霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 楽茶苦(らくちやく)〔九一九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第33巻 海洋万里 申の巻 篇:第1篇 誠心誠意 よみ:せいしんせいい
章:第4章 第33巻 よみ:らくちゃく 通し章番号:919
口述日:1922(大正11)年08月26日(旧07月4日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年11月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
捨子姫は結婚式の準備に繁忙を極めていたが、松若彦が慌ただしく走り来たった。捨子姫の居間に通された松若彦は、高姫が自分の館にやってきて熱心に反対運動をしに来たことを告げ、捨子姫に注意を促した。
捨子姫は松若彦の報せに感謝し、ただし自分はすでに腹を決めているし、昨日国依別に会った時も、国依別本人が固い決心だから、何が起ころうとも安心するように、と松若彦をなだめた。
そこへ言依別命が松若彦を尋ねてやってきた。一緒に盛典を成功させようと、二人は御殿に向かって行こうとしたとき、高姫は髪を振り乱して捨子姫の館の玄関口にやってきた。いつの間にか言霊停止は解除されて、怒鳴りたてている。
後からカールと春彦がやってきて追いついたが、松若彦は玄関まで出て、取り込み中だから帰るようにと高姫に告げるが、高姫は必死にこの結婚が大神様への侮辱になるからと訴えた。
松若彦は高姫に上がるようにと言った。高姫はカールとちょっとやり合い、松若彦に憎まれ口を叩いた後、捨子姫に意見を始めた。
しかし捨子姫の結婚賛成への意見は堅く、逆に言依別命、松若彦とともに、高姫の反対意見に対して諭して聞かせた。高姫もついに我を折って、ここはおとなしく改心することになった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm3304
愛善世界社版:36頁 八幡書店版:第6輯 269頁 修補版: 校定版:37頁 普及版:15頁 初版: ページ備考:
001 ()()けぬ(まへ)から捨子姫(すてこひめ)は、002末子姫(すゑこひめ)結婚(けつこん)用意(ようい)取掛(とりかか)り、003相当(さうたう)繁忙(はんばう)(きは)めて()た。004そこへ松若彦(まつわかひこ)(あわ)ただしく(はし)(きた)り、005案内(あんない)()うた。006高公(たかこう)玄関(げんくわん)にて(その)用事(ようじ)(おもむき)()き、007(ただ)ちに捨子姫(すてこひめ)居間(ゐま)(とほ)した。
008捨子姫(すてこひめ)松若彦(まつわかひこ)(さま)009(あわ)ただしきあなたの御様子(ごやうす)010(なに)変事(へんじ)出来(しゆつたい)したので御座(ござ)いますか』
011 松若彦(まつわかひこ)(いき)(はづ)ませ(なが)ら、
012松若彦(まつわかひこ)今日(けふ)(まこと)(もつ)てお目出(めで)たう(ぞん)じます。013さて只今(ただいま)(わたし)(やかた)高姫(たかひめ)さまが御出(おい)でになり大変(たいへん)権幕(けんまく)御座(ござ)いました。014(えう)するに今度(こんど)結婚(けつこん)をジヤミにしようと熱心(ねつしん)車輪的(しやりんてき)運動(うんどう)をやつて()られます。