霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 (あした)驚愕(きやうがく)〔一七一九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻 篇:第3篇 多羅煩獄 よみ:たらはんごく
章:第17章 第67巻 よみ:あしたのきょうがく 通し章番号:1719
口述日:1924(大正13)年12月28日(旧12月3日) 口述場所:祥雲閣 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1926(大正15)年8月19日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
朝目が覚めると、シャカンナ、玄真坊、コルトンの3人はダリヤとバルギーが逃げ出したことを知る。
玄真坊は山賊たちを使って、2人の行方を探らんと、岩窟を出て行く。
シャカンナは、玄真坊がもうここへは戻らないだろうと考えた。そして、玄真坊、あるいはダリヤがこの岩窟の隠れ家の場所をタラハン国に漏らし、軍隊が攻めてくることを恐れた。
シャカンナは建物に火をつけ、200人の山賊の部下を打ち捨てて、娘のスバールとコルトンを連れ、さらに山奥の隠れ家へと移っていった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm6717
愛善世界社版: 八幡書店版:第12輯 112頁 修補版: 校定版:224頁 普及版:68頁 初版: ページ備考:
001 十四日(いざよひ)(つき)(そら)(しら)けて星影(ほしかげ)(うす)く、002カアカアと()(からす)(こゑ)(あづま)(そら)(しら)()めた。003コルトンはふつと()()まし四辺(あたり)()れば緋縮緬(ひぢりめん)(しろ)薄絹(うすぎぬ)(つつ)んだやうなダリヤ(ひめ)(かげ)もなく、004羅漢面(らかんづら)醜男(ぶをとこ)バルギーの姿(すがた)()えない。005はて不思議(ふしぎ)だと(いぶ)かしみ(なが)ら、006大親分(おほおやぶん)シャカンナの寝顔(ねがほ)()れば(ひたひ)モーイヌ片仮名(かたかな)(しる)してある。007玄真坊(げんしんばう)はと()(かへ)つて(ひたひ)()ればこれ(また)ネンネコ(をんな)筆蹟(ひつせき)(しる)してある。008コルトンは(ただ)ちに玄真坊(げんしんばう)()(おこ)し、
009コル『もしもし、010天真坊様(てんしんばうさま)011(おく)さまが()えなくなりました。012何卒(どうぞ)()きて(くだ)さい。013……親分様(おやぶんさま)014大変(たいへん)です(はや)()きて(くだ)さい。015大騒動(おほさうどう)(おこ)りましたよ』
016(げん)(なに)017(おく)()えなくなつたと()ふのか、018そりや大変(たいへん)だ。019大方(おほかた)パサパーナにでも()つて()るのぢやないか、020よく調(しら)べて()い』
021コル『それでも親分様(おやぶんさま)(かほ)には022モーイヌと(をんな)筆蹟(ひつせき)(しる)して()り、023貴方(あなた)のお(かほ)にはネンネコと()いてありますよ』
024(げん)『ヤ、025如何(いかに)もシャカンナの(ひたひ)にはモーイヌ026(まへ)(ひたひ)にもサル027カヘル()いてある。028(おれ)(かほ)ネンネコ029ハテな。030よく()()()此処(ここ)サル031イヌ032カヘル()(なぞ)だな。033これや、034大変(たいへん)だ。035彼奴(あいつ)()がしては、036岩窟(がんくつ)一大事(いちだいじ)だ。037秘密(ひみつ)漏洩(ろうえい)する(おそ)れがある。038オイ、039コルトン、040乾児(こぶん)(ども)督励(とくれい)して(あと)(おつ)かけて()れ』
041コル『ハイ承知(しようち)(いた)しました。042大親分(おほおやぶん)さま、043貴方(あなた)どう(かんが)へられますか』
044シャ『彼奴(あいつ)()げられては(おれ)(ちつ)面喰(めんくら)はざるを()ない。045なぜ貴様(きさま)監督(かんとく)をして()ないのだ。046アタ(いや)しい047(さけ)(くら)ひやがつて(おな)(やう)()ると()(こと)があるものか』
048 コルトンは(あたま)()(なが)ら、049さも()(にく)さうに、
