霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 一途川(いちづがは)〔五六四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑の巻 篇:第3篇 高加索詣 よみ:こーかすまいり
章:第14章 第14巻 よみ:いちずがわ 通し章番号:564
口述日:1922(大正11)年03月25日(旧02月27日) 口述場所: 筆録者:谷村真友 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年11月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行は小鹿峠の四十八坂を越えると、水勢轟々と流れる谷川に行き当たった。弥次彦は、コーカス山への参詣街道なのに、自分たち意外に人が一人も通っていないことを不審に思う。
勝公は、ここはまたもや幽界ではないかといぶかる。六公は、川べりの松の木の下に、小さな家を見つける。与太彦は、ふざけて一夜の宿を乞うこっけいな歌を歌う。
家の中から婆の声がするが、ここは三途の川ではなく、一途の川だと言う。婆は四人を家に招き入れた。
見れば一人の病人が伏せっており、中年増の婆さんが枕辺に座っている。婆は、常世姫のお台様が病気で寝ているのだ、という。そして自分は木常姫の生まれ変わりであり、二十坂上で弥次彦らに憑依して苦しめたのも自分だ、という。
婆は、天国に行こうとする者の魂を抜いて地獄に落とすために、偽日の出神、偽乙姫となって信者をたぶらかし、変性女子を困らせてやるのだ、という。
寝ていた婆も起き上がり、包丁を持って四人に襲い掛かる。四人は奮戦するが、ついに勝彦は包丁でぐさりと腰を刺された、と思うと、一行は二十五峠の谷間に、風に吹かれて気絶していたのであった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1414
愛善世界社版:230頁 八幡書店版:第3輯 243頁 修補版: 校定版:238頁 普及版:109頁 初版: ページ備考:
001 小鹿峠(こしかたうげ)四十八坂(しじふやさか)をば、002一行(いつかう)四人(よにん)はやつと打越(うちこ)え、003見渡(みわた)(かぎ)茫々(ばうばう)たる雑草(ざつさう)(しげ)広野原(ひろのはら)004(あし)にまかせて(すす)()く。005ピタリと行当(ゆきあた)つた、006水勢(すゐせい)轟々(ぐわうぐわう)として飛沫(ひまつ)()ばし、007(うづ)まき(なが)るる谷川(たにがは)(かたはら)辿(たど)()いた。
008()『アヽ吾々(われわれ)はやうやうにして、009小鹿峠(こしかたうげ)四十八坂(しじふやさか)()え、010此処(ここ)広野原(ひろのはら)一行(いつかう)四人(よにん)()れ、011てくついて()たが、012此処(ここ)にピタリと行詰(ゆきつ)まつた、013(えら)(かは)(よこた)はつて()るワイ。014これからフサの(みやこ)(わた)り、015コーカス(ざん)()(まで)は、016随分(ずゐぶん)(なが)道程(みちのり)だが、017それまでには沢山(たくさん)難所(なんしよ)()るだらう。018それにしても絡繹(らくえき)として(つづ)日々(ひび)老若男女(らうにやくなんによ)参詣者(さんけいしや)は、019一体(いつたい)何処(どこ)(とほ)つて()くのだらう。020この(ごろ)街道(かいだう)雑沓(ざつたふ)だと()(こと)だのに、021吾々(われわれ)通過(つうくわ)する(ところ)(ひと)()一匹(いつぴき)()らぬぢやないか。022ナンデも()れは小鹿峠(こしかたうげ)(くだ)(しま)ひから行手(ゆくて)()(まよ)ひ、023反対(はんたい)方向(はうかう)(すす)んで()たのではあるまいかなア』
024()(なん)だか、025気分(きぶん)()えぬ天候(てんこう)()四辺(あたり)状況(じやうきやう)()ひ、026まるで幽界(いうかい)旅行(りよかう)(やう)だ。027いつやら谷底(たにそこ)()ちて(たましひ)(ちう)(まよ)ひ、028とうとう六道(ろくだう)(つじ)まで()つて銅木像(どうもくざう)()つた(とき)(やう)按配式(あんばいしき)だぞ。029どうやら(この)(かは)三途(せうづ)(かは)兄弟分(きやうだいぶん)ぢやあるまいか、030(なん)だか(へん)(かぜ)()いて()るぞ。031アヽ此奴(こいつ)不思議(ふしぎ)だ、032(いま)(いま)まで泰然自若(たいぜんじじやく)(おつ)(かま)へこみて()山岳(さんがく)(やつ)033()らぬ()何処(どこ)かへ()えて仕舞(しま)ひよつた、034まるで三途(せうづ)(かは)のやうな按配式(あんばいしき)だ、035ナア弥次彦(やじひこ)036貴様(きさま)はどう(おも)ふか』
