霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一四章 鵜呑鷹(うのみだか)〔六〇四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻 篇:第2篇 深遠微妙 よみ:しんえんびみょう
章:第14章 第16巻 よみ:うのみだか 通し章番号:604
口述日:1922(大正11)年04月15日(旧03月19日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高姫を拘束した亀彦・鬼武彦は、高姫が取引の場として指定した田辺の港にこぎ寄せた。しかし港に着くと高姫と青彦はひらりと舟から飛び降りて、闇の中に姿をくらましてしまった。
亀彦はがっかりして由良の港へ帰っていく。鬼武彦は高姫らを捜索すると言ってどこかへ姿を消してしまった。亀彦の体たらくを見た従者たちは密かに非難を浴びせている。
秋山彦の館に戻ると、亀彦はこのたびの不始末を詫びるとして、切腹してしまう。秋山彦や英子姫が悲嘆に暮れていると、表門から高姫・青彦を捕らえた鬼武彦が入ってきた。
切腹したと見えたのは、亀彦に扮した白狐であった。本物の亀彦は鬼武彦とともに、高姫を捕らえて帰ってきたのであった。
奥には秋山彦が用意した祝宴の席が設けられていた。高姫は捕らえられながらも悪口雑言をしきりに発している。
そしてやおらに如意宝珠の玉をとりだすと、餅のように軟らかくして飲み込んでしまった。そして、宇宙の縮図たる如意宝珠の玉を飲んだ自分は宇宙と同体であるから、崇めよ、と一同を睥睨する。
怒った亀彦、秋山彦が猛烈な勢いで高姫に斬りかかると、高姫は白煙と化して逃げてしまった。鬼武彦がその後を追う。残された青彦はその場に震えていた。
一同は神前に祝詞を上げると、英子姫、悦子姫、亀彦の三人は秋山彦に別れを告げ、由良川をさかのぼって聖地に上ることになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1614
愛善世界社版:167頁 八幡書店版:第3輯 462頁 修補版: 校定版:172頁 普及版:75頁 初版: ページ備考:
001 亀彦(かめひこ)()()(なが)ら、002海風(うなかぜ)(むか)つて、
003亀彦(かめひこ)田辺(たなべ)()たさに松原(まつばら)()せば、004田辺(たなべ)(かく)しの(きり)がこむ』
005船唄(ふなうた)面白(おもしろ)く、006(つひ)竹島(たけしま)007博奕ケ岬(ばくちがさき)008()白黒岩(しろくろいは)()え、009松原(まつばら)右手(めて)(なが)め、010蛇島(じやじま)011広島(ひろしま)左手(ゆんで)(なが)めて、012やうやう十七夜(じふしちや)黄昏(たそがれ)()ぐる(ころ)013田辺(たなべ)(みなと)安着(あんちやく)したり。014咫尺(しせき)(べん)ぜぬ宵闇(よひやみ)(そら)015高姫(たかひめ)016青彦(あをひこ)は、017(ふね)横着(よこづ)けになるを()()ね、018ヒラリと飛上(とびあが)り、019(やみ)(まぎ)れて姿(すがた)(かく)しける。
020亀彦(かめひこ)『ヤア高姫(たかひめ)()らぬか、021青彦(あをひこ)何処(いづく)ぞ……鬼武彦(おにたけひこ)(さま)どう(いた)しませう』
022 (くら)がりの(なか)より、023青彦(あをひこ)024高姫(たかひめ)(こゑ)
025『アハヽヽヽ、026オホヽヽヽ、027(おほ)きに(はばか)りさま、028(この)(たま)(わた)してなるものかい、029……(みな)さま、030アバヨ、031アリヨース』
032冷嘲的(れいてうてき)怪声(くわいせい)()らし、033何処(どこ)ともなく、034(やみ)(まぎ)れて()()せたり。035鬼武彦(おにたけひこ)036亀彦(かめひこ)(ただ)ちに(ふね)()びあがり、
037『アー失敗(しま)つた、038由良(ゆら)(みなと)()けさへすれば、039コンナ(こと)()かつたらうに、040……高姫(たかひめ)(げん)(したが)ひ、041田辺(たなべ)()けたのが此方(こちら)不覚(ふかく)……エー仕方(しかた)がない、042(あと)()つかけようにも(しん)(やみ)043一先(ひとま)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)立帰(たちかへ)り、044御相談(ごさうだん)(いた)しませう』
045(ちから)()げに物語(ものがた)りつつ、046由良(ゆら)(みなと)()して、047テクの継続(けいぞく)をなし、048由良(ゆら)(みなと)(すこ)手前(てまへ)まで一行(いつかう)(かへ)(きた)(をり)しも、049東天(とうてん)(てら)して(のぼ)()十七夜(じふしちや)の、050楕円形(だゑんけい)(つき)(まつ)()()姿(すがた)(あら)はし、051一同(いちどう)冷笑(れいせう)(たま)(ごと)()えける。052(こがらし)まがひの寒風(かんぷう)容赦(ようしや)なく(むか)(づら)()(あた)り、053四辺(あたり)木々(きぎ)(とき)ならぬ(ふえ)()()て、054一行(いつかう)失敗(しつぱい)(はや)すが(ごと)(きこ)()たりぬ。