050コル『ヘイ、051御存(ごぞん)じの(とほ)(ぼく)052拙者(せつしや)053(この)(はう)054(わたくし)055やつがれは(さけ)(きら)いな下戸(げこ)(ござ)いますが、056あの奇麗(きれい)奇麗(きれい)天真坊(てんしんぼう)奥様(おくさま)ダリヤ(ひめ)(さま)が、057コルトンさまコルトンさまと(めう)()をして笑顔(ゑがほ)(つく)桃色(ももいろ)頬辺(ほほぺた)(ゑみ)(たた)へ、058(しろ)綺麗(きれい)象牙細工(ざうげざいく)のやうな、059手々(てて)で……コルトンさま、060さア一杯(いつぱい)()ごしなさい……と仰有(おつしや)つて(くだ)さつたものですから061ヘヽヽヽイ、062つい……その調子(てうし)()つて男振(をとこぶり)()せてやらうと(おも)ふて、063つい、064ぐいぐいとやりました、065いや()みました。066さうしたら前後(ぜんご)()らずに()(つぶ)れて()(しま)つたのです。067どうぞ御勘弁(ごかんべん)068御了簡(ごれうけん)069御赦免(ごしやめん)070どうぞ一重(ひとへ)二重(ふたへ)宜敷(よろし)くお(ねが)(まをし)()げます。071(つつし)んで歎願(たんぐわん)(いた)します』
072シャ『エヽ、073貴様(きさま)はまだ()つて()るのか、074(なに)()ふのだ。075一体(いつたい)(ひめ)をどうしたのだ』
076コル『エー()うも()うもありませぬ。077()うしたか(わか)るやうなら、078(けつ)して()(のが)しは(いた)しませぬ。079(なん)でもバルギーと()()()つて、080遁走(とんそう)して()()したかも()れませぬよ』
081(げん)『チエ、082エエ()ても()()かぬ野郎(やらう)だな。083サア(はや)乾児(こぶん)(ども)(たた)(おこ)084四方(しはう)手配(てくば)りをなし、085ダリヤ(ひめ)()れて(かへ)つて()れ』
086コル『ヘン、087(えら)さうに()ふない。088(まへ)(おれ)とは同役(どうやく)ぢやないか。089自分(じぶん)(かか)逐電(ちくでん)して()()したと()ふて、090さう(おれ)にケンケンと()ふものぢやないわ。091(かか)(さが)して()しけれや、092……どうか兄弟(きやうだい)捜索(そうさく)して(さが)しに()つて()れないか……と、093御依頼(ごいらい)して(たの)まないのだ。094(おれ)は、095(この)(はう)は、096拙者(せつしや)は、097(ぼく)はお(まへ)命令(めいれい)()ひつけは()いて(うけたま)はる権利(けんり)義務(ぎむ)()いのだ。098(おれ)は、099(ぼく)は、100拙者(せつしや)大親分(おほおやぶん)命令(めいれい)()ひつけを()いて活動(くわつどう)して(はたら)くのみだ。101大親分(おほおやぶん)命令(めいれい)()ひつけさへあれば何時(いつ)何時(なんどき)でも、102(しり)をからげて出発(しゆつぱつ)して()かけるのだ。103ヘン、104(えら)さうに()ふない。105頓馬野郎(とんまやらう)()106(かか)()られの腰抜(こしぬ)()107阿呆(あはう)108馬鹿(ばか)109頓痴気(とんちき)野郎(やらう)
110シャ『オイ、111コルトン、112貴様(きさま)()(よひ)()めて()ないと()える。113(しか)(なが)114かうしては()られまい。115(はや)部下(ぶか)(たた)(おこ)し、116捜索(そうさく)捜索(そうさく)だ』
117コル『もし親分(おやぶん)118親方(おやかた)119旦那(だんな)120大頭目(だいとうもく)121それ(ほど)御心配(ごしんぱい)にや(およ)びますまい。122親分(おやぶん)女房(にようばう)(かか)逃走(たうそう)して()げたのぢやあるまいし、123(かか)所在(ありか)捜索(そうさく)して(さが)すのは、124天帝(てんてい)化神(けしん)125天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)126天真坊(てんしんばう)さまの双肩(さうけん)両肩(りやうかた)にふりかかつて()責任(せきにん)でせう』
