霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 大勝(たいしよう)〔一七七五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第70巻 山河草木 酉の巻 篇:第1篇 花鳥山月 よみ:かちょうさんげつ
章:第8章 第70巻 よみ:たいしょう 通し章番号:1775
口述日:1925(大正14)年08月23日(旧07月4日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年10月16日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
太子チウインは王女チンレイ、右守の娘ハリス将軍、勇将ジャンクを従え、三五教の宣伝使照国別・照公とともに、二千五百騎を駆って、トルマン城を包囲する大足別軍を殲滅しようと、進軍してきた。
大足別は援軍が来たのを見て驚き、もはやキューバーの安否を省みず城を攻め落とすよう、命令を下した。
戦いの中、左守は奮戦の末、敵のために命を落としてしまった。大足別は左守軍の敗北につけこんで城門まで攻め寄せ、トルマン城は危機に陥る。
すると城門に千草姫・キューバーが現れ、城はすでに奪い取ったと大足別に告げる。この虚報に大足別は軍を返して、援軍を迎撃する。しかし、背後からガーデン王の守城軍が攻撃し、大足別軍ははさみ打ちにあって敗走する。
王は勝利の舞を舞うが、敗走した大足別軍が市外に火を放ち、人々の悲惨の声が聞こえてくる。照国別をこの様をみるや、まっしぐらに物見櫓に駆け上り、照公とともに天の数歌、続いて天津祝詞を奏上した。すると火災はたちまちにして静まった。
二人の活躍に、王をはじめ一同は手を打って歓喜した。
左守・右守は特別に王家の墓所に葬り、国家の守護神として祠を建て、永遠に祭祀することとなった。また、王は、照国別・照公の仁義・神徳に感じて、三五の大神を鎮祭することを誓った。
一方、王は居間にいた千草姫とキューバーを詰問するが、その場は千草姫の弁解を信じ、キューバーは許されることとなった。
キューバーは大足別が敗走したことにより、自分の立場を心配するが、千草姫=高姫は、逆にトルマン国の乗っ取り、ひいてはインドの全土の征服をもくろむ。
千草姫は後からやってきた王子、王女、ハリスらも煙に巻いてしまい、キューバーを擁護する。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7008
愛善世界社版: 八幡書店版:第12輯 425頁 修補版: 校定版:98頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001 トルマン(ごく)太子(たいし)チウインは002王女(わうぢよ)チンレイ、0021(およ)びハリスの女将軍(ぢよしやうぐん)別将(べつしやう)となし、003武勇(ぶゆう)のほまれ(たか)きジヤンクを第一軍(だいいちぐん)司令官(しれいくわん)(あふ)ぎ、004三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)照国別(てるくにわけ)(および)照公司(てるこうつかさ)殿(しんがり)となし、005鉦皷(しやうこ)をうちならし、006旗差物(はたさしもの)賑々(にぎにぎ)しく、007二千五百騎(にせんごひやくき)(したが)へ、008(わが)居城(きよじやう)(せめ)(かこ)大足別(おほだるわけ)大軍(たいぐん)殲滅(せんめつ)すべく軍歌(ぐんか)(うた)(なが)ら、009()()()いで(かへ)()る。010山河草木(さんかさうもく)威風(ゐふう)になびき、011禽獣虫魚(きんじうちうぎよ)(いた)(まで)012(その)威徳(ゐとく)讃美(さんび)せざるはなかつた。013チウイン太子(たいし)馬上(ばじやう)(ゆたか)進軍歌(しんぐんか)(うた)ふ。
