霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一六章 ()(みづうみ)〔二〇二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未の巻 篇:第3篇 天地変遷 よみ:てんちへんせん
章:第16章 第80巻 よみ:ひのみずうみ 通し章番号:2020
口述日:1934(昭和9)年07月30日(旧06月19日) 口述場所:関東別院南風閣 筆録者:谷前清子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1934(昭和9)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
秋男一行が猛獣の悪魔たちに噴火口に投げ入れられて命を落とした後、半時ほどして火炎山はたちまち大鳴動を始め、前後左右上下に振動すると大爆発を起こした。
高い山影は跡形もなくなり、代わりに大きな湖水が出現し、中央の小さな小島が残るのみであった。猛獣毒蛇、水奔鬼たちは大部分が全滅し、中央の小島には、秋男たちの精霊と、朝霧ら国津神の娘たちの水奔鬼が残り、秋男の精霊は島の主となった。
秋男たちは、未だに残る少数の猛獣毒蛇を滅ぼして、ここに精霊の安全地帯を作ろうと苦心していたが、身体を失った精霊の身では猛獣毒蛇に対抗する力がなく、天地の神に祈願して救いを待つのみであった。
高光山の朝霧比女の神一行は、火炎山が大爆発を起こしたことを知り、協議の結果、朝空男の神、国生男の神二柱が、天の鳥船を作って予讃の国に向かい、様子をうかがってくることとなった。
朝空男の神、国生男の神は述懐の歌を歌いながら鳥船を操り、予讃の国の雲をかき分けて地上に降り、かつて笑い婆の棲家であった忍ヶ丘の平地に降り立った。
火炎山は大きな湖になってしまったが、その湖水が忍ヶ丘の一里ほど近くまで展開していた。二柱の神々が丘の上で感謝の歌を捧げていると、かつて笑い婆に命を奪われて、精霊となって忍ヶ丘を守っていた冬男たちが現れ来て、両神にこれまでの経緯と、降臨への感謝を歌った。
神々は、冬男たちが精霊の身で水奔鬼の鬼婆を追い出したと聞いて、その魂の強さに感心した。両神は、精霊たちを安堵させると、その夜は忍ヶ丘の冬男の館に休息を取った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm8016
愛善世界社版: 八幡書店版:第14輯 374頁 修補版: 校定版:309頁 普及版: 初版: ページ備考:
001 秋男(あきを)(はじ)め、002(まつ)003(たけ)004(うめ)005(さくら)一行(いつかう)五人(ごにん)が、006猛獣(まうじう)主共(ぬしども)(くは)へられ、007火炎山(くわえんざん)大噴火口(だいふんくわこう)()()まれ、008身体(からだ)白骨(はくこつ)となりて中空(ちうくう)(たか)(のぼ)り、009(ふたた)山上(さんじやう)落下(らくか)したるが、010(やや)半時(はんとき)(ばか)()て、011火炎山(くわえんざん)(たちま)大鳴動(だいめいどう)(はじ)め、012前後(ぜんご)左右(さいう)上下(じやうげ)震動(しんどう)し、013(つひ)には大爆発(だいばくはつ)して、014()()るさしもに(たか)山影(やまかげ)跡形(あとかた)もなく大湖水(だいこすゐ)変化(へんくわ)し、015猛獣(まうじう)016毒蛇(どくじや)017水奔鬼(すゐほんき)大部分(だいぶぶん)全滅(ぜんめつ)(やく)()ひて、018その中央(ちうあう)(ちひ)さき小島(こじま)(のこ)すのみとはなりぬ。019この小島(こじま)(すく)はれたる精霊(せいれい)は、020秋男(あきを)一行(いつかう)(はじ)め、021朝霧(あさぎり)022夕霧(ゆふぎり)023秋風(あきかぜ)024野分(のわき)025秋雨(あきさめ)(およ)僅少(きんせう)なる水奔鬼(すゐほんき)(およ)猛獣(まうじう)026毒蛇(どくじや)小部分(せうぶぶん)なりけり。
