霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 真鬼姉妹(まきじまい)〔一七〇二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第66巻 山河草木 巳の巻 篇:第4篇 恋連愛曖 よみ:れんれんあいあい
章:第20章 第66巻 よみ:まきじまい 通し章番号:1702
口述日:1924(大正13)年12月17日(旧11月21日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年6月29日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6620
愛善世界社版: 八幡書店版:第11輯 833頁 修補版: 校定版:283頁 普及版:67頁 初版: ページ備考:
001 サンダー、002スガコの二人(ふたり)玄真坊(げんしんばう)強圧的(きやうあつてき)(こひ)請求(せいきう)手古摺(てこず)つて()(ところ)へ、003(また)もや二人(ふたり)男女(だんぢよ)(なげ)()まれて()たのを()て、004サンダーは(おも)はず()らず『アツ』と(さけ)んだ。005(をんな)(また)サンダーやスガコの(かほ)()て、006『マアマア』と()つたきり、007(くち)(つぐ)んだ。
008 梅公(うめこう)洒蛙々々然(しあしあぜん)として平気(へいき)(わら)(なが)ら、
009梅公(うめこう)『たうとう(さる)()から()ちるの(たとへ)010オーラ(さん)大天狗(だいてんぐ)芝居(しばゐ)のやり(ぞこな)ひをやつて、011舞台(ぶたい)から墜落(つゐらく)し、012()もない(やつこ)にふん(じば)られ、013かやうな女護(にようご)(しま)(おち)()んで()た。014(なん)とマア不思議(ふしぎ)(こと)もあればあるものだ。015人間(にんげん)万事(ばんじ)塞翁(さいをう)(うま)(くそ)とはよく()つたものだ。016(そろ)ひも(そろ)うて絶世(ぜつせい)美人(びじん)017(しか)(わが)妻君(さいくん)例外(れいぐわい)として……お二人(ふたり)姫御前(ひめごぜ)018貴方(あなた)(なん)理由(りいう)あつて、019かやうな(ところ)鎮座(ちんざ)ましますのですかなア』
020サンダー『ハイ(わたし)はコマの(むら)のサンダーと(まを)(もの)(ござ)います。021この(かた)は、022タライの(むら)のジャンクさまの(むすめ)でスガコ(ひめ)(さま)(ござ)います。023悪者(わるもの)(かどは)かされ、024日々(にちにち)(くる)しい()()はされてゐるのです。025貴方(あなた)(また)()うしてこんな(ところ)へお()しになりましたか』
026 梅公(うめこう)はタライの(むら)のサンヨに(はなし)()いて、027花香(はなか)(すく)はむとの決心(けつしん)(おこ)した(こと)や、028ジャンクの(いへ)(とま)つて、029スガコ(ひめ)行方不明(ゆくへふめい)になつた(こと)030サンダーの失踪(しつそう)した(こと)などを()き、031義勇軍(ぎゆうぐん)(したが)(なが)ら、032どうしても(この)三人(さんにん)(すく)()したいといふ真心(まごころ)から、033師匠(ししやう)(わか)れて、034(ひそ)かにオーラ(さん)(むか)つて(こま)(むちう)(かけ)()途中(とちう)035花香(はなか)危難(きなん)(すく)ひ、036(あひ)(ともな)うて当山(たうざん)(のぼ)り、037大杉(おほすぎ)()ぢ、038彼等(かれら)魔術(まじゆつ)(おく)()たる灯火(ともしび)(ふき)()し、039天狗(てんぐ)声色(こはいろ)使(つか)ひ、040(ばけ)(あら)はれて、041()(つかま)へられた(こと)などを、042逐一(ちくいち)(はな)()かせた。043サンダー、044スガコの両人(りやうにん)(この)(はなし)()いて、045感謝(かんしや)(なみだ)(そで)(しぼ)(なが)ら、
