霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一八章 遷宅婆(せんたくばば)〔六〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻 篇:第3篇 真奈為ケ原 よみ(新仮名遣い):まないがはら
章:第18章 遷宅婆 よみ(新仮名遣い):せんたくばば 通し章番号:608
口述日:1922(大正11)年04月16日(旧03月20日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
百日百夜の造営、鎮祭式も無事に終わり、正月十五日に一同は直会の宴にうつった。辺りは雪が降りしきり、見渡す限りの銀世界である。
英子姫は鎮祭の斎主を奉仕して階段を降ってくると、たちまち神霊に感じて天照大御神の和魂が懸り、語り始めた。
天照大御神の神勅によると、ここは綾の高天原に次いで神聖なる聖地であり、天神地祇の集まる神界火水の経綸場である。神界における天の霊の川の源泉にして、宇宙の邪気を洗い清め、百の身魂を神国に救う至厳至聖の神域である。
またこの東北にある大江山は、神界の芥川といい、邪霊が集合湧出する源泉である。だから、霊の川の霊泉をもって世界に氾濫しようとする濁悪汚わいの泥水を清めるべき使命の地である。
この濁流の彼方に天の真名井ケ岳があり、ここは清濁併せ呑む天地の経綸を司る、瑞の御霊神々が集まる源泉である。
豊国姫の分霊が真名井ケ岳に天降り、ミロク神政の経綸に任じつつある。しかし曲津神の勢力が旺盛で、豊国姫の経綸を妨害しつつある。
悦子姫は大江山の濁流を渡り、真名井ケ岳で曲霊を言向け和し、吹き清めよ。英子姫と亀彦は聖地に向かい、その後特に神界より使命を与えるべし。
一同は神勅を奉じて、亀彦と英子姫は熊鷹、石熊らと聖地を目指し、悦子姫は青彦、鬼彦、鬼虎らと大江山の魔窟ケ原を越えて真名井ケ岳に向かった。
悦子姫は魔窟ケ原の中央に進み、衣懸松に着いた。ここはかつて、高姫の館があり、火事で焼けた所であったが、今見ると、新しい仮小屋が建てられている。
青彦はそのときを思い出しながら、高姫の強情さを一同に語っている。鬼虎と鬼彦が中をのぞいて偵察すると、中には黒姫が供を従えていた。
黒姫は、青彦が三五教の宣伝服を着ているのを見ると、ウラナイ教に戻るようにと説得するが、その間にも黒姫は手下の音公、勘公と言い争いを始める。
音公は実は、三五教の宣伝使・音彦であった。ウラナイ教に間者に入っていたことが明かされる。
黒姫は青彦と長い言い争いをする
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-01-28 02:12:04 OBC :rm1618
愛善世界社版:211頁 八幡書店版:第3輯 478頁 修補版: 校定版:215頁 普及版:94頁 初版: ページ備考:
001 (ひやく)(にち)百夜(ひやくや)一同(いちどう)苦辛(くしん)惨憺(さんたん)結果(けつくわ)002(やうや)()(あが)りし白木(しらき)宮殿(きうでん)003鎮祭式(ちんさいしき)無事(ぶじ)()一同(いちどう)直会(なほらひ)(えん)にうつる。004今日(けふ)(しやう)(ぐわつ)十五(じふご)(にち)005(ゆき)鵞毛(がまう)()りしきり、006見渡(みわた)(かぎ)一面(いちめん)銀世界(ぎんせかい)007天津(あまつ)()(かげ)地上(ちじやう)(ひかり)()げ、008玲瓏(れいろう)として乾坤(けんこん)一点(いつてん)塵埃(ぢんあい)(とど)めず、009(じつ)(うる)はしき天国(てんごく)御園(みその)()くやと(おも)はるる(ばか)りなり。
010 英子姫(ひでこひめ)神霊(しんれい)鎮祭(ちんさい)斎主(さいしゆ)奉仕(ほうし)悠々(いういう)として階段(かいだん)(くだ)(きた)るや、011(たちま)神霊(しんれい)(かん)神々(かうがう)しき姿(すがた)(いや)(うへ)威厳(ゐげん)(そな)はり(おもむろ)(くち)(ひら)いて()(たま)ふやう、
