霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一章 天橋立(あまのはしだて)〔五九一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻 篇:第1篇 神軍霊馬 よみ:しんぐんれいば
章:第1章 第16巻 よみ:あまのはしだて 通し章番号:591
口述日:1922(大正11)年04月05日(旧03月09日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
顕恩郷を鬼雲彦から取り戻した神素盞嗚大神の娘たち・八乙女らだったが、鬼雲彦は東に逃げて教線を延ばした。
神素盞嗚大神が千座の置戸を負って追放された後は、五人の娘たちは邪神に囚われて、小さな舟に乗せられて海原に捨てられてしまった。
英子姫は従者の悦子姫とともに舟に捨てられ、長く苦しい航海の末に天の橋立の竜燈松の根元に着いた。
そこへ四五人のバラモン教の捕り手が現れて、英子姫らを探し始めた。しかし捕り手たちは酒に酔っている。鬼虎は英子姫を幽霊だと思って腰を抜かしてしまう。
悦子姫は捕り手たちに霊縛をかけて、その間に主従二人はその場を逃げ出す。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1601
愛善世界社版:11頁 八幡書店版:第3輯 405頁 修補版: 校定版:11頁 普及版:4頁 初版: ページ備考:
001葦原(あしはら)瑞穂(みづほ)(くに)()にしおふ
002メソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)
003ノアの子孫(しそん)(うま)れたる
004ハムの一族(いちぞく)鬼雲彦(おにくもひこ)
005バラモン(けう)(たて)となし
006霊主体従(れいしゆたいじう)標榜(へうぼう)
007(うつつ)()をば(かろ)んじて
008(たま)行方(ゆくへ)幽界(かくりよ)
009堅磐常磐(かきはときは)住所(すみか)ぞと
010(をし)(さと)すはよけれども
011名実(めいじつ)(とも)(かな)はねば
012(しこ)曲事(まがごと)()(つき)
013(うしほ)(ごと)(ひろ)がりて
014(あめ)(した)なる神人(しんじん)
015(くるし)(もだ)村肝(むらきも)
016(こころ)ねぢけて()(つき)
017()常暗(とこやみ)(くも)()
018八岐大蛇(やまたをろち)醜狐(しこぎつね)
019醜神(しこがみ)(ひき)ゐる曲鬼(まがおに)
020言向和(ことむけやは)(ゆたか)なる
021(かみ)御国(みくに)()てむとて
022(めぐみ)(ひろ)瑞霊(みづみたま)
023神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)
024(をしへ)(ひら)八乙女(やおとめ)
025(うづ)御子(みこ)をば(つか)はして
026鬼雲彦(おにくもひこ)身辺(しんぺん)
027見守(みまも)(たま)曲神(まがかみ)
028(しこ)(たけ)びを(しづ)めむと
029三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
030肝太玉(きもふとだま)(みこと)をば
031(つか)はし(たま)八乙女(やおとめ)
032(こころ)(あは)(ちから)をば
033(ひと)つになして顕恩郷(けんおんきやう)
034(をさ)(たま)ひし折柄(をりから)
035(くも)(かすみ)()()りし
036バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)
037鬼雲彦(おにくもひこ)一類(いちるゐ)
038フサの(くに)をば打渡(うちわた)
039あちらこちらに教線(けうせん)
040()きつつ(すす)()(ちから)
041()かる(とき)しも天教山(てんけうざん)
