霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 馬詈(ばり)〔五五四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻 篇:第1篇 五里夢中 よみ:ごりむちゅう
章:第4章 馬詈 よみ:ばり 通し章番号:554
口述日:1922(大正11)年03月23日(旧02月25日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年11月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
小鹿峠の谷底につくと、音彦らが気絶しているのを見つけた。宣伝使たちは川の水を口に含んで気絶している三人に吹きかけた。まず音彦が気がついて、一同に礼を言う。
天の数歌を唱えると、弥次彦、与太彦も目を覚ました。しかし弥次彦は、まだ幽界旅行の続きをやっている。与太彦は、弥次彦をポカリと殴って、ようやく弥次彦は現界に帰ってきたことに気がついた。
一同は祝詞を上げて感謝を奏じた。日の出別命は神務のために失礼すると行って、またどこかへ行ってしまった。
六人の宣伝使たちは、上着を脱いで弥次彦と与太彦に与えると、馬に乗って先に行ってしまった。後には弥次彦、与太彦と、先に三五教に改心した六の三人が残された。
三人が歩いて行くと、途中で野馬の群れに出くわした。これに乗って先を行こうと馬を呼び止め、めいめい馬に乗った。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:68頁 八幡書店版:第3輯 182頁 修補版: 校定版:72頁 普及版:32頁 初版: ページ備考:
001 ()出別神(でわけのかみ)は、002サル山峠(やまたうげ)頂上(ちやうじやう)(いこ)へる五人(ごにん)宣伝使(せんでんし)六公(ろくこう)一行(いつかう)(ひき)つれ、003コシカ(たうげ)谷底(たにそこ)(ひづめ)(おと)(いさ)ましく、004(くつわ)()らねて(あら)はれたり。
005 (ここ)音彦(おとひこ)006弥次彦(やじひこ)007与太彦(よたひこ)三人(さんにん)は、008谷底(たにそこ)真砂(まさご)(うへ)(まくら)(なら)べて気絶(きぜつ)して()る。009一同(いちどう)宣伝使(せんでんし)(かは)(がは)河水(かはみづ)(すく)(くち)にふくんで三人(さんにん)面部(めんぶ)(そそ)ぎかけた。010音彦(おとひこ)はウンと一声(ひとこゑ)()()がり、
011(おと)『オイ此処(ここ)何処(どこ)だつたかなア、012三途(せうづ)(かは)(わた)つて(あめ)八衢(やちまた)(すす)んだ(つも)りだに、013この(かは)何時(いつ)出来(でき)たのか、014また三途(せうづ)(かは)此処(ここ)転宅(てんたく)をしたのではあるまいか』
015(いは)『これこれ音彦(おとひこ)サン、016あなた気絶(きぜつ)して()たのですよ。017ここはコシカ(たうげ)谷底(たにそこ)です、018チト(しつか)りして(くだ)さい』
019(おと)『ウンさうだつたかなア、020すつての(こと)幽界(いうかい)旅行(りよかう)地獄(ぢごく)探険(たんけん)をやるところでした。021ようまア(たす)けに()(くだ)さいました。022()()現界(げんかい)にご(よう)があると()えますなア』
023(いは)『あるともあるとも、024(いま)斯様(こん)なところに国替(くにがへ)して(たま)るものか、025(しつか)りして(くだ)さい。026(これ)から遥々(はるばる)フサの(みやこ)到着(たうちやく)してコーカス(ざん)(すす)まねばならぬ。027途中(とちう)(へたば)られては吾々(われわれ)幸先(さいさき)(わる)いですからなア』
