霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二一章 小天国(せうてんごく)〔二二一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第3篇 予言と警告 よみ(新仮名遣い):よげんとけいこく
章:第21章 小天国 よみ(新仮名遣い):しょうてんごく 通し章番号:221
口述日:1922(大正11)年01月09日(旧12月12日) 口述場所: 筆録者:外山豊二 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
鷹住別の南天王夫婦が去ってしまったため、顕恩郷では蟹若という強者が指導者に選ばれた。顕恩郷の人々は鬼武彦の石像を頼りにし、日夜礼拝を怠らなかった。
あるとき、顕恩郷をものすごい旋風が襲うと、雲の中から鋭い光がひらめき、石神像のままの神が現れた。これは本物の鬼武彦に他ならなかった。
鬼武彦は大江神と改称し、顕恩郷の人々に天教山の野立彦命の教えを伝えるために現れたのであった。
大江神は、『三千世界一度にふさがる泥の海、月日と地の恩を忘れな、心次第の援けの神』と唱えた。神人らは、平和な顕恩郷がどうして泥の海になるのだろうか、といぶかしんだ。
大江神は大神の神示を伝え、顕恩郷の恵みを飽食して暮らすだけではなく、貧しい桃園郷の人々と分かち合う道を説き諭した。
顕恩郷の神人らは大神の神意を悟り、桃園郷に大江神とともに出向いて顕恩郷への移住を勧めた。
顕恩郷の恵みは移住者を受け入れても、十分に有り余るものであった。これより神人らは大江神の教えを守り、敵対していた二つの種族も今は仲良く暮らす小天国が建設された。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0521
愛善世界社版:122頁 八幡書店版:第1輯 561頁 修補版: 校定版:125頁 普及版:55頁 初版: ページ備考:
001 橙園王(とうゑんわう)以下(いか)住民(ぢうみん)襲撃(しふげき)により、002一敗(いつぱい)()にまみれ、003神人(かみがみ)信望(しんばう)失墜(しつつゐ)したる南天王(なんてんわう)夫妻(ふさい)は、004夜陰(やいん)(じやう)じモスコーに(かへ)つた。005ここに顕恩郷(けんおんきやう)(ふたた)主宰者(しゆさいしや)(うしな)ひ、006日夜(にちや)不安(ふあん)(かん)()たれてゐた。
007 されど(もつと)信頼(しんらい)するは、008棒岩(ぼういは)(うへ)安置(あんち)せる鬼武彦(おにたけひこ)石神像(せきしんざう)である。009神人(かみがみ)らは南天王(なんてんわう)失踪(しつそう)せしより、010一意(いちい)専心(せんしん)にこの石神像(せきしんざう)にむかつて祈願(きぐわん)()め、011日夜(にちや)礼拝(れいはい)(おこた)らなかつた。012さうして南天王(なんてんわう)後任(こうにん)として蟹若(かにわか)といふこの(きやう)のもつとも(つよ)神人(かみ)をおし()て、013南天王(なんてんわう)(あと)()がしめた。014されど郷神人(きやうしん)はどことなく不安(ふあん)(ねん)にかられ、015真正(しんせい)天津(あまつ)(かみ)降臨(かうりん)されむことを、016石神像(せきしんざう)にむかつて昼夜(ちうや)祈願(きぐわん)しつつあつた。
017 (ころ)しも一天(いつてん)(にはか)()(くも)り、018地上(ちじやう)一切(いつさい)天空(てんくう)()きあげむばかりの猛烈(まうれつ)なる旋風(せんぷう)(おこ)つた。019神人(かみがみ)らはいづれも九死(きうし)一生(いつしやう)(おも)ひをなして、020石神像(せきしんざう)岩下(がんか)(あつ)まり、021天地(てんち)拝跪(はいき)して救助(きうじよ)(いの)りつつあつた。
