霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 据置貯金(すゑおきちよきん)〔一三〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第3篇 神意と人情 よみ:しんいとにんじょう
章:第10章 据置貯金 よみ:すえおきちょきん 通し章番号:1304
口述日:1923(大正12)年01月21日(旧12月5日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
誰言うともなく、祠の森に獅子・虎両性の怪物が現れて人間に化けて主管している、という噂が立ち、ここ二三日は祠の森に誰も立ちよらなくなってしまった。受付も事務室もきわめて閑散としていた。
珍彦は相変わらず至誠神に仕え、参拝者の有無にかかわらず朝と晩のお給仕を忠実に勤めている。イル、イク、サール、ハル、テルの五人は仕事をほったらかして、酒と肴を携えて祠の森のもっとも風景の良い場所で飲み始めた。
次第に一同は酔ってきて、イルが初稚姫と間違えてスマートの手を握って耳を噛まれた馬鹿話を披露した。また一同が話にふけっていると、森の彼方から楓が呼ぶ声がする。五人はバタバタと事務所をさして帰って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5010
愛善世界社版:135頁 八幡書店版:第9輯 199頁 修補版: 校定版:141頁 普及版:70頁 初版: ページ備考:
001 (ほこら)(もり)には(たれ)()ふとなく獅子(しし)002(とら)両性(りやうせい)怪物(くわいぶつ)(あら)はれ、003人間(にんげん)()けてゐる。004その人間(にんげん)(ほこら)(もり)主管者(しゆくわんしや)だから、005ウツカリ(まゐ)らうものなら()はれて(しま)ふと()評判(ひやうばん)がパツと()つた。006それ(ゆゑ)()(よわ)連中(れんちう)(たちま)恐怖心(きようふしん)にかられて、007ここ二三日(にさんにち)(たれ)()りつかなかつた。008受付(うけつけ)事務室(じむしつ)(きは)めて閑散(かんさん)である。009(ただ)相変(あひかは)らず(いそが)しいのは珍彦(うづひこ)神司(かむつかさ)のみである。010珍彦(うづひこ)至誠(しせい)(かみ)(つか)へ、011参拝者(さんぱいしや)有無(うむ)(かか)はらず、012(あさ)(ばん)とのお給仕(きふじ)忠実(ちうじつ)()つてゐる。013イル、014イク、015サール、016ハル、017テルの五人(ごにん)は、018受付(うけつけ)事務室(じむしつ)もほつたらかしにして、019(ひさご)(するめ)などを(たづさ)へ、020(ほこら)(もり)(もつと)風景(ふうけい)()日当(ひあた)りのよい場所(ばしよ)(えら)んで、021(しき)りに(さけ)()(はじ)めた。
022イク『オイ、023御連中(ごれんちう)024(なん)とまア(ほこら)(もり)(さび)しくなつたぢやないか。025エー、026杢助(もくすけ)さまが怪我(けが)をしたとか()つて踪跡(そうせき)をくらまし、027あの(あく)たれ(ばあ)さまの義理天上(ぎりてんじやう)さまは(すぎ)()天上(てんじやう)して顛倒(てんたう)し、028腰骨(こしぼね)をしたたか()ち、029梟鳥(ふくろどり)(やつ)両眼(りやうがん)をこつかれて顔面(がんめん)(ふく)(あが)り、030(まる)でお(ばけ)(やう)になつて(しま)つたぢやないか。031あんまり(いや)らしくなつて(この)神聖(しんせい)なお(やかた)妖怪窟(えうくわいくつ)(やう)心持(こころもち)になつて()て、032ジツクリとして()られないぢやないか。033(さけ)でも()んで元気(げんき)をつけなくちやアやりきれないからな。034おいイル、035貴様(きさま)義理天上(ぎりてんじやう)さまのお世話(せわ)をして()たぢやないか。036随分(ずいぶん)気分(きぶん)(わる)かつただらうな』
