霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】霊界物語読者アンケート集計結果発表!(7/20)こちらのページです。
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一六章 (こひ)夢路(ゆめぢ)〔一六九八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻 篇:第4篇 恋連愛曖 よみ:れんれんあいあい
章:第16章 第66巻 よみ:こいのゆめじ 通し章番号:1698
口述日:1924(大正13)年12月17日(旧11月21日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年6月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6616
愛善世界社版: 八幡書店版:第11輯 814頁 修補版: 校定版:231頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001梅公(うめこう)三千世界(さんぜんせかい)(うめ)(はな)
002一度(いちど)(ひら)(かみ)(のり)
003(ひら)いて()りて()(むす)
004月日(つきひ)大地(だいち)(おん)()
005(この)()(きよ)むる生神(いきがみ)
006高天原(たかあまはら)神集(かむつど)
007(かみ)(おもて)(あら)はれて
008黒雲(くろくも)(つつ)天地(あめつち)
009(いづ)伊吹(いぶき)()(はら)
010(みづ)清水(しみづ)(きよ)めつつ
011天国(てんごく)浄土(じやうど)永久(とこしへ)
012(この)()(うへ)建設(けんせつ)
013百八十国(ももやそくに)民草(たみぐさ)
014常住不断(じやうぢうふだん)信楽(しんらく)
015(すく)はむものと遠近(をちこち)
016(かみ)のよさしの宣伝使(せんでんし)
017まくばり(たま)ふぞ(たふと)けれ
018照国別(てるくにわけ)(したが)ひて
019産砂山(うぶすなやま)霊場(れいぢやう)
020(あと)(なが)めて河鹿山(かじかやま)
021沐雨櫛風(もくうしつぷう)()(しの)
022()()()いでデカタンの
023(かぜ)(はげ)しき高原地(かうげんち)
024トルマン(ごく)()()れば
025ハルナの(みやこ)(わだか)まる
026八岐大蛇(やまたをろち)悪霊(あくれい)
027左右(さいう)されたる曲津神(まがつかみ)
028大黒主(おほくろぬし)軍勢(ぐんぜい)
029(ひと)住家(すみか)()(はら)
030金銀(きんぎん)物資(ぶつし)掠奪(りやくだつ)
031人妻(ひとづま)(むすめ)(わか)ちなく
032魔手(ましゆ)()ばして()(さら)
033深山(みやま)(おく)へと(しの)()
034(この)国民(くにたみ)(をのの)きて
035()()(ろく)()むられぬ
036塗炭(とたん)(くる)しみ()るにつけ
037如何(いか)にもなして(すく)はむと
038(こころ)(こま)はあせれども
039(わが)()(きみ)御許(みゆる)しを
040()ざる(かな)しさ村肝(むらきも)
041(こころ)(こま)(おさ)へつつ
042義勇(ぎゆう)(いくさ)(したが)ひて
043バルガン(じやう)(すす)()
044士気(しき)(にはか)昂舞(かうぶ)して
045(その)(いきほひ)(てん)()
046(わが)()(きみ)やジャンクさま
047これの(いくさ)指揮(しき)なして
048(すす)ませ(たま)へばバラモンの
049勇士(ゆうし)如何(いか)(おほ)くとも
050荒野(あらの)(かぜ)(わた)るごと
051(まつろ)(きた)るは()(あた)
052(われ)梅公(うめこう)(ただ)一人(ひとり)
053(いくさ)()らうが()るまいが
054(この)全局(ぜんきよく)(たたか)ひに
055いくらの影響(えいきやう)あるべきぞ
056()御心(みこころ)(そむ)くとは
057(われ)覚悟(かくご)(うへ)ながら
058はやりきつたる(たましひ)
