霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 乞食劇(こじきげき)〔一三一九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第51巻 真善美愛 寅の巻 篇:第1篇 霊光照魔 よみ(新仮名遣い):れいこうしょうま
章:第4章 乞食劇 よみ(新仮名遣い):こじきげき 通し章番号:1319
口述日:1923(大正12)年01月25日(旧12月9日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
松姫は封を切って手紙を読み始めた。おいおい顔色が変わり両手はふるえだし、容易ならない内容のように見えたが、読み終わるとほっと溜息をついた。
お千代は、悪魔が上のお宮の扉を開いたらきっとびっくりして逃げるだろうとエンゼルが仰ったので心配はいらないと松姫を励ました。松姫は、二人に会って高姫を説得するのにお千代がいては都合が悪いと、しばらくスマートと一緒に遊んでくるようにいいつけた。
お千代がスマートと外に出かけた後、松姫は高姫が曲津の入れ物になり、妖幻坊にたぶらかされているという事態を憂いながらも、今は自分がしっかり小北山を守らなければならないと思い直し、神に祈りを捧げていた。
そこへ酔った初と徳がやってきて、松姫がなかなかやってこないので高姫が立腹していると伝えた。そして、今日から高姫が小北山の教主で杢助が監督するのだ、と松姫に伝えた。
松姫は、たとえ高姫が教主だろうと、事務を引き継がないうちはまだ自分がここの教主であり、その間は自分の裁量で事を進めると言い返し、こちらから会うと言ったがそれはできなくなったので、向こうから挨拶に来るように、と申し渡した。
初と徳は、自分たちは斎苑の館の総務・杢助の家来になったのだ、と権威をかさに着て松姫を脅しにかかった。しかし松姫はここの教主は自分だと言ってきかず、初と徳が威張り散らす姿をからかった。
初と徳は怒り、杢助の命令だと松姫に打ってかかろうとした。初と徳は、松姫の体から光が出ているような気がして、その場に霊縛されてしまった。
松姫は泰然自若として心静かに歌を歌い、杢助の正体を暴き二人に改心を促す歌を歌っている。松姫が歌い終わると、初と徳は涙を流して改心の意を表した。松姫が霊縛を解くと、二人はぱたぱたと表へ駆け出して行ってしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-08-04 09:39:17 OBC :rm5104
愛善世界社版:57頁 八幡書店版:第9輯 286頁 修補版: 校定版:59頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 松姫(まつひめ)(しづか)(ふう)押切(おしき)押戴(おしいただ)いて()()く。002おひおひと顔色(かほいろ)(かは)両手(りやうて)(ふる)ひ、003容易(ようい)ならざる文面(ぶんめん)(ごと)(おも)はれた。004そして松姫(まつひめ)手紙(てがみ)()(をは)りホツと溜息(ためいき)をついた。
005千代(ちよ)『お(かあ)さま、006(わたし)()つた(こと)(ちが)やしますまいがな。007高姫(たかひめ)斎苑(いそ)(やかた)からの命令(めいれい)ぢやありますまい。008そしてあの杢助(もくすけ)()つてるのは化物(ばけもの)でせうがな。009(この)(いぬ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)愛犬(あいけん)でスマートと()いてありませう』