028 音彦(おとひこ)()(こす)りながら、
029(おと)『ハア()出別(でわけ)神様(かみさま)その()御一同(ごいちどう)030(めう)(ところ)でお()(かか)りました。031イヤお(たす)けに(あづか)りました』
032(いは)音彦(おとひこ)サンは、033やつとの(こと)蘇生(そせい)をして(くだ)さつたが、034二人(ふたり)(かた)はまだ(たま)がへしが出来(でき)()ない。035(みな)さま一斉(いつせい)魂呼(たまよ)びを(いた)しませう』
036 一同(いちどう)(こゑ)(そろ)へて(ひと)(ふた)()()(いつ)(むゆ)(なな)()(ここの)(たり)(もも)()(よろづ)四五回(しごくわい)繰返(くりかへ)せば、037弥次彦(やじひこ)038与太彦(よたひこ)はムクムクと(うご)()したり。
039(おと)『ヨー弥次彦(やじひこ)サン、040()()けたり。041与太彦(よたひこ)サン()()けたり』
042()銅木像(どうもくざう)()が、043また()()(しな)()(だま)さうと()つたつて、044その()()るものかい。045これ源五郎(げんごらう)サツク()046三途川(せうづがは)鬼婆(おにばば)代理(だいり)(つと)めたこの弥次(やじ)サンだぞ。047()加減(かげん)改心(かいしん)せぬかい』
048(いは)『これこれ弥次(やじ)サン、049(しつか)りせぬか』
050『これこれ与太(よた)サン、051(しつか)りせぬか』
052()(なに)(ぬか)しよるのだ。053源五郎(げんごらう)のお(ばけ)()が』
054(おと)『オイオイ、055弥次彦(やじひこ)056与太彦(よたひこ)両人(りやうにん)057此処(ここ)冥土(めいど)ぢやないぞ、058コシカ(たうげ)谷底(たにそこ)だよ』
059()『ヘン、060馬鹿(ばか)にするない、061コシカ(たうげ)(とう)(むかし)空中滑走(くうちうくわつそう)をやつて首尾(しゆび)よく帰幽(きいう)したのだ。062それから三途(せうづ)(かは)(わた)つて(あめ)八衢(やちまた)銅木像(どうもくぞう)(いま)遁走(とんそう)させた(ところ)だ。063如何(いか)亡者(まうじや)になつたとて、064娑婆(しやば)()(もど)(やつ)があるかい、065(おれ)刹那心(せつなしん)だ。066一足(ひとあし)後戻(あともど)りは、067(きら)ひだよ』
068(おと)『アヽ(こま)つたものだなア、069やつぱり亡者(まうじや)気分(きぶん)()ると()える。070コレコレ弥次(やじ)サン、071与太(よた)サン()んで()るのぢやないよ、072(いき)(かへ)つたのだよ』
073()馬鹿(ばか)()ふな、074()んだ(もの)二度(にど)()前例(ためし)があるかい。075()(かへ)るも()ねかへるもあるものかい、076(まへ)修羅(しゆら)妄執(まうしふ)をサラリと()てて、077十万億土(じふまんおくど)(たび)をするのだ。078顕幽(けんいう)(さかひ)(こと)にしたこの幽界(いうかい)幾何(いくら)娑婆(しやば)(こひ)しうても一旦(いつたん)()くところ(まで)()かねばならぬのだ。079(いま)中有(ちうう)だ。080やがて生有(せいう)()るであらう、081それまでは幽界(いうかい)規則(きそく)遵奉(じゆんぽう)して神妙(しんめう)旅行(りよかう)するのだ、082ノウ与太公(よたこう)
083()『エヽ弥次(やじ)サン、084(ちつ)(へん)ぢやないか、085(なん)だか娑婆(しやば)(くさ)くなつて()たやうだよ。086()出別(でわけ)神様(かみさま)もお()えになつて()る。087沢山(たくさん)宣伝使(せんでんし)御列席(ごれつせき)だ。088()加減(かげん)()()まさぬかい』
