霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一九章 逆語(ぎやくご)〔一三一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第50巻 真善美愛 丑の巻 篇:第4篇 神犬の言霊 よみ:しんけんのことたま
章:第19章 第50巻 よみ:ぎゃくご 通し章番号:1313
口述日:1923(大正12)年01月23日(旧12月7日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年12月7日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ハルは、通りすがりの者が受付に立ち寄ったのだととぼけたが、杢助と高姫は、斎苑の館から使いがやってきたことを感知していた。
杢助と高姫は、イルやハルたちが斎苑の館に手紙をやって、自分たちを放逐しようと役員を呼んだのだろうと気を回し、首謀者を白状させようとハルを手荒に責め立てた。
妖幻坊の杢助が拳骨を固めてハルを打ち据えようとしたとき、スマートの吠え声が聞こえてきた。妖幻坊は体がすくみ、青ざめて自分の居間に逃げ帰り、布団をかぶって震えている。高姫は自分もふるえながら、ハルの尋問を続けた。
ハルは、大方高姫たちに立ち退き命令を告げに来たのだろう、とやけになって答える。高姫は怒り、珍彦に直接談判すると言って珍彦館に向かおうとした。そこにイルとサールに案内された安彦と国彦が入ってきた。
イルは入ってくるなり、早く高姫に立ち退き命令を告げてくれと安彦と国彦に頼みこみ、高姫を嘲笑した。安彦と国彦は高姫に挨拶をし、来訪の目的は珍彦に伝えてあるから、やがて高姫たちに沙汰があるだろうと伝えた。
高姫は安彦と国彦を昔の名前で呼んで馬鹿にし、挑発する始末であった。安彦は、高姫は放っておいて隣の間で唸っている妖幻坊の様子を見ようとした。高姫の制止を聞かずに、イルと安彦は杢助の居間のふすまを開けた。
妖幻坊は樫の棒を振り上げ、安彦の頭を叩き割ろうとしたが、床下から聞こえてきたスマートの吠え声にたちまち手がしびれ、一目散に裏の森林指して逃げてしまった。高姫が居間に入ってみれば、そこはもぬけの殻だった。
妖幻坊がどこかに行ってしまったので、高姫は大声で自説を怒鳴りたて、安彦と国彦を煙に巻いてしまった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5019
愛善世界社版:264頁 八幡書店版:第9輯 247頁 修補版: 校定版:270頁 普及版:133頁 初版: ページ備考:
001 高姫(たかひめ)居間(ゐま)には妖幻坊(えうげんばう)杢助(もくすけ)002高姫(たかひめ)両人(りやうにん)003六ケ(むつか)しい(かほ)をして上座(じやうざ)(すわ)り、004ハルをつかまへて(あぶら)をとつてゐる。
005妖幻(えうげん)『オイ、006ハル、007(いま)表口(おもてぐち)(まゐ)つて(なに)かゴテゴテ(まを)して()つたのは何者(なにもの)だなア』
008『ハイ、009(なん)でも(ござ)いませぬ。010(ただ)道通(みちどほり)一寸(ちよつと)受付(うけつけ)立寄(たちよ)つたので(ござ)います』
011馬鹿(ばか)(まを)せ。012(その)(はう)吾々(われわれ)(かく)()てをするのだなア。013斎苑(いそ)(やかた)から直使(ちよくし)()たのであらうがな』
014『ハイ、015エエ、016それは、017みえました。018(しか)しながら(けつ)して吾々(われわれ)(たい)して、019御用(ごよう)もなければ(なん)とも(おほ)せられませぬ』
020珍彦館(うづひこやかた)(その)(はう)案内(あんない)をしたであらうがなア。021様子(やうす)大抵(たいてい)()つて()るだらう』
022『ヘーエ、023イルに……イン、024(うけたま)はりますれば、025(この)(やかた)総取締(そうとりしまり)にイルを(いた)す………とか()ふお使(つかひ)ださうで(ござ)います』
026高姫(たかひめ)(この)杢助(もくすけ)放逐(はうちく)すると(まを)して()らうがな』
