霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第九章 分担(ぶんたん)〔九七三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻 篇:第1篇 向日山嵐 よみ:むこうやまあらし
章:第9章 第35巻 よみ:ぶんたん 通し章番号:973
口述日:1922(大正11)年09月16日(旧07月25日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
新公、徳公、久公は酒の機嫌でなんとなく寝られなく、三公の館の庭を歩きながら、よもやま話にふけっている。新公は、お梅は実は虎公の妹ではなく拾い子で、昔黄泉比良坂の戦いで活躍した松・竹・梅の三姉妹の宣伝使の生まれ変わりだとしゃべってしまう。
三公と虎公に一喝された三人は、田圃へ酔い覚ましに行ってしまった。黒姫は、三人の話が本当かどうか、虎公とお梅に確かめる。お梅の身の上話によれば、両親はバラモン教の鬼雲彦に亡き者とされ、自分も悪者にかどわかされていたところを、虎公に助けられたのだという。
孫公は、今度は三公の身の上話に話題を変えた。三公は実はエヂプトの三五教宣伝使・春公とお常の子であったという。父母がスッポンの湖に棲むという大蛇を言向け和しに出かけたが、力及ばず湖にのまれて亡くなってしまったという。
エヂプトの酋長である夏山彦の託宣によれば、三公の両親は自分自身の執着心が凝って大蛇となり、言霊戦に敗れて亡くなったのだから、三公は両親の冥福を祈る生活を送るべきだと諭されたという。
しかし三公は両親の仇を取ろうと、夏山彦の親切な申し出も断ってスッポンの湖に出かけたが、その広大さに力不足を感じ、熊襲の国にやってきて屋方村で侠客をはじめ、密かにスッポンの湖の大蛇退治のために子分を集めていたのだという。
お愛についても素性をしっており、恋慕もあったが、大蛇退治に効験ある霊系であろうという目算もあったのだ、と明かした。そして、悪を退治するために自ら悪人となり悪人の子分を集めていたことが、三五教の教理に背いていたことを告白して懺悔した。
三公の身の上話を聞いて、虎公の発案で早速、虎公、お愛、三公、孫公の四人は、スッポンの湖の大蛇を言向け和すべく出立することになった。
黒姫は火の国へ先を行くことになり、三公と虎公の命で、道案内として徳公と久公が同道することになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3509
愛善世界社版:92頁 八幡書店版:第6輯 505頁 修補版: 校定版:98頁 普及版:34頁 初版: ページ備考:
001()(たけ)(とら)(おほかみ)獅子(しし)大蛇(をろち)
002熊襲(くまそ)(くに)高原(かうげん)
003(やかた)(かま)へて遠近(をちこち)
004暴威(ばうゐ)(ふる)ひし男達(をとこだて)
005その()大蛇(をろち)三公(さんこう)
006離座敷(はなれざしき)()もすがら
007(さけ)()みかはし四方山(よもやま)
008(はなし)(ふけ)(ひと)(かげ)
009障子(しやうじ)(うつ)(いつ)()
010()深々(しんしん)()(わた)
011荒野(あらの)(わた)夜嵐(よあらし)
012(こゑ)何時(いつ)しか(しづ)まりて
013(かす)かに(きこ)ゆる谷川(たにがは)
014(いはほ)()むで(ほとばし)
015(みづ)(おと)のみ()(わた)る。
016 (さけ)機嫌(きげん)(なん)となく神経(しんけい)興奮(こうふん)して()つかれぬままに、017ブラリブラリと境内(けいだい)逍遥(せうえう)してゐた(しん)018(きう)019(とく)三人(さんにん)020障子(しやうじ)(うつ)人影(ひとかげ)(なが)め、021巻舌(まきじた)になつて呶鳴(どな)つてゐる。