046サンダー『()()らずの貴方様(あなたさま)が、047それ(ほど)まで吾々(われわれ)(たす)けようと思召(おぼしめ)し、048御苦労(ごくらう)(くだ)さいました(こと)は、049(なん)とも御礼(おれい)申上(まをしあ)げやうが(ござ)いませぬ。050(じつ)(わたし)は、051(きき)(およ)びでも(ござ)いませうが、052(をんな)()けてゐますが、053(をとこ)(ござ)います。054(これ)なるスガコと夫婦(ふうふ)となるべく、055両親(りやうしん)許嫁(いひなづけ)(ござ)いますが、056スガコの行方(ゆくへ)(たづ)ねむ(ため)当山(たうざん)参拝(さんぱい)(いた)し、057今日(けふ)(まで)玄真坊(げんしんばう)(ため)()()められて()つたので(ござ)います。058何卒(なにとぞ)御推量(ごすゐりやう)(くだ)さいませ』
059(ちから)なげに()ふ。
060梅公(うめこう)『ヤ、061それで(なに)もかも(わか)りました。062ナアニ心配(しんぱい)いりませぬ。063こんな岩窟(いはや)(ぐらゐ)064(たた)きわるかつて、065朝飯前(あさめしまへ)ですワ。066モシモシ スガコさまとやら、067(かなら)心配(しんぱい)なされますな。068キツと(わたし)(すく)()して()げますよ』
069スガコ『ハイ有難(ありがた)(ござ)います。070不運(ふうん)()(うへ)(ござ)いますから、071貴方(あなた)のお(たす)けを(いただ)かねば到底(たうてい)(のが)れる(みち)(ござ)いませぬ』
072花香(はなか)『モシ、073嬢様(ぢやうさま)074(わたし)はサンヨの(むすめ)花香(はなか)(ござ)います。075嬢様(ぢやうさま)何者(なにもの)にか(さら)はれ、076御行方(おゆくへ)(わか)らぬと()うて、077村中(むらぢう)大騒動(おほさうどう)(ござ)いましたが、078少時(しばらく)すると、079バラモンの軍人(いくさびと)(まゐ)りまして、080(わたし)()(さら)へ、081(はは)手疵(てきず)()はせ、082ホラが(をか)森林(しんりん)()()み、083其所辺中(そこらぢう)()きまはし、084(みさを)(やぶ)らむと(いた)しましたなれど、085神様(かみさま)のお(かげ)によつて、086(やうや)(その)(なん)(まぬが)れ、087最後(さいご)(いた)つて(いま)(はづかしめ)られむとする(ところ)へ、088(この)(かた)がお(いで)(くだ)されましてお(たす)(くだ)さつたので(ござ)います。089因縁(いんねん)(まを)すものは(めう)なもので(ござ)いますなア。090(わたし)には一人(ひとり)(あね)(ござ)いましたが、091(ある)()のこと修験者(しゆげんじや)()()()つて、092(いへ)(ぬけ)()し、093最早(もはや)三年(さんねん)にもなりますが、094どうしてゐる(こと)やら、095皆目(かいもく)行方(ゆくへ)(わか)らぬのです。096それに不思議(ふしぎ)(こと)には、097あの玄真坊(げんしんばう)といふ(をとこ)098何処(どこ)かに見覚(みおぼ)えがあるやうに(おも)へてなりませぬ。099(くら)がりでハツキリ(わか)りませぬが、100身体(からだ)格好(かくかう)といひ101(こゑ)といひ、102どうも彼奴(あいつ)ぢやないかと(おも)ふので(ござ)います』
103梅公(うめこう)『あーあ、104(はなし)()におちて()(ふさ)いで仕方(しかた)がない。105どうです(みな)さま、106二男(になん)二女(にぢよ)がよつて(この)岩窟(いはや)()れるやうな(こゑ)(うた)でも(うた)つてやりませうか。107(わたし)が……(なん)なら(うた)ひますから()()つて(はや)して(くだ)さい』