015(わたし)言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)より昨夜(さくや)大体(だいたい)(うけたま)はつて()りましたので、016これは屹度(きつと)(その)問題(もんだい)(ちがひ)ないと(おも)つてゐますと、017(はた)して(わたし)只一口(ただひとくち)……ウン……と()つて、018(くび)(たて)にふりさえすれば、019万事(ばんじ)解決(かいけつ)のつく(はなし)だと()はれましたので、020コリヤ大変(たいへん)021(いま)となつて(みづ)()されては、022素盞嗚大神(すさのをのおほかみ)(さま)(はじ)め、023末子姫(すゑこひめ)(さま)(たい)し、024申訳(まをしわけ)がない。025弁舌(べんぜつ)(たくみ)高姫(たかひめ)さまに(たい)して議論(ぎろん)をして()つても、026()()かない、027()()はぬが(おく)()と、028裏口(うらぐち)から()げて(まゐ)りました。029あと()(かへ)()れば、030高姫(たかひめ)さまは(かみ)ふり(みだ)し、031夜叉(やしや)(やう)(いきほ)ひで、032(わたし)のあとを()つかけて()ます。033(わたし)(さいは)ひ、034一本橋(いつぽんばし)(おと)しておいて高姫(たかひめ)さまの進路(しんろ)(さへぎ)り、035(やうや)此処(ここ)まで()けつけました。036(いづ)れ、037(のち)(ほど)(たく)へお()でになるでせうから、038それ(まで)にトツクリとあなたと御相談(ごさうだん)()げ、039(ひめ)(さま)にも断乎(だんこ)たる決心(けつしん)()つて(いただ)きたいと(ぞん)じまして、040邪魔(じやま)(いた)しました次第(しだい)御座(ござ)います』
041捨子姫(すてこひめ)『あゝ左様(さやう)御座(ござ)いましたか。042それは大変(たいへん)御心配(ごしんぱい)をおかけ(まを)しました。043(ひめ)(さま)(はう)(おい)ては夜前(やぜん)より、044言依別命(ことよりわけのみこと)(さま)(わたくし)が、045(およ)ばず(なが)ら、046いろいろと申上(まをしあ)げ、047(いま)(ところ)では(てこ)でも(ぼう)でも(うご)かぬ(やう)(かた)御決心(ごけつしん)御座(ござ)いますから、048たとへ高姫(たかひめ)さまが(なん)()はう(とも)049最早(もはや)ビクとも(うご)きませぬ。050安心(あんしん)して(くだ)さいませ』
051松若彦(まつわかひこ)『それを()いて(わたくし)一寸(ちよつと)安心(あんしん)(いた)しました。052(しか)(なが)ら、053こんなゴテゴテした(こと)が、054肝腎(かんじん)国依別(くによりわけ)さまの(みみ)へでも這入(はい)らうものなら、055淡泊(たんぱく)(ひと)だから……エヽもう()んなゴテゴテした縁談(えんだん)なら真平(まつぴら)だ……と(くび)(よこ)にふられたが最後(さいご)056吾々(われわれ)大神様(おほかみさま)(たい)して申訳(まをしわけ)御座(ござ)いませぬから、057それが第一(だいいち)心配(しんぱい)御座(ござ)います』
058捨子姫(すてこひめ)国依別(くによりわけ)さまも、059(わたし)夜前(やぜん)ソツと高公(たかこう)()訪問(はうもん)(いた)し、060いろいろと御意見(ごいけん)(うけたま)はりましたが、061高姫(たかひめ)さまの(まぜ)(かへ)しについて、062(すこ)(ばか)り、063うるさがつて()られました。064(しか)(なが)ら、065今度(こんど)はどうしても、066大神様(おほかみさま)思召(おぼしめし)だから、067(いな)(わけ)には()かぬ……と仰有(おつしや)つて(かた)(かた)決心(けつしん)()えました。068これも(ひと)御安心(ごあんしん)(くだ)さいませ』
069 ()かる(ところ)へ、070言依別命(ことよりわけのみこと)(ただ)一人(ひとり)(あら)はれ(きた)り、071高公(たかこう)案内(あんない)させ(なが)ら、072ツカツカと(おく)()り、
