霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (めし)(はひ)〔一四一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第1篇 奇縁万情 よみ:きえんばんじょう
章:第5章 飯の灰 よみ:めしのはい 通し章番号:1413
口述日:1923(大正12)年03月03日(旧01月16日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:58頁 八幡書店版:第10輯 54頁 修補版: 校定版:59頁 普及版:23頁 初版: ページ備考:
001 テームス夫婦(ふうふ)下僕(しもべ)のアーシスと(とも)に、002四人(よにん)介抱(かいほう)全力(ぜんりよく)(つく)して()た。003治国別(はるくにわけ)以下(いか)八人(はちにん)のお(きやく)(たい)してはアヅモスを(もつ)接待係(せつたいがかり)となし、004治国別(はるくにわけ)(いそ)此処(ここ)出立(しゆつたつ)せむとするを()いて打驚(うちおどろ)き、005せめて道晴別(みちはるわけ)病気(びやうき)全快(ぜんくわい)する(まで)006(わが)()にとどまり(たま)はむ(こと)をと、007(しき)りに懇願(こんぐわん)した。008治国別(はるくにわけ)()むを()ず、009四方(しはう)庭先(にはさき)をめぐらした、010()なり(ひろ)別宅(べつたく)()りて、011バラモン(ぐみ)連中(れんぢう)三五(あななひ)教理(けうり)日夜(にちや)()(さと)してゐた。012万公(まんこう)(この)(いへ)到着(たうちやく)一度(いちど)(かほ)(あは)したきり、013台所(かつて)(はう)(まは)つて、014下女(げぢよ)のお(たみ)主人気取(しゆじんきどり)使役(しえき)し、015家事(かじ)万端(ばんたん)注意(ちうい)(あた)へてゐた。
016万公(まんこう)『オイお(たみ)017(きさま)(おれ)(うち)()てからまだ()もないのだから、018勝手(かつて)(わか)るまい、019そして田舎出(いなかで)のホヤホヤで、020どこ(とも)なしに土臭(つちくさ)い。021これから家事(かじ)万端(ばんたん)(こと)を、022若主人(わかしゆじん)万公別(まんこうわけ)(をし)へてやるから、023(その)心算(つもり)で、024何事(なにごと)もハイハイと服従(ふくじゆう)(いた)すのだぞ』
025(たみ)万公別(まんこうわけ)さまとやら、026()ツから御結婚(ごけつこん)(はなし)(きき)ませぬし、027一体(いつたい)何方(どなた)のお婿(むこ)さまになられたのですか。028(なん)だか主人(しゆじん)(やう)()がせなくてなりませぬワ。029(また)大家(たいけ)主人(しゆじん)たる(もの)炊事場(すゐじば)へやつて()て、030下女(げぢよ)をつかまへて指図(さしづ)をするといふやうな卑劣(けち)(こと)では、031下男(げなん)下女(げぢよ)はケチ(くさ)主人(しゆじん)だと()つて、032排斥(はいせき)しますよ』
033万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな。034(すみ)から(すみ)(まで)()がつかなくては、035一家(いつけん)主人(あるじ)たる資格(しかく)がない。036(いま)(まで)のやうな主人面(しゆじんづら)をして()つては、037(これ)(だけ)税金(ぜいきん)のかかる時節(じせつ)038どうしても会計(くわいけい)()てぬぢやないか、039それだから上下一致(しやうかいつち)して、040()第一(だいいち)家内(かない)整理(せいり)按排(あんばい)し、041(しか)して(のち)外部(ぐわいぶ)仕事(しごと)にかかるのだ』