014『トルマン(ごく)(むかし)より
015(たふと)(かみ)(つく)らしし
016地上(ちじやう)()ける天国(てんごく)
017(わが)王室(わうしつ)祖先等(そせんら)
018(たみ)(こころ)(こころ)とし
019(かみ)(をしへ)万民(ばんみん)
020(つた)(さと)して()(なか)
021いと(たひら)けく(やす)らけく
022(をさ)(たま)ひし(たふと)さよ
023(なか)御代(みよ)よりバラモンの
024(あし)(をしへ)のまじろひて
025愛国心(あいこくしん)()(つき)
026(はる)(こほり)()えてゆく
027(ちち)ガーデンもいつしかに
028時代(じだい)(かぜ)にもまれまし
029ウラルの(かみ)御教(みをしへ)
030(かろ)んじ(たま)()となりて
031政治(せいぢ)益々(ますます)(みだ)れゆき
032(たみ)悲鳴(なげき)はかまびすく
033千鳥(ちどり)(ごと)(きこ)()
034アヽ吾々(われわれ)如何(いか)にせむ
035()みつかれたる人心(じんしん)
036雄々(をを)しき(きよ)雄心(をごころ)
037復活(ふくくわつ)せしめ(わが)(くに)
038いと(たひら)けく(やす)らけく
039(むかし)神代(かみよ)(その)(まま)
040ねぢ(なほ)さむと真心(まごころ)
041(つく)して(かみ)(いの)(をり)
042バラモン(けう)別派(べつぱ)なる
043スコブツエン(しう)(わた)()
044()国民(こくみん)(たましひ)
045(くる)(まど)はせ邪教(じやけう)をば
046(うゑ)つけたるぞ忌々(ゆゆ)しけれ
047大黒主(おほくろぬし)勢力(せいりよく)
048大看板(だいかんばん)(おし)()てて
049(わが)王室(わうしつ)(せま)()
050(こころ)(きたな)きキユーバーを
051()(こら)しつつバラモンの
052大足別(おほだるわけ)軍勢(ぐんぜい)
053(かみ)威徳(ゐとく)(うち)(やぶ)
054凱歌(がいか)()げて本城(ほんじやう)
055安全(あんぜん)無事(ぶじ)(をさ)(まで)
056()(とも)(うご)かぬ(わが)(こころ)
057(いさ)めよ(いさ)(ふる)()
058三千余騎(さんぜんよき)(わが)兵士(へいし)
059()れには(かみ)(たす)けあり
060産土山(うぶすなやま)斎苑館(いそやかた)
061(かがや)(たま)素盞嗚(すさのを)
062(かみ)(みこと)御使(おんつかひ)
063照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)
064照公司(てるこうつかさ)諸共(もろとも)
065吾等(われら)(いくさ)(たす)けまし
066天下(てんか)無敵(むてき)言霊(ことたま)
067(うち)()(たま)へば敵軍(てきぐん)
068(かぜ)()()()(ごと)
069敗走(はいそう)せむは()のあたり
070(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
071大足別(おほだるわけ)(ほろ)(まで)
072妖僧(えうそう)キユーバーの(たふ)(まで)
073(こゑ)(すず)しく鉦皷(しやうこ)法螺貝(ほらがひ)()()して、074鶴翼(くわくよく)(ぢん)をはり(なが)ら、075()(とど)かぬ大原野(だいげんや)をチクリチクリと引網(ひきあみ)(ごと)く、076トルマン(じやう)中心(ちうしん)押寄(おしよ)(きた)る。
077 照国別(てるくにわけ)殿(しんがり)(つと)(なが)ら、078数百(すうひやく)(へい)引連(ひきつ)れ、079(べつ)一隊(いつたい)(つく)り、080進軍歌(しんぐんか)(うた)ひつつ(すす)()る。