073『ヤア松若彦(まつわかひこ)さま、074此処(ここ)でしたか、075よい(ところ)でお()にかかりました……捨子姫(すてこひめ)(さま)076御忙(おいそが)しい(こと)御座(ござ)いませうなア』
077松若彦(まつわかひこ)『つい(いま)(さき)078(まゐ)つた(ところ)御座(ござ)います』
079捨子姫(すてこひめ)(なん)()つても、080目出(めで)たい(こと)御座(ござ)います。081あなたも(この)(こと)(つい)御奔走(ごほんそう)(あそ)ばし、082さぞお心遣(こころづか)ひの(ほど)御察(おさつ)申上(まをしあ)げます』
083言依別(ことよりわけ)(とき)松若彦(まつわかひこ)さま……高姫(たかひめ)さまの(こと)ですが、084(にはか)病気(びやうき)(おこ)り、085一旦(いつたん)人事不省(じんじふせい)(おちい)られましたが、086吾々(われわれ)(はじ)め、087カール、088春彦(はるひこ)両人(りやうにん)祈願(きぐわん)()りて、089(やうや)(いき)()(かへ)されました。090(しか)(なが)言霊(ことたま)停止(ていし)されて(しま)ひ、091(なに)()つても御答(おこた)へなく、092()(ばか)りパチつかせ、093(からだ)をプリンプリンと()つて(ばか)りゐられます。094(いづ)今夜(こんや)御結婚(ごけつこん)がお()()らないのでせうが、095(この)(こと)(ばか)りは如何(どう)あつても、096高姫(たかひめ)さまの御意見(ごいけん)ばかり(もち)ゐる(こと)出来(でき)ませぬから、097()(まで)(この)盛典(せいてん)完全(くわんぜん)成功(せいこう)させたいと(おも)つて、098あなたの御宅(おたく)御訪(おたづ)ねした(ところ)099常彦(つねひこ)さまが留守(るす)をして()り、100大方(おほかた)捨子姫(すてこひめ)(さま)御宅(おたく)御出(おい)でになつたのだらうとの(こと)101それ(ゆゑ)邪魔(じやま)(いた)しました(やう)次第(しだい)御座(ござ)います』
102松若彦(まつわかひこ)(なん)()つても、103最早(もはや)(うご)かすことは出来(でき)ませぬ。104サア(これ)から御殿(ごてん)(あが)りまして、105一切(いつさい)準備(じゆんび)取掛(とりかか)りませう』
106言依別(ことよりわけ)左様(さやう)ならば、107捨子姫(すてこひめ)さま、108松若彦(まつわかひこ)(さま)109取急(とりいそ)(まゐ)りませう』
110立出(たちい)でむとする(ところ)へ、111高姫(たかひめ)(かみ)ふり(みだ)し、112玄関口(げんくわんぐち)立塞(たちふさ)がり、113何時(いつ)()にか言霊(ことたま)停止(ていし)解除(かいぢよ)されて、
114高姫(たかひめ)言依別(ことよりわけ)115松若彦(まつわかひこ)116捨子姫(すてこひめ)殿(どの)117(よう)御座(ござ)る。118(はや)(この)(もん)あけて(くだ)さい』
119呶鳴(どな)()ててゐる。120(あと)よりカール、121春彦(はるひこ)二人(ふたり)(あわ)ただしく(はし)(きた)り、122(やうや)玄関先(げんくわんさき)()()き、123(むね)()(おろ)してゐる。
124 言依別命(ことよりわけのみこと)(ほか)二人(ふたり)は、125高姫(たかひめ)(こゑ)()き、126(また)うるさい、127やつて()よつたなア……と(くち)には()はねど、128(たがひ)(かほ)(いろ)(あら)はし(なが)ら、129松若彦(まつわかひこ)(おもて)()(ひら)き、
130松若彦(まつわかひこ)高姫(たかひめ)さま、131今日(けふ)取込(とりこ)んで()りますので、132どうぞ御帰(おかへ)(くだ)さいませ。133(また)明日(あす)ゆつくりとお()にかかりませう』
