霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 布引(ぬのびき)(たき)〔七一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第22巻 如意宝珠 酉の巻 篇:第5篇 神界経綸 よみ:しんかいけいりん
章:第18章 第22巻 よみ:ぬのびきのたき 通し章番号:710
口述日:1922(大正11)年05月28日(旧05月02日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年7月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
初稚姫と玉能姫は、霊夢に感じて山頂に登り行きつつあった。二人は布引の滝のそばを通った際、禊をしてから山頂に行こうとして、滝の方に向かっていった。
するとそこにはバラモン教のスマートボール、カナンボールらの一味がいて、二人は囲まれてしまった。カナンボールは、三五教の聖地では多くの信徒が、玉を隠したのは玉能姫だと疑っているから、その玉をもってバラモン教に寝返るようにと玉能姫を脅す。
初稚姫はカナンボールの言葉を信じるな、と玉能姫に気をつける。バラモン教徒らは説得が通じないと見ると、二人を囲んで力ずくで二人を虜にしようとする。
玉能姫と初稚姫はスマートボールとカナンボールらの一味を取っては投げて奮戦し、みな谷底に落としてしまった。しかしそこへ蜈蚣姫が手下を引き連れてやってきた。蜈蚣姫は玉能姫を気絶させ、初稚姫も組み敷いて殺そうとする。
そこへ宣伝歌が聞こえてきた。滝公と谷丸が、言依別命の命によって救援に来たのであった。蜈蚣姫は谷丸によって谷底に落とされてしまい、蜈蚣姫以下バラモン教徒らはこそこそと四方へ逃げ散ってしまった。
初稚姫は神懸りになり、我々の任務は教主言依別から神界経綸に必要な玉をあずかり、ある地点に埋蔵することにあり、妨害しようと寄せ来る悪魔を追い払うためには、一時的に武術を使うも止むを得ない、と託宣した。
谷丸と滝公は二人を警護して山頂にたどり着くと、教主言依別命は、三個の神玉を安置して祈願を凝らしていた。
皆が到着すると、言依別命はにこやかに迎えた。玉能姫が布引の滝で危ない目にあって谷丸・滝公に助けられた事を話すと、言依別命は、霊夢に感じながらすぐさま山頂に登らず、禊をしようとわき道をしたので神様に戒められたのだ、と答えた。
言依別命は、如意宝珠の玉と紫の玉を、神島に埋蔵する役を、初稚姫と玉能姫に命じ、谷丸と滝公に、そのお供を言いつけた。谷丸には佐田彦、滝公には波留彦と名を与えた。
そして黄金の玉は自分がある霊山に隠しておく、と告げた。また神島へはこの宝玉が光を発する三十万年の未来になったら迎えに行くが、それまでは自分は決して渡らない、と答えた。
この黄金の玉は高熊山に隠されて、その印に三つ葉躑躅が植えられた。三個の宝玉が世に出でて輝く活動を、三つの御魂の出現というのである。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm2218
愛善世界社版:241頁 八幡書店版:第4輯 469頁 修補版: 校定版:249頁 普及版:111頁 初版: ページ備考:
001 初稚姫(はつわかひめ)002玉能姫(たまのひめ)霊夢(れいむ)(かん)じ、003杢助(もくすけ)(いほり)()()で、004青葉(あをば)(かを)初夏(しよか)山路(やまみち)再度山(ふたたびやま)山頂(さんちやう)目蒐(めが)けて(のぼ)()く。005淙々(そうそう)たる(たき)(おと)間近(まぢか)(きこ)えて()た。
006玉能姫(たまのひめ)初稚姫(はつわかひめ)(さま)007あの(おと)布引(ぬのびき)(たき)(ちか)くなつたのでせう。008(ひと)御禊(みそぎ)をしてお(ゆめ)にお(しめ)しの山頂(さんちやう)(まゐ)り、009言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)より(たま)(あづ)かつて(かへ)りませうか』
010初稚姫(はつわかひめ)(ちひ)さな(こゑ)仰有(おつしや)つて(くだ)さい。011(この)(へん)曲神(まがかみ)悪霊(あくれい)充満(じうまん)して()りますから、012神界(しんかい)秘密(ひみつ)(さぐ)り、013(また)もや妨害(ばうがい)(くは)へられては大変(たいへん)ですから』
014『アヽさうでしたね。015()(かく)(たき)(おと)目当(めあ)てに、016(きり)()けて(まゐ)りませう』
017夕霧(ゆふきり)()むる谷間(たにあひ)を、018玉能姫(たまのひめ)初稚姫(はつわかひめ)()()(いた)はりつつ(たに)(ふか)(すす)()る。
019 見上(みあ)ぐる(ばか)りの瀑布(ばくふ)(かたはら)020()()狭霧(さぎり)(たま)(あめ)(ごと)()りしきり、021周囲(あたり)樹木(じゆもく)(いづ)れも誕生(たんじやう)釈迦(しやか)のやうになつて()る。022二人(ふたり)(たたず)み、023(たき)雄大(ゆうだい)さを()めて()る。024(きり)()()けて(あら)はれ()でたる十数人(じふすうにん)荒男(あらをとこ)
