霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一五章 公盗(こうたう)〔一四二三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第55巻 真善美愛 午の巻 篇:第3篇 玉置長蛇 よみ:たまきちょうだ
章:第15章 第55巻 よみ:こうとう 通し章番号:1423
口述日:1923(大正12)年03月04日(旧01月17日) 口述場所:竜宮館 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-12-10 16:21:09 OBC :rm5515
愛善世界社版:188頁 八幡書店版:第10輯 103頁 修補版: 校定版:198頁 普及版:83頁 初版: ページ備考:
001 鬼春別(おにはるわけ)以下(いか)三人(さんにん)のバラモン(ぐみ)治国別(はるくにわけ)(ゆる)されて、002宣伝使(せんでんし)俗人(ぞくじん)との中間的(ちうかんてき)比丘(びく)となりスツパリと長髪(ちやうはつ)()りおとされ、003テームスの心遣(こころづか)ひに()つて、004黒衣(くろごろも)仕立(した)てて()せられ、005金剛杖(こんがうづゑ)をつき(なが)ら、006照国山(てるくにやま)ビクトル(さん)谷間(たにあひ)山伏(やまぶし)修業(しうげふ)をなすべく、007軍用(ぐんよう)使(つか)つた法螺(ほら)(かひ)をブウブウと吹立(ふきた)(なが)ら、008道々(みちみち)宣伝歌(せんでんか)(うた)(すす)()く。009鬼春別(おにはるわけ)には治道居士(ちだうこじ)010久米彦(くめひこ)には道貫居士(だうくわんこじ)011スパールには素道居士(そだうこじ)012エミシには求道居士(きうだうこじ)といふ戒名(かいみやう)(あた)へた。013治道居士(ちだうこじ)(いま)治国別(はるくにわけ)014テームス(その)()一同(いちどう)(わか)れを()げむとして(うた)()んだ。
015治道(ちだう)皇神(すめかみ)(さづ)(たま)ひし霊魂(みたま)をば
016(をさ)めむとして(のり)(みち)ゆく。
017いざさらば(もも)(つかさ)よテームスよ
018(やす)くましませ千代(ちよ)八千代(やちよ)に』
019治国別(はるくにわけ)大神(おほかみ)(めぐみ)(つゆ)()みしめて
020(やす)()きませ(きよ)めの(たき)へ』
021道貫(だうくわん)玉鉾(たまほこ)(みち)(まこと)(つらぬ)きて
022(かみ)御楯(みたて)(つか)(まつ)らむ。
023神司(かむづかさ)(この)()(あるじ)諸共(もろとも)
024(まも)らせ(たま)(わが)()(うへ)を』
025テームス『三五(あななひ)(まこと)(みち)目醒(めざ)めたる
026(ひと)こそ(かみ)(さち)()けなむ』
027素道(そだう)惟神(かむながら)(もと)(こころ)立返(たちかへ)
028(すく)ひの(みち)(すす)みゆくかな。
029猪倉(ゐのくら)(やま)にこもりし曲神(まがかみ)
030(かみ)(ひかり)(てら)されて()く』
031松彦(まつひこ)皇神(すめかみ)(うづ)御子(みこ)たる(きみ)こそは
032(やす)()きませ(かみ)のまにまに』
033求道(きうだう)朝夕(あさゆふ)(まこと)(のり)(もと)めつつ
034今日(けふ)(うれ)しき(かみ)(みち)()く。
035諸人(もろびと)(やす)くましませ(われ)()りし
036あとにも(かみ)(あが)めまつりて』
037竜彦(たつひこ)皇神(すめかみ)(めぐみ)()けてテームスの
038(やかた)()づる(ひと)(たふと)き』
039万公(まんこう)『いざさらば四柱(よはしら)(きみ)(すこやか)
040()(まも)りつつ(かみ)(つか)へよ』
041道晴別(みちはるわけ)惟神(かむながら)(かみ)正道(まさみち)わけゆけば
