きながら高天原(たかあまはら)団体(だんたい)(せき)(いう)するに(あら)ざれば、027大本(おほもと)神諭(しんゆ)容易(ようい)解釈(かいしやく)()るものでない(こと)(さと)らねばならぬ。028大本(おほもと)神諭(しんゆ)は、029国祖(こくそ)大国常立尊(おほくにとこたちのみこと)030厳霊(げんれい)顕現(けんげん)し、031稚姫君命(わかひめぎみのみこと)032国武彦命(くにたけひこのみこと)(とう)精霊(せいれい)(その)神格(しんかく)(みた)し、033さうして天人(てんにん)団体(だんたい)(せき)(いう)する予言者(よげんしや)なる出口開祖(でぐちかいそ)肉体(にくたい)(きた)し、034大神(おほかみ)直々(ぢきぢき)御教(みをしへ)伝達(でんたつ)されたものである以上(いじやう)は、035余程(よほど)善徳(ぜんとく)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)(まつた)きものでなければ(これ)(さと)(こと)出来(でき)ない。036(しか)しながら(かみ)至仁(しじん)至愛(しあい)にましますが(ゆゑ)に、037(この)神諭(しんゆ)密意(みつい)自然界(しぜんかい)外分的(ぐわいぶんてき)人間(にんげん)容易(たやす)(さと)らしめむが(ため)瑞霊(ずゐれい)神格(しんかく)精霊(せいれい)(みた)し、038変性女子(へんじやうによし)肉体(にくたい)(きた)らしめ、039(その)()(とほ)(くち)(とほ)して霊界(れいかい)真相(しんさう)(さと)らしめ(たま)はむとの御経綸(ごけいりん)(あそ)ばしたのである。
040 大本神諭(おほもとしんゆ)各言句(かくげんく)(うち)に、041(ひと)をして内的証覚(ないてきしようかく)(すす)むべき事項(じかう)含蓄(がんちく)せしめある所以(ゆゑん)は、042神格(しんかく)(みた)されたる天人(てんにん)(すなは)本守護神(ほんしゆごじん)言語(げんご)情動(じやうどう)相一致(あひいつち)し、043一々(いちいち)(その)言語(げんご)概念(がいねん)一致(いつち)するものである。044(また)天人(てんにん)語字(ごじ)(その)想念中(さうねんちう)包含(はうがん)する事物(じぶつ)直接(ちよくせつ)如何(いかん)によつて無窮(むきう)転変(てんぺん)するものである。045(なほ)(また)内辺(ないへん)天人(てんにん)言者(げんしや)音声(おんせい)(およ)()(ところ)僅少(きんせう)なる語字(ごじ)によつて(その)(ひと)一生(いつしやう)洞察(どうさつ)知悉(ちしつ)()るのである。046(なん)となれば、047天人(てんにん)(その)語字(ごじ)(うち)含蓄(がんちく)する諸概念(しよがいねん)()つて、048音声(おんせい)各種(かくしゆ)各様(かくやう)変化(へんくわ)する状態(じやうたい)(さつ)し、049これに()つて、050(その)(ひと)(しゆ)とする(ところ)(あい)(しん)(およ)智慧(ちゑ)証覚(しようかく)如何(いか)なるものなるかを()るものである。051現界(げんかい)人間(にんげん)でも(すこ)しく智慧(ちゑ)あり証覚(しようかく)あり公平(こうへい)無私(むし)なる(もの)(いた)つては、052(その)(せき)()きながら天人(てんにん)団体(だんたい)においてゐるものであるから、053対者(たいしや)一言一句(いちげんいつく)(うち)(つつ)める意義(いぎ)によつて(その)(ひと)一生(いつしやう)運命(うんめい)識別(しきべつ)()るものである。054人間(にんげん)想念(さうねん)(およ)情動(じやうだう)(その)声音(せいおん)(あら)はれ、055皮膚(ひふ)(あら)はれ、056如何(いか)にしても霊的(れいてき)智者(ちしや)賢者(けんじや)(まへ)には(これ)()する(こと)出来(でき)ないものである。