012英子姫に懸かった天照御神(われ)天照(あまてらす)大神(おほかみ)和魂(にぎみたま)なり、013(そもそ)当所(たうしよ)(あや)聖地(せいち)()げる神聖(しんせい)霊場(れいぢやう)にして天神(てんしん)地祇(ちぎ)(あつ)まり(たま)神界(しんかい)火水(ひみつ)経綸場(けいりんぢやう)なり、014神界(しんかい)()ける(あめ)()(かは)源泉(げんせん)にして宇宙(うちう)邪気(じやき)(あら)(きよ)(もも)身魂(みたま)神国(しんこく)(すく)至厳(しげん)至聖(しせい)神域(しんゐき)なり。015(また)この東北(とうほく)(あた)つて大江山(おほえやま)あり、016此処(ここ)神界(しんかい)芥川(あくたがは)(しよう)邪霊(じやれい)集合(しふがふ)湧出(ゆうしゆつ)する源泉(げんせん)なれば()(かは)霊泉(れいせん)(もつ)世界(せかい)氾濫(はんらん)せむとする濁悪(だくあく)汚穢(をくわい)泥水(でいすゐ)(きよ)むべき使命(しめい)()なり。017(この)濁流(だくりう)彼方(かなた)(あめ)真名井(まなゐ)(だけ)あり、018此処(ここ)清濁(せいだく)(あは)()天地(てんち)経綸(けいりん)(つかさど)(みづ)御霊(みたま)神々(かみがみ)(あつ)まる源泉(げんせん)なり。019豊国姫(とよくにひめ)分霊(わけみたま)020真名井(まなゐ)(だけ)天降(あまくだ)りミロク神政(しんせい)経綸(けいりん)(にん)(たま)ひつつあり、021されども曲神(まがかみ)勢力(せいりよく)旺盛(わうせい)にして千変(せんぺん)万化(ばんくわ)妖術(えうじゆつ)(もつ)豊国姫(とよくにひめ)経綸(けいりん)妨碍(ばうがい)せむとしつつあり。022(なんぢ)悦子姫(よしこひめ)023(これ)より大江山(おほえやま)濁流(だくりう)(わた)真名井(まなゐ)(だけ)打向(うちむか)(もも)曲霊(まがひ)言向和(ことむけやは)()(はら)()(きよ)めよ。024(また)亀彦(かめひこ)025英子姫(ひでこひめ)には神界(しんかい)(おい)特別(とくべつ)使命(しめい)あれば(これ)より聖地(せいち)(むか)へ、026(その)(うへ)(あらた)めて(なんぢ)特別(とくべつ)使命(しめい)(あた)ふべし』
027言葉(ことば)(おごそ)かに言挙(ことあ)げし(たま)(たちま)(きこ)ゆる微妙(びめう)音楽(おんがく)(とも)()きとらせ(たま)ひぬ。028アヽ(たふと)(かな)(すめ)大神(おほかみ)()神勅(しんちよく)よ。
029 (ここ)亀彦(かめひこ)030英子姫(ひでこひめ)神勅(しんちよく)(ほう)じ、031熊鷹(くまたか)032石熊(いしくま)両人(りやうにん)(はじ)数十(すうじふ)(にん)供人(ともびと)(とも)に、033聖地(せいち)(むか)(こと)となりぬ。034(また)悦子姫(よしこひめ)035青彦(あをひこ)は、036鬼彦(おにひこ)037鬼虎(おにとら)二人(ふたり)に、038四五(しご)従者(じゆうしや)(ともな)谷川(たにがは)(みそぎ)(しう)宣伝歌(せんでんか)(とな)(なが)大江山(おほえやま)魔窟(まくつ)(はら)打越(うちこ)真名井(まなゐ)(だけ)(むか)つて(すす)(こと)になりける。
039 悦子姫(よしこひめ)宮川(みやかは)渓流(けいりう)(さかのぼ)り、040(けは)しき谷間(たにま)(みぎ)()び、041(ひだり)(わた)(やうや)くにして魔窟(まくつ)(はら)中央(ちうあう)(すす)()り、042衣懸松(きぬかけまつ)(そば)()()まり()れば、043百日前(ひやくにちぜん)()()せたる高姫(たかひめ)隠家(かくれが)(また)もや蔦葛(つたかづら)(むす)び、044(あたら)しく(おな)場所(ばしよ)仮小屋(かりごや)()てられありたり。
045悦子姫(よしこひめ)(この)(あひだ)(わたし)高姫(たかひめ)(まね)かれて(この)(まつ)(した)()ると、046()もなく火煙(くわえん)濛々(もうもう)立昇(たちのぼ)り、047小屋(こや)四方(しはう)八方(はつぱう)より猛烈(まうれつ)紅蓮(ぐれん)(した)()いて(またた)(うち)舐尽(なめつく)し、048高姫(たかひめ)さま(はじ)(この)青彦(あをひこ)さまも火鼠(ひねずみ)(やう)に、049()丸木橋(まるきばし)から青淵(あをふち)目蒐(めが)けて()()まれた(とき)光景(くわうけい)(じつ)にお()(どく)なりし。050その(とき)(わたし)高姫(たかひめ)さまの(みづ)(おぼ)れて(くる)しみ藻掻(もが)()られるのを、051真裸(まつぱだか)になりて(すく)()げた(とき)052高姫(たかひめ)さまに非常(ひじやう)(おこ)られた(こと)あり、053(わたし)勝手(かつて)心地(ここち)よく水泳(すゐえい)をやつて()るのに、054真裸(まつぱだか)()ンで()(わたし)()()(にぎ)り、055ひつ()()げるとは()しからぬ」と反対(あべこべ)生命(いのち)(たす)けて(おこ)られた(こと)あり、056あの一本橋(いつぽんばし)()ると(その)(とき)光景(くわうけい)(いま)()(やう)な』
