霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一四章 相生(あひおひ)松風(まつかぜ)〔一六九六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻 篇:第3篇 異燭獣虚 よみ(新仮名遣い):いしょくじゅうきょ
章:第14章 相生松風 よみ(新仮名遣い):あいおいまつかぜ 通し章番号:1696
口述日:1924(大正13)年12月17日(旧11月21日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年6月29日
概要: 舞台:オーラ山の岩窟の牢獄 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6614
愛善世界社版:191頁 八幡書店版:第11輯 801頁 修補版: 校定版:193頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001 サンダー、002スガコの両人(りやうにん)玄真坊(げんしんばう)要求(えうきう)(なん)とか()とか()つて、003ハツキリと承諾(しようだく)せぬので、004玄真坊(げんしんばう)(やや)自暴自棄(やけ)気味(ぎみ)になり、005モウ(この)(うへ)(しよく)()めに()はして、006往生(わうじやう)させ、0061(わが)意志(いし)(したが)はしめむと厳重(げんぢう)錠前(ぢやうまへ)をおろし、007両人(りやうにん)(とり)()めておいた。008二人(ふたり)相思(さうし)間柄(あひだがら)とて、009()かる岩窟(がんくつ)食物(しよくもつ)(あた)へられず()()められても(あま)(くる)しいとは(おも)はず、010(こひ)しき(ひと)()はれたのをば唯一(ゆゐいつ)(たの)しみとして、011いろいろの(はなし)交換(かうくわん)してゐた。
012スガコ『サンダーさま、013貴郎(あなた)()うして(また)斯様(かやう)(ところ)(とら)はれてお()でになりましたの』
014サンダー『お(まへ)行方(ゆくへ)(わか)らなくなつたものだから、015それが心配(しんぱい)になり、016(いち)()憂欝症(いううつしやう)(おちい)り、017自分(じぶん)今度(こんど)到底(たうてい)(いのち)はないだらうと(おも)つた(くらゐ)(くるし)んだのです。018医者(いしや)到底(たうてい)駄目(だめ)だといふなり、019両親(りやうしん)心配(しんぱい)するなり、020()()其方(そなた)とは(えん)のないものだと(あきら)(なが)ら、021どうしても(おも)()れぬ(こひ)(やみ)(つつ)まれて、022日夜(にちや)煩悶(はんもん)苦悩(くなう)をつづけて()りました。023(しか)るにオーラ(さん)修験者(しゆげんじや)だとか()つて、024白髪(はくはつ)異様(いやう)老人(らうじん)(わが)門前(もんぜん)(とほ)り、025いろいろの効能書(かうのうがき)(なら)()てたものだから、026(いち)()(あや)しみもしたが、027何分(なにぶん)(こひ)(こころ)(うば)はれた弱味(よわみ)で、028神徳(しんとく)()つて其方(そなた)所在(ありか)()らして(もら)はむと両親(りやうしん)()(しの)び、029(よる)(みち)をやつて()(ところ)030玄真坊(げんしんばう)使(つか)つてゐる手下(てした)小盗人(こぬすと)(ども)とみえ、031自分(じぶん)(うま)(かつ)いで、032(この)岩窟(がんくつ)()れて()たのですよ。033(しか)今日(けふ)(こひ)しい其方(そなた)()うて、034(なん)とも()れぬ(よろこ)びです。035最早(もはや)此処(ここ)(わたし)()んでも満足(まんぞく)です』
