霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 (めし)(はひ)〔一四一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第1篇 奇縁万情 よみ(新仮名遣い):きえんばんじょう
章:第5章 飯の灰 よみ(新仮名遣い):めしのはい 通し章番号:1413
口述日:1923(大正12)年03月03日(旧01月16日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
テームス夫婦は四人の介抱に全力を尽くしていた。そして治国別に、道晴別が全快するまでは家に留まるように懇願した。治国別は別宅に入り、バラモン組の連中に、三五教の教理を説き諭していた。
万公は台所に回って、下女のお民を主人気取りで使役していた。お民から、バラモン軍の兵士・フエルとベットが蔵に閉じ込められていると聞いて、手伝いをさせるために二人を解放した。
万公は三人を口やかましく使役していたが、フエルは手桶の水をかまどの下へぶちあけてしまった。灰が一面に立ち上がり、炊事場は真っ黒になってしまった。
テームス家の二の番頭アヅモスが炊事場の様子を見にやってくると、一面に灰煙が立っている。怪訝に思ったが、万公に怒鳴られてすごすごと退散した。フエル、ベット、お民は鍋蓋の間から入った飯の上の灰を杓子で削り取っていた。
一同はおかしな歌を歌いながら、灰まみれの全部をこしらえて慌ただしく朝飯を病室に運んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5505
愛善世界社版:58頁 八幡書店版:第10輯 54頁 修補版: 校定版:59頁 普及版:23頁 初版: ページ備考:
001 テームス夫婦(ふうふ)下僕(しもべ)のアーシスと(とも)に、002()(にん)介抱(かいほう)全力(ぜんりよく)(つく)して()た。003治国別(はるくにわけ)以下(いか)(はち)(にん)のお(きやく)(たい)してはアヅモスを(もつ)接待係(せつたいがかり)となし、004治国別(はるくにわけ)(いそ)此処(ここ)出立(しゆつたつ)せむとするを()いて打驚(うちおどろ)き、005せめて道晴別(みちはるわけ)病気(びやうき)全快(ぜんくわい)する(まで)006(わが)()にとどまり(たま)はむ(こと)をと、007(しき)りに懇願(こんぐわん)した。008治国別(はるくにわけ)()むを()ず、009四方(しはう)庭先(にはさき)をめぐらした、010()なり(ひろ)別宅(べつたく)()りて、011バラモン(ぐみ)連中(れんぢう)三五(あななひ)教理(けうり)日夜(にちや)()(さと)してゐた。012万公(まんこう)(この)(いへ)到着(たうちやく)一度(いちど)(かほ)(あは)したきり、013台所(かつて)(はう)(まは)つて、014下女(げぢよ)のお(たみ)主人(しゆじん)気取(きどり)使役(しえき)し、015家事(かじ)万端(ばんたん)注意(ちうい)(あた)へてゐた。
016万公(まんこう)『オイお(たみ)017(きさま)(おれ)(うち)()てからまだ()もないのだから、018勝手(かつて)(わか)るまい、019そして田舎出(いなかで)のホヤホヤで、020どこ(とも)なしに土臭(つちくさ)い。021これから家事(かじ)万端(ばんたん)(こと)を、022若主人(わかしゆじん)万公別(まんこうわけ)(をし)へてやるから、023(その)心算(つもり)で、024何事(なにごと)もハイハイと服従(ふくじゆう)(いた)すのだぞ』
025(たみ)万公別(まんこうわけ)さまとやら、026()ツから()結婚(けつこん)(はなし)(きき)ませぬし、027一体(いつたい)何方(どなた)のお婿(むこ)さまになられたのですか。028(なん)だか主人(しゆじん)(やう)()がせなくてなりませぬワ。029(また)大家(たいけ)主人(しゆじん)たる(もの)炊事場(すゐじば)へやつて()て、030下女(げぢよ)をつかまへて指図(さしづ)をするといふやうな卑劣(けち)(こと)では、031下男(げなん)下女(げぢよ)はケチ(くさ)主人(しゆじん)だと()つて、032排斥(はいせき)しますよ』