022『オイ新公(しんこう)023あの障子(しやうじ)(かげ)()い! 貴様(きさま)親方(おやかた)不在(るす)になると、024チヨイチヨイと(さけ)()んで(もら)ふと(ぬか)しよつたナイスの影法師(かげぼうし)がシヤントコセイのウントコセと(うつ)つとるぢやねえか、025本当(ほんたう)(えら)(やつ)だなア。026(あい)姐貴(あねき)(ただ)(きつね)ぢやないと(おも)うて()つたが、027八島別(やしまわけ)とか(なん)とかの(むすめ)だと()ひよつたなア。028(むかし)常世(とこよ)会議(くわいぎ)八島(やしま)とかいふ(きつね)()よつて、029常世姫命(とこよひめのみこと)をアフンと()はしよつた其奴(そいつ)系統(ひつぽう)かも()れないぞ』
030『コリヤ(とく)031そんな(おほ)きい(こゑ)(ぬか)すと、032三公(さんこう)(きこ)えるぢやねえか。033貴様(きさま)口外(こうぐわい)せぬと(ぬか)したから、034この新公(しんこう)親切(しんせつ)神秘(しんぴ)(かぎ)(ひら)いて()かしてやつたぢやねえか、035これ(ほど)()()けて、036そこらあたりがシーンとして()るのだから、037(ちひ)さい(ささや)(ごゑ)でも(きこ)えるのだから、038(ちひ)さい(こゑ)()はぬかい。039(あい)さまに(きこ)えたら大変(たいへん)だぞ』
040貴様(きさま)(その)(こゑ)(はう)余程(よつぽど)(おほ)きいぢやねえか。041オイ新公(しんこう)042あのお(うめ)()(やつ)ア、043親分(おやぶん)(いもうと)だといふ(こと)だが、044(いもうと)(まで)()れて駆落(かけおち)しよつたのか。045本当(ほんたう)(ねん)()つた(やつ)だなア』
046(いもうと)といへばマアマア(いもうと)だ。047(じつ)のとかア、048彼奴(あいつ)(ひろ)()だよ。049うちの虎公(とらこう)表向(おもてむき)(いもうと)だと()つてるのだが、050(その)(じつ)ア、051フサの(くに)(うま)れた(をんな)で、052(あね)にはお(まつ)といふ立派(りつぱ)なナイスがあるのだ』
053『そのお(まつ)如何(どう)して()つとるのだ』
054『きまつた(こと)だ。055(まつ)(たけ)(うめ)()(こと)があるぢやねえか。056(うめ)(あね)はお(たけ)057(たけ)(あね)はお(まつ)だ。058黄泉比良坂(よもつひらさか)(もも)()になつた(まつ)(たけ)(うめ)宣伝使(せんでんし)(うま)(かは)りだからなア。059本当(ほんたう)素敵(すてき)なものだ。060オイ徳公(とくこう)061(おれ)(ひと)貴様(きさま)改悪(かいあく)記念(きねん)にお(うめ)さまを女房(にようばう)周旋(しうせん)してやらうか』
062『あんな(わけ)代物(しろもの)如何(どう)して夫婦(ふうふ)になれるものけえ。063世間体(せけんてい)()つともねえワ』
064貴様(きさま)ア、065世間体(せけんてい)(はばか)良心(りやうしん)があるのなら、066なぜこんな無頼漢(ぶらいかん)三公(さんこう)乾児(こぶん)になつたのだい。067それの(はう)余程(よつぽど)世間体(せけんてい)(わる)いぞ。068(おれ)のとこの親方(おやかた)はドンドンながら、069ポンポンながら、070(とよ)(くに)豊日別命(とよひわけのみこと)さまの御総領(ごそうりやう)で、071虎若彦命(とらわかひこのみこと)(さま)だ。072(わか)(とき)無分別(むふんべつ)(こひ)におちて、073熊襲(くまそ)(くに)へお()(あそ)ばしたのだが、074(なん)()つても(たね)(たね)だから(えら)いものだ。075大蛇(をろち)三公(さんこう)なんて()(やつ)あ、076どこの牛骨(ぎうこつ)だか馬骨(ばこつ)だか素性(すじやう)(わか)らねえゲス下郎(げろう)だから、077人情(にんじやう)()らねば、078(まこと)道理(だうり)(さと)らず、079卑怯(ひけふ)未練(みれん)な、080親分(おやぶん)不在宅(るすたく)(おし)かけて、081(あい)(かた)無理往生(むりわうじやう)させようとしよつたのだよ。082そんな(やつ)提灯持(ちやうちんもち)をしてる(やつ)に、083(ろく)(やつ)があるかい、084なア久公(きうこう)