027 ここに秋男(あきを)(この)(しま)精霊界(せいれいかい)(ぬし)となりけるが、028(いま)肉体(にくたい)(いう)する猛獣(まうじう)029毒蛇(どくじや)(のこ)れるを如何(いか)にもして全滅(ぜんめつ)し、030ここに精霊(せいれい)安全地帯(あんぜんちたい)(つく)らむと、031八方(はつぱう)辛苦(しんく)(かさ)()たりける。032(しか)りと(いへど)秋男(あきを)最早(もは)精霊(せいれい)なれば、033肉体(にくたい)()猛獣(まうじう)034毒蛇(どくじや)対抗(たいかう)すべき(ちから)なく、035(ただ)天地神明(てんちしんめい)祈願(きぐわん)し、036(すく)ひの(かみ)御降臨(ごかうりん)()つより(ほか)すべもなかりける。
037 ()高光山(たかみつやま)天降(あも)りませる朝霧比女(あさぎりひめ)(かみ)038大御照(おほみてらし)(かみ)039朝空男(あさぞらを)(かみ)040国生男(くにうみを)(かみ)041子心比女(こごころひめ)(かみ)は、042高光山(たかみつやま)(いただき)なる巌窟(がんくつ)宝座(ほうざ)(あつま)り、043(はるか)西方(せいはう)(あた)大爆音(だいばくおん)(きこ)え、044火炎山(くわえんざん)(てん)(ちう)する火焔(くわえん)は、045跡形(あとかた)もなく()()せ、046(ただ)黒雲(こくうん)(みなぎ)れるを望見(ばうけん)し、047葭原(よしはら)国土(くに)一部(いちぶ)天変地異(てんぺんちい)のありたるを(うれ)(たま)ひながら、048こと(はか)(たま)ふ。049朝霧比女(あさぎりひめ)(かみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
 
050(註)天祥地瑞(てんしやうちずゐ)物語中(ものがたりちう)051神々(かみがみ)御歌(みうた)()ませ(たま)ふとあるは、052御言葉(みことば)()なり。053神代(かみよ)現代人(げんだいじん)(ごと)不成立(ふせいりつ)なる言語(げんご)なく、054(たがひ)天地(てんち)音律(おんりつ)()へる三十一文字(みそひともじ)(もち)(たま)ひしが、055所謂(いはゆる)今日(こんにち)和歌(わか)となれるものにして、056(うた)(たま)ふと()ふは、057(まを)(たま)(また)(あふ)(たま)ふ、058(かた)(たま)ふ、059()(たま)ふの意義(いぎ)()るべし。060神代(かみよ)(かみ)言葉(ことば)を、061現代人(げんだいじん)(すべ)(うた)として(あつか)へるを()るべし。
062見渡(みわた)せば火炎(くわえん)(やま)天地(あめつち)
063(ゆる)がしにつつ()()せにけり。
064久方(ひさかた)(そら)をなめたる()(した)
065(いま)(まつた)()えずなりけり。
066葭原(よしはら)国土(くに)曲神(まがみ)言向(ことむ)くる
067(めぐみ)御火(みひ)()()せにけり。
068いかにしてこの葭原(よしはら)()らさむや
069(かみ)(たから)御火(みひ)()えぬれば。
070()(かく)火炎(くわえん)(やま)()()せぬ
071(うみ)となりしか(こころ)もとなや』
072 大御照(おほみてらし)(かみ)(うた)ふ。
073(われ)(また)火炎(くわえん)(やま)爆発(ばくはつ)
074(おも)へば(こころ)(くも)らひにけり。
075葭草(よしぐさ)水奔草(すゐほんさう)()(はら)
076しぐみの(うち)()()えにけり。
077葭原(よしはら)(しま)のことごと(よる)されば
078(あか)るかりしを(いま)是非(ぜひ)なし。