033万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな。034(すみ)から(すみ)(まで)()がつかなくては、035一家(いつけん)主人(あるじ)たる資格(しかく)がない。036(いま)(まで)のやうな主人面(しゆじんづら)をして()つては、037(これ)(だけ)税金(ぜいきん)のかかる時節(じせつ)038どうしても会計(くわいけい)()てぬぢやないか、039それだから上下(しやうか)一致(いつち)して、040()第一(だいいち)家内(かない)整理(せいり)按排(あんばい)し、041(しか)して(のち)外部(ぐわいぶ)仕事(しごと)にかかるのだ』
042(たみ)『お(ぢやう)さまを(はじ)めお(きやく)さまの病気(びやうき)で、043()主人(しゆじん)()()()けず、044アヅモス、045アーシスのお二人(ふたり)病人(びやうにん)やお(きやく)さまに(かか)つてゐるなり、046さう八釜(やかま)しう()つて(もら)つても、047何程(なにほど)千手(せんじゆ)観音(くわんおん)さまだつて、048(をんな)一人(ひとり)で、049こんな(ひろ)(うち)がどう(うま)()きますものか。050チツと(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。051アオスから(ばん)まで、052独楽(こま)(やう)()にあはされてキリキリ(まひ)をしてゐるのですよ、053(やか)ましう()つて(くだ)さるな。054(まへ)さまは贋主人(にせしゆじん)でせう。055そんなこと()つてもあきませぬよ』
056万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな、057(きさま)一人(ひとり)(いそが)しいから(おれ)主人(しゆじん)()をも(かへり)みず、058(きさま)苦衷(くちう)(さつ)して手伝(てつだひ)()てやつたのだ。059チツとそこらの掃除(さうぢ)をせぬかい、060(この)()らけ(やう)(なん)だ』
061(たみ)掃除(さうぢ)どもする()がありますか、062(くら)(なか)()るバラモンのお(きやく)さまには(にぎ)(めし)()()んでやらねばならず、063(みづ)()つて()かねばならず、064()れに(にはか)沢山(たくさん)のお(きやく)さま、065チツとお(まへ)さまも手伝(てつだ)ひなされ』
066万公(まんこう)『ナニ、067バラモンのお(きやく)さまが(くら)()るとは此奴(こいつ)(めう)だ、068(なん)()(やつ)だ』
069(たみ)(なん)でもフエルとかベツトとかいふ(をとこ)ですよ』
070万公(まんこう)『ウン其奴(そいつ)面白(おもしろ)い、071臨時(りんじ)其奴(そいつ)下男(げなん)として使(つか)つてやらう。072さうすればベツト、073フエルも(よろこ)ぶだらう、074オイお(たみ)075(くら)(かぎ)()せ』
076(たみ)本当(ほんたう)万公(まんこう)さま、077貴方(あなた)若主人(わかしゆじん)ですか。078主人(しゆじん)間違(まちが)ひなければ(かぎ)(わた)します。079サア(これ)()つてお()きやす。080(ひがし)から(みつ)()(くら)ですよ』
081(くら)(かぎ)抽出(ひきだし)から取出(とりだ)して万公(まんこう)(わた)した。082万公(まんこう)はイソイソとして(かぎ)(たづさ)へ、083(くら)()をあけ、084(こは)(さう)(なか)一寸(ちよつと)(のぞ)いてみると、085フエル、086ベツトも(また)ブルブルもので(くら)(すみ)()()うて(ちぢ)かみゐる。