042(しこ)曲津(まがつ)もさわらざらまし』
043シーナ『(きみ)()かばあとに(のこ)りし吾々(われわれ)
044(さび)しさに()時鳥(ほととぎす)かな。
045さり(なが)治国別(はるくにわけ)がましまさば
046(やす)()でませ(こころ)(のこ)さで』
047スミエル『益良夫(ますらを)(こころ)(こま)立直(たてなほ)
048(むち)うち(すす)今日(けふ)(いさ)まし』
049スガール『(とき)めきし(いくさ)(きみ)三五(あななひ)
050(かみ)(いくさ)(つか)(たま)ひぬ』
051アヅモス『皇神(すめかみ)(えにし)(いと)(むす)ばれし
052(した)しき(とも)(おく)今日(けふ)(かな)
053アーシス『テームスの(やかた)(のこ)(わが)()こそ
054(きみ)行衛(ゆくゑ)(をし)みつつ()く』
055(たみ)国民(くにたみ)天津御国(あまつみくに)(すく)ふべく
056()でます今日(けふ)姿(すがた)雄々(をを)しき』
057治道(ちだう)有難(ありがた)(もも)(つかさ)真心(まごころ)
058幾千代(いくちよ)(まで)(わす)れざらまし』
059(たがひ)(うた)もて応答(おうたふ)(なが)ら、060円頂緇衣(ゑんちやうしえ)四人連(よにんづ)法螺貝(ほらがひ)をブウブウ()きたて、061山野(さんや)空気(くうき)(きよ)(なが)ら、062(わか)れを()しみ()でて()く。
063三千余騎(さんぜんよき)引率(いんそつ)
064猪倉山(ゐのくらやま)(たむろ)して
065暴威(ばうゐ)(ふる)ひし将軍(しやうぐん)
066(たちま)悔悟(くわいご)(はな)(ひら)
067(かみ)(めぐみ)(うれ)しみて
068治国別(はるくにわけ)(まつろ)ひつ
069四人(よにん)男女(なんによ)(つつが)なく
070テームス(やかた)(おく)りつけ
071至玄(しげん)至妙(しめう)御教(みをしへ)
072(こころ)(ふか)(きざ)みこみ
073昨日(きのふ)(かは)修験者(しうげんじや)
074山伏姿(やまぶしすがた)となり(かは)
075金剛杖(こんがうづゑ)(ちから)とし
076(ほそ)野道(のみち)辿(たど)りつつ
077世間心(せけんごころ)自愛心(じあいしん)
078(あき)()()(こがらし)
079()りて(あと)なき真心(まごころ)
080(ころも)(そで)科戸辺(しなどべ)
081(かぜ)にフワフワいぢらせつ
082大法螺貝(おほほらがひ)()(なが)
083(いさ)(すす)んで(きた)(もり)
084(ほこら)(まへ)立寄(たちよ)りて
085(しば)(いき)をば(やす)めける
086()はズツポリと()()てて
087咫尺(しせき)(べん)ぜぬ(しん)(やみ)
088四人(よにん)はここに一夜(いちや)をば
089(あか)さむものと(みの)()
090まどろむ(をり)しも(ふる)ぼけた
091(ほこら)(うしろ)(ひと)(こゑ)
092(みみ)にとめたる治道居士(ちだうこじ)
093ハテ(いぶ)かしと(うかが)へば
094(にご)りを()びた(ひと)(こゑ)
095()()(いつ)(きこ)()る。
096 治道居士(ちだうこじ)は、097他愛(たあい)もなく三人(さんにん)()てゐるのを、098寝息(ねいき)にて(さと)(なが)ら、099自分(じぶん)四五人(しごにん)(あや)しき(こゑ)(ねむ)られず、100(みみ)をすまして()いてゐた。
101 (ほこら)(うしろ)からはだんだん(おほ)きな(こゑ)(きこ)えて()だした。
102(かふ)『オイ、103サツパリ()まらぬぢやないか、104エエン、105よう(かんが)へて()よ。106折角(せつかく)(おれ)軍曹(ぐんさう)にまでなつたと(おも)へば、107肝心(かんじん)大将(たいしやう)腰抜(こしぬけ)だから、108あの(とほ)(みじ)めな(ざま)になり、109三五教(あななひけう)にスツパリと(かぶと)()ぎ、110チツと(ばか)りの涙金(なみだきん)(ぐらゐ)(もら)つたつて、111(くに)(かへ)つて妻子(さいし)(やしな)(わけ)にもゆかず、112これからどう()振方(ふりかた)(かんが)へたらよからうかな』
