霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 妖子(えうし)〔一四五四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第57巻 真善美愛 申の巻 篇:第1篇 照門山颪 よみ:てるもんざんおろし
章:第4章 第57巻 よみ:ようし 通し章番号:1454
口述日:1923(大正12)年03月24日(旧02月8日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年5月24日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5704
愛善世界社版: 八幡書店版:第10輯 274頁 修補版: 校定版:47頁 普及版:19頁 初版: ページ備考:
001 (やかた)家令(かれい)オールスチンは、002老齢(らうれい)衰弱(すゐじやく)()大勢(おほぜい)荒男(あらをとこ)(ところ)(かま)はず()(たふ)され、003ワックスの介抱(かいはう)()りて(ふたた)(いき)()(かへ)したものの、004(くる)しみに()えず、005(わが)(やかた)()つぎ()まれ、006発熱(はつねつ)(はなは)だしく、007日夜(にちや)苦悶(くもん)(つづ)けて()た。
008 一方(いつぱう)(やかた)(おい)ては小国別(をくにのわけ)仮死状態(かしじやうたい)(おちい)り、009囈言(うはごと)(ばか)()うて()る。010さうしてデビス、011ケリナの両女(りやうぢよ)行衛(ゆくゑ)容易(ようい)(わか)らず、012(また)(ちから)(たの)三千彦(みちひこ)行衛(ゆくゑ)(わか)らなくなり、013小国姫(をくにひめ)悲痛(ひつう)(ふち)(しづ)み、014()をワナワナと(ふる)はせ(なが)ら、015()果敢(はか)なみ、016(いき)たる心地(ここち)はせなかつた。017されど如何(いか)にもして一時(いちじ)なりとも(をつと)(やまひ)長引(ながびか)二人(ふたり)(むすめ)()はせたきものと、018(それ)のみ(ちから)()(おく)つて()た。019(やかた)(なか)はオークス、020ビルマの両人(りやうにん)万事(ばんじ)()(まは)して()る。021受付(うけつけ)のエルは(うし)睾丸(きんたま)(つぶ)されたきり、022綿屋(わたや)(おく)()高枕(たかまくら)をして(くる)しんで()る。023小国姫(をくにひめ)はオークス、024ビルマを居間(ゐま)(まね)き、025種々(いろいろ)相談(さうだん)をかけた。026二人(ふたり)時節(じせつ)到来(たうらい)027ワックスの思惑(おもわく)成就(じやうじゆ)させ、028(うま)(しる)()はむものと(むね)(をど)らせながら、029素知(そし)らぬ(かほ)して心配気(しんぱいげ)俯向(うつむ)いて()る。
030小国姫(をくにひめ)『オークス、031(まへ)()()つて相談(さうだん)したい(こと)がある。032旦那様(だんなさま)はあの(とほ)何時(いつ)帰幽(くにがへ)なさるか()れぬ御容態(ごようだい)033(また)家令(かれい)のオールスチンは重病(ぢゆうびやう)(くる)しんで()るなり、034ワックスは旦那様(だんなさま)や、035オールスチンの病気(びやうき)平癒(へいゆ)のために荒行(あらぎやう)()くと()つて()たきり(かほ)()せないし、036二人(ふたり)(むすめ)()(かへ)つて()ず、037(もし)もの(こと)があつたら、038如何(どう)したら()からうか、039(まへ)(ひと)(かんが)へて(もら)()いものだがなア』