037()吾々(われわれ)言霊(ことたま)御神力(ごしんりき)恐縮(きようしゆく)しよつて、038(やま)(やつ)(くも)(かすみ)()()りよつたなア。039随分(ずゐぶん)三五教(あななひけう)吾々(われわれ)豪勢(がうせい)なものだワイ』
040(かつ)『オイ此処(ここ)冥土(めいど)(なが)るる三途(せうづ)(かは)ぢやなからうかな。041(なん)だか娑婆(しやば)(かは)(くら)べて調子(てうし)(ちが)ふやうだ』
042()調子(てうし)(ちが)つたつて御心配(ごしんぱい)なさいますな、043この弥次(やじ)サンはドンドンながらポンポンながら、044カンカンながら、045前後(ぜんご)()めて弐回(にくわい)までも、046幽界(いうかい)探険(たんけん)実地(じつち)経験(けいけん)()つて()るお(にい)サン。047最初(さいしよ)与太公(よたこう)()つて()(とき)には、048三途(せうづ)(かは)(じつ)綺麗(きれい)(みづ)だつた、049それが第二回目(だいにくわいめ)()(とき)には(なん)とも()れぬ、050臭気(しうき)紛々(ふんぷん)たる川風(かはかぜ)(はな)()くやう、051小便(せうべん)大便(だいべん)黒血(くろち)鼻啖(はなたん)混合(こんがふ)したやうな、052(むさ)くるしい(もの)流水(りうすゐ)代用(だいよう)芸当(げいたう)(しづ)かにやつて()た。053その(とき)三途(せうづ)(かは)渡守(わたしもり)(けん)脱衣婆(だついばば)()が、054()(なか)(やつ)(けが)れた(こと)をしをるから、055この(きよ)(かは)がコンナに(きたな)くなつたと()ひよつた。056どうせコンナ(きたな)娑婆(しやば)が、057さう(にはか)清潔(せいけつ)になるものぢやないから矢張(やつぱり)冥土(めいど)にある三途(せうづ)(かは)なら、058依然(いぜん)として汚濁(をだく)(みづ)永久(とこしへ)()(なが)れて()(はず)だ。059(これ)はまた素敵(すてき)滅法界(めつぽふかい)清流(せいりう)だ、060これを(おも)へば三途(せうづ)(かは)とは、061どうしても受取(うけと)れないワ』
062(ろく)『モシモシ(みな)サン、063彼処(あすこ)枝振(えだぶり)洒落(しやれ)(まつ)根許(ねもと)(ちい)さい(いへ)(あら)はれて()るぢやありませぬか、064あれやきつと三途(せうづ)(かは)鬼婆(おにばば)本宅(ほんたく)かも()れませぬぜ』
065()『ナーニ、066あれや瓦葺(かはらぶき)だ。067(ばば)御館(おやかた)()ふものは、068それはそれは立派(りつぱ)なものだ。069どうしても比較(ひかく)にはならない黄金蔵(わうごんぐら)(やう)だよ』
070()黄金蔵(わうごんぐら)つて(なん)だい、071この(まへ)貴様(きさま)旅行(りよかう)した(とき)には()すぼらしい雪隠(せんち)小屋(ごや)(やう)(いほり)じやなかつたかい』
072()『アハヽヽヽ、073(あたま)(わる)(やつ)だナ、074雪隠(せんち)小屋(ごや)(やう)だから、075当世流(たうせいりう)黄金蔵(わうごんぐら)言霊(ことたま)()(なほ)したのだよ』
076()(なに)(ぬか)しよるのだ、077(しか)しどうも(くさ)いぞ。078(ひと)つドンナ(やつ)()るか(おとな)ふて()やうかい』
079()『マア()(ひと)(かんが)へものだ。080熟思黙考(じゆくしもくかう)余地(よち)十二分(じふにぶん)(そん)する』
081()『ヤア(かま)はぬ(あた)つて(くだ)けだ。082(ひと)(ぜん)(あく)(きよ)(じつ)(ぢぢ)(ばば)か、083絶世(ぜつせい)美人(びじん)かおかめか、084検非違使(けびゐし)別当(べつたう)与太衛門尉(よたゑもんのじやう)無手勝公(むてかつこう)首実検(くびじつけん)(およ)ばうかい』
085()『アハヽヽ、086(また)そろそろはつしやぎ()したなア、087それほどはつしやぐと、088日輪様(にちりんさま)御出(おで)ましになつたら、089貴様(きさま)細腕(ほそうで)(くす)ぼつてしもうぞ』