081三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
082(われ)照国別司(てるくにわけつかさ)
083(ひと)(いのち)(うば)()
084(いくさ)(のぞ)むは本意(ほい)ならず
085さはさり(なが)(いま)になり
086トルマン(ごく)窮状(きうじやう)
087()すてて(とほ)るも大神(おほかみ)
088(みち)(つか)ふる(われ)として
089心苦(こころぐる)しき(この)場合(ばあひ)
090()むを()ざれば御軍(みいくさ)
091(くは)はり(なが)後陣(こうぢん)
092(つか)へまつりて(すす)()
093あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
094(かみ)吾等(われら)(とも)にあり
095吾等(われら)(かみ)()(かみ)(みや)
096(もと)より(やいば)血汐(ちしほ)ぬり
097(てき)(たふ)さむ(こころ)なし
098(ただ)惟神(かむながら)々々(かむながら)
099(かみ)(めぐみ)(つゆ)(たま)
100(きよ)(こころ)大砲(おほづつ)
101つめ()(てき)相向(あひむか)
102仁慈(じんじ)(むち)(くだ)すのみ
103(すす)めよ(すす)(わが)兵士(へいし)
104トルマン(じやう)(ちか)づきぬ
105ガーデン(わう)左守司(さもりがみ)
106(いま)(ふせ)ぐに全心(ぜんしん)
107傾注(けいちう)しつつ(わが)(ぐん)
108(いた)るを()たせ(たま)ふらむ
109チウイン太子(たいし)前軍(ぜんぐん)
110(いづ)れも神命(しんめい)(したが)ひて
111左右(さいう)(ゆび)(その)(ごと)
112自由自在(じいうじざい)活動(くわつどう)
113容易(ようい)(てき)国外(こくぐわい)
114放逐(はうちく)せむは()のあたり
115(かなら)(おどろ)(こと)(なか)
116(いさ)めよ(いさ)(みな)(いさ)
117勝利(しようり)(みやこ)(ちか)づきぬ
118(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
119大足別(おほだるわけ)神軍(しんぐん)
120白旗(はくき)(かか)真心(まごころ)
121あらむ(かぎ)りを(あら)はして
122(ただ)しき(かみ)御教(みをしへ)
123(こころ)(そこ)より(まつろ)ひて
124前非(ぜんび)()ゆるそれ(まで)
125汝等(なんぢら)一歩(いつぽ)退(しりぞ)くな
126神国(しんこく)成就(じやうじゆ)(さき)がけぞ
127七千余国(しちせんよこく)(つき)(くに)
128(うば)()らむとバラモンの
129大黒主(おほくろぬし)(たく)めども
130(わが)神軍(しんぐん)のある(かぎ)
131いかで一指(いつし)をそめ()むや
132あゝ(いさ)ましし(いさ)ましし
133()()(かぜ)はあらくとも
134トルマン(がは)(ふか)くとも
135(かみ)(まも)りのある(うへ)
136一騎半騎(いつきはんき)(あやま)たず
137無事(ぶじ)安泰(あんたい)敵軍(てきぐん)
138(うしろ)首尾(しゆび)よく()くを()
139(すす)めよ(すす)めいざ(すす)
140(てき)姿(すがた)もみえかけた
141一斉射撃(いつせいしやげき)()のあたり
142あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
143三五教(あななひけう)(まも)ります
144国治立(くにはるたち)大御神(おほみかみ)
145神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)
146御前(みまへ)照国別司(てるくにわけつかさ)