010松姫『あああ、011油断(ゆだん)のならぬ()世界(せかい)だな。012こりや()うしては()られますまい。013(しか)しながら初稚姫(はつわかひめ)(さま)(おほ)せ、014何処(どこ)までも(ぜん)(ひと)つで高姫(たかひめ)(さま)改心(かいしん)させにやならぬ。015(しか)初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお言葉(ことば)に……お(まへ)小北山(こぎたやま)神司(かむつかさ)だから、016何処(どこ)までも此処(ここ)(うご)いてはいかぬ……と()いてある。017もしも高姫(たかひめ)さまが何処(どこ)までも此処(ここ)教主(けうしゆ)頑張(ぐわんば)つたら、018()うしようかな。019せめて魔我彦(まがひこ)さまでも()つてくれたら、020(なん)とかいい相談(さうだん)出来(でき)るだらうに、021(こま)つた(こと)だ』
022お千代『お(かあ)さま、023(けつ)して心配(しんぱい)()りませぬ。024どうせ一度(いちど)はお(みや)さまを巡拝(じゆんぱい)するでせうから、025(うへ)のお(みや)のお(とびら)(ひら)いたら、026屹度(きつと)ビツクリして()げるでせうよ。027エンゼルさまが(わたし)にさう仰有(おつしや)いました』
028松姫『ああさうかな。029何卒(どうぞ)まア都合(つがふ)よくやりたいものだ。030(しか)しお(まへ)(この)スマートさまを()れて高姫(たかひめ)さまの()にかからぬ(ところ)(しばら)(あそ)びに()つて()(くだ)さい。031(まへ)()ると都合(つがふ)(わる)いからな』
032お千代『それならお(かあ)さま、033(しつか)りなさいませや。034何卒(どうぞ)()()まれぬ(やう)になさいませ。035これ、036スマートさま、037(まへ)可愛(かあい)(いぬ)ね』
038()ひながら(くび)たまに抱付(だきつ)いた。039スマートは(うす)(ひら)たい(した)でお千代(ちよ)(ほほ)をペラツと()めた。040千代(ちよ)はビツクリしてスマートを(には)()(こか)した。041スマートは仰向(あふむけ)()けたまま呑気(のんき)(ふう)(あし)(くう)をかいて()る。
042お千代『ア、043(この)(いぬ)(めす)だわ。044さアおスマちやま、045千代(ちよ)春先(はるさき)でもあり、046陽気(やうき)がいいから、047(はやし)(なか)()つて(あそ)んで()ませう。048(うさぎ)でも()つたら(おど)してやりませうね』
049()ひながら(あたま)()でる。050スマートはムツクと()(あが)り、051千代(ちよ)(あと)について山林(さんりん)(なか)(あそ)びに()く。052(あと)松姫(まつひめ)(ただ)一人(ひとり)()()んで思案(しあん)にくれてゐた。
053松姫『あああ、054高姫(たかひめ)さまは(こま)つた(かた)だな。055どうしたら本当(ほんたう)()改心(かいしん)出来(でき)るのだらう。056初稚姫(はつわかひめ)(さま)()手紙(てがみ)によれば、057(この)(ごろ)はスツカリ精神(せいしん)(みだ)れ、058金毛(きんまう)九尾(きうび)悪狐(あくこ)(がま)(へび)(たぬき)059(いたち)などの無料(むれう)合宿所(がつしゆくしよ)になつてゐられるとの(こと)060それに(また)杢助(もくすけ)名告(なの)つてるのは、061初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお(とう)さまでなくて大雲山(たいうんざん)妖幻坊(えうげんばう)だとか、062ほんとにいやらしい化物(ばけもの)をつれて、063夫婦(ふうふ)気取(きど)りで、064こんな(ところ)()()松姫(まつひめ)()()し、065自分(じぶん)教主(けうしゆ)にならうとは、066どうした(こと)だらう。067(わたし)(べつ)此処(ここ)神司(かむつかさ)執着心(しふちやくしん)はないのだけれど、068悪神(あくがみ)にみすみす此処(ここ)()(わた)して()(わけ)にも()かない。069そんな(こと)しては(かみ)(さま)にも()まない。070ここは何処(どこ)までも孤軍(こぐん)奮闘(ふんとう)覚悟(かくご)でなければならない。071ああ国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)(さま)072豊国姫(とよくにひめの)大神(おほかみ)(さま)073木花姫(このはなひめの)大神(おほかみ)(さま)074金勝要(きんかつかねの)大神(おほかみ)(さま)075(まも)(たま)(さきは)(たま)へ、076惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