057(この)一言(いちげん)(あい)(ふく)むとか、058(この)一句(いつく)(しん)なりとか、059()一句(いつく)(ゆう)とか、060(この)一句(いつく)()とか、061(すべ)一言一句(いちげんいつく)(さい)にも顕現(けんげん)出没(しゆつぼつ)して、062如何(いか)なる聖者(せいじや)といへども賢人(けんじん)といへども、063心中(しんちう)(おも)ひを智慧証覚者(ちゑしようかくしや)(まへ)には(かく)(こと)出来(でき)ない、064(これ)(すなは)神権(しんけん)如何(いか)にしても(おほ)ふべからざる所以(ゆゑん)である。065(こころ)(あく)なく(よく)なく、066(ぜん)(とく)(みた)されたものは(したが)つて智性(ちせい)発達(はつたつ)情動(じやうだう)変化(へんくわ)非常(ひじやう)活溌(くわつぱつ)なるが(ゆゑ)に、067対者(たいしや)(はら)のドン(ぞこ)まで透見(とうけん)知悉(ちしつ)()るは容易(ようい)なれども、068()(こころ)(よく)あり、069(あく)(つつ)利己心(りこしん)ある(とき)(その)情動(じやうだう)(にぶ)智性(ちせい)(おとろ)へ、070意思(いし)(くる)ひ、071容易(ようい)対者(たいしや)心中(しんちう)透見(とうけん)する(こと)出来(でき)ない。072(ゆゑ)(ひと)(あざむ)かるるものは(みな)(その)(こころ)(あく)(よく)自利心(じりしん)充満(じうまん)してゐる(ゆゑ)である。073(けつ)して愛善(あいぜん)(とく)(みた)され信真(しんしん)(ひかり)()ちた聖人君子(せいじんくんし)は、074自然界(しぜんかい)体欲(たいよく)(まよ)悪人(あくにん)(あざむ)かるるものでない。075(えう)するに(よく)(ふか)(われ)よしの人間(にんげん)相応(さうおう)()によつて貪欲(どんよく)悪人(あくにん)欺瞞(ぎまん)され、076取返(とりかへ)しのならぬ失敗(しつぱい)(まね)くものである。
077 さうして自分(じぶん)迂愚不明(うぐふめい)から悪人(あくにん)(あざむ)かれ(みづか)窮地(きゆうち)(おちい)り、078(つひ)には(その)人間(にんげん)仇敵(きうてき)(ごと)(うら)(かつ)(ののし)り、079(つひ)には自分(じぶん)悪欲心(あくよくしん)より()でたる(こと)平然(へいぜん)として口角(こうかく)(つか)ねながら、080(その)竹篦(しつぺい)(つひ)(かみ)御上(おんうへ)にまで(およ)ぼすものである。081彼等(かれら)(ここ)(いた)つて天道(てんだう)()()か、082(かみ)(はた)して(この)()にあるものか、083(はた)して(かみ)(この)()儼存(げんぞん)するものならば、084何故(なにゆゑ)(かく)(ごと)悪人(あくにん)(くる)しめられ()るのも(あは)れみ(たま)はず傍観的(ばうくわんてき)態度(たいど)()らるるや、085吾々(われわれ)(かく)(ごと)悪事(あくじ)災難(さいなん)(のが)家運(かうん)長久(ちやうきう)朝夕(てうせき)(いの)立派(りつぱ)にお給仕(きふじ)をして信仰(しんかう)(はげ)んで()つたのに(なん)(こと)だ。086(かみ)には()がないのか、087(みみ)がないのか(など)()つて、088恨言(うらみごと)百万陀羅(ひやくまんだら)(なら)()て、089(つひ)には信仰(しんかう)より(はな)自暴自棄(じぼうじき)(おちい)り、090益々(ますます)(ふか)地獄(ぢごく)(そこ)陥落(かんらく)するものである。