霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三九章 常世(とこよ)(やみ)〔一八九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第7篇 因果応報 よみ(新仮名遣い):いんがおうほう
章:第39章 常世の暗 よみ(新仮名遣い):とこよのやみ 通し章番号:189
口述日:1921(大正10)年12月27日(旧11月29日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高月彦は長じて徳を発揮し、父の常世彦命を助けて善政を敷いたが、悪魔は絶えず身魂をつけねらっている。
舟遊びの際に八頭八尾の大蛇は高月彦と変化して現われた。父の常世彦命もどちらが本物を区別することができなかった。そこでやむをえず、一人は邪霊の化身と知りながら、両者を立てざるを得なくなっていた。
常世彦命はこのことに心を痛め、過去の悪事を懺悔し、国祖の仁慈を感謝しつつ帰幽してしまった。
神々らは後任の天使長に高月彦を望んだが、二人の高月彦が現れて、諸神人らは真偽の判別に苦しんだ。
本物の高月彦は、妹五月姫の策を用い、父から守り袋と称する袋を取り出して、本物の証とした。偽高月彦の大蛇の霊は思わぬ展開に狼狽して、高月彦に襲い掛かったが、これを神言によって撃退した。
しかしこのような策略を用いることは、神人としてはもっとも慎むべきことである。高月彦は直後に悪寒に襲われて倒れてしまうが、これはいったんは逃げ出した八頭八尾の大蛇の霊が間髪を入れずに戻り、今度は高月彦に憑依してしまったのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0439
愛善世界社版:237頁 八幡書店版:第1輯 456頁 修補版: 校定版:247頁 普及版:107頁 初版: ページ備考:
001 聖地(せいち)ヱルサレムの天使長(てんしちやう)常世彦(とこよひこの)(みこと)には、002高月彦(たかつきひこ)誕生(たんじやう)して追々(おひおひ)成長(せいちやう)し、003(ちち)(たす)けて、004その勲功(くんこう)もつとも(おほ)く、005かつ天使長(てんしちやう)声望(せいばう)天下(てんか)(らい)のごとく(とどろ)き、006その善政(ぜんせい)謳歌(おうか)せざるもの()く、007(いち)()(じつ)天下(てんか)泰平(たいへい)祥代(しやうだい)となりける。
008 しかるに油断(ゆだん)大敵(たいてき)すこしにても間隙(かんげき)あらむか、009宇宙(うちう)充満(じゆうまん)せる邪神(じやしん)(れい)はたちまち(おそ)ひきたりて、010(あるひ)心魂(しんこん)(あるひ)身体(しんたい)にたいして禍害(くわがい)(くは)へ、011またはその良心(りやうしん)(けが)(くも)らせ、012つひにはそのものの身体(しんたい)および霊魂(れいこん)容器(ようき)として、013悪心(あくしん)をおこし悪行(あくぎやう)遂行(すゐかう)せしめむと()(ねら)ふに(いた)るものなり。
014 大本(おほもと)神諭(しんゆ)にも、
015悪魔(あくま)()えず(ひと)身魂(みたま)()(ねら)()るものなれば、016抜刀(ぬきみ)(なか)()心持(こころもち)にて()らざる(とき)は、017いつ悪魔(あくま)にその身魂(みたま)自由(じいう)自在(じざい)玩弄物(おもちや)にせらるるや()れず。018ゆゑに(ひと)(かみ)(こころ)立帰(たちかへ)りて(かみ)信仰(しんかう)し、019すこしも油断(ゆだん)あるべからず』