057述懐(じゆつくわい)(もら)したり。
058青彦(あをひこ)『さうでしたな、059あの(とき)(わたくし)亀彦(かめひこ)さまが()なかつたら土左衛門(どざゑもん)になる(ところ)でした。060真実(しんじつ)生命(いのち)(おや)だと(おも)つて(こころ)(そこ)から感謝(かんしや)して()ました。061それに高姫(たかひめ)さまは(わたくし)がお(れい)(まを)さうとすれば()(たて)にして(にら)むものですから、062つひお(れい)(まを)()げず(こころ)(うち)()まぬ(こと)ぢやと(おも)つて()ました、063真実(ほんと)負惜(まけをし)みの(つよ)(かた)ですな』
064鬼彦(おにひこ)『ウラナイ(けう)(やつ)(みな)アンナ(もの)だよ、065(むか)意気(いき)(つよ)い、066(まけ)(ぎら)ひばかりが()つて()るから(まけ)(こと)(よわ)つた(こと)()らぬ(やつ)だ、067(あく)()(こと)()らず本当(ほんたう)片意地(かたいぢ)(をしへ)だ、068(まけ)(こと)()らぬものに勝負(かちまけ)()ければ、069(はぢ)()らぬものに(はぢ)はない、070人間(にんげん)もああなれば(つよ)いものだ、071(いな)気楽(きらく)なものだ、072自分(じぶん)のする(こと)何事(なにごと)(みな)(ぜん)ときめてかかつて()るのだから身魂(みたま)()(なほ)(やう)がありませぬ(わい)
073青彦(あをひこ)『ヤア(わたくし)高姫(たかひめ)強情(がうじやう)なには(あき)れて(もの)()はれませぬ、074沓島(くつじま)岩蓋(いはぶた)をせられた(とき)にも(わたくし)()()(やう)(おも)ひがして、075()くにも()かれず(ふる)うて()ましたが、076高姫(たかひめ)豪気(がうき)なものです、077反対(あべこべ)窮鼠(きうそ)(かへつ)(ねこ)()(やう)談判(だんぱん)をやるのですから(あき)れざるを()ぬぢやありませぬか、078(やうや)田辺(たなべ)()いたと(おも)へば(やみ)(まぎ)れてドロンと()()せ、079()もなく(つき)(ひかり)発見(はつけん)されて鬼武彦(おにたけひこ)素首(そつくび)(つか)まれ、080(ひつさ)げられて(なが)道中(だうちう)秋山彦(あきやまひこ)(やかた)まで()()かれ、081(くる)しいの、082(くる)しうないのつて、083(いき)()れさうでしたよ、084それでも()らず(ぐち)(たた)いて太平楽(たいへいらく)(なら)べると()意地(いぢ)(わる)(をんな)だから、085何処迄(どこまで)()(けつ)(つよ)いか(わか)つたものぢやない。086如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(たま)大勢(おほぜい)()(まへ)平気(へいき)平左(へいざ)自分(じぶん)(はら)(なか)()()みて仕舞(しま)ひ、087(しまひ)には(けぶり)(やう)天井窓(てんじやうまど)から逃出(にげだ)すと()(はな)(わざ)をやるのだから、088化物(ばけもの)だか、089(かみ)(さま)だか、090()だか、091素性(えたい)()れぬ痴者(しれもの)だ、092そして随分(ずゐぶん)口先(くちさき)達者(たつしや)(こと)()つたら(つばめ)(すずめ)親方(おやかた)(やう)だ、093(ひと)には交際(つきあ)つてみねば(わか)らぬが、094あの剛腹(がうはら)態度(たいど)(べん)ちやらとに(かか)つたら、095大抵(たいてい)男女(だんぢよ)(じふ)(にん)()(にん)(まで)やられて仕舞(しま)ふ、096本当(ほんたう)(たくみ)(もの)だ、097其処(そこ)(また)098(ひと)弁舌(べんぜつ)上手(じやうず)黒姫(くろひめ)()ふのが始終(しじう)(うしろ)について()つて応援(おうゑん)をするものだから、099(くち)八丁(はつちやう)()八丁(はつちやう)(あく)八丁(はつちやう)()(がう)(もの)(つく)りあげて仕舞(しま)つたのだ。100(しか)しチヤンと(この)()(あと)(また)もや(あたら)しい小屋(こや)()つて()る、101大方(おほかた)黒姫(くろひめ)(やつ)102(あと)()つかけて()よつて()(あと)小屋(こや)()てて(かく)れて()るのではあるまいか、103何処(どこ)までも執念深(しふねんぶか)いのはウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)だからな』
