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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第4巻(卯の巻)
序
凡例
総説
第1篇 八洲の川浪
01 常世会議
〔151〕
02 聖地の会議
〔152〕
03 使臣の派遣
〔153〕
04 乱暴な提案
〔154〕
05 議場の混乱
〔155〕
06 怪また怪
〔156〕
07 涼風凄風
〔157〕
第2篇 天地暗雲
08 不意の邂逅
〔158〕
09 大の字の斑紋
〔159〕
10 雲の天井
〔160〕
11 敬神の自覚
〔161〕
12 横紙破り
〔162〕
13 再転再落
〔163〕
14 大怪物
〔164〕
15 出雲舞
〔165〕
第3篇 正邪混交
16 善言美辞
〔166〕
17 殺風景
〔167〕
18 隠忍自重
〔168〕
19 猿女の舞
〔169〕
20 長者の態度
〔170〕
21 敵本主義
〔171〕
22 窮策の替玉
〔172〕
第4篇 天地転動
23 思ひ奇やその一
〔173〕
24 思ひ奇やその二
〔174〕
25 燕返し
〔175〕
26 庚申の眷属
〔176〕
27 阿鼻叫喚
〔177〕
28 武器制限
〔178〕
第5篇 局面一転
29 月雪花
〔179〕
30 七面鳥
〔180〕
31 傘屋の丁稚
〔181〕
32 免れぬ道
〔182〕
第6篇 宇宙大道
33 至仁至愛
〔183〕
34 紫陽花
〔184〕
35 頭上の冷水
〔185〕
36 天地開明
〔186〕
37 時節到来
〔187〕
38 隙行く駒
〔188〕
第7篇 因果応報
39 常世の暗
〔189〕
40 照魔鏡
〔190〕
41 悪盛勝天
〔191〕
42 無道の極
〔192〕
第8篇 天上会議
43 勧告使
〔193〕
44 虎の威
〔194〕
45 あゝ大変
〔195〕
第9篇 宇宙真相
46 神示の宇宙その一
〔196〕
47 神示の宇宙その二
〔197〕
48 神示の宇宙その三
〔198〕
49 神示の宇宙その四
〔199〕
50 神示の宇宙その五
〔200〕
附録 第二回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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第二五章
燕返
(
つばめかへ
)
し〔一七五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
篇:
第4篇 天地転動
よみ(新仮名遣い):
てんちてんどう
章:
第25章 燕返し
よみ(新仮名遣い):
つばめかえし
通し章番号:
175
口述日:
1921(大正10)年12月23日(旧11月25日)
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年3月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
八王大神は病気が回復した、として会議の続行を宣言した。行成彦は病気の回復を祝って八王大神の意図を賛美する歌を歌った。
会場の諸神は、行成彦が八王大神を手放しで賛美するその態度に驚きを持って歌に聞き入っていた。行成彦は、このたびの八王大神が偽者であると知って、わざと態度を変えていたのであった。
長白山の八王・有国彦は行成彦の態度の豹変を目の当たりにし、あまりにもいぶかしいことが続く会議に不審の念を表し、会議の脱退を表明した。そのとき、有国彦を押しとどめる神があった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-02-29 01:10:53
OBC :
rm0425
愛善世界社版:
156頁
八幡書店版:
第1輯 428頁
修補版:
校定版:
164頁
普及版:
71頁
初版:
ページ備考:
001
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
は
病気
(
びやうき
)
まつたく
恢復
(
くわいふく
)
し、
002
ふたたび
会議
(
くわいぎ
)
を
続行
(
ぞくかう
)
すべきことを
八百
(
はつぴやく
)
八十八
(
はちじふや
)
柱
(
はしら
)
の
神司
(
かみがみ
)
に、
003
常世姫
(
とこよひめ
)
より
一々
(
いちいち
)
叮嚀
(
ていねい
)
に
通知
(
つうち
)
したれば、
004
諸神司
(
しよしん
)
は
先
(
さき
)
を
争
(
あらそ
)
ひて
大広間
(
おほひろま
)
に
参集
(
さんしふ
)
し、
005
例
(
れい
)
のごとく