108サンダー『どうか御願(おねが)(いた)します』
109 梅公(うめこう)はヤケクソになり、110大声(おほごゑ)()して(うた)()した。
111梅公(うめこう)(うた)へよ(うた)へよく(うた)
112岩戸(いはと)唐戸(からと)()れる(まで)
113玄真坊(げんしんばう)()ふも(さら)
114シーゴーとかいふ親玉(おやだま)
115(これ)(したが)三千(さんぜん)
116泥棒(どろばう)(あたま)()れる(まで)
117(うた)へよ(うた)へよく(うた)
118(うた)うて器量(きりやう)(さが)りやせぬ
119美人(びじん)のまします(いは)(なか)
120ここは竜宮(りうぐう)天国(てんごく)
121丹花(たんくわ)(くちびる)(つき)(まゆ)
122月日(つきひ)(ひと)しき()(ひかり)
123こんなナイスと一夜(ひとよ)さの
124(うたげ)をするのも面白(おもしろ)
125(さけ)はなけれど美人(びじん)さへ
126(まへ)にゐませば満足(まんぞく)
127玄真坊(げんしんばう)()(よだれ)くり
128(なん)だかんだと朝夕(あさゆふ)
129口説(くど)()てたがザマを()
130肱鉄砲(ひぢてつぱう)後足(あとあし)
131(すな)(つぶて)()びせられ
132(くち)アングリと悄気(せうげ)(かへ)
133(また)もや天狗(てんぐ)(きも)(つぶ)
134弱腰(よわごし)()かした可笑(をか)しさよ
135ここの大将(たいしやう)といふ(やつ)
136(たしか)にヨリコと()ひよつた
137もしや(あね)ではあるまいか
138花香(はなか)(あね)(また)ヨリコ
139(おな)名前(なまへ)()(なか)
140沢山(たくさん)あれ(とも)どこやらに
141彼奴(あいつ)(こゑ)がよく()てる
142あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
143(かみ)仕組(しぐみ)(この)岩窟(いはや)
144やつて()たのは天地(あめつち)
145神々様(かみがみさま)御心(みこころ)
146(はや)(この)()()けてくれ
147玄真坊(げんしんばう)よシーゴーよ
148(ひと)つの秘密(ひみつ)()うてやろ
149(なに)(ほど)(こころ)(くだ)きつつ
150天下(てんか)(ねら)つて()たとこで
151(まへ)智慧(ちゑ)では(およ)ばない
152肝心要(かんじんかなめ)救世主(きうせいしゆ)
153此処(ここ)(ござ)るを()らないか
154玄真坊(げんしんばう)やシーゴーの
155腰抜(こしぬけ)身魂(みたま)ぢや駄目(だめ)だぞよ
156(おれ)のいふ(こと)(わか)らねば
157女帝(によてい)のヨリコを()んで()
158女帝(によてい)であらうが(なん)だろが
159(わが)言霊(ことたま)一節(ひとふし)
160言向和(ことむけやは)して()せてやろ
161(かみ)吾等(われら)(とも)にあり
162吾等(われら)(かみ)()(かみ)(みや)
163いかなる(まが)(たけ)びさへ
164おめず(おそ)れぬ神司(かむづかさ)
165見違(みちが)へするな(はや)あけよ
166スガコの(ひめ)(わが)ワイフ
167(をんな)()けたサンダーさま
168(そろ)ひも(そろ)うて(うつく)しい
169(つき)(ゆき)(はな)()つてゐる
170(おれ)梅公(うめこう)宣伝使(せんでんし)
171どんな(こと)でも()いてやろ
172安全(あんぜん)無事(ぶじ)(かみ)(のり)
173こんな悪事(あくじ)何時(いつ)(まで)
174(つづ)くと(おも)つちや間違(まちがひ)
175(はや)改心(かいしん)するがよい
176女帝(によてい)のヨリコを(はじ)めとし