104鬼虎(おにとら)(ひと)調(しら)べてやりませうかい』
105鬼彦(おにひこ)()黒姫(くろひめ)()つたら貴様(きさま)()うする、106(また)(した)(さき)でチヨロチヨロと(なめ)られてグニヤグニヤとなりやせぬかな』
107鬼虎(おにとら)(なに)108大丈夫(だいぢやうぶ)だよ、109鬼虎(おにとら)には鬼虎(おにとら)(とら)(まき)がある、110(おれ)十一七(じふいちしち)(ばん)()()()けてやるから(ゆる)りと見物(けんぶつ)をせい』
111 一同(いちどう)路傍(ろばう)恰好(かつかう)(いし)腰掛(こしか)けて休息(きうそく)(なが)雑談(ざつだん)(ふけ)つて()る。112鬼虎(おにとら)七八間(しちはちけん)(ばか)(やや)傾斜(けいしや)(みち)(くだ)衣懸(きぬかけ)(まつ)(ふもと)藁小屋(わらごや)(そと)からソツと(のぞ)き、
113鬼虎(おにとら)『ヤア、114()るぞ()るぞ、115(ばば)一匹(いつぴき)116(をとこ)二匹(にひき)だ、117オイ(ばば)ア、118貴様(きさま)(なん)だ、119バラモン(けう)か、120ウラナイ(けう)か、121ウラル(けう)か、122返答(へんたふ)(いた)せ』
123 小屋(こや)(なか)より、
124婆(黒姫)『エー、125八釜(やかま)しい(わい)126何処(どこ)穀潰(ごくつぶ)しか()らぬが新宅(しんたく)成功祝(せいこういはひ)で、127グツスリ(さけ)()みて(あたたか)(ゆめ)()()(ところ)だ、128(おほ)きな(こゑ)()()まさしよつてチツト人情(にんじやう)()らぬかい。129安眠(あんみん)妨害(ばうがい)告発(こくはつ)するぞ』
130鬼虎(おにとら)『ヤア、131一寸(ちよつと)洒落(しやれ)()やがる、132よう(うし)(やう)にツベコベと()(なが)ねちねちと(くち)(うご)かす(やつ)だ、133(まる)高姫(たかひめ)黒姫(くろひめ)みたいな餓鬼(がき)だ、134改心(かいしん)せぬと(また)それ紅蓮(ぐれん)(した)()められて、135藁小屋(わらごや)祝融子(しゆくゆうし)見舞(みま)はれ全部(ぜんぶ)烏有(ういう)()し、136(あたま)()着衣(ちやくい)()延焼(えんせう)して一本橋(いつぽんばし)から()()げて寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)137十万(じふまん)億土(おくど)旅立(たびだち)をせにやならぬ(やう)になるぞ』
138 小屋(こや)(なか)より、
139婆(黒姫)何処(どこ)(やつ)()らぬが(わし)貴様(きさま)(いま)()うた黒姫(くろひめ)だよ、140()黒姫(くろひめ)でも(かほ)(いろ)はそれ(いま)其処(そこ)らに()つてる(ゆき)(やう)(しろ)(ゆき)()(やう)(こころ)綺麗(きれい)なウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)ぢや、141(この)沢山(たくさん)(しづく)()()けて(さむ)(さむ)山道(やまみち)うろつく(やつ)余程(よほど)ゆきつまつたしろ(もの)()える(わい)142今日(けふ)らの()彷徨(さまよ)(やつ)(いへ)()いもののする(こと)ぢや、143田螺(たにし)でも蝸牛虫(でんでんむし)でも(ひと)つは(いへ)()つて()る、144(いへ)()しのド乞食(こじき)()が、145(なん)とか、146(かん)とか()ひよつて(ひと)(ところ)(いへ)()めて(もら)はうと(おも)つても……さうは()かぬぞ、147(しか)魚心(うをごころ)あれば水心(みづごころ)ありぢや、148(わし)()(こと)()くのなら()めてやらぬ(こと)()いわ、149それ(ほど)(さむ)(さう)()()()はぬ(ほど)150カツカツ(ふる)ふよりも如何(どう)ぢや、151(わし)結構(けつこう)(はなし)()いて(あたたか)()にあたつて、152(あぢ)()濁酒(どぶろく)でも鱈腹(たらふく)()みた(はう)がましだらう、153()(なか)馬鹿者(ばかもの)(おほ)いので(この)(ゆき)()つてピユウピユウと(かほ)(かは)()ける(やう)(かぜ)()くのに、154(くだ)らぬ宣伝歌(せんでんか)(なみだ)(まじ)りに(うた)ひよつても(たれ)(あつ)まつて()くものかい、155(あと)から(あと)から(この)(ゆき)(やう)(ひや)かされる一方(いつぱう)だ、156(ひと)冷静(れいせい)(さけ)(かん)ドツコイ(かんが)へて()たが()からうぞ』