077一生(いつしやう)懸命(けんめい)(いの)つてゐる。
078 そこへバラバラとやつて()たのは(はつ)079(とく)両人(りやうにん)であつた。080足許(あしもと)もヨロヨロしながら両人(りやうにん)は、
081初、徳松姫(まつひめ)さま、082エー、083一寸(ちよつと)()報告(ほうこく)()ましたが、084三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)085ウラナイ(けう)(もと)教祖(けうそ)高姫(たかひめ)さまがお()しになつて()ります。086そして松姫(まつひめ)何故(なぜ)(わたし)()てゐるのが(わか)つてゐるのに挨拶(あいさつ)()ないのか。087御用(ごよう)()んだら()()ると()つておきながら、088まだ()()ないと()つて、089大変(たいへん)立腹(りつぷく)(ござ)ります。090そして(この)(やかた)今日(けふ)から高姫(たかひめ)教主(けうしゆ)だ。091杢助(もくすけ)(さま)監督(かんとく)()たのだと、092それはそれはえらい()権幕(けんまく)(ござ)りますよ。093(はや)()挨拶(あいさつ)においで(くだ)さいませぬと、094貴女(あなた)のお()(うへ)(くわん)した一大事(いちだいじ)出来(しゆつたい)(いた)しますから、095ソツと()注意(ちゆうい)(まゐ)りました』
096松姫仮令(たとへ)高姫(たかひめ)さまが此処(ここ)教主(けうしゆ)になられようが、097事務(じむ)引継(ひきつ)がぬ(うち)此処(ここ)松姫(まつひめ)管轄権(くわんかつけん)(ない)にあるのだから、098折角(せつかく)(うかが)ふと()つたけど、099(わたし)(はう)からよう(うかが)はないから、100高姫(たかひめ)さまと杢助(もくすけ)さまに、101此方(こちら)()()(もら)つて(くだ)さい。102それが至当(したう)だからな』
103(はつ)松姫(まつひめ)さま、104(なん)とえらい(いきほひ)ですな。105()()地頭(ぢとう)とには()たれないと()つて、106そこは貴女(あなた)(はう)から()れてかかりなさるがお(とく)かも()れませぬよ。107きつと(わる)(こと)(まを)しませぬ。108貴女(あなた)足掛(あしか)首掛(くびか)四年振(よねんぶり)此処(ここ)(ござ)つたのだから、109今日(けふ)(にはか)立退(たちの)命令(めいれい)(くだ)されては面白(おもしろ)(ござ)りますまい。110それは(わたし)もお(さつ)(まを)して()ります。111(しか)しながら、112これも因縁(いんねん)だと(あきら)めて、113素直(すなほ)高姫(たかひめ)さまや杢助(もくすけ)さまに()面会(めんくわい)をなさるが(よろ)しい。114そしたら(また)(なん)とか貴女(あなた)都合(つがふ)のいいやう取計(とりはか)らつて(くだ)さるでせうからな』
115松姫(なん)()つても、116そんな理由(りいう)はありませぬから、117高姫(たかひめ)さまに私交(しかう)(じやう)としては(わたし)師匠(ししやう)だから()まないが、118(おほやけ)(みち)から()けば(わたし)此処(ここ)神司(かむつかさ)119(なん)遠慮(ゑんりよ)もありませぬから、120何卒(どうぞ)(わたし)職務(しよくむ)として調(しら)べたい(こと)がある、121よつて直様(すぐさま)()両人(りやうにん)此方(こちら)()(くだ)さる(やう)伝達(でんたつ)して(くだ)さい』