042(たみ)『お(ぢやう)さまを(はじ)めお(きやく)さまの病気(びやうき)で、043御主人(ごしゆじん)御手(おて)()けず、044アヅモス、045アーシスのお二人(ふたり)病人(びやうにん)やお(きやく)さまに(かか)つてゐるなり、046さう八釜(やかま)しう()つて(もら)つても、047何程(なにほど)千手観音(せんじゆくわんおん)さまだつて、048(をんな)一人(ひとり)で、049こんな(ひろ)(うち)がどう(うま)()きますものか。050チツと(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。051アオスから(ばん)まで、052独楽(こま)(やう)()にあはされてキリキリ(まひ)をしてゐるのですよ、053(やか)ましう()つて(くだ)さるな。054(まへ)さまは贋主人(にせしゆじん)でせう。055そんなこと()つてもあきませぬよ』
056万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな、057(きさま)一人(ひとり)(いそが)しいから(おれ)主人(しゆじん)()をも(かへり)みず、058(きさま)苦衷(くちう)(さつ)して手伝(てつだひ)()てやつたのだ。059チツとそこらの掃除(さうぢ)をせぬかい、060(この)()らけ(やう)(なん)だ』
061(たみ)掃除(さうぢ)どもする()がありますか、062(くら)(なか)()るバラモンのお(きやく)さまには(にぎ)(めし)()()んでやらねばならず、063(みづ)()つて()かねばならず、064()れに(にはか)沢山(たくさん)のお(きやく)さま、065チツとお(まへ)さまも手伝(てつだ)ひなされ』
066万公(まんこう)『ナニ、067バラモンのお(きやく)さまが(くら)()るとは此奴(こいつ)(めう)だ、068(なん)()(やつ)だ』
069(たみ)(なん)でもフエルとかベツトとかいふ(をとこ)ですよ』
070万公(まんこう)『ウン其奴(そいつ)面白(おもしろ)い、071臨時(りんじ)其奴(そいつ)下男(げなん)として使(つか)つてやらう。072さうすればベツト、073フエルも(よろこ)ぶだらう、074オイお(たみ)075(くら)(かぎ)()せ』
076(たみ)本当(ほんたう)万公(まんこう)さま、077貴方(あなた)若主人(わかしゆじん)ですか。078主人(しゆじん)間違(まちが)ひなければ(かぎ)(わた)します。079サア(これ)()つてお()きやす。080(ひがし)から(みつ)()(くら)ですよ』
081(くら)(かぎ)抽出(ひきだし)から取出(とりだ)して万公(まんこう)(わた)した。082万公(まんこう)はイソイソとして(かぎ)(たづさ)へ、083(くら)()をあけ、084(こは)(さう)(なか)一寸(ちよつと)(のぞ)いてみると、085フエル、086ベツトも(また)ブルブルもので(くら)(すみ)()()うて(ちぢ)かみゐる。
087万公(まんこう)『オイ、088バラモンの大将(たいしやう)089(おれ)当家(たうけ)若主人(わかしゆじん)だ。090今日(けふ)(ゆる)してやるから下男(げなん)(かは)りに家内(かない)掃掃除(はきさうぢ)をするのだ。091随分(ずいぶん)(きやく)(にはか)()えたのだから……ヨモヤ(いや)とは(まを)すまいな』
092フエル『ハイ、093若主人様(わかしゆじんさま)御仁慈(ごじんじ)有難(ありがた)(ぞん)じます。094どんな(こと)でも(いた)しますから、095何卒(どうぞ)使(つか)(くだ)さいませ』
096 二人(ふたり)万公(まんこう)本当(ほんたう)若主人(わかしゆじん)だと(しん)じて(しま)つた。