042高天原(たかあまはら)大御神(おほみかみ)
043(あま)岩戸(いはと)(かく)ろひて
044(くら)さは(くら)烏羽玉(うばたま)
045(やみ)(さまよ)()(なか)
046(ひと)(うれ)ひに()()りて
047(とき)得顔(えがほ)曲神(まがかみ)
048益々(ますます)(すさ)()めにけり
049神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)
050千座(ちくら)置戸(おきど)()はせつつ
051何処(いづく)(あて)(なが)(たび)
052姿(すがた)(かく)して千万(ちよろづ)
053(なや)みに()はせ(たま)ひつつ
054八千八声(はつせんやこゑ)時鳥(ほととぎす)
055()()(おも)ひの(たび)(そら)
056(とほ)(ちか)きの(へだ)てなく
057八洲(やしま)(くに)漂浪(さすらひ)
058御身(おんみ)(はて)(あはれ)なる
059(いきほひ)(たけ)竜神(たつがみ)
060(とき)()ざれば()(ひそ)
061蠑螈(いもり)蚯蚓(みみづ)()()てて
062(ちり)(あくた)(ひそ)むごと
063高天原(たかあまはら)()(たか)
064皇大神(すめおほかみ)(おとうと)
065(うま)()でたる大神(おほかみ)
066いと浅猿(あさま)しき罪神(つみがみ)
067(あや)しき御名(みな)(つつ)まれて
068(こころ)(くも)五月空(さつきぞら)
069(そら)()(くも)(はて)しなく
070(おや)(はな)れし雛鳥(ひなどり)
071(いと)しき五人(ごにん)姫御子(ひめみこ)
072(こころ)(きたな)曲神(まがかみ)
073捕虜(とりこ)となりて(いた)はしく
074(しほ)八百路(やほぢ)八潮路(やしほぢ)
075大海原(おほうなばら)捨小船(すてをぶね)
076(なみ)のまにまに(ただよ)ひつ
077海路(うなぢ)(とほ)竜宮(りうぐう)
078魔神(まがみ)(たけ)(ひと)(じま)
079自転倒島(おのころじま)錫蘭(しろ)(しま)
080常世(とこよ)(くに)智利(てる)(くに)
081(なみ)のまにまに(なが)されて
082ここに姉妹(おとどひ)五柱(いつはしら)
083詮術(せんすべ)さへも(なみ)(うへ)
084(なみだ)(あめ)にうるほひつ
085(あめ)(かぜ)(しも)()たれつつ
086漂泊(さすら)(たま)ふぞ(いぢら)しき
087神素盞嗚(かむすさのを)大神(おほかみ)
088(みたま)()れます八柱(やはしら)
089乙女(おとめ)(なか)にも(ひい)でたる
090姿(すがた)(やさ)しき英子姫(ひでこひめ)
091(みめ)(かたち)悦子姫(よしこひめ)
092待女(じぢよ)(ひき)つれ()()てし
093(あやふ)生命(いのち)捨小船(すてをぶね)
094何時(いつ)()にやら日数(ひかず)(かさ)
095(とし)二八(にはち)若狭湾(わかさわん)
096()行先(ゆくさき)はどうなりと
097成生(なりふ)(みさき)(あと)にして
098昨日(きのふ)経ケ岬(きやうがみさき)をば
099右手(めて)(なが)めて宮津湾(みやづわん)
100神伊弉諾(かむいざなぎ)大神(おほかみ)
101いねます(うち)(たふ)れしと
102()(つた)へたる(なみ)(うへ)
103(なが)()かべる橋立(はしだて)
104()()()えて成相(なりあひ)
105(やま)(あらし)()かれつつ
106(やうや)心地(ここち)与謝(よさ)(うみ)
107(なみ)(やはら)竜灯(りうとう)
108(まつ)根元(ねもと)()きにける。