122『それでも大変(たいへん)権幕(けんまく)で、123(うご)きさうにや(ござ)りませぬ。124そんな(こと)をお(つた)へしようものなら、125(わたし)折角(せつかく)杢助(もくすけ)さまの片腕(かたうで)になつた職務(しよくむ)まで剥奪(はくだつ)されて(しま)ひます。126のう(とく)よ、127さうぢやないか』
128(とく)『ウン』
129松姫(まつひめ)『これ、130(はつ)さま、131(まへ)さまは杢助(もくすけ)さまの片腕(かたうで)になつたと(いま)()ひましたね』
132(はつ)『ハイ、133(たしか)(まを)しました。134新教主(しんけうしゆ)高姫(たかひめ)殿(どの)(をつと)杢助(もくすけ)135(また)御名(みな)時置師(ときおかし)(かみ)136斎苑(いそ)(やかた)総務(そうむ)(あそ)ばす杢助(もくすけ)(さま)両腕(りやううで)両人(りやうにん)がなつたのだから、137(すべ)ての宣伝使(せんでんし)(あご)使(つか)(はつ)さま、138(とく)さまですよ。139如何(いか)松姫(まつひめ)さまだつて、140もう()うなつた(うへ)(この)(はつ)さま、141(とく)さまの命令(めいれい)()かずには()られますまい。142如何(いかが)(ござ)る。143返答(へんたふ)(うけたま)はりませう』
144松姫『ホホホホホ(いよいよ)三助(さんすけ)人形(にんぎやう)(やせ)バツタの(やう)なスタイルをして、145よくも威張(ゐば)つたものだね。146(まへ)さまは杢助(もくすけ)さまの両腕(りやううで)になつたか()らないが、147此処(ここ)()(あひだ)(この)松姫(まつひめ)命令(めいれい)()かなくちやなりますまい。148魔我彦(まがひこ)からお役目(やくめ)解除(かいぢよ)辞令(じれい)でも()けた(うへ)149杢助(もくすけ)さまの推薦(すいせん)によつて、150八島主(やしまぬし)さまから立派(りつぱ)辞令(じれい)(いただ)いて()なくちや駄目(だめ)ですよ。151そんな(ゆめ)なんか、152いい加減(かげん)にお()ましなさるが()からうぞや』
153(なん)()つても駄目(だめ)ですよ。154(げん)杢助(もくすけ)(さま)(くち)から仰有(おつしや)つたのですもの。155そして高姫(たかひめ)さまが証拠人(しようこにん)ですもの。156ヘン、157(これ)(ちが)ひつこはありませぬわい、158のう徳公(とくこう)
159初公(はつこう)は、
160『ウン ウン ウン』
161(こぶし)(にぎ)反身(そりみ)となり、162(やや)酒気(しゆき)()びし(こと)とて、163高慢面(かうまんづら)をして得意気(とくいげ)雄猛(をたけ)びして()せた。164松姫(まつひめ)はあまりの可笑(をか)しさに()()し、
165松姫『ホホホホホ』
166(わら)()けた。167初公(はつこう)(おほ)いに(いか)り、
168『こりや、169松姫(まつひめ)170無礼(ぶれい)千万(せんばん)な、171勿体(もつたい)なくも総務(そうむ)片腕(かたうで)(きこ)えたる、172斎苑(いそ)(やかた)()番頭(ばんとう)さまだ。173(それがし)面体(めんてい)()(わら)ふと()(こと)があるものか、174いや軽蔑(けいべつ)(いた)すと()(こと)があるか。175公私(こうし)本末(ほんまつ)176自他(じた)区別(くべつ)()らねば(けつ)して神司(かむつかさ)たる(こと)出来(でき)ませぬぞ。177(じつ)(ところ)杢助(もくすけ)さまが、178(さけ)(うへ)ではあるが、179(わし)()全権(ぜんけん)(まか)すから松姫(まつひめ)をボツ(ぱら)へとの(おほ)せ、180さア初公(はつこう)言葉(ことば)杢助(もくすけ)言葉(ことば)だ。181さア(しり)(から)げてトツトと()()け。182猶予(いうよ)(およ)ばば了簡(れうけん)(いた)さぬぞや』
183松姫『ウツフフフフあのまア、184乞食(こじき)芝居(しばゐ)上手(じやうず)なこと。185さア一文(いちもん)あげるから()んで(くだ)さい。186もう沢山(たくさん)拝見(はいけん)(いた)しました』