037(なに)038そんな(こと)屁古垂(へこた)れるイルさまぢやないわ。039()(なか)善悪(ぜんあく)相混(あひこん)美醜(びしう)(たがひ)相交(あひまじ)はると()ふからな。040一方(いつぱう)には(しう)(しう)041(あく)(あく)なる義理天上(ぎりてんじやう)さまの生宮(いきみや)(かほ)()ながら、042(また)一方(いつぱう)には(ぜん)(ぜん)043()()なる天女(てんによ)のやうな初稚姫(はつわかひめ)(さま)紅顔麗容(こうがんれいよう)(はい)してゐるのだから、044相当(さうたう)調和(てうわ)がとれるよ。045(うつく)しいものばかり()てゐると、046何時(いつ)()にか瞳孔(どうこう)(やつ)047増長(ぞうちよう)しやがつて(うつく)しいものも(うつく)しうない(やう)になるものだが、048(なん)()つても極端(きよくたん)妖怪的(えうくわいてき)醜面(しこづら)(また)極端(きよくたん)芙蓉(ふよう)(かんばせ)(つき)(まゆ)049(ゆき)(はだへ)050日月(じつげつ)(まなこ)051(はな)姿(すがた)初稚姫(はつわかひめ)(さま)見返(みかへ)つた(とき)には(その)反動力(はんどうりよく)とでも()はうか、052(その)()益々(ますます)()()(ぜん)益々(ますます)(ぜん)(えい)ずるのだ。053それだから辛抱(しんぼう)出来(でき)たものだよ。054いや結句(けつく)055辛抱(しんばう)どころか、056()()はれぬ歓喜悦楽(くわんきえつらく)気分(きぶん)(ただよ)ふのだ。057イツヒヒヒヒヒ』
058サール『おい、059イル、060それ(ほど)高姫(たかひめ)さまの(そば)結構(けつこう)なら、061何故(なぜ)(あさ)から(ばん)までくつついてゐないのだ。062俺等(おれたち)(やう)醜面(しこづら)(ところ)()て、063口賤(くちいや)しい(さけ)(くら)はなくても、064初稚姫(はつわかひめ)(さま)(かほ)()恍惚(くわうこつ)として心魂(しんこん)(とろ)かし、065()うてゐたら()いぢやないか』
066『それもさうぢやが、067初稚姫(はつわかひめ)(さま)が「あたえ、068一人(ひとり)でお世話(せわ)(いた)しますから、069イルさまは何卒(どうぞ)(やす)んで頂戴(ちやうだい)ね、070(また)御用(ごよう)(ござ)りましたらお(ねが)(いた)しますから」と、071それはそれは同情(どうじやう)のこもつた(この)イルさまに……ヘヘヘヘヘ、072一寸(ちよつと)(ほそ)()()けて(やさ)しい(こゑ)仰有(おつしや)るのだもの、073なんぼ頑固(ぐわんこ)(おれ)だとて、074君命(くんめい)もだし(がた)退却(たいきやく)(つかまつ)ると()ふことになつて、075(しばら)差控(さしひか)へてゐるのだ』
076テル『ハハハハハ、077馬鹿(ばか)だな。078本当(ほんたう)貴様(きさま)はお目出度(めでた)(やつ)だよ。079(てい)よい辞令(じれい)肱鉄(ひぢてつ)をかまされよつたのだ。080貴様(きさま)(つら)水鏡(みづかがみ)一寸(ちよつと)()()よ、081薩張(さつぱり)(かほ)(つめ)がぬけて(しま)つてるぢやないか』