036()(なが)(なみだ)(そで)(ぬぐ)ふ。
037スガコ『(わらは)のやうな(もの)でも、038ようそこ(まで)(おも)つて(くだ)さいました。039有難(ありがた)(ござ)います。040貴郎(あなた)はトルマン(ごく)()つての美男子(びだんし)041両親(りやうしん)許嫁(いひなづけ)とは()(なが)ら、042到底(たうてい)(わらは)(ごと)(もの)を、043まさかの(とき)には相手(あひて)にしては(くだ)さるまいと(おも)ひまして、044平素(へいそ)から(あきら)めて()りました。045それだけ貴郎(あなた)(あつ)いお(めぐみ)があるとは(ゆめ)にも()らず、046時々(ときどき)貴郎(あなた)をお(うら)(まを)して(くら)して()ました(わらは)(つみ)047どうぞ()(ゆる)(くだ)さいませ』
048サンダー『()(かく)相思(さうし)男女(だんぢよ)が、049かやうな(ところ)()はうとは、050(じつ)奇縁(きえん)です。051玄真坊(げんしんばう)()つたのには、052両人(りやうにん)(とも)自分(じぶん)のいふ(こと)()かねば食責(しよくぜめ)にするとの(こと)053仮令(たとへ)食責(しよくぜめ)()うても、054(こひ)しい其方(そなた)()うた以上(いじやう)は、055(たがひ)()()り、056(まこと)(かみ)のまします天国(てんごく)旅行(りよかう)(かみ)(いの)りませう。057最早(もはや)それより吾々(われわれ)(ひら)くべき(みち)はありませぬからなア』
058スガコ『御尤(ごもつと)もで(ござ)います。059三途(せうづ)(かは)死出(しで)(やま)も、060(あめ)八衢(やちまた)も、061貴郎(あなた)一緒(いつしよ)(まゐ)りますならば、062(なん)(くるし)みも(ござ)いませぬ。063どうか一時(いつとき)(はや)(この)()()りたいもので(ござ)います。064あゝ一人(ひとり)父上(ちちうへ)(あと)(のこ)先立(さきだ)ちまする不孝(ふかう)(つみ)065どうぞ(ゆる)して(くだ)さいませ』
066()覚悟(かくご)()めたスガコはホロリと(なみだ)(ひざ)(うへ)(おと)した。
067サンダー『()うなれば、068(たがひ)覚悟(かくご)(いた)しませう。069(この)()(わか)れに(のぞ)み、070(うた)でも()んで(いさぎよ)死期(しき)()ちませう』
071スガコ『ハイ、072現世(このよ)名残(なごり)(わらは)(うた)()まして(いただ)きませう、073()貴郎(あなた)からお()かせ(くだ)さいませ』
074サンダー『(てん)蒼々(さうさう)として(たか)
075()漠々(ばくばく)として(かぎり)なく(ひろ)
076あゝ(われ)
077天地(てんち)御子(みこ)として
078明暗(めいあん)ゆき()
079うつし()(ひと)(うま)()
080(かう)不幸(ふかう)
081里庄(りしやう)(いへ)()となり
082(とし)(わか)くして(いま)世情(せじやう)(つう)ぜず
083艱苦(かんく)(あぢ)はひを()らず
084(やうや)十八(じふはつ)(さい)(はる)(むか)へて
085恋海(れんかい)(なみ)(ただよ)
086激浪(げきらう)怒濤(どたう)()まれ
087(ふね)(まさ)(くつが)へらむとす
088あゝ如何(いか)にせむ
089あが()ふる
090(たま)(ふね)
091(うづ)()(なみ)翻弄(ほんろう)されて
092(いま)何処(いづく)(そら)彷徨(さまよ)ふか
093(さぐ)()てむと朝夕(あさゆふ)
094(てん)(うつた)()(こく)
095(こころ)千々(ちぢ)にかき(みだ)れて
096身体(しんたい)()()(ほそ)りゆく
097(こひ)(なや)みし(こころ)(くる)しさ
098いかに艱苦(かんく)()とはいへ