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
はじめ
常世姫
(
とこよひめ
)
、
006
春日姫
(
かすがひめ
)
、
007
八島姫
(
やしまひめ
)
、
008
その
他
(
た
)
の
常世城
(
とこよじやう
)
の
神司
(
かみがみ
)
らは、
009
中央
(
ちうあう
)
の
高座
(
かうざ
)
に、
010
花
(
はな
)
を
飾
(
かざ
)
りたるごとく
立派
(
りつぱ
)
なる
姿
(
すがた
)
をあらはしたり。
011
この
時
(
とき
)
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
はたちまち
登壇
(
とうだん
)
して
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
の
急病
(
きふびやう
)
まつたく
癒
(
い
)
え、
012
ふたたびこの
大切
(
たいせつ
)
なる
会議
(
くわいぎ
)
に
出席
(
しゆつせき
)
されたることを、
013
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
慶賀
(
けいが
)
し、
014
諸神司
(
しよしん
)
とともに
万歳
(
ばんざい
)
を
唱
(
とな
)
へ、
015
かつ
猿田姫
(
さだひめ
)
、
016
出雲姫
(
いづもひめ
)
、
017
春日姫
(
かすがひめ
)
、
018
八島姫
(
やしまひめ
)
をして
祝意
(
しゆくい
)
を
表
(
へう
)
するため、
019
壇上
(
だんじやう
)
に、
020
優美
(
いうび
)
にして
高尚
(
かうしやう
)
なる
舞曲
(
ぶきよく
)
を
演
(
えん
)
ぜしめたり。
021
四
(
よん
)
女性
(
ぢよせい
)
の
艶麗
(
えんれい
)
優美
(
いうび
)
なる
姿
(
すがた
)
は、
022
あたかも
柳
(
やなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
に
桜
(
さくら
)
の
花
(
はな
)
を
咲
(
さ
)
かせ、
023
白梅
(
しらうめ
)
の
薫
(
かほ
)
りを
添
(
そ
)
へたるごとくなりけり。
024
頭
(
あたま
)
には
金色
(
きんいろ
)
の
烏帽子
(
ゑぼし
)
を
戴
(
いただ
)
き、
025
衣服
(
いふく
)
は
揃
(
そろ
)
ひの
桃色
(
ももいろ
)
、
026
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
を
長
(
なが
)
くひきずりながら、
027
四女
(
よんぢよ
)
は
一度
(
いちど
)
に
手拍子
(
てべうし
)
、
028
足拍子
(
あしべうし
)
をそろへて、
029
春
(
はる
)
の
野
(
の
)
の
草花
(
くさばな
)
に
蝶
(
てふ
)
の
戯
(
たは
)
むれ
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ひ
遊
(
あそ
)
ぶごとくなりける。
030
諸神司
(
しよしん
)
は、
031
この
長閑
(
のどか
)
なる
光景
(
くわうけい
)
に
心魂
(
しんこん
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
032
吾
(
われ
)
を
忘
(
わす
)
れて
眺
(
なが
)
めゐたり。
033
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
は
壇上
(
だんじやう
)
に
立
(
た
)
ち、
034
優雅
(
いうが
)
な
声調
(
せいてう
)
にて
謳
(
うた
)
ひはじめたるが、
035
鶯
(
うぐひす
)
の
春陽
(
しゆんやう
)
に
逢
(
あ
)
ひ
谷
(
たに
)
の
戸
(
と
)
開
(
ひら
)
いて、
036
白梅
(
しらうめ
)
の
梢
(
こづゑ
)
に
春
(
はる
)
を
謳
(
うた
)
ひ、
037
鈴虫
(
すずむし
)
の
秋
(
あき
)
の
野
(
の
)
の
夕
(
ゆふべ
)
に、
038
涼
(
すず
)
しき
声
(
こゑ
)
にて
鳴
(
な
)
くにも
似
(
に
)
たる
床
(
ゆか
)
しき
声調
(
せいてう
)
に、
039
四辺
(
しへん
)
の
空気
(
くうき
)
をたちまち
清鮮
(
せいせん
)
ならしめたり。
040
その
歌
(
うた
)
、
041
『
千早
(
ちはや
)
振
(
ふ
)
る
神
(
かみ
)
の
御心
(
みこころ
)
かしこみて
042
