霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一八章 宣伝使(せんでんし)〔二一八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第5巻 霊主体従 辰の巻 篇:第3篇 予言と警告 よみ(新仮名遣い):よげんとけいこく
章:第18章 宣伝使 よみ(新仮名遣い):せんでんし 通し章番号:218
口述日:1922(大正11)年01月09日(旧12月12日) 口述場所: 筆録者:井上留五郎 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年4月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国祖が野立彦命として現れた天教山には、木花姫命の招きにより、四天使(大八洲彦命=月照彦神、言霊別命=少彦名神、神国別命=弘子彦神、大足彦=足真彦)、国直姫命=国照姫神、大道別=日の出神、磐楠彦(万寿山の八王)=磐戸別神、斎代彦(天山の八王)=祝部神、大島別(南高山の八王)=太田神、鬼武彦=大江神、月日明神(高倉、旭の合体神)をはじめとする神々らであった。
召集された神々は、野立彦命の神勅を奉じて、予言者となって世界各地に派遣された。その神言は、『三千世界一度に開く梅の花、月日と土の恩を知れ、心一つの救ひの神ぞ、天教山に現はれる』というものであった。
しかし神々はこの予言を軽視し、単なる流行歌としてのみ聞き流していた。
あるとき、常世神王・大自在天は、門前に月日明神が予言歌を節面白く歌っているのを聞いて招き、宴席で歌い舞わせた。
月日明神の歌舞に、宴席の神々らは感嘆して見とれていたが、常世神王は苦悶と恐怖の色を浮かべて、落ち着かない様子であった。部下の問いかけにも、常世神王はただ、月日明神を賓客として大切に扱うように、とだけ言い残して、奥殿に下がってしまった。
月日明神は『世の終わりが近づいたため、心底より懺悔せよ』と言い残して、姿は煙のように消えてしまった。
常世神王は、月日明神の童謡は普通の神人が作ったものではない、天上の神の予言警告である、として天地の神霊を奉斎すべき、と宣言した。そして、それについては盤古神王と心を合わせるべきであるとし、捕虜としていた盤古神王の娘・塩治姫とウラル彦の娘・玉春姫を送還した。
アーメニヤでは、常世神王がにわかに前非を悔いて捕虜を送還してきたことに慢心し、意気盛んになった。そこへ、三千世界一度に開く梅の花、と歌う宣伝使・日の出神の声が聞こえてきた。
盤古神王はその歌を聞くと、威徳に打たれてその場に平伏した。しかしウラル彦夫妻は冷笑を浮かべるのみであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0518
愛善世界社版:105頁 八幡書店版:第1輯 554頁 修補版: 校定版:107頁 普及版:48頁 初版: ページ備考:
001 ここに天教山(てんけうざん)一名(いちめい)須弥仙(しゆみせん)(ざん)ともいふ)に(しづ)まり()木花姫(このはなひめの)(みこと)(まね)きにより、002(あつま)つた神人(かみ)は、
003大八洲彦(おおやしまひこの)(みこと)一名(いちめい)月照彦(つきてるひこの)(かみ))、004大足彦(おほだるひこ)一名(いちめい)足真彦(だるまひこ))、005言霊別(ことたまわけの)(みこと)一名(いちめい)少彦名(すくなひこなの)(かみ))、006神国別(かみくにわけの)(みこと)一名(いちめい)弘子彦(ひろやすひこの)(かみ))、007国直姫(くになほひめの)(みこと)一名(いちめい)国照姫(くにてるひめの)(かみ))、008大道別(おほみちわけ)一名(いちめい)()出神(でのかみ))、009磐樟彦(いはくすひこ)一名(いちめい)磐戸別(いはとわけの)(かみ))、010斎代彦(ときよひこ)一名(いちめい)祝部(はふりべの)(かみ))、011大島別(おおしまわけ)一名(いちめい)太田(おほたの)(かみ))、012鬼武彦(おにたけひこ)一名(いちめい)大江(おほえの)(かみ))、013高倉(たかくら)014(あさひ)二神(にしん)合体(がつたい)して月日(つきひ)明神(みやうじん)
015その()神人(かみがみ)なりける。
016 それらの神人(かみがみ)は、017天教山(てんけうざん)中腹(ちうふく)青木(あをき)(はら)聖場(せいぢやう)(くわい)し、018野立彦(のだちひこの)(みこと)神勅(しんちよく)(ほう)じ、019天下(てんか)神人(しんじん)覚醒(かくせい)すべく、020予言者(よげんしや)となりて世界(せかい)各地(かくち)派遣(はけん)せられた。021その予言(よげん)言葉(ことば)にいふ。