177何奴(どいつ)此奴(こいつ)もやつて()
178(わが)御前(おんまへ)にひれ()せよ
179(われ)(すく)ひの(かみ)なるぞ
180天教山(てんけうざん)にあれませる
181木花姫(このはなひめ)のみことのり
182神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)
183(をしへ)(かしこ)(つき)(くに)
184ハルナの(みやこ)出向(いでむか)
185(たふと)(かみ)珍柱(うづばしら)
186(はや)くも(むか)(たてまつ)
187()けよ()けよ(はや)()けよ
188()けるが(いや)ならブチ()ろか
189(わが)言霊(ことたま)神力(しんりき)
190オーラの(やま)()(ぱら)
191(たちま)ちガタガタ ビシヤビシヤと
192顛覆(てんぷく)させるは(ゆめ)()
193(おれ)(ちから)(わか)つたら
194一時(いちじ)(はや)()けに()
195最早(もはや)夜明(よあけ)(ちか)づいた
196あけて(うれ)しい玉手箱(たまてばこ)
197竜宮海(りうぐうかい)乙姫(おとひめ)
198三人(さんにん)ここにまつて()
199(かほ)(をが)みたうないのかい
200唐変木(たうへんぼく)にも(ほど)がある
201あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
202(かな)はぬからあけてくれ
203アツハヽヽヽヽ オツホヽヽヽ』
204魔神(まがみ)岩窟(いはや)()()められたのを()らず(がほ)(わら)つてゐる。
205 玄真坊(げんしんばう)戸口(とぐち)にソツと(みみ)()て、206様子(やうす)(かんが)へてゐたが……、
207梅公(うめこう)(うた)(なか)に、208どうやら(いま)やつて()(をんな)女帝(によてい)(いもうと)らしい。209コリヤうつかりしては()れない。210(また)二人(ふたり)(をんな)女帝(によてい)(いもうと)眤懇(じつこん)(やつ)()える。211あの天狗(てんぐ)のマネをして失敗(しくじ)つた(をとこ)は、212(いもうと)婿(むこ)らしいぞ。213(なん)とかして大切(たいせつ)(あつか)はねば、214姉妹(きやうだい)対面(たいめん)事実(じじつ)になつたならば、215(その)(とき)(おれ)もサツパリ、216ワヤ苦茶(くちや)だ。217忠義(ちうぎ)(つく)すは(いま)(とき)だ。218旗色(はたいろ)のよい(はう)へつく(はう)当世(たうせい)だ。219シーゴーとは(おれ)(はう)が、220どうやら旗色(はたいろ)(わる)くなつたやうだ。221(いま)(うち)勢力(せいりよく)のある(はう)加担(かたん)するのが最善(さいぜん)行方(やりかた)だ……』
222独語(ひとりごち)(なが)(わが)居間(ゐま)(かへ)り、223(さけ)煙草(たばこ)(めづ)らしき果物(くだもの)などを()()(きた)り、224面色(かほいろ)(やは)らげて、
225玄真(げんしん)『ハア、226これはこれはお客様(きやくさま)(がた)227山奥(やまおく)茅屋(あばらや)()くも御入来(ごじゆらい)(くだ)さいました。228(なに)差上(さしあ)げたいので(ござ)いますけれど、229御存(ごぞん)じの(とほ)不便(ふべん)土地(とち)230これが(わたくし)(ちから)一杯(いつぱい)御馳走(ごちそう)です。231どうか精一杯(せいいつぱい)おあがり(くだ)さいませ。232(わたし)もヨリコ女帝様(によていさま)御厄介(ごやくかい)になつてるツマらぬ(をとこ)ですから、233どうか、234末永(すえなが)可愛(かあい)がつて(いただ)きたう(ござ)います』
235梅公(うめこう)『ハイ有難(ありがた)う。236思召(おぼしめ)しは()けますが、237(いま)はお(なか)(ふく)れて()りますから頂戴(ちやうだい)(いた)しませぬ』