099(わが)()にふりかかりし
100(こひ)のなやみの
101(はげ)しきには(およ)ばむや
102あゝ如何(いか)にせむ
103なれが(みこと)行方(ゆくへ)をと
104(そら)()(くも)(こころ)(うつ)
105(あるひ)(ゆふべ)(むし)()
106(なれ)面影(おもかげ)(うか)()でては
107()(よる)ならず(ひる)(ひる)ならず
108常夜(とこよ)(やみ)(まよ)ふが(ごと)
109むしろ(うん)(てん)(まか)
110味気(あぢき)なき浮世(うきよ)()つて
111天国(てんごく)(のぼ)
112永久(とこしへ)生命(いのち)(たも)たむやと
113(しづか)(かど)(たち)()でて
114野辺(のべ)景色(けしき)(なが)むる(をり)しも
115(あら)はれ(きた)
116白髪(はくはつ)異様(いやう)修験者(しゆげんじや)
117われに(むか)つて()らす(やう)
118オーラの(やま)聖場(せいぢやう)
119神力(しんりき)無双(むさう)救世主(きうせいしゆ)
120(あら)はれ(たま)ふと(をし)へしゆ
121()れを(おも)ふの(あま)
122()しやと一縷(いちる)(のぞ)みを(おこ)
123(やまひ)にやつれし()をも
124(こひ)(ちから)(ささ)へつつ
125(やうや)(のぼ)岩窟(いはやど)
126つくづく思案(しあん)(をり)もあれ
127(こころ)(きたな)玄真坊(げんしんばう)
128(こひ)(とりこ)となり()てて
129身動(みうご)きならぬ破目(はめ)となり
130言葉(ことば)左右(さいう)(たく)しつつ
131一日(ひとひ)々々(ひとひ)今日(けふ)(まで)
132(おく)(きた)りし果敢(はか)なさよ
133あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
134梵天(ぼんてん)帝釈(たいしやく)自在天(じざいてん)
135何卒(なにとぞ)(われ)()窮状(きうじやう)
136(あはれ)(たま)ひて逸早(いちはや)
137二人(ふたり)()をば(あか)るみに
138(すく)はせ(たま)へと
139()ぎまつる。
140うつし()をあとに()すてて久方(ひさかた)
141天津(あまつ)御国(みくに)(われ)(すす)まむ。
142大神(おほかみ)御許(みゆる)しうけてわれは(いま)
143スガコと(とも)天国(みくに)()かむ。
144村肝(むらきも)(こころ)()ひし二人(ふたり)()
145うべなひ(たま)はむ天津(あまつ)御神(みかみ)も。
146醜神(しこがみ)魔手(ましゆ)(のが)れて天津国(あまつくに)
147(のぼ)()()(たの)しかるらむ。
148われ()かば(さぞ)醜神(しこがみ)(おどろ)きて
149()がきなすらむ岩窟(いはや)(なか)に。
150(たま)()(いのち)(いと)刻々(こくこく)
151()れなむとす神国(みくに)()たるる』
152 スガコは声低(こゑびく)(うた)ふ。
153スガコ『天津空(あまつそら)よりいと(たか)
154(かみ)御恵(みめぐみ)(ちち)(おん)
155(うみ)より(ふか)(はは)(おん)
156(ちち)(はは)とにはぐくまれ
157二八(にはち)(はる)今日(けふ)(まで)
158(つき)(はな)よと(そだ)てられ
159()らはぬ(こと)のなき(まで)
160(この)()(さち)()()けて
161(つき)より(きよ)御姿(みすがた)
162サンダーの(きみ)()となして
163タライの(むら)(はな)となり
164(つき)ともなりて()(ひと)
165(うらや)まれつつ天国(てんごく)
166(たの)しき御代(みよ)(おく)らむと
167(おも)()たるも(みづ)(あわ)
168(しこ)(あらし)()かれつつ
169()常暗(とこやみ)(いはほ)(なか)