040オークス『(まこと)にお()(どく)(こと)出来(しゆつたい)したもので(ござ)いますワイ。041(やかた)(ばかり)難儀(なんぎ)ではなく宮町(みやまち)一統(いつとう)難儀(なんぎ)(ござ)います。042貴女(あなた)はバラモン(けう)(やかた)守護(しゆご)する(やく)であり(なが)ら、043素性(すじやう)(わか)らぬ三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)町民(ちやうみん)内証(ないしよう)()()れなさつたものですから、044(この)(やう)(むご)()()はされたのです。045これからは(ちつ)吾々(われわれ)()(こと)()いて(もら)はなくてはなりませぬ。046町中(まちぢう)(うはさ)によれば、047あの三千彦(みちひこ)()(やつ)は、048三五教(あななひけう)きつての魔法使(まはふつかひ)で、049(やかた)(もつと)大切(たいせつ)如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)忍術(にんじゆつ)をもつて(うば)()り、050(やかた)()るにあられぬ心配(しんぱい)をかけて()き、051進退(しんたい)維谷(これきは)まる場合(ばあひ)(かんが)()まし、052バラモン(けう)宣伝使(せんでんし)()けて這入(はい)つて()よつたので(ござ)います。053(それ)(ゆゑ)(いま)(まで)(いへ)(ござ)つたデビス(ひめ)(さま)(まで)行方(ゆくへ)(わか)らぬ(やう)になり、054(この)町中(まちぢう)大切(たいせつ)御神具(ごしんぐ)(のこ)らず(ぬす)まれ、055大変(たいへん)大騒動(おほさうどう)(ござ)います。056こんな(こと)町民(ちやうみん)(わか)らうものなら、057(それ)こそ貴女(あなた)御身(おんみ)大事(だいじ)058(おほ)きな(かほ)して(この)(やかた)には()られますまい。059そつと早馬(はやうま)でハルナの(みやこ)報告(はうこく)でもしようものなら、060旦那様(だんなさま)病気(びやうき)()くなられたとした(ところ)で、061(まへ)さまは逆磔刑(さかはりつけ)にあはされるでせう。062大変(たいへん)(こと)をして(くだ)さつた。063(わたし)貴女(あなた)境遇(きやうぐう)御同情(ごどうじやう)をすると(とも)に、064貴女(あなた)御処置(ごしよち)(うら)んで()ます。065もし()んな(こと)大黒主(おほくろぬし)(さま)のお(みみ)(はい)らうものなら、066吾々(われわれ)もどんな刑罰(けいばつ)()はされるかも()れませぬ。067今後(こんご)はちつとオークスの()(こと)()いて(もら)()いものです』
068小国姫(をくにひめ)『あの三千彦(みちひこ)さまに(かぎ)つてそんな悪党(あくたう)(かた)では()りませぬぞや、069(それ)(なに)かの間違(まちが)ひでせう。070金剛不壊(こんがうふえ)如意宝珠(によいほつしゆ)(かく)したのは(けつ)して三千彦(みちひこ)さまぢやない、071家令(かれい)(せがれ)のワックスに間違(まちが)ひないのだ。072あれが(わが)(むすめ)デビス(ひめ)無理往生(むりわうじやう)(めと)らむとして種々(しゆじゆ)とエキス、073ヘルマンなどを使(つか)(たく)んだと()(こと)明瞭(はつき)(わか)つて()るのだよ。074勿体(もつたい)ない、075(まこと)宣伝使(せんでんし)にそんな(つみ)()せるものぢやありませぬ』
076オークス『奥様(おくさま)077(それ)第一(だいいち)貴女(あなた)のお(かんが)(ちが)ひです。078ワックスさまは(なに)()うても家令(かれい)(せがれ)079このお(やかた)()()かねば自分(じぶん)(いへ)()()かないのですから、080よう(かんが)へて御覧(ごらん)なさい、081そんな不利益(ふりえき)(こと)をなさいますか。082そこが三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)(うま)(ところ)で……ワックスさまは(ひと)がよいから、083()りつけられたのですよ。084(おく)(おく)(かんが)へて(もら)はねば(まこと)にワックスさまに()(どく)(ござ)いますワ。085よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさいませ。086三千彦(みちひこ)()魔法使(まはふつかひ)は、087町民(ちやうみん)(とき)(こゑ)(おどろ)かされて(くも)(かすみ)()()せ、088旦那様(だんなさま)はどう贔屓目(ひいきめ)()ても御養生(ごやうじやう)(かな)ひますまい。089そして家令(かれい)のオールスチンさまも御本復(ごほんぷく)(むつかし)いこの場合(ばあひ)090(この)(やかた)のお(ちから)になる(もの)(たれ)だと思召(おぼしめ)す。091ワックスさまより(ほか)()いぢやありませぬか。092貴女(あなた)はワックスさまをお(うたが)ひなさると、093これ(ほど)人気(にんき)()るワックスさまの(ため)町民(ちやうみん)承知(しようち)(いた)しませぬぞや。094よく(むね)()()ててお(かんが)へにならないと、095(やかた)一大事(いちだいじ)(ござ)います』