238玄真(げんしん)(なに)かお腹立(はらだち)でも(ござ)いませうかなれど、239御機嫌(ごきげん)(なほ)して、240(わたくし)(こころ)をおあがり(くだ)さいませ。241メツタに天然(てんねん)果然(くだもの)(どく)などは(はい)つて()りませぬから……』
242梅公(うめこう)『それでも(あま)り、243()(どく)だから、244御遠慮(ごゑんりよ)(いた)しませう』
245玄真(げんしん)滅相(めつさう)もない。246()(どく)になりましたら、247(はし)(めし)はくへませぬ。248どうか、249キの(どく)とか(はひ)(どく)だとか()はず、250()うおあがり(くだ)さいませ。251貴方(あなた)(がた)(みづ)()らずの間柄(あひだがら)(おも)ひますから』
252梅公(うめこう)(みづ)()らず…ではなくて、253(ねこ)()らずかも()れませぬぞ、254アハヽヽヽ。255沢山(たくさん)鼠賊(そぞく)横行(わうかう)して()りますから。256チツタ(ねこ)()らずも当家(たうけ)には(かひ)()んで(ござ)いませうね』
257花香(はなか)『ア、258(まへ)さまは、259三年前(さんねんまへ)(わが)()(とま)り、260(ねえ)さまを(かどは)かしていんだ修験者(しゆげんじや)ぢやありませぬか。261マア マア マア マアよく()てる(こと)……』
262玄真(げんしん)『ハヽヽヽ、263ヤ、264(じつ)(ところ)(その)(とき)にお(まへ)(うち)(とま)つたのは(わたし)だ。265(なん)とマア(おほ)きくなつたね。266どこともなくヨリコさまに()てるワイ。267()アさまも随分(ずいぶん)面立(かほだち)のよい(ひと)だつたが、268(まへ)さまも(ねえ)さまに(おと)らぬ美人(びじん)だ。269(これ)(なに)かの因縁(いんねん)だらう。270マア()()(くだ)さつた。271(まへ)さまが御姉妹(ごきやうだい)(わか)つた以上(いじやう)272女帝(によてい)さまに(だま)つてる(わけ)にも()かぬ。273(これ)から(ひと)女帝様(によていさま)申上(まをしあ)げて()る。274(また)(なに)御馳走(ごちそう)をして(くだ)さるだらうから』
275花香(はなか)一寸(ちよつと)276玄真坊(げんしんばう)さまにお(こた)(いた)しておきますが、277(この)凛々(りり)しい(をとこ)らしい(かた)三五教(あななひけう)梅公別(うめこうわけ)さまと()つて宣伝使(せんでんし)ですよ。278そして(わたし)大事(だいじ)大事(だいじ)(をつと)(ござ)いますから、279大切(たいせつ)(あつか)つて(くだ)さいや。280(わたし)(ねえ)さまの姉妹(きやうだい)とあれば、281ここの女帝(によてい)さまの(おとうと)ですから、282粗略(そりやく)(あつかひ)出来(でき)ますまい、283ホヽヽヽヽ』
284(やや)(かほ)(あか)くし、285(そで)(かく)す。
286 玄真坊(げんしんばう)倉皇(さうくわう)として女帝(によてい)居間(ゐま)()けつけ、287(こゑ)まであわただしく、
288玄真(げんしん)女帝様(によていさま)(まをし)()げます。289タヽ大変(たいへん)なお(よろこ)びが出来(でき)ました』
290ヨリコ『大変(たいへん)なお(よろこ)びとは、291どんな(こと)出来(でき)たのだえ』
292玄真(げんしん)『ハイ、293貴女(あなた)のお妹御(いもうとご)花香(はなか)さまが、294婿(むこ)さまを()れてお(いで)になつたのですよ。295あの大杉(おほすぎ)(うへ)から()ちて()二人(ふたり)男女(だんぢよ)(その)(かた)です。296(なん)(おどろ)くぢやありませぬか』