085『オイオイそんな(こゑ)()すと、086親分(おやぶん)(きこ)えるぢやねえか。087(きこ)えたら(また)(こと)面倒(めんだう)だぞ』
088『(浄瑠璃(じやうるり))そりや(きこ)えませぬ、089久公(きうこう)さま……だい、090(ことば)無理(むり)とは……チンチン……ぢや、091(おも)はねどオヽヽヽ(おれ)(あんま)()にかかる、092折角(せつかく)結構(けつこう)親方(おやかた)を、093()つて(よろこ)ぶひまもなう、094()()されては、095(この)新公(しんこう)096どこに如何(どう)して(くら)さうやら、097(あん)じすごしてヒヤヒヤと、098(とどろ)(むね)(おさ)へつ……け……(くや)(なげ)きし(その)顔付(かほつき)……』
099『オイオイ障子(しやうじ)()いたぞ。100親分(おやぶん)(いま)目玉(めだま)だ。101()げろ()げろ』
102『(浄瑠璃(じやうるり))ヤレ(その)障子(しやうじ)()けまいぞ、103(この)蚊帳(かや)(うち)黒姫婆(くろひめばば)城廓(じやうくわく)104(その)(くさ)つた(たましひ)で、105(この)(しろ)一重(ひとへ)(やぶ)らるるなら、106サヽヽ(やぶ)つて()……よ……と百筋千筋(ももすぢちすぢ)()をこめて、107()つかついだる蚊帳(かや)(うち)108()くねより(ほか)応答(いらへ)なし……と()(やう)愁歎場(しうたんば)だ』
109 障子(しやうじ)をあけた(をとこ)(かげ)
110『オイ久公(きうこう)111(なに)()つてゐるか』
112 三人(さんにん)一度(いちど)両手(りやうて)(あたま)(かか)へ、
113『ヘーー』
114()つた()(しやが)んで(しま)つた。
115『ハハー、116人間(にんげん)かと(おも)へば、117()(あし)だつたな』
118『イエイエ(ちが)ひます(ちが)ひます。119(しんざけ)(きうざけ)(とくり)()れて()つて()やした、120三公(さんこう)……オツトドツコイ三人(さんにん)御座(ござ)います。121トラまアよい(あぢ)(さけ)御座(ござ)いますから、122(あぢ)はおウメさんで、123中々(なかなか)素敵(すてき)(もの)でげす。124夜夜中(よるよなか)にこんな(ところ)(まで)()て、125孫公々々(まごこうまごこう)して()るものだから、126(つき)(ほし)もないこれ(ほど)(くも)つた黒姫(くろひめ)(ばん)に、127ヲロチ()()うて(こま)つて()三公(さんこう)でげす。128親方(おやかた)如何(どう)でげせう、129第三次会(だいさんじくわい)をお(ひら)きなさつたら……モウ()()けるに()もあるめえから、130綺麗(きれい)なナイスをお(あいて)として一杯(いつぱい)やるも(おつ)でげせう。131アーア、132とうとう(さけ)一夜酔(いちやよひ)をして(しま)つて、133(した)(ろく)にまはりやしねえわ』
134虎公(とらこう)『オイ三人(さんにん)(やつ)135最前(さいぜん)から()いて()れば、136貴様等(きさまら)()しからぬ(こと)(さへづ)つて()つたではねえか』
137『ヘエ、138虎公(とらこう)親分(おやぶん)さま()みませぬ。139新公(しんこう)自慢顔(じまんがほ)をして、140親方(おやかた)さまの素性(すじやう)()かしよつたものだから、141(みみ)(いた)くて仕方(しかた)がねえのを辛抱(しんばう)して()いて()つたのですよ。142さうして(たく)親分(おやぶん)をボロ(くそ)にこきおろしよるものだから、143ムカつくのムカつかぬのつて、144最前(さいぜん)から三四度(さんしど)八百屋店(やほやみせ)()しましたのだ。145アーア、146こんな(ところ)()つちや剣呑(けんのん)だ。147親方(おやかた)148今日(けふ)はそんな(こと)()つて、149(わたし)(ひや)つかし、150冷酒(ひやざけ)(くる)しめるよりも、151燗酒(かんざけ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)して(くだ)さいませ。152オイ(みな)(やつ)153あつちへ()かうかい』