109 二人(ふたり)(ふね)()てて、110竜灯松(りうとうまつ)根元(ねもと)(やうや)上陸(じやうりく)したり。111折柄(をりから)烈風(れつぷう)海面(かいめん)()で、112(みね)()(わた)松風(まつかぜ)(おと)は、113一層(ひとしほ)寂寥(せきれう)(かん)(あた)へたり。114(さむ)()()夕暮(ゆふぐれ)(そら)115ねぐら(もと)めて立帰(たちかへ)(からす)(むれ)幾千羽(いくせんば)116カワイカワイと()()(なが)ら、117大江山(おほえやま)方面(はうめん)()して(かけ)()く。118(くも)(ころも)(やぶ)れて、119処々(ところどころ)より天書(ほし)(ひかり)(またた)(はじ)めける。120二人(ふたり)路傍(ろばう)(こし)(おろ)し、121()(かた)行末(ゆくすゑ)()(あん)(わづら)ひつつ、122ヒソビソ物語(ものがた)る。
123悦子姫(よしこひめ)英子姫(ひでこひめ)(さま)124メソポタミヤの顕恩郷(けんおんきやう)立出(たちい)でましてより、125情無(つれな)魔神(まがみ)(ため)に、126()()てたる(ふね)()せられ、127押流(おしなが)された(とき)(こと)(おも)へば、128(ゆめ)(やう)御座(ござ)いますなア。129それにしても、130君子姫(きみこひめ)(さま)(はじ)め、131四人(よにん)(ひめ)(さま)は、132どふやも(はか)(がた)しうなられましたでせう、133……貴女(あなた)御無事(ごぶじ)此処(ここ)へお()きになつたに()いて、134四柱(よはしら)姫君様(ひめぎみさま)御身(おみ)(うへ)135(こころ)にかかる(ふゆ)(そら)136(つれ)()(こがらし)()()くられ、137(つめ)たき(ひと)のさいなみに、138(こころ)(くだ)かせ(たま)139(しか)(なが)此処(ここ)もやつぱり鬼雲彦(おにくもひこ)縄張(なはばり)(うち)140ウカウカすれば、141(また)もや如何(いか)なる憂目(うきめ)にあはされむも(はか)られませぬ。142一時(いちじ)(はや)森林(しんりん)()(しの)び、143一夜(ひとや)()かし、144山越(やまごし)聖地(せいち)()して(まゐ)りませうか』
145英子姫(ひでこひめ)『アさうだな、146長居(ながゐ)(おそ)れ、147(なん)とかせなくてはなりますまい。148それに(つい)ても姉妹(きやうだい)四人(よにん)()(うへ)149今頃(いまごろ)何処(いづく)(はて)(なや)(わづら)ふならむか』
150(くび)(かたむ)け、151(しば)(なみだ)(しづ)む。152(しば)しあつて英子姫(ひでこひめ)(かうべ)をあげ、
153『アヽ(おも)ふまい(おも)ふまい、154何事(なにごと)刹那心(せつなしん)155惟神(かむながら)(まか)すより(みち)はない、156サア悦子姫(よしこひめ)157(いそ)ぎませう』
158立上(たちあが)らむとする(ところ)へ、159近付(ちかづ)(きた)四五人(しごにん)(をとこ)(こゑ)160ハツと(おどろ)()げむとする(とき)しも如何(いかが)はしけむ、161英子姫(ひでこひめ)(その)()にピタリと(たふ)れたり。162悦子姫(よしこひめ)(さぐ)(さぐ)りて磯端(いそばた)(みづ)()(すく)(くち)(ふく)み、163英子姫(ひでこひめ)面部(めんぶ)目蒐(めが)けて伊吹(いぶき)狭霧(さぎり)()きかけたるに、164英子姫(ひでこひめ)(やうや)くにして(かほ)をあげ、
165『アヽ悦子姫(よしこひめ)どの、166(また)もや吾身(わがみ)(おそ)持病(ぢびやう)(しやく)167モウ()うなつては一足(ひとあし)(ある)かれませぬ、168(てき)(とら)はれては一大事(いちだいじ)169そなたは(わらは)(かま)はず()(この)()()()びなさい。170サア(はや)(はや)く』
171(くる)しき(いき)(した)より()()つるを、172悦子姫(よしこひめ)(なみだ)(ふる)(なが)ら、