170悪神(あくがみ)(ども)(とら)はれて
171(あさ)(ゆふ)なに(いや)らしき
172(しこ)(つかさ)(こひ)(むち)
173()くる(たび)(ごと)身体(からたま)
174(わが)(たましひ)千万(ちよろづ)
175(くだ)くる(ばか)りの(くる)しさよ
176如何(いか)なる宿世(すぐせ)罪業(ざいごふ)
177(わが)()にめぐり(きた)りしか
178(あふ)いで(てん)(さけ)(ども)
179(てん)(こた)へず()()して
180(なげ)けど()には(こゑ)もなし
181オーラの(やま)山颪(やまおろし)
182(とき)じく()けど(わが)(たま)
183(ちち)御側(みそば)通路(かよひぢ)
184ひたと()たれし(なや)ましさ
185せめては(ちち)(おん)(ゆめ)
186(わが)(たましひ)(くるし)みを
187()げさせ(たま)へと(いの)(ども)
188(いの)りし甲斐(かひ)やあら(かな)
189朝夕(あさゆふ)(いく)(かさ)ねつつ
190()てど(くら)せど音沙汰(おとさた)
191(ただ)()(こゑ)(ましら)のみ
192木魂(こだま)(ひび)(とり)(こゑ)
193あゝ是非(ぜひ)もなや是非(ぜひ)もなや
194一層(いつそ)(この)()(いとま)()
195(みたま)となりて父上(ちちうへ)
196(こひ)しき(なれ)(おん)(そば)
197(かよ)はむものと(おも)(をり)
198不思議(ふしぎ)(こひ)しき(なれ)(こゑ)
199(いはほ)戸口(とぐち)(みみ)()
200様子(やうす)()れなく()(をり)もあれ
201(ゆめ)(うつつ)(まぼろし)
202(こひ)しき(ひと)(こゑ)すなり
203(てん)をば(はい)()(はい)
204(よろこ)()もなく(いは)()
205(ひら)いて()()玄真坊(げんしんばう)
206(こひ)しき(ひと)()()つて
207これの岩窟(いはや)(なげ)()みつ
208憎々(にくにく)しげに(にら)みつけ
209(たち)()りしこそ(いま)はしき
210あゝさり(なが)らさり(なが)
211こがれ(した)ひし()(きみ)
212気高(けだか)姿(すがた)()のあたり
213(をが)みし(こと)(うれ)しさよ
214仮令(たとへ)飢死(うゑじに)なすとても
215高天原(たかあまはら)(のぼ)りなば
216(みたま)(かて)沢々(さはさは)
217(かみ)御国(みくに)(おん)(くら)
218(たくは)へありて()とあれに
219(あた)(たま)はむ(いづ)(かみ)
220(みづ)御霊(みたま)大神(おほかみ)
221慈愛(じあい)()つる顔容(かんばせ)
222(いま)()のあたりたしたしに
223(をが)みまつりし心地(ここち)する
224サンダーの(きみ)()(きみ)
225仮令(たとへ)如何(いか)なる(こと)あるも
226(たがひ)(こころ)(むす)びつけ
227(のち)(いのち)(たま)()
228(えにし)(いと)にしかと(むす)
229いづくの(そら)(いた)るとも
230二人(ふたり)(はな)れぬ常磐木(ときはぎ)
231(さか)(ひさ)しき青松葉(あをまつば)
232おちて()れても二人(ふたり)()
233常磐(ときは)(ちぎり)(いま)よりも
234(ちか)はせ(たま)()御君(みきみ)
235()れは(なれ)をば(ちから)とし
236生命(いのち)となして現世(うつしよ)
237幽界(かくりよ)(とも)()くるなり
238(なれ)をば()ふる(わが)(こころ)
239(これ)(のぞ)きて生命(せいめい)
240(いづみ)何処(いづこ)にあるものぞ
241(あはれ)(たま)天津(あまつ)(かみ)
242(あい)させ(たま)(あが)()(きみ)
243あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