022 (くも)はおひおひ低下(ていか)して石神像(せきしんざう)のもとに(くだ)りきたり、023雲中(うんちう)より剣光(けんくわう)(ひらめ)くよと()るまに、024石神像(せきしんざう)寸分(すんぶん)(ちが)はぬ容貌(ようばう)生神(いきがみ)忽然(こつぜん)として(あら)はれた。025この(かみ)はたちまち光芒(くわうぼう)陸離(りくり)たる両刃(もろは)(つるぎ)をもつて中空(ちうくう)にむかひ左右左(さいうさ)打振(うちふ)つた。026さしもの強雨(がうう)烈風(れつぷう)もパタリとやんで紺碧(こんぺき)(そら)(くわ)し、027日光(につくわう)燦然(さんぜん)として(かがや)きわたりはじめた。
028 神人(かみがみ)らは蘇生(そせい)(おも)ひをなし、029(おも)わずウローウローと(さけ)びつつ、030その生神(いきがみ)周囲(しうゐ)(あつ)まり、031合掌(がつしやう)礼拝(れいはい)感謝(かんしや)(なみだ)をながした。032これは大江山(たいかうざん)鬼武彦(おにたけひこ)にして、033(いま)天教山(てんけうざん)野立彦(のだちひこの)(みこと)(めい)(ほう)じ、034この(きやう)大江(おほえの)(かみ)改名(かいめい)して、035予言(よげん)警告(けいこく)(あた)ふるために出現(しゆつげん)したるなり。036神人(かみがみ)らは石神像(せきしんざう)寸毫(すんがう)()なきを()て、037石神(いしがみ)霊化(れいくわ)して生神(いきがみ)(あら)はれたまひしものと(かた)(しん)じ、038ただちに輿(こし)()せて顕恩郷(けんおんきやう)宮殿(きうでん)奉迎(ほうげい)し、039祝杯(しゆくはい)をあげて(いさ)みたつた。
040 大江(おほえの)(かみ)はおもむろに(くち)(ひら)き、
041三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)にふさがる(どろ)(うみ)042月日(つきひ)(つち)(おん)(わす)れな、043心次第(こころしだい)(たす)(がみ)
044(こゑ)(たか)らかに(とな)へだした。045神人(かみがみ)らは一向(いつかう)合点(がてん)ゆかず、
046『かかる平和(へいわ)にして()天恵(てんけい)充分(じうぶん)なる顕恩郷(けんおんきやう)の、047いかでか(どろ)(うみ)とならむや』
048(あや)しみて、049口々(くちぐち)反問(はんもん)した。
050 大江(おほえの)(かみ)は、051大神(おほかみ)神意(しんい)詳細(しやうさい)(かた)(つた)へ、
052『この(さい)(こころ)()(あらた)め、053月日(つきひ)大地(だいち)四恩(しおん)感謝(かんしや)し、054(ひろ)神人(しんじん)(あい)し、055公平(こうへい)無私(むし)なる行動(かうどう)をもつて天地(てんち)神明(しんめい)奉仕(ほうし)し、056神人(しんじん)たるの天職(てんしよく)をつくせよ。057すべて(かみ)神人(しんじん)をこの()(くだ)したまふや、058(かみ)広大(くわうだい)無辺(むへん)なる至仁(しじん)至愛(しあい)理想(りさう)実現(じつげん)し、059天国(てんごく)地上(ちじやう)建設(けんせつ)し、060天下(てんか)蒼生(さうせい)をして禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)(いた)るまで(おのおの)その安住(あんぢう)(ところ)()せしめ、061(かみ)とともに至治(しち)太平(たいへい)聖代(せいだい)(たのし)まむがためなり。062しかるにこの顕恩郷(けんおんきやう)は、063(かみ)(ふか)四恩(しおん)によつて(かぜ)(あたた)かく、064風雨(ふうう)(とき)(たが)へず、065(はな)(かん)ばしく、066果実(くわじつ)(ゆたか)にしてその(あぢ)はひ(うる)はし。067しかるにエデンの大河(たいが)(かぎ)りとし、068南岸(なんがん)橙園郷(とうゑんきやう)は、069南方(なんぱう)(やま)(たか)くして日光(につくわう)(さへぎ)り、070かつ北風(きたかぜ)(つよ)果実(くわじつ)(つね)(みの)らず、071住民(ぢうみん)飢餓(きが)(せま)り、072精神(せいしん)(おのづか)荒涼(くわうりやう)(くわ)し、073ほとんど人民(じんみん)たるの資格(しかく)保持(ほぢ)せざるに(いた)れり。