087万公(まんこう)『オイ、088バラモンの大将(たいしやう)089(おれ)当家(たうけ)若主人(わかしゆじん)だ。090今日(けふ)(ゆる)してやるから下男(げなん)(かは)りに家内(かない)掃掃除(はきさうぢ)をするのだ。091随分(ずいぶん)(きやく)(にはか)()えたのだから……ヨモヤ(いや)とは(まを)すまいな』
092フエル『ハイ、093若主人(わかしゆじん)(さま)()仁慈(じんじ)有難(ありがた)(ぞん)じます。094どんな(こと)でも(いた)しますから、095何卒(どうぞ)使(つか)(くだ)さいませ』
096 二人(ふたり)万公(まんこう)本当(ほんたう)若主人(わかしゆじん)だと(しん)じて(しま)つた。
097万公(まんこう)『サ、098()座敷(ざしき)掃除(さうぢ)からやるのだ。099オイ、100フエル、101ベツトの両人(りやうにん)102随分(ずいぶん)(ひろ)()だから一寸(ちよつと)(ほね)()れるぞ。103(ほね)()ると()つても障子(しやうじ)(ほね)()つちや、104(たちま)幾分(いくぶん)かの損害(そんがい)だから、105充分(じゆうぶん)注意(ちゆうい)をして(もら)はねばならぬ、106()掃除(さうぢ)仕方(しかた)から(をし)へてやらう、107……一番(いちばん)戸障子(としやうじ)()(はな)つて(しま)ひ、108どうしても(うご)かす(こと)出来(でき)大切(たいせつ)品物(しなもの)被物(おほひ)をかけておくのだ。109それから払塵(はたき)のかけ(かた)天井(てんじやう)のスミズミから戸障子(としやうじ)腰張(こしば)りといふ順序(じゆんじよ)に、110(うへ)からダンダンと払塵(はたき)(さき)(しな)よくハタくやうにするのだ。111一寸(ちよつと)(いま)(おれ)標本(へうほん)()せてやる……コレ(この)(とほ)りだ。112(うで)をニユツと()ばし、113手首(てくび)下向(したむ)けるやうにしてやりさへすれば、114(さん)()(あた)らず、115(ほこり)(うま)()つて(しま)ふ。116ハタキが()むと今度(こんど)(はうき)使(つか)ふのだ』
117フエル『ハイ有難(ありがた)う、118(はうき)使(つか)(くらゐ)はよく()つてゐます。119オイ、120ベツト、121(きさま)(この)(はうき)(もつ)()くのだ』
122()(なが)両人(りやうにん)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(たたみ)()()した。
123万公(まんこう)『コラコラそんな()(やう)があるか。124(はうき)使方(つかひかた)(たたみ)()()うて()かないと、125(ちり)がスツカリ(たたみ)(なか)()つて(しま)ふぢやないか、126(きさま)のやうに(はうき)(さき)()げよつて使(つか)ひよると、127(ほこり)がそこらへ()びさがして、128(はうき)(いた)むなり、129(また)(もと)障子(しやうじ)(さん)()まつて(しま)ふぢやないか。130そんな中央(まんなか)(はう)(ばか)()いたつて(なん)になる、131隅々(すみずみ)をよく()きさへすれば、132中央(まんなか)(ひと)(うつく)しうなるのだ。133そして掃掃除(はきさうぢ)()んだら、134(はうき)()つておくのだ、135()てておくと、136すぐに薙刀(なぎなた)穂先(ほさき)のやうに(まが)つて(しま)ふぞ。137掃除(さうぢ)がスツカリすんだ(あと)は、138(さき)()いてをる(ちり)()つておくのだ』
139フエル『モシ、140()主人(しゆじん)(さま)141随分(ずいぶん)貴方(あなた)()()がつきますな、142(まる)(をんな)みた(やう)ですワ』