113(おつ)俺達(おれたち)()()強盗(がうたう)軍国主義(ぐんこくしゆぎ)(そだ)てられて()たものだから、114今更(いまさら)(ほか)職業(しよくげう)につかうと()つたつて、115(なん)にも出来(でき)ぬぢやないか。116泥棒(どろばう)になるのも、117バラモン(ぐん)兵士(へいし)になるのも、118()こそ(ちが)大小(だいせう)区別(くべつ)がある(だけ)だ。119追剥(おひは)ぎをして(ひと)(はだか)にするのも、120沢山(たくさん)軍隊(ぐんたい)()れて敵国(てきこく)蹂躙(じうりん)し、121他人(たにん)(くに)併呑(へいどん)するのもヤツパリ泥棒(どろばう)だ。122(さいはひ)()うして軍刀(ぐんたう)()つてゐるのだから、123(ひと)馬賊団(ばぞくだん)でも組織(そしき)して(おほい)発展(はつてん)せうぢやないか』
124(へい)『オイ両人(りやうにん)125そんな馬鹿(ばか)(こと)(おも)ふものぢやない。126将軍様(しやうぐんさま)(くだ)さつた(この)(かね)倹約(しまつ)して(かへ)れば、127国許(くにもと)(かへ)つて(なに)(ひと)つの生産事業(せいさんじげふ)(おこ)すとか、128真面目(まじめ)商売(しやうばい)をして、129両親(りやうしん)妻子(さいし)(よろこ)ばした(はう)何程(なにほど)()いか()れぬぞ。130将軍(しやうぐん)でさへも改心(かいしん)をなさつたのだから、131俺達(おれたち)(これ)機会(きくわい)善心(ぜんしん)立返(たちかへ)らうぢやないか』
132(おつ)『ヘン馬鹿(ばか)()ふない。133詐偽本位(さぎほんゐ)産業(さんげふ)算盤持(そろばんも)てば(ひと)(だま)さうとする商売(しやうばい)が、134それが(なに)(たふと)いのだ。135産業立国(さんげふりつこく)とか()つて、136ゼントルメンとやらが、137(さかん)議論(ぎろん)をしてるやうだが、138ヤツパリ彼奴等(あいつら)(てい)のよい泥棒(どろばう)だ。139大会社(だいぐわいしや)だつて、140大商人(だいしやうにん)だつて、141(みな)詐偽(さぎ)泥坊(どろばう)(てい)のいい(やつ)だ。142(むし)陰悪主義(いんあくしゆぎ)実行者(じつかうしや)だ。143泥棒様(どろばうさま)堂々(だうだう)たる陽悪(やうあく)(おこな)ふのだから、144(おな)罪悪(ざいあく)といつても()()いてるぢやないか。145(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つて()(なか)(たぶら)かし、146私利私欲(しりしよく)(たく)(くらゐ)147陰険(いんけん)卑怯(ひけふ)悪魔(あくま)はないぢやないか』
148(へい)『さう()へばさうかも()れぬなア、149そんなら(おれ)損者三友(そんじやさんいう)といふ(こと)があるが、150(そん)(とく)()らぬが、151(いま)(まで)交際上(つきあいじやう)152前達(まへたち)共鳴(きようめい)して、153泥棒会社(どろばうくわいしや)重役(ぢうやく)にでもならうかなア』
154(おつ)馬鹿(ばか)()ふな、155吾々(われわれ)益友(えきいう)だ。156益者三友(えきしやさんいう)だ。157オイ、158(てい)159(ぼう)160(きさま)()うだ。161(この)(はう)意見(いけん)共鳴(きようめい)するか。162今日(こんにち)只今(ただいま)より泥棒(どろばう)開業(かいげふ)だ。163(きさま)不服(ふふく)とあれば泥棒(どろばう)初商(はつあきな)ひに、164持物(もちもの)一切(いつさい)()()つてやるから有難(ありがた)(おも)へ』