090()(なに)()ふのだ、091(くすぼ)つて()たら、092この(かは)にザンブと(つけ)れば()いのだ。093採長補短(さいちやうほたん)094水欠水補(すゐけつすゐほ)だ、095ソンナ(こと)心配(しんぱい)するな。096自由自在(じいうじざい)天地(てんち)跋渉(ばつせふ)する、097三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)候補者(こうほしや)だ』
098()ひながら小屋(こや)(かたはら)にツツと立寄(たちよ)(めう)腰付(こしつ)きをして、099両手(りやうて)蟷螂(かまきり)(やう)(かま)へたまま(ひざ)をくの()()げ、100(しり)()りながら、101一軒屋(いつけんや)無双窓(むさうまど)(のぞ)き、
102『モウシモウシお(ばあ)サン
103一夜(いちや)宿(やど)(ねが)ひます
104それはお(やす)(こと)ながら
105これなる部屋(へや)()けまいぞ
106それは(まこと)有難(ありがた)
107今宵(こよひ)此処(ここ)にゆつくりと
108(あし)()ばして()るであらう
109(ばば)(くち)(とが)らして
110これなる居間(ゐま)()けまいぞ
111()ひつつお(ばば)谷川(たにがは)
112手桶(てをけ)をさげて(みづ)()みに
113(あと)与太彦(よたひこ)(ただ)一人(ひとり)
114(いま)なるお(ばば)()ふたには
115これなる部屋(へや)()けなとは
116てつきりおむすの添伏(そへぶ)しか
117(なに)()もあれ()けて()
118左手(ゆんで)(ふすま)カラリ()
119つらつら()ればこは如何(いか)
120あちらの(すみ)には(てて)がある
121こちらの(すみ)には(あし)がある
122今宵(こよひ)この()にとまりなば
123手足(てあし)(ほね)もグダグダに
124出刄(でば)料理(れう)つて(しほ)つけて
125おほかたお(ばば)()ふであろ
126これやたまらぬと(あわ)()
127裏口(うらぐち)()して(しり)からげ
128スタコラヨイサノ、ドツコイシヨ
129ドツコイサノエツサツサノ、エンサノサ
130エツササノエササ、エササノサツサイ
131アハヽヽヽ』
132()『コラこの大馬鹿(おほばか)133(なに)洒落(しやれ)るのだ、134此処(ここ)はどうやら三途(せうづ)(かは)だぞ。135まごまごして()ると本当(ほんたう)三途(せうづ)(かは)鬼婆(おにばば)が、136(また)着物(きもの)をすつくり()()げて、137親譲(おやゆづ)りの洋服(やうふく)まで(わた)せと(ぬか)しよるぞ、138君子(くんし)(あやふ)きに(ちか)づかずだ、139(はや)くこちらへ()げてこぬかい』
140()『エヽ今回(こんくわい)前回(ぜんくわい)もあつたものかい、141カイツクカイのカイカイカイだ。142オーイ三途(せうづ)(かは)鬼婆(おにばば)143先達(せんだつて)()与太公(よたこう)(また)()たぞ。144モウ何時(なんどき)ぢやと(おも)ふて()るのだ、145()加減(かげん)()きぬかい』
146 (いへ)(なか)より、147中婆(ちうばば)(こゑ)として、
148(ばば)()れぢや()れぢや、149折角(せつかく)夜中(よなか)(ゆめ)()()るのに、150門口(かどぐち)であた八釜(やかま)しい(ぬか)(やつ)何奴(どいつ)ぢやい』
151()(たれ)でもないワイ、152俺様(おれさま)ぢや』
153(ばば)俺様(おれさま)()つたつて()()はな(わか)るかい、154貴様(きさま)智慧(ちゑ)()らぬ(やつ)ぢやなア、155()()えぬ肝腎(かんじん)なものを()として()よつたと()えるワイ』
156()『コラコラ三途(せうづ)(かは)鬼婆(おにばば)()157(なに)愚図々々(ぐづぐづ)()つて()るのだい。158(はや)手水(てうづ)をつかつて与太(よた)サンの一行(いつかう)に、159渋茶(しぶちや)でも()まないかい』
160(ばば)八釜(やかま)しい()ふな、161病人(びやうにん)があるのに病気(びやうき)(さは)るワイ、162ゲン(わる)いことを()ふて()れな、163冥土(めいど)(なん)ぞの(やう)三途(せうづ)(かは)ぢやのと、164此処(ここ)一途(いちづ)(かは)ぢやぞ』
165()『ヤア時節柄(じせつがら)物価(ぶつか)下落(げらく)影響(えいきやう)()けて、166ドツと踏張(ふんば)りよつて二途(にづ)()()げたな、167サヽ()()()()り、168(ただ)より(やす)()ふたり()ふたり。169このカリカリ(たう)()べれやおいしい、170()美味(うま)い、171ボロリボロリと()(もろ)うて()につかぬ、172湿(しめ)(ため)しもなし、173(あめ)()つてもカーリカリだ、174アハヽヽヽ』