059タライの(むら)花香姫(はなかひめ)
060スガコの(ひめ)やサンダーさま
061三人(みたり)(あは)れな境遇(きやうぐう)
062(すく)(いだ)して天国(てんごく)
063(はな)()(にほ)(よろこ)びに
064(すく)はにやおかぬと雄健(をたけ)びし
065(わが)()(きみ)()(しの)
066夜陰(やいん)(まぎ)れて嘎々(かつかつ)
067(こま)(むち)うち(いま)此処(ここ)
068(かぎ)りも()らぬ荒野原(あれのはら)
069目的(あてど)もなしに(きた)りけり
070オーラの(みね)見渡(みわた)せば
071()()(ひか)妖光(えうくわう)
072曲神(まがかみ)(ども)(あつ)まりて
073(しこ)(たく)みをなしつつも
074世人(よびと)(くる)しめ()るならむ
075(こころ)のせいかは()らねども
076オーラの(やま)()にかかり
077()ても()めても(わす)られぬ
078(いのち)(まと)(ただ)一騎(いつき)
079(こま)(ひづめ)(つづ)(まで)
080如何(いか)山途(やまみち)(けは)しとも
081如何(いか)でひるまむ大和魂(やまとだま)
082(おも)ひつめたる鉄石(てつせき)
083(こころ)征矢(そや)ははや(すで)
084真弓(まゆみ)(つる)(はな)れたり
085最早(もはや)(かへ)らぬ(わが)意気地(いくぢ)
086彼等(かれら)三人(みたり)のあで(びと)
087まんまと(すく)はせたまへかし
088三五教(あななひけう)(まも)ります
089国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
090神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)
091御前(みまへ)(かしこ)()ぎまつる』
092 梅公(うめこう)はジャンクの(いへ)宿(とま)つた(とき)093スガコやサンダーの何者(なにもの)にか(さら)はれた(こと)()き、094(なん)となくオーラ(さん)悪漢(わるもの)()めに()()められて()るやうな、095暗示(あんじ)何者(なにもの)にか(あた)へられた。096さうして()アさまの(いへ)(たづ)ねた(とき)097サンヨの(むすめ)花香(はなか)がバラモン(ぐん)(とら)はれたと()いた(とき)098(これ)何処(どこ)かの山奥(やまおく)(かく)されて()るやうな()がした。099自分(じぶん)(こひ)でもなく(いろ)でもなく(なん)となく同情心(どうじやうしん)()られ、100この可憐(かれん)(をんな)(たす)けてやりたいと義侠心(ぎけふしん)()たされて()た。101けれども自分(じぶん)照国別(てるくにわけ)従者(じゆうしや)であり102勝手(かつて)気儘(きまま)(れつ)(はな)れる(こと)出来(でき)ぬ。103如何(いかが)はせむかと()()ひつ思案(しあん)()れながら、104照国別(てるくにわけ)105ジャンクの義勇軍(ぎゆうぐん)(したが)106(こま)(むち)()つて渺茫(べうばう)たる大広原(だいくわうげん)()()したが、107黄昏時(たそがれどき)になり、108自分(じぶん)乗馬(じやうば)(なに)(ほど)(むち)()つてもいましめても一歩(いつぽ)(まへ)(すす)まうとはしない。109(その)(あひだ)数多(あまた)義勇軍(ぎゆうぐん)梅公(うめこう)大広原(だいくわうげん)(なか)(のこ)110(うま)(ひづめ)砂塵(しやぢん)()()げながら暴風(ばうふう)(ごと)(いきほひ)にてバルガン(じやう)をさして(すす)()く。111梅公(うめこう)馬上(ばじやう)にて双手(もろて)()(しば)思案(しあん)()れて()たが……(わが)(うま)(かぎ)つて何故(なぜ)(すす)まぬのだらう、112(なに)(ふか)御神慮(ごしんりよ)のましますならむ……と(こころ)みに(みぎ)手綱(たづな)一寸(ちよつと)()けば(こま)(かしら)西(にし)立直(たてなほ)し、113星明(ほしあか)りの原野(げんや)をあてどもなく一瀉千里(いつしやせんり)(いきほひ)()()した。114梅公(うめこう)は……あゝ()(きみ)には()まない、115(しか)(なが)肝腎(かんじん)(こま)(すす)まないのは(なに)特別(とくべつ)使命(しめい)神界(しんかい)から(くだ)つたのだらう。116(いま)となつては何事(なにごと)(かみ)のまにまに行動(かうどう)するのみ……と決心(けつしん)(ほぞ)(かた)めた。117乗馬(じやうば)(やうや)梅公(うめこう)(こころ)()つたかの(ごと)く、118フサフサとした(ふと)(なが)()左右(さいう)()(なが)ら、119(いさ)ましく(たか)(いなな)きつつポカリポカリと(しづか)(あゆ)()した。