157鬼虎(おにとら)『アハヽヽヽ、158オイ鬼彦(おにひこ)159一寸(ちよつと)()い、160大分(だいぶ)()うツベコベ(ぬか)(やつ)ぢや、161高姫(たかひめ)二代目(にだいめ)()りよる(わい)162白姫(しろひめ)とか赤姫(あかひめ)とか(ぬか)中年増(ちうどしま)(ばば)ぢや、163(ひと)此奴(こいつ)を、164真名井(まなゐ)(だけ)()途中(とちう)先登(せんとう)として言向(ことむ)(やは)したら面白(おもしろ)からうぞ』
165鬼彦(おにひこ)『ヤ、166さうか、167(なん)でも(ばば)(ひそ)みて()さうな藁小屋(わらごや)ぢやと(おも)つた。168ドレドレ(これ)から鬼彦(おにひこ)応援(おうゑん)出掛(でか)(やう)かい』
169 (ゆき)(なか)をザクザクと(おと)させ(なが)小屋(こや)(そば)()()ひソツと(なか)(のぞ)き、
170鬼彦(おにひこ)『ヤア、171()()る、172此奴(こいつ)何時(いつ)やら()(こと)のある(やつ)ぢや。173随分(ずゐぶん)八釜(やかま)しい(ばば)ぢやぞ、174(すず)化物(ばけもの)()(やう)(やつ)ぢや』
175鬼虎(おにとら)(すず)(すす)()らぬが(なん)でも(くろ)()のつくババイババイ(ばば)宣伝使(せんでんし)だ。176オイ、177(ばば)ア、178(ひと)貴様(きさま)得意(とくい)雄弁(ゆうべん)(ふる)つて天下(てんか)()()舌鋒戦(ぜつぽうせん)でも開始(かいし)したら如何(どう)だ、179面白(おもしろ)いぞ』
180(ばば)(黒姫)『オイ、181(おと)182(かん)183(さけ)(くら)()うて何時迄(いつまで)()()るのだ、184(そと)には貴様(きさま)()うたり(かな)うたりの荷担(にな)うたら(ぼう)()れる(やう)なヒヨツトコ(をとこ)()よつて、185百舌鳥(もず)(やう)(さへづ)つて()る、186貴様(きさま)(ひと)()舌戦(ぜつせん)をやらぬかいナ』
187(おと)188(かん)『ムヽヽヽ、189ムニヤムニヤムニヤ、190アヽア、191アー』(寝惚(ねぼ)(ごゑ)で)
192(ばば)(黒姫)『エー、193じれつたい194欠伸(あくび)(ばか)りして夜中(よなか)(ゆめ)でも()てるのかい、195もう午時(うまどき)ぢや、196(はや)()きぬか』
197音公(おとこう)午時(うまどき)猫時(ねこどき)()らぬが二人(ふたり)がグツスリと(ねこ)()つて、198(うま)(もの)をドツサリ()つた(ゆめ)()てる(とき)に、199アヽ(えら)(そん)をした、200十七八(じふしちはち)(すこぶ)るのナイスが(あら)はれて、201(ほそ)(しろ)(やはら)かい()()(ほそ)うして「(おと)さま、202一杯(いつぱい)」と(さかづき)をさして()れた最中(さいちう)(おこ)されて、203エーエ()(たい)(わる)い、204一生(いつしやう)()(かへ)しのならぬ大損害(だいそんがい)だ、205(うま)れてから()(こと)もない(やう)なナイスにお給仕(きふじ)をして(もら)(とき)心持(こころもち)()つたら天国(てんごく)浄土(じやうど)()つても、206(ゆめ)でなくては()りさうもない、207アヽア、208(うれ)しかつた(うれ)しかつた』
209(ばば)(黒姫)『オイ、210(おと)211(なに)をお(まへ)(とぼ)けて()るのだい、212チツト(しつか)りしなさらぬか、213()()けて(そと)()なさい、214沢山(たくさん)耄碌(まうろく)がやつて()(いま)(この)黒姫(くろひめ)舌鋒(ぜつぽう)()されて、215ウラナイ(けう)帰順(きじゆん)せむとする準備(じゆんび)最中(さいちう)だ、216サアサア勘公(かんこう)()きたり()きたり』
217 (ばば)はノソリノソリと小屋(こや)()()で、
218婆(黒姫)『ヤア(たれ)かと(おも)へば青彦(あをひこ)其処(そこ)()るのか、219コレヤ、220マア如何(どう)したのだ、221何時(いつ)()三五教(あななひけう)這入(はい)りよつたのだ、222宣伝使(せんでんし)(ふく)(かは)つて()るぢやないか、223サア(はや)()()ててウラナイ(けう)教服(けうふく)()へるのだよ』