079濛々(もうもう)(てん)黒雲(くろくも)ふさがりて
080火炎(くわえん)(やま)()えずなりけり。
081曲津神(まがかみ)数多(あまた)()まひし(やま)なれば
082御火(みひ)()(わざ)をためらひ()りしに。
083ためらひてある()御火(みひ)()えにけり
084この国原(くにはら)如何(いか)(をさ)めむ。
085今日(けふ)よりは御火(みひ)()ゆれど言霊(ことたま)
086水火(いき)(てら)して()(をさ)めませ』
087 御樋代神(みひしろがみ)(うた)(たま)ふ。
088(なれ)こそは大御照(おほみてらし)(かみ)なれば
089(やみ)(あか)せよ生言霊(いくことたま)に。
090曲津見(まがつみ)のその大方(おほかた)天地(あめつち)
091変異(へんい)()すれど()なきが()しき』
092 大御照(おほみてらし)(かみ)(うた)ふ。
093(わが)(きみ)御言葉(みことば)(かしこ)今日(けふ)よりは
094(たに)(くだ)りて(みそぎ)なすべし。
095(わが)(みそぎ)(かみ)(こころ)にかなふまで
096(ちから)(かぎ)りに(つと)めはげまむ』
097 御樋代神(みひしろがみ)(うた)(たま)ふ。
098(きみ)(うた)()きて(わが)(たま)(よみがへ)
099天地(あめつち)(ひら)けし心地(ここち)するかも』
100 朝空男(あさぞらを)(かみ)(うた)ふ。
101葭原(よしはら)国土(くに)にも(たか)きこの(やま)
102国形(くにがた)()れば()(やま)(さか)き。
103(さか)しかりし火炎(くわえん)(やま)(たちま)ちに
104(うみ)となりしか姿(すがた)()えなく。
105曲津神(まがつかみ)数多(あまた)()まひしこの(やま)
106(かみ)経綸(しぐみ)()()りにける。
107()にもあれ予讃(よさ)国原(くにはら)さやぐらむ
108(ゆる)させ(たま)へば(われ)()()かむ。
109(いは)()(かみ)(ちから)()へながら
110予讃(よさ)国原(くにはら)(よみがへ)らせむ』
111 国生男(くにうみを)(かみ)(うた)ふ。
112(われ)(また)朝空男(あさぞらを)(かみ)諸共(もろとも)
113予讃(よさ)国原(くにはら)(すす)みたく(おも)ふ。
114御樋代(みひしろ)(かみ)(ゆる)しませ国生男(くにうみを)
115(わが)()ぎごとを〓(うまら)委曲(つばら)に。
116葭原(よしはら)国土(くに)()(もの)(ことごと)
117(なや)みてあらむ(すす)ませ(たま)へ』
118 朝霧比女(あさぎりひめ)(かみ)(うた)(たま)ふ。
119国生男(くにうみを)(かみ)(ねが)ひを(うべな)ひて
120予讃(よさ)御国(みくに)(ため)(つか)はさむ。
121大御照(おほみてらし)子心比女(こごころひめ)二柱(ふたはしら)
122(わが)(みぎ)(ひだり)(つか)(まつ)れよ。
123朝空男(あさぞらを)国生男(くにうみを)(かみ)鳥船(とりふね)
124(はや)(つく)りて(すす)()でませ』
125 ()(うた)ひて奥殿(おくでん)(ふか)()らせ(たま)ひ、126大御照(おほみてらし)(かみ)子心比女(こごころひめ)(かみ)は、127巌窟(がんくつ)(くち)()(ひか)へて国形(くにがた)看守(みまも)(たま)(こと)となり、128朝空男(あさぞらを)129国生男(くにうみを)二柱(ふたはしら)大峡小峡(おほがひをがひ)()()り、130(あま)鳥船(とりふね)七日七夜(なぬかななよ)日数(ひかず)(かさ)ねて(やうや)くに(つく)()(たま)ひ、131両神(りやうしん)はこの鳥船(とりふね)()りて中空(ちうくう)(つばさ)をうちながら、132予讃(よさ)国原(くにはら)さして(すす)ませ(たま)ふ。
133 朝空男(あさぞらを)(かみ)鳥船(とりふね)()をまかせながら、134中空(ちうくう)()けりつつ、1341御歌(みうた)()ませ(たま)ふ。
