霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 大怪物(だいくわいぶつ)〔一六四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第2篇 天地暗雲 よみ(新仮名遣い):てんちあんうん
章:第14章 大怪物 よみ(新仮名遣い):だいかいぶつ 通し章番号:164
口述日:1921(大正10)年12月18日(旧11月20日) 口述場所: 筆録者:出口瑞月 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
大島別の従臣・玉純彦が壇上に登った。そして口からでまかせの歌を面白おかしく歌い始めた。
その歌は、第二回までの会議の混乱を風刺し、八王大神・大自在天らの部下が次々と不吉に見舞われたことを面白おかしく歌ったが、そのことで、常世会議が八王大神の野心を満たすために開かれていることを暗示していた。
歌の面白さと美声に酔っていた諸神がふと壇上を見ると、そこには玉純彦ではなく恐ろしい姿をした荒神が鉄棒を引っさげ、八王大神をにらみつけていた。さすがの八王大神も諸神も、この光景に肝をくじかれてしまった。
恐ろしい荒神は次第に煙のように消えてしまった。玉純彦はずっと、自分の席に居眠りしており、この間のことはまったく感知していなかったのである。
こうしてまた、うやむやのうちに第三回の会議も閉幕となってしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0414
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第1輯 402頁 修補版: 校定版:89頁 普及版:40頁 初版: ページ備考:
001 ここに大島別(おほしまわけ)従臣(じゆうしん)たる玉純彦(たますみひこ)は、002八王(やつわう)大神(だいじん)(ゆる)しを()威勢(ゐせい)よく登壇(とうだん)し、003笑顔(ゑがほ)(たた)へながら満座(まんざ)神司(かみがみ)(くび)一々(いちいち)実検(じつけん)におよび、004両肩(りやうかた)をわざと(そび)やかしながら、
005『アヽ満座(まんざ)神司(かみがみ)よ、006(みみ)(あな)清潔法(せいけつはふ)執行(しつかう)し、007風通(かぜとほ)しを()くして(もつ)て、008()()ぶるところの高論(かうろん)卓説(たくせつ)謹聴(きんちやう)せられよ。009(われ)こそは、010南高山(なんかうざん)(かく)れなき雷名(らいめい)天地(てんち)(とどろ)(わた)八王神(やつわうじん)大島別(おほしまわけ)第一(だいいち)重臣(ぢうしん)のその従臣(じゆうしん)011(また)その従臣(じゆうしん)なる玉純彦(たますみひこ)とは()がことなり。012()()るとも(くも)るとも、013常世(とこよ)(しろ)()けるとも、014南高山(なんかうざん)名城(めいじやう)さへ無事(ぶじ)ならば(がう)痛痒(つうよう)(かん)ぜず、015(わら)つてこれを看過(かんくわ)するといふ鷹揚(おうよう)至極(しごく)大英傑(だいえいけつ)大胆者(だいたんもの)玉純彦(たますみひこ)なるぞ。016(ことわざ)にも勇将(ゆうしやう)(した)弱卒(じやくそつ)()し、017(へそ)(した)乳房(ちぶさ)なし、018(くち)(した)()なし、019ただ(まなこ)(くち)(あひだ)には、020かくのごとき(たか)(はな)あるのみ』
021()ひつつ右手(めて)(ゆび)(かた)めて(こぶし)となし、022その(こぶし)(わが)(はな)(うへ)におき、023(ひだり)()(ゆび)(かた)めて(まへ)(ごと)拳骨(げんこつ)(つく)り、024右手(めて)(うへ)(かさ)ねて、025またもや(みぎ)()()いては(ひだり)()(うへ)(かさ)(また)左手(ひだりて)()いては右手(めて)(こぶし)(うへ)(かさ)ね、026(かは)(がは)()()きては(かさ)(うで)上前方(じやうぜんぱう)伸長(しんちやう)して、
027(われ)はかくの(ごと)(はな)(たか)英雄(えいゆう)なれば、028南高山(なんかうざん)鼻形(はながた)役者(やくしや)()てはやさるる、029(はな)()もある(たふと)きものなるぞ。030(はな)(みやこ)(はな)(うた)はれしは、031智仁勇(ちじんゆう)兼備(けんび)(ほまれ)(ほしいまま)にする(わが)玉純彦(たますみひこ)のことなり。032(わが)素性(すじやう)()いて(きも)(つぶ)し、033壇上(だんじやう)より転落(てんらく)し、034(ひぢ)()(くじ)かざる(やう)035登壇(とうだん)さるる諸神人(しよしん)にたいし忠告(ちゆうこく)(あた)ふ』