055亀彦(かめひこ)『アー怪体(けつたい)(わる)い、056(まる)高姫(たかひめ)のお(とも)をした(やう)なものだ。057仮令(たとへ)高姫(たかひめ)(てん)(かけ)り、058()(くぐ)るとも、059彼女(あれ)所在(ありか)(たづ)ね、060如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)取返(とりかへ)さで()くべきか』
061大道(だいだう)正中(まんなか)地団駄(ぢだんだ)()み、062(つひ)には胡坐(あぐら)をかいて(うご)かなくなりぬ。063鬼武彦(おにたけひこ)は、
064『ヤア亀彦(かめひこ)殿(どの)065()うなる(うへ)は、066(くや)みても(かへ)らぬ(こと)067(くさ)()けても彼等(かれら)行衛(ゆくへ)(さが)し、068(たま)取返(とりかへ)すより(ほか)(みち)御座(ござ)らぬ。069(しか)(なが)()れは秋山彦(あきやまひこ)()はす(かほ)なし、070()れよりお(いとま)(まを)す』
071()ふより(はや)く、072白煙(しろけぶり)となつて姿(すがた)(かく)しぬ。073秋山彦(あきやまひこ)(いへ)()十数人(じふすうにん)当惑(たうわく)(てい)にて、074如何(いかが)はせむと、075各自(めいめい)双手(もろて)()み、076(なげ)(いき)(こゑ)(しば)しはやまざりにけり。
077(かふ)『もしもし亀彦(かめひこ)さま、078あなたが左様(さう)気投(きな)げして(もら)つては、079吾々(われわれ)はどう(いた)したら()いのですか、080(うち)(かへ)つて御主人(ごしゆじん)に、081(なん)()つてお(わび)(いた)しませうやら、082報告(はうこく)仕方(しかた)がありませぬ』
083亀彦(かめひこ)有態(ありてい)(とほ)報告(はうこく)すれば()いぢやないか。084(おれ)はモウ()(かぎ)り、085秋山彦(あきやまひこ)(やかた)へは(かへ)らない。086(はや)(かへ)つて主人(しゆじん)夫婦(ふうふ)(はじ)め、087英子姫(ひでこひめ)088悦子姫(よしこひめ)(この)(よし)(つた)へて()れよ』
089(かふ)()れは(また)あまり、090……ご主人様(しゆじんさま)や、091二人(ふたり)女宣伝使(をんなせんでんし)(くび)(なが)うして()つて()られます。092(あと)()(かく)も、093一度(いちど)御帰(おかへ)(くだ)さいませ』
094亀彦(かめひこ)『………』
095(おつ)()れだから、096三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)腰抜(こしぬけ)だと、097(おれ)何時(いつ)()ふのだよ。098ウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)敏捷(すばしこ)(こと)()たか、099(いは)(なか)で、100()ぢこめられて()ても、101あれ(くらゐ)談判(だんぱん)をしよる。102喉元(のどもと)(やいば)()()けられて居乍(ゐなが)ら、103逆様(さかさま)(その)(かたな)で、104(おさ)へた(やつ)(くび)()(やう)妙案(めうあん)奇策(きさく)をやつたぢやないか。105亀彦(かめひこ)なぞと、106コンナ我羅苦多(がらくた)宣伝使(せんでんし)()いて()くものだから、107(うま)れてから()(やう)赤恥(あかはぢ)天地(てんち)(さら)させられたのだ。108アーア、109どうして()れが、110主人(しゆじん)(かほ)()はされよう』
111(へい)『ソンナ(こと)()つたつて仕方(しかた)がない。112()んだ()(とし)(かぞ)へる(やう)なものだ。113何事(なにごと)(あきら)めが肝腎(かんじん)だ。114悪人(あくにん)(さか)善人(ぜんにん)(おとろ)へる()(なか)だもの、115善人(ぜんにん)(だま)されるのは無理(むり)もない。116俺達(おれたち)益々(ますます)三五教(あななひけう)(ただ)しい(こと)感心(かんしん)した。117サア亀彦(かめひこ)(さま)118ソンナ(こと)仰有(おつしや)らずに(はや)(かへ)りませう』
119亀彦(かめひこ)『サア()かう、120前達(まへたち)如何(どん)意見(いけん)()つてるかと(おも)つて、121一寸(ちよつと)(さぐ)つて()たのだよ。122ナアニ(たま)(ぐらゐ)()られた(ところ)で、123どつかに(かく)してある。124滅多(めつた)地獄(ぢごく)(そこ)(まで)(かく)しても()るまい。125ウラナイ(けう)本陣(ほんぢん)乗込(のりこ)みて、126有無(うむ)()はせず、127とつ(かへ)して()れる。128()(かく)()れは時日(じじつ)問題(もんだい)だ。129(みな)(もの)130何事(なにごと)亀彦(かめひこ)(まか)せよ。131心配(しんぱい)(いた)すな。132サア()かう』
133(さき)()ちて(いきほひ)よく、134直日(なほひ)見直(みなほ)し、135聞直(ききなほ)し、136()(なほ)しつつ、137由良(ゆら)(みなと)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)()して、138一行(いつかう)十五六人(じふごろくにん)139スタスタと(かへ)()きける。140亀彦(かめひこ)(さき)()ち、141表門(おもてもん)(ちから)()げに(くぐ)()らむとする(とき)142門番(もんばん)銀公(ぎんこう)(この)()(あら)はれ、