127シャ『チヨツ、128仕方(しかた)のない野郎(やらう)だな。129それだから(つね)から(さけ)(くら)ふなと()ふのだ。130貴様(きさま)(さけ)()まないと()ふから131抜擢(ばつてき)して(おも)(もち)ゐて()たのに(なん)(ざま)だ。132ダリヤ(ひめ)()(ひたひ)にサル、133カヘルと()()()かれる(まで)()らずに()ると()(こと)があるか、134馬鹿(ばか)
135コル『馬鹿(ばか)でも(なん)でもよろしい、136あんな美人(びじん)(やさ)しう()ふて(もら)へば137男子(だんし)たるもの天下(てんか)馬鹿(ばか)にならざるを()ぬぢやありませぬか。138それよりも親分(おやぶん)139(まへ)さまの額部(がくぶ)額口(ひたひぐち)にモーイヌとダリヤさまの筆蹟(ひつせき)大書(たいしよ)して()いてありますぜ。140そんな悪戯(いたづら)をしられても(わか)らぬ(ところ)(まで)141なぜ親方(おやかた)熟睡(じゆくすゐ)して(ねむ)つて()るのですか。142天真(てんしん)さまだつてさうぢやないか。143あんな美人(びじん)のシャンの(おく)144女房(にようばう)(かか)()(なが)(こころ)をゆるし安心(あんしん)して脂下(やにさが)つて(のろ)けて()るものだから、145アタ阿呆(あはう)らしい、146馬鹿(ばか)らしい、147ネンネコなんどと落書(らくがき)され、148まるで顔面(がんめん)(かほ)幼稚園(えうちえん)生徒(せいと)草紙(さうし)()たやうなものだ。149(ちつ)(しつか)りなさいませ』
150(げん)『エヽ仕方(しかた)がない、151かうなれや自分(じぶん)もグヅグヅしては()れまい。152サアこれから御大(おんたい)(みづか)捜索(そうさく)()かけよう。153シャカンナ殿(どの)154()うか部下(てした)をお()(くだ)さい』
155コル『それや、天真(てんしん)さま156御尤(ごもつとも)です。157肝腎(かんじん)(おく)158女房(にようばう)(かか)韜晦(とうくわい)して姿(すがた)(かく)して()るのに、159さう依然(いぜん)とじつとしては()れますまい。160サア(わたし)手伝(てつだ)ひますからダリヤさまの所在(ありか)捜索(そうさく)()かけませう。161あの(やさ)しい(かほ)を、162(ぼく)163(おれ)164(わたし)だつて今一度(いまいちど)拝顔(はいがん)して(をが)みたいからな、165イヒヽヽヽ』
166 シャカンナは部下(ぶか)(あつ)まつて()るバラック(だて)土間(どま)這入(はい)つて()ると、167何奴(どいつ)此奴(こいつ)落花狼藉(らくくわうらうぜき)168徳利(とくり)(まくら)にして()るもの、169(さかづき)()んで()はへて()()るもの、170オチコやポホラを丸出(まるだ)しにしてふん()びて()るもの、171全然(まるきり)小供(こども)玩具箱(おもちやばこ)をぶち()けたやうな光景(くわうけい)である。172シャカンナは大喝(だいかつ)一声(いつせい)173やや怒気(どき)(ふく)(なが)ら、
174シャ『これや、175何奴(どいつ)此奴(こいつ)()きぬか。176もう()()けて()るぢやないか。177この有様(ありさま)(なん)だ。178(やかた)には大変(たいへん)(こと)突発(とつぱつ)して()るぞ。179(はや)()()まして180()きた()きた』
181 コルトンは言葉(ことば)()について威猛高(ゐたけだか)になり、182(かた)(まで)四角(しかく)にして、183()昨夜(ゆうべ)酒気(しゆき)(のこ)つて(した)()自由(じいう)運転(うんてん)()ねる(やつ)無理(むり)使(つか)ひながら、
184コル『これや、185何奴(どいつ)此奴(こいつ)(なに)をして()るのか。186いつ(まで)睡眠(すゐみん)して(ねむ)つて()るのか。187この(ざま)(なん)だ。188(はや)起床(きしやう)して()きぬか。189(こま)つた野郎(やらう)だな。190もはや暁天(げうてん)夜明(よあ)けだぞ。191昨夜(ゆうべ)(いで)になつた天真坊(てんしんばう)天帝(てんてい)化身(けしん)(おく)192女房(にようばう)(かか)逃走(たうそう)して()()し、193行方不明(ゆくへふめい)(わか)らなくなつたのだ。194サア(はや)(はや)用意(ようい)々々(ようい)