022三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)023月日(つきひ)(つち)(おん)()れ、024(こころ)(ひと)つの(すく)ひの(かみ)ぞ、025天教山(てんけうざん)(あら)はれる』
026 以上(いじやう)諸神人(しよしん)はこの神言(かみごと)(とな)へつつ、027あるひは童謡(どうえう)に、028あるひは演芸(えんげい)に、029あるひは音楽(おんがく)ことよせ030千辛(せんしん)万苦(ばんく)して(ひそか)国祖(こくそ)予言(よげん)警告(けいこく)宣伝(せんでん)した。
031 されど、032大蛇(をろち)金狐(きんこ)邪霊(じやれい)心底(しんてい)より誑惑(けうわく)され()つたる神人(かみがみ)らは、033ほとんどこの予言(よげん)軽視(けいし)し、034酒宴(しゆえん)(せき)における流行歌(はやりうた)とのみ()きながし、035(こと)()(もの)(せつ)してただちに口吟(くちずさ)みながら、036その警告(けいこく)真意(しんい)研究(けんきう)し、037日月(じつげつ)神恩(しんおん)感謝(かんしや)し、038身魂(みたま)錬磨(れんま)せむとする(もの)は、039ほとんど千中(せんちう)(いち)にも(あた)らぬくらゐであつた。
040 常世(とこよ)神王(しんわう)は、041門前(もんぜん)(ふし)面白(おもしろ)く「三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)云々(うんぬん)」と(うた)ひくる月日(つきひ)明神(みやうじん)童謡(どうえう)()いて(くび)をかたむけ、042大鷹別(おほたかわけ)をして月日(つきひ)明神(みやうじん)をともなひ殿中(でんちう)(まね)き、043諸神(しよしん)満座(まんざ)(なか)にてこの(うた)(うた)はしめた。
044 月日(つきひ)明神(みやうじん)は、045面白(おもしろ)手拍子(てべうし)足拍子(あしべうし)(そろ)へ、046かつ優美(いうび)(うた)()ひはじめた。047いづれもその妙技(めうぎ)感嘆(かんたん)して()とれゐたり。
048 神人(かみがみ)らは、049嬉々(きき)として天女(てんによ)音楽(おんがく)()くごとく(いさ)みたち、050(なか)には(みづか)()ちてその(うた)をうたひ、051月日(つきひ)明神(みやうじん)相並(あひなら)んで(ひん)よく(をど)(くる)ふものあり。052殿内(でんない)神人(かみがみ)らの歓喜(くわんき)(こゑ)(みた)されて(はる)のやうであつた。053(ひと)常世(とこよ)神王(しんわう)は、054神人(かみがみ)らの(よろこ)(いさ)(をど)(くる)うて他愛(たあい)なきに()きかへ、055両手(りやうて)(あたま)(おさ)へながら苦悶(くもん)()へざる面持(おももち)にて、056始終(しじう)(うつむ)きがちにその両眼(りやうがん)よりは(なみだ)()らし、057かつ恐怖(きようふ)戦慄(せんりつ)(いろ)をあらはし、058(なん)となく落着(おちつ)かぬ様子(やうす)であつた。
059 この様子(やうす)(うかが)()つたる大鷹別(おほたかわけ)は、060常世(とこよ)神王(しんわう)御前(みまへ)(うやうや)しく拝礼(はいれい)し、061かついふ、
062神王(しんわう)は、063何故(なぜ)かかる面白(おもしろ)歌舞(かぶ)みそなはしながら、064憂鬱(いううつ)煩慮(はんりよ)(てい)にましますや、065一応(いちおう)合点(がてん)ゆかず、066()真意(しんい)(うけたま)はりたし、067小子(せうし)(ちから)(およ)ぶことならば、068いかなる難事(なんじ)といへども、069神王(しんわう)のためには一身(いつしん)()しまず(つか)へまつらむ』
070至誠(しせい)(おもて)にあらはれて進言(しんげん)した。
071 されど、072常世(とこよ)神王(しんわう)はただ俯向(うつむ)いて一言(いちごん)(はつ)せず、073溜息(ためいき)吐息(といき)()くばかりであつた。074大鷹別(おほたかわけ)(かさ)ねてその真意(しんい)言葉(ことば)しづかに(うかが)つた。075常世(とこよ)神王(しんわう)はただ一言(いちごん)
076月日(つきひ)明神(みやうじん)大切(たいせつ)饗応(きやうおう)し、077本城(ほんじやう)主賓(しゆひん)として優待(いうたい)せよ』
078といひ(のこ)し、079奥殿(おくでん)逸早(いちはや)姿(すがた)をかくした。
080 月日(つきひ)明神(みやうじん)衆神(しうじん)にむかひ、
081()(をは)りは(ちか)づけり、082天地(てんち)神明(しんめい)身魂(みたま)(つみ)心底(しんてい)より謝罪(しやざい)せよ』
083といひつつ、084姿(すがた)(けむり)のごとく()えてしまつた。