143『ヤア亀彦(かめひこ)宣伝使(せんでんし)(さま)144手柄(てがら)手柄(てがら)145あなたのお(かげ)で、146一旦(いつたん)(てき)()られたる如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)も、147(かぎ)も、148首尾(しゆび)()()()りまして、149さぞ御主人様(ごしゆじんさま)御喜(およろこ)びで御座(ござ)いませう。150主人(しゆじん)(よろこ)び、151奥様(おくさま)もお(よろこ)び、152第一(だいいち)あなたのお(よろこ)び、153()いて()つた奴等(やつら)(よろこ)び、154(とも)(わたくし)もお(よろこ)びだ。155流石(さすが)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)156ヤアもう(かん)()つて御座(ござ)います。157(おく)には貴方(あなた)成功(せいこう)(しゆく)する(ため)158海山河野(うみやまかはぬの)種々(くさぐさ)馳走(ちそう)(こしら)へ、159旦那様(だんなさま)御機嫌(ごきげん)(うるは)しく、160待兼(まちかね)御座(ござ)います。161吾々(われわれ)御同慶(ごどうけい)()へませぬ』
162とイソイソと、163(かた)をゆすぶり、164はしやいで()る。165亀彦(かめひこ)(かる)目礼(もくれい)し、166トボトボと(おく)()して(すす)()る。
167銀公(ぎんこう)『オイ岩公(いはこう)168市公(いちこう)169どうぢやつた。170随分(ずゐぶん)面白(おもしろ)かつたらうな』
171 岩公(いはこう)(かた)(そび)やかし、
172『きまつた(こと)だよ。173天下無双(てんかむさう)剛力男(がうりきをとこ)岩公(いはこう)のお(いで)だもの、174高姫(たかひめ)一疋(いつぴき)二疋(にひき)は、175()のお(ちや)だ。176(しか)(なが)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)()加減(かげん)なものだよ。177とうと(たま)()られやがつてなア……』
178銀公(ぎんこう)『ナニ? (たま)()られたとは、179それや本当(ほんたう)か』
180岩公(いはこう)『ウン、181()られた……でもない、182マア……(うば)つたのだ』
183銀公(ぎんこう)『どちらが()つたのだい』
184岩公(いはこう)『マアマア()つた(やつ)()つたのだ。185()られた(やつ)が、186()られた……と()(やう)なものかいナ』
187銀公(ぎんこう)高姫(たかひめ)は、188折角(せつかく)()つた(たま)を、189フンだくられやがつて、190(めう)(かほ)しただらうな』
191岩公(いはこう)『ウンさうだ。192……何分(なにぶん)(いち)(くら)みの(こと)で、193(はな)(つま)まれても(わか)らぬ(くらゐ)だから、194ドンナ(かほ)したか()らぬが、195一方(いつぱう)意気(いき)揚々(やうやう)196一方(いつぱう)意気消沈(いきせうちん)197屠所(としよ)()かるる(ひつじ)(ごと)しだ。198()(どく)なりける次第(しだい)なりけりだ』
199銀公(ぎんこう)『マアマア結構(けつこう)だ。200如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)(およ)(かぎ)(もど)つた以上(いじやう)は、201今晩(こんばん)はお祝酒(いはひざけ)でもドツサリ(いただ)けるかなア』
202市公(いちこう)『あまり(おほ)きな(こゑ)では()はれぬが、203サツパリぢや』
204銀公(ぎんこう)(なに)がサツパリぢや』
205市公(いちこう)()(かく)サツパリコンと、206(たこ)があげ(つぼ)()つた(やう)なものだよ、207アフンと(いた)して、208梟鳥(ふくろどり)夜食(やしよく)(はづ)れた(やう)なむつかしい(かほ)(いた)すと()ふ……()れからが(まく)()きだよ』
209 一同(いちどう)(いそ)いで、210(おく)()して(すす)()る。211秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)(はじ)め、212英子姫(ひでこひめ)213悦子姫(よしこひめ)玄関(げんくわん)に、214亀彦(かめひこ)()(むか)へ、
215秋山彦(あきやまひこ)()れは()れは多大(いか)御心配(ごしんぱい)をかけました。216様子(やうす)如何(いかが)御座(ござ)いまするか』
217亀彦(かめひこ)『ハイ、218左様(さやう)219(しか)らば逐一(ちくいち)報告(はうこく)(いた)しませう』
220英子姫(ひでこひめ)一時(いちじ)(はや)(うれ)しき便(たよ)りを()かして(くだ)さいナ。221(いま)(いま)かと(とき)()つのを、222一日(いちにち)千秋(せんしう)(おも)ひで()つて()ました。223何事(なにごと)にも()()()亀彦(かめひこ)さまの(こと)224鬼武彦(おにたけひこ)神様(かみさま)()いて()られる以上(いじやう)は、225滅多(めつた)不調法(ぶてうはふ)はありますまい。226……大勝利(だいしようり)……大万歳(だいばんざい)……サア(はや)面白(おもしろ)顛末(てんまつ)仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ』
