霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 (くわい)また(くわい)〔一五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第1篇 八洲の川浪 よみ(新仮名遣い):やすのかわなみ
章:第6章 怪また怪 よみ(新仮名遣い):かいまたかい 通し章番号:156
口述日:1921(大正10)年12月16日(旧11月18日) 口述場所: 筆録者:出口瑞月 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
美山彦・国照姫は聖地の内情に通じていたので、壇上に上がって聖地の不祥事を暴露し、嘲笑した。
聖地の代表である出雲姫、猿田姫は怒って国照姫を壇上から引き摺り下ろし、また国照姫の部下たちを相手に乱闘を演じた。美山彦らは出雲姫、猿田姫を捕らえて縛り、聖地の神々の乱暴な性質を非難した。しかしよく見ると、なぜかそれは八王大神の寵女である春日姫と八島姫であった。
青雲山の八頭・吾妻彦は憤然として登壇し、美山彦・国照姫が聖地の神々の悪口をさんざん説きたてたが、乱暴狼藉を働いたのは八王大神側の神々ではないか、と責め立てた。そして悪神・八王大神を懲罰せよ、と呼びかけた。
魔我彦は怒って壇上に上ると、吾妻彦に斬りつけた。吾妻彦は頭上から斬りつけられたかと見えたが、一条の白煙が立ち上ると、吾妻彦の姿は消えうせた。魔我彦の刀は自分の足を傷つけ、その場に倒れてしまった。魔我彦は看護室に運び込まれる騒ぎとなった。
しかし実際の吾妻彦は自分の席で居眠りをしていたのである。また、縛り上げられた春日姫、八島姫の姿もどこかに消えてしまっていた。
かくして、第一回の会議は紛糾のうちに閉会となった。続いて第二回の会議はどのようなことが起こるのだろうか。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-29 20:33:06 OBC :rm0406
愛善世界社版:37頁 八幡書店版:第1輯 385頁 修補版: 校定版:39頁 普及版:18頁 初版: ページ備考:
001 竜宮城(りうぐうじやう)野心(やしん)包蔵(はうざう)して(なが)(つか)へゐたる美山彦(みやまひこ)002国照姫(くにてるひめ)は、003()高天原(たかあまはら)事情(じじやう)によく(つう)じゐたるを(さいは)ひ、004美山彦(みやまひこ)とともに国照姫(くにてるひめ)傲然(ごうぜん)として中央(ちうあう)高座(かうざ)登壇(とうだん)し、005(くち)(きは)めて、006聖地(せいち)窮状(きうじやう)満座(まんざ)(まへ)にて嘲笑(てうせう)し、007かつ(すべ)ての内情(ないじやう)暴露(ばくろ)したるにぞ、008行成彦(ゆきなりひこ)009猿田姫(さだひめ)010出雲姫(いづもひめ)は、011国照姫(くにてるひめ)行動(かうどう)をいま眼前(がんぜん)(みと)めて非常(ひじやう)憤慨(ふんがい)し、012獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)にて前後(ぜんご)区別(くべつ)()らず、013たちまち壇上(だんじやう)()せのぼり、014猿田姫(さだひめ)015出雲姫(いづもひめ)国照姫(くにてるひめ)襟髪(えりがみ)をとるより(はや)く、016高座(かうざ)より()きずりおとし、017(おどろ)きおそれ狼狽(らうばい)する国照姫(くにてるひめ)部下(ぶか)を、018一々(いちいち)女姓(ぢよせい)強力(がうりき)にて打据(うちす)蹴飛(けと)ばし、019()(さけ)神人(かみがみ)()がけて、020二女(にぢよ)多数(たすう)相手(あひて)(たたか)ふにぞ、021大虎彦(おほとらひこ)022美山彦(みやまひこ)は、
023『ソレ狼藉者(らうぜきもの)()がすな、024引捕(ひきとら)へて(ばく)せよ』
025(きび)しく下知(げち)するを、026満座(まんざ)神司(かみがみ)らは呆気(あつけ)()られて、027この()光景(くわうけい)黙視(もくし)するのみなりき。028神司(かみがみ)(やうや)くにして猿田姫(さだひめ)029出雲姫(いづもひめ)(とら)高手(たかて)小手(こて)(しば)りあげ、030中央(ちうあう)壇上(だんじやう)()しあげ、031満座(まんざ)にむかつて、