195 (この)(こゑ)何奴(どいつ)此奴(こいつ)も、196(すつぽん)(けつ)をいかれたやうな、197()()()睾丸(きんたま)()かれたやうな(めう)面付(つらつき)をして、198アヽヽヽと焜爐(こんろ)のやうな(くち)()けて(ねこ)のやうな手水(てうづ)をつかつたり、199狼狽(うろた)へて徳利(とくり)(かか)(そと)()()(やつ)200着物(きもの)(さか)さまに()狼狽(うろた)へる(やつ)201(なん)とも形容(けいよう)(がた)光景(くわうけい)であつた。
202 玄真坊(げんしんばう)二百(にひやく)部下(ぶか)()()四方(しはう)八方(はつぱう)手配(てくば)りし(なが)ら、203ダリヤ(ひめ)行方(ゆくへ)捜索(そうさく)すべく(かほ)()(みなぎ)らして()でて()く。204(あと)にはシャカンナと、205今年(こんねん)十五才(じふごさい)になつた(むすめ)のスバール(ひめ)とコルトンの三人(さんにん)であつた。
206シャ『オイ、207コルトン、208()()つた(こと)(なに)(ほど)小言(こごと)()つても(せん)()(こと)だが、209()まらぬ(こと)仕出(しで)かしたぢやないか。210さうして、211バルギーはお(まへ)どうなつたと(おも)ふ。212彼奴(あいつ)反逆心(はんぎやくしん)(おこ)してダリヤを何処(どこ)かへ()()し、213自分(じぶん)天真坊(てんしんぼう)女房(にようばう)横取(よこどり)する(かんが)へであるまいか(のう)
214コル『ヤ、215親方様(おやかたさま)216(けつ)して御心配(ごしんぱい)御心遣(おこころづかひ)()りませぬ。217(なに)(ほど)ナイスの美人(びじん)のシャンのダリヤ(ひめ)だつて、218あんなヒヨツトコ(づら)には恋慕(れんぼ)して()れる気遣(きづかひ)はありませぬよ。219(また)()りに、220よしんばバルギーが恋慕(れんぼ)して(ほれ)(ところ)で、221ダリヤ(ひめ)(うん)(くび)(たて)()つて承諾(しようだく)して(なび)気遣(きづかひ)はありませぬ。222(かなら)屹度(きつと)(えう)するに()まり(すなは)ちダリヤ(ひめ)(うま)(だま)され、223荷物(にもつ)でも()たされて随行(ずいかう)してお(とも)()きよつたのですよ。224(なん)だか彼女(あいつ)視線(しせん)目遣(めつか)いが可怪(をか)しいと(おも)つて()りました』
225シャ『オイ、226もう()うなつちや此処(ここ)()(こと)出来(でき)ない。227まさかの(とき)用意(ようい)としてあの山奥(やまおく)()ておいたあの(いほり)()つて(かく)れようではないか。228天真坊(てんしんばう)だつてあの(をんな)()ない(かぎ)り、229此処(ここ)(かへ)つて()気遣(きづかひ)はない。230さうすりや、231よしやダリヤが()はないだつても天真坊(てんしんぼう)()ふに(きま)つて()る。232さうして沢山(たくさん)乾児(こぶん)()ても(ろく)(やつ)一人(ひとり)()い。233(なか)にも(すこ)ましなのは貴様(きさま)とバルギー(ぐらゐ)(もの)だが、234それでさへ、235こんなへまをやるのだから236(おれ)大望(たいまう)到底(たうてい)成功(せいこう)しない。237グヅグヅして()るとカラピン(わう)(みみ)()238(おれ)(いのち)(まで)()りに()るかも()れない。239サア()のバラック(しき)建物(たてもの)()をつけて焼払(やきはら)ひ、240貴様(きさま)(おれ)とこの()三人(さんにん)241三里(さんり)山奥(やまおく)隠家(かくれが)()かう』
242コル『ハイ、243大変(たいへん)(こと)()つたものですな。244(しか)天真坊(てんしんぼう)天真坊(てんしんぼう)として自由行動(じいうかうどう)勝手(かつて)なやり(かた)をするとした(ところ)で、245彼奴(あいつ)放任(はうにん)して()つちやつておけば宜敷(よろし)いが、246二百人(にひやくにん)部下(ぶか)手下(てした)(ども)(たちま)路頭(ろとう)(まよ)ふぢやありませぬか。247親分(おやぶん)部下(ぶか)生命(せいめい)(いのち)(まも)つてやる決心(けつしん)のお(こころ)()いのですか』