チーバブリカンヨミコモトカスクミテ
043
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
の
国魂
(
くにたま
)
や
044
アメツツヨシノコキシタマ
045
八王
(
やつわう
)
の
司
(
つかさ
)
や
八頭
(
やつがしら
)
046
ヤツコスヨツカスヨヤツカムロ
047
ももの
神
(
かみ
)
たち
八百万
(
やほよろづ
)
048
モモロカムタチヤモヨロヅ
049
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
神集
(
かむつど
)
ひ
050
トコヨヨクシイカムツトヒ
051
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
大蛇
(
をろち
)
052
トツオオカムヨシスオロミ
053
鬼
(
おに
)
も
探女
(
さぐめ
)
も
曲津見
(
まがつみ
)
も
054
オヌモサヨメヨマトツミヨ
055
伊寄
(
いよ
)
り
集
(
つど
)
ひて
村肝
(
むらきも
)
の
056
イヨキクルミテムロイコヨ
057
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
058
コモトヨコモヨフチハロチ
059
払
(
はら
)
ひ
清
(
きよ
)
めて
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
の
060
ハロチコソメテカムホヨヨ
061
目出度
(
めでた
)
き
光
(
ひかり
)
照妙
(
てるたへ
)
の
062
メロトチフカリテロトオヨ
063
綾
(
あや
)
と
錦
(
にしき
)
の
大御機
(
おほみはた
)
064
アヨヨヌスコヨオオムホト
065
織
(
お
)
りて
神世
(
かみよ
)
のまつりごと
066
オリテカムヨヨマツイコヨ
067
堅磐
(
かきは
)
常磐
(
ときは
)
にたてよこの
068
カコハトコハイタトヨコヨ
069
神
(
かみ
)
の
任
(
よ
)
さしの
神
(
かみ
)
みたま
070
カムヨヨサイヨカムミトモ
071
世
(
よ
)
に
出
(
い
)
でまして
美
(
うる
)
はしき
072
ヨニウテモステウロホスク
073
栄
(
さか
)
えみろくの
大神
(
おほかみ
)
の
074
サコエミロクヨオオカムヨ
075
安
(
やす
)
けき
国
(
くに
)
を
守
(
まも
)
らむと
076
ヨソケシコモヨモモロムト
077
心
(
こころ
)
めでたき
常世国
(
とこよくに
)
078
コモトメテトキトコヨクシ
079
うしはぎ
坐
(
ゐま
)
すとこよひこ
080
オソフクイモストコヨホコ
081
とこよの
姫
(
ひめ
)
の
世
(
よ
)
をなげき
082
トコヨヨホメヨヨヨノゲク
083
ももの
千草
(
ちぐさ
)
のあら
風
(
かぜ
)
に
084
モモヨツクソヨアロコセイ
085
倒
(
たふ
)
れ
苦
(
くる
)
しむわざはひを
086
トヨレコロスムワロワイヨ
087
救
(
すく
)
はむためのもよほしは
088
スクホムトメイモヨホスヨ
089
この
天地
(
あめつち
)
の
開
(
ひら
)
けてゆ
090
コヨアメツツヨフロケトヨ
091
ためしあらしのしづまりて
092
トモスアロスヨスヅモリテ
093
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
の
常永
(
とこしへ
)
に
094
トコヨヨホロヨトコスヱイ
095
千代
(
ちよ
)
万世
(
よろづよ
)
も
動
(
うご
)
きなく
096
トヨヨロヅヨヨヨロギノク
097
高天原
(
たかあまはら
)
も
賑
(
にぎ
)
はしく
098
タコオモホロヨヌグホスク
099
千歳
(
ちとせ
)
の
松
(
まつ
)
の
色
(
いろ
)
あせず
100
トツセヨマツヨウロアセズ
101
枝葉
(
えだは
)
も
繁
(
しげ
)
るくはし
世
(
よ
)
に
102
エロホヨスゲリクホスヨイ
103
立直
(
たてなほ
)
さむと
身
(
み
)
を
忘
(
わす
)
れ
104
トチノヨソムヨムヨワスリ
105
家
(
いへ
)
を
忘
(
わす
)
れて
朝夕
(
あさゆふ
)
に
106
ウヘヨワスレテアソヨベイ
107
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
108
コモトヨツクイモヨツクイ
109
四方
(
よも
)
の
雲霧
(
くもきり
)
吹払
(
ふきはら
)
ひ
110
ヨモヨコモクリホキホロヒ
111