135七日七夜(なぬかななよ)()もやらず
136国生男神(くにうみをがみ)諸共(もろとも)
137大峡小峡(おほがひをがひ)()()りて
138目出度(めでた)くここに鳥船(とりふね)
139(つく)()へたる(うれ)しさよ
140(われ)(そら)ゆく(とり)なれや
141下界(げかい)(はるか)見下(みおろ)せば
142葭原(よしはら)国土(くに)広々(ひろびろ)
143あなたこなたに(やま)()
144(きり)(おもて)(うか)びゐる
145下界(げかい)はたしかに()えねども
146(きり)海原(うなばら)(そこ)(ふか)
147(もも)人草(ひとぐさ)(おに)大蛇(をろち)
148(むし)(けだもの)(くさ)()
149火炎(くわえん)(やま)爆発(ばくはつ)
150(なや)みくるしみをののきて
151()きたる心地(ここち)もなかるらむ
152火炎(くわえん)(やま)(とほ)くとも
153御空(みそら)(はし)鳥船(とりふね)
154(はや)(つばさ)(すす)みなば
155一日(ひとひ)(うち)(いた)るべし
156御樋代神(みひしろがみ)天降(あも)らしし
157(あめ)八重雲(やへくも)(くら)ぶれば
158地上(ちじやう)()つる(うれ)ひなく
159安全(あんぜん)無事(ぶじ)(そら)(たび)
160ああさりながらさりながら
161()()(かぜ)(つばさ)をば
162()られて鳥船(とりふね)(さかさま)
163地上(ちじやう)()つる(こと)もがな
164行手(ゆくて)(とほ)(くも)(うへ)
165ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
166()大神(おほかみ)御恵(みめぐみ)
167(やす)平穏(おだひ)(すす)ませ(たま)
168心安(うらやす)らかに(すす)ませ(たま)
169(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)
170(もも)()(よろづ)八千万(やちよろづ)
171天津神等(あまつかみたち)国津神(くにつかみ)
172(まも)らせ(たま)へと()(まつ)る』
173 国生男(くにうみを)(かみ)(うた)ふ。
174(われ)国生男(くにうみを)(かみ)
175(はるか)(たか)(くも)(うへ)
176西(にし)西(にし)へと(すす)みゆく
177この鳥船(とりふね)鳳凰(ほうわう)
178(つばさ)(つよ)真鶴(まなづる)
179(こころ)(そら)()れやかに
180国形(くにがた)()むと(すす)()
181今日(けふ)(たび)こそ(たの)しけれ
182御樋代神(みひしろがみ)神言(みこと)もて
183()大神(おほかみ)御稜威(おんみいづ)
184(うなじ)()けて(すす)みゆく
185吾等(われら)御幸(みさち)あれよかし
186吾等(われら)(ひか)りあれよかし
187(とほ)下界(げかい)見渡(みわた)せば
188黒雲(くろくも)白雲(しらくも)交々(こもごも)
189地上(ちじやう)(つつ)みて(くさ)()
190(ひと)(けもの)()()かず
191漂渺千里(へうべうせんり)海原(うなばら)
192(わた)るが(ごと)心地(ここち)かな
193(いま)まで(そら)(てら)したる
194火炎(くわえん)(やま)(かげ)もなし
195目標(めじるし)さへもなき(そら)
196(すす)(われ)こそ雄々(をを)しけれ
197()大神(おほかみ)()(かぎ)
198(あやま)つことなく(すす)()
199ああ惟神(かむながら)々々(かむながら)
200恩頼(みたまのふゆ)をたまへかし』
201 朝空男(あさぞらを)(かみ)鳥船(とりふね)より(うた)ふ。
202見下(みおろ)せば黒雲(くろくも)白雲(しらくも)(むらが)りて