097万公(まんこう)『サ、098()座敷(ざしき)掃除(さうぢ)からやるのだ。099オイ、100フエル、101ベツトの両人(りやうにん)102随分(ずいぶん)(ひろ)()だから一寸(ちよつと)(ほね)()れるぞ。103(ほね)()ると()つても障子(しやうじ)(ほね)()つちや、104(たちま)幾分(いくぶん)かの損害(そんがい)だから、105充分(じゆうぶん)注意(ちゆうい)をして(もら)はねばならぬ、106()掃除(さうぢ)仕方(しかた)から(をし)へてやらう、107……一番(いちばん)戸障子(としやうじ)()(はな)つて(しま)ひ、108どうしても(うご)かす(こと)出来(でき)大切(たいせつ)品物(しなもの)被物(おほひ)をかけておくのだ。109それから払塵(はたき)のかけ(かた)天井(てんじやう)のスミズミから戸障子(としやうじ)腰張(こしば)りといふ順序(じゆんじよ)に、110(うへ)からダンダンと払塵(はたき)(さき)(しな)よくハタくやうにするのだ。111一寸(ちよつと)(いま)(おれ)標本(へうほん)()せてやる……コレ(この)(とほ)りだ。112(うで)をニユツと()ばし、113手首(てくび)下向(したむ)けるやうにしてやりさへすれば、114(さん)()(あた)らず、115(ほこり)(うま)()つて(しま)ふ。116ハタキが()むと今度(こんど)(はうき)使(つか)ふのだ』
117フエル『ハイ有難(ありがた)う、118(はうき)使(つか)(くらゐ)はよく()つてゐます。119オイ、120ベツト、121(きさま)(この)(はうき)(もつ)()くのだ』
122()(なが)両人(りやうにん)一生懸命(いつしやうけんめい)(たたみ)()()した。
123万公(まんこう)『コラコラそんな()(やう)があるか。124(はうき)使方(つかひかた)(たたみ)()()うて()かないと、125(ちり)がスツカリ(たたみ)(なか)()つて(しま)ふぢやないか、126(きさま)のやうに(はうき)(さき)()げよつて使(つか)ひよると、127(ほこり)がそこらへ()びさがして、128(はうき)(いた)むなり、129(また)(もと)障子(しやうじ)(さん)()まつて(しま)ふぢやないか。130そんな中央(まんなか)(はう)(ばか)()いたつて(なん)になる、131隅々(すみずみ)をよく()きさへすれば、132中央(まんなか)(ひと)(うつく)しうなるのだ。133そして掃掃除(はきさうぢ)()んだら、134(はうき)()つておくのだ、135()てておくと、136すぐに薙刀(なぎなた)穂先(ほさき)のやうに(まが)つて(しま)ふぞ。137掃除(さうぢ)がスツカリすんだ(あと)は、138(さき)()いてをる(ちり)()つておくのだ』
139フエル『モシ、140御主人様(ごしゆじんさま)141随分(ずいぶん)貴方(あなた)()()がつきますな、142(まる)(をんな)みた(やう)ですワ』
143万公(まんこう)『きまつた(こと)だ、144変性女子(へんじやうによし)瑞霊(みづのみたま)だ、145サ、146(これ)から(みづ)御用(ごよう)だ。147(はうき)がすんだら、148雑巾(ざふきん)がけをやるのだ。149雑巾(ざふきん)()(みづ)につけ()()して、150()なり(かた)(しぼ)り、151(ちから)()れて()かないと、152(かへつ)縁板(えんいた)(きたな)くなるぞ。153バケツの(みづ)度々(たびたび)取替(とりか)へぬと駄目(だめ)だ。154雑巾(ざふきん)のかけ(かた)(いた)()()うて、155雑巾(ざふきん)をよく折返(をりかへ)して()くのだよ。156(えん)(すみ)雑巾(ざふきん)三角形(さんかくがた)()つて()くと、157スミ(まで)綺麗(きれい)になる。158ニス、159(うるし)上等(じやうとう)材木(ざいもく)などは、160湿(しめ)つた雑巾(ざふきん)をかけては(かへつ)(わる)くなるものだ。