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
112
クシホロトチヨオオカムヨ
113
いかしき
御世
(
みよ
)
を
守
(
まも
)
らむと
114
ウカスキムヨヨモモラムト
115
開
(
ひら
)
きたまひしこの
集
(
つど
)
ひ
116
フロキトモイスコヨツドイ
117
集
(
つど
)
ひ
来
(
き
)
たりし
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
も
118
ツドヒコモステユキノリホコモ
119
もろてをあげてこのたびの
120
モロテヨアゲテコヨトヒヨ
121
常世
(
とこよ
)
の
彦
(
ひこ
)
の
御
(
み
)
こころに
122
トコヨヨホコヨミコモトイ
123
まつろひまつり
常暗
(
とこやみ
)
の
124
マツロイマツイトコヨミヨ
125
世
(
よ
)
をとこしへに
照
(
てら
)
しなむ
126
ヨヨトコシエイテラスノム
127
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
たちみともたち
128
モモヨカムトチミトモトチ
129
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
くかた
時
(
とき
)
も
130
ヒツカモホヨクカトトキヨ
131
いと
速
(
すみ
)
やかにかたりあひ
132
イトスムヨコイカトリアイ
133
けふのつどひをうれしみて
134
ケフヨツドイヨウロスミテ
135
むなしく
過
(
すご
)
すことなかれ
136
ムノスクスゴスコトノコレ
137
国治立
(
くにはるたち
)
の
神
(
かみ
)
のまへ
138
クシホロトチヨカムヨミエ
139
常世
(
とこよ
)
の
神
(
かみ
)
のうるはしき
140
トコヨヨカムヨウロホスキ
141
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
をうべなひて
142
アコキコモトヨウベノイテ
143
四方
(
よも
)
の
神人
(
かみびと
)
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
の
144
ヨモヨカムフトクサヨコヨ
145
さやぎの
声
(
こゑ
)
を
静
(
しづ
)
めかし
146
サヨギヨコエヨスズメカス
147
救
(
すく
)
ひの
神
(
かみ
)
とあれませる
148
スクイヨカムヨアレモセル
149
国治立
(
くにはるたち
)
の
神
(
かみ
)
ごころ
150
クシホロトチヨカムコモト
151
ただに
受
(
う
)
けます
常世彦
(
とこよひこ
)
152
トドイウケモストコヨホコ
153
とこよの
姫
(
ひめ
)
のひらきてし
154
トコヨヨホメヨホロキテス
155
これのもよほしいときよし
156
コレヨモヨホスイトキヨス
157
きよきこころの
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
158
キヨキコモトヨモモヨカム
159
八王
(
やつわう
)
の
神
(
かみ
)
やつはものの
160
ヤツコスカムヨツホモヨヨ
161
猛
(
たけ
)
きうつはをとりのぞき
162
トケキウツホヨトリヨゾキ
163
その
根底
(
ねそこ
)
よりあらためて
164
ソヨネトコヨイアロトメテ
165
はやとりのぞき
大神
(
おほかみ
)
に
166
ホヨトリヨゾキオオカムイ
167
叶
(
かな
)
ひまつれよ
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
の
168
カノイモツリテマツヨヨヨ
169
神
(
かみ
)
のこころの
神
(
かみ
)
ぞ
目出度
(
めでた
)
く
170
カムヨコモトヨカムゾメデトキ
171
松
(
まつ
)
の
心
(
こころ
)
の
神
(
かみ
)
ぞ
目出度
(
めでた
)
けれ
172
マツヨコモトヨカムゾメデトケレ』
173
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
は、
174
以前
(
いぜん
)
の
極力
(
きよくりよく
)
反対
(
はんたい
)
的
(
てき
)
の
態度
(
たいど
)
に
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
り、
175
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
賛成
(
さんせい
)
の
歌
(
うた
)
を
作
(
つく
)
り、
176
その
豹変
(
へうへん