175(ばば)『エヽー、176アタ八釜(やかま)しい、177(まへ)何処(どこ)奴乞食(どこじき)じや。178ソンナ(げい)(くら)いしたつて一文(いちもん)もやらせぬぞよ』
179()一門(いちもん)(のこ)らず討死(うちじに)と、180()(かな)しさは嵯峨(さが)(おく)181()いてばつかり(くら)せしに、182一途(いちづ)(かは)乞食(こじき)小屋(ごや)とやらに、183鬼婆(おにばば)がお()しますと、184一行(いつかう)四人(よにん)()()()つて、185此処(ここ)まで()たのがおみ(あだ)186(おも)へば(おも)へばこの与太(よた)は、187去年(きよねん)(あき)病気(わづらひ)に、188一層(いつそ)()んでしもうたら、189()うした(なげ)きは()るまいもの、190娑婆(しやば)(ふさ)ぎになるとは()りながら、191半時(はんとき)なりと()(なが)らへたいと(おも)ふて()たのが吾身(わがみ)(あだ)192(いま)(おも)ひに(くら)ぶれば、193なぜに三年(さんねん)(さき)にこの(かは)へ、194エーマ()()げて()ななんだであらう、195アヽヽヽチヤチヤ チヤン チヤン チヤン チヤン チヤぢや』
196()『また演劇(えんげき)気分(きぶん)になつて()よるナ、197門附(かどつけ)芸者(げいしや)(やう)な、198()つともない。199洒落(しやれ)()めたがよからうぞ』
200(ばば)何処(どこ)奴乞食(どこじき)()らぬが、201(おもて)()をプリンと()して這入(はい)つて()なさい。202田子(たご)宿(やど)()んだ(やう)小便茶(せうべんちや)なと()んで()げやうかい』
203()『オイオイ弥次公(やじこう)204(なに)怕々(おぢおぢ)して()るのだ、205()アサンが結構(けつこう)(ちや)をヨンデやらうと()ふて()るぞ。206(はや)()一杯(いつぱい)グツと頂戴(ちやうだい)せぬかい』
207()『モシ宣伝使(せんでんし)(さま)208どうしませうかな』
209(かつ)()(かく)這入(はい)つて()ませうか』
210 三人(さんにん)与太彦(よたひこ)(あと)()いて門口(かどぐち)(また)げた。211這入(はい)つて()れば(そと)から()たよりは、212比較的(ひかくてき)(ひろ)二間(ふたま)(づく)りの座敷(ざしき)に、213この()主人(あるじ)()中年増(ちうどしま)(ばば)(よこた)はつて()る。214その(かたはら)(すこ)(わか)さうな一人(ひとり)(ばば)が、215(なに)かと病人(びやうにん)世話(せわ)をして()る。
216(かつ)『ヤア()れば当家(たうけ)には御病人(ごびやうにん)が、217おありなさると()える。218()れは()れは御取込(おとりこ)みの(なか)大勢(おほぜい)のものが御邪魔(おじやま)(いた)しました』
219(ばば)『ハイハイ、220ようマア立寄(たちよ)つて(くだ)さつた。221此処(ここ)一途(いちづ)(かは)()つて、222(まへ)サン()身魂(みたま)洗濯(せんたく)をする(ところ)だ。223二人(ふたり)(ばば)かたみ(がは)りに、224往来(ゆきき)(ひと)身魂(みたま)(かは)()がして洗濯(せんたく)をする(ところ)だ。225サア此処(ここ)()たが(さいは)ひ、226真裸(まつぱだか)にして親譲(おやゆづ)りの(かは)()がして()げやう。227(まへ)(かほ)(かぶら)千枚漬(せんまいづけ)ぢやないか、228随分(ずゐぶん)(あつ)(かは)だ。229サア一枚々々(いちまいいちまい)(ひま)がいつても仕様(しやう)がない、230年寄(としより)苦労(くらう)()けて(こま)つた(ひと)だな、231これもウラル(ひこ)神様(かみさま)御命令(ごめいれい)ぢやから仕方(しかた)がないワ。232前等(まへら)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)であらう、233アヽ三五教(あななひけう)()ふやつは、234男子(なんし)ぢやとか女子(によし)ぢやとか(ぬか)して、235俺達(おれたち)()(なか)(とら)うとする(やつ)ぢや。236(まへ)もその乾児(こぶん)だからエーイ出刄(でば)でも()つて()て、237その(あつ)(かは)()いて()らうかい。238男子(なんし)(はう)はまだしもだが女子(によし)()(やつ)(みづ)御魂(みたま)で、239カメリオンの(やう)代物(しろもの)だ。240アンナ(やつ)()てた(をしへ)(はう)けて、241まだそこら(ぢう)(ひら)きに()くとは不都合(ふつがふ)千万(せんばん)242エーイ(こし)(いた)(こと)だワイ』