089()馬鹿(ばか)()ふな、090()出別(でわけ)一行(いつかう)俺等(おれら)よりも(さき)幽界(いうかい)旅行(りよかう)だ。091銅木像(どうもくぞう)(ばけ)(やつ)日天様(につてんさま)(あたま)()ちよつて遁走(とんそう)した(あと)(あら)はれて()られたぢやないか』
092(いは)彼奴(あいつ)(ひと)(みづ)()きやうが()らぬ、093いつその(こと)094身体(からだ)ぐち(この)(かは)へドブヅケ茄子(なす)とやつたらどうだらう』
095 与太彦(よたひこ)()(ごゑ)()して、
096()『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)097折角(せつかく)(たす)かつたものを、098ソンナ(こと)をして(もら)つたら土左衛門(どざゑもん)になります。099それだけは何卒(どうぞ)(ゆる)してやつて(くだ)さいませ。100アーア弥次彦(やじひこ)はなぜコンナに(わか)らぬのだらうか、101可愛(かあい)(あま)つて(にく)らしうなつて()たワイ』
102与太彦(よたひこ)力限(ちからかぎ)(はな)捻上(ねぢあ)げる。
103()『アイタヽヽ、104冥土(めいど)()ても()改心(かいしん)をせずに(おれ)(はな)()ぢよつて、105貴様(きさま)きつと地獄(ぢごく)鼻責(はなぜめ)()はされるぞよ』
106一同(いちどう)『アハヽヽヽ』
107()(なん)だ、108(ひと)(はな)(つま)まれて(くる)しんで()るのに、109敬神(けいしん)(みち)(つた)ふる宣伝使(せんでんし)たるものが、110可笑(をか)しさうに(わら)ふと()(こと)があるものか。111冥土(めいど)道連(みちづれ)貴様(きさま)(いのち)()つてやるのだけれど(すで)()んだ(やつ)だから()(いのち)もなく、112エヽ残念(ざんねん)(こと)だ。113(おに)にでも()つたら全部(ぜんぶ)告発(こくはつ)してやるからさう(おも)へ』
114()『エヽ仕方(しかた)()(やつ)だナア。115此奴(こいつ)(よみがへ)りそこねよつて、116身魂(みたま)転宅(てんたく)をやらかし発狂(はつきやう)しよつたな』
117拳骨(げんこつ)(かた)めて横面(よこづら)をポカンと()る。118その(いきほひ)弥次彦(やじひこ)はヒヨロヒヨロとひよろつき、119(いし)(つまづ)ばたり()けた。
120()『アイタヽヽ、121やつぱり(いた)(こと)(わか)(わい)122さうすると()娑婆(しやば)()つたのかいなア。123ヤア()出別(でわけ)さま、124(たか)サン、125(いは)サン、126(うめ)サン、127(こま)サンに(おと)サン、128与太彦(よたひこ)に、129もう一匹(いつぴき)のお(かた)
130(おと)『アーア、131(まへ)はそれだから(こま)るのだ。132性念(しやうねん)がつくと(すぐ)(よそ)のお(かた)(つかま)へて一匹(いつぴき)だなんて(くち)(わる)(をとこ)だナア』
133()『ヤア矢張(やつぱり)本当(ほんたう)だ。134コシカ(たうげ)谷底(たにそこ)だつたワイ』
135一同(いちどう)()()いた、136()()いた。137サア(いはひ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)だ』
138一同(いちどう)真裸(まつぱだか)となつて(かは)()()み、139御禊(みそぎ)(しう)天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)する。