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
に
諸神司
(
しよしん
)
を
驚異
(
きやうい
)
せしめたり。
177
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
は
欣然
(
きんぜん
)
として、
178
無言
(
むごん
)
のまま
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
讃美
(
さんび
)
の
歌
(
うた
)
を、
179
耳
(
みみ
)
を
澄
(
す
)
まして
聞
(
き
)
き
入
(
い
)
りぬ。
180
常世姫
(
とこよひめ
)
は、
181
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
行動
(
かうどう
)
に
合点
(
がつてん
)
ゆかず、
182
首
(
くび
)
をしきりにかたむけ、
183
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
るるもののごとくなりける。
184
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
豹変
(
へうへん
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
をとりたるは、
185
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
の
偽物
(
にせもの
)
たることを、
186
よく
知悉
(
ちしつ
)
しゐたるが
故
(
ゆゑ
)
なり。
187
四柱
(
よはしら
)
の
女性
(
によしやう
)
は
満座
(
まんざ
)
に
一礼
(
いちれい
)
し、
188
得
(
え
)
もいはれぬ
愛嬌
(
あいけう
)
を
振
(
ふ
)
りまきながら
静々
(
しづしづ
)
と
降壇
(
かうだん
)
したり。
189
このとき
末席
(
まつせき
)
より
発言権
(
はつげんけん
)
を
請求
(
せいきう
)
して
登壇
(
とうだん
)
する
神司
(
しんし
)
あり。
190
これは
長白山
(
ちやうはくざん
)
の
八王
(
やうわう
)
有国彦
(
ありくにひこ
)
にして、
191
その
神格
(
しんかく
)
は
温和
(
おんわ
)
にして
至誠
(
しせい
)
一貫
(
いつくわん
)
の
神司
(
しんし
)
なり。
192
やや
頭
(
あたま
)
の
頂
(
いただき
)
に
禿
(
はげ
)
を
現
(
あら
)
はし、
193
背丈
(
せたけ
)
はスラリと
高
(
たか
)
く、
194
どこともなく
威徳
(
ゐとく
)
具
(
そな
)
はりて
見
(
み
)
へけり。
195
いまや
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
豹変
(
へうへん
)
的
(
てき
)
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
きて、
196
平素
(
へいそ
)
の
温柔
(
おんじう
)
なる
性質
(
せいしつ
)
にも
似合
(
にあは
)
ず、
197
猛然
(
まうぜん
)
として
立上
(
たちあが
)
り
登壇
(
とうだん
)
したるなり。
198
諸神司
(
しよしん
)
は
彼
(
かれ
)
の
顔色
(
がんしよく
)
のただならざるを
見
(
み
)
て、
199
その
発言
(
はつげん
)
のいかんを
気遣
(
きづか
)
ひける。
200
彼
(
かれ
)
は
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いて、
201
『
満座
(
まんざ
)
の
諸神司
(
しよしん
)
よ、
202
吾々
(
われわれ
)
は
今回
(
こんくわい
)
の
大会議
(
だいくわいぎ
)
については、
203
許多
(
きよた
)
の
疑問
(
ぎもん
)
胸中
(
きようちう
)
に
山積
(
さんせき
)
せり。
204
第一
(
だいいち
)
に
泥田
(
どろた
)
の
中
(
なか
)
の
失態
(
しつたい
)
といひ、
205
同
(
おな
)
じ
姿
(
すがた
)
の
女性
(
によしやう
)
の
続出
(
ぞくしゆつ
)
せる
怪
(
くわい
)
といひ、
206
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
の
急病
(
きふびやう
)
といひ、
207
森鷹彦
(
もりたかひこ
)
の
異変
(
いへん
)
といひ、
208
数
(
かぞ
)