147(かしこ)(かしこ)(ねぎ)まつる』
148 かく(うた)(なが)ら、149士卒(しそつ)(はげ)まし、150前後(ぜんご)(こころ)(くば)り、151チクリチクリと前進(ぜんしん)する。152大足別(おほだるわけ)物見台(ものみだい)より(この)(てい)()(おほい)(おどろ)き、
153『あれは(たしか)援軍(ゑんぐん)ならむ、154最早(もはや)()くなりし(うへ)は、155キユーバー一人(ひとり)(ため)時期(じき)をおくらせ、156(てき)術中(じゆつちう)(おちい)らむ(こと)(もつと)心苦(こころぐる)し、157一時(いちじ)(はや)本城(ほんじやう)()()り、158援軍(ゑんぐん)(きた)らば城廓(じやうくわく)(たて)一人(ひとり)(のこ)らず鏖殺(おうさつ)しくれむ、159攻撃(こうげき)するは(いま)なり』
160(にはか)部下(ぶか)厳令(げんれい)(くだ)し、161一斉(いつせい)筒先(つつさき)(そろ)へて、162トルマン(じやう)さして(うしほ)(ごと)(おし)()せた。
163 (にはか)(きこ)ゆる(とき)(こゑ)164大砲(おほづつ)小銃(こづつ)(おと)165()(かま)へたるガーデン(わう)166左守司(さもりのかみ)五百(ごひやく)城兵(じやうへい)指揮(しき)し、167(ちから)(かぎ)りに(いど)(たたか)ふ。168左守(さもり)(かしら)(しも)(いただ)(なが)ら、169城門(じやうもん)をかけ()し、170三百(さんびやく)手兵(しゆへい)(もつ)て、171(てき)陣中(ぢんちう)(うち)()り、172奪戦(ふんせん)苦闘(くとう)結果(けつくわ)武運(ぶうん)つきて、173馬上(ばじやう)より転落(てんらく)し、174(てき)(ため)七十年(しちじふねん)一期(いちご)として、175(かへ)らぬ旅路(たびぢ)()いた。176大足別(おほだるわけ)(かち)(じやう)じて表門(おもてもん)(おし)()せ、177(いま)(ほとん)落城(らくじやう)せむとする(とき)しも、178千草姫(ちぐさひめ)179キユーバーの二人(ふたり)薙刀(なぎなた)引抱(ひつかか)へ、180表門(おもてもん)(をど)()で、181大足別(おほだるわけ)()るよりキユーバーは(こゑ)(はげ)まし、
182大足別(おほだるわけ)183(しばら)くまたれよ、184キユーバー(つかさ)(ここ)()り。185千草姫(ちぐさひめ)応援(おうゑん)あらば(いそ)(たま)ふな、186本城(ほんじやう)(すで)(わが)()()れり』
187馬上(ばじやう)より大声(たいせい)叱咤(しつた)すれば、188大足別(おほだるわけ)()をかわし城門(じやうもん)()にして、189()(きた)応援軍(おうゑんぐん)相手(あひて)(ふせ)(たたか)ふ。190城内(じやうない)よりはガーデン(わう)(へい)数百人(すうひやくにん)191(つつ)(そろ)へて一斉(いつせい)射撃(しやげき)開始(かいし)し、192大足別(おほだるわけ)前後左右(ぜんごさいう)(てき)()け、193四方(しはう)八方(はつぱう)194(うま)をすて、1941武器(ぶき)をすて、195(いのち)からがら散乱(さんらん)した。196(この)(たたかひ)()つて、197()する(もの)バラモン(ぐん)十八人(じふはちにん)198城内(じやうない)には二人(ふたり)死者(ししや)()したのみであつた。199チウイン太子(たいし)(てき)(もろ)くも(にげ)()(てい)()て、200(この)(さい)敵兵(てきへい)追撃(つゐげき)し、201一人(いちにん)(のこ)らず(ほふ)りくれむと(いき)まくを、202照国別(てるくにわけ)忠告(ちうこく)によつて(これ)中止(ちうし)し、203凱歌(がいか)(そう)して正々堂々(せいせいだうだう)204トルマン(じやう)凱旋(がいせん)することとなりぬ。205ガーデン(わう)物見櫓(ものみやぐら)(うち)(のぼ)り、206城内(じやうない)強者(つはもの)指揮(しき)してゐたが、207(てき)無残(むざん)敗走(はいそう)と、208チウイン太子(たいし)雄々(をを)しき活動振(くわつどうぶり)(いさ)()ち、209軍扇(ぐんせん)(ひら)いて(やぐら)(うへ)にて(みづか)(うた)(なが)ら、210凱旋(がいせん)祝気分(いはひきぶん)()ふてゐる。