120 (あを)ずんだ(そら)金銀色(きんぎんしよく)(ほし)金箔(きんぱく)()つたる(ごと)くキラリキラリと(かがや)いて121梅公(うめこう)行動(かうどう)監視(かんし)するものの(ごと)くに(おも)はれた。122(てん)(たか)くして(しづか)に、123()際限(さいげん)なき茫々(ばうばう)たる原野(げんや)124猛獣(まうじう)(こゑ)(きこ)えず、125そよ()(かぜ)(ひびき)もなし、126(ただ)(こま)(はな)呼吸(いき)127(ひづめ)(おと)のみ砂地(すなぢ)(くさ)(ぱら)()()(おと)(やはら)かにポカポカと(きこ)ゆるのみであつた。128左手(ゆんで)(かた)の、129コンモリとした小山(こやま)をみれば木立(こだち)(あひだ)からチヨロチヨロと()()えて()る。130梅公(うめこう)は……あの山麓(さんろく)人家(じんか)あり、131(なに)()もあれ()()つて様子(やうす)(さぐ)りみむ……と左手(ゆんで)馬首(ばしゆ)(めぐ)らせば、132(こま)(いきほ)()んで驀進(まつしぐら)(すす)みゆく。133梅公(うめこう)()目当(めあて)(こま)足音(あしおと)(しの)ばせながら、134木蔭(こかげ)(ちか)づき(なが)むれば、135バラモンの落武者(おちむしや)()えて四五人(しごにん)(あら)くれ(をとこ)136一人(ひとり)美人(びじん)後手(うしろで)(しば)り、137何事(なにごと)荒々(あらあら)しく(さけ)びながら(をんな)(からだ)(ところ)かまはず(むち)にて()()ゑてゐる。138(その)度毎(たびごと)(をんな)はヒイヒイと悲鳴(ひめい)()げ、139(かみ)(ふり)(みだ)し、140無念(むねん)()(くひ)しばり美人(びじん)(なが)らも形相(ぎやうさう)(すさま)じく、141(さすが)梅公(うめこう)(きも)(つぶ)(ばか)りであつた。142梅公(うめこう)は……如何(いか)にもして彼女(かのぢよ)(たす)けてやりたい。143(いま)(かれ)()()ゑたる豺狼(さいらう)餌食(ゑじき)たらむとするのであるか、144あゝ不愍(ふびん)なものだ。145(しか)(なが)(てき)数人(すうにん)荒武者(あらむしや)146自分(じぶん)一人(ひとり)だ。147されど、148千里(せんり)駿足(しゆんそく)(ちから)として万一(まんいち)失敗(しつぱい)した(とき)一目散(いちもくさん)()()せばよい。149(ひと)(ため)しに(おど)かして()む……と、150密樹(みつじゆ)(かげ)(こま)()馬上(ばじやう)より大音声(だいおんじやう)
151梅公(うめこう)『ウハヽヽヽ、152(それがし)はオーラ(さん)(しづ)まる天降坊(てんかうばう)(まを)大天狗(だいてんぐ)だ。153汝等(なんぢら)不届(ふとど)至極(しごく)にも、154繊弱(かよわ)婦人(ふじん)(もてあそ)び、155無体(むたい)恋慕(れんぼ)(くはだ)て、156非望(ひばう)()げむとする(につく)曲者(くせもの)157(いま)当山(たうざん)眷族(けんぞく)(ども)報告(はうこく)により、158汝等(なんぢら)一同(いちどう)悪人(あくにん)(ども)征伐(せいばつ)せむ()め、159(いま)此処(ここ)()(むか)ふたり、160不届者(ふとどきもの)()161其処(そこ)(うご)くな、162ウーウー』
163(うな)()つるや、164寝耳(ねみみ)(みづ)のバラモン(ども)(たちま)()(うしな)ひ、165(をんな)()てて、
166天狗(てんぐ)天狗(てんぐ)だ』