165(てい)『そ、166そ、167そんな無茶(むちや)(こと)()ふものでない、168泥棒(どろばう)をしたい(もの)(おや)()のある(もの)のすることぢやない。169俺達(おれたち)(おや)もあれば()もあるのだから、170何卒(どうぞ)(この)(まま)(たす)けてくれ。171なア(ぼう)172(まへ)もさうだらう』
173(ぼう)『ウン、174(わし)老母(らうぼ)一人(ひとり)(のこ)つてるのだから、175(おや)一人(ひとり)()一人(ひとり)だ。176毎日(まいにち)日日(ひにち)バラモン大神(おほかみ)に……(わが)()立派(りつぱ)人間(にんげん)になりますやうに、177(ひと)(もの)()しいといふやうな根性(こんじやう)になりませぬやうに……と(いの)つてるから、178(わる)(こころ)()してくれな」と(うち)()(とき)(おれ)(そで)にすがつて意見(いけん)したのだから、179これ(だけ)御免(ごめん)(かうむ)りたいなア』
180(おつ)『アハハハハ、181腰抜(こしぬけ)だな。182そんなら今日(けふ)開業祝(かいげふいはひ)に、183汝等(きさまら)両人(りやうにん)大目(おほめ)()てやる。184(その)(かは)りに(ふところ)()つてゐる(かね)半分(はんぶん)(ばか)此方(こちら)へよこせ。185大難(だいなん)小難(せうなん)にまつりかへてやるのだから……』
186(かふ)『オイ(おつ)187此奴等(こいつら)五人(ごにん)(いま)(まで)兄弟(きやうだい)同様(どうやう)にしてゐたのだから、188スツパリと(ゆる)してやれ、189(また)此処(ここ)()れば沢山(たくさん)(ひと)(とほ)るから、190(いく)らでも商売(しやうばい)出来(でき)るからのう』
191(おつ)『オイ、192(てい)193(ぼう)両人(りやうにん)194今日(けふ)見逃(みのが)してやる。195(きさま)軍刀(ぐんたう)()たしておくと、196気違(きちが)ひに刃物(はもの)()たしたやうなものだ。197なまじひ、198道徳(だうとく)(とら)はれて、199天下(てんか)(ため)害悪(がいあく)(のぞ)くのだなどと、200()(くる)ひ、201俺等(おれたち)寝首(ねくび)をかくかも()れないから、202軍刀(ぐんたう)此方(こちら)へよこせ』
203(てい)(ぼう)『これは故郷(こきやう)土産(みやげ)()つて(かへ)り、204(いへ)(たから)とするのだから、205(けつ)してお前達(まへたち)(くび)(ねら)気遣(きづか)ひはない。206何卒(どうぞ)207スツパリと今日(けふ)見逃(みのが)してくれ』
208(おつ)『エ、209そんなら、210(きさま)(おれ)とは今日(けふ)から国交断絶(こくかうだんぜつ)だ。211サ、212一時(いつとき)(はや)公使館(こうしくわん)引上(ひきあ)げるのだ。213シーツ シーツ シーツ』
214(てい)居留民(きよりうみん)()(いた)しませうかな』
215(おつ)『エー、216キヨル(居留(きよりう))キヨルせずに、217(はや)退却(たいきやく)せぬかい、218(きさま)最早(もはや)敵国(てきこく)人民(じんみん)だ。219シーツ シーツ シーツ』
220 丁戊(ていぼう)(やみ)(みち)無性矢鱈(むしやうやたら)に、221星影(ほしかげ)(ちから)にし(なが)ら、222(いのち)カラガラ()げて()く。
223 治道居士(ちだうこじ)(この)(ささや)きを()いて、224数珠(じゆず)をつまぐり(なが)(こゑ)(すず)しく、
225治道(ちだう)或被悪人逐(わくひあくにんちく) 堕落金剛山(だらくこんがうせん) 念彼観音力(ねんぴくわんのんりき) 不能損一毛(ふのうそんいちまう)
226 或値怨賊繞(わくちをんぞくねう) 各執刀加害(かくしふたうかがい) 念彼観音力(ねんぴくわんのんりき) 咸即起慈心(げんそくきじしん)
227一生懸命(いつしやうけんめい)(ねん)()した。
