霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 海竜王(さあがらりうわう)〔一五二〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第59巻 真善美愛 戌の巻 篇:第4篇 六根猩々 よみ:ろっこんしょうじょう
章:第20章 第59巻 よみ:さあがらりゅうおう 通し章番号:1520
口述日:1923(大正12)年04月03日(旧02月18日) 口述場所:皆生温泉 浜屋 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年7月8日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm5920
愛善世界社版: 八幡書店版:第10輯 576頁 修補版: 校定版:274頁 普及版: 初版: ページ備考:
001猩々(しやうじやう)(しま)(わた)るべく
002使命(しめい)()けし伊太彦(いたひこ)
003アキスやカールやアンチーを
004左右(さいう)(はしら)(さだ)めつつ
005二十(にじふ)(ふね)酒樽(さかだる)
006(なかば)つめこみ四十人(しじふにん)
007船頭(せんどう)(えら)(あさ)まだき
008大海原(おほうなばら)(いさ)ましく
009(なみ)(つづみ)をうたせつつ
010旗鼓(きこ)堂々(だうだう)(すべ)りゆく
011折柄(をりから)(ふき)()南風(なんぷう)
012真帆(まほ)(かか)げて驀地(まつしぐら)
013一瀉千里(いつしやせんり)(いきほひ)
014()るも目覚(めざま)しき次第(しだい)なり。
015 アンチーは船頭頭(せんどうがしら)として、016旗艦(きかん)(さき)()ち、
 
017アンチー『ここは()()ふキヨメの(うみ)
018 (なみ)()かべる猩々ケ島(しやうじやうがしま)
019 やらるる(この)()(いと)はねど
020 (あと)(のこ)りしバーチルさまの
021 どうして女房(にようばう)()(なが)月日(つきひ)(くら)すやら。
022 なぜなれば
023 (ひと)(からだ)(ひと)でなし
024 ぢやとて(かみ)ではない(ほど)
025 さぞや(みな)さまが(こま)るだろ
026 (あん)じすごして(ふね)()つ。
027 (ふね)()()猩々(しやうじやう)(ひめ)
028 (おく)一間(ひとま)でキヤツ キヤツ キヤツと
029 怪体(けたい)(こゑ)(はり)あげて
030 玉国別(たまくにわけ)一行(いつかう)
031 鎮魂帰神(ちんこんきしん)()められる
032 どうして(その)()()れるやら』
033アキス『(うち)主人(しゆじん)(えら)(ひと)
034三年(みとせ)三月(みつき)和田中(わだなか)
035猩々ケ島(しやうじやうがしま)(あら)はれて
036(さる)(わう)をば(つま)となし
037三百(さんびやく)(あま)りの()()つて
038(ひと)つの(しま)(わう)となり
039(たれ)(はばか)らず悠々(いういう)
040(くら)(たま)ふた猛者(つはもの)
041玉国別(たまくにわけ)神様(かみさま)
042(むか)ひの(ふね)()せられて
043アヅモス(さん)聖場(せいぢやう)
044(かへ)らせ(たま)ひし今日(けふ)()
045スマの神村(かみむら)(いさ)()
046老若男女(らうにやくなんによ)(わか)ちなく
047()めよ(さわ)げよと(いさ)()
048たつた一人(ひとり)のバーチルが
049(かへ)つて(ござ)つた(ばつか)りに
050イヅミの(くに)のスマの(さと)
051湿(しめ)(がち)なる草村(くさむら)
052(にはか)にかわきはしやいで
053夜明(よあけ)(ごと)くなつたぞや
054サア(これ)からは(これ)からは
055アヅモス(さん)古社(ふるやしろ)
056眷族(けんぞく)さまの木像(もくざう)
057(きざ)(なほ)して(いにしへ)
058健康体(けんかうたい)(つく)()
059()()(あし)(むし)()