096小国姫(をくにひめ)『ハテ合点(がつてん)のゆかぬ(こと)だなア、097ビルマ其方(そなた)(なん)(おも)ふか』
098ビルマ『ハイ(わたし)町内(ちやうない)(うはさ)調(しら)べて()ましたが、099ワックスさまは本当(ほんたう)(えら)(ひと)ですよ。100三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)(かく)して()いた如意宝珠(によいほつしゆ)をも、101(うま)自分(じぶん)(つみ)()ふと()うて()()させなさつたので(ござ)います。102真実(ほんとう)忠臣(ちうしん)義士(ぎし)()ふのは、103あのワックスさまで(ござ)います。104あの(たから)()かつたらお(やかた)勿論(もちろん)105宮町(みやまち)一同(いちどう)大黒主(おほくろぬし)(さま)から所刑(おしおき)()はねばならぬ(ところ)(たす)けて(くだ)さつたのだから、106テルモン(こく)救世主(きうせいしゆ)だと()つて()ます。107どうしてもデビス(ひめ)(さま)御養子(ごやうし)になさつて(この)(くに)(をさ)めねば町民(ちやうみん)承知(しようち)しませぬ。108(わたし)(べつ)にワックスさまがお世継(よつぎ)にならうとなるまいと利害関係(りがいくわんけい)はないのですから、109ワックスさまの(ため)弁護(べんご)(いた)しませぬ。110中立地帯(ちうりつちたい)()()いて、111自分(じぶん)所信(しよしん)(つつ)まず(かく)さず申上(まをしあ)げます』
112小国姫(をくにひめ)町民(ちやうみん)(まで)がさう(しん)じて()以上(いじやう)は、113どうも仕方(しかた)がない。114()(かく)今日(こんにち)場合(ばあひ)115養子(やうし)にするせぬは(あと)(こと)として、116一度(いちど)ワックスさまに()(もら)()いものだなア』
117オークス『それは結構(けつこう)(ござ)いますが、118ワックスさまは神様(かみさま)()め、119(やかた)(ため)120町民(ちやうみん)()め、121(いのち)がけの(げふ)をすると()うて()かけられましたから、122行衛(ゆくゑ)(わか)らず、123何時(いつ)(かへ)らるるとも見当(けんたう)()きませぬ。124(つい)ては家事(かじ)万端(ばんたん)処理(しより)する役員(やくゐん)()ければ不都合(ふつがふ)(ござ)いませう。125家令(かれい)はあの(とほ)胸板(むないた)()まれ、126恢復(くわいふく)見込(みこ)みは()ちませぬ、127二人(ふたり)(ひめ)(さま)行方(ゆくへ)(わか)らず、128旦那様(だんなさま)御重病(ごぢゆうびやう)129(たれ)家令(かれい)(あらた)にお(めい)じなさらなくては、130一日(いちにち)(やかた)事務(じむ)()れますまい。131(わたし)門番(もんばん)(くらゐ)(つと)めて()つては大奥(おほおく)御用(ごよう)出来(でき)ませぬしなア』
132小国姫(をくにひめ)『アアそんなら、133順々(じゆんじゆん)抜擢(ばつてき)してお世話(せわ)にならう。134受付(うけつけ)のエルを臨時(りんじ)家令(かれい)となし、135(まへ)受付(うけつけ)になつて(もら)はう、136さうすれば万事(ばんじ)万端(ばんたん)都合(つがふ)よく(はこ)ぶであらう』