227亀彦(かめひこ)只今(ただいま)詳細(つぶさ)言上(ごんじやう)(つかまつ)る』
228()ふより(はや)く、229両肌(もろはだ)()ぎ、230両刃(もろは)短刀(たんたう)()()()せず、231(ひだり)脇腹(わきばら)に、232グサと突立(つつた)(えぐ)(はじ)めたり。233英子姫(ひでこひめ)(おどろ)いて(その)()()りすがり、
234『ヤア亀彦(かめひこ)殿(どの)235(はや)まり(たま)ふな』
236 亀彦(かめひこ)237(くる)しき(いき)(した)より、
238(はや)まるなとはお(なさけ)()い、239神素盞嗚大神(かむすさのをのおほかみ)(さま)唯一(ゆいつ)御宝(おたから)をば、240オメオメとウラナイ(けう)高姫(たかひめ)(ため)(あざむ)()られ、241()はす(かほ)御座(ござ)いませぬ。242最早(もはや)()(けつ)した(それがし)243なまじひに()()てして(くるし)めて(くだ)さるな。244委細(ゐさい)岩公(いはこう)245市公(いちこう)246磯公(いそこう)にお()(くだ)され。247拙者(せつしや)(この)失敗(しつぱい)(まを)(わけ)に、248(はら)()()つてお(わび)(まを)す。249(いづ)れもさらば』
250()ふより(はや)く、251(ちから)()めて一抉(ひとえぐ)り、252(たちま)(いき)()えにけり。253英子姫(ひでこひめ)254悦子姫(よしこひめ)は『ワアツ』と(ばか)り、255亀彦(かめひこ)死骸(しがい)(とり)つき、256前後(ぜんご)()らず()()しぬ。257秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)()をしばたき、258黙然(もくねん)として、259悲歎(ひたん)(なみだ)(そで)(しぼ)る。260(この)(とき)表門(おもてもん)より(あら)はれ()でたる一人(ひとり)(をとこ)261(この)()()して韋駄天(ゐだてん)(ばし)りに()(きた)る。262()れば鬼武彦(おにたけひこ)高姫(たかひめ)263青彦(あをひこ)二人(ふたり)左右(さいう)()に、264(ねこ)(ひつさ)げた(やう)体裁(ていさい)にて()(きた)り、
265『ヤア(いづ)れも(さま)266高姫(たかひめ)267青彦(あをひこ)両人(りやうにん)()(とら)(まゐ)りました。268(たま)(たしか)高姫(たかひめ)懐中(くわいちゆう)御座(ござ)れば()れより拙者(それがし)詮議(せんぎ)(いた)して取返(とりかへ)()れむ。269(いづ)れも(さま)270御安心(ごあんしん)()れ……』
271 秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)二度(にど)ビツクリ、
272『ヤア鬼武彦(おにたけひこ)(さま)か、273()うマア()(くだ)さいました。274それは(まこと)有難(ありがた)い、275さは()(なが)ら、276(いま)今迄(いままで)元気(げんき)()()らせられた亀彦(かめひこ)さまは、277(はら)()つてお()てなされました』
278()()せば、279鬼武彦(おにたけひこ)はカラカラと打笑(うちわら)ひ、
280『ヤア皆様(みなさま)御心配(ごしんぱい)なされますな、281亀彦(かめひこ)宣伝使(せんでんし)(やが)(この)()(あら)はれませう』
282『エーツ』
283(おどろ)一同(いちどう)284亀彦(かめひこ)死骸(しがい)はムクムクと起上(おきあが)り、285()()尨犬(むくいぬ)(ごと)()全身(ぜんしん)(しやう)じ、286灰色(はひいろ)(とら)とも()えず、287(くま)とも()えず、288怪獣(くわいじう)となつてノソリノソリと()()し、289表門(おもてもん)()して(かへ)りゆく。290一同(いちどう)(ゆめ)夢見(ゆめみ)心地(ここち)して、291一言(いちごん)(はつ)せず、292(しば)しは(たがひ)(かほ)見合(みあは)()るのみなりき。293()かる(ところ)(あら)はれ(きた)正真(しやうまつ)亀彦(かめひこ)はニコニコし(なが)ら、
294亀彦(かめひこ)『ヤア鬼武彦(おにたけひこ)(さま)295(えら)御心配(ごしんぱい)()けました。296暗夜(あんや)(こと)()ひ、297(いづ)れに(ひそ)(かく)れしやと一時(いちじ)周章狼狽(しうしやうらうばい)(いた)しましたが、298蔭様(かげさま)十七日(じふしちにち)(つき)東天(とうてん)(かがや)(たま)うた、299弥勒様(みろくさま)のお(かげ)で、300ヤツとの(こと)301目的物(もくてきぶつ)()()り、302コンナ有難(ありがた)(こと)御座(ござ)いませぬ。303……アヽ秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)のお(かた)304英子姫(ひでこひめ)305悦子姫(よしこひめ)殿(どの)306御安心(ごあんしん)なさいませ』
307秋山彦(あきやまひこ)『ヤア(なに)よりも結構(けつこう)(こと)御座(ござ)いました。308(まこと)(いか)骨折(ほねをり)をさせました。309サアサア(おく)馳走(ちそう)用意(ようい)がして御座(ござ)います。310(みな)さまどうぞ(おく)()らつしやいませ』
311 鬼武彦(おにたけひこ)高姫(たかひめ)312青彦(あをひこ)玄関(げんくわん)にドサリと(おろ)したり。
