第三三章 暗夜の光明〔二三三〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻
篇:第5篇 宇宙精神
よみ(新仮名遣い):うちゅうせいしん
章:第33章 暗夜の光明
よみ(新仮名遣い):やみよのこうみょう
通し章番号:233
口述日:1922(大正11)年01月11日(旧12月14日)
口述場所:
筆録者:外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:船が打ち上げられたのは、地中海の牛島(サルヂニア島)であった。ここは、黄金水の霊から現れた玉のうち、竹熊に奪われなかった残りの瑠璃光の玉を、高杉別が従者・杉高に命じて密かに隠させた場所であった。
玉を島の頂上の岩石に隠し、その上にしるしの松を植えて杉高に守らせたのである。
先の天教山の爆発に際して、天空から十一個のうるわしい光輝の宝玉が瀬戸の海に落下した。海神はそれを杉高に奉ったため、牛島には十二個の宝玉が揃うことになったのであった。
これは玉を守る杉高の真心に感じて、国祖が賜ったものであった。後に、杉高は十二個の宝玉を奉じて高杉別とともに神業に奉仕することになる。
さて、暗中島に打ち上げられた神人らは、この苦境の中で、祝部神の歌う宣伝歌に感じてその意を悟り始めた。祝部神はさらに、改心を促す歌を歌った。
祝部神の歌が終わるとともに、朝日がさんざんと輝いた。牛雲別はこの苦難のうちに自らの非を翻然として悟り、酒を廃して祝部神に帰順した。
牛雲別は祝彦と改名し、杉高は杉高彦と名乗り、共に祝部神に付いて宣伝使となった。牛島の十二個の宝玉は天の磐船に載せられて、地教山の高照姫命のもとに送り届けられた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:サルヂニヤ島(サルヂニア島)
データ凡例:
データ最終更新日:2018-07-23 13:25:42
OBC :rm0533
愛善世界社版:194頁
八幡書店版:第1輯 586頁
修補版:
校定版:196頁
普及版:84頁
初版:
ページ備考:
001 一行は先を争うて暗中摸索、002島に駈上つた。003山頂には一道の光明暗を縫うてサーチライトのごとく、004細く長く海面を照らしてゐる。005この島は地中海の一孤島にして牛島といひ、006また神島、007炮烙島と称へられた。008現今にてはサルヂニア島と云ふ。009またこの海を一名瀬戸の海と云ふ。
010 かつて黄金水の霊より現はれ出でたる十二個の玉のうち、011十個までは邪神竹熊一派のために、012反間苦肉の策に乗ぜられ、013竜宮城の神人が、014その持玉を各自争奪されたる時、015注意深き高杉別は、016従者の杉高に命じ、017その一個たる瑠璃光色の玉を、018窃にこの島の頂上なる岩石を打ち破り、019深くこれを秘蔵せしめ、020その上に標示の松を植ゑ、021杉高をして固くこれを守らしめつつあつた。
022 しかるに天教山の爆発に際し、023天空より光を放つて十一個の美はしき光輝を発せる宝玉、024この瀬戸の海に落下し、025あまたの海神は海底深くこれを探り求めて杉高に奉り、026今やこの一つ島には十二個の宝玉が揃うたのである。027かかる不思議の現象は、028全く杉高がこの孤島に苦節を守り、029天地の神命を遵守し、030雨の朝、031雪の夕にも目を離さず、032心を弛めず、033厳格に保護せしその誠敬の心に、034国祖大神は感じ給ひて、035ここに十一個の玉を下し、036都合十二個の宝玉を揃へさせ、037もつて高杉別および杉高の至誠を憫れませ給うたからである。038これより杉高は高杉別と共に、039この玉を捧持して天地改造の大神業に奉仕し、040芳名を万代に伝へた。041この事実は後日詳しく述ぶることにする。