137オークス『成程(なるほど)それは順当(じゆんたう)至極(しごく)結構(けつこう)でせう。138(しか)(なが)ら、139エルさまの慌者(あわてもの)140旦那様(だんなさま)が、141まだ(いのち)のある(うち)から御帰幽(ごきいう)になつたと()うて町中(まちぢう)()(ある)き、142大勢(おほぜい)(さわ)がし、143(まけ)(うし)(しり)()(あた)睾丸(きんたま)()(つぶ)され、144綿屋(わたや)離室(はなれ)()らむ(かぎ)りの(くる)しみをして()ります。145さうして道端(みちばた)(つな)いであるあれ(ほど)(おほ)きな(うし)()()かないやうな(こと)では門番(もんばん)出来(でき)ないと()うて、146町中(まちぢう)(わら)はれ(もの)になつて()りますよ。147あんな慌者(あわてもの)家令(かれい)にでもならうものなら、148(やかた)威勢(ゐせい)(まを)すに(およ)ばず、149神様(かみさま)御威勢(ごゐせい)(まで)()ちると()つて、150町中(まちぢう)大反対(だいはんたい)(ござ)います。151(それ)はおよしになつた(はう)がお(ため)(ござ)いませう』
152小国姫(をくにひめ)『ハテ(こま)つた(こと)だなア。153そんならワックスが(かへ)つて()たら、154(しば)親父(おやぢ)代理(だいり)(つと)めさす(こと)(いた)しませう。155(それ)(まで)(まへ)臨時(りんじ)家令(かれい)(やく)をやつて(もら)()い』
156オークス『(わたし)のやうな不都合(ふつがふ)(もの)は、157到底(たうてい)臨時(りんじ)家令(かれい)のやうな(こと)出来(でき)ませぬ。158(ひら)にお(ことわ)(まを)します、159(かへつ)てお(やかた)不都合(ふつがふ)(こと)仕出(しで)かすといけませぬから。160(すべ)臨時(りんじ)()ふものは水臭(みづくさ)文字(もじ)で、161本気(ほんき)にお(やかた)(ため)(つく)すと()()()()ませぬワ』
162ビルマ『一層(いつそう)(こと)163ドツと()()んで、164オークスさまを家令(かれい)任命(にんめい)なさつたらどうでせう、165屹度(きつと)それ(だけ)腕前(うでまへ)(ござ)いますよ。166貴女(あなた)(おく)にばかり(ござ)るから(そと)事情(じじやう)(わか)りますまいが、167(わたし)証明(しようめい)(いた)します。168町民(ちやうみん)一同(いちどう)希望(きばう)はワックス(さま)御養子(ごやうし)となし、169オークスさまを家令(かれい)(あそ)ばし、170さうして○○を家扶(かふ)にお(めい)じになれば、171嬢様(ぢやうさま)(かへ)られ、172妹御(いもうとご)のケリナさまも無事(ぶじ)(かへ)られると()(うはさ)(ござ)います。173世間(せけん)(うはさ)()ふものは(あんま)馬鹿(ばか)にはならぬもので(ござ)いますよ。174神様(かみさま)()め、175(やかた)()め、176それが最善(さいぜん)方法(はうはふ)(わたし)(かんが)へます』
177小国姫(をくにひめ)『○○を家扶(かふ)にせいとは(たれ)(こと)だい、178もつと明瞭(はつき)りと()うて(もら)はなくては(わか)らぬぢやないか』
179ビルマ『ヘイ、180到底(たうてい)(まを)()げた(ところ)門番(もんばん)(ぐらゐ)家扶(かふ)には()れますまい。181()はぬが(はな)(ござ)いませう』
182小国姫(をくにひめ)『ホホホホホ、183ビルマ、184自分(じぶん)推薦(すゐせん)して()るのだらう。185(まへ)抜目(ぬけめ)()(をとこ)だなア』
186ビルマ『(この)(ごろ)()(なか)盲人(めくら)(ばか)りで(ござ)いますから、187自分(じぶん)から自分(じぶん)技能(ぎのう)発表(はつぺう)しなくては、188何時(いつ)になつても金槌(かなづち)(かは)(なが)れ、189栄達(えいだつ)(みち)はつきませぬ。190正真正銘(しやうしんしやうめい)のネットプライスの技量(ぎりやう)()()して、191それをお(みと)めになる御器量(ごきりやう)があればよし、192()ければ時節(じせつ)(いた)らぬと覚悟(かくご)するより(ほか)(ござ)いませぬ。193(わたし)御採用(ごさいよう)なければオークスだつて(けつ)して家令(かれい)(しよく)()きませぬ。194(この)(をとこ)今度(こんど)事件(じけん)については、195チと弱点(じやくてん)……いや弱点(じやくてん)()いのです。196貴女(あなた)がそつと魔法使(まはふつかひ)()()れなさつたのが弱点(じやくてん)ですから、197吾々(われわれ)二人(ふたり)()()運動(うんどう)をやつたので、198町内(ちやうない)(さわ)ぎがやつと(をさ)まつたので(ござ)いますからなア』