173姫君様(ひめぎみさま)174(なん)(あふ)せられます。175大切(たいせつ)主人(しゆじん)危難(きなん)見棄(みす)てて、176どうして()れが()げられませうか、177仮令(たとへ)如何(いか)なる運命(うんめい)(おちい)(とも)178主従(しゆじゆう)死生(しせい)(とも)にし、179未来(みらい)(かなら)一蓮托生(いちれんたくしやう)()らせ(たま)ひしお(ことば)は、180(わらは)(むね)(ふか)(きざ)()まれ、181一日片時(ひとひかたとき)(わす)れた(ひま)とては御座(ござ)いませぬ。182どうぞ(わらは)介抱(かいほう)させて(くだ)さいませ』
183()()しにければ、184英子姫(ひでこひめ)は、
185『エヽ聞分(ききわ)けのない悦子姫(よしこひめ)186(わらは)病身(びやうしん)(からだ)187仮令(たとへ)(この)()無事(ぶじ)(のが)るればとて、188(ふたた)繊弱(かよわ)(をんな)()の、189何時(いつ)(やまひ)(をか)され、190悪神(あくがみ)(ため)(とら)はるるやも(はか)(がた)し、191(なんぢ)一刻(いつこく)(はや)(この)()立去(たちさ)り、192聖地(せいち)をさして(すす)()かれよ』
193 悦子姫(よしこひめ)(くび)()り、
194『イエイエ、195(なん)(おほ)せられても、196(この)()()ることは(しの)ばれませぬ』
197『エヽ聞分(ききわ)けのない、198主人(しゆじん)言葉(ことば)(なんぢ)(そむ)くか。199(わらは)(いま)より主従(しゆじゆう)(えん)()るぞゑ』
200姫君様(ひめぎみさま)201(えん)()るとはお(なさけ)()(その)言葉(ことば)……』
202()ふより(はや)く、203(やみ)(ひらめ)両刃(もろは)短刀(たんたう)204英子姫(ひでこひめ)は、205(やまひ)(くるし)()打忘(うちわす)れ、206手早(てばや)悦子姫(よしこひめ)(うで)を、207(ちから)(かぎ)りに(にぎ)()め、208涙声(なみだごゑ)
209(はや)まるな悦子姫(よしこひめ)210其方(そなた)壮健(さうけん)なる()(うへ)211一日(ひとひ)(なが)()(なが)らへて、212(わが)(ちち)(めぐ)()ひ、213(わらは)姉妹(おとどひ)消息(せうそく)(つた)へて()れねばならぬ。214サアどうぞ()取直(とりなほ)し、215一刻(いつこく)(はや)(この)()()つて(くだ)さい、216………アレあの(とほ)間近(まぢか)(きこ)える人々(ひとびと)(こゑ)217見付(みつ)けられては一大事(いちだいじ)218(はや)(はや)く……』
219()()(たま)へば、
220『ぢやと(まを)して()れが、221どうして見逃(みのが)せませう。222仮令(たとへ)主従(しゆじゆう)(えん)()られても、223()れが見棄(みす)てて()けませうか』
224主人(しゆじん)一生(いつしやう)(たの)みぢや、225どうぞ(この)()立去(たちさ)つて(くだ)さい。226()()(うち)にも(ひと)足音(あしおと)サア(はや)(はや)く』
227小声(こごゑ)()()てる。228悦子姫(よしこひめ)後髪(うしろがみ)()かるる心地(ここち)して、229(この)()見棄(みす)てかね、230(こころ)(ふた)つに()(ひと)つ、231(むね)(くだ)(とき)こそあれ、232四五人(しごにん)荒男(あらをとこ)(すす)(きた)り、233(やや)酒気(しゆき)()びたる銅羅声(どらごゑ)にて、
234『ナナ(なん)だ、235(はや)(この)()立去(たちさ)れとは、236それや(たれ)()かすのだい、237立去(たちさ)るも、238立去(たちさ)らぬ、239もあつたものかい、240(おれ)(いま)大江山(おほえやま)御大将(おんたいしよう)命令(めいれい)()けて、241此処(ここ)漂着(へうちやく)して()(はず)の、242二人(ふたり)(あま)つちよ(とら)まへようと(おも)つて、243立現(たちあら)はれた(ところ)だ。244立去(たちさ)れも(くそ)()つたものかい、245………ヘン、246(ひと)馬鹿(ばか)にするない、247石熊(いしくま)野郎(やらう)め、248貴様(きさま)何時(いつ)(くら)がりになると()(たい)(わる)い、249(をんな)泣声(なきごゑ)()しよつて………チツト(をとこ)らしうせないかい』