020 常世彦(とこよひこの)(みこと)神界(しんかい)太平(たいへい)にやや安心(あんしん)して、021あまたの侍臣(じしん)とともに竜宮海(りうぐうかい)舟遊(ふなあそ)びの(えん)をもよほすとき、022竜宮海(りうぐうかい)(そこ)(ふか)(ひそ)みて(とき)()ちつつありし八頭(やつがしら)八尾(やつを)大蛇(をろち)邪霊(じやれい)は、023この(とき)こそと()はむばかりに、024その本体(ほんたい)諸神人(しよしん)(まへ)(あら)はし、025(わざ)神人(かみがみ)らの(まへ)にて高月彦(たかつきひこ)変化(へんげ)し、026常世彦(とこよひこの)(みこと)居館(やかた)()りこみ神人(しんじん)らを(なや)めたるなり。
027 常世彦(とこよひこの)(みこと)はじめ聖地(せいち)神人(かみがみ)らは、028二人(ふたり)高月彦(たかつきひこ)のうち一人(ひとり)邪神(じやしん)変化(へんげ)なることを(いづ)れも知悉(ちしつ)すれども、029その(いづ)れを真否(しんぴ)(みと)むること(あた)はざりしために、030()むを()ず、031(おな)姿(すがた)二人(ふたり)居館(やかた)()まはせたりける。032(しん)高月彦(たかつきひこ)は、
033(われ)こそは(しん)高月彦(たかつきひこ)なり、034(かれ)邪神(じやしん)変化(へんげ)なり』
035證明(しようめい)せむとすれば、036邪神(じやしん)高月彦(たかつきひこ)もまた(おな)じく、
037(われ)こそは(しん)高月彦(たかつきひこ)なり、038(かれ)邪神(じやしん)変化(へんげ)なり』
039主張(しゆちやう)し、040その真偽(しんぎ)判明(はんめい)せず、041やむを()二人(ふたり)()てゐたりける。
042 この(あや)しき事実(じじつ)(たれ)いふともなく神界(しんかい)一般(いつぱん)(ひろ)まり(つた)はり、043八王(やつわう)八頭(やつがしら)(みみ)()り、044神人(かみがみ)らは聖地(せいち)神政(しんせい)(たい)して、045不安(ふあん)疑念(ぎねん)()くに(いた)りける。
046 常世彦(とこよひこの)(みこと)はこのことのみ日夜(にちや)煩悶(はんもん)し、047つひには発病(はつびやう)するに()ちいたりぬ。048(みこと)(つま)枕頭(ちんとう)(まね)き、049(くる)しき(やまひ)(いき)をつきながら、
050(われ)(すこ)しの(こころ)欲望(よくばう)より(つひ)邪神(じやしん)()せられて常世国(とこよのくに)城塞(じやうさい)(かま)へ、051(かしこ)くも国祖(こくそ)大神(おほかみ)をはじめ歴代(れきだい)天使長(てんしちやう)以下(いか)神人(かみがみ)らを(くる)しめ(なや)ませたるにも(かか)はらず、052仁慈(じんじ)(ふか)国祖(こくそ)(われ)らの改心(かいしん)()でたまひて、053もつたいなき聖地(せいち)執権者(しつけんしや)(にん)じたまひたれば、054(われ)らは再生(さいせい)大恩(たいおん)(むく)いたてまつらむと誠心(せいしん)誠意(せいい)律法(りつぱふ)厳守(げんしゆ)し、055神政(しんせい)(はげ)みて国祖(こくそ)大神(おほかみ)奉仕(ほうし)せしに、056(こころ)何時(いつ)となく(ゆる)みしためか、057竜宮海(りうぐうかい)(ふね)(うか)べて遊楽(いうらく)せし(をり)しも、058海底(かいてい)より邪神(じやしん)(あら)はれて愛児(あいじ)姿(すがた)となり、059堂々(だうだう)として(わが)(やかた)()()み、060その真偽(しんぎ)判別(はんべつ)する(あた)はず、061それより(われ)如何(いか)にもしてその真偽(しんぎ)()らむと、062日夜(にちや)天津(あまつ)大神(おほかみ)および国祖(こくそ)大神(おほかみ)祈願(きぐわん)()らせども、063(いつ)たん(をか)せる(つみ)(むく)いきたりて、064心魂(しんこん)(くら)天眼通(てんがんつう)(りき)(うしな)ひ、065かつ、066それより(わが)身体(しんたい)各所(かくしよ)(いた)みを(おぼ)え、067(いま)やかくのごとく重態(ぢうたい)(おちい)りたるも(ふか)罪障(ざいしやう)(むく)いなれば、068(なんぢ)らは()()悲惨(ひさん)なる(はて)()(いち)(にち)(はや)()(あらた)め、069寸毫(すんがう)といへども悪心(あくしん)非行(ひぎやう)発起(ほつき)すべからず』