042 咫尺を弁ぜざる暗黒の夜に、043辛うじてこの島に打上げられたる神人らは、044あたかも地獄にて仏に会ひしごとく、045盲亀の浮木に取着きしがごとく、046死者の冥府より甦りたるがごとく、047枯木に花の開きしがごとく、048三千年の西王母が園の桃花の咲きしごとき嬉しさと感謝の念に駆られ、049祝部神が暗中に立ちて、
050『三千世界云々』
051の歌を謡ふ声を蛇蝎のごとく忌み嫌ひし神人も、052ここに本守護神の霊威発動して、053天女の音楽とも聞え、054慈母の愛の声とも響いた。055神人らは一斉に声を揃へて、056祝部神の後をつけ、
057『三千世界一度に開く梅の花云々』
059 祝部神は、060これに力を得て、061又もや面白き歌を謡ひ始めた。
062『世は烏羽玉の暗深く 063罪さへ深き現世の
066海底深く棲む鱶の 067餌食となすも食ひ足らず
068邪曲を助くる神心 069深く悟りて感謝せよ
070海より深き神の恩
072深き泥溝にと投げ込まれ 073奈落の底の底深く
074不覚をとるな百の神 075神の恵は目の当り
076辺り輝く瑠璃光の
079牛雲別も角を折り
080心の雲を吹き払ひ 081心の岩戸を押別けて
084百の神人諸共に
086心の暗の戸開けなば 087朝日眩ゆき日の光
088汝が頭上を照らすべし 089朝日の直刺す一つ島
090夕日の輝く一つ松 091常磐の松のその根本
092千代も動かぬ巌の根に 093秘め置かれたる瑠璃光の
096三千世界の珍宝
098十二の卵を産み並べ 099松も千歳の色深く
100枝葉は繁り幹太り 101空に伸び行く杉高の
104共に現はれ北の島
107神の隠せし宝島
110神より朽ちぬ御宝を
112叢雲繁き現世の
117体主霊従の小欲に
118比べて見れば眼の埃
120眼も眩み村肝の 121心曇らせ暗の夜に
122暗路を迷ふ海の上
125神の御息の風を吸ひ
129辺り輝く瑠璃光の
132東雲近き暗の空
134松の根本に神集ひ 135千代万代も動ぎなき
136堅磐常磐の松心
138神の心に皆復れ 139神の心に皆復れ
141心に潜む曲津神
142大蛇や金狐悪鬼共
144御息の気吹に吹払ひ 145払ひ清めて神の世を
146待つぞ目出度き一つ松 147心一つの一つ島
148心一つの一つ島 149一二三四五六七八九十
153空見よ空には真円き
159三千世界の梅の花
160一度に開く松の世の 161松に千歳の鶴巣喰ひ
162緑の亀は此島に 163泳ぎ集ひて神の代を
164祝ふも目出度き今日の空 165千秋万歳万々歳
166千秋万歳万々歳
167ヨイトサ、ヨーイトサ、ヨイヨイヨイトサツサツサ』
168と祝部神の歌終ると共に、169東天紅を潮して天の岩戸の開けし如く、170日の大神は東の山の上に温顔を現はし、171一つ島の神人らをして莞爾として覗かせ給うた。
172 ここに牛雲別は、173危機一髪の神の試練に逢ひ、174翻然としてその非を悟り、175断然酒を廃し、176かつ三千世界の宣伝歌を親のごとくに欣仰し、177寸時も口を絶たなかつた。178牛雲別は祝部神に帰順し、179祝彦と名を賜はり、180杉高はまた杉高彦と改名し、181ここに三柱は相携へて、182大神の宣伝使となつた。
183 しかして、184この十二個の宝玉は、185天の磐船に乗せ、186玉若彦の神司をしてこれを守らしめ、187地教山の高照姫命の御許に送り届けられた。188惟神霊幸倍坐世。
189(大正一一・一・一一 旧大正一〇・一二・一四 外山豊二録)