140()『オー(おも)はぬ時間(じかん)(つひ)やした。141コーカス(ざん)神務(しんむ)(いそが)しい。142吾々(われわれ)はお(さき)失敬(しつけい)する、143皆様(みなさま)(ゆつく)(あと)から()(くだ)さい』
144()ひながら(うま)手綱(たづな)()()空中(くうちう)目蒐(めが)けて(すず)(おと)145(くつわ)(おと)(いさ)ましく、146シヤンコシヤンコと空中(くうちう)()して(のぼ)()く。
147(いは)『ヨー(さすが)()出別(でわけ)(かみ)さま、148天馬(てんば)(くう)()くと()(はな)(わざ)は、149吾々(われわれ)(ごと)(ちから)()宣伝使(せんでんし)では到底(たうてい)(のぞ)まれない。150(みな)サンこれからフサの(みやこ)(いそ)ぎませう。151弥次彦(やじひこ)152与太彦(よたひこ)153一人(ひとり)のお(かた)154(ゆつく)(あと)から()(くだ)さい』
155 六人(ろくにん)宣伝使(せんでんし)(くつわ)(なら)べて()()さむとする。156弥次彦(やじひこ)(うま)(くつわ)ぐつ(にぎ)り、
157()『マア()つた()つた、158二人(ふたり)裸人(はだか)はどうして(くだ)さるのだ』
159(いは)『みな一枚(いちまい)づつ()いで()して()げませうか』
160一同(いちどう)宜敷(よろし)からう』
161上着(うはぎ)一枚(いちまい)づつ()ぎ、
162一同(いちどう)三人様(さんにんさん)163(あと)から(ゆつく)()(くだ)さい。164貴方(あなた)二本足(にほんあし)165吾々(われわれ)四本足(しほんあし)()つて()るのだから、166到底(たうてい)(おつ)つけない。167フサの(みやこ)()つて()ます』
168駿馬(しゆんめ)(むちう)(くも)(かすみ)とかけ()りにける。
169()『アア()(なか)(めう)なものだワイ、170三途川(せうづがは)鬼婆(おにばば)が、171裸体(らたい)吾々(われわれ)(つかま)へて衣服(いふく)()ければ親譲(おやゆづ)りの皮衣(かはごろも)()しよらぬかと(ぬか)しよつたに、172(さすが)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)173立派(りつぱ)着物(きもの)()()てて()()もなく二人(ふたり)(あた)へて()つてしまつた。174オイ与太(よた)175羽織(はおり)ばかり(もら)つたところで、176仕方(しかた)()いぢやないか、177(おび)もなし、178(はかま)もなし、179生憎(あひにく)(はり)(いと)()つて()ないから、180仕立(したて)(なほ)すわけにも()かず、181アヽこれだから独身(どくしん)生活(せいくわつ)(こま)ると()ふのだ。182青瓢箪(あをべうたん)のやうな(かかあ)はあつても、183高取村(たかとりむら)まで(かへ)らねばお()(かか)(わけ)にも()かず、184電話(でんわ)でもあつたら()けて()()せるのだけれど、185仕方(しかた)がないなア』
186()()(こと)がある、187羽織(はおり)(さかさ)まにして(そで)両足(りやうあし)突込(つつこ)めば立派(りつぱ)(はかま)出来(でき)る。188さうして(うへ)羽織(はおり)()るのだ、189もう一枚(いちまい)羽織(はおり)前後(まへうしろ)にして()さへすれば()い、190(なん)妙案(めうあん)だらう』
191()妙案(めうあん)々々(めうあん)192しかし(おび)如何(どう)するのだい』
193()(おび)其辺(そこら)(かづら)むしつて臨時(りんじ)代用(だいよう)だ。194これを()(ひさ)()女房(にようばう)(いへ)(かへ)り、195門口(かどぐち)()つて、196女房(にようばう)(よろこ)べ、197背中(せなか)がお(はら)になつたぞよ、198かますのだ。199そこで女房(にようばう)(やつ)200(ひと)(のが)れて(また)(ひと)つ』