244御神(みかみ)(まか)(たてまつ)る。
245恋雲(こひぐも)(やうや)くはれて大空(おほぞら)
246(かがや)きわたるみづの月影(つきかげ)
247醜神(しこがみ)(しこ)(やかた)(とら)はれて
248(こころ)(きよ)御空(みそら)(あそ)ぶ。
249身体(からたま)岩窟(いはや)(なか)にまかるとも
250(みたま)(ひろ)宇宙(うちう)(あそ)ぶ。
251オーラ(やま)(まが)(とりで)(しの)()
252(こひ)しき(ひと)(ひた)()(かな)
253()(きみ)天国(みくに)()くは(うれ)しけれど
254(こころ)(のこ)(ちち)()(うへ)
255(ちち)なくば(わらは)(こころ)(いた)めまじ
256(こひ)勝利(しようり)()たる()なれば。
257現世(うつしよ)はよし()へず(とも)天津国(あまつくに)
258(かみ)御前(みまへ)永久(とは)(さか)えむ』
259サンダー『天津国(あまつくに)(のぼ)()ずして八衢(やちまた)
260よし彷徨(さまよふ)二人(ふたり)(たの)しき。
261()(くに)によしおつる(とも)()(なれ)
262二人(ふたり)なりせば(たの)しかるらむ。
263八衢(やちまた)関所(せきしよ)無事(ぶじ)(とほ)りぬけ
264(こひ)(はな)さく神国(みくに)(いた)らむ。
265(つき)(はな)(たと)ふべらなる()(なれ)
266(あめ)八衢(やちまた)(さか)えなるらむ』
267スガコ『八衢(やちまた)によし(まよ)(とも)(なに)かあらむ
268(こひ)しき(なれ)(ひかり)(おも)へば。
269常暗(とこやみ)根底(ねそこ)(くに)()つる(とも)
270(つき)(ひかり)(なれ)としあらば。
271月影(つきかげ)(あふ)ぎみる(たび)(おも)(かな)
272いつも(きよ)けき(きみ)姿(すがた)を』
273サンダー『春夏(はるなつ)()()(はな)(なが)めては
274(きみ)御姿(みすがた)(おも)ひうかべつ。
275山百合(やまゆり)(はな)微風(びふう)(あた)るさま
276()がスタイルによくも()しかな。
277()(なか)のすべての(こと)(うち)(わす)
278(ただ)(きみ)のみに(こころ)(そそ)ぎぬ』
279スガコ『たらちねの(おや)(おや)との許嫁(いひなづけ)
280なりとし()けどいとも(はづ)かし。
281(あふ)()高根(たかね)(はな)大空(おほぞら)
282(つき)にひとしき(きみ)にありせば。
283手折(たを)られて(きみ)(やかた)(とこ)のべに
284かをらむものと(おも)ひける(かな)
285 ()両人(りやうにん)述懐(じゆつくわい)辞世(じせい)をよんで、286()()(つか)れを(わす)れ、287(たま)天国(てんごく)楽園(らくゑん)()()(をり)しも、288ガチンと錠前(ぢやうまへ)(はづ)して、289悠々(いういう)(いり)(きた)りしは二人(ふたり)男女(だんぢよ)蚰蜒(げぢげぢ)(ごと)(きら)つて()玄真坊(げんしんばう)であつた。290玄真坊(げんしんばう)両人(りやうにん)(やせ)こけた姿(すがた)()て、291さも愉快(ゆくわい)げに(うち)()(なが)ら、
292玄真(げんしん)『アハヽヽヽ、293オイ()うだ両人(りやうにん)294最早(もはや)覚悟(かくご)はついたか、295其方(そなた)(たち)生命(いのち)は、296(この)玄真坊(げんしんばう)()(うち)(にぎ)つてゐるのだ。297生命(いのち)あつての物種(ものだね)298いつ(まで)頑固(ぐわんこ)(こと)(まを)さずに、299ウンと(なび)いたが、300其方(そなた)()(とく)301(いのち)(かぎ)302返答(へんたふ)()かして()れ』