154()(なが)ら、155三人(さんにん)(やみ)(まぎ)れて、156田圃(たんぼ)(なか)酔醒(よひさ)ましに()つて(しま)つた。
157 あとには(れい)虎公(とらこう)158黒姫(くろひめ)159孫公(まごこう)160兼公(かねこう)161(あい)162(うめ)に、163主人側(しゆじんがは)三公(さんこう)七人(しちにん)(つくゑ)(なか)において、164ヒソヒソ(ばなし)(つづ)けて()る。165(よひ)から(たふと)神様(かみさま)御経綸談(ごけいりんだん)(たま)をぬかれ、166()()けるも()らず、167(また)(あま)りの愉快(ゆくわい)さに睡気(ねむけ)もささず、168小声(こごゑ)にいろいろの経歴話(けいれきばなし)()ぜて、169入信(にふしん)経路(けいろ)などを物語(ものがた)つてゐる。170黒姫(くろひめ)が、
171(いま)窓外(まどそと)にて三人(さんにん)(はなし)()けば、172(あい)さまや虎公(とらこう)さま、173(うめ)さまの()(うへ)(ばなし)174実際(じつさい)あの(とほ)りで御座(ござ)いますか』
175(わけ)(やつ)(さけ)()つて()ふのですから、176(あて)になつたものぢや御座(ござ)いませぬ』
177(さけ)(よひ)本性(ほんしやう)(たが)はず……と()ひますから、178満更(まんざら)179(かげ)(かたち)もない(こと)では御座(ござ)いますまい。180(さけ)()うた(とき)比較的(ひかくてき)正直(しやうぢき)なものですからなア虎公(とらこう)さま』
181()うたとこもあれば、182()はない(ところ)もあり、183()(かく)()きはづれを()つてるのですから、184(こま)つたものですワイ』
185『お(うめ)さまはお(まつ)さまの(いもうと)だとか()つてゐましたなア。186そのお(まつ)さまは(いま)どこに()られますか。187差支(さしつかへ)なくば仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
188『ハイ(わたくし)には(あね)御座(ござ)いました。189(なか)(ねえ)さまのお(たけ)さまはコーカス(ざん)()つたきり行方不明(ゆくへふめい)となり、190(うへ)(ねえ)さまのお(まつ)さまはフサの(くに)から(うみ)(わた)つてどこか(とほ)(くに)()かれたとか()(はなし)御座(ござ)います。191何分(なにぶん)(わたくし)(ちひ)さい(とき)(わか)れたのですから(くは)しい(こと)(ぞん)じませぬ』
192『あなたの御両親(ごりやうしん)(なん)()ひますかな』
193(わたし)父母(ちちはは)(ひと)(うはさ)(うけたま)はりますれば、194バラモン(けう)鬼雲彦(おにくもひこ)とやら()大将(たいしやう)()(かへ)られ、195生命(いのち)()られたとか()ふことを(うけたま)はりました。196(わたくし)(ある)悪者(わるもの)(ため)(かど)はかされ、197筑紫ケ岳(つくしがだけ)頂上(ちやうじやう)(きた)(をり)しも、198(にい)さまがお()でになり、199悪者(わるもの)()()らし、200(わたし)(たす)けて()(かへ)り、201(いま)(まで)世話(せわ)して(くだ)さいました。202(にい)さまの(はか)らひで、203親子(おやこ)兄弟(きやうだい)のない()だと()つたら世間(せけん)(ひと)軽蔑(けいべつ)するから、204(まへ)(おれ)国許(くにもと)から(たづ)ねて()(いもうと)だと()つてをるがよい、205(おれ)もお(まへ)(まこと)(いもうと)だと(おも)うて可愛(かあい)がつてやると仰有(おつしや)つて(くだ)さいました』