074これぞ(まつた)く、075衣食住(いしよくぢう)(ゆたか)ならざるに基因(きいん)するものなり。076しかるにこの顕恩郷(けんおんきやう)は、077衣食(いしよく)()(あま)り、078(うる)はしき果実(くわじつ)()()ち、079腐蝕(ふしよく)するに(まか)せ、080天恩(てんおん)無視(むし)すること(はなはだ)し。081かくのごとくして歳月(さいげつ)経過(けいくわ)せば、082つひには天誅(てんちう)たちどころに(いた)つて、083南天王(なんてんわう)のごとく郷神(きやうしん)(おそ)はれ、084つひには橙園王(とうゑんわう)討伐(たうばつ)され、085天授(てんじゆ)恩恵(おんけい)()てざるべからざるの悲境(ひきやう)沈淪(ちんりん)し、086あたかも餓鬼(がき)畜生(ちくしやう)境遇(きやうぐう)()するに(いた)らむ。087(なんぢ)神人(かみがみ)らは天地(てんち)大神(おほかみ)至仁(しじん)至愛(しあい)大御心(おほみこころ)察知(さつち)(まつ)り、088()(ひろ)果実(くわじつ)(おほ)きこの顕恩郷(けんおんきやう)をして(なんぢ)神人(かみがみ)らの独占(どくせん)することなく、089橙園郷(とうゑんきやう)住民(ぢうみん)移住(いぢう)(ゆる)し、090(あひ)ともに天恵(てんけい)(ふか)きを感謝(かんしや)せよ』
091言葉(ことば)おごそかに説示(せつじ)した。
092 神人(かみがみ)らはこの教示(けうじ)()いて、093(はじ)めて天地(てんち)神意(しんい)(さと)り、094何事(なにごと)大江(おほえの)(かみ)指揮(しき)(したが)ふこととなつた。095大江(おほえの)(かみ)は、096神人(かみがみ)らの一言(いちげん)にしてわが(げん)心服(しんぷく)せしことをよろこび、097(ふか)歎賞(たんしやう)しつつ蟹若(かにわか)その()神人(かみがみ)らを引率(いんそつ)し、098エデンの大河(たいが)(わた)つて、099みづから橙園郷(とうゑんきやう)(いた)り、100橙園王(とうゑんわう)面会(めんくわい)(もと)め、101その神意(しんい)(つた)へた。
102 橙園王(とうゑんわう)は、103(はじ)めのうちは大江(おほえの)(かみ)神威(しんゐ)(おそ)れて戦慄(せんりつ)し、104(ちか)づき(きた)らず、105かつ部下(ぶか)住民(ぢうみん)は、106(さき)(あらそ)うて(やま)(ふか)姿(すがた)をかくした。107されど、108大江(おほえの)(かみ)仁慈(じんじ)言葉(ことば)(やうや)安堵(あんど)して、109その(めい)(したが)郷民(きやうみん)全部(ぜんぶ)引率(いんそつ)して、110顕恩郷(けんおんきやう)移住(いぢう)することとなつた。
111 顕恩郷(けんおんきやう)(かみ)(かず)は、112以前(いぜん)三倍(さんばい)することとなつた。113されど無限(むげん)天恵(てんけい)は、114衣食住(いしよくぢう)余裕(よゆう)(そん)し、115()むに十分(じふぶん)余地(よち)をなしてゐたのである。116彼我(ひが)神人(かみがみ)は、117仁慈(じんじ)無限(むげん)大江(おほえの)(かみ)教示(けうじ)遵奉(じゆんぽう)し、118(いま)まで犬猿(けんゑん)ただならざりし両郷(りやうきやう)種族(しゆぞく)も、119(いま)親子(おやこ)兄弟(きやうだい)のごとく、120相親(あひした)しみ(あひ)(あい)して、121ここに小天国(せうてんごく)建設(けんせつ)されたるなり。
122大正一一・一・九 旧大正一〇・一二・一二 外山豊二録)
123(第五章~第二一章 昭和一〇・三・二九 於吉野丸船室 王仁校正)
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