201()『オイオイソンナ滑稽(こつけい)()つて()場合(ばあひ)ぢやないぞ、202ソンナ(こと)五十万年後(ごじふまんねんご)未来(みらい)十九世紀(じふくせいき)とか()(とき)の、203ガラクタ人間(にんげん)近松(ちかまつ)とか出雲(いづも)とか(なん)とか()坊主(ばうず)(あが)りが(つく)文句(もんく)だ。204(いま)天孫降臨(てんそんかうりん)(ぜん)原始(げんし)時代(じだい)だ。205未来(みらい)(ゆめ)()(やつ)があるかい』
206()207(ろく)『ウフヽヽヽ』
208()『お(まへ)何処(どこ)から()つて()たのだ、209(なん)といふ(をとこ)だい』
210(ろく)『ハイ、211(わたくし)(ろく)といふ(をとこ)でございます』
212()()うせろくでも()(やつ)だと(おも)つて()つた。213ろくろくに挨拶(あいさつ)もしよらぬと(なん)だい、214その六ケ(むつか)しい(かほ)は』
215(ろく)『どうぞ以後(いご)見知(みし)()かれまして、216()つまじう末長(すゑなが)御交際(ごかうさい)(ねが)ひます』
217()『アハヽ此奴(こいつ)面白(おもしろ)い、218三人(さんにん)()(もと)だ、219いよいよ(これ)からコシカ(たうげ)四十八坂(しじふやさか)跋渉(ばつせふ)し、220ウラル(けう)奴輩(やつばら)片端(かたつぱし)から言向(ことむ)(やは)し、221フサの(みやこ)凱旋(がいせん)をするのだ。222何時迄(いつまで)もコンナ谷底(たにそこ)(とぼ)(がほ)してウヨウヨして()るのも()()かない。223さあさあ馬丁(べつとう)224(うま)用意(ようい)だ』
225(ろく)(うま)何処(どこ)()りますか』
226()(なに)227膝栗毛(ひざくりげ)だ。228(こころ)(こま)鞭打(むちう)つて(てき)牙城(がじやう)突撃(とつげき)(こころ)むるのだ。229(いち)()(さん)()230全隊(ぜんたい)(すす)めツ』
231()『オイオイ弥次公(やじこう)232()とは(なん)だ、233三人(さんにん)より()ないぢやないか』
234()馬鹿(ばか)()ふな、235守護神(しゆごじん)がついとるぞ、236サア詔直(のりなほ)して今度(こんど)一人(ひとり)二人(ふたり)勘定(かんぢやう)だ。237(おれ)(ひと)標本(へうほん)()してやらう、238(おれ)が、239一人(いちにん)二人(ににん)三人(さんにん)四人(よにん) 五匹(ごひき)六匹(ろつぴき) 七人(しちにん) 八匹(はつぴき)九匹(くひき) 十人(じふにん) 十一匹(じふいつぴき)十二匹(じふにひき)240()()ふのだよ』
241()怪体(けたい)勘定(かんぢやう)だな、242何故(なぜ)ソンナ(ひと)(ひき)とを混合(こんがふ)するのだい』
243()(きま)つたことよ、244人間(にんげん)三人(さんにん)守護神(しゆごじん)三人(さんにん)245()(あし)六匹(ろつぴき)だ、246貴様等(きさまら)守護神(しゆごじん)一匹(いつぴき)二匹(にひき)沢山(たくさん)だよ』
247()馬鹿(ばか)にしよる、248エヽ仕方(しかた)がない、249一匹(いつぴき)でも(つれ)(おほ)(はう)道中(だうちう)(にぎ)やかだ、250オイ六人(ろくにん)六匹(ろつぴき)突喊(とつかん)々々(とつかん)
251馬鹿口(ばかぐち)(たた)きながら絶壁(ぜつぺき)を、252()(かぶ)(ちから)坂道(さかみち)まで(やうや)辿(たど)()いた。