027『エー、028そんなこた、029一寸(ちよつと)(ぞん)じませぬ。030(しか)しながら朝晩(あさばん)御給仕(おきふじ)もせず、031(さけ)ばかり()んでる人物(じんぶつ)(たい)しては、032どういう御沙汰(ごさた)(さが)つたやら(わか)りませぬな。033直接(ちよくせつ)(わたし)(なん)にも()かないものですから、034かう(まを)したと()つて、035(けつ)して(これ)事実(じじつ)だか事実(じじつ)でないか、036保証(ほしよう)(かぎ)りで(ござ)いませぬ。037(しか)(なん)だか(めう)空気(くうき)(ただよ)うてゐますで。038(なん)()つても杢助(もくすけ)さまともあらうものが、039スマート(ごと)きが(こは)いと仰有(おつしや)るものだから、040ヘヘヘヘヘ、041(みな)連中(れんちう)がチヨコチヨコと(うはさ)(いた)して()ります。042それより(ほか)(なに)(ござ)いませぬ。043これは一文生中(いちもんきなか)掛値(かけね)もない、044ハルの真心(まごころ)吐露(とろ)したので(ござ)いますから、045(この)(うへ)秘密(ひみつ)(なに)(ぞん)じませぬ』
046馬鹿(ばか)(まを)せ。047まだ(ほか)(なに)秘密(ひみつ)があるだらう。048(いま)言葉(ことば)から(かんが)へてみれば、049貴様等(きさまら)申合(まをしあは)せ、050(この)(はう)高姫(たかひめ)悪口(あくこう)(まを)して、051斎苑(いそ)(やかた)手紙(てがみ)をやつたのであらうがなア。052それでなければ直使(ちよくし)()()(はず)がないぢやないか。053なに(あたま)()いて()るのだ、054ヤツパリ都合(つがふ)(わる)いとみえるな。055コリヤ白状(はくじやう)(いた)さぬか』
056とハルの襟首(えりくび)をグツと()り、057剛力(がうりき)(まか)せて、058座敷(ざしき)中央(まんなか)()(たふ)し、059一方(いつぱう)()でグツと(おさ)へ、060一方(いつぱう)(あら)()だらけの()拳骨(げんこつ)(かた)めて振上(ふりあ)げながら、
061『コリヤ、062白状(はくじやう)(いた)せばよし、063(かく)()てを(いた)すと、064(この)鉄拳(てつけん)(その)(はう)眉間(みけん)(さは)るや(いな)や、065(その)(はう)脳天(なうてん)木端微塵(こつぱみぢん)になるが、066それでも白状(はくじやう)(いた)さぬか』
067『イイ(いた)(いた)い、068アア(たれ)()てくれぬかいな、069直使様(ちよくしさま)070(はや)く、071()(くだ)さるといいにな、072イイ(いた)(いた)い』
073『サ、074(いた)くば(はや)(まを)せ。075白状(はくじやう)さへすれば(ゆる)してやらう』
076『ハハ白状(はくじやう)せと()つたつて、077(たね)のない(こと)白状(はくじやう)出来(でき)ますか』
078高姫(たかひめ)『コレ、079ハルさま、080(まへ)五人(ごにん)(なか)でも一番(いちばん)利巧(りかう)(をとこ)だ。081それだから(わたし)がお(まへ)をイルの野郎(やらう)(かは)りに受付頭(うけつけがしら)にして()げたぢやないか。082これ(ほど)(わたし)がお(まへ)をヒイキにして()るのに、083なぜ(かく)()てをなさるのだい。084サ、085(はや)()つてみなさい。086(けつ)してお(まへ)さまの(ため)(わる)いやうにはせないからな』
087高姫(たかひめ)さま、088そんな無茶(むちや)(こと)089あなた(まで)()つて(もら)つちや、090(この)ハルが()うして()ちますか。091よい加減(かげん)(うたがひ)()らして(くだ)さいな』
092妖幻(えうげん)此奴(こいつ)何処(どこ)までもドシぶとい、093まてツ、094(いま)(おも)()らしてやらう、095サどうぢや』
096(また)もや拳骨(げんこつ)(かた)めて、097(ちから)(かぎ)りに打下(うちおろ)さうとする一刹那(いつせつな)『ウーウー、098ワツウ ワツウ ワツウ』とスマートの(こゑ)099妖幻坊(えうげんばう)(からだ)がすくみ、100(いろ)(あを)ざめ、101(その)(まま)ツイと()つて自分(じぶん)居間(ゐま)()(かへ)り、102蒲団(ふとん)(かぶ)つて(ふる)うてゐる。103スマートの(こゑ)益々(ますます)(はげ)しくなつて()た。
104 高姫(たかひめ)少々(せうせう)(ふる)ひながら、