243右手(みぎて)出刄(でば)()左手(ひだりて)(にぎ)り、244(こし)(あたり)()()つポンポン()ちながら、
245(ばば)『アーエーイ、246(こし)(いた)いこつちや』
247()『オイ貴様(きさま)はウラル(けう)悪神(あくがみ)乾児(こぶん)だな。248道理(だうり)(ほし)(もん)()いた布団(ふとん)()たり、249羽織(はおり)まで(ほし)(もん)()けてゐよるワイ、250コラ()アサン貴様(きさま)こそ改心(かいしん)したらどうだい』
251(ばば)『エーイ八釜(やかま)しいワイ、252常世姫命(とこよひめのみこと)(さま)のお(だい)サンが病気(びやうき)()御座(ござ)るのに、253(なに)をガアガアと(さわ)ぐのだ。254神妙(しんめう)にせぬと十万億土(じふまんおくど)()(ところ)へ、255(おく)(とど)けて万劫末代(まんがふまつだい)この()()がれぬ(やう)にして()らうか』
256()(なん)出刄(でば)()げよつて、257強圧的(きやうあつてき)矢張(やつぱ)りウラル(けう)はウラル(しき)だ、258奥州(あうしう)安達ケ原(あだちがはら)鬼婆(おにばば)()(やう)(やつ)だなア。259貴様(きさま)はかうして(この)川辺(かはべり)()(かま)へよつて、260三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)身魂(みたま)引抜(ひきぬ)(やつ)ぢやな。261コレヤ、262その()()はぬぞ、263貴様(きさま)身魂(みたま)こなサンが引抜(ひきぬ)いてやらうか』
264(ばば)(なに)ほど八釜(やかま)しく、265じたばたしても(びく)とも(うご)くものかい。266(おれ)(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つてヱルサレムの(みや)に、267出入(しゆつにふ)をして()つた常世姫命(とこよひめのみこと)(いち)家来(けらい)の、268木常姫(こつねひめ)(うま)(がは)りだぞ、269()でも蒟蒻(こんにやく)でも()(ばば)でないぞ』
270()貴様(きさま)木常姫(こつねひめ)(うま)(がは)りだな、271木常姫(こつねひめ)()(やつ)仕方(しかた)のない(やつ)だ』
272(ばば)仕方(しかた)がなからう、273小鹿峠(こしかたうげ)二十三峠(にじふさんたうげ)(うへ)で、274この(ばば)貴様(きさま)(くる)しめた(こと)(おぼ)えて()るだらう、275(こわ)かつたか(おそ)()つたか』
276()『エー(なん)だか(おれ)()(あぶ)がとまつたかと(おも)つたら、277貴様(きさま)だつたなア。278(なに)をへらず(ぐち)(たた)きよるのだ、279愚図々々(ぐづぐづ)(ぬか)すと言霊(ことたま)発射(はつしや)だぞ』
280()『オホヽヽ、281仰有(おつしや)るワイ仰有(おつしや)るワイ、282あの(とき)()出別(でわけ)()我楽多神(がらくたがみ)()()よつて、283いらぬチヨツカイを()しよるものだから、284(たたか)()あらず、285(とき)()なりと断念(だんねん)して、286(ここ)第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)()て、287手具脛(てぐすね)()いて()つて()たのだ。288モウ()うなつては此方(こつち)のものだ、289(ふくろ)(ねずみ)同様(どうやう)290これや(この)出歯(でば)言霊(ことたま)(たま)なしにしてやらうか』
291()『アハヽヽヽヽ、292(ばば)(くせ)剛情(がうじやう)(やつ)だなア。293貴様(きさま)のやうな(やつ)屹度(きつと)()んだら、294三途(せうづ)(かは)脱衣婆(だついばば)後任者(こうにんしや)となつて、295終身官(しうしんくわん)(にん)ぜられる代物(しろもの)だナ』
296(ばば)『オホヽヽヽ、297脱衣婆(だついばば)(やく)(わし)(あね)さまの(やく)だよ、298わしは(その)(いもうと)だ、299()でも蒟蒻(こんにやく)でも(てこ)でも(ぼう)でも、300いつかないつかな(びく)ともせぬ、301()(つよ)(いは)より(かた)いカンカンの鬼婆(おにばば)だ。302如何(いか)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)でも(この)(ばば)には(かな)ふまい。303一遍(いつぺん)()かねば、304二度(にど)でも三度(さんど)でも、305仮令(たとへ)十年(じふねん)百年(ひやくねん)千年(せんねん)かかつても、306貴様(きさま)身魂(みたま)()()らな()くものかい』