091(すべ)(この)宇宙(うちう)至善(しぜん)至真(ししん)至愛(しあい)(かみ)目的(もくてき)のために万物(ばんぶつ)(つく)り、092相応(さうおう)順序(じゆんじよ)によつて人間(にんげん)(かみ)形体(けいたい)(つく)り、093神業(しんげふ)完全(くわんぜん)遂行(すゐかう)せしめ(たま)はむとして、094万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)として人間(にんげん)()(くだ)(たま)うたものなる以上(いじやう)は、095人間(にんげん)神界(しんかい)秩序(ちつじよ)整然(せいぜん)たる順序(じゆんじよ)(まも)り、096(ぜん)(ため)(ぜん)をなし(しん)(ため)(しん)(つく)さねばならぬのである。097(しか)るに現代(げんだい)(とほ)神代(かみよ)黄金時代(わうごんじだい)何時(いつ)しか()り、098白銀時代(はくぎんじだい)099赤銅時代(しやくどうじだい)100黒鉄時代(こくてつじだい)漸次(ぜんじ)堕落(だらく)して、101(いま)混沌(こんとん)たる泥海世界(どろうみせかい)となつて(しま)つたのである。102(これ)人間(にんげん)(かみ)より自由(じいう)(あた)へて、103十二分(じふにぶん)神的(しんてき)活動(くわつどう)(きた)さしめ(たま)はむとし(たま)うたのを、104人間(にんげん)次第々々(しだいしだい)(かみ)(そむ)八岐大蛇(やまたをろち)曲神(まがかみ)(など)捕虜(ほりよ)となり、105(つひ)(みづか)(かみ)(そむ)(かみ)存在(そんざい)をも無視(むし)するに(いた)つた(ため)に、106かかる暗黒無明(あんこくむみやう)世界(せかい)現出(げんしゆつ)したのである。107(しか)しながら(もの)(きう)すれば(たつ)すると()つて至仁(しじん)至愛(しあい)にして無限(むげん)絶対(ぜつたい)権力(けんりよく)具備(ぐび)(たま)大神(おほかみ)何時(いつ)(まで)(これ)看過(かんくわ)(たま)ふべき。108ここに大神(おほかみ)現幽神(げんいうしん)三界(さんかい)大革正(だいかくせい)遂行(すゐかう)せむが(ため)予言者(よげんしや)地上(ちじやう)(くだ)し、109(ある)一定(いつてい)猶予(いうよ)期間(きかん)(あた)へて愚昧兇悪(ぐまいきやうあく)なる人間(にんげん)(たい)(かみ)(あい)(さと)らしめ、110勝手(かつて)気儘(きまま)行動(かうどう)(あらた)めしめむと劃策(くわくさく)(たま)うたのである。111(これ)(おも)へば吾々(われわれ)人間(にんげん)大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)神慮(しんりよ)奉戴(ほうたい)し、112造次(ざうじ)にも顛沛(てんぱい)にも精霊(せいれい)(みが)改過遷善(かいくわせんぜん)(みち)()ぐるに(つと)めねばならぬのである。
113 ()偽善者(きぜんしや)たるランチ、114片彦(かたひこ)両人(りやうにん)宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)伊吹戸主(いぶきどぬし)(かみ)(はか)らひによつて地獄(ぢごく)()()めらるる(こと)となつた。115ガリヤ、116ケースも(また)(その)(あと)につき(したが)ふ。117(おほ)きな(いは)虚隙(きよげき)から無理(むり)番卒(ばんそつ)押込(おしこ)まれ真暗(まつくら)(あな)()()んだ。118(ななめ)下方(かはう)(むか)つた隧道(すゐだう)屈曲(くつきよく)(はなはだ)しく(とほ)つてゐる。119両手(りやうて)(さぐ)らなければ何時(なんどき)岩壁(がんぺき)(あたま)()ちつけ、120(また)足許(あしもと)注意(ちゆうい)せなくては何時(いつ)(つまづ)くか(わか)らない暗黒道(あんこくだう)を、121四人(よにん)(こし)(かが)めながら(あと)から何物(なにもの)にか()さるる(やう)心地(ここち)して次第々々(しだいしだい)(くだ)つて()く。