036と、037広依別(ひろよりわけ)もどきにさも横柄(わうへい)にかまへ、038またもや以前(いぜん)のごとく両手(りやうて)(こぶし)(かは)(がは)(はな)(さき)(たか)(かさ)ねながら、039()()(あし)()みとどろかし、040(ひん)よく面白(おもしろ)(をど)りながら、041即座(そくざ)(くち)から()まかせの(うた)(つく)りける。042その(うた)
043()()痴奇珍(ちきちん)()痴奇珍(ちきちん)
044(そもそも)()()大怪議(だいくわいぎ)
045常世(とこよ)(くに)常世彦(とこよひこ)
046常世(とこよ)(ひめ)()(たん)
047ヤツト(ひら)けた()(くわい)
048真怪(しんくわい)屁和(へいわ)のそのために
049八百(はつぴやく)八十八(はちじふや)(はしら)
050()りに()つたる痴甚幽(ちじんいう)
051惨得(さんとく)犬尾(けんび)誤醜怪(ごしうくわい)
052(おそ)入谷(いりや)鬼子(きし)母神(もじん)
053(おに)悪蛇(あくじや)()念仏(ねんぶつ)
054アカンアカンと()(かね)
055弥勒(みろく)三会(さんゑ)鐘鳴(かねな)らで
056地獄(ぢごく)(もん)()(ひら)
057合図(あひづ)とかねてきく(みみ)
058(みみ)(した)とは極楽(ごくらく)
059(のぼ)壇上(だんじやう)(はり)(やま)
060足並(あしなみ)(いた)(そろ)はぬは
061妙痴(めうち)奇珍(きちん)珍怪議(ちんくわいぎ)
062泥田(どろた)野天(のてん)法螺(ほら)()
063()白狸(しろたぬき)(はら)つづみ
064(かみ)(つら)には(どろ)をぬり
065どこもかしこも泥田(どろた)(ぼう)
066(どろ)つくどんどん(どろ)まぶれ
067(どろ)()ふたる(ふな)のごと
068泥吐(どろは)かされて(わら)はれる
069()ンな馬鹿(ばか)げた失態(しつたい)
070常世(とこよ)何処(いづこ)(さが)しても
071またと()るまい赤愧(あかはぢ)
072あたまを()いて仰天(ぎやうてん)
073()れば(てん)には(あま)(かは)
074数千万(すうせんまん)(ほし)(かげ)
075ほしいほしいは神界(しんかい)
076総統権(そうとうけん)(のど)()らす
077(ねこ)(かぶ)つた常世彦(とこよひこ)
078常夜(とこよ)(やみ)常世姫(とこよひめ)
079さぞや(こころ)細引(ほそびき)
080(まはし)のやうに右左(みぎひだり)
081(はづ)れた目算(もくさん)桁違(けたちが)
082春日(かすが)(もり)古狐(ふるぎつね)
083(くは)へて()られたモスコーの
084道貫彦(みちつらひこ)(つら)(かは)
085かはいかはいの春日姫(かすがひめ)
086(なが)尻尾(しつぽ)(しり)()
087()かれて八王(やつわう)聖職(せいしよく)
088()てるといつた腰抜(こしぬ)けの
089(しり)からはげて(どろ)(なか)
090なかぬ(ばか)りの(かほ)つきで
091あつもの()つて()りこりし
092(なます)()いた可笑(おか)しさよ
093南高山(なんかうざん)()にし()
094難攻(なんこう)不落(ふらく)鉄城(てつじやう)
095天下(てんか)にほこりし八王(やつわう)
096大島別(おほしまわけ)(しり)()
097八島(やしま)(きつね)につままれて
098一本(いつぽん)(のこ)らず()()られ
099(しろ)よりか(おの)真先(まつさき)
100あばずれ(ひめ)春日女(かすがめ)
101(あい)におぼれて無残(むざん)にも
102(みづか)八王(やつわう)聖職(せいしよく)
103(おと)盲目(めくら)常夜城(とこよじやう)
104野天(のてん)泥田(どろた)(おと)されて
105からしが()いたか(さう)()
106(なみだ)(おと)した可笑(おか)しさよ
107禿()げたあたまは(ひか)れども
108(こころ)(たま)(ひか)りなし
109(はや)身魂(みたま)(みが)きあげ
110玉純彦(たますみひこ)(かみ)となり
111聖地(せいち)(かみ)謝罪(しやざい)せよ
112それが(いや)なら我前(わがまへ)
113三度(さんど)四度(よんど)(しり)まくり
114ワンワンワンと(こゑ)(たか)