206(なみだ)(なが)()()る。207虎公(とらこう)もお(あい)黒姫(くろひめ)()()(かうべ)()れ、208(ふと)(いき)をついて()る。
209『お(うめ)さまの(こと)三公(さんこう)(いま)(はじ)めて(うけたま)はりました。210ヤア虎公(とらこう)さま、211あなたは本当(ほんたう)親切(しんせつ)(かた)ですなア。212ヤもう感心(かんしん)(いた)しました』
213とこれも(また)涙含(なみだぐ)む。
214『ヤア(これ)孫公(まごこう)三人(さんにん)秘密(ひみつ)全部(ぜんぶ)(わか)りました。215()いては三公(さんこう)親分(おやぶん)216(まへ)さまは(なん)()(ひと)()だい、217(ついで)()つて(くだ)さつたら如何(どう)です。218モウ()うなれば親身(しんみ)兄弟(きやうだい)同様(どうやう)だから、219(なん)()(へだ)ても()りますまい』
220(わたし)(ちち)はエヂプトの(まち)()んで()りまして、221春公(はるこう)(まを)し、222(はは)はお(つね)といひました。223或時(あるとき)224三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)となつたのを(さいは)ひ、225初陣(うひぢん)功名(こうみやう)をして神様(かみさま)御目(おめ)にかけたいとか()つて、226(わたし)(いへ)(のこ)し、227白瀬川(しらせがは)水上(みなかみ)228スツポンの(みづうみ)()大蛇(をろち)言向和(ことむけやは)すとか()つて、229夫婦(ふうふ)(まゐ)りました。230さうした(ところ)が、231(わたし)両親(りやうしん)はまだ神力(しんりき)()らなかつたと()えまして、232(みづうみ)大蛇(をろち)()もなく()まれて(しま)つたので御座(ござ)います。233(わたし)はただ一人(ひとり)下男(げなん)留守(るす)をして()りましたが、234(この)(こと)(かぜ)便(たよ)りに()き、235()(たて)もたまらず、236三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)埃及(エヂプト)酋長(しうちやう)なる夏山彦(なつやまひこ)(さま)御館(おやかた)へ、237(ちち)入魂(じつこん)にして(いただ)いて()つたのを(さひは)()(さん)じ、238神勅(しんちよく)(うかが)つて(もら)つた(ところ)「お(まへ)両親(りやうしん)(いま)(まで)(あま)沢山(たくさん)財産(ざいさん)(こしら)へ、239難儀(なんぎ)(もの)(たす)ける(たす)けると()つた(ばか)りで、240(こめ)一掴(ひとつか)(あた)へた(こと)もなし、241大勢(おほぜい)(もの)執着心(しふちやくしん)(かさ)なつて大蛇(をろち)となり、242(まへ)両親(りやうしん)(ほろ)ぼして(しま)つたのだから、243モウ駄目(だめ)だ。244せめては両親(りやうしん)冥福(めいふく)(いの)り、245(ふたた)(この)()立派(りつぱ)人間(にんげん)として(うま)れて()るやうに(いの)つてやれ」……と仰有(おつしや)いました。246(しか)(なが)両親(りやうしん)はどこかへ(うま)(かは)るにした(ところ)で、247(わたし)としては最早(もはや)(おや)()られたのだから、248安閑(あんかん)としては()られない、249スツポンの(みづうみ)大蛇(をろち)(かた)(ぱし)から()(ほふ)り、250(おや)(かたき)()つてやらむと、251夏山彦(なつやまひこ)御夫婦(ごふうふ)親切(しんせつ)におとめ(くだ)さるのも()かず、252(よる)(まぎ)れて(わが)()飛出(とびだ)し、253(みづうみ)(ほとり)()()れば、254際限(さいげん)もなき(ひろ)(みづうみ)255此奴(こいつ)到底(たうてい)一人(ひとり)二人(ふたり)(ちから)では()かないと断念(だんねん)し、256それから遥々(はるばる)熊襲(くまそ)(くに)屋方村(やかたむら)257(かし)(もり)()かげに(いほり)(むす)び、258侠客(けふかく)となつて数多(あまた)乾児(こぶん)(やしな)ひ、259サア(これ)大丈夫(だいぢやうぶ)()ふやうになつた(ところ)で、260一挙(いつきよ)にして大蛇(をろち)殲滅(せんめつ)せむと、261(こころ)(そこ)より(あく)ではないが、262(あく)(よそほ)うて悪人原(あくにんばら)をかりあつめ、263大蛇(をろち)退治(たいぢ)用意(ようい)をして()つたのです。