霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 殺風景(さつぷうけい)〔一六七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第3篇 正邪混交 よみ(新仮名遣い):せいじゃこんこう
章:第17章 殺風景 よみ(新仮名遣い):さっぷうけい 通し章番号:167
口述日:1921(大正10)年12月20日(旧11月22日) 口述場所: 筆録者:出口瑞月 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
さすが常世姫は稚桜姫命の娘(国祖の孫神)であるだけあって、反対派の神々の攻撃も悠然として対処し、反論の余地のないほどの反歌を返した。
諸神は常世姫の余裕ある態度に呑まれ、あえて反論するものも無くなってしまった。
ここにモスコーの従神・森鷹彦は登壇すると、堂々と八王大神の野心をあげつらい、常世会議を開くこと自体が、国祖の御心に反したことであるとはっきり言い放った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2023-09-14 01:22:47 OBC :rm0417
愛善世界社版:105頁 八幡書店版:第1輯 410頁 修補版: 校定版:111頁 普及版:48頁 初版: ページ備考:
001 さすがは稚桜姫(わかざくらひめ)(むすめ)にして、002智勇(ちゆう)兼備(けんび)常世彦(とこよひこ)(つま)だけありて、003かかる紛糾(ふんきう)混乱(こんらん)せる議場(ぎぢやう)猛烈(まうれつ)なる反対派(はんたいは)(かみ)たちの反駁(はんばく)も、004攻撃(こうげき)も、005突喊(とつかん)もほとんど鎧袖(がいしう)一触(いつしよく)(かん)じも(いだ)かざるごとき悠然(いうぜん)たる態度(たいど)をもつて、006よく胸中(きようちう)野心(やしん)不満(ふまん)とその希望(きばう)を、007優雅(いうが)なる(うた)もて遺憾(ゐかん)なく表白(へうはく)し、008諸神人(しよしん)心胆(しんたん)(やはら)げ、009()つその大度量(だいどりやう)敬服(けいふく)せしめ、010反対側(はんたいがは)をして一言(いちげん)一句(いつく)(はさ)むの余地(よち)()からしめたる手腕(しゆわん)(じつ)天晴(あつぱれ)なり。011あたかも清風(せいふう)爽々(さうさう)として巷塵(かうぢん)をおもむろに()()らして一片(いつぺん)埃影(あいえい)をも(とど)めざるの(がい)ありき。
012 満座(まんざ)神人(かみがみ)常世姫(とこよひめ)堂々(だうだう)として(うご)かず、013悠々(いういう)として(さわ)がず焦慮(あせ)らず、014小児(せうに)にたいする大人(おとな)のごとく、015綽々(しやくしやく)として余裕(よゆう)ある長者(ちやうじや)態度(たいど)心胆(しんたん)()まれ、016一柱(ひとはしら)といへども()つて(これ)反駁(はんばく)する神人(かみ)なかりたり。
017 この(とき)018モスコーの従臣(じゆうしん)森鷹彦(もりたかひこ)瓢然(へうぜん)として自席(じせき)より()(おこ)し、019八王(やつわう)大神(だいじん)(むか)つて発言権(はつげんけん)請求(せいきう)し、020骨格(こつかく)(しう)(ひい)でたる仁王(にわう)のごとき巨躯(きよく)(ひつさ)げ、021足早(あしばや)一歩(いつぽ)一歩(いつぽ)場内(ぢやうない)をヤツコスの六方(ろつぱう)()みしごとき調子(てうし)にて、022(ふし)くれ()つた両腕(りやううで)(こぶし)(かた)(にぎ)り、023(うで)(ひろ)左右(さいう)()りつつ威勢(ゐせい)よく登壇(とうだん)したり。024森鷹彦(もりたかひこ)はモスコーの爆裂弾(ばくれつだん)(とな)へられ()強力(ごうりき)にして、025無鉄砲(むてつぱう)なる英傑(えいけつ)なりける。