143万公(まんこう)『きまつた(こと)だ、144変性(へんじやう)女子(によし)瑞霊(みづのみたま)だ、145サ、146(これ)から(みづ)御用(ごよう)だ。147(はうき)がすんだら、148雑巾(ざふきん)がけをやるのだ。149雑巾(ざふきん)()(みづ)につけ()()して、150()なり(かた)(しぼ)り、151(ちから)()れて()かないと、152(かへつ)縁板(えんいた)(きたな)くなるぞ。153バケツの(みづ)度々(たびたび)取替(とりか)へぬと駄目(だめ)だ。154雑巾(ざふきん)のかけ(かた)(いた)()()うて、155雑巾(ざふきん)をよく折返(をりかへ)して()くのだよ。156(えん)(すみ)雑巾(ざふきん)三角形(さんかくがた)()つて()くと、157スミ(まで)綺麗(きれい)になる。158ニス、159(うるし)上等(じやうとう)材木(ざいもく)などは、160湿(しめ)つた雑巾(ざふきん)をかけては(かへつ)(わる)くなるものだ。161(かわ)いた雑巾(ざふきん)(こん)(まか)して使(つか)ふのだ。162朝晩(あさばん)拭掃除(ふきさうぢ)門掃(かどはき)硝子研(がらすみが)きも、163雑巾掛(ざふきんがけ)(みな)人格(じんかく)修養(しうやう)だ、164そして社会(しやくわい)奉仕(ほうし)(ひと)つだ。165あああ主人(しゆじん)になつても、166(なみ)大抵(たいてい)(こと)ぢやないわい。167コリヤコリヤ、168バケツの(みづ)(よご)れてゐるぢやないか、169なぜ(あたら)しいのと()()へぬのだ。170そんな(どろ)のやうな(みづ)雑巾(ざふきん)(しぼ)るものだから、171これみい、172(いた)()(しろ)(すぢ)がついてるぞ』
173フエル『オイ、174ベツト、175(むつか)しい主人(しゆじん)だな、176やり()れぬぢやないか』
177万公(まんこう)一寸(ちよつと)主人(しゆじん)()いて()い、178(これ)から飯焚(めしたき)仰付(おほせつ)けてやる』
179フエル『ヘーヘー、180仕方(しかた)がありませぬ。181(なが)らく(くら)()()まれ、182折角(せつかく)(そと)()して(もら)うたと(おも)へば、183煙草(たばこ)一服(いつぷく)せぬ(さき)に、184下男(げなん)下女(げぢよ)役目(やくめ)仰付(おほせつ)けられ、185(じつ)光栄(くわうえい)です』
186万公(まんこう)『ゴテゴテ(まを)さず、187(おれ)(うしろ)()いて()るのだ』
188大手(おほて)をふり(なが)らお(たみ)飯焚場(めしたきば)へやつて()た。
189万公(まんこう)『オイお(たみ)190(かぎ)をしまつておいてくれ、191サア()れだ。192新参者(しんざんもの)男衆(をとこしう)二人(ふたり)出来(でき)たから(きさま)心易(こころやす)うしてやつてくれ。193(ただし)心易(こころやす)うせいと()つても程度(ていど)問題(もんだい)だ。194(しか)(きさま)(ほほ)ベタは(あか)いから、195いかな物好(ものずき)でも、196つまみ()ひする(やつ)はあるまいから、197マア安心(あんしん)だ』
198(たみ)『ヘン、199()つといて(くだ)さいませ、200()(たい)旦那(だんな)(さま)だなア』
201万公(まんこう)『オイお(たみ)202(よつ)つも(いつ)つも一度(いちど)(かま)()をつけてるが、203一体(いつたい)(なに)()いてるのだ』
204()(なが)ら、205(なべ)(ふた)一々(いちいち)()つてみて、
206万公(まんこう)『ヤア此奴(こいつ)(めし)だ、207……此奴(こいつ)副食物(おかず)だ、208……コリヤコリヤお(たみ)209(めし)()()つた(あと)は、210()をズーツと(よわ)めるのだぞ。211そして(しろ)(あわ)(そと)へこぼさない(やう)にするのだ、212(こめ)甘味(あまみ)がスツカリ()んで(しま)ふからな。213()()(とき)には仕事(しごと)手順(てじゆん)(かんが)へて、214ズツと(つづ)けて(もち)ふる(はう)が、215火力(くわりよく)経済(けいざい)となるから、216(きさま)のやうに一遍(いつぺん)(つめ)たい(かま)をぬくめようとすると、217大変(たいへん)(そん)だぞ。218(あま)つた()(つぎ)(まは)しまわしすれば、219何程(なにほど)経済(けいざい)(じやう)利益(りえき)かも()れぬ。