211(わう)『トルマン(ごく)(つつ)みたる
212(しこ)黒雲(くろくも)(いま)()れて
213天津日嗣(あまつひつぎ)(そら)(たか)
214(かがや)(たま)目出度(めでた)さよ
215地上(ちじやう)(はるか)()わたせば
216(みやこ)のまはりに敵影(てきえい)
217一人(ひとり)()きぞ目出度(めでた)けれ
218(これ)(まつた)皇神(すめかみ)
219御国(みくに)(まも)(たま)はむと
220(たす)(たま)ひしものならむ
221いざ(これ)よりは天地(あめつち)
222(かみ)(うやま)国民(くにたみ)
223模範(もはん)となりて浦安(うらやす)
224(むかし)神代(かみよ)建設(けんせつ)
225大黒主(おほくろぬし)心胆(しんたん)
226(おびや)かしつつ(また)しても
227(わが)神国(しんこく)相対(あひたい)
228敵対行為(てきたいかうゐ)断念(だんねん)すべく
229(まも)らせ(たま)へウラル(けう)
230(ひら)(たま)ひし大神(おほかみ)
231御前(みまへ)(いの)(たてまつ)る』
232 ()くする(をり)しも、233大足別(おほだるわけ)道々(みちみち)市街(しがい)()(はな)ちたりと()え、234夕暮(ゆふぐれ)(そら)235(しゆ)(そそ)(まで)236(ほのほ)各所(かくしよ)にあがり、237遠近(をちこち)より悲惨(ひさん)(こゑ)(きこ)()る。238(この)(とき)(あたか)照国別(てるくにわけ)門内(もんない)にありしが、239(これ)()るよりまつしぐらに物見櫓(ものみやぐら)にかけ(のぼ)り、240照公(てるこう)(とも)(あま)数歌(かずうた)奏上(そうじやう)し、241天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)するや、242四方(しはう)(おこ)りし火災(くわさい)(たちま)(みづ)()ちし(ごと)(をさ)まり、243(ふたた)(きこ)ゆる歓喜(くわんき)(こゑ)に、244ガーデン(わう)太子(たいし)王女(わうぢよ)もハリスも()()つて感喜(かんき)した。245(わう)部下(ぶか)(れい)(くだ)し、246左守(さもり)247右守(うもり)遺骸(なきがら)王室(わうしつ)墓所(はかしよ)特別(とくべつ)(もつ)(はうむ)り、248国家(こくか)守護神(しゆごじん)として(ほこら)()て、249永遠(えいゑん)祭祀(さいし)する(こと)とした。250(また)チウイン太子(たいし)奏上(そうじやう)()り、251照国別(てるくにわけ)252照公司(てるこうつかさ)仁義(じんぎ)応援(おうゑん)と、253大神(おほかみ)神徳(しんとく)とを()き、254感謝(かんしや)(あま)り、255三五(あななひ)大神(おほかみ)鎮祭(ちんさい)せむ(こと)(ちか)ふに(いた)つた。256(わう)戦塵(せんぢん)(をさ)まり、257一先(ひとま)大神(おほかみ)感謝(かんしや)(なが)ら、258(あと)始末(しまつ)をチウイン太子(たいし)(および)ジヤンク(その)()重臣(ぢうしん)(めい)じおき、259休養(きうやう)せむと千草姫(ちぐさひめ)居間(ゐま)(かへ)()れば、260千草姫(ちぐさひめ)はキユーバーと(とも)に、261莞爾(くわんじ)として相向(あひむか)(いはひ)(さかづき)をくみかはして()る。262(わう)()るよりクワツと(いか)り、
