霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 (つる)温泉(をんせん)〔二〇九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第1篇 動天驚地 よみ(新仮名遣い):どうてんきょうち
章:第9章 鶴の温泉 よみ(新仮名遣い):つるのおんせん 通し章番号:209
口述日:1922(大正11)年01月06日(旧12月09日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
常治彦はエルサレムに帰還する前、エデンの河から這い上がって深い谷あいにやってきた。そこには、美しい女性のまわりに多数の鶴が舞っていた。
女性の側には湯が湧き出ており、女性は身体の傷を湯で治療していたのである。また、女性をよくよく見れば、塩治姫であった。
女性は常治彦を湯に招いた。常治彦が湯に入ると、前頭部の傷はすっかりいえて、角はなくなり、立派な神格の神となった。常治彦はこの塩治姫と夫婦の契りを結んだ。
温泉で養生を続けた二人は回復し、聖地に帰ることとした。すると一羽の鶴が降りてきて、常治彦の額を突いた。するとたちまち、たけのこのような角が額に生え出した。塩治姫はなぜか、常治彦の角を口を極めて賞賛した。
二人が聖地に帰ると、門を守っていた小島別が二人をさえぎった。常治彦は怒って、打ちかかってくる小島別を角で刺し殺した。
たちまち四方から、聖地の従者たちが得物をもって、常治彦に打ちかかった。常治彦は鋭い角で応戦した。
この騒ぎを聞きつけて、常世彦は殿内の常治彦・塩治姫とともに駆けつけた。すると、常治彦・塩治姫と瓜二つの者が、従者たちと争っていた。
常世彦は常治彦・塩治姫の手をとって宮殿の奥に引き返してしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-03-20 18:42:01 OBC :rm0509
愛善世界社版:56頁 八幡書店版:第1輯 538頁 修補版: 校定版:58頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 (はなし)(すこ)しく(あと)(もど)つて、002常治彦(とこはるひこ)棒岩(ぼういは)(うへ)より顛落(てんらく)し、003(つの)()られ鮮血(せんけつ)淋漓(りんり)として、004全身(ぜんしん)あたかも()(ころも)(まと)ひしごとくなつたが、005鬼武彦(おにたけひこ)のためにエデンの大河(たいが)(とう)ぜられ、006その(はづみ)()はすつかり(あら)()られ、007蒼白(あをじろ)(かほ)をしながら、008ひよろひよろと南方(なんぱう)谿間(けいかん)()して(はし)()つた。009(をり)しも(やま)(やま)との(ふか)谷間(たにあひ)に、010幾千羽(いくせんば)ともなく、011(つる)(むれ)翺翔(かうしやう)してゐるのを()た。
012 (あへ)(あへ)近寄(ちかよ)つて()れば、013非常(ひじやう)(うる)はしき一柱(ひとはしら)女性(によしよう)中心(ちうしん)に、014あまたの(つる)()(あそ)んでゐた。015()れば(すきとほ)つた湯壺(ゆつぼ)があつて、016()滾々(こんこん)湧出(ゆうしゆつ)してゐた。017その天然(てんねん)湯槽(ゆぶね)に、018女性(によしよう)出没(しゆつぼつ)して身体(しんたい)傷所(きずしよ)治療(ちれう)してゐた。019よくよく()れば、020自分(じぶん)念頭(ねんとう)(はな)れぬ塩治姫(しほはるひめ)である。021いま顕恩郷(けんおんきやう)にて南天王(なんてんわう)(とも)(むつ)まじく酒宴(しゆえん)(せき)(れつ)してゐたはずの塩治姫(しほはるひめ)は、022いかにしてかかる山間(さんかん)(きた)りをれるやと、023不審(ふしん)(まゆ)をひそめ茫然(ばうぜん)としてその(かほ)見入(みい)つた。
024 (ひめ)常治彦(とこはるひこ)手招(てまね)きし、
025貴下(きか)もこの()()りたまへ』
026合図(あひづ)した。027常治彦(とこはるひこ)(いち)()もなく真赤裸(まつぱだか)となつて、028この湯槽(ゆぶね)飛入(とびい)つた。029不思議(ふしぎ)にも前頭部(ぜんとうぶ)(きず)はすつかり()えて(つの)もなく、030(じつ)神格(しんかく)立派(りつぱ)(かみ)となつた。031塩治姫(しほはるひめ)(おほい)(よろこ)びし面色(おももち)にて、032ここに夫婦(ふうふ)(ちぎり)(むす)んだ。
033 上空(じやうくう)には相変(あひかは)らず幾千羽(いくせんば)とも()れぬ(つる)が、034右往(うわう)左往(さわう)翺翔(かうしやう)してゐた。035常治彦(とこはるひこ)自分(じぶん)願望(ぐわんばう)成就(じやうじゆ)せることを(よろこ)び、036(しばら)くこの温泉(をんせん)中心(ちうしん)養生(やうじやう)をつづけ、037()()うて身体(しんたい)爽快(さうくわい)にむかひ、038二人(ふたり)はいよいよ()(たづさ)へて聖地(せいち)(かへ)らむことを(やく)した。039たちまち上空(じやうくう)より(つる)一羽(いちは)(くだ)りきたりて、040常治彦(とこはるひこ)前額部(ぜんがくぶ)(なが)(くちばし)にて二回(にくわい)ばかり(つつ)いて(あな)穿(うが)つた。041常治彦(とこはるひこ)(おどろ)いて、042その傷口(きずぐち)両手(りやうて)()て、043(いた)さを()へて(うつむ)いてゐた。044(いた)さはますます激烈(げきれつ)になつてきた。