115ほえて(まは)れよ禿八王(はげやつわう)
116時世(ときよ)時節(じせつ)()ひながら
117斎代(ときよ)(ひこ)鼻神(はなかみ)
118(はな)をこすつて()をこすり
119()とぼけ(がほ)寝言(ねごと)をば
120百万(ひやくまん)陀羅尼(だらに)蝶舌(しやべ)()
121口先(くちさき)ばかりの大神楽(だいかぐら)
122獅子(しし)(まひ)ならよからうが
123奇想(きさう)天外(てんぐわい)天山(てんざん)
124八王(やつわう)(かみ)唐威張(からゐばり)
125(こころ)(そこ)はドキドキと
126(とどろ)(ふる)ふた斎代彦(ときよひこ)
127(なに)(ゆう)やら蜜柑(みかん)やら
128キンカン(ます)(はか)るやら
129はかり()られぬ(そこ)ぬけの
130(いけ)(ふな)とぞならにやよい
131生血(いきち)(しぼ)()ひに()
132蚊取別(かとりわけ)(がみ)壇上(だんじやう)
133(あら)はれ()でて灰猫(はひねこ)
134手水(てうづ)使(つか)ふその恰好(かつかう)
135ツルリと()でた(くろ)(かほ)
136ピシヤリとたたいて鼻柱(はなばしら)
137(われ)吾手(わがて)()()らし
138()から()()(ひぢ)()
139()つたいいたいと男泣(をとこな)
140()(どく)なりける次第(しだい)なり
141八十(やそ)枉彦(まがひこ)(こし)まがり
142(こころ)(はな)首筋(くびすぢ)
143()()(そろ)ふた曲津(まがつ)(かみ)
144機織(はたおり)バツタの化物(ばけもの)
145稀代(きだい)珍姿(ちんし)怪体(くわいたい)
146もれなく高座(かうざ)(さら)したり
147広依別(ひろよりわけ)のウロウロと
148前後(ぜんご)左右(さいう)壇上(だんじやう)
149大法螺(おほぼら)()いて()(くる)
150蚊取(かとり)(わけ)()(まひ)
151(えん)じてまたもや赤耻(あかはぢ)
152かいてかかれて場外(ぢやうぐわい)
153()()だされし(おろか)さは
154余所(よそ)()()(あはれ)なり
155余所(よそ)()()(あはれ)なり
156()()痴奇珍(ちきちん)()痴奇珍(ちきちん)
157 満場(まんぢやう)諸神司(しよしん)玉純彦(たますみひこ)面白(おもしろ)(ふし)にて(うた)ふその美声(びせい)()はされ、158神聖(しんせい)なる議席(ぎせき)にあるを(わす)れて、159ただ(くち)のみ、160あんぐりとし(みみ)()まし、161()見張(みは)りゐたりける。
162 ふと(おもて)()ぐれば、163(いま)まで玉純彦(たますみひこ)()えしは(あやま)りにて、164仁王(にわう)にまがふ骨格(こつかく)たくましき荒神(あらがみ)は、165(かがみ)のごとき両眼(りやうがん)をカツと見開(みひら)き、166(ふと)鉄棒(てつぼう)をひつさげ壇上(だんじやう)衝立(つつた)ちながら、167八王(やつわう)大神(だいじん)(はう)()つめて火焔(くわえん)のごとき(した)()()しヂリヂリと()めよるにぞ、168さすがの常世彦(とこよひこ)満座(まんざ)諸神司(しよしん)もこの光景(くわうけい)荒胆(あらぎも)をくじかれ、169顔色(がんしよく)(つち)のごとくに(へん)じ、170わなわなと地震(ぢしん)(まご)火事(くわじ)見舞(みまひ)のやうに(ふる)()しける。171この荒神(あらかみ)次第(しだい)々々(しだい)(けむり)のごとく()りて()えたまひける。172()常世(とこよ)西山(せいざん)(うすづ)きて、173(はや)くも黄昏(たそがれ)つぐる長鳴鶏(ながなきどり)(こゑ)とともに、174第三日(だいさんにち)()大会議(だいくわいぎ)はまたもや有耶(うや)無耶(むや)()ぢられたりにけり。175玉純彦(たますみひこ)依然(いぜん)として()(あいだ)自席(じせき)(ねむ)りを(むさぼ)りゐたるなり。176そのため、177この光景(くわうけい)(ゆめ)にも()らざりける。178はたして何神(なにがみ)化身(けしん)なりしぞ。179この怪物(くわいぶつ)正体(しやうたい)はいつの()氷解(ひようかい)さるるならむ。180神諭(しんゆ)(しめ)されたる三千(さんぜん)世界(せかい)大化者(おほばけもの)とは如何(いか)なる(かみ)にましますか、181たいてい推知(すゐち)()べきなり。
182大正一〇・一二・一八 旧一一・二〇 出口瑞月
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