霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一〇章 (くも)天井(てんじやう)〔一六〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第2篇 天地暗雲 よみ(新仮名遣い):てんちあんうん
章:第10章 雲の天井 よみ(新仮名遣い):くものてんじょう 通し章番号:160
口述日:1921(大正10)年12月17日(旧11月19日) 口述場所: 筆録者:出口瑞月 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
突然会場に入ってきた八島姫は壇上に駆け上がったが、会場の中からさらにもう一人の八島姫が現れて、壇上では八島姫が三人になってしまった。
一方、モスコーから春日姫が来場した、という知らせが入った。入ってきた春日姫は壇上に登り、春日姫も二人になってしまった。
今度は、竜宮城から常世姫が帰還した、という知らせが入り、壇上で最初の常世姫と口論を始めた。
この混乱の知らせを聞いた八王大神は驚いて、会場に急行した。八王大神が会場に到着すると、我こそは本物の八王大神である、ともう一人の八王大神が会場にやってきて登壇した。八王大神は怒って、後から来た八王大神と争いを始めた。
すると中空に声があり、八王大神らをあざ笑った。諸神は驚いて天井を見上げると、そこは天井ではなく、数万の星が明滅する天の川原がはっきりと見えた。
行成彦は、これは常世会議が国祖の神勅律法を無視した報いである、よろしく足元を見よ、と怒号した。そこは常世城の大広間ではなく、一同は泥田の中に座っていたのであった。
八王大神以下は不明を悟り、第三回の会議は、天地の大神に対して祝詞を奏上し供物を献じ、神界の許しを得て行うこととなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0410
愛善世界社版:61頁 八幡書店版:第1輯 394頁 修補版: 校定版:65頁 普及版:29頁 初版: ページ備考:
001 南高山(なんかうざん)より八島姫(やしまひめ)来場(らいぢやう)せりとの急報(きふはう)は、002諸神人(しよしん)耳朶(じだ)に、003晴天(せいてん)霹靂(へきれき)のごとくに(とどろ)きわたりけり。004八島姫(やしまひめ)盛装(せいさう)()らして、005諸神人(しよしん)列座(れつざ)(まへ)をはづかしげに一礼(いちれい)して(とほ)りぬけ、006ただちに壇上(だんじやう)(のぼ)りたり。007ここに毫末(がうまつ)差異(さい)なき八島姫(やしまひめ)二柱(ふたはしら)あらはれたるなり。008このとき(また)もや、
009八島姫(やしまひめ)ここにあり』
010(ぢやう)一隅(いちぐう)よりまたもや(おな)八島姫(やしまひめ)(あら)はれ壇上(だんじやう)(のぼ)りける。011衣服(いふく)(いろ)といひ、012頭髪(とうはつ)(つや)といひ、013面貌(めんばう)といひ、014()(たか)さといひ、015分厘(ふんりん)()もなきこの光景(くわうけい)()やりたる神人(かみがみ)は、016(ゆめ)かうつつか、017はた(まぼろし)かと、018(たがひ)()をこすり(ほほ)をつめれども(ゆめ)でもうつつでも(まぼろし)でもなかりける。019この(とき)
020『モスコーの城主(じやうしゆ)八王神(やつわうじん)道貫彦(みちつらひこ)(むすめ)春日姫(かすがひめ)来城(らいじやう)あり』
021との急報(きふはう)あり。022諸神人(しよしん)はまたもや不審(ふしん)(まゆ)をひそめゐる(さい)023悠然(いうぜん)として()りきたる絶世(ぜつせい)美人(びじん)あり。024美人(びじん)列座(れつざ)神人(かみがみ)叮嚀(ていねい)一礼(いちれい)し、025ただちに中央(ちうあう)壇上(だんじやう)(のぼ)りたれば、026春日姫(かすがひめ)はまたもや二人(ふたり)ならびたり。027いづれを()ても花菖蒲(はなあやめ)028正非(せいひ)区別(くべつ)つかざりにける。
029 この(とき)
030竜宮城(りうぐうじやう)(ひさ)しく(いで)たまひし八王(やつわう)大神(だいじん)(つま)常世姫(とこよひめ)()帰城(きじやう)あり』