250()ひつつ拳骨(げんこつ)(かた)めて、251一人(ひとり)(をとこ)(よこ)(つら)をポカンと()つたり。
252 石熊(いしくま)は、
253『アイタタ、254コラ鬼虎(おにとら)(やつ)255馬鹿(ばか)にしやがるない』
256(また)もや、257石熊(いしくま)は、
258『サア返礼(へんれい)だ』
259()ふより(はや)く、260鬼虎(おにとら)(よこ)(つら)(つづ)(うち)に、261(うで)()れるほど(なぐ)()ける。262(その)(はづみ)鬼虎(おにとら)はヨロヨロとヨロめいて、263二人(ふたり)(むすめ)(うへ)にドサンと(たふ)れ、264鬼虎(おにとら)は、
265『ワアー、266(おそ)ろしい、267……ヤイヤイ()やがつた、268()(なが)い……(いろ)(あを)い、269(つめた)(やつ)ぢや。270コラ(みな)(やつ)271(おれ)()れて()げぬかい』
272 石熊(いしくま)は、273(くら)がりより、
274『アハヽヽヽ、275(ざま)()やがれ、276臆病者(おくびやうもの)()が……オイオイ(みな)連中(れんぢう)277彼奴(あいつ)ア、278(さけ)(くら)()つて、279あんな(ゆめ)()やがつたのだ、280ウツカリ(そば)()かうものなら、281(くら)がりに握拳(にぎりこぶし)()(まは)されて、282目玉(めだま)()んで()るような()()はされるぞ。283……()くな()くな、284まあジツと()ひの()める(まで)285容子(ようす)()()らうぢやないか……アーア(おれ)大分(だいぶ)(ゑひ)がまはつた、286どうやら(あし)隠居(いんきよ)した(やう)だワイ』
287 一人(ひとり)(をとこ)大声(おほごゑ)で、
288一体(いつたい)汝等(なんぢら)289(なん)(ため)沢山(たくさん)手当(てあて)(もら)つて偵察(ていさつ)(ある)いて()るのだい……(その)(あし)(なん)だ、290肝腎要(かんじんかなめ)正念場(しやうねんば)になつて、291(あし)()られると()(こと)があるものかい、292チツと(しつか)りせないか』
293石熊(いしくま)()るとも()るとも、294(おれ)やアル(ちう)だ』
295男『アルチウと()つても、296(ある)いて()らぬぢやないか』
297『アルコール中毒(ちうどく)だ、298邪魔(じやま)(くさ)いから、299アル(ちう)()つたのだい、300………アーア、301もう一足(ひとあし)もアル(ちう)(こと)出来(でき)(やう)になつたワイ………。302コラ熊鷹(くまたか)野郎(やらう)303貴様(きさま)(なん)だ、304他人(ひと)にばつかり偉相(えらさう)()ひよつて……貴様(きさま)(あし)(へん)テコぢやないか』
305熊鷹(くまたか)『チチチツと、306なんだ、307(なん)して……()るものだから、308いまこそは、309千鳥(ちどり)にあらめノチハ、310ナトリニアラムヲ、311イノチハ、312ナシセタマヘソ、313イシトウヤ、314アマハセヅカイ、315アマノハシダテ、316二人(ふたり)(をんな)見失(みうしな)ひ、317鬼雲彦(おにくもひこ)(さま)に、318コトノカタリゴトモコウバだ、319アハヽヽヽ。320アヲヤマニ、321ヒガカクラバ、322ヌバタマノヨハイデナン、323アサヒノ、324エミサカヘキテ、325タクヅヌノ、326シロキタダムキ、327アワユキノ、328ワカヤルムネヲ、329ソダタキ、330タタキマナガリ、331マタマデタマデ、332サシマキ、333モモナガニ、334イヲシナセ、335トヨミキタテマツラセ……てな(こと)(うち)(やま)神様(かみさま)()仰有(おつしや)りまして、336ついトヨミキをアカニノホに(きこ)()したのだ。