070遺言(ゆゐごん)して(ねむ)るがごとく帰幽(きいう)したりける。071(とり)(まさ)()なむとするや()(こゑ)(かな)し、072(ひと)(まさ)()せむとする(とき)その(げん)()しと。073(むべ)なるかな、074さしも一旦(いつたん)暴威(ばうゐ)をふるひたる常世彦(とこよひこの)(みこと)本心(ほんしん)より(かへり)み、075その邪心(じやしん)()ぢ、076非行(ひぎやう)()神憲(しんけん)(げん)として(をか)すべからざるを(おそ)れ、077天地(てんち)大道(だいだう)たる死生(しせい)078往来(わうらい)079因果(いんぐわ)理法(りはふ)(さと)りて身魂(みたま)まつたく(きよ)まり、080神助(しんじよ)のもとに安々(やすやす)(ねむ)るがごとく帰幽(きいう)したりける。081アヽ(おそ)るべきは(こころ)()ちかた(ひと)つなりける。
082 常世彦(とこよひこの)(みこと)昇天(しようてん)せしより、083聖地(せいち)神人(かみがみ)らは急使(きふし)四方(しはう)()して、084各山(かくざん)各地(かくち)八王(やつわう)をはじめ一般(いつぱん)守護職(しゆごしよく)にたいして報告(はうこく)(はつ)したれば、085万寿山(まんじゆさん)をはじめ八百万(やほよろづ)神人(かみがみ)は、086この凶報(きようはう)(おどろ)(われ)(いち)(さき)(あらそ)ひて聖地(せいち)蝟集(ゐしふ)しその昇天(しようてん)(かな)しみつつ、087後任者(こうにんしや)(いち)(にち)(はや)確定(かくてい)せむことを熱望(ねつばう)し、088ここにヱルサレム(じやう)大広間(おほひろま)(くわい)したり。089常世彦(とこよひこの)(みこと)長子(ちやうし)高月彦(たかつきひこ)天使長(てんしちやう)選定(せんてい)し、090国祖(こくそ)大神(おほかみ)認許(にんきよ)奏請(そうせい)せむとするや、091天下(てんか)喧伝(けんでん)されしごとく、092二人(ふたり)高月彦(たかつきひこ)あらはれ()たりぬ。
093 諸神司(しよしん)はその真偽(しんぎ)について判別(はんべつ)(くる)しみ、094七日(なぬか)七夜(ななよ)大広間(おほひろま)会議(くわいぎ)をつづけたれど、095いかにしても前後(ぜんご)正邪(せいじや)区別(くべつ)つかざるところまで()変化(へんげ)しゐたるにぞ、096真偽(しんぎ)二人(ふたり)天使長(てんしちやう)(いただ)くことを()ず、097神人(かみがみ)らは五里(ごり)霧中(むちゆう)彷徨(はうくわう)しつつ、098その怪事実(くわいじじつ)(なや)まされけり。
099 高月彦(たかつきひこ)大広間(おほひろま)(あら)はれ竜宮海(りうぐうかい)(ひそ)める邪神(じやしん)大蛇(をろち)(へん)より、100(ちち)昇天(しようてん)までの種々(しゆじゆ)聖地(せいち)(くわい)()()つ、
101(わが)()(かげ)のごとく附随(ふずい)せるは、102かの大蛇(をろち)変化(へんげ)なることを證明(しようめい)すべきことあり。103諸神人(しよしん)はこれにて真偽(しんぎ)(さと)られたし。104(われ)には(ちち)より(たま)はりし守袋(まもりぶくろ)あり、105これを()られよ』
106満座(まんざ)(まへ)差出(さしだ)し、107(にせ)高月彦(たかつきひこ)邪神(じやしん)にむかひ、
108(なんぢ)(はた)して(しん)なれば、109(ちち)より守袋(まもりぶくろ)(さづ)けられし(はず)なり、110(いま)ここにその守袋(まもりぶくろ)取出(とりだ)して、111その偽神(ぎしん)にあらざることを證明(しようめい)せられよ』