264三五教(あななひけう)(やう)無抵抗主義(むていかうしゆぎ)(をしへ)(ほう)ずる信者(しんじや)(いく)らあつても、265到底(たうてい)大蛇(をろち)征伐(せいばつ)(やう)殺生(せつしやう)(こと)(いた)しますまいから、266(るゐ)(もつ)(あつ)まるとか()つて、267(わる)(もの)(ところ)へは(わる)(もの)(あつ)まります。268(その)(わる)(やつ)沢山(たくさん)(あつ)めて(わる)大蛇(をろち)(たひら)げるのは所謂(いはゆる)(どく)(もつ)(どく)(せい)すると()筆法(ひつぱふ)ですから、269今日(けふ)(まで)(その)覚悟(かくご)()つてゐたので御座(ござ)います。270さうしてお愛様(あいさま)(たい)失礼(しつれい)(こと)(いた)しましたのも、271(じつ)(ところ)恋慕(れんぼ)事寄(ことよ)せ、272(あい)(さま)(わたし)手許(てもと)引寄(ひきよ)せ、273建日向別命(たけひむかわけのみこと)(さま)霊系(れいけい)であるから、274まさかの(とき)用意(ようい)にと(おも)つて、275いろいろ雑多(ざつた)拙劣(へた)計劃(けいくわく)をめぐらしてゐたので御座(ござ)います。276(じつ)幼稚(えうち)(かんが)へで、277只今(ただいま)となつては(はづか)しう御座(ござ)います』
278物語(ものがた)りつつ、279(なみだ)(あめ)(ごと)くに(なが)(なが)ら、280悄然(せうぜん)として(うつ)むく。
281『ヤアそれで虎公(とらこう)もスツカリと様子(やうす)(わか)つた。282いよいよ四人(よにん)種明(たねあ)かしも無事(ぶじ)終了(しうれう)してお目出度(めでた)い、283(その)(はなし)()以上(いじやう)は、284ジツとしちやゐられない。285サア(これ)から三公(さんこう)さま、286吾々(われわれ)(とも)にスツポンの(みづうみ)(むか)つて言霊戦(ことたません)(ひら)きに(まゐ)りませう。287(しか)(なが)ら、288三五(あななひ)(をしへ)(よろこ)ばれて(かたき)()つといふ(をしへ)だから、289大蛇(をろち)(いのち)()りに()くのではない、290大蛇(をろち)(みたま)を、291天津祝詞(あまつのりと)生言霊(いくことたま)()つて解脱(げだつ)させ、292天国(てんごく)(すく)()げ、293今後(こんご)(けつ)して国民(こくみん)(わざはひ)をなさないやうにするのだ。294一旦(いつたん)(ころ)された御両親(ごりやうしん)()(どく)だが、295(これ)自分(じぶん)から(つく)つた(つみ)(むく)うて大蛇(をろち)()まれたのだから、296吾々(われわれ)人間(にんげん)として如何(いかん)ともする(こと)出来(でき)ない。297(また)三公(さんこう)さまだとて、298大蛇(をろち)(おや)(かたき)だと(うら)(わけ)には(まゐ)りますまい。299(えう)するに春公(はるこう)300(つね)御両人(ごりやうにん)(みづか)(つく)つた悪魔(あくま)が、301(みづか)らを()めたのだから、302()はば自業自得(じごうじとく)303何事(なにごと)神様(かみさま)御裁断(ごさいだん)(まか)すより仕方(しかた)がない。304サア(みな)さま、305言霊戦(ことたません)(まゐ)らうぢやありませぬか』
306『ソリヤ結構(けつこう)ですなア。307(この)三公(さんこう)野郎(やらう)(とき)(うつ)さず乾児(こぶん)(ひき)つれて(まゐ)(こと)(いた)しませう』