082『ナーニ(ぬか)しやがるのだい。083唐変木(たうへんぼく)貴様等(きさまら)(わか)つて(たま)るものかい。084初稚姫(はつわかひめ)(さま)(おれ)との関係(くわんけい)貴様(きさま)()つてるのか。085以心伝心(いしんでんしん)086不言不語(ふげんふご)(うち)(おい)万世不易(ばんせいふえき)愛的連鎖(あいてきれんさ)(むす)ばれてあるのだ。087(まこと)()みませぬな、088エツヘヘヘヘヘ。089エー、090(よだれ)(やつ)091イルさまの許可(きよか)()くして勝手(かつて)気儘(きまま)()ると()(こと)があるかい。092何程(なにほど)(おれ)がデレルと()うても、093貴様(きさま)までが勝手(かつて)にデレルとはチツト越権(ゑつけん)だぞ。094ウツフフフフフ』
095()ひながら(うし)(やう)粘液性(ねんえきせい)()んだ(ほそ)(よだれ)手繰(たぐ)つてゐる。
096テル『ハハハハハ、097(ゆめ)でも()てゐやがつたな。098貴様(きさま)(ひめ)(さま)との関係(くわんけい)()ふのは、099(ただ)(しゆ)(ぼく)との関係(くわんけい)だ。100到底(たうてい)夫婦(ふうふ)なんぞと、101そんな(こと)(がら)にないわ』
102イル『(じつ)(ところ)は、103初稚姫(はつわかひめ)(さま)美貌(びばう)(うつつ)になつて(なが)めてゐたものだから、104義理天上(ぎりてんじやう)さまの命令(めいれい)(みみ)這入(はい)らず、105ポカンとして()つた(ところ)を、106高姫(たかひめ)(やつ)()()えない(くせ)に、107ポカンとやりやがつたのだ』
108(いよいよ)三段目(さんだんめ)になつて()たな。109さア一杯(いつぱい)グツと()んで、110正念場(しやうねんば)()かして(もら)はうかい』
111(さけ)一杯(いつぱい)二杯(にはい)では、112神秘(しんぴ)(かぎ)(わた)(こと)出来(でき)ないわ。113(この)(うへ)(はな)して()かした(ところ)で、114下根(げこん)のお前等(まへら)115所謂(いはゆる)八衢人間(やちまたにんげん)には到底(たうてい)(かい)()ないから、116まア()はぬが(はな)として筐底(きやうてい)(ふか)()めて()かう。117()けて口惜(くや)しき玉手箱(たまてばこ)でなくて、118ぶちあけて(うれ)しい玉手箱(たまてばこ)119折角(せつかく)(にぎ)つた運命(うんめい)(かぎ)貴様等(きさまら)占領(せんりやう)されちやア、120折角(せつかく)苦心(くしん)水泡(すいはう)()するからな』
121『おい、122そんな()()しみをするものぢやない。123(その)(さき)一寸(ちよつと)小意気(こいき)(ところ)(のぞ)かしてくれないかい。124(かたな)鑑定人(めきき)は、125チツト(ばか)砥石(といし)でといで(まど)をあけ、126柄元(つかもと)(にほ)ひを()れば、127(すぐ)(その)名刀(めいたう)たり(あるひ)鈍刀(どんたう)たる(こと)()(ごと)く、128(この)テルさまは()(ごと)く、129(こころ)(そこ)までよくテルさまだからな』
130(じつ)(ところ)は、131(その)(さき)(あま)りで()ふに(しの)びないのだ』
132(しの)びないとは(なん)だ、133ヤツパリやり(そこ)ねたのだな。134玉茸(たまたけ)()(ぞこ)なつて(ふくろ)宵企(よひだく)みに目玉(めだま)をこつかれた(くち)だらう。135ウフフフフフ』
136秘密(ひみつ)にして()れたら()つてやるが、137前等(まへら)四人(よにん)一生涯(いつしやうがい)他言(たごん)はせぬと()(ちか)ひをするか。138さうすれば一部分(いちぶぶん)(くらゐ)はお(いはひ)表示(へうじ)してやらぬ(こと)もない』
139 四人(よにん)(こゑ)(そろ)へて、
140『よし(ちか)つた。141(ちか)つた以上(いじやう)大丈夫(だいぢやうぶ)だからね』