203荒海原(あらうなばら)(すす)むに()たり。
204(あめ)(つち)中空(なかぞら)をゆく鳥船(とりふね)
205とりつく(しま)()えぬ(たび)かな。
206西(にし)(ひがし)(みなみ)(きた)()()かぬ
207(そら)(うみ)ゆく鳥船(とりふね)あはれ。
208(わが)伊行(いゆ)(そら)(たか)ければ(かぜ)もなく
209(あめ)(した)より()(あが)るなり。
210()(うへ)(しこ)曲事(まがこと)(あらは)れしか
211(そら)のぼり()(くも)はにごれり』
212 国生男(くにうみを)(かみ)(うた)ふ。
213国津神(くにつかみ)(けもの)(なげ)(つた)はるか
214(くも)(あや)しき(こゑ)のふくめる。
215(たか)(こゑ)(あつま)(かた)目的(めあて)にて
216(くだ)()かむかこの鳥船(とりふね)を。
217宇宙間(うちうかん)何物(なにもの)()えず(ただ)(ひと)
218(わが)鳥船(とりふね)のあるのみぞかし。
219御樋代(みひしろ)(かみ)のまします高光(たかみつ)
220(やま)姿(すがた)()えずなりけり。
221()(かみ)(はじ)めて宇宙(うちう)()れませる
222(とき)もかくやと(しの)ばるるかな。
223葭原(よしはら)国土(くに)(ひろ)ければ二夜(ふたよ)三夜(みよ)
224(はし)るも万里(まで)(うみ)には(いた)らず。
225万里(まで)(うみ)(なか)にも(ひろ)葭原(よしはら)
226国津御空(くにつみそら)(さだ)まらぬかな』
227 両神(りやうしん)空中(くうちう)(うた)ひながら、228予讃(よさ)国土(くに)(そら)(しづか)八重雲(やへくも)かき()(くだ)らせ(たま)へば、229(わら)(ばば)()()たりし(しのぶ)(をか)平地(へいち)鳥船(みふね)安々(やすやす)()きにける。
230 火炎山(くわえんざん)一帯(いつたい)(やく)百余里(ひやくより)()大湖水(だいこすゐ)(くわ)したれども、231(しのぶ)(をか)(さいは)ひその圏外(けんぐわい)()かれて、232(やく)一里(いちり)(ちか)くまで湖水(こすゐ)展開(てんかい)()たりける。233二神(にしん)(この)(をか)()()ち、234天地(てんち)神霊(しんれい)(むか)つて、235感謝(かんしや)言霊(ことたま)奏上(そうじやう)数歌(かずうた)をうたはせ(たま)ふ。
236 朝空男(あさぞらを)(かみ)(うた)ふ。
237久方(ひさかた)(あした)(そら)雄々(をを)しくも
238(わた)()にけり鳥船(とりふね)()りて。
239(くも)()けて(くだ)りて()れば(しのぶ)(をか)
240(おも)ひがけなき休所(やすど)なりしよ。
241(あたら)しき火炎(くわえん)(うみ)間近(まぢか)ければ
242この(をか)よりはたしに()ゆるも』
243 国生男(くにうみを)(かみ)(うた)ふ。
244(わづら)ひし(こころ)(やみ)()(はな)
245(われ)(つつが)なく(をか)()()りぬ。
246見渡(みわた)せば火炎(くわえん)(うみ)広々(ひろびろ)
247ほのかに(きり)立昇(たちのぼ)()ゆ。
248今日(けふ)よりはこの(をか)()(いへ)(つく)
249予讃(よさ)国土(くに)をば()かさむと(おも)ふ』
250 ()(うた)(をり)しも、251(わら)(ばば)生命(いのち)(うば)はれし精霊(せいれい)なる国津神(くにつかみ)末子(ばつし)冬男(ふゆを)は、252熊公(くまこう)253虎公(とらこう)(およ)(やま)254(かは)255(うみ)三女(さんぢよ)精霊(せいれい)(とも)に、256(おそ)(おそ)()(きた)り、257(かすか)(こゑ)にて両神(りやうしん)(むか)感謝(かんしや)真心(まごころ)(うた)ふ。
258冬男(ふゆを)久方(ひさかた)天津御空(あまつみそら)天降(あも)りましし