045 ふたたび出立(しゆつたつ)見合(みあは)せ、046湯槽(ゆぶね)飛入(とびい)養生(やうじやう)することとなつた。047傷口(きずぐち)()()()えてきた。048されどその()かゆさを非常(ひじやう)(かん)じた。049常治彦(とこはるひこ)一生(いつしやう)懸命(けんめい)()きむしつた。050いくら()いても、051かゆさは()まぬ。052つひには、053(いた)く、054かゆく、055()のつけやうがなくなつてきた。056たちまち(たけのこ)のやうな(つの)がまたもや両方(りやうはう)発生(はつせい)した。057塩治姫(しほはるひめ)はこの(つの)()()うて延長(えんちやう)するを()て、058以前(いぜん)とは()つて(かは)つて(よろこ)んだ。059しかしてその(つの)()(まは)し、060あるひは()めなどして、061(くち)(きは)めてその(つの)立派(りつぱ)なるを賞讃(しやうさん)した。062常治彦(とこはるひこ)も、063(いま)までこの(つの)()づかしく(おも)つてゐたのを、064最愛(さいあい)(つま)賞讃(しやうさん)されて得意気(とくいげ)になり、065(つの)日々(にちにち)立派(りつぱ)成長(せいちやう)するのを()()になつた。
066 (やま)()(たに)辿(たど)り、067(やうや)くにして聖地(せいち)(かへ)ることを()た。068聖地(せいち)ヱルサレムの正門(せいもん)には、069小島別(こじまわけ)白髪(はくはつ)背後(はいご)()れ、070(うす)(ひげ)胸先(むなさき)()らし、071田依彦(たよりひこ)その()神人(かみがみ)(したが)へ、072儼然(げんぜん)として(まも)つてゐた。073このとき常治彦(とこはるひこ)は、074塩治姫(しほはるひめ)()(たづさ)へ、075欣然(きんぜん)としてその(もん)()らむとするとき、076小島別(こじまわけ)は、
077曲者(くせもの)078しばらく()て』
079()びとめた。080二人(ふたり)(おほい)(いか)り、
081『われはエデンの宮殿(きうでん)にいたり、082それより種々(しゆじゆ)艱難(かんなん)辛苦(しんく)()め、083(やうや)くここに(かへ)りきたれるを従臣(じうしん)分際(ぶんざい)としてこれを歓迎(くわんげい)せざるのみか、084われに(たい)して無礼(ぶれい)雑言(ざふごん)085(なんぢ)今日(けふ)かぎり門衛(もんゑい)守護職(しゆごしよく)(めん)じ、086()(くに)退去(たいきよ)せしむべし』
087声高(こわだか)()ばはつた。088小島別(こじまわけ)089田依彦(たよりひこ)躍気(やくき)となつて顔面(がんめん)青筋(あをすぢ)()て、090棒千切(ぼうちぎれ)をもつて、
091妖怪(えうくわい)変化(へんげ)曲者(くせもの)092(おも)()れよ』
093()つてかかつた。094常治彦(とこはるひこ)頭部(とうぶ)(つの)はおひおひと成長(せいちやう)し、095二股(ふたまた)になつてゐた。096常治彦(とこはるひこ)(わら)つて小島別(こじまわけ)()()棍棒(こんぼう)(つの)尖端(さき)にてあしらひながら、097一方(いつぱう)には田依彦(たよりひこ)098一方(いつぱう)には小島別(こじまわけ)腹部(ふくぶ)()がけて、099(つの)尖端(さき)にてグサツと()(やぶ)つた。
100 二人(ふたり)(はらわた)(えぐ)()されそこに(たふ)れ、
101万事(ばんじ)休矣(きうす)
102(こゑ)をしぼつた。103数多(あまた)神人(かみがみ)はこの(こゑ)(おどろ)いて馳集(はせあつ)まり、104この(てい)()(おほ)いに(いか)り、105常治彦(とこはるひこ)四方(しはう)八方(はつぱう)より、106長刀(ちやうたう)107あるひは棍棒(こんぼう)その()種々(しゆじゆ)兵器(えもの)をもつて()りつけ、108(なぐ)りつけむとした。109(みこと)(つの)はだんだんと(するど)(とが)り、110かつ()るみる延長(えんちやう)した。111聖地(せいち)はあたかも修羅(しゆら)(ちまた)である。
112 常世彦(とこよひこ)侍者(じしや)急報(きふはう)により、113常治彦(とこはるひこ)114塩治姫(しほはるひめ)とともに、115この()(あら)はれた。116このとき殿内(でんない)()りし常治彦(とこはるひこ)も、117頭角(とうかく)おひおひ発達(はつたつ)して、118いまここに(あら)はれたる第二(だいに)常治彦(とこはるひこ)分厘(ふんりん)()なくなつてゐた。119(おな)姿(すがた)塩治姫(しほはるひめ)二柱(ふたはしら)と、120また(おな)姿(すがた)常治彦(とこはるひこ)二柱(ふたはしら)できた勘定(かんぢやう)である。
121 前後(ぜんご)常治彦(とこはるひこ)122塩治姫(しほはるひめ)(たがひ)()(みだ)れて、123その真偽(しんぎ)判別(はんべつ)はわからなくなつてしまつた。124されど(すこ)しく(ことな)(てん)は、125その衣服(いふく)模様(もやう)であつた。126常世彦(とこよひこ)は、127この()光景(くわうけい)放任(はうにん)し、128(まへ)常治彦(とこはるひこ)129塩治姫(しほはるひめ)()(たづさ)へて、130奥殿(おくでん)(ふか)姿(すがた)(ぼつ)した。
131大正一一・一・六 旧大正一〇・一二・九 外山豊二録)
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