161(かわ)いた雑巾(ざふきん)(こん)(まか)して使(つか)ふのだ。162朝晩(あさばん)拭掃除(ふきさうぢ)門掃(かどはき)硝子研(がらすみが)きも、163雑巾掛(ざふきんがけ)(みな)人格(じんかく)修養(しうやう)だ、164そして社会奉仕(しやくわいほうし)(ひと)つだ。165あああ主人(しゆじん)になつても、166(なみ)大抵(たいてい)(こと)ぢやないわい。167コリヤコリヤ、168バケツの(みづ)(よご)れてゐるぢやないか、169なぜ(あたら)しいのと()()へぬのだ。170そんな(どろ)のやうな(みづ)雑巾(ざふきん)(しぼ)るものだから、171これみい、172(いた)()(しろ)(すぢ)がついてるぞ』
173フエル『オイ、174ベツト、175(むつか)しい主人(しゆじん)だな、176やり()れぬぢやないか』
177万公(まんこう)一寸(ちよつと)主人(しゆじん)()いて()い、178(これ)から飯焚(めしたき)仰付(おほせつ)けてやる』
179フエル『ヘーヘー、180仕方(しかた)がありませぬ。181(なが)らく(くら)()()まれ、182折角(せつかく)(そと)()して(もら)うたと(おも)へば、183煙草(たばこ)一服(いつぷく)せぬ(さき)に、184下男(げなん)下女(げぢよ)役目(やくめ)仰付(おほせつ)けられ、185(じつ)光栄(くわうえい)です』
186万公(まんこう)『ゴテゴテ(まを)さず、187(おれ)(うしろ)()いて()るのだ』
188大手(おほて)をふり(なが)らお(たみ)飯焚場(めしたきば)へやつて()た。
189万公(まんこう)『オイお(たみ)190(かぎ)をしまつておいてくれ、191サア()れだ。192新参者(しんざんもの)男衆(をとこしう)二人(ふたり)出来(でき)たから(きさま)心易(こころやす)うしてやつてくれ。193(ただし)心易(こころやす)うせいと()つても程度(ていど)問題(もんだい)だ。194(しか)(きさま)(ほほ)ベタは(あか)いから、195いかな物好(ものずき)でも、196つまみ()ひする(やつ)はあるまいから、197マア安心(あんしん)だ』
198(たみ)『ヘン、199()つといて(くだ)さいませ、200()(たい)旦那様(だんなさま)だなア』
201万公(まんこう)『オイお(たみ)202(よつ)つも(いつ)つも一度(いちど)(かま)()をつけてるが、203一体(いつたい)(なに)()いてるのだ』
204()(なが)ら、205(なべ)(ふた)一々(いちいち)()つてみて、
206万公(まんこう)『ヤア此奴(こいつ)(めし)だ、207……此奴(こいつ)副食物(おかず)だ、208……コリヤコリヤお(たみ)209(めし)()()つた(あと)は、210()をズーツと(よわ)めるのだぞ。211そして(しろ)(あわ)(そと)へこぼさない(やう)にするのだ、212(こめ)甘味(あまみ)がスツカリ()んで(しま)ふからな。213()()(とき)には仕事(しごと)手順(てじゆん)(かんが)へて、214ズツと(つづ)けて(もち)ふる(はう)が、215火力(くわりよく)経済(けいざい)となるから、216(きさま)のやうに一遍(いつぺん)(つめ)たい(かま)をぬくめようとすると、217大変(たいへん)(そん)だぞ。218(あま)つた()(つぎ)(まは)しまわしすれば、219何程(なにほど)経済上(けいざいじやう)利益(りえき)かも()れぬ。220()()(とき)はよく調節(てうせつ)して、221(ほのほ)(さき)(なべ)(そこ)(あた)程度(ていど)のものにしておけば、222それ以上(いじやう)(そと)()がねぶる(やう)(こと)では焚物(たきもの)無駄(むだ)になる。223オイ、224フエル、225ベツト、226(きさま)(おれ)()(こと)をよう()いておけ。227第一(だいいち)テームス()(そん)になる(こと)だからな。228奉公人根性(ほうこうにんこんじやう)()つて、229主人(しゆじん)()らぬ(とき)にや、230不経済(ふけいざい)(こと)(ばか)りしよるから、231(いま)までとはチツと(ちが)うぞ。232今度(こんど)主人(しゆじん)経済学者(けいざいがくしや)だからなア』