307()(なん)執念(しふねん)(ぶか)(ばば)ぢやないか、308(はや)修羅(しゆら)妄執(まうしふ)()らしよらぬかい。309天国(てんごく)()くのが()いか、310地獄(ぢごく)()くのが()いか、311此処(ここ)(ひと)思案(しあん)仕処(しどこ)ちやぞ』
312(ばば)(おれ)天国(てんごく)大嫌(だいきら)ひぢや。313天国(てんごく)()かうとする(やつ)(かた)(ぱし)から、314(たま)()いて()(そこ)(おく)るのが、315(おれ)(やく)だ。316(にせ)変性男子(へんじやうなんし)だぞ。317此処(ここ)()()常世姫(とこよひめ)(かか)肉体(にくたい)は、318(にせ)()出神(でのかみ)ぢや、319竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)もタンマには(うつ)つて()るぞ。320三五教(あななひけう)(やつ)は、321()出神(でのかみ)()(いた)して竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)殿(どの)のお活動(はたらき)で、322この()水晶(すゐしやう)(いた)すとぬかしよつて威張(ゐば)つてをるが、323この()水晶(すゐしやう)になつて(たま)るかい。324()()()になつたら、325俺達(おれたち)()(ところ)()くなつてしまうワ、326それだから貴様等(きさまら)のやうな馬鹿(ばか)正直(しやうぢき)頓痴気(とんちき)野郎(やらう)や、327腰抜(こしぬ)(をんな)(ねずみ)(もち)()くやうに、328チヨビリチヨビリと引張(ひつぱ)()んで、329()()(かみ)此処(ここ)ぢや、330竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)此処(ここ)(あら)はれて()ると、331三五教(あななひけう)(やつ)(たぶら)かして、332女子(によし)霊魂(みたま)(こま)らしてやるのだ。333アハヽヽヽ、334気分(きぶん)()(こと)ぢや、335心地(ここち)()いワイ、336イヒヽヽヽ』
337(かつ)『ヨウ貴様等(きさまら)不届(ふとどき)至極(しごく)婆達(ばばたち)ぢや、338最早(もはや)貴様(きさま)(くち)から自白(じはく)(いた)した以上(いじやう)は、339弁解(べんかい)(ことば)はあるまい。340曲津(まがつ)()(やつ)(かしこ)(やう)でも馬鹿(ばか)だなア、341(かへる)(くち)から(われ)吾手(わがて)白状(はくじやう)(いた)()つた。342アハヽヽヽ』
343(ばば)『ドウセ貴様(きさま)(ただ)(かへ)(やつ)ぢやないから、344俺達(おれたち)(たく)みを(かく)必要(ひつえう)もなし、345因果腰(いんぐわごし)()めて、346貴様(きさま)(れい)一々(いちいち)手渡(てわた)しせい。347愚図々々(ぐづぐづ)(ぬか)すと(おれ)()づから、348貴様(きさま)土手腹(どてつぱら)此奴(こいつ)をグサリと()()み、349一抉(ひとえぐ)りに(えぐ)つて()つてやるぞ』
350()(なに)(ぬか)すのだ。351顋太(あごた)(ばか)(たた)きよつて、352(おど)したりすかしたり貴様(きさま)(おく)()()(わか)つて()るぞ』
353(ばば)貴様(きさま)(たち)三五(さんご)(つき)御教(みをしへ)だと(ぬか)して()るが、354その(つき)(うん)(つき)ぢや、355片割月(かたわれづき)ぢや、356ソンナ(つき)()()ふか。
357十五夜(じふごや)片割月(かたわれづき)はなきものを
358(くも)(かく)れて此処(ここ)半分(はんぶん)