060(くび)までぬけた負傷者(ふしやうしや)
061(ひと)つも(のこ)らずアヅモスの
062衛獣(ゑいじう)病院(びやうゐん)(かつ)ぎこみ
063彫刻(てうこく)医者(いしや)をば()んで()
064完全無欠(くわんぜんむけつ)修繕(しうぜん)
065新旧(しんきう)両派(りやうは)(むつ)まじく
066(ひと)つの(みや)(あつ)まつて
067真善美愛(しんぜんびあい)実況(じつきやう)
068(あら)はし(たま)()となつた
069(その)(さきが)けと吾々(われわれ)
070肝心要(かんじんかなめ)眷族(けんぞく)
071伊太彦(いたひこ)さまに(したが)ひて
072(むか)へむ(ため)二十艘(にじつそう)
073(ふね)(こしら)(なみ)(うへ)
074真帆(まほ)()げつつ(すす)むのだ
075あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
076(かみ)(めぐみ)(ふか)くして
077猩々ケ島(しやうじやうがしま)のお(きやく)さま
078一人(ひとり)(のこ)さず(この)(ふね)
079収容(しうよう)なして(つつが)なく
080アヅモス(さん)聖場(せいぢやう)
081(かへ)らせ(たま)へと()ぎまつる
082(あさひ)()るとも(くも)るとも
083(つき)()つとも()くる(とも)
084仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)(とも)
085猩々ケ島(しやうじやうがしま)(あづ)けたる
086バラモン(けう)のヤッコスや
087ハール、サボール三人(さんにん)
088(たす)けてやらない(つもり)だが
089伊太彦(いたひこ)さまの御心(おこころ)
090(わたし)(はか)りかねてゐる
091もしもあんな(もの)(ふね)()
092()れて(かへ)らうものなれば
093天国(てんごく)浄土(じやうど)(をさ)まつた
094イヅミの(くに)のスマ(さと)
095(ふたたび)修羅(しゆら)八衢(やちまた)
096なるかも()らぬ(おそ)ろしや
097(おに)大蛇(をろち)(おほかみ)
098野原(のはら)(はな)ちし(ごと)くだと
099里人(さとびと)たちが(あん)じてる
100(ただ)何事(なにごと)吾々(われわれ)
101(かんが)(どほ)りにやゆきませぬ
102皇大神(すめおほかみ)御心(みこころ)
103奉戴(ほうたい)したる伊太彦(いたひこ)
104艦長(かんちやう)さまの思召(おぼしめし)
105(ただ)吾々(われわれ)只管(ひたすら)
106(したが)ひまつる(ばか)りなり
107あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
108バラモン(けう)三人(さんにん)
109何卒(なにとぞ)スマの聖場(せいぢやう)
110(かへ)らぬ(やう)(たの)みます』
111 伊太彦(いたひこ)()つた(ふね)一艘(いつそう)目立(めだ)つて(あたら)しく(おほ)きい。112さうしてアキス、113カールの両人(りやうにん)左守右守然(さもりうもりぜん)(ひか)へてゐる。114十九艘(じふくそう)(ふね)指揮(しき)してゐるのはアンチーであつた。115各船(かくせん)雁列(がんれつ)(ぢん)()つて、116(あさひ)()(かがや)(なみ)(うへ)を、117(おのおの)(ふなばた)(たた)き、118(うた)(うた)ひ、119(しやう)をすり、120豆太鼓(まめだいこ)(うち)()らし、121海若(かいじやく)(おどろ)かしつつ(すべ)つて()く。122(かみ)(まも)りか猩々姫(しやうじやうひめ)精霊(せいれい)守護(しゆご)か、123二十(にじふ)(マイル)以上(いじやう)速力(そくりよく)にて124()(ごと)自然(しぜん)(ふね)猩々ケ島(しやうじやうがしま)(むか)つて125船頭(せんどう)櫓櫂(ろかい)も、1251()(ちから)(なん)(もの)かはと()はぬ(ばか)りに、126()逆様(さかさま)(ふく)らせ(なが)(はし)つて()く。127(かぜ)(みなみ)から()いてゐる。128どうしても()(きた)(はう)(ふく)れねばならぬ。129それにも(かかは)らず、130()(かぜ)方向(はうかう)(ふく)れてるのを()ても、131(その)速力(そくりよく)(はや)きを(うかが)()(こと)出来(でき)る。