187(いよいよ)(もつ)()しからぬ(こと)(まを)す。188松姫(まつひめ)阿女奴(あまつちよ)189さア只今(ただいま)(かぎ)事務(じむ)引渡(ひきわた)しトツトと()()せう。190最早(もはや)(その)(はう)小北山(こぎたやま)には何一(なにひと)(よう)もなければ権利(けんり)もない。191おい徳公(とくこう)192貴様(きさま)高姫(たかひめ)さまの代理(だいり)ぢやないか。193何故(なぜ)(だま)つてゐるか』
194 徳公(とくこう)高姫(たかひめ)気分(きぶん)になり、195(かた)(ゆす)(くび)をふり婆声(ばばごゑ)()して、
196『これ松姫(まつひめ)さま、197(わたし)高姫(たかひめ)代理(だいり)ぢやぞえ。198(なが)らく()苦労(くらう)(ござ)りました。199(しか)しながら今日(けふ)(まで)(まへ)さまは(かみ)(さま)()都合(つがふ)御用(ごよう)をさせてあつたのだ。200(しか)上義姫(じやうぎひめ)はもう此処(ここ)用事(ようじ)はない。201(これ)から義理(ぎり)天上(てんじやう)()出神(でのかみ)此処(ここ)(かま)ふによつて、202(まへ)はトツトと()()つて(くだ)さい。203それとも十分(じふぶん)改悪(かいあく)して、204杢助(もくすけ)高姫(たかひめ)()(こと)()くなら、205炊事場(すゐじば)のおサンどんに使(つか)つて()げぬ(こと)もない。206(しか)しお(まへ)此処(ここ)()()れて()たのだから、207此処(ここ)()()されるのは残念(ざんねん)だらう。208それは高姫(たかひめ)もよく(わか)つてる。209それでお(まへ)さまは、210どんと、211かばちを()げて炊事(すゐじ)御用(ごよう)雪隠(せつちん)掃除(さうぢ)をなさいませ。212そこまで苦労(くらう)をなさらぬと、213(いま)から(えら)さうに教主(けうしゆ)だなんて威張(ゐば)つて()ると、214(さる)()からバツサリ()ちる(れい)もありますぞや。215サアサア、216返答(へんたふ)々々(へんたふ)217如何(いかが)(ござ)る。218高姫(たかひめ)代理(だいり)此処(ここ)でキツパリと(うけたまは)りませう。219さてもさても残念(ざんねん)さうなお(かほ)だな。220他人(たにん)(わし)でさへ(なみだ)(こぼ)れませぬわい。221アーン、222アーンアーンアーンアーン アハハハハハ、223()くのか(わら)ふのか、224いやもう(わけ)がわかりませぬ。225松姫(まつひめ)さまの(こと)(おも)へば()きたくなり、226高姫(たかひめ)さまの(こと)(おも)へば(わら)ひたくなる。227(かな)しい(こと)(うれ)しい(こと)一度(いちど)になつて()た。228(おや)()んだ(ところ)花嫁(はなよめ)()()(やう)心持(こころもち)だ。229悲喜(ひき)交々(こもごも)相混(あひまじ)苦楽(くらく)一度(いちど)到来(たうらい)す。230(のぼ)(ひと)(くだ)(ひと)231ほんに浮世(うきよ)(まま)ならぬものだな。232アツハハハハ「アーンアーンアーンオーンオーンオーン如何(どう)しようぞいなー如何(どう)しようぞいなー。233(この)行先(ゆくさき)はお千代(ちよ)()れて袖乞(そでご)ひ、234物貰(ものもら)ひに(ある)かにやならぬと(おも)や、235(わし)(むね)引裂(ひきさ)けるやうに(おも)ふワイのー……(義太夫)(これ)()ふのも(さき)()で、236如何(いか)なる(こと)(つみ)せしか、237(かな)しさ(つら)さ、238()()もあられぬ()(おも)ひ、239エエヘヘヘヘンエーーーー、240如何(どう)しようぞいなー」エーエ、241到頭(たうとう)(わし)(からだ)松姫(まつひめ)さまの(ふく)守護神(しゆごじん)がのり(うつ)りやがつて、242()いたり(わら)つたり、243いやもううつり(やす)水晶魂(すいしやうみたま)()んなに(くる)しいものかなア。