105『コレ、106ハルさま、107(まへ)はいい()だ。108本当(ほんたう)様子(やうす)()つて()るだらう。109サ、110チヤツと()うてくれ、111(その)(かは)り、112(まへ)をここの神司(かむづかさ)にして()げるからなア』
113『ハイ、114(まへ)さま、115用心(ようじん)しなされ。116どうやら立退(たちの)命令(めいれい)()たやうな按配(あんばい)ですよ』
117『ナアニ、118立退(たちの)命令(めいれい)が、119そりや(たれ)に、120大方(おほかた)珍彦(うづひこ)にだらう』
121冗談(じようだん)()つちやいけませぬよ。122珍彦(うづひこ)さまはここの御主人(ごしゆじん)です。123(まへ)さまは勝手(かつて)義理天上(ぎりてんじやう)だとか()つて(すわ)()み、124自分免許(じぶんめんきよ)日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)威張(ゐば)つてゐるのでせう。125それだからお(まへ)さまに立退(たちの)命令(めいれい)()るのは当然(あたりまへ)ですワ』
126『エーエ、127まさかの(とき)になつて、128杢助(もくすけ)さまも杢助(もくすけ)さまだ。129スマート(くらゐ)畜生(ちくしやう)が、130何程(なにほど)(いや)だと()つても、131こんな正念場(しやうねんば)になつてから、132自分(じぶん)居間(ゐま)這入(はい)つて()(しま)ふといふ(こと)があるものかいなア』
133『ヘン、134(まこと)にお()(どく)(さま)135すんまへんな。136(いづ)れ、137(あく)(なが)うは(つづ)きませぬぞや』
138『エーエ、139(まへ)(まで)が、140しようもない(こと)()ふぢやないか。141サ、142とつとと()ていつて(くだ)さい。143この(やかた)仮令(たとへ)直使(ちよくし)()うが(なに)()うが、144日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)守護(しゆご)して()れば、145誰一人(たれひとり)()らいでもよいのだから、146何奴(どいつ)此奴(こいつ)()()してこまそ147グヅグヅしてると先方(むかふ)(はう)から立退(たちの)命令(めいれい)なんて(ぬか)しやがるから、148(さき)んずれば(ひと)(せい)すだから此方(こつち)(はう)から立退(たちの)かしてくれるツ』
149珍彦館(うづひこやかた)をさして()かむと()(あが)る。150そこへ安彦(やすひこ)151国彦(くにひこ)はイル、152サールに案内(あんない)され、153(ふすま)をサツと(ひら)いて這入(はい)つて()た。
154イル『エ、155もし直使様(ちよくしさま)156ここが所謂(いはゆる)義理天上(ぎりてんじやう)居間(ゐま)(ござ)います。157何卒(どうぞ)(はや)立退(たちの)命令(めいれい)(まを)(わた)して(くだ)さい。158コリヤ高姫(たかひめ)159ザマア()やがれ、160イヒヒヒヒ、161(まこと)(もつ)てお()(どく)千万(せんばん)なれど、162今日(けふ)(かぎ)りだと(おも)うて、163(あきら)めて()んだがよいぞや。164油揚(あぶらげ)一枚(いちまい)餞別(せんべつ)にやりたいけれど、165生憎(あひにく)今日(けふ)油揚(あぶらげ)小豆(あづき)もないワ。166サツパリ、167コーンと(あきら)めて、168ササ、169(かへ)つたり(かへ)つたり』
170『エー(やかま)しい、171スツ()んでゐなさい。172ここは義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)神界(しんかい)から命令(めいれい)()けて守護(しゆご)(いた)大門(おほもん)ぢやぞえ。173そして直使(ちよくし)といふのは(たれ)だなア』
174安彦(やすひこ)『ヤア高姫(たかひめ)殿(どの)175(ひさ)しう(ござ)る』
176拙者(せつしや)国彦(くにひこ)(ござ)る。177(この)(たび)178斎苑(いそ)(やかた)より一寸(ちよつと)様子(やうす)あつて参拝(さんぱい)(いた)した(もの)(ござ)る。179境内(けいだい)様子(やうす)()(ため)180此処(ここ)まで調査(てうさ)()たのですよ。181そして直使(ちよくし)(おもむき)珍彦(うづひこ)申渡(まをしわた)しあれば、182やがて(その)(はう)(たい)し、183(なん)とか沙汰(さた)があるであらう』