025(かふ)『オイ、026カナンボール、027(この)(あひだ)山桜(やまざくら)(さか)りの(とき)だつたがなア、028鷹鳥山(たかとりやま)清泉(きよいづみ)まで()つた(とき)029()()よつたお(ばけ)(をんな)030玉能姫(たまのひめ)(あら)はれたぞ。031(その)(とき)には(おな)姿(すがた)三人連(さんにんづ)れとなり俺達(おれたち)(えら)()()はしよつたが、032今度(こんど)()()へて二人(ふたり)となり、033一人(ひとり)はあんなチツポケ小娘(こむすめ)()けて()よつた。034さアこれから一方口(いつぽうぐち)(この)谷間(たにあひ)035()げようと()つたつて()げられない屈強(くつきやう)場所(ばしよ)036(ひと)彼奴(あいつ)取捉(とつつかま)へて魔谷ケ岳(まやがだけ)()(かへ)り、037蜈蚣姫(むかでひめ)さまの御褒美(ごほうび)(あづ)からうぢやないか』
038スマート『貴様(きさま)()(こと)(じつ)名案(めいあん)だ。039愚図々々(ぐづぐづ)して()ると、040(また)もや三五教(あななひけう)(やつ)()()ては大変(たいへん)だ。041(ぜん)(いそ)げだ。042(はや)片付(かたづ)けて仕舞(しま)はう。043(なん)でも(この)(あたり)鷹依姫(たかよりひめ)()つて()(むらさき)(たま)(かく)してあると()(こと)だから、044彼奴(あいつ)(つかま)へて詮議(せんぎ)すれば明白(めいはく)になるであらう。045(ついで)三五教(あななひけう)本山(ほんざん)ではモウ(ふた)つの(たま)紛失(ふんしつ)したと()うて(さわ)いで()るが、046大方(おほかた)玉能姫(たまのひめ)何々(なになに)しやがつて、047此処(ここら)(かく)して()るに(ちが)ひないと()(うはさ)だ。048さア今度(こんど)こそぬかつてはならないぞ。049オイ(みな)(やつ)050其辺(そこら)にすつこんで()(みち)警戒(けいかい)し、051万一(もし)三五教(あななひけう)(やつ)()()よつたら合図(あひづ)柴笛(しばぶえ)()くのだぞ』
052鉄公(てつこう)『ハイ、053承知(しようち)(いた)しました。054(みな)(やつ)監督(かんとく)して違算(ゐさん)なきやうに鉄条網(てつでうまう)となつて、055如何(いか)なる強敵(きやうてき)も、056一歩(いつぽ)たりとも侵入(しんにふ)しないやうに(いた)します。057御安心(ごあんしん)(くだ)さい』
058(きり)(かく)れて谷口(たにぐち)樹木(じゆもく)(なか)姿(すがた)(かく)した。
059スマート『オイ、060それなる(をんな)061(なんぢ)鷹鳥山(たかとりやま)魔性(ましやう)(をんな)062玉呑姫(たまのみひめ)であらうがな。063()つの(たま)何処(どこ)()んだか、064(いや)(かく)したか。065キリキリちやつと白状(はくじやう)(いた)し、066(この)(はう)(わた)せばよし、067(わた)さぬなどと(ぬか)すが最後(さいご)068(なんぢ)素首(そつくび)取捉(とつつか)まへて魔谷ケ岳(まやがだけ)霊場(れいぢやう)()(かへ)り、069水責(みづぜ)火責(ひぜ)めはまだ(おろ)か、070(つるぎ)責苦(せめく)()はしてでも白状(はくじやう)させる。071ならう(こと)なら俺達(おれたち)(かみ)(つか)ふる身分(みぶん)だ。072(くる)しめたくはない、073(はや)白状(はくじやう)(いた)すが(なんぢ)得策(とくさく)だらう。074手具脛(てぐすね)()いて()つて()た。075此処(ここ)()たのは(なんぢ)()つて最早(もはや)百年目(ひやくねんめ)076因果(いんぐわ)(さだ)めて返答(へんたふ)せい』
077玉能姫(たまのひめ)『エヽ、078誰人(たれ)かと(おも)へばバラモン(けう)蜈蚣姫(むかでひめ)部下(ぶか)のスマートボールさまにカナンボールの大将(たいしやう)さま、079(わたくし)如何(いか)玉能姫(たまのひめ)ぢやと()つて、080(たま)()つて()るとは()可笑(をか)しいぢやありませぬか。081それは貴方(あなた)のお(かんが)(ちが)ひでせう』
082カナン『(かんが)(ちが)ひもあつたものかい。083三五教(あななひけう)裏返(うらがへ)(もの)084貴様(きさま)(みつ)つの(たま)()()して(かく)場所(ばしよ)(こま)り、085狼狽(うろた)へて()やがると()(こと)は、086聖地(せいち)()()ましてある天州(てんしう)報告(はうこく)によつて(あきら)かなる(ところ)だ。087三五教(あななひけう)でさへも(みな)貴様(きさま)所作(しよさ)だと目星(めぼし)をつけ、088その在処(ありか)を、089四方(しはう)八方(はつぱう)宣伝使(せんでんし)(たづ)(まは)つて()る。090貴様(きさま)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)にぶつつかるや(いな)や、091(かさ)(だい)がなくなる代物(しろもの)だ。092それよりも綺麗(きれい)薩張(さつぱり)白状(はくじやう)(いた)し、093バラモン(けう)(その)(たま)献上(けんじやう)(いた)し、094蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)片腕(かたうで)となり、095(おれ)(とも)神業(しんげふ)奉仕(ほうし)する()はないか』
096 玉能姫(たまのひめ)微笑(びせう)しながら、
097『これは(えら)迷惑(めいわく)098三五教(あななひけう)(ひと)(たち)までが、099さう(わたくし)(うたが)つて()るのですか。100そりや(うそ)でせう』
101 初稚姫(はつわかひめ)小声(こごゑ)で、