112()()れば、113邪神(じやしん)はたちまち(いろ)(へん)じ、114(なん)返答(へんたふ)もなく(もの)をもいはず、115(しん)高月彦(たかつきひこ)(かみ)()かむとする一刹那(いちせつな)116たちまち「惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)」の神言(かみごと)自然(しぜん)(くち)より迸出(へいしゆつ)したるにぞ、117偽神(ぎしん)はたちまちその神言(かみごと)威徳(ゐとく)正体(しやうたい)(あら)はし、
118『アヽ残念(ざんねん)至極(しごく)口惜(くちをし)さよ。119(われ)永年(ながねん)この聖地(せいち)根底(こんてい)より顛覆(てんぷく)せむと、120海底(かいてい)(しづ)みて(とき)()ち、121つひに高月彦(たかつきひこ)変化(へんげ)し、122聖地(せいち)攪乱(かくらん)全力(ぜんりよく)(つく)したりしに、123高月彦(たかつきひこ)神言(かみごと)によりてその()けの(かは)()がれたれば、124いまは是非(ぜひ)なし、125ふたたび時節(じせつ)()つてこの(うら)みを(ほう)ぜむ』
126()ふよと()るまに、127()るも(おそ)ろしき八頭(やつがしら)八尾(やつを)大蛇(をろち)(あら)はれ叢雲(むらくも)をよびおこし天空(てんくう)をかけりて、128(とほ)くその怪姿(くわいし)西天(せいてん)(ぼつ)したりけり。129高月彦(たかつきひこ)忽然(こつぜん)として()ちあがり、
130諸神司(しよしん)はただいまの邪神(じやしん)様子(やうす)実見(じつけん)して、131その真偽(しんぎ)(さと)りたまひしならむ、132(われ)こそは天使長(てんしちやう)常世彦(とこよひこの)(みこと)長子(ちやうし)高月彦(たかつきひこ)なり。133今後(こんご)聖地(せいち)神政(しんせい)については、134諸神司(しよしん)協力(けふりよく)一致(いつち)して()輔翼(ほよく)あらむことを希望(きばう)す』
135慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)()(をは)るや(いな)や、136たちまち悪寒(をかん)震慄(しんりつ)137顔色(がんしよく)(きふ)(あを)ざめ、138(はら)をかかへて苦悶(くもん)(こゑ)(はな)ちければ、139諸神司(しよしん)(おどろ)きて(みこと)(たす)けその居館(やかた)(おく)り、140侍者(じしや)をして叮嚀(ていねい)看護(かんご)せしめたり。
141 この守袋(まもりぶくろ)(いもうと)五月姫(さつきひめ)(はか)らひにて、142(にはか)(おも)ひつきたるカラクリにして、143邪神(じやしん)正体(しやうたい)(あら)はすための窮策(きうさく)()たるものなりける。144かくのごとき権謀(けんぼう)術数(じゆつすう)(ろう)するは、145神人(しんじん)としてもつとも(つつし)まざるべからざることなり。
146 また高月彦(たかつきひこ)急病(きふびやう)(はつ)したるは、147真正(しんせい)病気(びやうき)ではなく、148(みこと)安心(あんしん)とややその神徳(しんとく)にほこる(こころ)(すき)(じやう)じて、149西天(せいてん)姿(すがた)(かく)したる八頭(やつがしら)八尾(やつを)大蛇(をろち)邪霊(じやれい)が、150間髪(かんぱつ)()るるの(ひま)なきまで(はや)く、151その肉体(にくたい)憑依(ひようい)したる結果(けつくわ)なりける。
152大正一〇・一二・二七 旧一一・二九 外山豊二録)
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