122(すこ)(こし)()ばさうとすれば(あたま)(うへ)岩壁(がんぺき)(さへぎ)られる。123丁度(ちやうど)海老腰(えびごし)(やう)になつて、124(なん)とも()はれぬ(くさ)(にほひ)のする(みち)際限(さいげん)もなく(さぐ)(さぐ)(ふか)(ふか)()()んで()つた。125(すこ)しく薄明(うすあか)(ところ)四人(よにん)(やうや)()いた。126そこには(まる)人間(にんげん)(くぐ)るだけの(あな)(むつ)つばかり(のぞ)眼鏡(めがね)(やう)(なら)んでゐる。127さうして(あを)128(あか)顔面(がんめん)をさらした守衛(しゆゑい)一々(いちいち)()つて()て、129ものをも()はず四人(よにん)(おな)(あな)無理(むり)やりに突込(つつこ)んで(しま)つた。130臭気紛々(しうきふんぷん)として嘔吐(おうど)(もよほ)すが(ごと)其辺(そこら)一面(いちめん)不愉快(ふゆくわい)さ、131彼等(かれら)四人(よにん)(かへつ)愉快(ゆくわい)になり腐肉(ふにく)臭気(しうき)堆糞(たいふん)(にほひ)(はな)(うごめ)かし、132(うれ)しさうに()ぎながらヤツと安心(あんしん)したものの(ごと)(いき)をつき(また)もやドンドンと以前(いぜん)より(やや)薄明(うすあ)隧道(すゐだう)(みぎ)(ひだり)()れながら(くだ)りゆくのであつた。133四人(よにん)(やうや)くにして(すこ)しく(ひろ)(ところ)()いた。134()れば其処(そこ)(おほ)きな(かは)(よこ)たはつてゐる。135さうして(ほそ)(なが)(はし)()けられてある。136ここには(いかめ)しい(かほ)をした冥官(めいくわん)武装(ぶさう)をして二十人(にじふにん)ばかり(ひか)へて()た。137冥官(めいくわん)一人(ひとり)はツと(まへ)(すす)()り、
138(その)(はう)はランチ将軍(しやうぐん)139片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)(まを)して、140現界(げんかい)(おい)非常(ひじやう)体主霊従(たいしゆれいじう)(おこな)ひを(いた)し、141人獣合一(にんじうがふいつ)悪業(あくごふ)(さか)んにやつた人足(にんそく)だから、142(この)(はし)(わた)つて(むか)ふへ()け。143(この)(はし)無事(ぶじ)(わた)られたならば(ふたた)娑婆(しやば)(かへ)してやらう。144(しか)(これ)(わた)られぬ(とき)は、145(この)橋下(はしした)()んでゐる数多(あまた)怪物(くわいぶつ)(ため)(その)(はう)(さいな)まれ、146(もつと)(くる)しき地獄(ぢごく)()ちるのだ。147さあ(はや)()け』
148とせき()(にら)みつける。149四人(よにん)四肢(しこ)五体(ごたい)(ちから)何時(いつ)しかスツカリ()けて(しま)ひ、150手足(てあし)がブルブルと(ふる)(をのの)き、151満足(まんぞく)(ある)(こと)出来(でき)なくなつてゐた。152さうして(この)(はし)には罪人橋(ざいにんばし)橋詰(はしづめ)立札(たてふだ)()つてゐる。153(その)(なが)さは()(とど)かぬばかり(ほとん)数百町(すうひやくちやう)(およ)んでゐる。154さうして(はし)(はば)(わづ)かに一尺(いつしやく)ばかり、155一寸(ちよつと)(からだ)平均(へいきん)(うしな)つたが最後(さいご)156真逆様(まつさかさま)百尺(ひやくしやく)以上(いじやう)(かは)()()まねばならぬ。157さうして(その)(みづ)(ふか)さは地球(ちきう)中心(ちうしん)(たつ)して()ると(つた)へられ、158幾千万丈(いくせんまんぢやう)(ふか)さとも(わか)らない。