313高姫(たかひめ)『アヽ鬼武彦(おにたけひこ)殿(どの)314御苦労(ごくらう)であつたのう、315(かげ)でお(つち)()まず、316(ちう)()けつて(らく)(まゐ)りましたよ。317ホヽヽヽ、318(たま)(たしか)此処(ここ)(ひと)御座(ござ)います。319(ひと)つで()らねば、320青彦(あをひこ)金色(こんじき)(たま)(ふた)()つて()ります。321()れで()(そろ)うた(みづ)御霊(みたま)……ホヽヽヽ』
322亀彦(かめひこ)『コレコレ高姫(たかひめ)さま、323(まへ)さまも随分(ずゐぶん)意地(いぢ)(わる)(ひと)だネ』
324高姫(たかひめ)意地(いぢ)(わる)いは、325ソリヤお(まへ)(こと)だよ。326折角(せつかく)二人(ふたり)如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)()()れ、327(つぎ)金剛不壊(こんがうふゑ)(たま)()らうとする最中(さいちう)に、328(おほ)きな(いは)桶伏(をけぶ)せに()はしたり……三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)として、329(ひと)(たす)ける()であり(なが)ら、330ソンナ意地(いぢ)(わる)(こと)をして()いものか。331チツト反省(たしな)みなされ。332(この)高姫(たかひめ)(けつ)して(かぎ)(ぬす)みたのでも、333(たま)掠奪(りやくだつ)したのでもないワ、334()出神(でのかみ)(さま)御命令(ごめいれい)()つて、335竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまから受取(うけと)りに()つたのだ。336それをお前達(まへたち)が、337アタ意地(いぢ)(わる)い、338邪魔(じやま)()よつたのだ。339素盞嗚尊(すさのをのみこと)(えら)いが、340()出神(でのかみ)さまは、341ドンナ(かた)だと(おも)うて()る。342竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)さまも、343(なが)らく(うみ)(そこ)のお住居(すまゐ)であつたが、344()高姫(たかひめ)生宮(いきみや)に、345今度(こんど)(のこ)らず綺麗(きれい)薩張(さつぱり)とお(わた)(あそ)ばす()(まゐ)つたのだ。346変性女子(へんじやうによし)(くだ)らぬ(をしへ)()きかぢつて、347神界(しんかい)御経綸(おしぐみ)邪魔(じやま)をすると、348(あたま)(した)にし、349(あし)(うへ)にして(ある)かねばならぬ(こと)出来(でき)()るぞよ。350アンナ(もの)がコンナ(もの)になると()(かみ)(をしへ)を、351(まへ)一体(いつたい)352(なん)(かんが)へなさる……(この)高姫(たかひめ)(つま)らぬ(をんな)(やう)()えても、353系統(ひつぽう)だぞへ、354変性男子(へんじやうなんし)の……()つても()れぬ御系統(ごひつぽう)だ。355亀彦(かめひこ)なぞと、356何処(どこ)から()たか()らぬが、357(もと)は……偉相(えらさう)()うても……ウラル(けう)宣伝使(せんでんし)ぢやないか。358竜宮洲(りうぐうじま)(わた)つて、359飯依彦(いひよりひこ)(やう)蛸爺(たこおやぢ)(あわ)()かされて()(かへ)り、360途中(とちう)()出別(でわけ)(かみ)(たす)けて(もら)うたのだらう。361ソンナ(こと)(この)(はら)(なか)()出神(でのかみ)が、362チヤンと仰有(おつしや)つて御座(ござ)る。363(しこ)岩窟(いはや)(なか)で、364井戸(ゐど)(なか)(はま)つたり、365種々(いろいろ)惨々(さんざん)()()うて、366ヤツとの(こと)宣伝使(せんでんし)になり素盞嗚尊(すさのをのみこと)阿婆摺(あばず)(むすめ)女房(にようばう)()つたと(おも)つて、367(あま)威張(ゐば)らぬが()からう。368何処(どこ)(うま)(ほね)(うし)(ほね)か、369素性(すじやう)(わか)らぬ(やう)代物(しろもの)に、370肝心(かんじん)(むすめ)()れてやると()(やう)(みだ)れた行方(やりかた)素盞嗚尊(すさのをのみこと)が、371(なに)が、372()(ほど)有難(ありがた)いのだい。373()出神(でのかみ)(そば)()したら、374素盞嗚尊(すさのをのみこと)は、375(ねこ)(まへ)(ねずみ)(やう)なものだ。376さうぢやから(むかし)からの因縁(いんねん)()いて()かぬと、377まさか(とき)にアフンとせねばならぬと、378神様(かみさま)仰有(おつしや)るのだよ』
379亀彦(かめひこ)『エーソンナ(こと)()きたく()りませぬワイ。380(また)庚申待(かうしんまち)(ばん)にでも、381ゆつくり()かして(もら)ひませうかい』