184『ヘン、185阿呆(あはう)らしい、186人民(じんみん)命令(めいれい)(くらゐ)187()くやうな生神(いきがみ)ぢやありませぬぞや。188勿体(もつたい)なくも高天原(たかあまはら)霊国(れいごく)天人(てんにん)189義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)ぢやぞえ。190(この)肉体(にくたい)常世姫命(とこよひめのみこと)再来(さいらい)で、191変性男子(へんじやうなんし)御系統(ごひつぱう)だ。192(なん)心得(こころえ)てござる。193……ヤアお(まへ)北山村(きたやまむら)本山(ほんざん)へやつて()て、194トロロの丼鉢(どんぶりばち)座敷中(ざしきちう)にブツつけた、195国公(くにこう)ぢやないか。196そしてお(まへ)(やす)だらう。197ヘン、198阿呆(あはう)らしい、199直使(ちよくし)なんて、200(わら)はせやがるワイ、201イツヒヒヒヒ、202(おほ)きに(はばか)りさま。203これなつと、204(くら)へ』
205焼糞(やけくそ)になつて、206(おほ)きなだん(じり)()きまくり、207ポンポンと(ふた)()(たた)き、208(からだ)()()つゆすり、209(あご)をしやくり、210(した)をニユツと()し、211両手(りやうて)(とび)()ばたきしたやうにしてみせた。
212安彦(やすひこ)仮令(たとへ)213拙者(せつしや)神力(しんりき)()らぬ(もの)にもせよ。214天晴(あつぱれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)215今日(こんにち)(また)八島主命(やしまぬしのみこと)(さま)より直使(ちよくし)として(まゐ)つた(もの)(ござ)る。216粗略(そりやく)(あつかひ)をなさると、217斎苑(いそ)(やかた)一伍一什(いちぶしじふ)(まを)()げますぞ』
218『ヘン、219仰有(おつしや)いますわい。220八島主(やしまぬし)教主(けうしゆ)(なん)だ。221(あを)(あを)()せた(かほ)しやがつて、222まるで肺病(はいびやう)親方(おやかた)みたやうな(つら)をして、223(この)(はう)立退(たちの)命令(めいれい)224ヘン、225(けつ)(あき)れて雪隠(せつちん)(をど)りますワイ。226(ちや)一杯(いつぱい)()げたいは山々(やまやま)なれど、227左様(さやう)(わか)らぬ(こと)()(やつこ)さまには、228番茶(ばんちや)(ひと)()(わけ)には()きませぬワ。229サア、230トツトとお(かへ)りなさい。231高姫(たかひめ)()()えても、232斎苑館(いそやかた)総務(そうむ)杢助(もくすけ)(つま)(ござ)るぞや。233何程(なにほど)(やす)(くに)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)だと()つても、234(わが)(をつと)杢助(もくすけ)家来(けらい)ぢやないか。235(いま)こそ杢助様(もくすけさま)様子(やうす)あつて(やく)()いて(ござ)るが、236ヤツパリ御神徳(ごしんとく)三五教(あななひけう)()つての偉者(えらもの)だ。237どうだ両人(りやうにん)238義理天上(ぎりてんじやう)(まを)(こと)()いて改心(かいしん)(いた)し、239(この)(はう)部下(ぶか)となつて、240此処(ここ)御用(ごよう)(いた)()はないかな』
241国彦(くにひこ)安彦(やすひこ)殿(どの)242(こま)つた(もの)(ござ)るな。243(ろん)にも(くひ)にもかからぬでは(ござ)らぬか』
244『コリヤ与太(よた)245ソリヤ(なに)()ふのだ。246勿体(もつたい)なくも日出神(ひのでのかみ)生宮(いきみや)目下(めした)見下(みおろ)し、247直使面(ちよくしづら)をさげて、248馬鹿(ばか)らしい、249(なに)()ふのだい。250弥次彦(やじひこ)251与太彦(よたひこ)両人(りやうにん)()252(また)一途(いちづ)(かは)出刃庖丁(でばばうちやう)を、253土手(どて)(ぱら)へつつ()んでやらうかな。254あの(とき)黒姫(くろひめ)二人(ふたり)だつたが、255モウ、256今日(こんにち)神力無双(しんりきむさう)勇士(ゆうし)257杢助(もくすけ)さまの女房(にようばう)ぢやぞ。258(なん)だ、259(のり)つけもののやうに、260しやちこ()つて、261(その)(つら)は、262マアそこに(すわ)つたが()からう』