102(うそ)です(うそ)です、103玉能姫(たまのひめ)さま、104真実(ほんとう)にしちやいけませぬよ。105三五教(あななひけう)には一人(ひとり)として貴女(あなた)(うたが)つて()るものはありませぬ。106安心(あんしん)なさいませ。107あんな(こと)()つて()()くのですからな』
108玉能姫(たまのひめ)『ハヽアさうでせう。109油断(ゆだん)のならぬ(やつ)ですな』
110スマート『こりやこりやコメツチヨ、111()らぬ智慧(ちゑ)をつけやがるない。112(なん)だツ、113チンピラの(くせ)に、114子供(こども)子供(こども)らしくせい。115これこれ玉能姫(たまのひめ)116(なん)()つても調(しら)()いてあるのだから、117このスマートボールの()(こと)間違(まちがひ)はあるまい。118(たま)がないならないで、119玉呑姫(たまのみひめ)でも()れて(かへ)らねばならない。120さア返答(へんたふ)はどうだ。121今度(こんど)()けようと()つたつて()けさせぬぞ』
122『オホヽヽヽ、123貴方等(あなたがた)徹底(てつてい)した没分漢(わからずや)ですな。124(たま)見当(けんたう)(ちが)ひですよ』
125見当(けんたう)()れぬ仕組(しぐみ)()ふぢやないか、126その見当(けんたう)()るものがバラモン(けう)だ。127最早(もはや)()(つる)(はな)れたも同然(どうぜん)128てつきり(おれ)(まと)(はづ)れつこはない。129一度(いちど)(はな)つた()()(ところ)まで()かねば()ちつかないぞ。130(なん)()つても貴様(きさま)はバラモン(けう)(うら)みの(まと)131(いな)目的物(もくてきぶつ)だ。132さアさア、133ゴテゴテ()はずに、134俺達(おれたち)(まを)(とほ)りに(つつ)(かく)さず()つて仕舞(しま)へ。135それが(かへつ)てお(まへ)出世(しゆつせ)(もと)だ』
136『オホヽヽヽ、137(わたくし)(べつ)出世(しゆつせ)なんかしたくはありませぬ。138そんな執着心(しふちやくしん)()うの(むかし)神様(かみさま)にお(そな)へして仕舞(しま)ひました。139病気(びやうき)も、140(つみ)も、141(けが)れも、142一切(いつさい)(のこ)らず三五教(あななひけう)大神様(おほかみさま)奉納(ほうなふ)した(わたし)143この滝水(たきみづ)のやうに綺麗(きれい)薩張(さつぱり)144(いま)では(みづ)御魂(みたま)水晶玉(すいしやうだま)145生憎様(あひにくさま)146なんにも御座(ござ)いませぬよ』
147(なに)ツ、148水晶(すゐしやう)だと、149それさへあれば(みつ)つの(たま)よりも(まさ)つて()る。150さア(その)(たま)此方(こちら)(わた)せ』
151『オホヽヽヽ、152何処迄(どこまで)(わけ)(わか)らぬ玉抜(たまぬ)(をとこ)(こと)153こんなお(かた)にお相手(あひて)して()つては処方(こつち)がたまらぬ。154御免(ごめん)なさいませ』
155(さき)(すす)まうとする。
156カナン『コレコレ(をんな)157かう()えてもバラモン(けう)蜈蚣姫(むかでひめ)左守(さもり)158右守(うもり)神様(かみさま)だ。159玉能姫(たまのひめ)三五教(あななひけう)で、160()れだけ地位(ちゐ)をもつて()るか()らないが、161到底(たうてい)俺達(おれたち)(くら)べものにはなるまい。162()つとは礼儀(れいぎ)(わきま)へて()るだらう、163なぜ解決(かいけつ)をつけてゆかないか』
164玉能姫(たまのひめ)『オホヽヽヽ、165(いろ)のお(くろ)蜈蚣姫(むかでひめ)さまの御眷属(ごけんぞく)だけあつてお二人様(ふたりさま)166(いろ)(くろ)(こと)167(くろ)いにかけては天下(てんか)無類(むるゐ)豪傑(がうけつ)でせう。168(わたくし)()つから、169(いろ)(くろ)いのは(むし)()きませぬ』
170(なん)だツ、171善言美詞(ぜんげんびし)使(つか)ふと()三五教(あななひけう)信者(しんじや)が、172(ひと)(かほ)品評(しなさだめ)までやると()(こと)があるものか。173(ひと)(かほ)(くろ)いなんて、174(をんな)分際(ぶんざい)(をとこ)嘲弄(てうろう)(いた)すのか』
175『ホヽヽヽヽ、176貴方(あなた)(いろ)(くろ)いのが御自慢(ごじまん)でせう。177(からす)(くろ)いのが重宝(ちようほう)178白鷺(しらさぎ)(しろ)いのが重宝(ちようほう)でせう。179蜈蚣姫(むかでひめ)のお()にいる貴方等(あなたがた)だから(くろ)いといつたのは、180畢竟(つまり)(わたくし)尊敬(そんけい)(はら)つたのです。181(わる)()つて(もら)つちや(こま)りますなア。182あのまアお二人様(ふたりさま)とも(そろ)ひも(そろ)うてお(くろ)(こと)183何方(どちら)()いて御座(ござ)るのか、184(ちか)よつて()なくては(わか)りませぬ』
185カナン『オイ、186スマート、187なんぼ尊敬(そんけい)(はら)ふと()つたつて、188(いろ)(くろ)いと()はれるのは、189()つから有難(ありがた)うないぢやないか』
190スマート『(なに)191此奴(こいつ)海千(うみせん)192川千(かはせん)193山千(やません)化物(ばけもの)だから、194尊敬(そんけい)どころか、195(てい)のよい辞令(じれい)使(つか)つて俺達(おれたち)極端(きよくたん)罵倒(ばたふ)して()るのだよ。196サアもう()うなつては(おれ)承知(しようち)がならぬ。197オイ(みな)(やつ)198()()い。199此奴(こいつ)をふん(じば)つて布引(ぬのびき)(たき)()()むのだ』