228(かふ)『オイ、229(なん)だか()にくわぬ(こと)()ふぢやないか。230観音(くわんのん)(ちから)(ねん)じたら、231(ぞく)(たちま)改心(かいしん)すると()つてゐやがるやうだ。232オイ(なん)だか幸先(さいさき)()られたやうで、233(あま)気持(きもち)()うないぢやないか、234チツとコラ、235思案(しあん)をしなほさななるまいぞ』
236(おつ)馬鹿(ばか)()ふな、237念彼観音力(ねんぴくわんのんりき)もあつたものかい。238そんなこた、239()でもないワイ。240尻喰(けつくら)観音力(くわんのんりき)だ。241そんな(よわ)(こと)で、242生存競争(せいぞんきやうそう)泥棒社会(どろばうしやくわい)紳士(しんし)として()つて()(こと)出来(でき)るか、243馬鹿(ばか)だなア。244どこの糞坊主(くそばうず)()らぬが、245俺達(おれたち)(こは)さに(ふる)(あが)つて、246仕様(しやう)もない無形無声(むけいむせい)観音(くわんのん)(をが)んだつて、247天教山(てんけうざん)木花姫(このはなひめ)はメツタに降臨(かうりん)(あそ)ばす気遣(きづか)ひはないワ。248サア、249(さいはひ)いい(とり)()よつたのだから、250彼奴(あいつ)だつて、251チツと(ぐらゐ)旅費(りよひ)()つてるだらう。252商売初(しやうばいはじ)めだ。253コリヤ、254(かふ)255(へい)256チツと勉強(べんきやう)せぬかい。257ああ大商店(だいしやうてん)主人(しゆじん)になると、258()()める(こと)だワイ。259(ひと)使(つか)へば()使(つか)ふ。260命掛(いのちがけ)商売(しやうばい)をせうと(おも)へば、261どうしても乾分(こぶん)(しつか)りした(やつ)がゐなくちや駄目(だめ)だ』
262小声(こごゑ)(つぶや)(なが)ら、263治道居士(ちだうこじ)(こゑ)目当(めあて)(ちか)より()く。264(はじ)めての泥棒(どろばう)(こと)とて、265(つよ)(こと)(くち)()つてゐても、266何処(どこ)ともなしに手足(てあし)がワナワナと(ふる)へてゐた。267(かふ)(へい)両人(りやうにん)(おな)じく(ふる)(なが)(おつ)(うしろ)()いて()く。268(ほこら)(まへ)には(らい)(ごと)(いびき)(きこ)えて()る。
269(おつ)『コココラ、270キキキサマは、271ドドドドコの(やつ)ぢやい。272ササ最前(さいぜん)から、273観音(くわんのん)を、274(をが)んでゐよつたが、275そんな(こと)で、276ビクつくやうな泥棒(どろばう)さまぢやないぞ。277サア、278持物(もちもの)一切(いつさい)を、279綺麗(きれい)280サツパリと、281此処(ここ)()いで……(くだ)さいませぬか……ウン、282(ちが)(ちが)ふ、283()いで、284(わた)さぬかい。285(いや)ぢやなんぞと(ぬか)すが最後(さいご)286(きさま)()(くび)ひつつかまへ、287(かさ)(だい)をチヨン()つて()いて()(しま)うてやるぞ。288(おれ)何方(どなた)心得(こころえ)てる。289バラモン(けう)(おい)驍名(げうめい)かくれなき鬼春別(おにはるわけ)将軍(しやうぐん)部下(ぶか)ベル、290シャル、291ヘル三人(さんにん)だ。292サ、293綺麗(きれい)サツパリと()いだり()いだり。294コラ、295シャル、296ヘル、297(きさま)もチツと加勢(かせい)(いた)さぬかい……千騎一騎(せんきいつき)場合(ばあひ)だぞ。298親方(おやかた)(ばか)りに(はたら)かすといふ(こと)があるか』
299ヘル『さうだから、300こんな商売(しやうばい)()めといふのだよ』