032()高天原(たかあまはら)神人(しんじん)は、033女性(ぢよせい)といへども()くのごとき乱暴(らんばう)なるもののみ。034その()男司(だんし)暴悪(ばうあく)無道(むだう)()るべきのみ。035諸神司(しよしん)はこの現場(げんぢやう)において暴逆(ばうぎやく)なる女性(ぢよせい)行為(かうゐ)直接(ちよくせつ)目撃(もくげき)されたれば(はじ)めて迷夢(めいむ)()まし(たま)ひしならむ。036これにてもなほ聖地(せいち)神政(しんせい)経綸(けいりん)謳歌(おうか)し、037もつて行成彦(ゆきなりひこ)(せつ)賛成(さんせい)盲従(まうじゆう)をつづけたまふ所存(しよぞん)なりや』
038両肩(りやうかた)をゆすり、039(くち)左方(さはう)(ななめ)()りあげながら、040したり(がほ)高座(かうざ)より()べたてたり。041一座(いちざ)神司(かみがみ)らは(みみ)()ませて()()りしが不思議(ふしぎ)なるかな、042いままで猿田姫(さだひめ)043出雲姫(いづもひめ)()えしは、044まつたくの間違(まちが)ひなりける。045猿田姫(さだひめ)()えしは、046八王(やつわう)大神(だいじん)寵神(ちようしん)にして常世城(とこよじやう)内外(ないぐわい)嬌名(けうめい)たかき春日姫(かすがひめ)にして、047出雲姫(いづもひめ)()えしは、048これまで八王(やつわう)大神(だいじん)寵神(ちようしん)にして常世城(とこよじやう)艶名(えんめい)(なら)びなき八島姫(やしまひめ)なりき。049(しん)猿田姫(さだひめ)050出雲姫(いづもひめ)依然(いぜん)として自席(じせき)柔順(じうじゆん)にひかへて(しづ)かにこの光景(くわうけい)対岸(たいがん)火災視(くわさいし)しつつ無心(むしん)(てい)なり。051満座(まんざ)神司(かみがみ)らは、052この不審(ふしん)出来事(できごと)にその真偽(しんぎ)(まよ)はざるを()ざりける。
053 (いま)まで沈黙(ちんもく)(まも)()()ぢし()たりし青雲山(せいうんざん)八頭(やつがしら)なる吾妻彦(あづまひこ)は、054猛然(まうぜん)として()ちあがり中央(ちうあう)高座(かうざ)登壇(とうだん)し、055一同(いちどう)にむかつていふ、
056『ただいま大虎彦(おほとらひこ)057美山彦(みやまひこ)ならびに常世城(とこよじやう)神司(かみがみ)らは、058聖地(せいち)神人(しんじん)女性(ぢよせい)さへもかくのごとき乱暴(らんばう)狼藉(ろうぜき)におよぶ。059これを()ても聖地(せいち)神人(しんじん)らの暴悪(ばうあく)察知(さつち)さるべしとの言明(げんめい)にあらざりしか。060(しか)るにただいまの狼藉者(ろうぜきもの)女性(によしやう)は、061満座(まんざ)諸神司(しよしん)()らるるごとく、062常世彦(とこよひこ)寵神(ちようしん)なる春日姫(かすがひめ)063八島姫(やしまひめ)二人(ふたり)(あら)ずや。064しかるに温柔(おんじう)なる聖地(せいち)ヱルサレム(じやう)女臣(ぢよしん)065猿田姫(さだひめ)066出雲姫(いづもひめ)暴動(ばうどう)せしごとく主張(しゆちやう)せし美山彦(みやまひこ)067大虎彦(おほとらひこ)068国照姫(くにてるひめ)らの神司(かみがみ)らは、069かかる明白(めいはく)なる事実(じじつ)をとらへて、070(つみ)聖地(せいち)女性(ぢよせい)(くわ)せむとするは(なに)ゆゑぞ。071乱暴(らんばう)もまた(きは)まれりとゐふべし。072(いま)ここに(ばく)されし二人(ふたり)は、073常世城(とこよじやう)にてもつとも声望(せいばう)(たか)女性(によしやう)にして、074かつ八王(やつわう)大神(だいじん)無二(むに)寵女(ちようぢよ)なり。075そのもつとも精選(せいせん)されたる女性(ぢよせい)にして、076その乱暴(らんばう)行為(かうゐ)かくのごとし。077これをもつて()(かんが)ふるときは、078常世城(とこよじやう)男神(だんしん)らの悪逆(あくぎやく)無道(むだう)邪神(じやしん)たるは(ろん)をまたず。079(いは)ンやこれを統轄(とうかつ)する常世彦(とこよひこ)()いておや、080その悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(さつ)するに(あま)りありとゐふべきのみ。081常世城(とこよじやう)神人(かみがみ)らはこれにたいして(なん)()あるか。082ただちに明確(めいかく)なる答弁(たふべん)()つ』