337神酒(みき)甕瓶(みかのへ)(たか)しり、338(みか)のはら()(なら)べて、339海河山野(うみかはやまぬの)種々(くさぐさ)珍物(うましもの)横山(よこやま)(ごと)く、340うまらに、341つばらに飲食(きこしめ)し、342大海原(おほうなばら)(ふね)()(つづ)けて、343(くが)より()(みち)を、344()()(ゆひ)かため、345(こま)(つめ)(いた)(とど)まる(かぎ)り、346………熊鷹(くまたか)(つめ)は、347随分(ずゐぶん)(なが)いぞ。348愚図々々(ぐづぐづ)()かすと、349石熊(いしくま)菊石面(あばたづら)(つめ)つてやらう、350イヤサ()きむしらうかい、351ウーンウン アハヽヽヽ』
352石熊(いしくま)(なに)(ぬか)すのだい、353役目(やくめ)大切(たいせつ)(いた)さぬかい、354コンナ(ところ)へ、355(くら)まぎれに、356二人(ふたり)(むすめ)()つて()よつたら、357貴様(きさま)どうする(つも)りだ。358彼奴(あいつ)ア、359中々(なかなか)(をんな)似合(にあ)はぬ腕利(うでき)きと()(こと)だ、360経ケ岬(きようがみさき)虎彦(とらひこ)急報(きふはう)()つて、361鬼雲彦(おにくもひこ)より火急(くわきふ)御命令(ごめいれい)362しつかり(いた)さぬと、363反対(あべこべ)にやられて(しま)ふぞ。364アーツ、365エーツ、366ガ、367ガアー、368ガラガラガラガラ』
369 熊鷹(くまたか)は、
370『アア(くさ)いワイ、371(さけ)(めし)混合(こんがふ)した(たき)を、372(ひと)(かほ)(うへ)(なが)しよつて、373……(むね)(わる)い……エエ、374アどうやら(おれ)もへへへへ、375へどが()さうな。376オイコラ、377おとら……ヲヲ(をけ)()()い、378………(せなか)(たた)け、379ガアヽヽヽガラガラガラガラ』
380 鬼虎(おにとら)(ふる)(ごゑ)で、
381『オオオイ、382貴様(きさま)(なに)愚図々々(ぐづぐづ)して()るのだ、383(はや)()ぬかい、384(おれ)をかたげて()げてくれ、385(なん)だか怪体(けたい)な、386ババ化州(ばけしう)()やがつたゾ』
387 石熊(いしくま)は、
388『エー(やかま)(ぬか)すない、389……(おれ)(くち)から大洪水(だいこうずゐ)()て、390人家(じんか)(ほとん)流失(りうしつ)391死傷(ししやう)(さん)なしと()惨状(さんじやう)だ、392貴様(きさま)(たす)ける(どころ)かい、393非常組(ひじやうぐみ)でも繰出(くりだ)して救援(きうゑん)(むか)はぬかい、394ガラガラガラガラ』
395熊鷹(くまたか)『エー()(たい)(わる)い、396合点(がてん)()かぬ()さだナア、397此処(ここ)まで()たと(おも)へば、398(にはか)にピタリと(あし)()まり、399まるで(つち)から()えた()(やう)になつて(しま)つた。400……ヤイ(なん)とかして(おれ)(あし)(うご)(やう)にせぬかい』
401 (くら)がりより、
402(うご)(やう)にせいと()つたつて、403(にはか)に、404(のこ)持合(もちあは)せがないから、405()から()つてやる(わけ)にも()かず、406マア(ふゆ)()て、407()()()り、408枯木(かれき)になる(まで)辛抱(しんばう)したが()からう。409さうすりや(また)410三五教(あななひけう)ぢやないが、411枯木(かれき)(つめ)たい(はな)()かうも()れぬぞ、412ワハヽヽヽ』
413熊鷹(くまたか)『エ、414エ、415どいつも此奴(こいつ)も、416(こし)(よわ)(やつ)(ばか)りだナア』
417鬼虎(おにとら)『ヤーイ、418(みな)(やつ)419どうやら此奴(こいつ)ア、420目的(もくてき)二人(ふたり)(やつ)らしいぞ、421しつかりして生捕(いけどり)にせうぢやないか』