233(たみ)『ホホホホ主人(しゆじん)(なべ)(ふた)をあけて調(しら)べる(やう)になつたら、234最早(もはや)(その)(いへ)駄目(だめ)ですよ。235余程(よほど)(いへ)財政(ざいせい)(くる)しいとみえますなア』
236万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな、237冥加(みやうが)()(こと)()らんか。238オイ、239ベツト、240フエル、241(まへ)はこれからお(きやく)(おほ)いのだから、242(たみ)仕事(しごと)手伝(てつだ)つてやつてくれ。243第一(だいいち)経済(けいざい)(おも)んじて、244(たきぎ)(すみ)粗末(そまつ)にせない(やう)(たの)むぞ。245よく(かわ)いた(たきぎ)(もち)ゐ、246無暗(むやみ)沢山(たくさん)(かま)(した)()()むと、247(かへつ)()えが(わる)く、248(くすぶ)つて(しま)ふ。249割木(わりき)なら、250(ふと)(やつ)四本(しほん)(ぐらゐ)くべるのだ。251そして(たきぎ)(たきぎ)とが(かさ)ならぬやうに組合(くみあは)さないと、252()えにくいぞ。253そして(もの)()(あが)つたら、254使(つか)ひさしの(たきぎ)はすぐに()すのだ。255火消壺(ひけしつぼ)へつつ()むか(みづ)をかけるかしてなア……』
256フエル『ハイハイ(かしこ)まりました。257オイ、258(たみ)さま、259(おれ)(すこ)しは陣中(ぢんちう)飯焚(めしたき)もやつた(こと)がある。260チツと(おれ)標本(へうほん)をみせてやらう』
261(たみ)『アタ(あつ)いのに(こま)つてをつた(ところ)ですよ。262マア、263チツと此処(ここ)(こし)でも(おろ)してお(まへ)のお手際(てぎわ)拝見(はいけん)しませう』
264万公(まんこう)『オイ、265(たみ)266()(くさ)いぢやないか、267(はや)焚物(たきもの)()かぬかい』
268(たみ)(あま)俄旦那(にはかだんな)さまが(やかま)しう仰有(おつしや)るものだから、269(ほか)()()られてお(まんま)()げついたのですよ、270(くろ)くなつたら、271フエル、272ベツトに()はしたら(よろ)しいワ、273ホホホホ』
274万公(まんこう)『オイ両人(りやうにん)275(なん)とかせぬかい、276(なべ)がペチペチ()ふとるぢやないか』
277 フエルは手桶(てをけ)(みづ)(あわ)てて(かまど)(した)へぶちやけた拍子(ひやうし)に、278ブーと(はひ)一面(いちめん)立上(たちあが)り、279炊事場(すゐじば)真黒(まつくろ)になつて(しま)つた。280そして体中(からだぢう)(はひ)まぶれになり、281(はな)をつまんで、282四人(よにん)とも(おもて)()()し、283空気(くうき)()うてゐる。
284 アヅモスは朝飯(あさめし)(おそ)いので(はら)をへらし、285炊事場(すゐじば)様子(やうす)(かんが)へに()ると、286そこら一面(いちめん)灰煙(はひけむり)()つてゐる。287アヅモスは大声(おほごゑ)で、288……『お(たみ)(たみ)』と()んだ。289(たみ)(そと)から……
290(たみ)『ハイ、291()番頭(ばんとう)さまですか、292(なん)御用(ごよう)ですかい』