へきたれば
限
(
かぎ
)
りなき
怪事
(
くわいじ
)
の
続出
(
ぞくしゆつ
)
すること、
209
あたかも
妖怪
(
えうくわい
)
変化
(
へんげ
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
ともいふべき
有様
(
ありさま
)
ならずや。
210
しかのみならず
聖地
(
せいち
)
ヱルサレムの
天使長
(
てんしちやう
)
広宗彦
(
ひろむねひこ
)
の
代理
(
だいり
)
たる
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
軟化
(
なんくわ
)
豹変
(
へうへん
)
、
211
燕返
(
つばめがへ
)
しの
曲芸
(
きよくげい
)
的
(
てき
)
行動
(
かうどう
)
の
不審
(
ふしん
)
千万
(
せんばん
)
にして
逆睹
(
ぎやくと
)
すべからざるに
非
(
あら
)
ずや。
212
思
(
おも
)
ふに
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
も、
213
連日
(
れんじつ
)
の
疲労
(
ひらう
)
の
結果
(
けつくわ
)
精神
(
せいしん
)
に
異状
(
いじやう
)
をきたせしにはあらざるか。
214
ただしは
前日来
(
ぜんじつらい
)
議場
(
ぎぢやう
)
を
攪乱
(
かくらん
)
しつつありし
邪神
(
じやしん
)
悪鬼
(
あくき
)
に
憑依
(
ひようい
)
され、
215
誑惑
(
けうわく
)
されて、
216
その
大切
(
たいせつ
)
なる
使命
(
しめい
)
を
忘却
(
ばうきやく
)
し、
217
かかる
変説
(
へんせつ
)
改論
(
かいろん
)
の
醜
(
しう
)
を
演
(
えん
)
じたるには
非
(
あら
)
ざるか。
218
熟考
(
じゆくかう
)
すればするにつけ
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちぬことのみ、
219
如何
(
いか
)
にしても、
220
吾
(
われ
)
らは
何処
(
どこ
)
までも
疑
(
うたが
)
はざるを
得
(
え
)
ぬ。
221
要
(
えう
)
するに、
222
今回
(
こんくわい
)
の
会議
(
くわいぎ
)
は
怪
(
くわい
)
より
始
(
はじ
)
まりて
怪
(
くわい
)
に
終
(
をは
)
るにあらざるか。
223
吾々
(
われわれ
)
は
国祖
(
こくそ
)
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
聖慮
(
せいりよ
)
に
背
(
そむ
)
き、
224
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
制定
(
せいてい
)
になれる
八王神
(
やつわうじん
)
の
聖座
(
せいざ
)
を
撤廃
(
てつぱい
)
し、
225
野武士
(
のぶし
)
的
(
てき
)
神政
(
しんせい
)
を
樹立
(
じゆりつ
)
せむとする
悪平等
(
あくべうどう
)
主義
(
しゆぎ
)
の、
226
反逆
(
はんぎやく
)
的
(
てき
)
目的
(
もくてき
)
を
根底
(
こんてい
)
より
破壊
(
はくわい
)
せむとの、
227
国祖
(
こくそ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
に
出
(
い
)
づる
諸神人
(
しよしん
)
への
厳
(
きび
)
しき
懲戒
(
ちやうかい
)
の
鞭
(
むち
)
を
加
(
くは
)
へさせたまひしものと
断
(
だん
)
ぜざるを
得
(
え
)
ず。
228
ゆゑに
吾々
(
われわれ
)
は
失礼
(
しつれい
)
ながら
今日
(
こんにち
)
かぎり
本会議
(
ほんくわいぎ
)
を
脱退
(
だつたい
)
せむ。
229
諸神司
(
しよしん
)
よろしく
吾々
(
われわれ
)
の
行動
(
かうどう
)
をもつて
本会議
(
ほんくわいぎ
)
を
乱
(
みだ
)
すものとなす
勿
(
なか
)
れ』
230
と
声
(
こゑ
)
に
力
(
ちから
)
をこめて
述
(
の
)
べをはり、
231
降壇
(
かうだん
)
せむとするや、
232
『
暫
(
しばら
)
く、
233
しばらく』
234
と
大声
(
たいせい
)
に
呼
(
よ
)
ばはる
神司
(
しんし
)
ありける。
235
(
大正一〇・一二・二三
旧一一・二五
出口瑞月
)
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