134高姫(たかひめ)(また)しても(わたし)邪魔者(じやまもの)(あつか)ひにして、135門前払(もんぜんばら)ひを()はす(つも)りですか。136(こと)(すて)両人(りやうにん)(ここ)()られるでせう。137何程(なにほど)(いそが)しいか()りませぬが、138今晩(こんばん)ことよりわけて、139きまりつけねば、140(この)(まま)捨子姫(すてこひめ)()(わけ)にも(まゐ)りませぬぞや。141各自(めいめい)()をつけて、142(ひめ)(さま)(この)結婚(けつこん)(すゑ)末子姫(すゑこひめ)まで(かんが)へて()げねば、143あつたら(むすめ)をドブ(つぼ)へおとすやうなことを(いた)しましたら、144それこそ(みづ)御霊様(みたまさま)へ、145あなた(がた)()(わけ)()ちますまいぞや、146(この)高姫(たかひめ)第一(だいいち)申訳(まをしわけ)()ちませぬからなア。147(わたし)()(こと)はどうで御気(おき)には()りますまいが、148ここは(ひと)大雅量(だいがりやう)()して老人(としより)()(こと)取上(とりあ)げて(もら)ひませぬと、149(あと)(いた)つて(ほぞ)()むとも(およ)ばない、150(こま)つた(こと)になりますぞや』
151松若彦(まつわかひこ)『そんな玄関口(げんくわんぐち)で、152()つともない、153どうぞ(おく)御通(おとほ)(くだ)さい』
154高姫(たかひめ)(とほ)れと()はなくても、155(とほ)らなおきますか。156(わたし)()(こと)(とほ)らねば、157(とほ)(ところ)まで(とほ)して()せます。158桃李(たうり)(もの)()はずと()(こと)がある。159(この)高姫(たかひめ)(とほ)りたら最後(さいご)160物言(ものい)ひなしに(わたし)意見(いけん)(とほ)して(くだ)さい。161(まへ)さま(かた)()つてたかつて、162とりどりの小田原(をだはら)評定(ひやうぢやう)(ばか)りに()(くら)して御座(ござ)るが、163(なに)()つても、164(ゆき)(すみ)165(つき)(すつぽん)(ほど)身魂(みたま)(ちが)(この)縁談(えんだん)がどうして(まと)まりませう。166チツト(むね)()()てて後先(あとさき)(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。167(まこと)神様(かみさま)侮辱(ぶじよく)すると()うても、168これ(くらゐ)(はなは)だしい(こと)御座(ござ)いますまい。169(たれ)(かれ)末子姫(すゑこひめ)(さま)御機嫌(ごきげん)をとる(こと)(ばか)(かんが)へて、170御身(おんみ)(うへ)大事(だいじ)()(こと)一寸(ちよつと)(かま)はないから、171()むを()ず、172(とし)()つた高姫(たかひめ)(また)しても(また)しても出馬(しゆつば)せねばならぬ(やう)(こと)が、173出来(でき)()るのだ』
174カール『高姫(たかひめ)さま、175そらさうですワイ。176(まへ)さまは三五教(あななひけう)元老株(げんらうかぶ)だから、177かういふ(とき)にや()んで()るのが(あた)(まへ)だらう。178内閣(ないかく)組織(そしき)(とき)でも、179いつも元老(げんらう)飛出(とびだ)すぢやないか。180(しか)(なが)立憲(りつけん)政体(せいたい)今日(こんにち)181元老(げんらう)飛出(とびだ)しは時代(じだい)錯誤(さくご)だとか(なん)とか()つて、182随分(ずゐぶん)国民(こくみん)小言(こごと)()うてゐますよ。183モウいい加減(かげん)にお(まへ)さまも()をつぶつておとなしくしたら如何(どう)ですか。184日進月歩(につしんげつぽ)今日(こんにち)(あま)(ふる)(こと)をふりまはされると、185時代(じだい)順応(じゆんおう)すると()神策(しんさく)(おこな)はれなくなり、186(この)ウヅの(くに)今日(こんにち)文明(ぶんめい)から継子扱(ままこあつかひ)をされる(やう)になつて(しま)ひますよ』