244のう初公(はつこう)245(おれ)(たち)もヤツパリ(はる)()たぢやないか。246(この)好機(かうき)(いつ)して、247何時(いつ)()か、248出世(しゆつせ)(とき)()むやだ。249おい、250有力(いうりよく)なる後援者(こうゑんしや)出来(でき)たのだから、251チツとは無理(むり)でも()(どく)でも、252奴隷(どれい)(てき)道徳(だうとく)()めにして権利(けんり)義務(ぎむ)主張(しゆちやう)し、253自分(じぶん)位地(ゐち)(たか)めるのが一等(いつとう)だぞ。254のう初公(はつこう)255(しつか)りやつてくれ。256(おれ)今度(こんど)大車輪(だいしやりん)だから、257イツヒヒヒヒヒ』
258松姫『ホホホホホ、259あのまアお二人(ふたり)さま、260(そろ)ひも(そろ)うて、261何時(いつ)()に、262そんな芝居(しばゐ)(おぼ)えて()たの。263(いぬ)(わら)ひますよ』
264(はつ)『こりや、265松姫(まつひめ)266何処(どこ)までも教主面(けうしゆづら)をさげやがつて、267(おれ)(たち)二人(ふたり)(なん)心得(こころえ)てる。268無礼(ぶれい)ぢやないか。269左様(さやう)失礼(しつれい)なことを(まを)すと、270(この)(まま)には差許(さしゆる)さぬぞ』
271(とく)『こーりや松姫(まつひめ)272(なん)心得(こころえ)てる。273(いま)(まで)(とく)さまや(はつ)さまとはチツと値段(ねだん)(ちが)ふのだ。274エー、275(にはか)仕入(しい)れのバチ(もの)とは(ちが)つて上等(じやうとう)舶来品(はくらいひん)だ。276あまり見違(みちが)へを(いた)して(もら)はうまいかい』
277松姫『ホホホホホ、278(とら)()をかる糞喰(くそく)(ぎつね)とはお(まへ)(たち)(こと)だよ。279もう()うなつちや松姫(まつひめ)了簡(れうけん)なりませぬ。280さア今日(けふ)只今(ただいま)から(ひま)をつかはすによつてお(かへ)りなさい。281(いつ)分間(ぷんかん)(この)聖場(せいぢやう)にはお(まへ)(やう)薄情者(はくじやうもの)()(こと)出来(でき)ませぬ』
282(はつ)『ヘン、283馬鹿(ばか)にすない。284もう(この)小北山(こぎたやま)貴様(きさま)権利(けんり)ぢやないぞ。285勿体(もつたい)なくも杢助(もくすけ)さまの()監督(かんとく)(もと)高姫(たかひめ)さまの()管轄(くわんかつ)区域(くゐき)だ。286(まへ)(はう)から(ひま)(もら)ふよりも、287こつちの(はう)から(ひま)をくれてやるのだ。288有難(ありがた)(おも)へ。289さアさア()()かう()()かう。290グヅグヅして()ると邪魔(じやま)になるわい』
291(とく)『おい、292こんな(わか)らぬ(をんな)何時(いつ)まで掛合(かけあ)つた(ところ)駄目(だめ)だ。293杢助(もくすけ)さまがやつつけて(しま)へと仰有(おつしや)つたぢやないか。294おい、295やつつけろ やつつけろ』
296『よし()た』
297二人(ふたり)仁王立(にわうだち)となり、298松姫(まつひめ)(なか)()いて、299(いま)拳骨(げんこつ)(かた)めて飛鳥(ひてう)(ごと)()びかからむとしてゐる。300松姫(まつひめ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)として(すこ)しも(さわ)がず、301二人(ふたり)()()つめてゐる。302両人(りやうにん)打掛(うちかか)らうとすれども、303何故(なにゆゑ)か、304松姫(まつひめ)身体(からだ)から(ひかり)()(やう)(おも)はれて、305()(くら)()びつく(こと)出来(でき)ない。306松姫(まつひめ)(こころ)(しづ)かに(うた)(うた)つてゐる。
307松姫(とら)()をかる古狐(ふるぎつね)