026 常世姫(とこよひめ)言霊(ことたま)威力(ゐりよく)()まれて堂々(だうだう)たる八王(やつわう)027八頭(やつがしら)をはじめ、028その()神人(かみがみ)らの一柱(ひとはしら)として反駁(はんばく)(こころ)むるものなき腑甲斐(ふがひ)なさを()心中(しんちゆう)(ふか)憤懣(ふんまん)し、029(つひ)()へかねて登壇(とうだん)(こころ)みたるなり。030森鷹彦(もりたかひこ)壇下(だんか)居並(ゐなら)諸神人(しよしん)赭顔(しやがん)(さら)(にら)みつけ、031つぎに身体(しんたい)をクルリと常世姫(とこよひめ)(はう)にむけ、032嬋娟(せんけん)たる美容(びよう)頭上(づじやう)より脚下(きやくか)まで熟視(じゆくし)し、033口唇(くちびる)をへの字形(じがた)にかたく(むす)び、034巨眼(きよがん)をむき()し、035忌々(いまいま)しげに(ふと)(いき)猛虎(まうこ)(うそぶ)くごとく()()てたる。036その形相(ぎやうさう)(すさま)じきこと、037悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)(いか)りたる(とき)(ごと)くなりけり。
038 森鷹彦(もりたかひこ)舌端(ぜつたん)()()きながら満座(まんざ)(むか)つて(こゑ)(はげ)まし、
039『そもそも今回(こんくわい)大会議(だいくわいぎ)については、040八王(やつわう)大神(だいじん)世界(せかい)永遠(ゑいゑん)平和(へいわ)ならしめむとする、041大慈(だいじ)大悲(だいひ)至誠(しせい)より発起(ほつき)されたるものと()きおよぶ。042しかし表面(へうめん)(てき)理由(りいう)如何(いかん)とも()づく()けれども、043その落着(おちつ)(こころ)(しん)精神(せいしん)如何(いかん)については、044十分(じふぶん)考量(かうりやう)(えう)すべきことと(おも)ふ。045本会議(ほんくわいぎ)(のぞ)みたまふ八王(やつわう)046八頭(やつがしら)(まを)すにおよばず、047その()神人(かみがみ)はいづれも神定(しんてい)聖地(せいち)ヱルサレムの地上(ちじやう)高天原(たかあまはら)において、048国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)神定(しんてい)によりてその身魂(みたま)々々(みたま)匹敵(ひつてき)する神界(しんかい)天職(てんしよく)(めい)ぜられたる、049至厳(しげん)至重(しちよう)聖職(せいしよく)奉仕(ほうし)すべき天賦(てんぷ)(てき)大使命(だいしめい)()はせらるる方々(かたがた)ならずや。050しかるに()ンぞや、051大神(おほかみ)天使(てんし)たる八王(やつわう)をはじめ、052その()神司(かみがみ)今日(こんにち)行動(かうどう)は、053天地(てんち)神明(しんめい)聖慮(せいりよ)無視(むし)したる反逆(はんぎやく)(てき)悪事(あくじ)にあらざるか。054かれ八王(やつわう)大神(だいじん)なるもの(はた)して(なん)特権(とくけん)あるか。055かれは国祖(こくそ)神任(しんにん)によりて八王(やつわう)大神(だいじん)()りしに(あら)ず。056ただただ(とき)(ちから)利用(りよう)し、057体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)(てき)行為(かうゐ)続行(ぞくかう)して数多(あまた)邪神(じやしん)蒐集(しうしふ)し、058(みづか)らその頭目(とうもく)となりしものにして、059一言(いちげん)にして(ろん)ずれば(かれ)のごときは、060天則(てんそく)違反(ゐはん)自由(じいう)行動(かうどう)反道者(はんだうしや)たるのみ。061素性(すじやう)(いや)しき野蕃神(やばんじん)()(あが)りにして真正(しんせい)天使(てんし)にあらず、062天下(てんか)掠奪(りやくだつ)せむとする一大(いちだい)盗賊(たうぞく)()なり。063吾々(われわれ)(かれ)(ごと)大盗賊(だいたうぞく)をして心底(しんてい)より()(あらた)めしめ、064善道(ぜんだう)(みちび)き、065大神(おほかみ)慈徳(じとく)洪大(こうだい)無辺(むへん)なるを(さと)らせ、066身魂(しんこん)ともに天国(てんごく)(すく)(あた)へむとの真情(まごころ)より、067はるばると本会議(ほんくわいぎ)参列(さんれつ)したる次第(しだい)である。068(しか)るに諸神司(しよしん)はかかる天則(てんそく)(やぶ)大盗賊(だいたうぞく)配下(はいか)となり、069(かみ)より任命(にんめい)されたる各自(かくじ)聖職(せいしよく)()てむとするや。