142『それなら()つてやらう。143初稚姫(はつわかひめ)さまが、144それはそれは(なん)とも()れぬ情緒(じやうちよ)のこもつたお(こゑ)で、145(やはら)かい(ほそ)いお手々(てて)()して、146「これイルさまえ、147(まへ)もお(かあ)さまのお世話(せわ)をして(くだ)さるので、148さぞお(つか)れでせう。149何卒(どうぞ)コーヒーなつと一杯(いつぱい)(あが)(くだ)さいませ」……ヘヘヘヘヘなーんて仰有(おつしや)つて、150それはそれは(じやう)のこもつた(ゑみ)(たた)へて()いで(くだ)さるのだ。151それから頭脳(づなう)鋭敏(えいびん)(それがし)152チヤーンと相手方(あひてがた)(こころ)(そこ)まで()てとり、153(れい)軍隊式(ぐんたいしき)身体(からだ)をキチンと整理(せいり)し、154コーヒーを左手(ゆんで)一寸(ちよつと)()ち、155貴様等(きさまら)(さけ)()(やう)なしだらない(こと)はなさらないな。156第一(だいいち)姿勢(しせい)(ただ)しうし、157()()け「(オイチ)158()159(サン)」と、160()空中(くうちう)角度(かくど)(ゑが)いて、161わが口中(こうちう)(おもむろ)注入(ちゆうにふ)した。162さア、163さうすると流石(さすが)初稚姫(はつわかひめ)さまも()へきれない(やう)(ゑみ)(もら)して、164「ホホホホホ」と(うぐひす)のさね(わた)りの(やう)美声(びせい)妙音(めうおん)(はな)つて(わら)(あそ)ばしたのだ。165さうすると一方(いつぱう)(ひか)へて()義理天上(ぎりてんじやう)怪物(くわいぶつ)()166()()えないものだから初稚姫(はつわかひめ)(さま)()つてかかり「これ初稚(はつわか)167(まへ)(これ)(ほど)(おや)(くる)しんでゐるのに、168(なに)面白(おもしろ)さうに(わら)ふのだい。169小気味(こぎみ)がよいのかい」(など)意地苦根(いぢくね)(わる)い、170あの(やさ)しいお(ひめ)さまに(どく)ついてゐるのだ。171(にく)いの(なん)のと、172(この)(とき)こそは愛人(あいじん)(ため)(かたき)()つてお()にかけむと奮然(ふんぜん)として立上(たちあが)り、173高姫(たかひめ)(よこ)(つら)()がけて(ほね)(くじ)けよと(ばか)り「ウーン」と(たた)いたと(おも)へば火鉢(ひばち)(かど)だつた、174アハハハハ。175よくよく()れば(ゆび)から()(にじ)んでゐる。176そこで「(いた)い」と()はむとせしが()(しば)しだ。177それはそれ、178初稚姫(はつわかひめ)(さま)監視(かんし)して(ござ)るだらう。179千軍万馬(せんぐんばんば)(なか)(いのち)(まと)勇往邁進(ゆうわうまいしん)し、180砲煙弾雨(はうえんだんう)(もの)ともしない軍人(ぐんじん)(それがし)181マサカ弱音(よわね)()(わけ)にも()かず、182(いた)さうな(かほ)出来(でき)ないのだから随分(ずいぶん)我慢(がまん)したね。183さうすると、184(また)もや初稚姫(はつわかひめ)(さま)梅花(ばいくわ)(くちびる)(ひら)いて、185(うぐひす)でも(さへづ)つてゐるやうに「ホホホホホ」と(わら)(ごゑ)をお(もら)(あそ)ばしたのだ。186そこで(この)イルさまが「これはしたり、187初稚姫(はつわかひめ)殿(どの)」とやつたね』
188テル『うーん面白(おもしろ)いね。189(だん)益々(ますます)佳境(かきやう)()りけりだ。190謹聴々々(きんちやうきんちやう)
191『さうすると初稚姫(はつわかひめ)(さま)仰有(おつしや)るのに「あのまあイルさまの勇壮(ゆうさう)なお(かほ)192(くち)()(むす)眉間(みけん)(まで)(しわ)()せて(ござ)るお姿(すがた)は、193ビリケンの化相(けさう)した山門(さんもん)仁王(にわう)さま()(やう)だわ」と仰有(おつしや)るのだ、194エヘヘヘヘヘ。195ここに(はじ)めて(それがし)のヒーロー豪傑(がうけつ)たる真相(しんさう)(みと)められたと(おも)つた(とき)(うれ)しさ、196(いさ)ましさ、197イヤ(はや)形容(けいよう)すべき言語(げんご)もない(くらゐ)だつた』