263不義者(ふぎもの)()つけた、264そこ(うご)くな』
265手槍(てやり)(もつ)(たち)(むか)へば266千草姫(ちぐさひめ)(わう)()(とり)()き、
267王様(わうさま)268少時(しばし)()(くだ)さいませ。269(この)神柱(かむばしら)(けつ)して(くに)(あだ)する悪人(あくにん)では御座(ござ)いませぬ。270大足別(おほだるわけ)脅迫(けうはく)され、271(こころ)にあらぬ(いつは)りを(まを)()て、272(この)城内(じやうない)(しの)()み、273(わらは)事情(じじやう)(うち)(あか)し、274(すく)ひを(もと)めて()(もの)御座(ござ)います。275(いま)(この)キユーバーをして、276神主(かむぬし)となし大神(おほかみ)国家安泰(こくかあんたい)祈願(きぐわん)をし、277凱旋(がいせん)御礼(おんれい)(まをし)()げ、278直会(なほらひ)神酒(みき)(いただ)かせて()つた(ところ)御座(ござ)います。279(かなら)(かなら)誤解(ごかい)のなき(やう)御願(おねが)(まを)()げます』
280落涙(らくるゐ)(なが)言葉(ことば)さかしく弁解(べんかい)する。281ガーデン(わう)忠実(ちうじつ)なる(ひめ)言葉(ことば)(うたが)ふに(よし)なく、282(その)(まま)差許(さしゆる)(こと)となり、283(おの)居間(ゐま)へと(かへ)りゆく。284高姫(たかひめ)(れい)(うつ)(かは)つた千草姫(ちぐさひめ)はキユーバーに(むか)ひ、
285『コレ、286キユーバーさま、287貴方(あなた)本当(ほんたう)(あぶ)ない(こと)御座(ござ)いましたよ。288(わらは)王様(わうさま)のお(いで)になつた(とき)()うなる(こと)やらと、289大変(たいへん)(こころ)をもみました』
290 キユーバーは(ふる)(なが)ら、
291(まつた)くだ、292(まへ)(ため)大切(たいせつ)(いのち)(たす)かつたのだ。293(しか)(なが)らどうだらう、294大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)(もろ)くも敗走(はいそう)した様子(やうす)だし、295(とほ)からず(わし)当城(たうじやう)追出(おひだ)さるるに(ちが)ひない。296さうなれば(こひ)しいお(まへ)()(こと)出来(でき)ぬ。297(なん)とかして夜陰(やいん)(じやう)じ、298(この)城内(じやうない)()()(こころ)はないか』
299千草(ちぐさ)『ホヽヽヽヽ、300キユーバー(さま)()(よわ)(こと)301そんな御心配(ごしんぱい)がいりませうか。302王様(わうさま)(わたくし)美貌(びばう)にゾツコン(ほれ)()んでゐられますよ。303貴方(あなた)何処(どこ)までも救世主(きうせいしゆ)名乗(なの)つて、304(かみ)さまいぢりをしてゐて(くだ)さいませ。305何程(なにほど)王様(わうさま)御立腹(ごりつぷく)(あそ)ばさうが、306重臣(ぢうしん)(なん)(まを)さうが、307千草姫(ちぐさひめ)(この)()にあらむ(かぎ)りは、308貴方様(あなたさま)(ゆび)一本(いつぽん)さえさせませぬ。309(しばら)くは両人(りやうにん)(とも)(ねこ)をかぶり、310時期(じき)(いた)るを()つて(この)王城(わうじやう)(うば)ひ、311七千余国(しちせんよこく)覇者(はじや)とならうでは御座(ござ)いませぬか』
312キユ『()(ほど)313其奴(そいつ)面白(おもしろ)からう。314そんなら(ひめ)(おほ)せに(まか)せ、315(この)城内(じやうない)永久(えいきう)(とど)まる(こと)としよう』
316千草(ちぐさ)『ハ、317さうなさいませ』