187高姫(たかひめ)『お(だま)()され……カール(ぐち)(なん)ぞのやうにベラベラと、188こんな(ところ)()しやばる(まく)ぢやありませぬぞえ。189(わたし)言依別(ことよりわけ)(さま)190(その)(ほか)立派(りつぱ)方々(かたがた)御意見(ごいけん)()たのだ。191コンマ以下(いか)のお(まへ)さまが、192(この)大問題(だいもんだい)(たい)して、193(なに)(くちばし)(とが)らすのだい』
194カール『これだから、195あの(まま)にしておいたが()かつたのだ。196言依別(ことよりわけ)さまを途中(とちう)まで御送(おおく)りすると……おいカール、197(まへ)高姫(たかひめ)言霊(ことたま)()(やう)に、198一度(いちど)引返(ひきかへ)し、199ウ…ア…と二声(ふたこゑ)言霊(ことたま)(とな)へてやれ、200そしたら自由自在(じいうじざい)(くち)()けるやうになるから……と()()言依別(ことよりわけ)(さま)仰有(おつしや)つたものだから、201此奴(こいつ)(いま)(もの)()はしたら、202面倒(めんだう)だと(おも)(なが)ら、203教主(けうしゆ)命令(めいれい)(そむ)くに(よし)なく、204引返(ひきかへ)して(もの)()(やう)にしてやれば、205すぐ()れだから(こま)つて(しま)ふ。206どうぞマ一遍(いつぺん)207とめる工夫(くふう)はあるまいかな』
208(くび)()つてゐる。
209高姫(たかひめ)『ヘン、210(かま)(あそ)ばすなや。211高姫(たかひめ)(うま)れついてから(おし)ぢや御座(ござ)いませぬぞや。212言霊(ことたま)天地(てんち)神様(かみさま)から(さづ)かつて()ります。213とめられるものなら、214とめて御覧(ごらん)なさい。215(わたし)(もの)()はなかつたのは(あま)りむかつくから、216()はぬは()ふにいや(まさ)ると、217プリンプリンと身振(みぶ)りで(わたし)意志(いし)表示(へうじ)してゐたのだよ。218(なに)御前(おまへ)さまのウ…ア…なんてアタ阿呆(あはう)らしい、219そんな言霊(ことたま)(もの)()へたなぞと、220(あんま)り、221ヘン、222見違(みちが)ひをして(もら)ひますまいかいなア。223アヽドレドレ、224何時迄(いつまで)門立(かどだ)芸者(げいしや)(やう)玄関口(げんくわんぐち)()ちはだかつて、225言霊(ことたま)発射(はつしや)()()きませぬワイ』
226()(なが)ら、227(おく)()主人顔(しゆじんがほ)して、228ドンとすわり()み、
229高姫(たかひめ)松若彦(まつわかひこ)さま、230今朝(けさ)(ほど)(おほ)きに御世話(おせわ)になりました。231ヨウまアあんな(ふか)(かは)へおとして(くだ)さいまして、232(まこと)高姫(たかひめ)空中滑走(くうちうくわつそう)(あぢ)(おぼ)え、233愉快(ゆくわい)なこつて御座(ござ)いました、234ホヽヽヽヽ。235(ひと)(のろ)はば穴二(あなふた)つですよ。236(まへ)さまもシツカリなさらぬと何時(いつ)ドブへはまるか(わか)りませぬぞや……コレ捨子姫(すてこひめ)さま、237(まへ)(ひと)()ひたい(こと)がある』
238捨子姫(すてこひめ)『ハイ、239何事(なにごと)(ぞん)じませぬが、240(うけたま)はりませう』