167()ばはり(なが)軍服(ぐんぷく)(ばう)(くつ)168(けん)などを(その)()()ておき、169(おも)(おも)ひに()()つて(しま)つた。
170梅公(うめこう)『アハヽヽヽ。171(あん)相違(さうゐ)弱虫(よわむし)(ども)172(わが)言霊(ことたま)辟易(へきえき)して(もろ)くも()()つたるその可笑(をか)しさ。173ても()ても愉快(ゆくわい)(こと)だわい』
174独語(ひとりご)ちつつ(こま)手綱(たづな)()きしめ()きしめ(をんな)(かたはら)(すす)みより、175ヒラリと(こま)()()りて(をんな)縄目(なはめ)()水筒(すいとう)(みづ)(くち)(ふく)ませ、176(ふた)()(せな)(たた)けば、177ウンと(をんな)呼吸(いき)()きかへし、178梅公(うめこう)(かほ)星影(ほしかげ)()かし()て、
179(をんな)『どうかお(たす)(くだ)さいませ。180(なん)仰有(おつしや)つても(わたし)許嫁(いひなづけ)(ござ)いますから、181()(けが)(こと)出来(でき)ませぬ。182これ(ばか)りは御勘弁(ごかんべん)(ねが)ひます。183いくらお()(くだ)さいましても(いのち)にかへても(みさを)(まも)らねばなりませぬ』
184()(あは)す。
185梅公(うめこう)『これこれお女中(ぢよちう)186拙者(せつしや)(けつ)してバラモン(ぐん)ではない。187三五教(あななひけう)梅公(うめこう)()(かみ)使(つかひ)だ。188(まへ)さまが大勢(おほぜい)(をとこ)()められて()るのを()るに(しの)びず、189(いのち)(まと)(てき)()()らしてやつたのだ。190安心(あんしん)しなさい。191(けつ)して(みさを)(やぶ)るやうな(こと)(まを)さないから、192安心(あんしん)なさいませ。193こんな(ところ)長居(ながゐ)して()ては(また)もや(てき)引返(ひきかへ)して()るかも()れぬ。194(くは)しき(はなし)途々(みちみち)(うけたま)はりませう。195(わが)(うま)にお()りなさい』
196()ひながら(をんな)(かか)へて自分(じぶん)(とも)(こま)()(またが)り、197(ふたた)(もと)高原(かうげん)西(にし)西(にし)へと(すす)()く。198梅公(うめこう)馬上(ばじやう)ながら(をんな)(むか)つて遭難(さうなん)顛末(てんまつ)(たづ)ねた。
199梅公(うめこう)『これお女中(ぢよちう)さま、200(まへ)さまは、201どうして(また)202こんな(ところ)誘拐(かどわか)されて()たのだ。203(なに)(ふか)(わけ)があらう。204差支(さしつかへ)ない(かぎ)り、205一伍一什(いちぶしじふ)(はな)して(もら)ひたいものだなア』
206(をんな)『ハイ、207御親切(ごしんせつ)(あづか)りまして、208蔭様(かげさま)危難(きなん)(まぬが)れました。209(わたし)はタライの(むら)花香(はなか)(まを)(むすめ)(ござ)いますが、210二三日(にさんにち)以前(いぜん)バラモンの軍人(ぐんじん)()(むら)屯営(とんえい)(いた)し、211(その)(さい)(はは)(しば)()げ、212(わたし)無理(むり)無体(むたい)(しば)つて(うま)()()せ、213其処辺中(そこらぢう)()(まは)し、214(つひ)にはあの洞ケ丘(ほらがをか)森林(しんりん)(おび)()し、215()つてかかつて獣欲(じうよく)()げむとして()ました(ところ)216貴方様(あなたさま)がお(いで)(くだ)さつて(あやふ)(ところ)(すく)はれ、217(なん)ともお(れい)(まを)しやうが(ござ)いませぬ』