198サール『馬鹿(ばか)199貴様(きさま)200馬鹿(ばか)にしられ()つてそれが(うれ)しいのか。201(こひ)(とぼ)けた(やつ)()には、202(なん)でもかんでも(あい)(えい)ずるのだから(たま)らぬのだ。203本当(ほんたう)此奴(こいつ)睾玉(きんたま)(おと)して()よつたのだよ』
204『こりや、205サール、206(だま)つて()かう。207聴講者(ちやうかうしや)妨害(ばうがい)となるのを()らぬか。208あまり騒擾(さうぜう)(いた)すと会堂外(くわいだうぐわい)退去(たいきよ)(めい)ずるぞ』
209『ヘヘヘヘヘ、210あーあ、211あーあ、212化物屋敷(ばけものやしき)ぢやないが、213アークビ()るわい』
214テル『おい、215イル(こう)216サールなどに(かま)はずドシドシと長口舌(ちやうこうぜつ)運転(うんてん)さしてくれ。217機関(きくわん)(あぶら)がきれたら(また)このアルコールをグツと()してやるからな』
218竹林(ちくりん)七賢人(しちけんじん)でなくて、219森林(しんりん)四賢一愚人(しけんいちぐじん)がここに(あつ)まつて林間酒(りんかんさけ)(あたた)めながら、220田原峠(たぱるたうげ)実戦(じつせん)状況(じやうきやう)実地(じつち)(のぞ)んだ(その)勇士(ゆうし)から()くのだから、221随分(ずいぶん)勇壮(ゆうさう)なものだぞ。222(つつし)んで()かないと、223(ふたた)斯様(かやう)面白(おもしろ)趣味津々(しゆみしんしん)たるローマンスは一生涯(いつしやうがい)()(こと)出来(でき)ないぞ』
224『うん、225さうだろ さうだろ。226(これ)からが正念場(しやうねんば)だ』
227捻鉢巻(ねぢはちまき)をしながら(ひぢ)()り、228自分(じぶん)がやつた(やう)()二足三足(ふたあしみあし)(まへ)へニジリ()り、229()(いぬ)(やう)(かほ)をしてイルの(かほ)をグツと見上(みあ)げてゐる。230イルは演説(えんぜつ)口調(くてう)になつて、231四辺(あたり)()(みき)片手(かたて)(ささ)へ、232(みぎ)()(こし)(あた)りに()き、233(やや)反身(そりみ)になつて喋々(てふてふ)虚実交々(きよじつこもごも)()りまぜて、234講談師(かうだんし)気分(きぶん)(しやべ)(はじ)めた。
235()て、236前席(ぜんせき)引続(ひきつづ)きまして御静聴(ごせいちやう)(わづら)はしまする。237(いよいよ)(ほこら)(もり)238高姫(たかひめ)(だん)239三五教(あななひけう)(その)(ひと)ありと(きこ)えたるイルの勇将(ゆうしやう)に、240一方(いつぱう)古今無双(ここんむさう)のナイス、241初稚姫(はつわかひめ)との面白(おもしろ)物語(ものがたり)(ござ)ります。242そこへ勇猛(ゆうまう)なる義犬(ぎけん)スマートをあしらつた物語(ものがたり)(ござ)りますれば、243益々(ますます)佳境(かきやう)()り、244(へそ)宿替(やどがへ)(まを)すに(およ)ばず、245睾玉(きんたま)洋行(やうかう)(いた)さない(やう)246十二分(じふにぶん)御注意(ごちゆうい)(はら)はれむ(こと)希望(きばう)する次第(しだい)であります』
247ハル『おい、248そんな長口上(ながこうじやう)如何(どう)でもいいわ。249(はや)本問題(ほんもんだい)(うつ)らないか』