224青彦(あをひこ)『これはこれは黒姫(くろひめ)先生(せんせい)225(はばか)(なが)今日(こんにち)青彦(あをひこ)最早(もはや)百日前(ひやくにちぜん)青彦(あをひこ)とは(おもむき)(ちが)つて()ますから、226その(つも)りで(もの)()つて(もら)ひませぬと、227(それがし)(いささ)迷惑(めいわく)(いた)りだよ』
228(ばば)(黒姫)『オホヽヽヽ、229(ねこ)()(たま)(やう)に、230()(かは)灰猫(はひねこ)野郎(やらう)だな、231そこに()(をんな)宣伝使(せんでんし)(この)(あひだ)()悦子姫(よしこひめ)()(やぶ)宣伝使(せんでんし)だらう、232ソンナ(もの)()いて(ある)いて(なに)になるか、233チツトお(まへ)(もの)道理(だうり)(かんが)へて利害(りがい)得失(とくしつ)(わきま)へたが()からうぞ、234オホヽヽヽ』
235勘公(かんこう)(みな)さま、236ソンナ(ところ)(こし)()けて()らずに、237トツトとお這入(はい)りなさいませ、238(うち)はホラホラ()はスウスウぢや、239随分(ずゐぶん)(ひろ)()がありますよ』
240(ばば)(黒姫)『コレヤ、241勘公(かんこう)よ、242()勘考(かんかう)してものを()はぬかい、243主人(しゆじん)黒姫(くろひめ)にも(こた)へずに(しもべ)分際(ぶんざい)として勝手(かつて)にお這入(はい)(くだ)さいとはソレヤ(なに)()ふのか、244アンナ(もの)一緒(いつしよ)()れたら(まる)爆弾(ばくだん)()めた(やう)なものぢや、245何処(どこ)から破裂(はれつ)(いた)すやら(わか)つたものぢやないぞ』
246勘公(かんこう)爆弾(ばくだん)でも(なん)でも()いぢやありませぬか、247先方(むかう)爆弾(ばくだん)をソツと此方(こちら)占領(せんりやう)して使(つか)ふのが妙案(めうあん)奇策(きさく)248(てき)(かて)(もつ)(てき)(せい)する六韜(りくたう)三略(さんりやく)兵法(へいはふ)御座(ござ)る、249アハヽヽヽ』
250(ばば)(黒姫)『お(まへ)兵法(へいはふ)矢張(やつぱり)()(やう)(もの)だ、251(にほ)ひも()ければ(おと)もこたへず、252音公(おとこう)(おな)(やう)(つか)まへ(どころ)()人三(にんさん)化七(ばけしち)ぢや』
253音公(おとこう)『これこれ、254黒姫(くろひめ)のチヤアチヤアさま、255音公(おとこう)(やう)(もの)とは、256ソレヤ(なに)証拠(しようこ)()ふのだ、257チヤアチヤア(ぬか)すと量見(りやうけん)せぬぞ、258世界(せかい)一目(ひとめ)()()竜宮(りうぐう)乙姫(おとひめ)ぢやぞと、259()けても()れても口癖(くちぐせ)(やう)自慢(じまん)して()るが、260現在(げんざい)足許(あしもと)()(この)(おと)さまを(たれ)だと(おも)つて()るのか、261()盲目(めくら)だな、262三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)音彦司(おとひこつかさ)とは此方(こなた)(こと)だぞ』
263(ばば)(黒姫)(おと)名高(なだか)音彦(おとひこ)宣伝使(せんでんし)()ふのはお(まへ)(こと)か、264オツト、265ドツコイ、266(おと)()いた(ほど)()見劣(おと)りした腰抜(こしぬ)野郎(やらう)だ、267(みづ)(なか)おとした()(やう)(をとこ)音公(おとこう))だな、268()ンなガラクタ(をとこ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)だなぞと本当(ほんたう)おとましい(わい)269(うま)るる(とき)母親(ははおや)(はら)(なか)肝腎(かんじん)な、270()()えぬものをおとして()(やう)間抜(まぬ)けた顔付(かほつき)をしよつて、271宣伝使(せんでんし)(なん)のつて、272雪隠虫(せんちんむし)()いて(あき)れますぞえ、273宣伝使(せんでんし)ぢや()うて雪隠虫(せんちんむし)ぢやらう、274オホヽヽヽ』
275音彦(おとひこ)『エー、276仕方(しかた)のない剛情(がうじやう)(ばば)ばかりウラナイ(けう)には()つて()やがるな』