422石熊(いしくま)『ナ、423ナ、424(なん)ぢやア、425貴様(きさま)426最前(さいぜん)から(こし)()けたと()かしよつて、427綺麗(きれい)(をんな)二人(ふたり)(うへ)に、428ムツクリと()()よつたのか、429抜目(ぬけめ)のない(やつ)だのう』
430鬼虎(おにとら)『まだ()()けぬが、431サツパリ(こし)()けたのだ。432……(たれ)(こし)()けぬ(やつ)433()()此奴(こいつ)(しば)らないか。434どうやら(しやく)()こして()るらしい、435(いま)フン(じば)るのなら、436容易(ようい)なものだ……コラ石熊(いしくま)437熊鷹(くまたか)438(はや)()捕縛(ほばく)せよ』
439熊鷹(くまたか)(なん)だか今日(けふ)日和(ひより)(わる)いので、440キヽヽ()()はぬので……ヲヽヽ叔母(をば)命日(めいにち)だから殺生(せつしやう)()めとこかい、441……コラ、442ヤイヤイ石熊(いしくま)443今日(けふ)貴様(きさま)(ばん)だ、444貴様(きさま)手柄(てがら)(ゆづ)つてやらう』
445石熊(いしくま)(おれ)(なん)だか今日(けふ)()(すす)まぬワイ、446女房(にようばう)命日(めいにち)だから、447殺生(せつしやう)はやめとこかい』
448熊鷹(くまたか)『アハヽヽヽ、449貴様(きさま)450女房(にようばう)()つた(こと)のないのに、451命日(めいにち)何処(どこ)にあるか、452馬鹿(ばか)にするない』
453石熊(いしくま)(おれ)女房(にようばう)貴様(きさま)()らぬのか、454ザツと十八人(じふはちにん)だ、455(その)(なか)一番(いちばん)大事(だいじ)のお(はる)今日(けふ)()ンだ()ぢや、456彼女(あれ)(おれ)(みたま)女房(にようばう)だ。457アーア(おも)へば可哀相(かはいさう)(こと)をしたワイ、458オンオンだ』
459鬼虎(おにとら)(なに)()かしやがる、460ソラ(となり)八兵衛(はちべゑ)女房(にようばう)だらう、461間違(まちが)へると()つても、462(かかあ)取違(とりちが)へる(やつ)がどこにあるかい』
463石熊(いしくま)(おれ)勝手(かつて)(おれ)(こころ)女房(にようばう)にして()つたのだ。464アンアンアン、465(おも)へば可憐(いぢ)らしい(こと)をしたワイの、466オンオンだい』
467 英子姫(ひでこひめ)は、
468『ヤア悦子姫(よしこひめ)殿(どの)469(わらは)其方(そなた)親切(しんせつ)なる介抱(かいほう)(こころよ)くなりました。470サアサア二人(ふたり)(そろ)うて()きませう』
471『ハア()れは()れは(うれ)しい(こと)御座(ござ)います、472()れと(まを)すも(まつた)御父(おんちち)神素盞嗚(かむすさのを)の……』
473 英子姫(ひでこひめ)小声(こごゑ)で、
474『シツ』
475(せい)しながら、476(くち)()()てたまへば、477悦子姫(よしこひめ)早速(さつそく)頓智(とんち)
478()れと(まを)すも(まつた)くお(さけ)(かん)(すさ)びましたので、479皆様(みなさま)があの(とほ)り、480(わらは)(たち)余興(よきよう)をして()せて(くだ)さいますのですなア。481ここへお月様(つきさま)でも(あが)つて(くだ)さいましたら、482さぞ面白(おもしろ)(こと)でせうに、483………お(こゑ)(ばか)りで見栄(みばえ)御座(ござ)いませぬ、484(みみ)()て、485()()けとの神様(かみさま)御教(おをしへ)486ホヽヽヽ』
487熊鷹(くまたか)『ヤイヤイヤイ、488貴様(きさま)素盞嗚尊(すさのをのみこと)(むすめ)であらう、489(なに)(ぬか)すのだい、490(みみ)()るの()()くのと、491まるでババ化物(ばけもの)(やう)(こと)(ぬか)(やつ)だ。492コリヤ(をんな)493そこ(うご)くなツ』