031報告(はうこく)する使神(ししん)あり。
032 常世姫(とこよひめ)顔色(かほいろ)(へん)じていふ、
033常世姫(とこよひめ)(わらは)なり、034(なん)(わらは)のほかに常世姫(とこよひめ)あらむや』
035絶叫(ぜつけう)する。036このとき(きぬ)ずれの(おと)しとやかに()りきたる女性(によしやう)は、037常世姫(とこよひめ)そのままなりき。038女性(によしやう)列座(れつざ)神人(かみがみ)一礼(いちれい)して(ただ)ちに壇上(だんじやう)(のぼ)る。039またもや二人(ふたり)常世姫(とこよひめ)(あら)はれたるなり。040大広間(おほひろま)中央(ちうあう)高座(かうざ)(つき)(ゆき)(はな)にも(まが)()常世姫(とこよひめ)041()春日姫(かすがひめ)042(さん)八島姫(やしまひめ)美人(びじん)(たち)ならび、043じつに立派(りつぱ)なるものなりき。044これを七柱(ななはしら)女神(めがみ)(たれ)いふとなく()ひふらす(もの)ありける。
045 以前(いぜん)より(あら)はれゐたる常世姫(とこよひめ)柳眉(りうび)逆立(さかだ)て、
046(なんぢ)いづれの邪神(じやしん)にや、047かかる神聖(しんせい)なる議場(ぎぢやう)突然(とつぜん)()りきたりて、048(わらは)同様(どうやう)姿(すがた)(へん)じ、049この聖場(せいぢやう)(けが)さむとするや。050いでや(なんぢ)(ばけ)(かは)をぬぎ、051正体(しやうたい)(あら)はしてくれむ』
052といふより(はや)く、053(あと)常世姫(とこよひめ)にむかつて組付(くみつ)けば、054(あと)女神(によしん)(こゑ)()りあげ、
055(なんぢ)こそは(しん)妖怪(えうくわい)変化(へんげ)なり、056(いま)にその正体(しやうたい)(あら)はし、057神人(しんじん)()(さま)しくれむ』
058といふより(はや)く、059(ほそ)(しろ)(うで)(まく)りて丁々(ちやうちやう)発止(はつし)()ちすゑたり。
060 八王(やつわう)大神(だいじん)従者(じゆうしや)道彦(みちひこ)急報(きふはう)におどろき愴惶(そうくわう)として議場(ぎぢやう)(はし)りきたり、061常世姫(とこよひめ)以下(いか)女性(ぢよせい)のあまた並立(へいりつ)せるに(あき)れはて、062いづれをそれと分別(ふんべつ)しかねて()(ひか)らせ、063直立(ちよくりつ)不動(ふどう)(てい)七柱(ななはしら)女神(によしん)様子(やうす)凝視(ぎようし)しゐたり。064常世姫(とこよひめ)八王(やつわう)大神(だいじん)姿(すがた)()るや、065()びかかつて()きはじめたるに、066またもや一人(ひとり)常世姫(とこよひめ)八王(やつわう)大神(だいじん)()びかかり()きつく。067春日姫(かすがひめ)二人(ふたり)一度(いちど)八王(やつわう)大神(だいじん)にむかつて、
068(わらは)こそは真正(しんせい)春日姫(かすがひめ)なり』
069『いな(かれ)偽神(ぎしん)なり。070真正(しんせい)春日姫(かすがひめ)(わらは)なり、071かならず見過(みあや)まりたまふな』
072()いて(だき)つかむとするや、073一方(いつぱう)八島姫(やしまひめ)は、
074(わらは)こそ真正(しんせい)八島姫(やしまひめ)なり、075()偽神(ぎしん)なり』
076『いな(わらは)こそ(しん)八島姫(やしまひめ)なり』
077『いな(わらは)なり』
078(おな)姿(すがた)三柱(みはしら)(ひめ)は、079四方(しはう)八方(はつぱう)より八王(やつわう)大神(だいじん)()りまき、080一寸(いつすん)(うご)かさず。081八王(やつわう)大神(だいじん)五里(ごり)霧中(むちゆう)彷徨(はうくわう)するの(おも)ひにて、082真偽(しんぎ)判別(はんべつ)(くる)しむ(をり)しも、
083八王(やつわう)大神(だいじん)これにあり、084偽神(ぎしん)八王(やつわう)大神(だいじん)面会(めんくわい)せむ』
085大音声(だいおんじやう)()ばはりながら悠々(いういう)として()りきたり、086中央(ちうあう)高座(かうざ)(のぼ)れば、087八王(やつわう)大神(だいじん)烈火(れつくわ)のごとく(いきどほ)り、