159(この)(はし)には(てすり)もなく、160(くは)ふるにヒヨヒヨとして上下(じやうげ)左右(さいう)()(うご)く、161(じつ)危険(きけん)(はし)である。162さうして(はし)(した)には激流(げきりう)飛沫(ひまつ)をとばし赤黒(あかぐろ)汚穢(をゑ)(みづ)(なが)れてゐる。163さうして(なん)とも形容(けいよう)出来(でき)怪物(くわいぶつ)沢山(たくさん)()み、164(はし)(うへ)通行(つうかう)するものが(あやま)つて()ちて()るのを、165大口(おほぐち)()けて()つて()るその(おそ)ろしさ。166一目(ひとめ)()ても身慄(みぶる)ひする(やう)である。167さうして(はし)(うへ)には(はだ)(つんざ)(ごと)寒風(かんぷう)()き、168(なん)とも()へぬ(いや)らしき(こゑ)169八方(はつぱう)より(きこ)えて()るのであつた。
170 ランチは(あま)りの(おそ)ろしさに身体(しんたい)すくみ、171ビリビリ(ふる)うて()ると冥官(めいくわん)一人(ひとり)は、
172『サア、173ランチ将軍(しやうぐん)174(その)(はう)現界(げんかい)(おい)ては立派(りつぱ)なるバラモンの宣伝(せんでん)将軍(しやうぐん)ではなかつたか。175沢山(たくさん)敵味方(てきみかた)(いのち)をとつたる英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)でありながら、176何故(なにゆゑ)これしきの(はし)(おそ)ろしいのか。177サア(はや)(むか)ふへ(わた)れ』
178厳命(げんめい)した。179ランチは(ふる)(ごゑ)()して、
180『イヤ、181モシ冥官(めいくわん)(さま)182斯様(かやう)(おそ)ろしい(ところ)到底(たうてい)(わた)(こと)出来(でき)ませぬ。183何卒(どうぞ)改心(かいしん)しますから、184(もと)(ところ)へお(かへ)(くだ)さい。185(ねがひ)(ござ)います』
186『ならぬならぬ、187(けつ)して霊界(れいかい)(おい)ては汝等(なんぢら)()かる責苦(せめく)(あた)へ、188(これ)(もつ)快楽(くわいらく)としてゐるのではない。189大神様(おほかみさま)(はじ)め、190すべてのエンゼルも冥官(めいくわん)も、191一人(ひとり)なりとも天国(てんごく)(のぼ)()身魂(みたま)(きた)()(こと)()つてゐるのだ。192(いな)唯一(ゆゐいつ)歓喜(くわんき)としてゐるのだ。193(なんぢ)(みづか)らの罪業(ざいごふ)によつて(なんぢ)(みづか)(この)罪人橋(ざいにんばし)(わた)るべく準備(じゆんび)(いた)し、194(また)(なんぢ)永久(えいきう)住家(すみか)(むか)ふの地獄(ぢごく)(つく)りおいた以上(いじやう)は、195(なんぢ)身魂(みたま)は、196其処(そこ)まで()かねばならぬ。197可愛(かあい)さうなれど吾々(われわれ)(すく)(こと)出来(でき)ぬ。198(なんぢ)(かみ)(あい)(しん)じて(みづか)天国(てんごく)(ひら)くべき(ところ)を、199自然界(しぜんかい)(よく)精霊(せいれい)(けが)し、200()くも浅猿(あさま)しき()(うへ)となつたのだから、201自縄自縛(じじようじばく)(あきら)めて()つてくれ』
202流石(さすが)冥官(めいくわん)憐愍(れんびん)(じやう)()へかねてか、203両眼(りやうがん)より(なみだ)をポロポロと(なが)してゐる。
204片彦(かたひこ)『モシ冥官(めいくわん)(さま)205もはや()うなる(うへ)(みづか)()んだ(おに)(みづか)らを()めるのですから、206如何(どう)とも(いた)(かた)(ござ)いませぬ。207(しか)しながら(その)地獄(ぢごく)随分(ずゐぶん)(つら)(ところ)(ござ)いませうな』