494 悦子姫(よしこひめ)は、
495『オホヽヽヽ(みな)さま、496(うご)くなと仰有(おつしや)つても、497(なん)だか(からだ)(ひと)自由自在(じいうじざい)(うご)いて仕方(しかた)がありませぬワ、498(みな)さまは(うご)きたいと(おも)つても(うご)けますまい、499(わらは)一寸(ちよつと)霊縛(れいばく)をかけて()きましたからネー、500マアマア御寛(ごゆる)りと(くだ)でも()いて夜徹(よあ)かしをなさいませ、501……左様(さやう)ならば(みな)さま、502()毒様(どくさま)(なが)ら、503(さき)失礼(しつれい)(いた)します………あの、504もし姫君様(ひめぎみさま)505サア()うお()でなさいませ』
506 英子姫(ひでこひめ)は、
507『ホヽヽヽ皆様(みなさま)508御寛(ごゆる)りと、509(なに)御座(ござ)いませぬが、510ヘドなつと()(あつ)めて、511ネーおあがり(あそ)ばせ。512あなたのお()(うち)から()(もの)513あなたの(また)()(うち)へお()(あそ)ばすのだ。514(ひと)(のろ)はば(あな)(ふた)つ、515おのれに()でて(おの)れに(かへ)るとかや、516あな有難(ありがた)神様(かみさま)のお(まも)り』
517()かむとするを、518鬼虎(おにとら)一生懸命(いつしやうけんめい)英子姫(ひでこひめ)(すそ)(にぎ)つた(まま)(はな)さぬ。
519英子姫(ひでこひめ)『ヤア(いや)なこと、520(この)(をとこ)521(わらは)(すそ)(にぎ)つてチツとも(はな)して()れないワ』
522悦子姫(よしこひめ)『どうしませう………アヽさうさう、523(この)(をとこ)姫君様(ひめぎみさま)のお(すそ)(にぎ)つた(まま)霊縛(れいばく)をかけられたものですから、524(その)(まま)(かたま)つて(しま)つたのでせう。525ホヽヽヽ、526()れは(えら)不調法(ぶてうはふ)(いた)しました。527……コリヤコリヤ(この)(おに)(やう)片腕(かたかいな)528霊縛(れいばく)()いて()る、529サア(はな)せ』
530 『ウン』と一声(ひとこゑ)531鬼虎(おにとら)(にぎ)(こぶし)はパラリと()けたりける。
532英子姫(ひでこひめ)『アヽ有難(ありがた)う、533()れで(はな)れました』
534石熊(いしくま)『ヤイヤイ鬼虎(おにとら)(やつ)535(あん)(たが)はず、536(をんな)(すそ)をひつぱつて()やがつたな、537ナマクラな(やつ)だ。538よしよし貴様(きさま)(かかあ)に、539明朝(みやうてう)早々(さうさう)告発(こくはつ)だ、540さう覚悟(かくご)(いた)せ』
541熊鷹(くまたか)『ナニ心配(しんぱい)するな、542(おれ)特別(とくべつ)弁護人(べんごにん)になつて喋々(てふてふ)弁論(べんろん)をまくし()ててやるから、543キツト石熊(いしくま)敗訴(はいそ)だ、544無罪(むざい)放免(はうめん)になつた(うへ)545損害(そんがい)賠償(ばいしやう)此方(こちら)から提起(ていき)してやらうか、546アハヽヽヽ』
547 英子姫(ひでこひめ)548悦子姫(よしこひめ)(やみ)(まぎ)れてスタスタと、549何処(いづく)ともなく姿(すがた)(ぼつ)したりける。550(あと)には海面(かいめん)()(かぜ)(おと)551天鼓(てんこ)(ごと)くドドンドドンと()(ひび)きぬ。552五人(ごにん)(をとこ)(くら)がりより、553(やぶ)太鼓(だいこ)(やう)(こゑ)張上(はりあ)げて、
554『オーイオーイ、555二人(ふたり)(をんな)556(しばら)()てい。557オーイオーイ、558かやせ、559(もど)せい……』
560熊谷(くまがい)もどきに(さけ)()たりけり。
561大正一一・四・五 旧三・九 松村真澄録)