382高姫(たかひめ)『それは不可々々(いかんいかん)383どうでも()うでも因縁(いんねん)()いて()かして、384根本(こつぽん)から改心(かいしん)させねば承知(しようち)をせぬのぢや。385(この)(つき)()出神(でのかみ)さまの(をしへ)を、386(みみ)(さら)へて(きく)(つき)ぢやぞへ。387竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)()出神(でのかみ)との(たふと)御守護(ごしゆご)のある(この)肉体(にくたい)だ。388亀公(かめこう)(くらゐ)百人(ひやくにん)千人(せんにん)(たば)になつてきた(ところ)(なん)(かう)()るものか、389(かう)()つたら、390(かた)(かた)い、391邪魔(じやま)になる(かめ)(かふ)(くらゐ)なものだよ。392ゲツヘヽヽヽ』
393秋山彦(あきやまひこ)『お(はなし)酒宴(しゆえん)(せき)(うけたま)はりませう。394サアサア(おく)へお()(くだ)さいませ。395玄関口(げんくわんぐち)でお(はなし)()つとも()御座(ござ)いませぬから……』
396高姫(たかひめ)『お(まへ)秋山彦(あきやまひこ)ぢやな、397道理(だうり)で、398一寸(ちよつと)()ても()きの()さうなお顔立(かほだち)だ。399紅葉姫(もみぢひめ)さまも、400コンナ(をつと)()つてお仕合(しあは)せだ、401オツホヽヽヽ』
402 秋山彦(あきやまひこ)403(やや)機嫌(きげん)(わる)さうな顔付(かほつき)(なが)ら、
404『ハイハイ、405どうで(ろく)(もの)ぢや()りませぬワイ、406三五教(あななひけう)(うつつ)()かす代物(しろもの)ですから、407(ぜん)ばつかりに(はう)けまして、408ウラナイ(けう)(やう)な、409他人(よそ)(うち)(かぎ)持出(もちだ)して、410平気(へいき)業託(ごうたく)(なら)べる(やう)な、411謙遜(けんそん)善人(ぜんにん)()りませぬ、412アハヽヽヽ、413サアサア(おく)へお(いで)なさいませ』
414高姫(たかひめ)三五教(あななひけう)は、415(ぜん)()せて(あく)416ウラナイ(けう)(あく)()せても(ぜん)417マアマア(おく)()つて、418トツクリと(わたし)(さと)しをお()きなさい』
419()ちあがる。420秋山彦(あきやまひこ)先頭(せんとう)に、421一同(いちどう)はドシドシと(おく)()()がけて(すす)()る。422鬼武彦(おにたけひこ)最後(さいご)殿(しんがり)(つと)(なが)ら、423高姫(たかひめ)424青彦(あをひこ)身体(しんたい)()(くば)り、425(おく)()いて()く。
426 八尋殿(やひろどの)には、427山野河海(さんやかかい)珍肴(ちんかう)428所狭(ところせ)きまで(なら)べられありぬ。429高姫(たかひめ)遠慮会釈(ゑんりよゑしやく)もなく最上座(さいじやうざ)()()め、430紙雛(かみひな)(やう)(そで)をキチンと(まへ)(たた)み、431()(へそ)(あた)りにつくね、432仔細(しさい)らしく(かま)()みたり。433亀彦(かめひこ)高姫(たかひめ)(かたはら)()()めむとするや、434高姫(たかひめ)柳眉(りうび)逆立(さかだ)て、
435『ヤア亀彦(かめひこ)436(まへ)身魂(みたま)(ひく)い。437三段(さんだん)()がつてお(すわ)りなされ。438(そもそ)(みたま)上中下(じやうちうげ)三段(さんだん)区別(くべつ)()る。439(じやう)(なか)にも上中下(じやうちうげ)()り、440(ちう)(うち)にも上中下(じやうちうげ)三段(さんだん)があり、441()(うち)にも、442(また)上中下(じやうちうげ)三段(さんだん)()る。443(まへ)は、444()(ちう)(くらゐ)霊魂(みたま)ぢや。445(じやう)(じやう)生粋(きつすゐ)大和魂(やまとだましひ)()出神(でのかみ)生宮(いきみや)(まへ)(すわ)ると()ふのは、446身魂(みたま)位地(ゐち)(みだ)すと()ふものだ。447それだから、448身魂(みたま)因縁(いんねん)(わか)らぬ宣伝使(せんでんし)(こま)ると()ふのだよ。449如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)は、450(じやう)(じやう)身魂(みたま)()つべきものだ。451()(ちう)身魂(みたま)(くらゐ)では到底(たうてい)()()れる(こと)出来(でき)ぬ……鬼武彦(おにたけひこ)ナンテ、452(ちから)(つよ)いが、453多寡(たくわ)稲荷(いなり)ぢやないか、454四足(よつあし)親玉(おやだま)ぢや、455稲荷(いなり)下郎(げろう)(やく)(つと)めるものぢや、456コンナ座席(ざせき)にすわると()(こと)()るものか。457天狗(てんぐ)や、458野狐(のぎつね)や、459(たぬき)460豆狸(まめだぬき)(みたま)は、461ズツトズツト()()()にお(なほ)りなされ』
462亀彦(かめひこ)神界(しんかい)には、463正神界(せいしんかい)邪神界(じやしんかい)()つて、464正神界(せいしんかい)にも上中下(じやうちうげ)三段(さんだん)があり、465邪神界(じやしんかい)にも(また)上中下(じやうちうげ)三段(さんだん)()る、466さうして(だん)(ごと)(また)三段(さんだん)がある。467吾々(われわれ)仮令(たとへ)()(ちう)()らぬが、468正神界(せいしんかい)だ。469(まへ)(じやう)(じやう)でも、470邪神界(じやしんかい)(じやう)(じやう)だから、471()(くらゐ)悪党(あくたう)はないのだよ、472(つき)(すつぽん)473(ゆき)(すみ)(ほど)(ちが)う。474邪神界(じやしんかい)身魂(みたま)は、475正神界(せいしんかい)(せき)(おな)じうする(こと)出来(でき)ない。476(さが)りなされ』