259二柱(ふたはしら)(かみ)(たふと)かりけり。
260葭原(よしはら)予讃(よさ)御国(みくに)曲津神(まがつかみ)
261伊猛(いたけ)(くる)ひて(さわ)がしかりけり。
262火炎山(くわえんざん)爆発(ばくはつ)によりて曲津神(まがかみ)
263その大方(おほかた)(ほろ)()せたり。
264(われ)こそは(いは)()末子(ばつし)冬男(ふゆを)なり
265(いま)はこの()(もの)にあらねど。
266水奔鬼(すゐほんき)(わら)(ばば)アにはかられて
267(うつつ)生命(いのち)(うば)はれし(われ)
268御前(おんまへ)()()すこれの友垣(ともがき)
269(みな)精霊(せいれい)となりにけらしな。
270二柱(ふたはしら)天降(あも)(たま)ひし今日(けふ)よりは
271精霊界(せいれいかい)(やす)くあるべし』
272 (くま)(うた)ふ。
273(われ)(また)(いは)()(きみ)(つか)へたる
274下僕(しもべ)なれども現身(うつそみ)はなし。
275虎公(とらこう)もこの三人(さんにん)乙女等(をとめら)
276みな精霊(せいれい)よあはれみ(たま)へ』
277 朝空男(あさぞらを)(かみ)(うた)ふ。
278『かねて()水奔鬼(すゐほんき)()(さと)
279いづれにあるや(つぶさ)(かた)らへ』
280 冬男(ふゆを)(うた)ふ。
281水奔鬼(すゐほんき)(つかさ)(わら)ひの()アさんが
282()みにし(をか)はここなりにけり。
283吾々(われわれ)(ちから)(おそ)(わら)(ばば)
284火炎(くわえん)(やま)をさして()げたり。
285火炎山(くわえんざん)湖水(こすゐ)となりし(うへ)からは
286(わら)(ばば)アも(ほろ)びしなるらむ』
287 国生男(くにうみを)(かみ)
288(めづら)しき(われ)(はなし)()きにけり
289(わら)(ばば)アを()ひやりしとは。
290精霊(せいれい)といへども冬男(ふゆを)のたましひの
291(つよ)(ちから)(われ)はあきれし』
292 (やま)(うた)ふ。
293(われ)こそは冬男(ふゆを)(つま)精霊(せいれい)
294(まも)らせ(たま)二柱(ふたはしら)(かみ)
295御樋代(みひしろ)(かみ)神言(みこと)天降(あも)りましし
296(たふと)(かみ)()ふぞ(うれ)しき。
297()くならば葭原(よしはら)国土(くに)(やす)からむ
298現界(げんかい)神界(しんかい)幽界(いうかい)なべて』
299 (かは)(うた)ふ。
300水奔鬼(すゐほんき)(わら)(ばば)アの謀計(たくらみ)
301みたまとなりし(かは)(われ)なり。
302虎公(とらこう)精霊(せいれい)(つま)(われ)なりて
303(しのぶ)(をか)(とし)をふりけり。
304二柱(ふたはしら)(たふと)(かみ)()でましに
305精霊(せいれい)(われ)(よみがへ)りたり』
306 (うみ)(うた)ふ。
307虎公(とらこう)精霊(せいれい)(つま)(われ)(うみ)
308(たふと)(かみ)(まへ)()つかな。
309今日(けふ)よりは吾等(われら)(あは)れみ(たま)ひつつ
310曲津神等(まがつかみら)をきため(たま)はれ。
311()()ちし御樋代神(みひしろがみ)御使(おんつか)
312(しのぶ)(をか)天降(あも)りましけり』
313 朝空男(あさぞらを)(かみ)(うた)ふ。
314吾等(われら)二神(にしん)ここに(くだ)りし(うへ)からは
315(こころ)(やす)かれ永久(とは)(まも)らむ』
316 ()(たがひ)(うた)ひつつ、317その()(しのぶ)(をか)冬男(ふゆを)(やかた)(いき)(やす)めける。
318昭和九・七・三〇 旧六・一九 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)