250『お客様(きやくさま)(おほ)せ、251御尤(ごもつと)もには(さふら)へど、252(いま)(まを)したのは今夕(こんせき)添物(そへもの)(いた)しまして、253(いよいよ)本問題(ほんもんだい)()しかかりまする』
254テル『おい、255最前(さいぜん)(やう)(すわ)つて(さけ)()みながらやつてくれないか。256(なん)だか学術講演会(がくじゆつかうえんくわい)出席(しゆつせき)してる(やう)()がして、257(さけ)()んでる気分(きぶん)がせないわ』
258御註文(ごちゆうもん)とあれば(おほ)せに(したが)ひ、259それでは一寸(ちよつと)天降(あまくだ)りを(いた)し、260(ひかり)(やは)らげ(ちり)(まじ)はつて、261下賤(げせん)人物(じんぶつ)(とも)兄弟(きやうだい)(ごと)く、262朋友(ほういう)(ごと)く、263打解(うちと)けて御相談(ごさうだん)(いた)しませう。264ハハハハハ』
265()ひながらドスンと(こし)(おろ)した拍子(ひやうし)に、266(ほそ)()角杭(かくくひ)()(くち)(やり)(やう)(とが)つて()(その)(うへ)(しり)()ろしたのだから(たま)らない。267(たちま)ちブスツと肛門(こうもん)突入(とつにふ)し、268(あだか)(こな)ひき(うす)上臼(うはうす)(やう)になつて(しま)つた。
269『アイタタタ、270(しか)(まる)いものと()ふものは(たれ)でも(ねら)ふものと()えるわい。271()(かぶ)(まで)(おれ)(しり)(ねら)つて()やがる。272何程(なにほど)(かぶ)流行(はや)()(なか)でも、273(この)(かぶ)ばつかりは御免(ごめん)だ。274(しか)節季(せつき)になつて尻拭(しりぬぐ)ひが出来(でき)ぬと(こま)るから、275(いま)(うち)倹約(けんやく)して此処(ここ)にチヤンと据置貯金(すゑおきちよきん)だ。276イヒヒヒヒヒ』
277(すこ)(ばか)肛門(こうもん)(やぶ)()をたらしながら、278ズブ(ろく)()うて()るので、279そんな(こと)頓着(とんちやく)なく滔々(たうたう)として(べん)(はじ)めた。
280『さて、281初稚姫(はつわかひめ)(さま)のお(かほ)()にちらつき、282()()れても、283()ても()きても、284雪隠(せつちん)(なか)にでも(おれ)()(まへ)(あら)はれるのだ。285(なん)とまアよく初稚姫(はつわかひめ)さまも()れたものだな。286何処(どこ)()つてもついて()てゐる。287据膳(すゑぜん)()はぬは(をとこ)でないと(おも)ひ、288(とどろ)(むね)をグツと(おさ)へ、289勇気(ゆうき)()してその(やさ)しい()をグツと(にぎ)つた途端(とたん)に、290「ウー、291ワンワン」と()つて(おれ)(みみ)たぼに()()りつき、292これ、293(この)(とほ)(きず)をさせよつたのだ』
294テル『(なん)(かほ)にも似合(にあ)はぬ(おそ)ろしい(をんな)だな』
295(なに)296(ひめ)(さま)だと(おも)つたら猛犬(まうけん)()(ちから)一杯(いつぱい)(にぎ)つたものだから、297畜生(ちくしやう)吃驚(びつくり)して()ひつきよつたのだ、298アハハハハハ』
299サール『(なん)だ。300大方(おほかた)301そこらが()ちだと(おも)つてゐたのだ。302貴様(きさま)一霊四魂(いちれいしこん)活動(くわつどう)不完全(ふくわんぜん)だから、303そんな頓馬(とんま)(こと)ばかりやりよるのだ。304チツと霊学(れいがく)研究(けんきう)でもしたら如何(どう)だい、305男爵様(だんしやくさま)()をつけるぞや』
306『ヘン、307男爵(だんしやく)308馬鹿(ばか)にするない。309貴様(きさま)首陀(しゆだ)(うま)れぢやないか』