208地獄(ぢごく)にも色々(いろいろ)あるが()大別(たいべつ)して十八地獄(じふはちぢごく)(わか)つてゐる。209さうして(その)地獄(ぢごく)にも(その)罪業(ざいごふ)によつて大小軽重(だいせうけいぢう)区別(くべつ)がある。210地獄(ぢごく)団体(だんたい)今日(こんにち)(ところ)にては幾万(いくまん)(もつ)(かぞ)へられるであらう。211(その)(うち)(おも)なる地獄(ぢごく)は、212吊釣(てうきん)地獄(ぢごく)213幽枉(いうわう)地獄(ぢごく)214火孔(くわこう)地獄(ぢごく)215郭都(ほうと)地獄(ぢごく)216抜舌(ばつぜつ)地獄(ぢごく)217剥皮(はくひ)地獄(ぢごく)218磨摧(まさい)地獄(ぢごく)219碓搗(うすつき)地獄(ぢごく)220車崩(しやほう)地獄(ぢごく)221寒氷(かんぴよう)地獄(ぢごく)222脱壳(だつこく)地獄(ぢごく)223抽腸(ちうちやう)地獄(ぢごく)224油鍋(ゆくわ)地獄(ぢごく)225暗黒(あんこく)地獄(ぢごく)226刀山(たうざん)地獄(ぢごく)227血池(ちのいけ)地獄(ぢごく)228阿鼻(あび)地獄(ぢごく)229秤杆(へうかん)地獄(ぢごく)()つて、230(これ)大体(だいたい)地獄(ぢごく)であり、231(その)(うち)罪業(ざいごふ)大小(だいせう)軽重(けいぢゆう)によつてそれぞれの階段(かいだん)出来(でき)てゐる。232前達(まへたち)(しつか)りして、233地獄(ぢごく)()つたら随分(ずゐぶん)(あく)(つよ)(やつ)だから地獄(ぢごく)統治者(とうちしや)となるかも()れない。234それを(たのし)みに()つたがよからう』
235如何(どう)しても吾々(われわれ)地獄(ぢごく)(まゐ)らねばなりませぬか』
236『お前達(まへたち)四人(よにん)霊衣(れいい)()れば(なほ)多少(たせう)朧気(おぼろげ)円相(ゑんさう)(のこ)つてゐる。237()冥土(めいど)(きた)るべき命数(めいすう)でないが、238(しか)しながら伊吹戸主(いぶきどぬし)神様(かみさま)より御命令(ごめいれい)があつたによつて、239如何(どう)しても此処(ここ)(とほ)さにやならぬ。240四人(よにん)四人(よにん)ながら、241まだ娑婆臭(しやばくさ)亡者(まうじや)()るとは不思議千万(ふしぎせんばん)だ』
242(くび)(かたむ)思案顔(しあんがほ)をしてゐる。
243 かかる(ところ)(ほね)(かは)とになつた我利々々亡者(がりがりまうじや)一隊(いつたい)244雑魚(ざこ)(ほね)()()けた(やう)にウヨウヨウヨと幾百千(いくひやくせん)とも数知(かずし)れず(あら)はれ(きた)り、245ランチ、246片彦(かたひこ)両将軍(りやうしやうぐん)(むか)ひ、247()()はれぬ(いや)らしき(こゑ)()(しぼ)り、248前後左右(ぜんごさいう)より武者振(むしやぶ)りつく(その)(いや)らしさ。249ガリヤ、250ケースも(また)相当(さうたう)(いや)らしき怪物(くわいぶつ)にとりまかれ、251悲鳴(ひめい)をあげて()(さけ)んでゐる。
252 (この)(とき)何処(どこ)ともなく(あま)数歌(かずうた)(かす)かに(きこ)えて()た。253()()るうちに我利々々亡者(がりがりまうじや)(けむり)(ごと)()えて(しま)つた。254さうして数多(あまた)(いかめ)しき冥官(めいくわん)姿(すがた)一人(ひとり)()二人(ふたり)()り、255おひおひと(その)(すう)(げん)ずるのであつた。256宣伝歌(せんでんか)(こゑ)おひおひ(ちか)づいたと()えて、257だんだん(たか)(きこ)えて()た。258非常(ひじやう)薄暗(うすぐら)かつた四辺(あたり)は、259薄紙(うすがみ)()いだ(やう)次第々々(しだいしだい)(あか)るくなつて()た。
260大正一二・一・一三 旧一一・一一・二七 北村隆光録)