277(ばば)(黒姫)『きまつた(こと)ぢや、278(まへ)()(ぽど)馬鹿(ばか)人足(にんそく)だな、279今頃(いまごろ)(おこり)()ちた(やう)(かほ)しよつて、280剛情(がうじやう)(やつ)ばかりウラナイ(けう)()つて()やがるな」なぞとソンナ(うと)()()かぬ(こと)でウラナイ(けう)間者(かんじや)這入(はい)つたつて(なに)成功(せいこう)するものか、281(この)黒姫(くろひめ)此奴(こいつ)一癖(ひとくせ)ある間抜(まぬ)けだと(おも)つて、282()らぬ(かほ)()れば()()になりよつて(なに)()ふのだ、283貴様(きさま)(つら)()い、284世界一(せかいいち)(おほ)馬鹿者(ばかもの)285三五教(あななひけう)腰抜(こしぬ)野郎(やらう)貴様(きさま)()てる()(この)黒姫司(くろひめつかさ)(すみ)黒々(くろぐろ)()いて()いた、286それも()らずに偉相(えらさう)()ふな、287(なべ)(しり)(やう)(つら)になりよつて、288(まへ)()(ぽど)くろう()きぢやと()える、289(こころ)からとて(わが)(さと)(はな)れ、290()らぬ他国(たこく)苦労(くらう)する」とはお(まへ)(やう)馬鹿者(ばかもの)境遇(きやうぐう)剔抉(てつけつ)して余蘊(ようん)なしだ、291ホヽヽヽ、292それに()けても青彦(あをひこ)(やつ)293(なん)(ざま)ぢや、294日蔭(ひかげ)(そだ)つた瓢箪(へうたん)(やう)(つら)をして結構(けつこう)なウラナイ(けう)(かみ)(さま)()をかがしたか、295かかさぬか、296…………ド拍子(べうし)()けたシヤツ(つら)(この)寒空(さむぞら)(さら)し、297(みづ)(みたま)()(つめ)たい()()いた(やつ)(をしへ)有難(ありがた)(さう)()きよつて、298蒟蒻(こんにやく)化物(ばけもの)(やう)にビリビリ(ふる)(ある)地震(ぢしん)化物(ばけもの)()299チツと(むね)()()てて自身(じしん)(こころ)(かんが)へて()よ』
300青彦(あをひこ)(おほ)きに(はばか)(さま)301()うせ青彦(あをひこ)黒姫(くろひめ)()からして色彩(しきさい)(ちが)ふから(そり)(あひ)ませぬ(わい)302(くろ)(くろ)(かほ)石灰釜(いしばひがま)(いたち)()たように、303ドツサリと白粉(おしろい)をコテコテ()りたて、304(まる)此処(ここ)にある焼杭木(やけぼつくひ)(ゆき)(つも)つた(やう)なものだ。305五十(ごじふ)(けつ)(つく)りよつて白髪(しらが)()めたり、306(かほ)()つたりしたつて(しわ)(かく)れはせぬぞ、307(わか)(もの)真似(まね)をして(わか)(さう)()(やう)(おも)つても雪隠(せんちん)洪水(こうずゐ)(ばば)()きぢや、308(きたな)いばかりぢや、309()加減(かげん)改心(かいしん)せぬかい』
310(ばば)(黒姫)(おれ)(かほ)白粉(おしろい)をつけて()るのが(なに)可笑(をか)しい、311何事(なにごと)(すみ)から(すみ)まで(まへ)にも()をつけおしろいにも()(まは)して抜目(ぬけめ)()(をしへ)()(しるし)白粉(おしろい)をつけて()るのだ、312貴様(きさま)尾白(をしろ)(きつね)(つま)まれよつてウロウロとうろついてるのだな、313娑婆(しやば)幽霊(いうれい)死損(しにぞこ)なひ()が』
314青彦(あをひこ)娑婆(しやば)幽霊(いうれい)死損(しにぞこ)なひとは貴様(きさま)(こと)だよ、315人生(じんせい)(わづ)五十(ごじふ)(ねん)316五十(ごじふ)(さか)()えよつて白粉(おしろい)をつけて(やつ)した(ところ)地獄(ぢごく)(おに)()れては()れはせぬぞ、317三途川(せうづがは)鬼婆(おにばば)姉妹(きやうだい)()(ちが)へられて、318冥土(めいど)()つても(また)大々(だいだい)(てき)排斥(はいせき)をせらるるのは(はん)()した(やう)なものだ、319本当(ほんたう)(こま)つた(ばば)だな、320執着心(しふちやくしん)(つよ)粘着(ねんちやく)(ふか)い、321()いたら(はな)れぬと()牛蝨(だに)(やう)代物(しろもの)だ、322如何(どう)ぞして結構(けつこう)三五教(あななひけう)(すく)うてやり()いと(おも)つて()るのだが、323もう()うなりては駄目(だめ)かな、324(みみ)(たこ)になり()()節穴(ふしあな)(やう)硬化(かうくわ)して仕舞(しま)ひ、325(くち)ばつかり無病(むびやう)健全(けんぜん)()代物(しろもの)だから、326如何(どう)しても見込(みこ)みがつかぬ(わい)