263 (となり)()にウンウンと(うな)妖幻坊(えうげんばう)(こゑ)264(みみ)をさす(ごと)くに(きこ)えて()る。
265イル『モシお直使様(ちよくしさま)266こんな気違(きちが)ひは(あと)まはしと(いた)しまして、267杢助(もくすけ)居間(ゐま)取調(とりしら)べませう、268(なん)だか(うな)つて()るやうですよ』
269安彦(やすひこ)『ヤ、270国彦(くにひこ)殿(どの)271エー、272サール殿(どの)とハル殿(どの)三人(さんにん)273(この)発狂者(はつきやうしや)監督(かんとく)してゐて(くだ)さい。274拙者(せつしや)杢助(もくすけ)(しよう)する人物(じんぶつ)正体(しやうたい)見届(みとど)けて(まゐ)りますから』
275()かうとする。276高姫(たかひめ)両手(りやうて)(ひろ)げて、
277『コリヤコリヤ(やす)278イヤ弥次彦(やじひこ)279イル、280メツタに義理天上(ぎりてんじやう)さまの(ゆる)しもなしに、281()くことはならぬぞや。282さやうな(こと)(いた)すと、283(たちま)手足(てあし)(うご)かぬやうに(いた)すから、284それでもよけら、285()つたが()からう』
286イル『モシ直使様(ちよくしさま)287()きませう。288(この)(ばば)何時(いつ)もあんなこと()つて(おど)しが上手(じやうづ)ですからなア』
289安彦(やすひこ)『なる(ほど)290(まゐ)りませう』
291(つぎ)()杢助(もくすけ)居間(ゐま)をパツとあけた。292杢助(もくすけ)(かし)(ぼう)頭上(づじやう)(たか)くふりかざし、293(ちから)をこめてウンと一打(ひとうち)294(いま)安彦(やすひこ)(あたま)(ふた)つに()れたと(おも)一刹那(いつせつな)295床下(ゆかした)より(ひび)(きた)るスマートの(こゑ)
296『ウーツ、297ワアウ ワアウ ワアウ』
298 杢助(もくすけ)(たちま)()(しび)れ、299棍棒(こんぼう)をふり()げた(まま)300一目散(いちもくさん)(うら)森林(しんりん)()して、301(くも)(かすみ)()げて()く。302高姫(たかひめ)矢庭(やには)杢助(もくすけ)居間(ゐま)(はい)つて()れば藻抜(もぬ)けの(から)
303『コレ杢助(もくすけ)さま、304何処(どこ)()つたのだい。305卑怯未練(ひけふみれん)にも(ほど)があるぢやないか、306(はや)(かへ)つて(くだ)さいな。307エーエ、308(なん)()()(よわ)(ひと)だらう、309本当(ほんたう)(やさ)しい(ひと)は、310こんな(とき)になると仕方(しかた)がないワ。311(しか)無抵抗主義(むていかうしゆぎ)三五教(あななひけう)だから、312相手(あひて)になつてはならない。313こんな(やつ)(かか)()うて()つたら、314カツタイと棒打(ぼうう)ちするやうなものだと(おも)つて、315()げなさつたのかな。316兵法三十六計(へいはふさんじふろくけい)(おく)()は、317()げるが一番(いちばん)ぢやといふ(こと)だ。318ヤツパリ杢助(もくすけ)さまは、319どこともなしに賢明(けんめい)(かた)だなア。320到底(たうてい)ここらに()るガラクタには(くら)べものにはなりませぬワイ。321日出神(ひのでのかみ)杢助(もくすけ)さまには感心(かんしん)(いた)したぞや。322コレ弥次彦(やじひこ)323与太彦(よたひこ)324どうだい。325感心(かんしん)したかい。326チツトお筆先(ふでさき)(いただ)いたらどうだい。327結構(けつこう)なお筆先(ふでさき)()てるぞや。328(この)イルも()つて()(とほ)り、329一字々々(いちじいちじ)文字(もじ)(うご)くのだから、330そして正体(しやうたい)(あら)はして(りう)となり、331天上(てんじやう)をするといふ()きたお筆先(ふでさき)ぢやぞえ。332どうだ、333折角(せつかく)此処(ここ)まで()たのだから、334(いただ)いて(かへ)()はないか。335(いただ)くというても筆先(ふでさき)直筆(ぢきひつ)でも(うつ)しでもやりませぬぞや。336(まへ)(みみ)(なか)()れて(かへ)ればいいのだから……』