318 ()(はな)(とき)しもチウイン太子(たいし)軍功(ぐんこう)(ほこ)(がほ)に、319王女(わうぢよ)チンレイ(および)右守(うもり)(むすめ)ハリスと(とも)にドアを(ひら)いて(いり)(きた)り、
320母上様(ははうへさま)321御無事(ごぶじ)御目出度(おめで)たう御座(ござ)います。322おかげを(もつ)敵軍(てきぐん)撃退(げきたい)(いた)しました。323どうかお(よろこ)(くだ)さいませ』
324千草(ちぐさ)『ヤ、325其方(そなた)太子(たいし)326天晴(あつぱ)れお手柄(てがら)手柄(てがら)327其方(そなた)こそトルマン(ごく)柱石(ちうせき)328ガーデン(わう)嗣子(しし)として(はづか)しからぬ偉丈夫(ゐぢやうぶ)だ。329サア草臥(くたびれ)ただらう、330ゆつくり(やす)んで(くだ)さい。331其方(そなた)はチンレイ、332ハリス、333()くマア(をんな)()(もつ)凛々(りり)しい武者振(むしやぶり)334(はは)(かん)()りました』
335 太子(たいし)妖僧(えうそう)キユーバーを()()(まる)くし(なが)ら、
336母上様(ははうへさま)337此処(ここ)にゐる坊主(ばうず)はスコブツエン(しう)邪教(じやけう)(ひら)き、338大足別(おほだるわけ)軍勢(ぐんぜい)(みちび)いたる悪僧(あくそう)では御座(ござ)いませぬか。339かかる魔者(まもの)何故(なにゆゑ)御居間(おゐま)(はべ)らせ、340優待(いうたい)(あそ)ばすのですか。341チウイン、342(その)()()ませぬ』
343千草(ちぐさ)如何(いか)にも(この)(かた)はキユーバー(さま)(ちが)ひない。344(しか)(なが)ら、345大足別(おほだるわけ)手先(てさき)となり当城(たうじやう)談判(だんぱん)にお(こし)になつたのも、346()むを()事情(じじやう)あつての(こと)347(この)(はは)がとつくとキユーバー(さま)心底(しんてい)調(しら)べ、348大足別(おほだるわけ)秘密(ひみつ)(さぐ)り、349キユーバー(さま)応援(おうゑん)によりて無事(ぶじ)(てき)撃退(げきたい)する(こと)()たのだ。350(この)(はは)保証(ほしよう)するから、351(かなら)(かなら)(うたが)うてはなりませぬぞ。352チンレイもハリスも(かなら)誤解(ごかい)しちやなりませぬ。353(はは)証拠(しようこ)だから……』
354ハリス『ハイ、355(おそ)()りまして御座(ござ)います。356太子様(たいしさま)357王女様(わうぢよさま)(まを)すに(およ)ばず、358(わらは)(ごと)孱弱(かよわ)(をんな)()として戦陣(せんぢん)()ち、359勝利(しようり)()たのも神様(かみさま)御蔭(おかげ)360キユーバー(さま)御尽力(ごじんりよく)(いた)すところで御座(ござ)いませう。361(しか)(なが)(わが)(ちち)右守(うもり)如何(いかが)なりまして御座(ござ)りまするか』
362千草(ちぐさ)右守(うもり)殿(どの)国家(こくか)(ため)犠牲者(ぎせいしや)となつて国替(くにがへ)(あそ)ばしたよ。363キツト神様(かみさま)(みちび)かれ、364天国(てんごく)にお(いで)になつてゐるだらう。365(かなら)(かなら)心配(しんぱい)(いた)されな。366千草姫(ちぐさひめ)其女(そなた)()(ひき)うけて世話(せわ)(いた)すから……』
367 ハリスは『ハイ』と()つたきり、368(ちち)()()いて驚愕(きやうがく)し、369(その)()気絶(きぜつ)して(しま)つた。370チウイン太子(たいし)(みづ)(くすり)よと種々(しゆじゆ)()(つく)し、371(やうや)くにして(いき)ふき(かへ)さしめ、372(わが)居間(ゐま)をさしてチンレイと(とも)()(かへ)()く。
373大正一四・八・二三 旧七・四 於丹後由良秋田別荘 松村真澄録)