253()『アヽ此処(ここ)此処(ここ)だ、254ウラル(けう)(やつ)255数百人(すうひやくにん)をもつて吾々(われわれ)(かこ)みよつた(ところ)だ。256弥次(やじ)サン与太(よた)サンの古戦場(こせんじやう)だ。257亡魂(ばうこん)此辺(ここら)(まよ)ふて()るかも()れぬ。258記念碑(きねんひ)でも()ててやらうかい』
259()『アハヽヽ、260()洒落(しやれ)(やつ)だナア』
261(ろく)(これ)から(さき)には四十八坂(しじふやさか)()大変(たいへん)(きつ)(さか)がありますぜ、262まア(ゆつく)りと此処(ここ)休息(きうそく)して()きませう、263大分(だいぶん)長途(ちやうと)(たび)(つか)れましたからなア』
264()馬鹿(ばか)にするない、265長途(ちやうと)(たび)一寸(ちよつと)(たび)()らないが、266(いま)此処(ここ)谷川(たにがは)から(やうや)此処(ここ)まで(のぼ)つて()たばかりぢやないか』
267(ろく)(わたくし)宣伝使(せんでんし)のお(とも)をしてサル山峠(やまたうげ)頂上(ちやうじやう)から七八里(しちはちり)(みち)をテクツて()ました、268(あし)草臥(くたび)れて()ます、269一寸(ちよつと)一服(いつぷく)さして(くだ)さいな』
270()(なん)だ、271八里(はちり)十里(じふり)(ある)いたつてそれ(ほど)(くる)しいか、272(おれ)たちは(いま)十万億土(じふまんおくど)(たび)をして()たところだ。273それでも(おれ)のコンパスはコンナものだい。274アハヽヽヽ』
275 かく雑談(ざつだん)(ふけ)(をり)しも、276数千頭(すうせんとう)野馬(やば)(むれ)をなして此方(こなた)(むか)つて()(きた)る。
277(ろく)『ヤア有難(ありがた)いものだ。278(てん)(あた)へた野馬(やば)()つて()(こと)にせう、279(くら)もなし裸馬(はだかうま)()るのは野馬(やば)なものだが、280仕方(しかた)がないワ、281もしも野馬(やば)一緒(いつしよ)にこの渓谷(けいこく)(すべ)()ちて(また)もや弥次(やじ)サンや、282与太(よた)サンのやうに冥土(めいど)(たび)をするやうになつたら後世(こうせい)人間(にんげん)此処(ここ)六道(ろくだう)(つじ)六公(ろくこう)終焉地(しうえんち)だ。283野馬(やば)()ちた(ところ)や、284野馬渓(やばけい)だと記念碑(きねんひ)でも()てて名所(めいしよ)にするかも()れぬぞ。285オイ、286野馬公(やばこう)(やつ)287(ろく)サンの(あふ)せだ、288馬匹(ばひつ)点検(てんけん)だ、289全隊(ぜんたい)()まれ。290ヤアこの野良馬(のらうま)()291吾輩(わがはい)言霊(ことたま)馬耳東風(ばじとうふう)()(なが)しよるナ、292(あま)馬鹿(ばか)にするない』
293(うま)『モシモシ三人(さんにん)足弱(あしよわ)サン、294(わたくし)御用(ごよう)ですか、295賃金(ちんぎん)幾何(いくら)()します』
296(ろく)『ヨー此奴(こいつ)297勘定(かんぢやう)(たか)(やつ)だナ、298ウラル(けう)だな。299()(くも)つて()ると(うま)までが()けよつて人語(じんご)使(つか)ふやうになつて()(わい)300もう()(をは)りだ』
301(うま)(うま)でも(もの)()ひますとも、302(きつね)でも(たぬき)でも(もの)()つてるぢやないか』
303()何処(どこ)(きつね)(たぬき)(もの)()つてるかい』