199小国姫(をくにひめ)『そんなら仕方(しかた)がありませぬ。200(まへ)臨時(りんじ)家扶(かふ)(めい)じませう』
201ビルマ『モシ奥様(おくさま)202臨時(りんじ)家扶(かふ)()ふのは釜焚(かまた)きとは(ちが)ひますよ。203家令(かれい)(つぎ)(しよく)204重職(ぢうしよく)(ござ)いますよ。205(ねん)()一寸(ちよつと)申上(まをしあ)げて()きます』
206小国姫(をくにひめ)門番(もんばん)家扶(かふ)出世(しゆつせ)したら結構(けつこう)ぢやないか。207(この)(やかた)大黒主(おほくろぬし)(さま)命令(めいれい)家令(かれい)一人(ひとり)(きま)つて()るが、208家扶(かふ)()(こと)出来(でき)ないのだから、209()(どく)(なが)らお(まへ)門番頭(もんばんがしら)辛抱(しんばう)して(くだ)さい』
210 かかる(ところ)一人(ひとり)看護婦(かんごふ)(あわただ)しく()(きた)り、
211奥様(おくさま)(はや)()(くだ)さいませ、212旦那様(だんなさま)御臨終(ごりんじう)()えまして、213大変(たいへん)御様子(ごやうす)(かは)つて(まゐ)りました』
214心配(しんぱい)さうに()ふ。215小国姫(をくにひめ)(むね)()でながら(あわただ)しく主人(しゆじん)病室(びやうしつ)()けり()く。216オークスはビルマと(とも)小国姫(をくにひめ)(あと)(したが)病室(びやうしつ)()る。217小国別(をくにわけ)(にはか)にムクムクと()(あが)り、218(やせ)こけた(かほ)(くぼ)んだ()(ひか)らせ(なが)ら、
219小国別(をくにわけ)女房(にようばう)(まへ)何処(どこ)()つて()た。220最前(さいぜん)から大変(たいへん)()()ねて()たぞよ、221さうして二人(ふたり)(むすめ)はまだ(かへ)つて()ぬかノウ』
222小国姫(をくにひめ)『ハイもう(やが)(かへ)るで(ござ)いませう。223まだ(なん)とも便(たよ)りが(ござ)いませぬ』
224小国別(をくにわけ)『ハテ(こま)つた(こと)だなア、225(この)()ではもう(むすめ)()(こと)出来(でき)んのかなア。226エエ残念(ざんねん)ぢや』
227小国姫(をくにひめ)旦那様(だんなさま)228何卒(どうぞ)()(おと)さないやうにして(くだ)さい、229屹度(きつと)神様(かみさま)のお(かげ)()はして(くだ)さるでせう』
230小国別(をくにわけ)三千彦(みちひこ)宣伝使(せんでんし)(さま)家令(かれい)何処(どこ)()つたかなア、231(はや)()ひたいものだ』
232小国姫(をくにひめ)三千彦(みちひこ)(さま)(にはか)にお行衛(ゆくゑ)(わか)らぬやうになりました。233屹度(きつと)(むすめ)二人(ふたり)(むか)ひに()つて(くだ)さつたのでせう』
234小国別(をくにわけ)『ウン()れは御苦労(ごくらう)だなア。235屹度(きつと)()はして(くだ)さるだらう。236家令(かれい)のオールスチンはまだ()ぬか、237(なに)をして()るのだらう』
238小国姫(をくにひめ)『ハイ、239一寸(ちよつと)(よう)(ござ)いますので、240つひ(おく)れて()ます、241やがて(まゐ)るで(ござ)いませう』
242オークス『モシ旦那様(だんなさま)243家令(かれい)のオールスチンは町民(ちやうみん)胸板(むないた)()()られ、244九死一生(きうしいつしやう)(くる)しみを()自館(やかた)(かへ)つて()られます。245そして町中(まちぢう)三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)をお(やかた)へお()れなさつたと()うて、246(かなへ)()くやうな(さわ)ぎで(ござ)います。247そこを(わたし)(たち)二人(ふたり)鎮定(ちんてい)(いた)し、248(いま)奥様(おくさま)御相談(ごさうだん)(うへ)249(わたし)がたつた(いま)家令(かれい)となりましたから、250何分(なにぶん)宜敷(よろし)くお(ねが)(まを)します。251今後(こんご)粉骨砕身(ふんこつさいしん)252十二分(じふにぶん)成績(せいせき)()げてお()にかけますから御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