241高姫(たかひめ)『お(まへ)大抵(たいてい)(わたし)(なに)しに()(くらゐ)は、242()はいでも御分(おわか)りになつてゐるでせう。243(いま)高姫(たかひめ)茶々入(ちやちやい)れに()るから、244腹帯(はらおび)をしめねばならぬと、245三人(さんにん)三人(さんにん)()()はして御座(ござ)つたでせう。246(しか)(なが)ら、247よく(かんが)へて御覧(ごらん)なさい。248あの国依別(くによりわけ)()(をとこ)249(わか)(とき)から親子(おやこ)兄弟(きやうだい)()()りバラバラとなり、250(ろく)教育(けういく)()けず、251乞食(こじき)(やう)にうろつきまはり、252(すこ)(おほ)きくなると、253(をんな)たらしの後家倒(ごけたふ)し、254婆嬶弱(ばばかかよわ)らせの家潰(いへつぶ)しをやつて()如何(どう)にも()うにも仕方(しかた)のない代物(しろもの)を、255(この)(ごろ)(きう)(たま)とかの神力(しんりき)()けたと()つて、256御勿体(ごもつたい)ない素盞嗚尊(すさのをのみこと)(さま)大切(たいせつ)御娘子(おむすめご)257末子姫(すゑこひめ)(さま)婿(むこ)にしよう(なぞ)とは地異(ちい)天変(てんぺん)258天地(てんち)転倒(てんたふ)行方(やりかた)(まを)さねばなりますまい。259(これ)までお(まへ)さまは何時(いつ)末子姫(すゑこひめ)(さま)近侍(きんじ)(つと)めてゐた関係上(くわんけいじやう)260主人(しゆじん)大事(だいじ)(おも)(まこと)があれば、261国依別(くによりわけ)欠点(けつてん)(つつ)まず(かく)さずさらけ()して、262愛想(あいさう)をつかさせ、263(この)縁談(えんだん)破約(はやく)なさるやうに仕向(しむ)けるのが、264(まへ)(まこと)だ。265本当(ほんたう)(ひめ)(さま)大事(だいじ)思召(おぼしめ)すなら、266(はや)御意見(ごいけん)(あそ)ばして、267やめさせて(くだ)さい。268(とし)()つた高姫(たかひめ)がワザワザここへ訪問(はうもん)したのも(その)(ため)ですから、269どうぞ高姫(たかひめ)のここへ()たことが無駄足(むだあし)にならぬ(やう)(たの)みますよ…なア捨子姫(すてこひめ)さま、270(まへ)(あま)身魂(みたま)良過(よす)ぎて、271(うつ)(やす)いから、272言依別(ことよりわけ)さまや松若彦(まつわかひこ)(うま)()()まれ、273とうとう末子姫(すゑこひめ)(さま)御心(おこころ)(うご)かしたのぢやありませぬかなア』
274捨子姫(すてこひめ)『ハイ(わたし)第一(だいいち)275大賛成(だいさんせい)御話(おはなし)()ちかけたので御座(ござ)います。276さうすると言依別(ことよりわけ)(さま)や、277松若彦(まつわかひこ)(さま)278竜国別(たつくにわけ)(さま)(はじ)め、279肝腎(かんじん)末子姫(すゑこひめ)(さま)が、280それはそれは御愉快(ごゆくわい)(さう)御顔(おかほ)でニコニコとお(わら)(あそ)ばし……捨子姫(すてこひめ)281何事(なにごと)もそなたに御任(おまか)せするから、282(よろ)しう(たの)むよ……と(はづ)かし(さう)仰有(おつしや)いました。283それで(わたし)()()かし、284相手方(あひてがた)国依別(くによりわけ)(さま)へも極力(きよくりよく)運動(うんどう)いたし、285ヤツとの(こと)(まと)まつた(この)縁談(えんだん)286何程(なにほど)高姫(たかひめ)(さま)(みづ)をお()(あそ)ばしても最早(もはや)ビクとも(うご)かす(こと)出来(でき)なくなつて()ります。287御注意(ごちゆうい)御親切(ごしんせつ)有難(ありがた)(ござ)いますが、288今度(こんど)はモウ仕方(しかた)がないと御諦(おあきら)(くだ)さいませ。289肝腎(かんじん)御本人様(ごほんにんさま)同志(どうし)が、290ニコニコで()られるなり、291大神様(おほかみさま)(とく)御喜(およろこ)びなり、292どうして今日(こんにち)になつて(これ)顛覆(てんぷく)さす(こと)出来(でき)ませうか』