132 七八十里(しちはちじふり)湖路(うなぢ)133(はや)くも正午頃(まひるごろ)には、1331猩々ケ島(しやうじやうがしま)(きし)に、134一艘(いつそう)落伍船(らくごせん)もなく横着(よこづけ)になつた。135よくよく()れば、136幾丈(いくぢやう)とも()れぬ大蛇(をろち)猩々島(しやうじやうじま)中心(ちうしん)屹立(きつりつ)せる岩山(いはやま)取巻(とりま)き、137(いは)(うへ)から大口(おほぐち)をあけ、1371(した)をペロペロ()(なが)ら、138猩々(しやうじやう)(むれ)一匹(いつぴき)(のこ)さず()(くら)はむとしてゐる最中(さいちう)である。139これはキヨメの(うみ)(そこ)(ふか)(ひそ)んでゐる海竜(かいりう)で、140サァガラ竜王(りうわう)(とな)へられ、141三年(さんねん)一度(いちど)(ぐらゐ)(この)(しま)(あら)はれて、142所在(あらゆる)生物(いきもの)()(つく)さむとする(おそ)ろしき悪竜(あくりう)である。143(いま)(まで)猩々王(しやうじやうわう)(この)(しま)厳然(げんぜん)として(ひか)へてゐた(ため)144流石(さすが)のサァガラ竜王(りうわう)上陸(じやうりく)する(こと)(おそ)れてゐたが、145(わう)()くなつたのを(さいはひ)146(その)死骸(しがい)(ただ)一口(ひとくち)()んで(しま)147(いきほひ)(じやう)じて上陸(じやうりく)し、148岩山(いはやま)長大(ちやうだい)なる(からだ)にて()きつけ、149一匹(いつぴき)(のこ)らず()(たや)さむとしてゐる真最中(まつさいちう)なりける。
150 猩々(しやうじやう)はキヤツキヤツと(なき)(さけ)び、151磯端(いそばた)(あつ)まり、152ヤッコス、153ハール、154サボールの(そば)(あつ)まり(きた)つて、155かの悪竜(あくりう)退治(たいぢ)し、1551(われ)()危難(きなん)(すく)へと、156形容(けいよう)(もつ)歎願(たんぐわん)した。157ヤッコス(ほか)二人(ふたり)猩々(しやうじやう)のみか、158グヅグヅしてゐては、159自分(じぶん)(たち)(とも)()まれて(しま)ふのだ。160(おな)()はれるのなら、161(あた)(かぎ)りの抵抗(ていかう)をやつてみようと覚悟(かくご)()め、162何一(なにひと)武器(ぶき)がないので、163磯端(いそばた)手頃(てごろ)(いし)(ひろ)ひ、164竜神(りうじん)急所(きふしよ)(ねら)つて石礫(いしつぶて)()げつける。165三百有余(さんびやくいうよ)猩々(しやうじやう)三人(さんにん)(なら)つて、166(おのおの)(いし)(ひろ)ひ、167雨霰(あめあられ)()ちつけてゐる。168(さすが)竜王(りうわう)石礫(いしつぶて)辟易(へきえき)し、169岩山(いはやま)(ちから)にグツと尻尾(しつぽ)(もつ)()きかかへ(なが)ら、170鎌首(かまくび)()て、171()人間(にんげん)より()(くら)はむと()(いか)らし、172(すき)(ねら)つてゐる、173(その)光景(くわうけい)(すさま)じさ。174伊太彦(いたひこ)()るより(ふね)()(たち)(あが)りつつ、175一生懸命(いつしやうけんめい)(あま)数歌(かずうた)奏上(そうじやう)した。176竜王(りうわう)(にはか)身体(しんたい)各部(かくぶ)より(けぶり)(はき)()し、177一枚(いちまい)々々(いちまい)(うろこ)(あひだ)から火焔(くわえん)()ちのぼり、178(あつ)(くる)しさに()へかねてや、179矢庭(やには)()(をど)らして、180岩山(いはやま)(ころ)()(なが)ら、181バサリと(おと)()てて海中(かいちう)飛込(とびこ)むで(しま)つた。182四辺(あたり)一里(いちり)(ばか)りは(たちま)海水(かいすい)()(ごと)(あつ)くなり、183沢山(たくさん)(うを)(しろ)184(あを)いろいろの(はら)水面(すいめん)(あら)はし、185ブカブカと()()たる。