200『オーイ』
201(こた)へて四辺(あたり)()(しげ)みより十数人(じふすうにん)202バラバラと二人(ふたり)周囲(しうゐ)()(あつ)まつた。
203玉能姫(たまのひめ)『コレコレ初稚姫(はつわかひめ)さま、204(しつ)かりして()(くだ)さいや。205(これ)から(ひと)(わたし)奮闘(ふんとう)して、206(みな)(やつ)一泡(ひとあわ)()かせて改心(かいしん)をさせて()せませう。207言霊戦(ことたません)結構(けつこう)だが、208彼様(あん)(こころ)(めくら)(つんぼ)には言霊(ことたま)効能(かうのう)覚束(おぼつか)ない。209()第一着手(だいいちちやくしゆ)として(をんな)細腕(ほそうで)(つづ)(かぎ)り、210直接(ちよくせつ)行動(かうどう)開始(かいし)(いた)しませう』
211懐中(くわいちう)より(たすき)()()し、212十文字(じふもんじ)にあやどり、213(すそ)(たか)くからげ、214大地(だいち)四股(しこ)()み、215両手(りやうて)をひろげ、
216『サア()い、217(きた)れ、218木端武者(こつぱむしや)(ども)219三五教(あななひけう)玉能姫(たまのひめ)武勇(ぶゆう)(ため)(どき)
220両手(りやうて)(つばき)しながら身構(みがま)へた。221六才(ろくさい)初稚姫(はつわかひめ)捩鉢巻(ねぢはちまき)(りん)()め、222(たすき)十文字(じふもんじ)にあやどり、223(はかま)股立(ももだち)()()げ、224これ(また)両手(りやうて)(ひろ)(つばき)しながら、
225『ヤアヤア、226バラモン(けう)(ほう)ずる小童(こわつぱ)(ども)227初稚姫(はつわかひめ)(をさな)腕力(わんりよく)(ため)すは(この)(とき)228さア()い、229(きた)れ』
230雄健(をたけ)びする(その)凛々(りり)しさ。
231スマート『アハヽヽヽ、232()つと洒落(しやれ)てけつかる。233(ちひ)さい(ざま)をして(なん)だ。234オイ(みな)(やつ)235こんな(をんな)二人(ふたり)(ぐらゐ)大勢(おほぜい)(をとこ)がかかつたと()はれては末代(まつだい)(はぢ)だ。236(おれ)一人(ひとり)沢山(たくさん)だ。237貴様等(きさまら)はこの活劇(くわつげき)観覧(くわんらん)してをれ。238サア(をんな)239この(うで)()よ。240(なか)まで(てつ)だよ』
241玉能姫(たまのひめ)(うで)ばかりか、242(からだ)一面(いちめん)(くろ)(くろ)(てつ)(やう)真黒黒助(まつくろくろすけ)243水晶玉(すいしやうだま)玉能姫(たまのひめ)が、244(いま)(なんぢ)(あか)(おと)してやらう。245サア()い、246勝負(しようぶ)だ』
247(なに)猪口才(ちよこざい)な、248(その)大言(たいげん)(あと)(いた)せ』
249頑丈(ぐわんぢやう)(うで)をぶんぶん()はせながら玉能姫(たまのひめ)()つてかかる。250玉能姫(たまのひめ)はヒラリと(たい)をかはしスマートが(あし)(すく)つた途端(とたん)251滝壺(たきつぼ)ドブン真逆様(まつさかさま)252こりや大変(たいへん)だとカナンは(たちま)捩鉢巻(ねぢはちまき)し、253(また)もや鉄拳(てつけん)(ふる)うて()ちかかる。254初稚姫(はつわかひめ)は、
255『ホヽヽヽヽホ、256ホヽヽ』
257(からだ)をしやくつて(わら)うて()る。258玉能姫(たまのひめ)は、
259『エヽ面倒(めんだう)な。260(なんぢ)(とも)滝壺(たきつぼ)水葬(すゐさう)だ。261覚悟(かくご)(いた)せ』
262()びつき(きた)るカナンボールの首筋(くびすぢ)()()くるや(いな)や、263エイツと一声(いつせい)264中空(ちうくう)二三遍(にさんぺん)廻転(くわいてん)し、265滝壺(たきつぼ)(また)もやザンブ()()んだ。266十余(じふよ)荒男(あらをとこ)二人(ふたり)危急(ききふ)()て、267死物狂(しにものぐる)ひに前後左右(ぜんごさいう)より()()かる。268玉能姫(たまのひめ)(みぎ)から()(やつ)(ひだり)()げ、269(ひだり)から()(やつ)(みぎ)()げ、270(まへ)から()(やつ)(うしろ)()かし、271(うしろ)から()きつき()ひつく(やつ)()(すく)めて前方(ぜんぱう)谷底(たにそこ)ステンドウ()()げた。272初稚姫(はつわかひめ)飛鳥(ひてう)(ごと)()(まは)り、
273『ホヽヽヽヽ、274ホヽヽ』
275(わら)専門(せんもん)活動(くわつどう)をやつて()る。
276 (この)(とき)数十人(すうじふにん)足音(あしおと)(きこ)えて()た。277(ちか)より()れば(きり)(なか)より(あら)はれた真黒黒助(まつくろくろすけ)蜈蚣姫(むかでひめ)
278『ヤアヤア、279(なんぢ)三五教(あななひけう)玉能姫(たまのひめ)なるか、280よくも吾等(われら)部下(ぶか)(なや)ましよつたな。281(この)蜈蚣姫(むかでひめ)(あら)はれた以上(いじやう)はもう(かな)ふまい。282サア尋常(じんじやう)降伏(かうふく)(いた)すか。283この谷口(たにぐち)数十人(すうじふにん)部下(ぶか)(もつ)(まも)らせあれば、284(なんぢ)()(ふくろ)(ねずみ)同然(どうぜん)285サア()うぢや。286往生(わうじやう)(いた)したか』