297ヨリコ『オホヽヽ、298あのマア玄真坊(げんしんばう)殿(どの)(あわ)(かた)ワイの。299(わらは)(すぎ)()から()ちた(とき)300(すで)(いもうと)だと看破(かんぱ)してゐたのだ。301仕様(しやう)もない(もの)がやつて()て、302折角(せつかく)仕組(しぐみ)(やぶ)れはせぬかと心配(しんぱい)してるのだ。303(しか)(いもうと)(わか)つては()にかける(わけ)にもいかず、304(おな)(はは)体内(たいない)から()た、305(おな)血筋(ちすぢ)だから、306(なん)とかしてやらねばなるまい。307そしてあの(をとこ)(いもうと)婿(むこ)らしいが、308中々(なかなか)あれはシーゴーやお(まへ)のやうな弱虫(よわむし)ではない。309グヅグヅしてゐると岩窟(いはや)退治(たいぢ)をやられるか()れませぬよ。310(しか)(うち)やつておく(わけ)にも()くまいから、311女帝(によてい)(みづか)出馬(しゆつば)して、312姉妹(きやうだい)名乗(なのり)をしてやりませう、313ホヽヽヽヽ』
314玄真(げんしん)『サ、315(とも)(いた)しませう。316エ、317シーゴーの(やつ)どこへ()きやがつたのだらう。318右守司(うもりのかみ)(ばか)()つても、319左守(さもり)()らなくちや、320女帝様(によていさま)権式(けんしき)(あが)らない。321どつかへ潜伏(せんぷく)してゐるだらう』
322(つぶや)いてゐる。323シーゴーは(つぎ)()からヌーツと(かほ)()し、
324シーゴー『アハヽヽ、325オイ玄真(げんしん)326(なに)(あわ)てて()るのだ。327もう()うなりや、328(どく)(もつ)(どく)(せい)する(はふ)(かう)じなくちや仕方(しかた)がないよ。329(うま)宣伝使(せんでんし)(だき)()んで吾々(われわれ)味方(みかた)となし、330女帝様(によていさま)謀師(ぼうし)(あふ)ぎ、331(おれ)(たち)一段(いちだん)(した)へさがつて、332日頃(ひごろ)大望(たいまう)成就(じやうじゆ)することに(つと)めねばなるまいぞ。333女帝様(によていさま)(あま)(くち)(たた)かしちや権威(けんゐ)がおちるから、334そこは()心得(こころえ)てをるのだ。335(しか)貴様(きさま)肝心(かんじん)(とき)になると、336(あわ)てるから、337すぐに内兜(うちかぶと)見透(みす)かされる。338(この)談判(だんぱん)(しよう)にはシーゴーが(あた)るから、339(むしろ)(まへ)沈黙(ちんもく)(まも)つてる(はう)奥床(おくゆか)しくてよからう。340そしてサンダーといふお(まへ)(こひ)してゐた(をんな)は、341コマの(むら)里庄(りしやう)息子(むすこ)だ、342一人(ひとり)(かれ)許嫁(いひなづけ)のスガコ(ひめ)だ。343(ぬし)ある(はな)手折(たを)らうと(おも)つたつて到底(たうてい)駄目(だめ)だから(いま)(うち)にスツパリ(おも)()つておくがよからう。344(めう)目遣(めづか)ひをして(もら)うと(おれ)(たち)(かほ)にかかる。345第一(だいいち)女帝様(によていさま)権威(けんゐ)かか()はる。346エヽか、347心得(こころえ)たか』
348 玄真坊(げんしんばう)はスツカリ(こひ)(ゆめ)()め、349豆狸(まめだぬき)小便壺(せうべんつぼ)におちたやうな(つら)をして(ふく)れてゐる。350(この)(とき)一天(いつてん)(つつ)みし黒雲(くろくも)は、351折柄(をりから)()()山嵐(やまあらし)()れ、352大空(おほぞら)梨地色(なしぢいろ)星光(せいくわう)燦爛(さんらん)として(かがや)()めて()た。353(あゝ)惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
354大正一三・一二・一七 旧一一・二一 松村真澄録)
355(昭和一〇・六・一七 王仁校正)