088(なんぢ)何神(なにがみ)なれば()()(いつは)りて、089この神聖(しんせい)なる議場(ぎぢやう)攪乱(かくらん)せむとするや、090()(もの)()せてくれむ』
091と、092後来(こうらい)八王(やつわう)大神(だいじん)にむかつて()つてかかり、093八王(やつわう)大神(だいじん)八王(やつわう)大神(だいじん)(たがひ)(しのぎ)(けづ)りて壇上(だんじやう)(いど)みあひ、094(つひ)には()(みだ)れて前後(ぜんご)八王(やつわう)大神(だいじん)判別(はんべつ)(うしな)ふに(いた)りける。095列座(れつざ)神人(かみがみ)(きつね)(つま)まれたるごとき(かほ)して見入(みい)るばかりなりけり。096たちまち中空(ちうくう)(こゑ)あり、
097常暗(とこやみ)()常世(とこよ)(くに)常世彦(とこよひこ)098その(つま)常世姫(とこよひめ)099それに(したが)八島姫(やしまひめ)100こンな不審(ふしん)三柱(みはしら)の、101女神(によしん)(こころ)(やみ)()に、102(はな)をつままれ(はな)()られ、103春日(かすが)(ひめ)のかすかにも、104(ひかり)さへ()常世国(とこよのくに)105列座(れつざ)(かみ)(むね)(うち)106みな常暗(とこやみ)となりにけり、107みな常暗(とこやみ)となりにけり。108アハヽヽハのアハヽヽヽ』
109声高(こゑたか)らかに(わら)ふ。110諸神(しよしん)一斉(いつせい)(こゑ)する(はう)(そら)をながむれば、111天井(てんじやう)(かた)()りつめられたる常世城(とこよじやう)大広間(おほひろま)(うへ)には、112数万(すうまん)(ほし)明滅(めいめつ)し、113(あま)川原(かはら)(あき)らかに()えきたりける。114このとき行成彦(ゆきなりひこ)(おほい)(わら)つていふ、
115常暗(とこやみ)()神人(かみ)たちよ、116国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)神勅(しんちよく)律法(りつぱふ)無視(むし)したる天罰(てんばつ)覿面(てきめん)なり。117諸神(しよしん)はよろしく各自(かくじ)脚下(あしもと)熟視(じゆくし)されよ』
118怒号(どがう)したりければ、119八王(やつわう)大神(だいじん)はじめ列座(れつざ)神人(かみがみ)は、120ふと()がつき四辺(しへん)()れば、121足下(あしもと)のじるき泥田(どろた)のなかに、122(どろ)まぶれになりて(すわ)りゐたること明白(めいはく)となりきたりぬ。123常世城(とこよじやう)大広間(おほひろま)巍然(ぎぜん)として(はるか)遠方(ゑんぱう)(そび)えゐたり。124常世彦(とこよひこ)125常世姫(とこよひめ)背後(はいご)には、126あまたの邪鬼(じやき)127妖狐(えうこ)のつねに憑依(ひようい)して悪業(あくげふ)(すす)めつつありしが、128正義(せいぎ)神人(しんじん)には()つべからず。129この(とき)のみはさすがの悪竜(あくりう)金毛(きんまう)九尾(きうび)悪狐(あくこ)も、130その魔術(まじゆつ)(おこな)ふに(よし)なく、131だます(きつね)正義(せいぎ)白狐(びやくこ)にすつかりだまされて、132(ぬぐ)ふべからざる末代(まつだい)(はぢ)天地(てんち)にさらしたるなり。
133 ここに目覚(めざ)めたる八王(やつわう)大神(だいじん)以下(いか)満座(まんざ)神人(かみがみ)は、134第一(だいいち)国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)認許(にんきよ)()ざれば、135何事(なにごと)成就(じやうじゆ)せざることを心底(しんてい)より悟了(ごれう)し、136第三回(だいさんくわい)会議(くわいぎ)よりは、137天地(てんち)大神(おほかみ)にたいして祝詞(のりと)奏上(そうじやう)供物(くもつ)(けん)じ、138神界(しんかい)(ゆる)しを()て、139その(のち)何事(なにごと)にも着手(ちやくしゆ)すべきものなることを、140(ふか)感得(かんとく)したりける。
141大正一〇・一二・一七 旧一一・一九 出口瑞月
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