293アヅモス『(なに)をキヨロキヨロしてゐるのだ、294(はや)御飯(ごはん)()つて()んかい、295(みな)(きやく)さまがお(なか)がすいてるぢやないか』
296(たみ)『エ、297(まへ)(をとこ)(くせ)に、298(やかま)しう()ふものぢやありませぬ。299(いま)若旦那(わかだんな)さまと一生懸命(いつしやうけんめい)に、300御飯(ごはん)をたいてゐた(ところ)ですよ』
301アヅモス『当家(たうけ)若旦那(わかだんな)のある(はず)がない、302(なに)(とぼ)けてゐるのだ。303此処辺(ここら)スツカリ(はひ)まぶれぢやないか、304チツと掃除(さうぢ)をせぬかい』
305 万公(まんこう)裏口(うらぐち)から(はひ)だらけの炊事場(すゐじば)(かへ)(きた)り、
306万公(まんこう)『ア、307(まへ)はアヅモスか、308(おれ)若主人(わかしゆじん)万公別(まんこうわけ)だ。309(いま)(たみ)炊事(すゐじ)教授(けうじゆ)をしてゐた(ところ)だ。310たつた(いま)調理(てうり)して新参者(しんざんもの)のフエル、311ベツトに膳部(ぜんぶ)(はこ)ばすから、312病人(びやうにん)介抱(かいほう)神妙(しんめう)にして()い。313そして舅姑殿(しうとしうとめどの)にもチツと(おそ)うなつてすみませぬが、314たつた(いま)315()つて(まゐ)りますと……さう()つといてくれ』
316アヅモス『ヘーエ、317(めう)ですな。318貴方(あなた)何時(いつ)()御養子(ごやうし)になられたのですか』
319万公(まんこう)『そんなこた(たづ)ねる(だけ)野暮(やぼ)だ。320スガールに()いてみよ、321それで(わか)らな、322今度(こんど)()()俺等(おれたち)家来(けらい)竜彦(たつひこ)()いて()りや(わか)るのだ。323エエ(をとこ)炊事場(すゐじば)()()るものぢやない、324若主人(わかしゆじん)()(つけ)だ、325(はや)彼方(あちら)()け』
326 アヅモスは怪訝(けげん)(かほ)をしてスゴスゴと(この)()立去(たちさ)り、327病室(びやうしつ)引返(ひきかへ)した。
328 万公(まんこう)329(たみ)330(ほか)二人(ふたり)(はうき)雑巾(ざふきん)やハタキで(ふたた)大掃除(おほさうぢ)をなし、331鍋蓋(なべぶた)(すき)から、332這入(はい)つた(めし)(うへ)(はひ)杓子(しやくし)(けづ)()り、333水桶(みづをけ)(なか)(おと)して(あら)ひ、
334万公(まんこう)(この)(うち)(にはか)(きやく)がフエールの
335飯焚男(めしたきをとこ)(あわ)()くなり。
336(あわ)ふいた(めし)()らずに()げつかし
337(こころ)()がす四人連(よにんづ)れかな』
338フエル『若主人(わかしゆじん)掃除万端(さうぢばんたん)指図(さしづ)して。
339()(まは)りたる灰神楽(はひかぐら)かな。
340灰神楽(はひかぐら)かぶつて(からだ)(どろ)まぶれ
341(めし)(はひ)をば(はら)可笑(をか)しさ。
342(はら)うても(また)(はら)うても()んで()
343(はひ)四隅(よすみ)()(あが)りつつ。
344(たみ)さま(むね)()がして()るとみえ
345(めし)()げたも()らぬ熱情(ねつじやう)
346若夫婦(わかふうふ)夫婦(ふうふ)々々(ふうふ)(あわ)()
347(こゑ)聞付(ききつ)けて(めし)()がしつ。
348(むね)()がし(めし)()がして(はひ)まぶれ
349(この)御馳走(ごちそう)配膳(はいぜん)()ふ』
350 ()馬鹿口(ばかぐち)(たた)(なが)ら、351(はひ)まぶれの膳部(ぜんぶ)(こしら)へ、352(あわ)ただしく朝飯(あさめし)客間(きやくま)病室(びやうしつ)持運(もちはこ)んで()く。
353大正一二・三・三 旧一・一六 於竜宮館 松村真澄録)