359()(こと)貴様(きさま)()つて()るか、360本当(ほんたう)真如(しんによ)(つき)は、361此処(ここ)半分(はんぶん)どころか、362(まる)(かく)れて()るのだ、363()れてばらばら(あふぎ)(かなめ)だ。364三五教(あななひけう)自在天(じざいてん)盤古大神(ばんこだいじん)系統(けいとう)(かみ)に、365ばらばらに(ほね)()かれよつたぢやないか、366肝腎(かんじん)(かなめ)此処(ここ)(にぎ)つて()るのぢや。367(かみ)(おく)には(おく)があり、368その(また)(おく)には(おく)がある、369その(また)(おく)(おく)がある、370昔々(むかしむかし)()(むかし)371(ひと)(むかし)(その)(むかし)372その(また)(むかし)大昔(おほむかし)から、373この()自由(じいう)(いた)さうと(おも)うて、374八頭八尾(やつがしらやつを)大神(おほかみ)(さま)や、375金毛九毛(きんまうきうび)のお稲荷(いなり)(さま)376酒呑童子(しゆてんどうじ)のお身魂(みたま)(さま)が、377この一途(いちづ)(かは)片傍(かたほとり)に、378仕組(しぐみ)(いた)して()るのを()らぬか。379()加減(かげん)()()まして、380(たましひ)をこちらへ(いさぎよ)(わた)して、381(うま)赤子(あかご)になつて悪神(あくがみ)眷族(けんぞく)にならぬかい』
382()『アハヽヽ、383コラ二人(ふたり)(ばば)384(なに)劫託(がふたく)ほざきよるのだ。385勿体(もつたい)なくも五六七大神(みろくおほかみ)(さま)()高天原(たかあまはら)顕現(けんげん)なされた以上(いじやう)は、386何程(なんぼ)貴様等(きさまら)()になり(じや)になり(さる)になり(おほかみ)になり(たぬき)になり、387(あるひ)大蛇(おろち)388(きつね)389(おに)になつて、390黄糞(かにここ)をこいて藻掻(もが)いたつて駄目(だめ)だぞ。391一日(いちにち)(はや)改心(かいしん)(いた)したがよからう』
392(ばば)『イヤイヤ、393(たれ)(なん)()うても、394仮令(たとへ)百遍(ひやつぺん)二百遍(にひやつぺん)395生命(いのち)がなくなつても、396(まこと)(みち)(きら)ひだ。397(まこと)(みち)()()けて(あく)(はたら)くのが俺達(おれたち)身魂(みたま)性来(しやうらい)だ。398(きん)何処(どこ)までも(きん)ぢや、399(かはら)何処迄(どこまで)(かはら)ぢや。400俺達(おれたち)(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)つて、401(たか)(とこ)へとまつて、402(あつ)(さむ)さも()らず(がほ)に、403世界(せかい)(やつ)(にら)()ろして()鬼瓦(おにがはら)ぢやぞ』
404()『こりや鬼婆(おにばば)405イヤ鬼瓦(おにがはら)406道理(だうり)冷酷(れいこく)(やつ)ぢやと(おも)うて()つた』
407(ばば)(きま)つた(こと)だ、408俺達(おれたち)眷属(けんぞく)系統(ひつぽう)のものが世界(せかい)(やつ)(みたま)をスツクリ引抜(ひきぬ)いて、409鬼瓦(おにがはら)(みたま)入替(いれか)へをして()いたから、410()(なか)(やつ)(みな)冷酷(れいこく)無残(むざん)動物霊(どうぶつれい)になつて、411餓鬼(がき)修羅(しゆら)畜生(ちくしやう)境遇(きやうぐう)になり、412優勝劣敗(いうしようれつぱい)413弱肉強食(じやくにくきやうしよく)体主霊従的(たいしゆれいじうてき)非行(ひかう)(さか)んに(つづ)けて()るのだ。414最早(もはや)三千世界(さんぜんせかい)九分九厘(くぶくりん)まで、415(おれ)(こころ)(まま)(くも)つて来居(きを)つたが、416(こま)るのはモウ一輪(いちりん)(ところ)だ。417変性男子(へんじやうなんし)身魂(みたま)はどうなつとして、418チヨロマカして()たが、419歯切(はぎ)れのせぬのは金勝要(きんかつかね)神魂(かむみたま)だ。420そこへ()(つよ)変性女子(へんじやうによし)御魂(みたま)や、421()花咲耶姫(はなさくやひめ)御魂(みたま)()しやばりよつて、422俺達(おれたち)仕組(しぐみ)邪魔(じやま)をさらすものだから、423多勢(おほぜい)(もの)難儀(なんぎ)()ふたら、424(くち)()ふやうなものでないワイ。425貴様等(きさまら)変性女子(へんじやうによし)やら()花姫(はなひめ)の、426霊主体従(れいしゆたいじゆう)(をしへ)(ひら)きに(まは)つて、427俺等(おれたち)邪魔(じやま)をする(やつ)ぢや。428(なん)()つても貴様(きさま)(みたま)引抜(ひきぬ)かねば、429常世姫命(とこよひめのみこと)(たい)して申訳(まをしわけ)()たず、430第一(だいいち)盤古大神(ばんこだいじん)自在天(じざいてん)(さま)申訳(まをしわけ)がないワイ。431()アの一心(いつしん)(いは)をも突貫(つきぬ)く、432いい加減(かげん)因果腰(いんぐわごし)()ゑたが()からうぞ。433イヒヽヽヽヽ』