220()()(とき)はよく調節(てうせつ)して、221(ほのほ)(さき)(なべ)(そこ)(あた)程度(ていど)のものにしておけば、222それ以上(いじやう)(そと)()がねぶる(やう)(こと)では焚物(たきもの)無駄(むだ)になる。223オイ、224フエル、225ベツト、226(きさま)(おれ)()(こと)をよう()いておけ。227第一(だいいち)テームス()(そん)になる(こと)だからな。228奉公人(ほうこうにん)根性(こんじやう)()つて、229主人(しゆじん)()らぬ(とき)にや、230不経済(ふけいざい)(こと)(ばか)りしよるから、231(いま)までとはチツと(ちが)うぞ。232今度(こんど)主人(しゆじん)経済(けいざい)学者(がくしや)だからなア』
233(たみ)『ホホホホ主人(しゆじん)(なべ)(ふた)をあけて調(しら)べる(やう)になつたら、234最早(もはや)(その)(いへ)駄目(だめ)ですよ。235余程(よほど)(いへ)財政(ざいせい)(くる)しいとみえますなア』
236万公(まんこう)馬鹿(ばか)()ふな、237冥加(みやうが)()(こと)()らんか。238オイ、239ベツト、240フエル、241(まへ)はこれからお(きやく)(おほ)いのだから、242(たみ)仕事(しごと)手伝(てつだ)つてやつてくれ。243第一(だいいち)経済(けいざい)(おも)んじて、244(たきぎ)(すみ)粗末(そまつ)にせない(やう)(たの)むぞ。245よく(かわ)いた(たきぎ)(もち)ゐ、246無暗(むやみ)沢山(たくさん)(かま)(した)()()むと、247(かへつ)()えが(わる)く、248(くすぶ)つて(しま)ふ。249割木(わりき)なら、250(ふと)(やつ)四本(しほん)(ぐらゐ)くべるのだ。251そして(たきぎ)(たきぎ)とが(かさ)ならぬやうに組合(くみあは)さないと、252()えにくいぞ。253そして(もの)()(あが)つたら、254使(つか)ひさしの(たきぎ)はすぐに()すのだ。255火消壺(ひけしつぼ)へつつ()むか(みづ)をかけるかしてなア……』
256フエル『ハイハイ(かしこ)まりました。257オイ、258(たみ)さま、259(おれ)(すこ)しは陣中(ぢんちう)飯焚(めしたき)もやつた(こと)がある。260チツと(おれ)標本(へうほん)をみせてやらう』
261(たみ)『アタ(あつ)いのに(こま)つてをつた(ところ)ですよ。262マア、263チツと此処(ここ)(こし)でも(おろ)してお(まへ)のお手際(てぎわ)拝見(はいけん)しませう』
264万公(まんこう)『オイ、265(たみ)266()(くさ)いぢやないか、267(はや)焚物(たきもの)()かぬかい』
268(たみ)(あま)俄旦那(にはかだんな)さまが(やかま)しう仰有(おつしや)るものだから、269(ほか)()()られてお(まんま)()げついたのですよ、270(くろ)くなつたら、271フエル、272ベツトに()はしたら(よろ)しいワ、273ホホホホ』
274万公(まんこう)『オイ両人(りやうにん)275(なん)とかせぬかい、276(なべ)がペチペチ()ふとるぢやないか』
277 フエルは手桶(てをけ)(みづ)(あわ)てて(かまど)(した)へぶちやけた拍子(ひやうし)に、278ブーと(はひ)一面(いちめん)立上(たちあが)り、279炊事場(すゐじば)真黒(まつくろ)になつて(しま)つた。280そして体中(からだぢう)(はひ)まぶれになり、281(はな)をつまんで、282()(にん)とも(おもて)()()し、283空気(くうき)()うてゐる。
284 アヅモスは朝飯(あさめし)(おそ)いので(はら)をへらし、285炊事場(すゐじば)様子(やうす)(かんが)へに()ると、286そこら一面(いちめん)灰煙(はひけむり)()つてゐる。287アヅモスは大声(おほごゑ)で、288……『お(たみ)(たみ)』と()んだ。289(たみ)(そと)から……
290(たみ)『ハイ、291()番頭(ばんとう)さまですか、292(なん)御用(ごよう)ですかい』