253小国別(をくにわけ)『お(まへ)門番(もんばん)のオークスぢやないか。254何程(なにほど)人望(じんばう)があると()つても、255さう一足飛(いつそくと)びに門番(もんばん)家令(かれい)になると()(わけ)にはゆくまい。256(おく)257(まへ)はそんな(こと)(ゆる)したのか』
258小国姫(をくにひめ)『ハイ、259……イイエ』
260とモジモジして()る。
261小国別(をくにわけ)家令(かれい)任命(にんめい)するには()うしてもオールスチンの承諾(しようだく)()262(かれ)辞表(じへう)()した(うへ)でハルナの(みやこ)(うかが)ひを()て、263(その)(うへ)でなくてはならぬ。264さう勝手(かつて)()める(わけ)にはいけぬ。265この(やかた)特別(とくべつ)だから何事(なにごと)大黒主(おほくろぬし)(さま)(うかが)はねばならぬ。266よもや真実(ほんとう)ではあるまい。267(おく)268(まへ)当座(たうざ)冗談(てんご)()ふたのであらう』
269 小国姫(をくにひめ)はモジモジしながら(かす)かな(こゑ)で『ハイ』と一言(ひとこと)270俯向(うつむ)いて()る。
271オークス『(いやし)くも(やかた)主人(あるじ)奥様(おくさま)とも()らう(かた)が、272冗談(てんご)仰有(おつしや)らう(はず)はありますまい。273奥様(おくさま)のお言葉(ことば)金鉄(きんてつ)よりも(おも)いものと(しん)じて()ります。274(なん)仰有(おつしや)つてもオークスは当家(たうけ)家令(かれい)(ござ)います。275万事万端(ばんじばんたん)(やかた)事務(じむ)取調(とりしら)べ、276ハルナの(みやこ)報告(はうこく)(いた)さねばなりませぬ。277何処(どこ)(まで)(この)オークスを排斥(はいせき)なさるならば、278三五教(あななひけう)魔法使(まはふつかひ)をお(やかた)へお()れなさつた(こと)大黒主(おほくろぬし)(さま)注進(ちゆうしん)(いた)しませうか、279それでも(くる)しうは(ござ)いませぬか』
280(めい)旦夕(たんせき)(せま)つて()るのにつけ()んで無理(むり)やりに頑張(ぐわんば)つて()極悪無道(ごくあくぶだう)曲者(くせもの)である。
281小国別(をくにわけ)『これ(おく)282(わし)はお(まへ)()(とほ)り、283今度(こんど)はどうも本復(ほんぷく)せないやうだ。284()うか一時(いちじ)(はや)三千彦(みちひこ)さまを(たづ)()し、285(この)(やかた)のお(ちから)となつて(いただ)け。286あの御神力(ごしんりき)をもつて(まも)つて(いただ)けば、287如何(いか)大黒主(おほくろぬし)(かみ)288数万(すうまん)軍勢(ぐんぜい)をもつて()()(きた)るとも(おそ)るる(こと)()らぬ、289かやうな悪人(あくにん)(けつ)して(わが)死後(しご)(もち)ひてはならぬ。290今日(けふ)から門番(もんばん)免職(めんしよく)して()れ。291エエ(けが)らはしい』
292衰弱(すゐじやく)身心(しんしん)怒気(どき)(ふく)み、293呶鳴(どな)()てた。294それつきり(また)もやグタリと(よわ)り、295(たちま)昏睡状態(こんすゐじやうたい)(おちい)つた。
296 小国姫(をくにひめ)は、297()()もあらぬ(かな)しみに(ひた)されながら、298故意(わざ)とに(なみだ)(かく)(かたち)(あらた)め、299両人(りやうにん)(むか)ひ、
300『オークス、301ビルマの両人(りやうにん)302(その)(はう)御主人様(ごしゆじんさま)命令(めいれい)だから、303()(どく)(なが)只今(ただいま)(かぎ)(この)(やかた)(かへ)つて(くだ)さい。304仮令(たとへ)どうならうとも(その)(はう)のやうな傲慢(がうまん)無礼(ぶれい)(しもべ)厄介(やくかい)にならうとは(おも)はないから、305……モシ旦那様(だんなさま)何卒(どうぞ)御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