303 サンダー、304スガコの両人(りやうにん)(すで)()(けつ)してゐたものの、305まだ何処(どこ)やらに(せい)執着心(しふちやくしん)(のこ)つてゐた。306……(なん)とかゴマかして(いち)(にち)でも生命(いのち)(たも)()らば、307両人(りやうにん)(この)岩窟(いはや)無事(ぶじ)(にげ)()し、308天下(てんか)()れて、309(この)()()()げる(こと)出来(でき)るであらう。310(なに)()もあれ、311(まよ)ひきつた(この)売僧(まいす)312(くち)(さき)にてゴマかしやらむ……と()せずして両人(りやうにん)(むね)(うか)んだ。
313サンダー『玄真坊(げんしんばう)(さま)314(わらは)決心(けつしん)(いた)しました。315おかげに()りまして、316利害(りがい)得失(とくしつ)(さと)()ましたから、317(いま)(まで)頑固(ぐわんこ)一点(いつてん)態度(たいど)(あらた)318可成的(なるべく)御意(ぎよい)(したが)ひませう。319どうか空腹(くうふく)(なや)んで()りますから、320パンをお(あた)(くだ)さいませ』
321 玄真坊(げんしんばう)(この)言葉(ことば)飛立(とびた)(ばか)(うち)(よろこ)(なが)ら、322ワザと素知(そし)らぬ(しぶ)()つた(かほ)して、
323玄真(げんしん)『ウン、324()()いたならば、325そち(ども)幸福(かうふく)だ。326断食(だんじき)といふものは精神(せいしん)落付(おちつ)いて、327(さと)りを(ひら)第一(だいいち)修行(しゆぎやう)要訣(えうけつ)だ。328(けつ)して(この)玄真坊(げんしんばう)(なんぢ)()両人(りやうにん)()(ころ)さうと(おも)つて(しよく)(あた)へないのではない。329断食(だんじき)修行(しうぎやう)をさせて、330(まこと)真理(しんり)(さと)らしてやりたいといふ、331大慈(だいじ)大悲(だいひ)(こころ)より()取計(とりはか)らつたのだ。332どうだ、333(わが)慈悲心(じひしん)(わか)つたか』
334サンダー『ハイ(たしか)(わか)りまして(ござ)います。335結構(けつこう)修行(しうぎやう)をさして(いただ)きました。336いかにも貴方(あなた)(てん)(えら)みし救世主(きうせいしゆ)だと(さと)らして(いただ)きました』
337玄真(げんしん)『アハヽヽヽ、338さうなくては(かな)はぬ(こと)339これこれスガコ、340そちは()うだ。341(すこ)真理(しんり)(わか)つたか、342(この)玄真坊(げんしんばう)真心(まごころ)(さと)つたか』
343スガコ『ハイ、344(さと)らして(いただ)きました』
345玄真(げんしん)()(さと)つたのだ』
346スガコ『ハイ、347()君様(きみさま)魔心(まごころ)をスツカリ(さと)らして(もら)ひました』
348玄真(げんしん)『アハヽヽヽ、349(さと)りが(ひら)けたならば、350(この)(はう)(まを)(こと)絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)するだらうな。351ヨモヤ両人(りやうにん)352違背(ゐはい)(いた)すまいのう』
353サンダー『どうかパンをお(あた)(くだ)さい。354最早(もはや)(こた)へする勇気(ゆうき)()(まゐ)りませぬ』
355玄真(げんしん)成程(なるほど)無理(むり)もない。356まてまて拙僧(せつそう)(みづか)飲食(おんじき)調理(てうり)し、357可愛(かあい)其方(そなた)(たち)()はしてやらう』
358とニコニコし(なが)ら、359()をピシヤリと()め、360(ふたた)(ぢやう)をおろして(たち)()つた。
361大正一三・一二・一七 旧一一・二一 於祥雲閣 松村真澄録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→