第三六章 言霊の響〔二三六〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
篇:第6篇 聖地の憧憬
よみ(新仮名遣い):せいちのどうけい
章:第36章 言霊の響
よみ(新仮名遣い):ことたまのひびき
通し章番号:236
口述日:1922(大正11)年01月12日(旧12月15日)
口述場所:
筆録者:加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:埃の宮では、天教山・地教山の宣伝歌を節面白く歌う宣伝使に神人らが群がっていた。祝部神はその声に心勇んで、祝彦、杉高彦とともに声のする方に進んでいった。
埃の宮で吹きすさぶ烈風にも負けずに歌う宣伝歌は、月照彦神と祝部神であった。その宣伝歌は地教山にまで届いた。地教山の高照姫神は黄金の幣を取り出して、烈風を払った。
真澄姫神は地教山の高殿から、埃の宮で宣伝を続ける夫神・月照彦神のために歌を歌った。その歌は埃の宮の宣伝使たちに届いた。二宣伝使は勇気百倍して、宣伝を続けながら聖地エルサレムを指して進んでいく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2020-04-03 16:03:44
OBC :rm0536
愛善世界社版:215頁
八幡書店版:第1輯 593頁
修補版:
校定版:217頁
普及版:92頁
初版:
ページ備考:
001『昔の昔、其昔
003天地四方の神人の 004拗け曲れる霊魂をば
006四方の御国に遣はして
007世の立替へを知らせむと 008東や西や北南
009千々に其の身を窶しつつ 010雪の晨や雨の宵
011虎棲む野辺も厭ひなく 012神の救ひの言の葉を
013科戸の風に吹き拡め 014四方の国々隈もなく
017野立の彦の大神や 018木花姫の御指揮
019地教の山に現はれし 020野立の姫の大神の
023変る浮世の有様を
026霊魂、霊魂を立直し
027清き神代に救はむと
030三千世界の梅の花
031一度に開く常磐樹の 032常磐の松の神の御代
033心も清き木花の 034開いて散りて実を結び
035スの種四方に間配りし 036神の恵を白浪に
037漂ふ神こそ憐れなり 038朝日は照るとも曇るとも
040假令天地は倒に
043何と詮方千秋の 044恨を胎すな万歳に
045神の恵の言の葉に
048聞けば香ばし長月の
049九月八日のこの経綸
051今日九日の菊の花 052花より団子と今の世は
053体主霊従の神ばかり 054世は常暗と鳴門灘
056浚はれ霊魂は根の国や
057底の国へと落ち行きて 058消えぬ地獄の火に焼かれ
059或は氷の刃もて
061蛙に出会うたその如く 062天地はかへる蛇の群
063蛇に等しき舌剣を 064振ふは大蛇の悪神ぞ
066素より清き大神の
067霊魂と生れし神人は 068知らず識らずの其間に
073百の神々天教の 074山に集ひて諸共に
075赤き心を筑紫潟 076誠を尽す神々の
077清き心も不知火の
079暗路を照らす朝日子の
081天の岩戸はいつ開く 082この世は終りに近づきて
083この世は終りに近づきて
085醜女探女の時を得て
089神の救ひの声を聞け
091眼を洗つてよつく見よ 092眼を洗つてよつく見よ』
093と節面白く謡ひながら異様の扮装にて、094数多の神人に取囲まれ謡ふ神があつた。095祝部神はこの声を聞き、096何となく心勇み、097祝彦、098杉高彦と共に、099肩を搖りながらその声目蒐けて突進した。
100 激しき風に吹き捲くられて、101地上の一切は、102見るも無残に落花狼藉、103神人は烈風に遇ひし蚊の如く、104蟆子のごとく中天に捲き上げられてしまつた。105されど臍下丹田に心を鎮め神力を蒙りし神のみは、106大地より生えたる岩石の如くびくとも動かず、107悠々として烈風吹き荒ぶ広野を、108風に向つて濶歩しつつ、109雄々しくも宣伝歌を謠つた。110その声は風の共響きに送られて地教山の高照姫神の御許に達した。111真澄姫神、112祝姫神の耳にはことさらに痛切に響いたのである。113果して何人の宣伝歌であらうか。114云はずと知れた月照彦神と祝部神の宣伝歌であつた。
115 高照姫神は黄金の幣を奥殿より取り出し、116烈風に向つて左右左と振り払ひ給へば、117風は逆転して東北より西南に向つて吹き捲つた。118その時二神使はまたもや歌をよまれた。119その歌は地中海の西南なる埃の宮を通行しつつある夫神の耳に音楽のごとく微妙に響いた。120真澄姫神は地教山の高閣に登り言葉涼しく謡ひ始めた。
121『仰けば高し久方の 122天津御空に澄み渡る
124恋しき御声は聞えけり
125雨の晨や風の宵 126この世を思ふ真心の
127君が御声は天の下 128四方の国々鳴り響き
130地教の山まで届きけり
131地教の山まで届きけり 132嗚呼尊しや言霊の
133誠の響きは鳴り渡る 134雄々しき声は雷か
137神の御旨に叶ふべし 138神の御旨に叶ふべし
139妾は茲に大神の
141世の神人らを救はむと
143心の空も掻き曇る 144心の空も掻き曇る
146心も清く身も清く
147光隈なき月照彦の 148神の命の雄叫びに
149四方の草木も靡き伏し 150伏して仕へむ天地の
151草木の神も山川の 152正しき神は君が辺に
153い寄り集ひて統神の
155三千世界の梅の花 156曇る心の岩屋戸を
157一度に開く梅の花
159霊魂は照るとも曇るとも 160神の依さしの神業に
162あゝ勇ましき月照彦の
163神の命の功績や
165神の命の宣伝よ』
166と声涼しく謡ひ始めた。167風は涼しき声を乗せて地中海の西南にいます二神の許に送り届けた。168二神は勇気百倍して、169さしも激しき烈風の中を撓まず屈せず、170またもや声を張り上げて、171山野河海の神人らに警告を与へつつ、172ヱルサレムの聖地を指して進む。
173(大正一一・一・一二 旧大正一〇・一二・一五 加藤明子録)
174(昭和一〇・三・三〇朝 於吉野丸船室 王仁校正)