293アヅモス『(なに)をキヨロキヨロしてゐるのだ、294(はや)御飯(ごはん)()つて()んかい、295(みな)(きやく)さまがお(なか)がすいてるぢやないか』
296(たみ)『エ、297(まへ)(をとこ)(くせ)に、298(やかま)しう()ふものぢやありませぬ。299(いま)若旦那(わかだんな)さまと一生(いつしやう)懸命(けんめい)に、300御飯(ごはん)をたいてゐた(ところ)ですよ』
301アヅモス『当家(たうけ)若旦那(わかだんな)のある(はず)がない、302(なに)(とぼ)けてゐるのだ。303此処辺(ここら)スツカリ(はひ)まぶれぢやないか、304チツと掃除(さうぢ)をせぬかい』
305 万公(まんこう)裏口(うらぐち)から(はひ)だらけの炊事場(すゐじば)(かへ)(きた)り、
306万公(まんこう)『ア、307(まへ)はアヅモスか、308(おれ)若主人(わかしゆじん)万公別(まんこうわけ)だ。309(いま)(たみ)炊事(すゐじ)教授(けうじゆ)をしてゐた(ところ)だ。310たつた(いま)調理(てうり)して新参者(しんざんもの)のフエル、311ベツトに膳部(ぜんぶ)(はこ)ばすから、312病人(びやうにん)介抱(かいほう)神妙(しんめう)にして()い。313そして舅姑殿(しうとしうとめどの)にもチツと(おそ)うなつてすみませぬが、314たつた(いま)315()つて(まゐ)りますと……さう()つといてくれ』
316アヅモス『ヘーエ、317(めう)ですな。318貴方(あなた)何時(いつ)()()養子(やうし)になられたのですか』
319万公(まんこう)『そんなこた(たづ)ねる(だけ)野暮(やぼ)だ。320スガールに()いてみよ、321それで(わか)らな、322今度(こんど)()()(おれ)(たち)家来(けらい)竜彦(たつひこ)()いて()りや(わか)るのだ。323エエ(をとこ)炊事場(すゐじば)()()るものぢやない、324若主人(わかしゆじん)()(つけ)だ、325(はや)彼方(あちら)()け』
326 アヅモスは怪訝(けげん)(かほ)をしてスゴスゴと(この)()立去(たちさ)り、327病室(びやうしつ)引返(ひきかへ)した。
328 万公(まんこう)329(たみ)330(ほか)二人(ふたり)(はうき)雑巾(ざふきん)やハタキで(ふたた)大掃除(おほさうぢ)をなし、331鍋蓋(なべぶた)(すき)から、332這入(はい)つた(めし)(うへ)(はひ)杓子(しやくし)(けづ)()り、333水桶(みづをけ)(なか)(おと)して(あら)ひ、
334万公(まんこう)(この)(うち)(にはか)(きやく)がフエールの
335飯焚(めしたき)(をとこ)(あわ)()くなり。
336(あわ)ふいた(めし)()らずに()げつかし
337(こころ)()がす四人(よにん)()れかな』
338フエル『若主人(わかしゆじん)掃除(さうぢ)万端(ばんたん)指図(さしづ)して。
339()(まは)りたる灰神楽(はひかぐら)かな。
340灰神楽(はひかぐら)かぶつて(からだ)(どろ)まぶれ
341(めし)(はひ)をば(はら)可笑(をか)しさ。
342(はら)うても(また)(はら)うても()んで()
343(はひ)四隅(よすみ)()(あが)りつつ。
344(たみ)さま(むね)()がして()るとみえ
345(めし)()げたも()らぬ熱情(ねつじやう)
346若夫婦(わかふうふ)夫婦(ふうふ)々々(ふうふ)(あわ)()
347(こゑ)聞付(ききつ)けて(めし)()がしつ。
348(むね)()がし(めし)()がして(はひ)まぶれ
349(この)()馳走(ちそう)配膳(はいぜん)()ふ』
350 ()馬鹿口(ばかぐち)(たた)(なが)ら、351(はひ)まぶれの膳部(ぜんぶ)(こしら)へ、352(あわ)ただしく朝飯(あさめし)客間(きやくま)病室(びやうしつ)持運(もちはこ)んで()く。
353大正一二・三・三 旧一・一六 於竜宮館 松村真澄録)

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