301ベル『()りかけた(ふね)だ。302(いま)となつて卑怯未練(ひけふみれん)にやめられるかい。303鬼春別(おにはるわけ)(さま)(かほ)(どろ)()るやうなものだ。304鬼春別(おにはるわけ)(さま)堂々(だうだう)三千(さんぜん)軍隊(ぐんたい)引率(いんそつ)して、305強盗(がうたう)強姦(がうかん)放火(つけび)まで(あそ)ばしたでないか。306(うん)がよければ(ひと)(くに)まで占領(せんりやう)せうと()大泥棒(おほどろばう)さまだ。307それの乾児(こぶん)たる俺達(おれたち)が、308そんな(よわ)(こと)でどうならうかい』
309ヘル『それでも、310将軍様(しやうぐんさま)神様(かみさま)(ため)311国家(こくか)危急(ききふ)(すく)(ため)に、312(てき)(ほろ)ぼすべくお()でになつたのだ。313つまり()へば天下(てんか)公共(こうきよう)(ため)泥棒(どろばう)だ。314一身一家(いつしんいつか)利害(りがい)(ため)になさるのぢやないから、315一概(いちがい)には()へまいぞ。316そんな(こと)(おも)うてると、317(かへつ)将軍様(しやうぐんさま)(かほ)(どろ)()るやうなものだぞ』
318ベル『エー、319(よわ)(やつ)だな。320コリヤ修験者(しうげんじや)……か(なに)()らぬが、321くたばつたとみえて、322念彼観音力(ねんぴくわんのんりき)もほざかぬやうになつたでないか。323サア、324とつとと持物(もちもの)(わた)したり(わた)したり』
325治道(ちだう)拙者(せつしや)治道(ちだう)(まを)修験者(しうげんじや)(ござ)る。326(しか)(なが)衣類(いるゐ)(わた)(わけ)にはいかぬ。327ここに(かね)があるから、328(これ)(その)(はう)(つか)はす。329一時(いちじ)(はや)国元(くにもと)(かへ)り、330泥棒(どろばう)(おも)()つて、331正業(せいげふ)についたが()からうぞ』
332ベル『ヤア、333此奴(こいつ)334中々(なかなか)()()いた(こと)()ひやがるワイ、335オイ百両(ひやくりやう)二百金(にひやくきん)目腐(めくさ)(がね)で、336(とほ)(みち)(ある)いて(くに)(かへ)れば、337(あと)にや(なん)にも(のこ)らない。338一体(いつたい)(いく)(わた)すといふのだい』
339治道(ちだう)『これつきり、340泥棒(どろばう)をせないといふのならば、341相当(さうたう)(かね)(わた)してやらぬ(こと)はない。342(いく)らくれと()ふのだ』
343ベル『ウーン、344一寸(ちよつと)()つてくれ。345(ひと)計算(けいさん)をせぬと(わか)らぬワイ。346……これからハルナの近在(きんざい)まで(かへ)(まで)には、347何程(なにほど)倹約(けんやく)(いた)しても一人前(いちにんまへ)百両(ひやくりやう)(かね)()る。348それから母者人(ははじやびと)土産(みやげ)百両(ひやくりやう)349女房(にようばう)土産(みやげ)二百両(にひやくりやう)350子供(こども)土産(みやげ)百両(ひやくりやう)351都合(つがふ)五百両(ごひやくりやう)だ。352(しか)しそれでは無一文(むいちもん)商売(しやうばい)出来(でき)ない。353何程(なにほど)ちつぽけな八百屋店(やほやみせ)()しても、354八百屋(はつぴやくや)だから八百両(はつぴやくりやう)はいる。355さうすると一人前(ひとりまへ)千三百両(せんさんびやくりやう)356都合(つがふ)三千九百両(さんぜんきうひやくりやう)だ。357そこへ千円(せんゑん)着物代(きものだい)として此方(こちら)綺麗(きれい)サツパリと(わた)せばよし、358()()(ぬか)すと(いのち)(とも)にバラして(しま)ふぞ。359バラすのはバラモンの特色(とくしよく)だ』
360ヘル『モシモシ(たび)のお(かた)361(あま)(あつ)かましう(まを)しますけれど、362此奴(こいつ)()ひかけたら()かぬ(やつ)ですから、363何卒(どうぞ)半分(はんぶん)でも(よろ)しいから(めぐ)んで(くだ)さいますまいかな。364のうシャル、365(みな)(もら)ふのは(あま)(あつ)かましいぢやないか』