085 しばらくあつて常世(とこよ)神王(しんわう)大鷹別(おほたかわけ)にむかひ、
086(あさひ)明神(みやうじん)とやらの(とな)ふる童謡(どうえう)は、087普通(ふつう)一般(いつぱん)神人(しんじん)(つく)りし(うた)にあらず、088天上(てんじやう)にまします(たふと)(かみ)予言(よげん)警告(けいこく)なれば、089(われ)らは(いち)()(はや)前非(ぜんぴ)()い、090月日(つきひ)(つち)大恩(たいおん)感謝(かんしや)し、091天地(てんち)神霊(しんれい)奉斎(ほうさい)せざるべからず。092(これ)については吾々(われわれ)一大(いちだい)決心(けつしん)(えう)す。093すみやかに盤古(ばんこ)神王(しんわう)(むすめ)塩治姫(しほはるひめ)およびウラル(ひこ)(むすめ)玉春姫(たまはるひめ)をアーメニヤの神都(しんと)(れい)(あつ)くしてこれを送還(そうくわん)し、094(とき)(うつ)さずロッキー山上(さんじやう)仮殿(かりどの)()て、095すみやかに転居(てんきよ)準備(じゆんび)着手(ちやくしゆ)せよ』
096厳命(げんめい)した。097大鷹別(おほたかわけ)神王(しんわう)真意(しんい)(かい)しかね、098心中(しんちう)馬鹿(ばか)らしく(かん)じつつも、099(めい)のごとく数多(あまた)神人(かみがみ)をして()女性(ぢよせい)をアーメニヤに送還(そうくわん)せしめ、100ロッキー(ざん)頂上(ちやうじやう)土引(つちひ)(なら)し、101(かたち)ばかりの仮殿(かりどの)建設(けんせつ)することとなつた。
102 アーメニヤの神都(しんと)にては、103盤古(ばんこ)神王(しんわう)をはじめウラル(ひこ)は、104常世(とこよ)神王(しんわう)(にはか)前非(ぜんぴ)()い、105心底(しんてい)より帰順(きじゆん)したる表徴(へうちよう)として安堵(あんど)し、106かつ軽侮(けいぶ)(ねん)(たか)めつつ意気(いき)衝天(しようてん)(いきほ)ひであつた。
107 (ころ)しも(かり)宮殿(きうでん)傍近(そばちか)く、
108三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)
109(うた)うて(とほ)言触(ことぶれの)(かみ)宣伝使(せんでんし))があつた。110盤古(ばんこ)神王(しんわう)はこの(こゑ)(みみ)をそばだて(むね)(おさ)へてその()平伏(へいふく)した。111この(こゑ)(みみ)()るとともに(かしら)()るるがごとく、112(むね)()()くるごとくに(かん)じたからである。
113 ウラル(ひこ)夫妻(ふさい)は、114神王(しんわう)のこの様子(やうす)()不審(ふしん)()へず、115あわただしく()けよつて介抱(かいほう)せむとした。116神王(しんわう)(みぎ)()()げて左右(さいう)()り、117(くる)しき(いき)()きながら、
118『ただ(いま)言触(ことぶれの)(かみ)(こゑ)()け』
119といつた。120二神(にしん)(こた)へて、
121(かれ)神人(かみがみ)らに(しよく)(もと)めて天下(てんか)遍歴(へんれき)する流浪人(さすらひびと)なり、122かくのごとき神人(かみがみ)(げん)(しん)じて心身(しんしん)(なや)ませたまふは、123平素(へいそ)英邁(えいまい)にして豪胆(がうたん)なる神王(しんわう)()言葉(ことば)とも(おぼ)えず、124貴下(きか)神経(しんけい)(なや)ましたまふにあらざるか』
125とやや冷笑(れいせう)(うか)べて()ひかけた。
126 神王(しんわう)二人(ふたり)言葉(ことば)(みみ)にも()らざるごとき様子(やうす)にて、127両手(りやうて)(あは)せ、128(あるひ)(てん)(はい)(あるひ)()(はい)し、
129月日(つきひ)(つち)(おん)()れ、130月日(つきひ)(つち)(おん)()れ、131世界(せかい)神人(しんじん)(つみ)(ゆる)し、132(われ)一族(いちぞく)をこの大難(だいなん)より(すく)はせたまへ』
133流汗(りうかん)淋漓(りんり)134無我(むが)夢中(むちう)祈願(きぐわん)をこらす。
135 ウラル(ひこ)夫妻(ふさい)は、136この(てい)()可笑(をか)しさに()へかね噴出(ふきだ)さむばかりになつたが、137神王(しんわう)御前(みまへ)をはばかつて、138両眼(りやうがん)より可笑(をか)(なみだ)()らしてこの()退()きさがつてしまつた。139そしてこの()(あら)はれた言触(ことぶれの)(かみ)()出神(でのかみ)であつた。
140大正一一・一・九 旧大正一〇・一二・一二 井上留五郎録)
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