306(みみ)(くち)()せて(こゑ)(かぎ)りに涙交(なみだまじ)りに()()てた。307小国別(をくにわけ)(かす)かにこの(こゑ)(みみ)(はい)つたと()え、308力無(ちからな)げにニタリと(わら)ふ。309オークスは横柄面(わうへいづら)(さら)(なが)威猛高(ゐたけだか)になり、
310『モシ奥様(おくさま)311旦那様(だんなさま)大病(たいびやう)(なや)(ほう)けて()らつしやいます。312(けつ)して仰有(おつしや)(こと)(まこと)ぢやありませぬ。313(ねつ)(うか)されたお言葉(ことば)314左様(さやう)(こと)本当(ほんたう)になさるやうでは(この)(やかた)大騒動(おほさうどう)(おこ)りますよ。315今日(こんにち)(この)(やかた)双肩(さうけん)(にな)うて()つものは、316ワックスや吾々(われわれ)二人(ふたり)(ほか)(たれ)がありませうか。317()くお(かんが)へなされませ。318門番(もんばん)家令(かれい)になれないと仰有(おつしや)いましたが、319(なん)()階級的(かいきふてき)(かんが)へに(とら)はれて()らつしやるのですか。320(むかし)常世城(とこよじやう)門番(もんばん)は、321(ただち)抜擢(ばつてき)されて右守(うもり)(かみ)になつたぢやありませぬか。322それも失敗(しつぱい)結果(けつくわ)でせう。323吾々(われわれ)はお(やかた)危急(ききふ)(すく)つた殊勲者(しゆくんしや)です。324()しお()()らねば仕方(しかた)はありませぬ、325吾々(われわれ)吾々(われわれ)としての(ひと)つの(かんが)へが(ござ)います、326(あと)後悔(こうくわい)なさいますなよ。327町民(ちやうみん)一般(いつぱん)大切(たいせつ)(たから)(ぬす)まれたのも、328みんな三千彦(みちひこ)魔法使(まはふつかひ)によつて大勢(おほぜい)(もの)難儀(なんぎ)をして()るので(ござ)います。329()はば三千彦(みちひこ)町民(ちやうみん)(てき)(ござ)います。330(その)(てき)何時(いつ)(まで)もお(かま)ひなさるのならば、331矢張(やはり)貴方方(あなたがた)御夫婦(ごふうふ)国敵(こくてき)(みと)めます。332大黒主(おほくろぬし)のお(ひら)きなされた(この)霊場(れいぢやう)を、333みすみす三五教(あななひけう)(やつ)蹂躙(じうりん)せられるとは、334町民(ちやうみん)一般(いつぱん)(しの)(がた)(ところ)でせう。335(わたし)家令(かれい)にお使(つか)ひなさらぬなら、336たつては(たの)みませぬ。337(この)始末(しまつ)町民(ちやうみん)報告(はうこく)(いた)します。338さうすれば町民(ちやうみん)は、339貴方方(あなたがた)をバラモン(けう)(あだ)340神様(かみさま)(てき)として()()せて(まゐ)ります。341覚悟(かくご)なさいませ』
342()(はな)ち、343(いきほひ)(するど)(おもて)()()す。344睾丸(きんたま)(うし)()(つぶ)され、345綿屋(わたや)離室(はなれ)養生(やうじやう)して()たエルは(やうや)二三人(にさんにん)子供(こども)(おく)られて玄関(げんくわん)(かへ)つて()た。346オークス、347ビルマの二人(ふたり)玄関(げんくわん)にてふと出会(であ)うた。348エルは二人(ふたり)相好(さうがう)唯事(ただごと)ならぬに不審(ふしん)(おこ)し、
349エル『オイ、350両人(りやうにん)351血相(けつさう)()へて何処(どこ)()くのだ。352(これ)には(なに)様子(やうす)があるであらう、353まづ(おれ)()かして()れ。354(なん)とか仲裁(ちうさい)してやるから』
355 オークス、356ビルマの両人(りやうにん)脅迫的(けふはくてき)此処(ここ)(まで)()たのだが、357うつかり町民(ちやうみん)(めう)(こと)(しやべ)つて、358(あと)取纒(とりまと)めに(こま)つてはならぬと(おも)つて()矢先(やさき)359エルに()められたので、360これ(さいはひ)二人(ふたり)受付(うけつけ)にドツカと()し、361密々話(ひそびそばなし)(ふけ)つて()る。
362大正一二・三・二四 旧二・八 於皆生温泉浜屋 加藤明子録)
   
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