477高姫(たかひめ)仮令(たとへ)正神界(せいしんかい)でも、478邪神界(じやしんかい)でも、479(じやう)(じやう)(ちがひ)ない。480()はヤツパリ()ぢや。481(じやう)といふ()はカミと()()ぢや。482カミのカミが(じやう)(じやう)ぢや。483カミに(すわ)るのは高姫(たかひめ)身魂(みたま)因縁(いんねん)性来(しやうらい)……オホン(まこと)()みませぬナ、484亀彦(かめひこ)チヤン……』
485亀彦(かめひこ)『チヨツ、486善悪(ぜんあく)区別(くべつ)()らぬ(やつ)(かか)つたら仕方(しかた)がないワ………アーア折角(せつかく)(たま)邪神界(じやしんかい)身魂(みたま)(けが)されて仕舞(しま)つて残念(ざんねん)(こと)だワイ』
487高姫(たかひめ)(わし)邪神界(じやしんかい)なら、488モウ(この)(たま)(よう)()(はず)……ソンナラ高姫(たかひめ)(あらた)めて頂戴(ちやうだい)する』
489(ふところ)より如意宝珠(によいほつしゆ)取出(とりだ)し、490()(ひら)()せて、491()唾液(つばき)()け、492一生懸命(いつしやうけんめい)(りやう)()(ひら)で、493()みて()みて()みさがし()る。494(この)(たま)拡大(くわくだい)する(とき)宇宙(うちう)(ひろ)がり、495縮小(しゆくせう)する(とき)鷄卵(けいらん)(ごと)くになる特色(とくしよく)のある神宝(しんぽう)なり。496(かた)くもなれば、497(やは)らかくもなる、498高姫(たかひめ)()みて()みて()みさがし、499鷄卵(けいらん)(ごと)縮小(しゆくせう)し、500()きたての(もち)(やう)(やは)らげ、
501高姫(たかひめ)亀彦(かめひこ)さま、502秋山彦(あきやまひこ)さま、503(きつね)さま、504(あらた)めて頂戴(ちやうだい)(いた)します。505オツ』
506()ふより(はや)大口(おほぐち)()けて、507()白黒(しろくろ)(なが)ら、508(へび)(かはづ)()(やう)に、509グツト一口(ひとくち)()(おろ)したり。
510亀彦(かめひこ)『アヽ大変(たいへん)(こと)になつた。511……ヤイ高姫(たかひめ)512(たま)(かや)せ』
513高姫(たかひめ)『ホヽヽヽ、514(わか)らぬ身魂(みたま)ぢやナア、515()みて(しま)うた(もの)が、516どうして()(わた)せるか、517(まへ)も、518モチツと(もの)道理(だうり)(わか)つた(かた)ぢやと(おも)うて()つたのに、519子供(こども)よりも(おと)つた(ひと)ぢやナア』
520亀彦(かめひこ)(はら)()いても、521取戻(とりもど)して()らねば()かぬぞツ、522馬鹿(ばか)(いた)すな』
523高姫(たかひめ)宇宙(うちう)縮図(しゆくづ)たる如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)を、524わが腹中(ふくちう)(をさ)めた以上(いじやう)は、525高姫(たかひめ)(からだ)(すなは)宇宙(うちう)……宇宙(うちう)には天神(てんしん)地祇(ちぎ)526八百万(やほよろづ)(かみ)(あつ)まり(たま)ふ。527(いま)までの肉体(にくたい)は、528()出神(でのかみ)竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)生宮(いきみや)であつたが、529最早(もはや)唯今(ただいま)より、530(てん)御三体(ごさんたい)大神様(おほかみさま)(はじ)め、531天地(てんち)八百万(やほよろづ)(かみ)高姫(たかひめ)身体(からだ)神詰(かむつま)(あそ)ばすのぢや、532サア(かみ)(つか)へる宣伝使(せんでんし)()(もつ)て、533(この)肉体(にくたい)指一本(ゆびいつぽん)()へるなら、534さへて()よツ』
535亀彦(かめひこ)『どこまでも馬鹿(ばか)にしやがる。536モウ量見(りやうけん)ならぬ、537(やぶ)れかぶれだ。538……ヤイ高姫(たかひめ)539貴様(きさま)生命(いのち)(おれ)(もら)つた、540覚悟(かくご)(いた)せツ』
541高姫(たかひめ)『ホヽヽヽ、542此方(こちら)馬鹿(ばか)にしたのぢやない、543(うま)(つき)馬鹿(ばか)が、544馬鹿(ばか)(こと)()たのぢや、545(たれ)不足(ふそく)()うて()(とこ)もあるまい、546自業自得(じごうじとく)だよ。547覚悟(かくご)(いた)せとは……ソラ(なん)(こと)548(むし)一疋(いつぴき)(ころ)(こと)のならぬ三五教(あななひけう)(をしへ)ぢやないか。549(その)(をしへ)をする宣伝使(せんでんし)が、550勿体(もつたい)なくも(てん)大神様(おほかみさま)御霊(みたま)(げん)(をさ)まり(たま)肉体(にくたい)(なや)めやうとは、551(めくら)(へび)()ぢず、552馬鹿(ばか)()ける(くすり)()し、553ハヽヽヽ、554(こま)つたものぢや、555イヤ()(どく)(もの)ぢや。556(おや)()(うち)(なほ)して()かぬと、557不治難症(いつせうやまひ)ぢや。558サア(いま)から改心(かいしん)をして、559亀彦(かめひこ)(まを)すに(およ)ばず、560英子姫(ひでこひめ)561悦子姫(よしこひめ)562秋山彦(あきやまひこ)563紅葉姫(もみぢひめ)564鬼武彦(おにたけひこ)565(その)(ほか)厄雑(やくざ)人足(にんそく)(ども)566ウラナイ(けう)御趣旨(ごしゆし)遵奉(じゆんぽう)するか、567サアどうぢや、568返答(へんたふ)()かう……』