327(ばば)(黒姫)『エー、328ツベコベと世迷(よま)(ごと)()(さへづ)(をとこ)だ、329(はじ)めには三五教(あななひけう)結構(けつこう)だと()つて(なみだ)(こぼ)し、330(はな)まで()らして有難(ありがた)がり、331(つぎ)には三五教(あななひけう)薩張(さつぱ)駄目(だめ)だ、332(みづ)(みたま)不可解(ふかかい)行動(かうどう)()()ちぬ、333もうもう愛想(あいさう)がつきた、334三五教(あななひけう)()()いても(むね)(わる)いと()ひよつて、335(この)黒姫(くろひめ)紹介(せうかい)でウラナイ(けう)にヤツと(ひろ)()げ、336もう()うなり()うなり一人(ひとり)(ある)きが出来(でき)(やう)になつたと(おも)へば(また)もや変心病(へんしんびやう)()しよつて、337矢張(やつぱ)りウラナイ(けう)駄目(だめ)だ、338(せん)(かかあ)(うそ)はつかぬ(わい)339三五教(あななひけう)()神力(しんりき)(つよ)い」と、340(うきぐさ)(やう)(こころ)になつて、341(かぜ)(ひがし)から()けば西(にし)(ただよ)ひ、342西(にし)から()けば(ひがし)(きし)漂着(へうちやく)すると()漂着者(へうちやくもん)だ、343ソンナ(こと)(かみ)(さま)()(かげ)(もら)へるか、344終始(しうし)一貫(いつくわん)345不変(ふへん)不動(ふどう)346(いは)をも射抜(いぬ)梓弓(あづさゆみ)347()きて(かへ)らぬ(つよ)信仰(しんかう)(もつ)(かみ)(つか)ふるのが万物(ばんぶつ)霊長(れいちやう)たる人間(にんげん)意気(いき)だよ、348()うフラフラと(かは)瓢六玉(へうろくだま)だ、349アヽ可憐相(かはいさう)(もの)だ、350ヤア(あはれ)なものだなア、351オホヽヽヽ』
352青彦(あをひこ)(なに)()ひよるのだ、353コラ黒姫(くろひめ)354貴様(きさま)だつて三五教(あななひけう)結構(けつこう)だ、355(ひろ)世界(せかい)にコンナ(まこと)(をしへ)があらうかと()ひよつて、356今迄(いままで)(しん)じて()たバラモン(けう)弊履(へいり)()つるが(ごと)念頭(ねんとう)より放棄(はうき)し、357(いま)(また)ウラナイ(けう)高姫(たかひめ)参謀(さんぼう)になりよつたと(おも)つて、358偉相(えらさう)(こと)()ふない。359(さる)尻笑(しりわら)ひと()ふのは貴様(きさま)(こと)ぢや、360オヽそれそれ(さる)(おも)()した、361(さる)()(やつ)はかく(こと)上手(じやうず)(やつ)ぢや、362貴様(きさま)高姫(たかひめ)筆先(ふでさき)だとか、363(なん)とか()(くぎ)行列(ぎやうれつ)(やう)な、364(かき)へた(やう)なものを毎日(まいにち)365()にち(うつ)しよつて、366それを唯一(ゆゐいつ)武器(ぶき)(たの)み、367(おに)(くび)(へら)でかき()つた(やう)心持(こころもち)になつて、368世界中(せかいぢう)(まこと)信者(しんじや)信仰(しんかう)をかき(まは)すと()ふ、369さるとはさるとは(こま)つた代物(しろもの)だよ、370(さる)(もち)()くお(かめ)がまぜると()(こと)がある、371コラ猿婆(さるばば)貴様(きさま)舌端(ぜつたん)()()いて言向(ことむ)(やは)した信者(しんじや)()()を、372青彦(あをひこ)宣伝使(せんでんし)(これ)からかき(まは)すのだから、373マアマア(せい)()して活動(くわつどう)するが()(わい)374貴様(きさま)三五教(あななひけう)先走(さきばし)りだ、375イヤ、376もう()苦労(くらう)のお(やく)だ、377霊魂(みたま)因縁(いんねん)()つて(あく)御用(ごよう)(まは)されたと(おも)へば(むし)ろお()(どく)()へぬワイ、378アヽ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)379(かな)はぬから(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)380アハヽヽヽ』
381大正一一・四・一六 旧三・二〇 北村隆光録)

王仁三郎が著した「大作」がこれ1冊でわかる!
飯塚弘明・他著『あらすじで読む霊界物語』(文芸社文庫)
絶賛発売中!

目で読むのに疲れたら耳で聴こう!
霊界物語の朗読 ユーチューブに順次アップ中!
霊界物語の音読まとめサイト
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→