310(をとこ)(しやく)をして()むのが男爵(だんしやく)だ。311(わし)勝手(かつて)(しやく)をして()むのが私爵(ししやく)だ。312小酌(こしやく)(こと)(まを)すと承知(しようち)(いた)さぬぞ』
313(おれ)(さけ)()んで(くち)から嘔吐(へど)一緒(いつしよ)()いたから()(しやく)(さま)だ。314()(しやく)として余裕(よゆう)ある一丈七尺(いちぢやうしちしやく)男子(だんし)だからな』
315『ヘン、316一丈七尺(いちぢやうしちしやく)なんて七尺(しちしやく)にも()らぬ小男(こをとこ)()317(えら)さうに()ふない』
318八尺(はつしやく)九尺(くしやく)とよせて八九尺(はつくしやく)だ。319一丈七尺(いちぢやうしちしやく)()つたのが何処(どこ)算盤(そろばん)(ちが)ふのだ。320(なん)粗雑(そざつ)頭脳(づなう)持主(もちぬし)だな。321一霊四魂(いちれいしこん)如何(どう)だのかうだのと、322(えら)さうに()ふない。323それ(ほど)(えら)さうに()ふのなら、324(ひと)解釈(かいしやく)して()よ』
325貴様(きさま)(やう)木耳耳(きくらげみみ)には()かしてやるのは()しけれど、326(おれ)無学者(むがくしや)(おも)はれちや片腹(かたはら)(いた)い。327()ひがかり(じやう)328男子(だんし)として説明(せつめい)(らう)(あた)へないのも、329学者(がくしや)估券(こけん)傷付(きずつ)くる(こと)になるから、330(ひと)つはりこんで教訓(けうくん)してやらう。331エヘン、332抑々(そもそも)一霊四魂(いちれいしこん)()ふのは、333直霊(ちよくれい)334荒魂(あらみたま)335奇魂(くしみたま)336幸魂(さちみたま)337和魂(にぎみたま)()ふのだ。338さうして荒魂(あらみたま)(ゆう)なり、339幸魂(さちみたま)(あい)なり、340奇魂(くしみたま)()なり、341和魂(にぎみたま)(しん)なり、342(わか)つたか、343随分(ずいぶん)よく学理(がくり)(あか)るいものだらう』
344(ゆう)とは(なん)だ。345(ゆう)説明(せつめい)をせぬかい』
346『マ(をとこ)(すなは)勇者(ゆうしや)()ふのだ。347どうだ、348(わか)つたか。349それから(しん)講釈(かうしやく)だ。350(しん)()(こと)(おや)()()だ。351(つら)()八度(はちど)()せるのを(おや)()ふのだ。352それから(あい)だ。353どんな(こと)でも有利(いうり)なものであつたならば(のど)()らして()ける(こころ)354(これ)(あい)()ふ。355ヘン、356(また)日々(にちにち)貴様(きさま)のやうに(くち)失策(しつさく)する(やつ)()()ふのだ。357十目一様(じふもくいちやう)()るのを直霊(ちよくれい)(ちよく)といふのだ。358(なん)といつてもサールさまだらう。359(おれ)知識(ちしき)には、360誰一人(たれひとり)天下(てんか)()をサールものがないのだから、361サールさまと(まを)すのだ、362エヘン』
363テル『成程(なるほど)364妙々(めうめう)365如何(いか)にもよく徹底(てつてい)した。366文字(もんじ)()ふものは感心(かんしん)意味(いみ)(ふく)んだものだね』
367 ()(はな)(をり)しも(かへで)(もり)彼方(あなた)より、
368『イルさま、369(みな)さま、370(はや)(かへ)つて(くだ)さい』
371とありきりの(こゑ)()して()ばはつた。
372 五人(ごにん)()(もの)()()へず、373バタバタと事務所(じむしよ)をさして(かへ)()く。
374大正一二・一・二一 旧一一・一二・五 北村隆光録)
   
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