293高姫(たかひめ)『エヽそこ(まで)モウ(かた)決心(けつしん)出来(でき)て、294(わか)(かた)同志(どうし)(おも)()うて御座(ござ)るのを(うご)かさうと()つたつて(うご)きますまい。295残念(ざんねん)(なが)ら、296モウ高姫(たかひめ)賛成(さんせい)いたしま……せうかい、297()いては、298貴女(あなた)御存(ごぞん)じの(とほ)り、299大神様(おほかみさま)(をしへ)には一汁一菜(いちじふいつさい)との(さだ)めで御座(ござ)いますから、300(けつ)して御馳走(ごちそう)はしてはなりませぬぞや。301(うへ)から贅沢(ぜいたく)(かがみ)()すと、302人民(じんみん)(みな)それに(なら)ひ、303()(なか)不経済(ふけいざい)になつて()ましては、304神様(かみさま)(また)もや御心配(ごしんぱい)をかけなくてはなりませぬからなア』
305松若彦(まつわかひこ)何程(なにほど)軍備(ぐんび)縮小(しゆくせう)306経費(けいひ)節約(せつやく)流行(りうかう)する()(なか)だとて、307一生(いつしやう)一代(いちだい)結婚(けつこん)(その)(やう)なケチな(こと)如何(どう)して出来(でき)ませうか、308そんな時代(じだい)(おく)れのイントレランスな(こと)()ふと、309(ひと)馬鹿(ばか)にしますよ。310それ相当(さうたう)身分(みぶん)(おう)じて御馳走(ごちそう)もせねばなりますまい。311(さけ)もドツサリ(みな)さまに(あが)つて(いただ)き、312底抜(そこぬけ)(さわ)ぎをやつて面白(おもしろ)可笑(をか)しく御祝(おいはひ)をする(はう)がどれ(だけ)素盞嗚大神(すさのをのおほかみ)(さま)御喜(およろこ)(あそ)ばすかも()れませぬ。313(また)吾々(われわれ)大変(たいへん)御喜(およろこ)びですからな。314アハヽヽヽ』
315高姫(たかひめ)(わたし)()(こと)頑迷(ぐわんめい)だと仰有(おつしや)るのですか、316何程(なにほど)(あたら)しいのが流行(はや)時節(じせつ)だと()つて、317神様(かみさま)(をしへ)まで(そむ)いてすると()(こと)は、318(ひと)(かんが)へものでせう』
319言依別(ことよりわけ)高姫(たかひめ)さまの御言葉(おことば)御尤(ごもつと)もです。320松若彦(まつわかひこ)さまの御意見(ごいけん)(あなが)()てる(わけ)にも()きますまい。321そこは身分相応(みぶんさうおう)()(こと)(いた)しまして、322正中(まんなか)()り、323(あま)りケチつかず、324(あま)(おご)らずといふ程度(ていど)に、325今晩(こんばん)結婚(けつこん)無事(ぶじ)に、326幾久(いくひさ)しく(いは)(をさ)めるやうにしたら如何(どう)でせう』
327高姫(たかひめ)『そんなら(わたし)()()つて言依別(ことよりわけ)(さま)にお(まか)(いた)します。328(また)空中滑走(くうちうくわつそう)さされたり、329言霊(ことたま)停止(ていし)さされたり、330灰猫婆(はひねこばば)アにせられると(こま)りますから、331(にく)まれないやうにおとなしう改心(かいしん)しておきませう』
332言依別(ことよりわけ)有難(ありがた)う』
333松若彦(まつわかひこ)安心(あんしん)(いた)しました』
334捨子姫(すてこひめ)『お目出(めで)たう御座(ござ)います』
335カール『面白(おもしろ)うなつて()ました』
336春彦(はるひこ)今晩(こんばん)御馳走(ごちそう)で、337ドツサリと()はして(もら)ひませう。338(なに)より()より上戸(じやうご)春彦(はるひこ)339一番(いちばん)にお目出(めで)たいワ、340有難(ありがた)いワ、341アハヽヽヽ』
342大正一一・八・二六 旧七・四 松村真澄録)