337安彦(やすひこ)『ああ(こま)つたものだなア、338()げも(おろ)しもならぬ(やつ)だ。339阿呆(あはう)気違(きちが)ひにかかつたら、340どうも()のつけやうのないものだ』
341『ヘン、342(まへ)もお筆先(ふでさき)をチツとは(いただ)いてをるだらう。343変性男子様(へんじやうなんしさま)が……阿呆(あはう)になりてをりて(くだ)されよ。344(この)(はう)三千世界(さんぜんせかい)大気違(おほきちが)ひであるぞよ。345気違(きちが)ひになりて()らねば(この)大望(たいまう)成就(じやうじゆ)(いた)さぬぞよ。346(この)(はう)(たれ)()にも()はぬ身魂(みたま)であるぞよ。347鬼門(きもん)金神(こんじん)でさへも往生(わうじやう)(いた)すぞよ。348(なか)にも義理天上(ぎりてんじやう)日出神(ひのでのかみ)神力(しんりき)(うしとら)金神(こんじん)(そば)へもよれぬぞよ。349結構(けつこう)身魂(みたま)()におとしてありたぞよ。350(あま)(かみ)(あなど)りて()りたら、351赤恥(あかはぢ)をかいて、352(おほ)きな(こゑ)(もの)()へぬぞよ。353日出神(ひのでのかみ)()(いた)して三千世界(さんぜんせかい)御用(ごよう)をさしてあるぞよ。354(なに)()らぬ人民(じんみん)が、355ゴテゴテ(まを)せど、356(なに)心配(しんぱい)(いた)さいでもよいぞよ。357(わけ)(わか)らぬ人民(じんみん)からいろいろと(まを)されるぞよ。358それを(かま)うて()つたら御用(ごよう)(つと)まらぬぞよ。359(かみ)はいろいろと()をひくぞよ。360トコトン()()いて、361これなら(うご)かぬ身魂(みたま)()りぬいた(うへ)362(まこと)御用(ごよう)使(つか)ふぞよ……といふ(こと)をお前達(まへたち)()つて()るかい。363()らな()うてやろ、364そこに(すわ)りなさい。365あああ一人(ひとり)(みたま)改心(かいしん)ささうと(おも)へば、366随分(ずいぶん)(ほね)()れた(こと)だわい。367(まこと)()かしてやれば(つら)をふくらすなり、368ぢやと(まを)してお()()ふやうなことを(まを)せば、369すぐに慢心(まんしん)(いた)すなり、370(いま)人民(じんみん)()のつけやうがないぞよ。371(かみ)(まこと)(こゑ)をあげて(くる)しみて()るぞよ。372(なか)にも与太彦(よたひこ)373弥次彦(やじひこ)のやうな八衢人間(やちまたにんげん)が、374(ぜん)(めん)をかぶりて、375宣伝使(せんでんし)などと(まを)して(ある)()(なか)だから、376(こま)つたものであるぞよ。377八島主命(やしまぬしのみこと)言依別命(ことよりわけのみこと)も、378(がく)智慧(ちゑ)出来(でき)途中(とちう)鼻高(はなだか)であるから、379霊国(れいごく)天人(てんにん)(みたま)(まを)すことはチツとも(みみ)(はい)らず、380(まこと)(かみ)迷惑(めいわく)(いた)すぞよ。381これから義理天上(ぎりてんじやう)肉宮(にくみや)が、382斎苑(いそ)(やかた)(まゐ)りて、383(なに)()根本(こつぽん)から立替(たてかへ)(いた)してやるぞよ。384そこになりたら、385(いま)まで(えら)さうに(まを)してをりた御方(おんかた)386首尾(しゆび)(わる)(こと)出来(でき)るぞよ。387(かみ)(まを)(うち)()かねば、388(あと)になりて何程(なにほど)(くる)しみ(もだ)えたとて(かみ)()()みはないぞよ。389改心(かいしん)一等(いつとう)ぞよ。390(かみ)人民(じんみん)(たす)けたさに()()もロクによう()ずに、391苦労艱難(くらうかんなん)(いた)して()るぞよ。392(かみ)(こと)人民(じんみん)(など)(わか)ることでないぞよ。393(はや)(かへ)つて(くだ)されよ。394()(あし)(みたま)がウロウロ(いた)すと、395(かみ)気障(きざわり)出来(でき)るぞよ。396(はや)(かへ)つて(くだ)されよ』
397とのべつ(まく)なしに大声(おほごゑ)呶鳴(どな)()て、398安彦(やすひこ)399国彦(くにひこ)直使(ちよくし)(けむり)にまいて(しま)つた。
400大正一二・一・二三 旧一一・一二・七 松村真澄録)