308『イエイエ乾児(こぶん)なんか()れて()必要(ひつえう)はありませぬよ。309吾々(われわれ)には八百万(やほよろづ)(かみ)さまが守護(しゆご)して(くだ)さるから、310人数(にんず)(あま)()りませぬ、311三人(さんにん)()れば大丈夫(だいぢやうぶ)です』
312左様(さやう)なれば虎公(とらこう)さま、313(あい)さま、314三公(さんこう)さま、315あなたに御苦労(ごくらう)になりませう。316黒姫(くろひめ)はこれから孫公(まごこう)()れて()国都(くにみやこ)(まゐ)りませう』
317『あゝそれは御苦労(ごくらう)御座(ござ)います。318左様(さやう)なれば機嫌(きげん)よく御越(おこ)しなさいませ。319(たれ)乾児(こぶん)一二人(いちににん)320御案内(ごあんない)()てませうか』
321『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。322どなたでも(よろ)しいから、323(みち)勝手(かつて)御存(ごぞん)じの(かた)を、324一人(ひとり)()(くだ)さらば有難(ありがた)御座(ござ)います』
325『そんなら、326(とく)をお(とも)()たせますから、327(よろ)しう(ねが)ひます。328元来(ぐわんらい)()()かない(をとこ)ですから、329(かへつ)足手纏(あしてまと)ひになるかも()れませぬが……』
330『ハイ御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)います。331そんなら(とく)さまに御苦労(ごくらう)になりませう』
332黒姫(くろひめ)さま、333女房(にようばう)(いのち)(たす)けて(くだ)さつたお(まへ)さまを、334一人(ひとり)やる(わけ)にも()きませぬから、335久公(きうこう)一人(ひとり)御案内(ごあんない)()てませう。336さうすれば三人(さんにん)道伴(みちづ)れ、337大丈夫(だいぢやうぶ)ですから』
338『ハイ有難(ありがた)御座(ござ)います。339どこへ()つても神様(かみさま)道伴(みちづ)れ、340一人(ひとり)結構(けつこう)御座(ござ)いますが、341(むか)ふへ(まゐ)つた(ところ)で、342掛合(かけあひ)一人(ひとり)では都合(つがふ)(わる)御座(ござ)いますから、343そんならお二人(ふたり)にお世話(せわ)になりませう。344(その)(かは)りに孫公(まごこう)をあなた(がた)のお(とも)をさせませう……コレ孫公(まごこう)さま、345二人(ふたり)親分(おやぶん)によく(つか)へ、346大蛇(をろち)言向和(ことむけやは)せた(うへ)347()国都(くにみやこ)(たづ)ねて()(くだ)さい』
348『ハイ(ねが)うてもなき(こと)349有難(ありがた)御座(ござ)います。350そんなら()つて(まゐ)ります。351随分(ずゐぶん)御無事(ごぶじ)でお()(くだ)さいます(やう)御祈(おいの)(いた)します』
352 (ここ)にお(うめ)虎公(とらこう)(めい)()つて、353(しん)354(はち)二人(ふたり)(とも)武野村(たけのむら)不在宅(るすたく)(かへ)(こと)となりぬ。355虎公(とらこう)356(あい)357三公(さんこう)358孫公(まごこう)四人(よにん)は、359いよいよ(とき)(うつ)さず屋方(やかた)(むら)立出(たちい)で、360スツポンの(みづうみ)大蛇(をろち)言向和(ことむけやは)すべく、361意気(いき)揚々(やうやう)として旅装束(たびしやうぞく)(ととの)(すす)()く。
362 兼公(かねこう)363与三公(よさこう)364高公(たかこう)三人(さんにん)数多(あまた)乾児(こぶん)(とも)にあとに(とど)まりて不在役(るすやく)(つと)めさせらる。
365大正一一・九・一六 旧七・二五 松村真澄録)
   
オニド関連サイト最新更新情報
9/21【霊界物語ネット】藤沼庄平「大本検挙」を掲載(詳細はページ冒頭のインフォメーション参照)。