218梅公(うめこう)(なに)219(まへ)さまが、220花香(はなか)さまか、221(なん)不思議(ふしぎ)(こと)があるものだ。222(じつ)一昨朝(きのうのあさ)(こと)223(まへ)(いへ)()()つて()ればサンヨさまは、224雁字(がんじ)(がら)みに(しば)りつけられ、225眉間(みけん)から()()して、226(むし)(いき)になつて()られた(ところ)227(わが)師匠(ししやう)(さま)照国別(てるくにわけ)(さま)一行(いつかう)がお(すく)(まを)し、228(やうや)全快(ぜんくわい)された。229(その)(とき)にお(まへ)さまの(はなし)()いたのだ。230サンヨさまの仰有(おつしや)るには「(むすめ)到底(たうてい)(いのち)()いものと(あきら)めて()ます。231(しか)(なが)ら、232貴方(あなた)御神徳(ごしんとく)(むすめ)(すく)うて(くだ)さつたならば、233(むすめ)()(うへ)一切(いつさい)(まか)せする」と(たの)まれました。234(しか)(なが)らお(まへ)さまにはエルソンと()意中(いちう)(をとこ)があるでせう』
235 花香(はなか)(おどろ)いて、
236花香(はなか)『ハイ、237(はは)(まで)(えら)いお世話(せわ)になりましてお(れい)(まを)しやうも(ござ)いませぬ。238そして(はは)(わらは)()(うへ)貴方様(あなたさま)にお(まか)(まを)しますと(まを)しまして(ござ)いますか』
239梅公(うめこう)(たしか)(たの)まれましたが、240(しか)(なが)其処(そこ)へエルソンさまが見舞(みまひ)()えてサンヨさまに(こころ)(たけ)()()けられたので、241大変(たいへん)にサンヨさまもお(よろこ)びになり、242(まへ)さまが無事(ぶじ)(かへ)つたなら、243きつと夫婦(ふうふ)にしてやらうと()ふお約束(やくそく)出来(でき)()ますよ』
244花香(はなか)『あれまア、245(はは)がそんな(こと)(まを)しましたか。246貴方様(あなたさま)(わたし)()(うへ)をお(まか)せすると()つたぢや御座(ござ)いませぬか。247()うも(はは)言葉(ことば)として二人(ふたり)(をとこ)(まか)すと()ふのは合点(がつてん)(まゐ)()ねます』
248梅公(うめこう)『ハヽヽヽヽ。249これ花香(はなか)さま、250さう(ふか)(かんが)へてはいけない。251(わたし)宣伝使(せんでんし)252天下(てんか)(また)にかけて旅行(りよかう)するもの、253サンヨさまが、254(わたし)(まか)すと()つたのは、255そんな夫婦(ふうふ)関係(くわんけい)のやうな(ふか)意味(いみ)ぢやない。256(えう)するに……(むすめ)救助(きうじよ)して()れ……と()意味(いみ)だ。257エルソンさまに()はれた(こと)(わたし)()はれた(こと)とは(おほい)意味(いみ)(ちが)ひますよ』
258花香(はなか)『ハイ、259(わか)りました。260(えら)御厄介(ごやくかい)をかけまして(まこと)()まない(こと)(ござ)います。261(しか)(なが)(わたし)貴方(あなた)(なん)だか(こひ)しく(おも)はれてなりませぬわ』
262梅公(うめこう)『これこれ花香(はなか)さま、263さう脱線(だつせん)してはいけませぬよ。264(いま)貴女(あなた)悪漢(わるもの)にさいなまれて()(とき)265木蔭(こかげ)(かく)れて()いて()れば、266どこ(まで)も……(をんな)(みさを)(やぶ)らない……と()うて、267(いのち)()へて(みさを)(まも)つたぢやありませぬか。268(それ)はきつとエルソンの()めでせう』
269花香(はなか)『いいえ、270エルソンなんか一回(いつくわい)約束(やくそく)した(こと)はありませぬ。271彼方(あちら)(はう)から(なん)とか()とか()うて幾度(いくたび)となく()()られた(こと)(ござ)いますが、272いつとても(てい)よくお(ことわ)りを(まをし)()るのです』
273梅公(うめこう)『そんなら、274貴女(あなた)恋人(こひびと)はまだ(ほか)にあるのですか』
275花香(はなか)『ハイ、276立派(りつぱ)なお(かた)(ただ)一人(ひとり)(ござ)います』
277梅公(うめこう)(その)恋人(こひびと)()ふのは(いま)(なに)をして()られるのですか』
278花香(はなか)『ハイ、279(はづ)かし(なが)(いま)(わたし)一緒(いつしよ)(うま)()つて()られます』
280梅公(うめこう)『ハヽヽヽヽ。281これ花香(はなか)さま、282冗談(じようだん)()つちやいけませぬよ。283貴女(あなた)(わたし)揶揄(からか)つて()るのですな』