434(かつ)『ヤアこの(ばば)435貴様(きさま)はよつぽど因縁(いんねん)(わる)(やつ)だ。436本当(ほんたう)にこの世界(せかい)ほしいか、437執着心(しふちやくしん)のきつい(やつ)だ』
438(ばば)『ほしいワほしいワ、439()しい(しるし)(ほし)(もん)()けてあるのも()らぬかい。440(ほし)(もん)(べい)(もん)ぢやぞ。441それが()しいばつかりに夜昼(よるひる)なしにやきやきして()るのぢや、442オーン オーン アーン アーン、443(なん)でもかでも()しいワイ()しいワイ。444三五教(あななひけう)はどうしてもやめてほしい、445此方(こつち)(はう)(みたま)(わた)して()しい、446是丈(これだ)梅干婆(うめぼしばば)にほしいほしいが(かさ)なつて、447()にまで(ほし)這入(はい)つたワイ。448(かへる)干乾(ひぼし)(やう)(やせ)身体(からだ)になつても、449それでもまだ()しいワイ。450(よく)(ほう)けた(ため)(おれ)着物(きもの)梅雨(つゆ)()て、451アチラコチラに(ほし)()つて()た、452(はや)土用(どよう)()てほしいワイ、453土用干(どようぼし)でもせな(ほし)がとれぬワイ』
454()『コラ()アサン、455その(ほし)()つたが()いのか、456とらぬが()いか、457どつちやか返答(へんたふ)一寸(ちよつと)きかしてほしいワイ』
458(ばば)着物(きもの)(ほし)()つてほしいが、459(おれ)のほしいは()つてはならぬワイ』
460()『イヤア(この)(ばば)461五右衛門風呂(ごゑもんぶろ)(ふた)のやうな(こと)(ほざ)きよるな、462()るときに()らぬ、463()らぬときに()風呂(ふろ)(ふた)だ。464オイ風呂蓋婆(ふろふたばば)465梅干婆(うめぼしばば)466貴様(きさま)棺桶(くわんをけ)片足(かたあし)突込(つつこ)んで()つて、467()加減(かげん)()()つたらどうだい。468ほしい、469おしい、470可愛(かあい)い、471(にく)い、472(よく)高慢(かうまん)473(うら)めしい、474(くる)しい(やつ)つの(ほこり)()かす十九世紀(じふくせいき)転理数(てんりけう)のやうな(やつ)だな』
475(ばば)『エーエー()はして()けば()()なく、476痢病(りびやう)患者(くわんじや)のやうにビリビリとよう()れる(やつ)ぢや。477くだらぬ理屈(りくつ)管々(くだくだ)しく()(なが)してエヽ汚苦(むさくる)しいワイ。478(なに)()綺麗(きれい)さつぱり御塵(おちり)(はら)ひをして、479この(ばば)()こそげ奉納(ほうなふ)しよらぬかい。480愚図々々(ぐづぐづ)して()ると、481(おれ)(はう)から行動(かうどう)開始(かいし)するぞ。482コレコレ常世姫(とこよひめ)(かみ)483もう()きてもよかろう、484サア(はや)()きて(くだ)さい、485二人(ふたり)()つて此奴等(こいつら)四人(よにん)真裸(まつぱだか)にして、486ソツと猫糞(ねこばば)をキメやうかいな』
487 伏婆(ふしばば)むくむくと()(あが)り、
488『ヤア最前(さいぜん)から病人(びやうにん)(いつ)はり、489様子(やうす)(かんが)へて()れば、490ようマア理屈(りくつ)()れる娑婆(しやば)亡者(まうじや)491此処(ここ)三五教(あななひけう)女子(によし)系統(ひつぽう)(みたま)がほしさに、492()ても()きても一途(いちづ)(かは)脱衣婆(だついばば)アサンぢや、493(くるま)両輪(りやうりん)494(めし)()(はし)495人間(にんげん)二本(にほん)のコンパス、496両方(りやうはう)からばばばば(はさ)()ちをしてやる、497サアどうぢや』
498 四人(よにん)一度(いちど)身構(みがま)へをなし、
499『ヤア(なん)(ほざ)いた、500サア()勝負(しようぶ)
501()(つばき)し、502グツと(にら)()けた。503(ばば)()()出刄(でば)をひらめかし、504()いて(かか)るを四人(よにん)(あせ)みどろになつて、505前後(ぜんご)左右(さいう)()(かは)し、506奮戦(ふんせん)格闘(かくとう)すること(ほとん)半時(はんとき)ばかり、507勝彦(かつひこ)常世姫(とこよひめ)出刄(でば)に、508腰骨(こしぼね)をグサリと()かれた途端(とたん)()()ませば、509(あに)(はか)らむや一行(いつかう)四人(よにん)二十五峠(にじふごたうげ)(ふもと)谷底(たにそこ)(かぜ)()かれて()ちこみ()たりける。
510大正一一・三・二五 旧二・二七 谷村真友録)