083壇上(だんじやう)突立(つきた)ちたるまま大虎彦(おほとらひこ)084美山彦(みやまひこ)(おもて)をにらみつけたり。085にらみつけられたる二人(ふたり)(なん)返答(へんたふ)もなく(かほ)見合(みあは)せてブルブルと菎蒻(こんにやく)幽霊(いうれい)のごとく(ふる)ひをののき()たりける。086このとき会場(くわいぢやう)(そら)には、087(あま)鳥船(とりふね)のとどろく(こゑ)ますます激烈(げきれつ)となり、088示威(じゐ)運動(うんどう)再開(さいかい)せられたり。089吾妻彦(あづまひこ)は、090(がう)(くつ)せず、091直立(ちよくりつ)不動(ふどう)姿勢(しせい)をとり、092壇上(だんじやう)にて、
093常世彦(とこよひこ)悪逆(あくぎやく)無道(むだう)にして天地(てんち)()るべからざる魔神(ましん)なれば、094満座(まんざ)神司(かみがみ)らはこの()(いつ)せず常世彦(とこよひこ)面縛(めんばく)し、095天地(てんち)律法(りつぱふ)()(さと)し、096いよいよ改心(かいしん)せざるにおいては、097吾一人(われひとり)としても諸神司(しよしん)面前(めんぜん)にて(てん)(かは)誅伐(ちうばつ)せむ』
098()めず(おそ)れず懸河(けんが)弁舌(べんぜつ)さはやかに()べたてたり。099満座(まんざ)神司(かみがみ)らは呆然(ばうぜん)自失(じしつ)ほとんど(こし)()かさむばかりの状態(じやうたい)なり。100このとき(ぢやう)一隅(いちぐう)より魔我彦(まがひこ)(せき)をけつて()ちあがり、
101(かしこ)くも八王(やつわう)大神(だいじん)にむかつて無礼(ぶれい)暴言(ばうごん)()きすてならじ、102(われ)(てん)(かは)つて無礼者(ぶれいもの)誅伐(ちうばつ)せむ。103(おも)()れや』
104といふより(はや)長刀(ちやうたう)引抜(ひきぬ)き、105高座(かうざ)()(のぼ)り、106ただ一刀(いつたう)のもとに吾妻彦(あづまひこ)頭上(づじやう)より()りつけたりしが、107ハツト(おも)ふとたんに一条(いちでう)白煙(はくえん)()ちのぼり()るまに、108吾妻彦(あづまひこ)姿(すがた)()()せにけり。109同時(どうじ)春日姫(かすがひめ)110八島姫(やしまひめ)姿(すがた)()えずなりぬ。111魔我彦(まがひこ)()()りあげたる長刀(ちやうたう)(さき)(われ)とわが(あし)()り、112流血(りうけつ)(かは)のごとくあけ()まりてその()()(たふ)れたりける。113神司(かみがみ)らは周章(しうしやう)狼狽(らうばい)して魔我彦(まがひこ)をかつぎ一室(いつしつ)(おく)り、114侍女(じぢよ)をして看護(かんご)せしめたりき。115しかるに、116またも不思議(ふしぎ)吾妻彦(あづまひこ)依然(いぜん)として自席(じせき)柔順(じうじゆん)にひかへ無心(むしん)(てい)に、117コクリコクリと白河(しらかは)夜船(よぶね)をこぎ、118華胥(くわしよ)(くに)遊楽(いうらく)最中(さいちう)なりける。119かかる大騒動(おほさうどう)(まへ)にして議席(ぎせき)()きしまま(ねむ)りゐたる吾妻彦(あづまひこ)こそは、120じつに暢気(のんき)なものといふべし。
121 大虎彦(おほとらひこ)122美山彦(みやまひこ)一向(いつかう)御校正本・愛世版では「一円」だが、校定版・八幡版では「一向」に修正されている。「一円」では意味が不明なので、霊界物語ネットでも「一向」に直した。合点(がつてん)ゆかず、123アフンとして、124(たましひ)をぬかれたる人形(にんぎやう)のごとく、125木像(もくざう)のごとく呆然(ばうぜん)自失(じしつ)(てい)にて、126(たこ)八足(やつあし)()られし(とき)のごとく、127身体(しんたい)一寸(いつすん)一分(いちぶ)といへども、128(うご)かずなりゐたりける。129第一回(だいいつくわい)会議(くわいぎ)混乱(こんらん)紛糾(ふんきう)(なか)(まく)()ぢられしが、130第二回(だいにくわい)()会議(くわいぎ)模様(もやう)(はた)していかなる結果(けつくわ)()たすならむか。131吾妻彦(あづまひこ)132八島姫(やしまひめ)133春日姫(かすがひめ)(はた)して(なに)ものなりしや合点(がつてん)()かざる次第(しだい)なりける。
134大正一〇・一二・一六 旧一一・一八 出口瑞月
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