366ベル『エー、367(そば)から茶々(ちやちや)()れやがつて、368主人(しゆじん)商売(しやうばい)番頭(ばんとう)邪魔(じやま)するといふ(こと)があるか、369()()かない(やつ)だなア』
370治道(ちだう)四千九百円(しせんくひやくゑん)()()がついて、371面白(おもしろ)くない。372ドツと張込(はりこ)んで五千両(ごせんりやう)やるから、373(これ)()つて(はや)国許(くにもと)(かへ)正業(せいげふ)()いたが()いぞ。374そして鬼春別(おにはるわけ)375久米彦(くめひこ)(その)()のカーネルは、376(いづ)れも三五教(あななひけう)(まこと)(みち)帰順(きじゆん)したのだから、377前達(まへたち)(くに)(かへ)つたら神様(かみさま)信仰(しんかう)し、378()りにも(ひと)(もの)(ぬす)んだり、379(いま)(まで)のやうな殺伐(さつばつ)(こと)はキツとするでないぞ。380サ、381()()せ、382此処(ここ)五千両(ごせんりやう)(つつ)みがある、383(あらた)めて受取(うけと)つたがよからうぞ』
384 ベルは(おそ)(なが)ら、385(こゑ)()るべに()をニユツと()した。386鬼春別(おにはるわけ)治道(ちだう)は、387(その)()をグツと(にぎ)つた。
388ベル『アイタタタタ、389オイ(みな)(やつ)390大変(たいへん)()()いた(やつ)だ。391チツと()加勢(かせい)をしてくれぬかい、392中々(なかなか)(かね)をくれさうにないぞ』
393治道(ちだう)『アハハハハ面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、394泥棒(どろばう)失敗(しつぱい)(また)旅情(りよじやう)(なぐさ)むるには一興(いつきよう)だ。395(しか)(なが)(おれ)(をとこ)だ。396五千両(ごせんりやう)(めぐ)んでやると()つた以上(いじやう)は、397メツタに(あと)へは()かぬ。398道貫(だうくわん)399素道(そだう)400求道殿(きうだうどの)401貴方(あなた)もいいかげんに()()ましなさい。402面白(おもしろ)(こと)出来(でき)()りますよ』
403道貫(だうくわん)『ハハハハ、404イヤ最前(さいぜん)から、405吾々(われわれ)三人(さんにん)(いびき)をかいて様子(やうす)(かんが)へて()りました。406随分(ずいぶん)(こま)つた(やつ)ですな。407三千人(さんぜんにん)(なか)では、408こんな(やつ)もタマには出来(でき)るでせう。409(しか)(なが)貴方(あなた)五千両(ごせんりやう)やりますか、410(しか)らば(わたし)一千両(いつせんりやう)やりませう』
411ベル『イヤ、412何処(どこ)何方(どなた)()りませぬが、413有難(ありがた)(ござ)ります。414何卒(なにとぞ)御姓名(ごせいめい)をお()かせ(くだ)さいませ』
415治道(ちだう)『ウン、416(おれ)治道(ちだう)といふ修験者(しうげんじや)だ。417(まへ)千両(せんりやう)やらうといふは道貫(だうくわん)といふ(をとこ)だ。418一時(いちじ)(はや)国許(くにもと)(かへ)つて正業(せいげふ)()いたがよからうぞ』
419 『ハイ有難(ありがた)う』と幾度(いくたび)(れい)()(なが)ら、420ベル、421シャル、422ヘルの三人(さんにん)は、423六千両(ろくせんりやう)(かね)二千両(にせんりやう)づつ分配(ぶんぱい)し、424(よろこ)(いさ)んで(この)(ほこら)(やみ)(まぎ)れて立去(たちさ)りにける。
425大正一二・三・四 旧一・一七 於竜宮館 松村真澄録)
   
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