304(うま)『お(まへ)サンの(はら)(なか)から副守護神(ふくしゆごじん)とか()つて(しやべ)つて()るよ。305(きつね)(もの)()ふのに(うま)(もの)()はれぬと()規則(きそく)があるか、306(まへ)()いて()るだらう「(うま)(もの)()ふた鈴鹿(すずか)(さか)で、307三女郎(さんぢよらう)なら()せうと()た」この(うま)サンも(をんな)なら()せたいのだけれど、308ソンナ欠杭(かつくひ)()(もの)()たやうな唐変木(たうへんぼく)()せるのは(ちつ)()(いた)い。309しかしお(さん)(かは)りに(きつね)三匹(さんびき)()せてやらうか、310(まへ)のやうな(やつ)は、311世間(せけん)から「(きつね)(うま)()せたやうな(やつ)」だと()はれて()るから名実(めいじつ)相伴(あひともな)ふ、312言行一致(げんかういつち)三五教(あななひけう)教理(けうり)実現(じつげん)だ。313どうだ、314この(うま)サンのヒンヒン、315ヒントは(はづ)れはせまい』
316(ろく)(うま)いこと(ぬか)しよる、317馬鹿(ばか)々々(ばか)しいが、318今日(けふ)弥次彦(やじひこ)319与太彦(よたひこ)サンの御命日(ごめいにち)オツトどつこい再生日(さいせいび)だから、320慈悲(じひ)()つてやらうかい、321貴様(きさま)もこれで(さき)()には人間(にんげん)(うま)れて()られるワ、322宣伝使(せんでんし)()せた御利益(ごりやく)()ふものは(えら)いものだぞ』
323(うま)人間(にんげん)()せるのなら有難(ありがた)いけれど、324(きつね)(たぬき)容器(いれもの)()せるかと(おも)へば(なさけ)なくなつて()た。325ヒンヒンヒン、326(ひん)ほど(つら)いものがあらうか、327四百四病(しひやくしびやう)(やまひ)より、328(つら)いのは狐狸(こり)使(つか)はれる(こと)だ。329アヽ慈善的(じぜんてき)四十八坂(しじふやさか)(わた)つて野馬渓(やばけい)実現(じつげん)でもやつて、330末代(まつだい)()(のこ)さうかな』
331()『こりや()しからぬ、332迂濶(うつかり)()れたものぢやないぞ』
333(うま)(ひと)には()ふて()い、334(うま)には()つて()いだ、335サア(はや)()らぬかい、336貴様(きさま)毎時(いつも)()(くら)(ところ)(かか)アの()ちよろまかして、337(かね)(ぬす)んで、338行灯部屋(あんどんべや)()()まれ、339(しまひ)には(うま)をつれて(かへ)代物(しろもの)だよ。340(うま)(おく)つて(もら)ふのは、341一寸(ちよつと)(ねが)つたり(かな)つたりだ、342ヒンヒンヒン』
343三人(さんにん)『エヽ八釜(やかま)しい(わい)344それほど(たの)めば()つてやらう』
345と、346数十(すうじふ)(うま)目蒐(めが)けて()びついた。
347()『ヤア此奴(こいつ)(あて)(ちが)つた、348睾丸(きんたま)のある(やつ)だ。349(おな)()るのなら(ひん)(はう)()()へてやらうか、350()過失(あやまち)のり(なほ)せだ』
351(うま)『ドツコイ、352さうは()かぬぞ、353()りかけた(ふね)ぢやない(うま)だ。354もうかうなつては此方(こちら)(もの)だ、355鷲掴(わしづかみ)源五郎(げんごらう)のやうに、356急阪(きふはん)になつたら前足(まへあし)()げてデングリ(かへ)つて()(はら)(つぶ)してやるのだ。357ヤア面白(おもしろ)い おもしろい』
358()(おれ)のは(ひん)だ、359此奴(こいつ)(ちつ)温順(おとな)しいらしいぞ』
360(ろく)(おれ)のも(ひん)ぢや』
361()『ヤイ八釜敷(やかまし)いわい、362(うま)がヒンヒン(ぬか)してビン棒籤(ぼうくじ)()いて(こま)つて()るのに、363貴様(きさま)(まで)(おな)じにヒンヒンと(ぬか)すな、364ヒンの(わる)い』
365 数多(あまた)(うま)(こゑ)(そろ)へて、
366『ヒンヒンヒン、367ヒンヒンヒン』
368大正一一・三・二三 旧二・二五 加藤明子録)