308小北(こぎた)(やま)(あら)はれて
309松姫館(まつひめやかた)侵入(しんにふ)
310無道(ぶだう)難題(なんだい)()きかけて
311卑怯(ひけふ)未練(みれん)両人(りやうにん)
312(おど)文句(もんく)(なら)()
313木偶坊(でくばう)(やう)なその姿(なり)
314(にぎ)(こぶし)(かた)めつつ
315(ふる)ひゐるこそ可笑(をか)しけれ
316初公(はつこう)徳公(とくこう)よく()けよ
317杢助司(もくすけつかさ)名告(なの)りゐる
318(かれ)(まこと)(ひと)でない
319大雲山(たいうんざん)(わだか)まる
320八岐(やまた)大蛇(をろち)片腕(かたうで)
321兇党界(きようたうかい)にて(はば)()かす
322妖幻坊(えうげんばう)曲津(まがつ)ぞや
323高姫司(たかひめつかさ)恋淵(こひぶち)
324()らず()らずに(おちい)りて
325妖怪(えうくわい)変化(へんげ)()らずして
326杢助司(もくすけつかさ)(おも)ひつめ
327得意(とくい)になつて(いま)此処(ここ)
328夫婦(ふうふ)気取(きど)りで()たなれど
329(けつ)して(まこと)三五(あななひ)
330八島(やしま)(ぬし)のお言葉(ことば)
331(したが)(きた)りしものでない
332これの(やかた)(うば)はむと
333曲津(まがつ)(かみ)(そそ)られて
334悪逆(あくぎやく)無道(ぶだう)(たく)みをば
335敢行(かんかう)せむとするものぞ
336(なんぢ)()二人(ふたり)曲神(まがかみ)
337(たま)をぬかれて()(くら)
338名利(めいり)(よく)(まよ)ひつつ
339()るに()へざる狂態(きやうたい)
340(えん)ずるものぞ、いと()しや
341(はや)(こころ)(あらた)めて
342(この)松姫(まつひめ)(こと)()
343完全(うまら)委曲(つばら)()くがよい
344(はや)()()ませ()()ませ
345(かみ)(なんぢ)(とも)にあり
346(なんぢ)(かみ)()(かみ)(みや)
347(めぐ)みの(ひかり)(てら)されて
348(ただ)しき(かみ)御子(みこ)となり
349(われ)(おか)せし罪科(つみとが)
350(この)()(すぐ)悔悟(くわいご)せば
351(ゆる)してやらむ惟神(かむながら)
352(かみ)(ちか)ひて両人(りやうにん)
353完全(うまら)委曲(つばら)()(つた)
354ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
355御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
356(うた)(をは)るや、357両人(りやうにん)両眼(りやうがん)より(なみだ)をハラハラと(なが)した。358そして(すこ)しく(くび)(うご)かし改心(かいしん)()(へう)した。359松姫(まつひめ)(たちま)霊縛(れいばく)()いた。360二人(ふたり)身体(しんたい)もとの(ごと)くになり、361パタパタと(おもて)()()した。362(はた)して(かれ)()両人(りやうにん)改心(かいしん)したであらうか。363(ただし)(ふたた)悪意(あくい)(おこ)して、364松姫(まつひめ)(たい)如何(いか)なる危害(きがい)(あた)へむとするであらうか。365後節(こうせつ)(おい)(つまび)らかになるであらう。366ああ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
367大正一二・一・二五 旧一一・一二・九 北村隆光録)

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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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