287玉能姫(たまのひめ)『ホヽヽ、288(うはさ)()(およ)蜈蚣姫(むかでひめ)とは(なんぢ)(こと)なるか。289()きしに(まさ)(くろ)()アさま、290(ゆき)より(しろ)玉能姫(たまのひめ)が、291(この)滝壺(たきつぼ)()()んで洗濯(せんたく)してやらう。292サア()い』
293()(つば)きして身構(みがま)へすれば、294蜈蚣姫(むかでひめ)はカラカラと(わら)ひ、
295蟷螂(たうらう)(をの)(ふる)つて竜車(りうしや)(むか)ふが(ごと)き、296(あぶな)(なんぢ)振舞(ふるま)ひ。297大人嬲(おとななぶ)りの骨嬲(ほねなぶ)り、298神妙(しんめう)降伏(かうふく)(いた)したが(なんぢ)(ため)であらう』
299(まこと)(ひと)つを(つら)ぬく三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)300(なんぢ)一族(いちぞく)身魂(みたま)(この)滝水(たきみづ)にさらし、301水晶魂(すゐしやうだま)(みが)いて()れむ。302有難(ありがた)感謝(かんしや)せよ』
303(ばば)皺苦茶腕(しわくちやうで)()らむとすれば、304(ばば)しれ(もの)305その()()きはづし、306玉能姫(たまのひめ)にウンと一声(ひとこゑ)当身(あてみ)()はせた。307玉能姫(たまのひめ)(もろ)くも(その)()(たふ)れてしまつた。308(あと)(のこ)つた初稚姫(はつわかひめ)(また)もや(ちひ)さき両手(りやうて)(ひろ)げ、
309『ヤア、310蜈蚣姫(むかでひめ)311(われ)三五教(あななひけう)信者(しんじや)312(なんぢ)眷属(けんぞく)(ども)(のこ)らず滝壺(たきつぼ)()()み、313身魂(みたま)洗濯(せんたく)をしてやつて()るのに(その)御恩(ごおん)()らず、314玉能姫(たまのひめ)当身(あてみ)()はすとは理不尽(りふじん)千万(せんばん)315もう()うなる(うへ)初稚姫(はつわかひめ)了簡(れうけん)ならぬぞや。316サア()い、317蜈蚣姫(むかでひめ)
318()(つばき)する。
319『オホヽヽヽ、320玉能姫(たまのひめ)さへも(この)(ばば)()にかかつて、321一溜(ひとたま)りもなく気絶(きぜつ)(いた)したではないか、322コメツチヨの分際(ぶんざい)として武力(ぶりよく)絶倫(ぜつりん)なる蜈蚣姫(むかでひめ)口答(くちごた)へ、323(いや)手向(てむか)ひしようとは不埒(ふらち)千万(せんばん)324道理(だうり)(わか)らぬも(ほど)がある。325ヤア無理(むり)もない、326(なに)()うてもまだ子供(こども)だからな』
327(まん)六才(ろくさい)になつた初稚姫(はつわかひめ)細腕(ほそうで)(ちから)()つて()よ』
328(なに)ツ、329猪口才(ちよこざい)千万(せんばん)な』
330武者振(むしやぶ)りつく。331初稚姫(はつわかひめ)(みぎ)(ひだり)(たい)(かは)し、332暫時(しばし)(ほど)(いど)(たたか)ひしが、333(つひ)蜈蚣姫(むかでひめ)(ため)()()かれ、334(いま)(いき)()()たれむとする(とき)しもあれ、335(たき)上方(じやうはう)より宣伝歌(せんでんか)(こゑ)(きこ)えて()た。336蜈蚣姫(むかでひめ)(この)(こゑ)(おどろ)き、337ハツと滝壺(たきつぼ)(うへ)見上(みあ)ぐる(はづみ)()(ゆる)んだ。338初稚姫(はつわかひめ)はその(きよ)(じやう)じ、339ムツク()(あが)り、
340『ヤア蜈蚣姫(むかでひめ)341もう(この)(うへ)勘忍(かんにん)ならぬ。342覚悟(かくご)せい』
343(ちひ)さき(こぶし)(かた)め、344(また)もや()つてかかる。345(たき)(うへ)二人(ふたり)(をとこ)
346『ヤイ滝公(たきこう)347あれは(たしか)初稚姫(はつわかひめ)(さま)ぢやないか』
348滝公(たきこう)(おも)はぬ御遭難(ごさうなん)349(たす)(まを)さねばなるまい。350オイ谷丸(たにまる)351(おれ)(つづ)け』
352(かべ)(ごと)(いは)(まと)へる藤葛(ふぢかづら)353()(えだ)などを(ちから)に、354(ましら)(ごと)()りて()た。355谷丸(たにまる)は、
356『ホー、357貴女(あなた)初稚姫(はつわかひめ)(さま)
358初稚姫(はつわかひめ)『ヤア谷丸(たにまる)359滝公(たきこう)360よく()(くだ)さつた。361玉能姫(たまのひめ)さまは気絶(きぜつ)して()られます』
362滝公(たきこう)(なに)ツ、363玉能姫(たまのひめ)さまが』
364両人(りやうにん)玉能姫(たまのひめ)(むか)つて滝水(たきみづ)(ふく)み、365面部(めんぶ)()きかける。
366蜈蚣姫(むかでひめ)『エヽもう一息(ひといき)()(ところ)怪体(けつたい)(やつ)がやつて()よつて、367俺達(おれたち)邪魔(じやま)(いた)すのか、368覚悟(かくご)(いた)せ』
369(ばば)谷丸(たにまる)武者振(むしやぶ)りつく。370谷丸(たにまる)(たい)(かは)した途端(とたん)(ばば)(あし)(さら)へた。371蜈蚣姫(むかでひめ)(かたはら)谷底(たにそこ)へ、372筋斗(もんどり)うつて顛落(てんらく)し、373狐鼠々々(こそこそ)(きり)(まぎ)れて()()した。374スマートボール、375カナンボール(その)()連中(れんちう)は、376(おも)(おも)濃霧(のうむ)(さいは)四方(よも)散乱(さんらん)してしまつた。
377 玉能姫(たまのひめ)滝公(たきこう)介抱(かいほう)(はじ)めて正気(しやうき)づき、378四辺(あたり)をきよろきよろ見廻(みまは)し、