569亀彦(かめひこ)『モシモシ秋山彦(あきやまひこ)さま、570此奴(こいつ)ア、571()すわり強盗(がうたう)ですナア、572一層(いつそう)(こと)573()(じば)つて、574(うみ)へでも()()みてやりませうか』
575秋山彦(あきやまひこ)『あまりの(こと)で、576(わたくし)(はら)()ちます。577(しか)(なが)如意宝珠(によいほつしゆ)(たま)(をさ)まりある以上(いじやう)はどうする(こと)出来(でき)ませぬ。578(こま)つた(こと)になりました』
579高姫(たかひめ)『サアサア(みな)神々(かみがみ)(ども)580只今(ただいま)より、581(てん)御三体(ごさんたい)大神(おほかみ)生宮(いきみや)高姫(たかひめ)へお給仕(きふじ)(いた)すが()からうぞ、582(また)(ふたた)び、583コンナ結構(けつこう)生宮(いきみや)に、584()(かか)(こと)出来(でき)ねば、585給仕(きふじ)さして(いただ)(こと)出来(でき)ぬぞや。586今日(けふ)特別(とくべつ)(もつ)て、587祝意(しゆくい)(へう)する(ため)にお給仕(きふじ)差許(さしゆる)す』
588亀彦(かめひこ)『エーツ、589(なに)(ぬか)しよるのだ、590モウ()うなつては天則違反(てんそくゐはん)(なに)()つたものじやない、591両刃(もろは)(つるぎ)御馳走(ごちそう)だ』
592一刀(いつたう)スラリと()()き、593()(かか)らむとするを高姫(たかひめ)は、
594『ギヤツハヽヽヽ、595ギヨツホヽヽヽ、596短気(たんき)損気(そんき)597マアマア(しづ)まれ、598()いては(こと)仕損(しそん)ずる。599(あと)後悔(こうくわい)せぬがよいぞ』
600(すま)してゐる。
601亀彦(かめひこ)後悔(こうくわい)(くそ)もあつたものかい、602……貴様(きさま)讎敵(かたき)(はし)くれ……』
603()(なが)ら、604青彦(あをひこ)(あたま)を、605(あし)()げてポンと()(たふ)し、606(また)もや両刃(もろは)(つるぎ)(ひらめ)かし、607生命(いのち)(まと)()いて(かか)れば、608流石(さすが)高姫(たかひめ)も、
609如何(いか)立派(りつぱ)(かみ)でも、610無茶(むちや)には(かな)はぬ。611……サアサア青彦(あをひこ)612一先(ひとま)(この)()()げたり()げたり』
613(うなが)す。614青彦(あをひこ)狼狽(うろた)(さわ)いで、615逃路(にげみち)(うしな)ひ、616(おな)(ところ)をクルクルと廻転(くわいてん)して()る。617亀彦(かめひこ)益々(ますます)(はげ)しく()つかかる。618秋山彦(あきやまひこ)は、
619『エー()うなれば、620(やぶ)れかぶれだ。621……紅葉姫(もみぢひめ)622薙刀(なぎなた)()れツ』
623下知(げち)すれば、624(つる)一声(ひとこゑ)625紅葉姫(もみぢひめ)長押(なげし)薙刀(なぎなた)()るより(はや)く、
626悪逆無道(あくぎやくぶだう)高姫(たかひめ)627覚悟(かくご)せよ』
628()つてかかるを高姫(たかひめ)は、629(みぎ)(ひだり)()をかはし、630(しばら)くは(あふぎ)(もつ)てあしらひ()たるが、631衆寡(しうくわ)(てき)せず、632(たちま)白煙(はくえん)(くわ)し、633天井窓(てんじやうまど)より一目散(いちもくさん)に、634西北(せいほく)(てん)目蒐(めが)けて、635中空(ちうくう)(くも)(おび)()(なが)ら、636逸早(いちはや)姿(すがた)(かく)したりける。637(あと)青彦(あをひこ)は、638青菜(あをな)(しほ)した(ごと)く、639ビリビリと(ふる)()たり。
640亀彦(かめひこ)『エー、641コンナ弱虫(よわむし)相手(あひて)にしたつて仕方(しかた)がない。642(たす)けてやらう。643サアサア(はや)くこの()立去(たちさ)れツ』
644 折角(せつかく)御馳走(ごちそう)も、645()んで()んで()みにぢられ、646(だい)なしになつて(しま)ひける。647鬼武彦(おにたけひこ)(たちま)白煙(はくえん)(くわ)し、648(また)もや天井(てんじやう)(まど)より、649(おび)()きつつ、650西北(せいほく)(てん)目蒐(めが)け、651高姫(たかひめ)(あと)()ひて中天(ちうてん)姿(すがた)(かく)しける。
652 秋山彦(あきやまひこ)夫婦(ふうふ)(はじ)め、653亀彦(かめひこ)654英子姫(ひでこひめ)655悦子姫(よしこひめ)は、656神前(しんぜん)(うやうや)しく天津祝詞(あまつのりと)奏上(そうじやう)し、657宣伝歌(せんでんか)(うた)(をは)り、658(ここ)(わか)れを()げて、659三人(さんにん)宣伝使(せんでんし)由良川(ゆらがは)(さかのぼ)り、660聖地(せいち)(むか)(こと)となりにけり。
661大正一一・四・一五 旧三・一九 松村真澄録)
   
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