248シャ『もはや今日(こんにち)となつては可愛(かあい)さうでも仕方(しかた)()い。249第一(だいいち)(おれ)生命(いのち)(あやふ)くなる。250サア貴様(きさま)(おれ)(むすめ)三人(さんにん)(この)(やかた)()をつけて此処(ここ)()()さう。251さうすれば、252仮令(たとへ)カラピン(わう)沢山(たくさん)(へい)()つて()めて()ても拍子(ひやうし)ぬけがして、253「ヤア山賊(さんぞく)何処(どこ)かへ()げた」(ぐらゐ)(かへ)るだらう。254乾児(こぶん)奴等(やつら)(かへ)つて()(ところ)住家(すみか)()ければ255自然(しぜん)何処(どこ)かへ()るだらう』
256コル『親分(おやぶん)257仮令(たとへ)家屋(かをく)(いへ)焼棄(せうき)して()いて(しま)つた(ところ)で、258岩窟(いはや)岩窟(がんくつ)(のこ)つて()以上(いじやう)は、259(また)乾児(こぶん)奴等(やつら)(かへ)つて()住居(ぢうきよ)して()むかも()れませぬ。260岩屋(いはや)岩窟(がんくつ)破壊(はくわい)して(たた)(やぶ)(わけ)にも()きますまい。261焼棄(せうき)して()(わけ)にも()きますまい。262(この)(てん)如何(いかが)してどうしたらよいのでせう』
263シャ『(あと)()となれ(やま)となれだ。264サア一時(いちじ)(はや)265(わが)()(あぶ)ない、266此処(ここ)()()らう。267オイ、268スバール(ぢやう)269(とう)さまは270いつもの(かく)()転宅(てんたく)するから271(まへ)もその用意(ようい)をせい』
272スバール『お(とう)さま、273(わたし)いつ(まで)此処(ここ)()()いのよ。274山水(さんすい)景色(けしき)()いからねえ』
275シャ『ウン』
276コル『これこれお嬢様(ぢやうさま)277千騎一騎(せんきいつき)(この)場合(ばあひ)278そんな緩慢(くわんまん)(ゆつく)りした(こと)()つて(もら)つちや(まこと)困難(こんなん)して(こま)りますよ。279一時(いちじ)(はや)(この)()出立(しゆつたつ)して()()でる(こと)にしませう。280(むか)ふの朝倉谷(あさくらだに)()けば、281此処(ここ)よりも幾層倍(いくそうばい)()して風景(ふうけい)景色(けしき)宜敷(よろし)い。282サア(まゐ)りませう』
283スバ『お(とう)さま、284どうしても()かなくちやならないの。285(わたし)もう(しばら)此処(ここ)()()いのだけどなア。286もう十日(とをか)もすればダリヤの(はな)()くのだもの。287あの(うつく)しいダリヤの(はな)(くちびる)()()いて(あそ)びたいのよ』
288コル『エヽお(ぢやう)さま、289(なん)()気楽(きらく)(こと)仰有(おつしや)るのだ。290グヅグヅして()ると吾々(われわれ)三人(さんにん)生命(せいめい)(いのち)()くなつて(しま)ひますがな』
291スバ『何故(なぜ)(それ)(ほど)292(とう)さまやお(まへ)(こは)がるの、293二百人(にひやくにん)乾児(こぶん)()るぢやないか。294(なに)()たつて(これ)()()れば(ふせ)げるぢやないか。295あんな山奥(やまおく)(ちひ)さい(いほり)()つて()むのは(いや)だわ』
296コル『(いへ)(ちひ)さうて(いや)なら、297(おほ)きな家屋(かをく)(いへ)を、298(ぼく)299(わたし)300拙者(せつしや)建築(けんちく)して()てて()げますわな』
301スバ『そんなら302一寸(ちよつと)まアお(とう)さまと一緒(いつしよ)()つて()ませう。303(いや)になつたら(また)此処(ここ)(かへ)つて()ますよ』
304コル『ヤア、305(しめ)た。306親分(おやぶん)さま、307もう大丈夫(だいぢやうぶ)です。308(ぢやう)さまの(むすめ)さまが()くと仰有(おつしや)いました。309どうぞ歓喜(くわんき)して(よろこ)んで(くだ)さい』
310 これより手近(てぢか)必要品(ひつえうひん)(とり)(まと)め、311コルトンは大風呂敷(おほぶろしき)(つつ)んで()()(なが)312主従(しゆじゆう)三人(さんにん)(けは)しき谷川(たにがは)(ほとり)辿(たど)つて、313三里(さんり)山奥(やまおく)茅屋(ばうをく)(かく)れる(こと)となつた。
314大正一三・一二・三 新一二・二八 於祥雲閣 加藤明子録)
   
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9/21【霊界物語ネット】藤沼庄平「大本検挙」を掲載(詳細はページ冒頭のインフォメーション参照)。