379初稚姫(はつわかひめ)(さま) 初稚姫(はつわかひめ)(さま)
380()()てる。381初稚姫(はつわかひめ)(そば)(ちか)()()ひ、
382玉能姫(たまのひめ)(さま)383安心(あんしん)して(くだ)さい、384(この)(とほ)無事(ぶじ)()ります。385蜈蚣姫(むかでひめ)以下(いか)悪者(わるもの)(ども)(のこ)らず退散(たいさん)(いた)しました。386谷丸(たにまる)さまや滝公(たきこう)さまが危急(ききふ)場合(ばあひ)(あら)はれて、387私達(わたくしたち)危難(きなん)(すく)うて(くだ)さつたのですよ。388これも(まつた)神様(かみさま)(たす)(ぶね)389(よろこ)びなさいませ』
390 玉能姫(たまのひめ)(この)言葉(ことば)にやつと(むね)()(おろ)し、
391『アヽ初稚姫(はつわかひめ)(さま)392御無事(ごぶじ)(なに)よりでした。393谷丸(たにまる)(さま)394滝公様(たきこうさま)395有難(ありがた)う、396よう()(くだ)さいましたなア』
397(うれ)(なみだ)(しづ)む。398(おのおの)(たき)()(きよ)め、399初稚姫(はつわかひめ)導師(だうし)にて天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)(をは)つて、400二三町(にさんちやう)(ばか)谷道(たにみち)(くだ)り、401(やや)平坦(へいたん)なる芝生(しばふ)(うへ)()(よこ)たへ(いき)(やす)めた。
402玉能姫(たまのひめ)不思議(ふしぎ)(ところ)貴方等(あなたがた)がお()(くだ)さいまして、403加勢(かせい)をして(いただ)き、404(なん)ともお(れい)(まを)しやうが御座(ござ)いませぬ。405さうしてお二人(ふたり)さま、406(なに)御用(ごよう)あつて、407此処(ここ)へお()しになつて()たのですか』
408 谷丸(たにまる)は、
409(じつ)貴女(あなた)だから申上(まをしあ)げますが、410言依別(ことよりわけ)さまの御供(おとも)をして再度山(ふたたびやま)山頂(さんちやう)(まで)(まゐ)り、411教主(けうしゆ)さまは一生懸命(いつしやうけんめい)何事(なにごと)かお(いの)りをして()られます。412(なん)でも大変(たいへん)神様(かみさま)御用(ごよう)ださうです。413つい(いま)(さき)教主様(けうしゆさま)(にはか)神懸(かみがか)りにお()(あそ)ばして「汝等(なんぢら)両人(りやうにん)414(われ)(かま)はず布引(ぬのびき)(たき)へこれから(まゐ)れ、415御用(ごよう)がある」と(あふ)せになりましたので、416両人(りやうにん)何事(なにごと)ならむと(やま)()(くだ)り、417(たき)(うへ)より(なが)めて()れば(いま)有様(ありさま)418(わたくし)(よう)(まを)すのは(この)(こと)御座(ござ)いましたでせう』
419『それは御苦労(ごくらう)御座(ござ)いました。420吾々(われわれ)二人(ふたり)神様(かみさま)のお(ゆめ)(かん)じ、421(この)(やま)(いただき)大変(たいへん)御用(ごよう)があると(うけたま)はり、422生田(いくた)(もり)杢助(もくすけ)さまの(やかた)()()で、423初稚姫(はつわかひめ)(さま)()()いて(たき)(ふもと)(まで)やつて()ました(ところ)424バラモン(けう)一味(いちみ)(もの)()(かこ)まれ、425(すで)(あやふ)(ところ)御座(ござ)いました。426これと(まを)すも神様(かみさま)吾々(われわれ)への御試錬(ごしれん)でせう。427いつもなら言霊(ことたま)をもつて言向(ことむ)(やは)すのですが、428(なん)だか今日(けふ)(かぎ)つて(うで)(ふる)ひたくなつて(まゐ)りました。429(じつ)にお(はづ)かしい(こと)御座(ござ)います』
430 滝公(たきこう)は、
431『イヤ、432何事(なにごと)神界(しんかい)御都合(ごつがふ)でせう。433(この)(さき)幾多(いくた)悪者(わるもの)434続出(ぞくしゆつ)するかも()れませぬ、435千騎一騎(せんきいつき)(とき)(もち)ふる武術(ぶじゆつ)ですから、436(あなが)(つみ)にもなりますまい』
437 初稚姫(はつわかひめ)(やさ)()のある(こゑ)にて、
438(これ)より言依別(ことよりわけ)教主(けうしゆ)面会(めんくわい)し、439神界経綸上(しんかいけいりんじやう)必要(ひつえう)なる宝玉(ほうぎよく)をお(あづか)(いた)し、440(ある)地点(ちてん)埋蔵(まいざう)すべく吾等(われら)神務(しんむ)()びて()るのです。441(たから)付狙(つけねら)悪魔(あくま)(かず)(かぎ)りもなく()ますから、442武術(ぶじゆつ)応用(おうよう)するも()むを()ませぬ。443きつと神様(かみさま)はお(ゆる)(くだ)さりませう。444谷丸(たにまる)445滝公(たきこう)両人(りやうにん)446吾等(われら)二人(ふたり)(かた)(まも)(この)山頂(さんちやう)案内(あんない)(いた)されよ』
447()つて神懸(かみがか)りは(もと)(ふく)した。448谷丸(たにまる)449滝公(たきこう)二人(ふたり)前後(ぜんご)警護(けいご)しながら、450山頂(さんちやう)目蒐(めが)けて(のぼ)()く。
451 言依別命(ことよりわけのみこと)山頂(さんちやう)(うるは)しき(いはほ)(うへ)に、452十重(とへ)二十重(はたへ)(つつ)みたる三個(さんこ)(たま)安置(あんち)し、453一生懸命(いつしやうけんめい)祈願(きぐわん)()らす最中(さいちう)であつた。454谷丸(たにまる)は、