186 伊太彦(いたひこ)(また)もや魚族(ぎよぞく)(たす)けむと天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、187(あま)数歌(かずうた)(とな)へた。188(やうや)くにして(みづ)(ねつ)()え、189(うを)溌溂(はつらつ)として(うご)()し、190幾十万(いくじふまん)とも()れず磯端(いそばた)(およ)(きた)り、191伊太彦(いたひこ)(むか)つて感謝(かんしや)()(あら)はすものの(ごと)く、192(いづ)れも一斉(いつせい)(くび)上下(じやうげ)()(なが)大小無数(だいせうむすう)魚族(ぎよぞく)一斉(いつせい)水中(すいちう)姿(すがた)(かく)しけり。
193 ヤッコス(はじ)猩々(しやうじやう)(むれ)磯端(いそばた)()つて(れつ)(つく)り、194伊太彦(いたひこ)(ふね)(むか)つて()(あは)せ、195感謝(かんしや)()(へう)してゐる。196伊太彦(いたひこ)一同(いちどう)(むか)つて酒樽(さかだる)(かがみ)をぬく(こと)(めい)じた。197(たちま)(さけ)(にほ)ひは四辺(あたり)(ただよ)うた。198猩々(しやうじやう)(むれ)(さき)(あらそ)うて、199(わが)()危険(きけん)(わす)れ、200二十(にじふ)(ふね)(おも)(おも)ひに(とび)()つた。201三人(さんにん)(をとこ)(おそ)(おそ)る、2011伊太彦(いたひこ)(ふね)()()り、202両手(りやうて)(あは)(なみだ)(なが)して、203感謝(かんしや)(まこと)(あら)はしゐる。
204伊太(いた)『アンチーさま、205モウこれで猩々潔白(しやうじやうけつぱく)さまはスツカリ乗船(じやうせん)なされただらうかなア。206一人(ひとり)でも(のこ)つてゐるやうな(こと)があつては、207(かへ)つて申訳(まをしわけ)がないから、208()(しら)べて(くだ)さい』
209アンチー『ハイ大抵(たいてい)(みな)(のり)になつたと(おも)ひますが、210(ねん)(ため)一度(いちど)(しら)べてみませうか』
211ヤッコス『お(しら)べには(およ)びませぬ。212(この)(しま)猩々(しやうじやう)(けつ)して一人(ひとり)(はな)れて(あそ)んだりは(いた)しませぬ。213(しばら)くの(あひだ)吾々(われわれ)()くなづき、214一緒(いつしよ)(くら)して()りましたが、215本当(ほんたう)友誼(いうぎ)(あつ)動物(どうぶつ)親切(しんせつ)(もの)です。216(また)一匹(いつぴき)でもゐないやうな(こと)があれば、217キツと猩々(しやうじやう)がどんな場合(ばあひ)でも(さが)して()れて(まゐ)ります。218御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
219伊太(いた)(しま)(わう)()言葉(ことば)にはヨモヤ間違(まちが)ひはあるまい。220サア(これ)から天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、221(この)(しま)(わか)れを()げる(こと)とせう』
222()(なが)ら、223船首(せんしゆ)全部(ぜんぶ)(しま)(はう)()(なほ)し、224伊太彦(いたひこ)導師(だうし)(もと)(あま)数歌(かずうた)(うた)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)(をは)つて、225(ふたたび)船首(せんしゆ)(てん)じ、226(この)(たび)()()(おろ)し、227(なみ)のまにまに海上(かいじやう)()(かへ)(こと)となつた。
228大正一二・四・三 旧二・一八 於皆生温泉浜屋 松村真澄録)