070八王(やつわう)以下(いか)聖職(せいしよく)(かみ)(しよく)()けられたる(たふと)天職(てんしよく)にして、071(けつ)して個人(こじん)自由(じいう)左右(さいう)すべきものにあらず、072諸神司(しよしん)はよろしく()天職(てんしよく)反省(はんせい)し、073軽々(かるがる)しくかかる暴論(ばうろん)暴挙(ばうきよ)(みみ)()し、074参加(さんか)して国祖(こくそ)神慮(しんりよ)(いか)らしむる(なか)れ。075吾々(われわれ)八王(やつわう)大神(だいじん)にして心底(しんてい)より(かへり)み、076前非(ぜんぴ)()(あらた)め、077天地(てんち)真理(しんり)(さと)大神(おほかみ)律法(りつぱふ)背戻(はいれい)するの(つみ)(かし)こみ、078また八王(やつわう)大神(だいじん)らの奸策(かんさく)にのりて野天(のてん)泥田(どろた)(おちい)りたるその無智(むち)()ぢ、079断然(だんぜん)として今回(こんくわい)会議(くわいぎ)脱退(だつたい)し、080天賦(てんぷ)聖職(せいしよく)尊重(そんちよう)し、081聖地(せいち)ヱルサレムにおいて神慮(しんりよ)(かな)へる至善(しぜん)至真(ししん)会議(くわいぎ)開催(かいさい)されむことを(のぞ)む』
082大声(たいせい)疾呼(しつこ)しつつ降壇(かうだん)せむとし、083たちまち巨躯(きよく)をクルリと()へし、084ふたたび演説(えんぜつ)(はじ)めたり。
085諸神司(しよしん)はくれぐれも(しん)(かみ)恩徳(おんとく)(わす)れたまふことなく、086至誠(しせい)真心(まごころ)発揮(はつき)今日(こんにち)失敗(しつぱい)大神(おほかみ)泣謝(きふしや)し、087蕃神(ばんしん)八王(やつわう)大神(だいじん)大自在天(だいじざいてん)陰謀(いんぼう)根底(こんてい)より破壊(はくわい)し、088(もつ)(かみ)(まへ)(きよ)き、089(あか)き、090(なほ)き、091(ただ)しきを顕彰(けんしやう)されよ。092(われ)微賤(びせん)(もの)なりといへども、093世界(せかい)平和(へいわ)のため、094律法(りつぱふ)保護(ほご)のためには、095(けつ)して諸神司(しよしん)(あと)()ちざるものである。096アヽ八王(やつわう)大神(だいじん)よ、097常世姫(とこよひめ)よ、098寸時(すんじ)(はや)至誠(しせい)にかへれ。099アヽ満場(まんぢやう)諸神人(しよしん)も、100片時(かたとき)(すみや)かに迷夢(めいむ)()ませ。101悪魔(あくま)(ぜん)仮面(かめん)(もつ)(ぜん)なる神人(しんじん)誑惑(けうわく)す。102正邪(せいじや)理非(りひ)曲直(きよくちよく)判断(はんだん)(まよ)ふなかれ』
103現在(げんざい)名声(めいせい)世界(せかい)にとどろかし、104勢力(せいりよく)巨大(きよだい)なる八王(やつわう)大神(だいじん)(まへ)をも(はばか)らず、105洒々然(しやしやぜん)として猛烈(まうれつ)攻撃(こうげき)()(はな)ちたるその大胆(だいたん)不敵(ふてき)さに(おどろ)かざるはなかりける。106(えう)するに森鷹彦(もりたかひこ)一意(いちい)専心(せんしん)大神(おほかみ)神威(しんゐ)(おそ)れ、107神徳(しんとく)洪大(こうだい)無辺(むへん)なるを確信(かくしん)するより、108かくのごとき強敵(きやうてき)(まへ)をも(はばか)らず、109諄々(じゆんじゆん)として大胆(だいたん)に、110率直(そつちよく)所信(しよしん)抱負(はうふ)無遠慮(ぶゑんりよ)叶露(とろ)することを()たるなり。111アヽ信仰(しんかう)(ちから)(やま)をも(うご)かすとかや、112千祈(せんき)万祷(ばんたう)至誠(しせい)一貫(いつくわん)して(もつ)(やま)(うご)かざる(とき)は、113(われ)より()きて(やま)(のぼ)らむてふ確固(かくこ)不抜(ふばつ)信仰(しんかう)あらば、114天下(てんか)(なに)ものか(これ)(てき)()むや。115森鷹彦(もりたかひこ)熱心(ねつしん)なる大々(だいだい)(てき)攻撃(こうげき)悪罵(あくば)流石(さすが)八王(やつわう)大神(だいじん)において、116如何(いかん)ともすること(あた)はざりしは、117(まつた)信念(しんねん)(ちから)(いた)(ところ)といふべし。
118大正一〇・一二・二〇 旧一一・二二 出口瑞月
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