455教主(けうしゆ)さま、456唯今(ただいま)(かへ)りました。457大変(たいへん)(こと)出来(しゆつたい)(いた)して()ました』
458『それは御苦労(ごくらう)であつた。459初稚姫(はつわかひめ)(さま)460玉能姫(たまのひめ)(さま)御無事(ごぶじ)であつたかな』
461『ハイ、462危機一髪(ききいつぱつ)(とき)両人(りやうにん)(まゐ)りましたので、463()生命(いのち)だけは(たす)かりました、464やがて滝公(たきこう)がお(まも)(まを)して(のぼ)つて()ませう。465(わたくし)一足先(ひとあしさき)御報告(ごはうこく)のために、466途中(とちう)から(いそ)いで(かへ)りました』
467『あゝそれは御苦労(ごくらう)であつたなア』
468言依別命(ことよりわけのみこと)はニコニコ(うれ)しさうに(わら)つて()る。
469『やつとこどつこい、470うんとこしよ』
471一歩(ひとあし)々々(ひとあし)拍子(ひやうし)()り、472急坂(きふはん)(のぼ)つて()滝公(たきこう)は、473(みね)尾上(をのへ)()ち、
474『サアお二人(ふたり)さま、475もう(らく)です。476つい其処(そこ)教主(けうしゆ)()られます。477(なん)でも貴女(あなた)結構(けつこう)なものをお(わた)(あそ)ばすさうです。478御神諭(ごしんゆ)にも「()んな(ひと)が、479()んな御用(ごよう)をするやら(わか)らぬ」と(しめ)されて()ますが、480肝腎(かんじん)幹部(かんぶ)のお歴々(れきれき)(さま)には、481素知(そし)らぬ(かほ)をして、482(をんな)子供(こども)御神徳(ごしんとく)483(いな)肝腎(かんじん)御用(ごよう)御命(おめい)じになるさうです。484吾々(われわれ)(じつ)(うらや)ましう御座(ござ)います。485(しか)(なが)聖地(せいち)(おい)ては門掃(かどは)き、486(くさ)むしりばかりやらせられて()つた吾々(われわれ)両人(りやうにん)が、487肝腎(かんじん)教主様(けうしゆさま)御微行(おびかう)御供(おとも)をさして(いただ)いたのですから、488(じつ)有難(ありがた)いものですよ。489神様(かみさま)公平(こうへい)無私(むし)ですから、490人間(にんげん)勝手(かつて)()めた階級(かいきふ)などに頓着(とんちやく)(あそ)ばさない。491さうでなければ吾々(われわれ)()まりませぬからなア』
492教主(けうしゆ)(まへ)一歩(ひとあし)々々(ひとあし)近寄(ちかよ)つて()る。
493言依別命(ことよりわけのみこと)(みな)さま、494よく()(くだ)さいました。495随分(ずゐぶん)この(やま)嶮岨(けんそ)御困(おこま)りでしたらう』
496玉能姫(たまのひめ)『イエイエ、497神様(かみさま)のお(かげ)()らぬ(うち)(のぼ)つて(まゐ)りました。498昨夜(さくや)神様(かみさま)霊夢(れいむ)(かん)じ、499初稚姫(はつわかひめ)(さま)(ともな)当山(たうざん)(まゐ)ります途中(とちう)500布引(ぬのびき)(たき)(おい)てバラモン(けう)一派(いつぱ)包囲(はうゐ)せられ、501進退谷丸(しんたいきはまる)(ところ)へ、502布引(ぬのびき)瀑布(ばくふ)のやうな(きよ)滝公(たきこう)さまを(はじ)め、503谷丸(たにまる)さまがお()(くだ)さいまして、504一切(いつさい)悶着(もんちやく)滝水(たきみづ)(ごと)くさらさらと落着(らくちやく)(いた)しました。505(なに)神界(しんかい)御用(ごよう)(わたくし)(たち)(あふ)せつけ(くだ)さいますのでせうか』
506貴女(あなた)霊夢(れいむ)(かん)じながら、507()ぐさま山頂(さんちやう)(のぼ)らず、508(からだ)(きよ)めようなぞと(おも)つて、509わき(みち)をなさつたものですから、510一寸(ちよつと)神様(かみさま)(いまし)められたのですよ。511今後(こんご)何事(なにごと)柔順(すなほ)になさいませ』
512有難(ありがた)御座(ござ)います』
513初稚姫(はつわかひめ)教主様(けうしゆさま)514御機嫌(ごきげん)宜敷(よろし)御座(ござ)います』
515(ちひ)さき()()()いて挨拶(あいさつ)する。516言依別命(ことよりわけのみこと)(また)大地(だいち)()をつき丁寧(ていねい)応答(おうたふ)し、517(をは)つて、
518初稚姫(はつわかひめ)(さま)519玉能姫(たまのひめ)(さま)520貴方(あなた)(がた)(これ)から大望(たいもう)御用(ごよう)(つと)めて(いただ)かねばなりませぬ。521それについては(こころ)(そこ)(まで)見抜(みぬ)いた谷丸(たにまる)522滝公(たきこう)両人(りやうにん)をして御供(おとも)をさせますれば、523何卒(どうぞ)極秘密(ごくひみつ)にして(つと)()げて(くだ)さい。524金剛不壊(こんがうふゑ)如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)(むらさき)(たま)を、525瀬戸(せと)(うみ)(ひと)(じま)埋蔵(まいざう)する御用(ごよう)をお(まか)(いた)します。526(わたくし)(まゐ)るのは(やす)(こと)ですが、527(あま)目立(めだ)つては(かへ)つて秘密(ひみつ)(やぶ)れますから、528此処(ここ)でお()にかかつたのです』