284花香(はなか)『イエイエ勿体(もつたい)ない、285(いのち)恩人(おんじん)286(かみ)(あた)へた恋人(こひびと)(たい)し、287どうして揶揄(からかひ)なんぞ(いた)しませう。288(わたし)言葉(ことば)熱血(ねつけつ)より(ほとばし)つて()りますの』
289梅公(うめこう)『どうも合点(がつてん)のゆかぬ(こと)()ひますね』
290花香(はなか)(わらは)()()(ゆめ)(うるは)しき神人(しんじん)()つて()ります。291(その)御方(おかた)はいつも(うま)(またが)り、292(わたし)山野(さんや)(みちび)いていろいろの教訓(けうくん)をして(くだ)さいますが、293(いま)貴方(あなた)のお(かほ)(をが)みまして、294(はじ)めて(ゆめ)(なか)恋人(こひびと)()へたと(おも)つて(よろこ)びに()えませぬ。295(わたし)(ゆめ)(なか)なる恋人(こひびと)(ふか)(ちぎり)(むす)びました。296(その)(ゆめ)(あら)はれた(かた)貴方(あなた)にそつくりです。297(かほ)()ひお(こゑ)()298(うま)()りかたと()ひ、299この(うま)(まで)がそつくりですもの。300これが()(うたが)はれませう』
301 梅公(うめこう)吐息(といき)をつきながら、
302梅公(うめこう)『ハテナ、303これや(ゆめ)ではあるまいか。304どうも合点(がつてん)のゆかぬ(こと)があるものだ。305宣伝使(せんでんし)のお(とも)をしながら女房(にようばう)()れて(ある)(わけ)にもゆかず、306(こま)つた(こと)出来(でき)たものだなア』
307花香(はなか)『もし貴方(あなた)(うめ)さまと()()ぢや(ござ)いませぬか。308いつも(ゆめ)(なか)で、309梅公(うめこう)さま梅公(うめこう)さまと()つて交際(つきあ)つて()ましたよ』
310梅公(うめこう)成程(なるほど)(わし)()梅公(うめこう)だ。311さうしてお(まへ)さまの()花香(はなか)312三千世界(さんぜんせかい)一時(いちじ)(ひら)(うめ)(はな)(かを)りと()(ところ)だなー、313ハヽヽヽヽ。314(なん)だか(わけ)(わか)らなくなつて()ましたわい』
315花香(はなか)貴方(あなた)は……二人(ふたり)(なか)(かみ)(さだ)めた(まこと)夫婦(ふうふ)だ……とお(かん)じになりませぬか』
316梅公(うめこう)『まア(ゆつく)思案(しあん)さして(くだ)さい。317馬上(ばじやう)では(わか)りませぬわ。318何処(どこ)かへ()りて(ゆつく)りと(かんが)へませう。319や、320(さいは)此処(ここ)に、321()場所(ばしよ)がある。322花香(はなか)さま、323貴女(あなた)はこのまま(うま)()つて()(くだ)さい。324(わたし)一寸(ちよつと)鎮魂(ちんこん)をして神勅(しんちよく)(うかが)つて()ませう』
325()(なが)(うま)をヒラリと()びおりた。
326花香(はなか)『もし梅公様(うめこうさま)327(をんな)(うま)()つて()るのは、328(なん)()(なぞ)(ござ)いませうかな、329一寸(ちよつと)(かんが)へて(くだ)さいな』
330梅公(うめこう)(をんな)(うま)331フン、332成程(なるほど)333(かか)()洒落(しやれ)だな。334かかる不思議(ふしぎ)(こと)開闢(かいびやく)以来(いらい)(たれ)(あぢ)はうたものはあるまい』
335()(なが)双手(もろて)()瞑目(めいもく)して鎮魂(ちんこん)(ぎやう)()つた。336花香(はなか)(うま)をヒラリと()()(かたはら)(おな)じく()して鎮魂(ちんこん)姿勢(しせい)()つた。337無心(むしん)(うま)()(つむ)つて四辺(あたり)(くさ)をむしつて()る。338(しばら)くあつて梅公(うめこう)花香(はなか)(たがひ)(なん)とも()はず、339(ふたた)相乗(あひの)(うま)にて際限(さいげん)もなき広野(くわうや)をオーラ(さん)(みね)目蒐(めが)けて、340野嵐(のあらし)()かれ(なが)(すす)()くのであつた。
341大正一三・一二・一七 旧一一・二一 於祥雲閣 加藤明子録)