529玉能姫(たまのひめ)『エヽ、530(なん)仰有(おつしや)います。531あの紛失(ふんしつ)したと()ふお宝物(たからもの)が、532これで御座(ござ)いますか。533錚々(さうさう)たる立派(りつぱ)幹部(かんぶ)方々(かたがた)がおありなさるのに、534(わたくし)のやうな女風情(をんなふぜい)が、535斯様(かやう)大切(たいせつ)御用(ごよう)(うけたま)はつては(ぶん)()ぎます。536何卒(どうぞ)幹部(かんぶ)(かた)(あふ)せつけられますやうに』
537沢山(たくさん)宣伝使(せんでんし)()りますが、538(あま)浅薄(せんぱく)執着心(しふちやくしん)(ふか)くて、539嫉妬心(しつとしん)(さか)んで功名心(こうみやうしん)()られ、540()(くち)(かる)連中(れんちう)ばかりで、541(まこと)御用(ごよう)(めい)ずるものは一人(ひとり)御座(ござ)いませぬ。542(わたくし)(この)(こと)について日夜(にちや)憂慮(いうりよ)して()りました(ところ)543(にしき)(みや)大神様(おほかみさま)に、544玉照彦(たまてるひこ)(さま)545玉照姫(たまてるひめ)(さま)がお(うかが)ひの結果(けつくわ)546教主(けうしゆ)(わたくし)をお(まね)きになり、547貴女(あなた)(がた)にこの御用(ごよう)をさせよ」との厳格(げんかく)なる御命令(ごめいれい)御座(ござ)いました。548是非(ぜひ)(とも)(これ)御辞退(ごじたい)なされては御神慮(ごしんりよ)(そむ)きます。549是非(ぜひ)(この)御用(ごよう)にお(つか)(くだ)さいませ』
550『ぢやと(まを)して、551(あま)(おそ)(おほ)いぢや御座(ござ)いませぬか』
552初稚姫(はつわかひめ)玉能姫(たまのひめ)(さま)553教主様(けうしゆさま)のお言葉(ことば)(とほ)り、554(つつし)んでお()けなさいませ。555(わたくし)(よろこ)んで、556御用(ごよう)(うけたま)はりませう』
557左様(さやう)ならば不束(ふつつか)ながらお使(つか)(くだ)さいませ』
558早速(さつそく)御承知(ごしようち)559大神様(おほかみさま)(さぞ)御満足(ごまんぞく)思召(おぼしめ)すで御座(ござ)いませう。560さア(これ)より谷丸(たにまる)561滝公(たきこう)両人(りやうにん)は、562二方(ふたかた)保護(ほご)し、563(ふた)つの(たま)埋蔵(まいざう)すべく御供(おとも)をして神島(かみじま)(わた)つて()れ』
564 (たに)565(たき)両人(りやうにん)はハツと(かうべ)()げ、
566谷丸(たにまる)私等(わたくしら)(ごと)(いや)しき(もの)に、567(この)御用(ごよう)(あふ)せつけ(くだ)さいまして有難(ありがた)(ぞん)じます』
568(いま)より谷丸(たにまる)(たい)佐田彦(さだひこ)()(あた)へ、569滝公(たきこう)(たい)波留彦(はるひこ)()(あた)ふ。570(これ)よりは佐田彦(さだひこ)571波留彦(はるひこ)となつて大切(たいせつ)なる御神業(ごしんげふ)奉仕(ほうし)されよ』
572 二人(ふたり)有難涙(ありがたなみだ)()れつつ、
573谷丸(たにまる)大切(たいせつ)御用(ごよう)(あふ)せつけられた(うへ)574結構(けつこう)御名(おな)(まで)(たま)はりまして、575吾々(われわれ)()()りて(この)(うへ)なき光栄(くわうえい)御座(ござ)います』
576『お(れい)には(およ)ばぬ、577(みな)大神様(おほかみさま)御命令(ごめいれい)だ。578今日(けふ)から佐田彦(さだひこ)宣伝使(せんでんし)579波留彦(はるひこ)宣伝使(せんでんし)任命(にんめい)する』
580 二人(ふたり)(ゆめ)かと(ばか)()(よろこ)び、581地上(ちじやう)(かうべ)()歓喜(くわんき)(なみだ)()れて()る。
582言依別命(ことよりわけのみこと)『この(たま)金剛不壊(こんがうふゑ)如意宝珠(によいほつしゆ)583初稚姫(はつわかひめ)さまにお(あづ)(まを)す。584(これ)(むらさき)(たま)585玉能姫(たまのひめ)さまにお(あづ)(まを)す。586(ひと)黄金(わうごん)(たま)587これは言依別(ことよりわけ)(ある)霊山(れいざん)埋蔵(まいざう)して()きます』
588玉能姫(たまのひめ)教主様(けうしゆさま)神島(かみじま)へはお(わた)りになりませぬか』
589三十余万年(さんじふよまんねん)未来(みらい)(おい)て、590(この)宝玉(はうぎよく)(ひかり)(はつ)する(とき)591(むか)へに(まゐ)ります。592それ(まで)(だん)じて(わた)りませぬ。593サア四人(よにん)(かた)594(この)峰伝(みねづた)ひに明石(あかし)海辺(うみべ)(とほ)り、595高砂(たかさご)(うら)より、596(ひそ)かにお(わた)(くだ)さい。597これでお(わか)(いた)します』
598言依別命(ことよりわけのみこと)(みね)(つた)足早(あしばや)姿(すがた)(かく)した。
599 (この)黄金(わうごん)(たま)高熊山(たかくまやま)霊山(れいざん)埋蔵(まいざう)され、600ミロク出現(しゆつげん)()()たれたのである。601(その)(とき)(しるし)として三葉躑躅(みつばつつじ)()ゑて()いた。602三個(さんこ)宝玉(ほうぎよく)()()でて(ひか)(かがや)(その)活動(くわつどう)を、603()つの御魂(みたま)出現(しゆつげん)とも()ふのである。
604大正一一・五・二八 旧五・二 加藤明子録)