霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 布留野原(ふるのはら)〔五三三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第13巻 如意宝珠 子の巻 篇:第2篇 洗礼旅行 よみ:せんれいりょこう
章:第7章 第13巻 よみ:ふるのはら 通し章番号:533
口述日:1922(大正11)年03月17日(旧02月19日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年10月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
一行七人は北へ北へと進み、フル野ヶ原に進み入ってきた。ここで一行は野宿をすることになった。日の出別命はすぐにごろりと横になり、寝についてしまう。
一同は日の出別命の豪胆さと刹那心に感心していたが、言い争っているうちに日の出別命の姿は消えてしまった。六人は騒いでいると、血なまぐさい風がさっと吹いてきた。
生い茂る茅の中から、黒い顔がぬっと現れて六人に笑い、吠えだした。岩彦は化け物に対して憎まれ口をたたき、尻を叩いて挑発する。
化け物は、岩彦の尻に食いつこうと言うと、岩彦は腰を抜かして動けなくなってしまう。鷹彦は岩彦をたしなめてからかっている。そのうちに、化け物は挨拶をして消えてしまった。
化け物が去ったので、腰が立った岩彦はまた調子に乗って法螺を吹いている。どこからともなく、化け物が三五教の宣伝歌で、またしても岩彦の脂を絞ってやろうか、と歌っている。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1307
愛善世界社版:85頁 八幡書店版:第3輯 62頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:35頁 初版: ページ備考:
001(まこと)(かみ)言霊(ことたま)
002雲霧(くもきり)(ひら)()出別(でわけ)
003(ウヅ)御言(みこと)宣伝使(せんでんし)
004天教山(てんけうざん)立出(たちい)でて
005(とほ)海原(うなばら)うち(わた)
006いよいよここにフサの(うみ)
007タルの(みなと)上陸(じやうりく)
008(こころ)()つとシヅの(もり)
009木蔭(こかげ)(いこ)折柄(をりから)
010(やみ)(きこ)ゆる(ひと)(こゑ)
011(ねむり)()ませば岩彦(いはひこ)
012部下(ぶか)(つか)ふる宣伝使(せんでんし)
013(ひと)(ふた)()()(いつ)()
014むつみ()うたる(その)(なか)
015(とき)浪風(なみかぜ)立騒(たちさわ)
016黒白(あやめ)(わか)(くら)まぎれ
017(たたか)(うち)()出別(でわけ)
018(かみ)真道(まみち)言別(ことわ)けて
019(やうや)一同(いちどう)シヅの(もり)
020(いは)(ひと)しき岩彦(いはひこ)
021(かた)(こころ)をなごめつつ
022一度(いちど)(ひら)梅ケ香(うめがか)
023(かみ)(をしへ)服従(まつろ)はせ
024(おと)名高(なだか)きフル野原(のはら)
025さやる魔神(まがみ)言向(ことむ)けて
026(かめ)(よはひ)何時(いつ)までも
027(うご)かぬ神代(かみよ)(きづ)かむと
028(こころ)(こま)(むちう)ちて
029(すずめ)(むれ)()(くだ)
030(たか)(いきほひ)(いさ)ましく
031(くさ)()(しげ)広野原(ひろのはら)
032タルの大河(おほかは)(みぎ)()
033(きた)(きた)へと(すす)()く。
034 一行(いつかう)七人(しちにん)(あし)(まか)せてフル野ケ原(のがはら)奥深(おくふか)(すす)()る。035(また)もや真黒(しんこく)(やみ)(とばり)はおろされて、036四辺暗澹(しへんあんたん)たる光景(くわうけい)となりて()たりぬ。037東北(とうほく)(かぜ)はヒユーヒユーと草野(くさの)()でて()(きた)小雨(こあめ)さへ(まじ)()る。
038鷹彦(たかひこ)昨夜(ゆふべ)は、039シヅの(もり)で、040乱痴気(らんちき)(さわ)ぎをおつぱじめ、041()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)居中調停(きよちうてうてい)効果(かうくわ)によりて、042まづ平和(へいわ)克復(こくふく)曙光(しよくわう)(みと)め、043今日(けふ)天地(てんち)にかはる大変動(だいへんどう)044三五教(あななひけう)仇敵(きうてき)(ごと)見做(みな)して()た、045ウラル(けう)のヘボ宣伝使(せんでんし)は、046今日(けふ)同行(どうぎやう)七人(しちにん)三五教(あななひけう)047(かは)れば(かは)るものだワイ。048サア今晩(こんばん)は、049このフル野ケ原(のがはら)(くさ)(しとね)に、050平和(へいわ)(ゆめ)(むす)ばうぢやないか。051モシモシ()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)052(この)フル野ケ原(のがはら)は、053一時(ひととき)(あめ)()つては、054また一時(ひととき)()れるといふ芸当(げいたう)繰返(くりかへ)すのですから漫然(うつかり)安眠(あんみん)出来(でき)ますまいが、055蓑笠(みのかさ)(かぶ)つて、056一夜(いちや)()かす(こと)(いた)しませうか』
057『アヽそれも()からう。058()今晩(こんばん)はゆつくりと(あし)()ばして()ませう』
059岩彦(いはひこ)『それは有難(ありがた)い、060(しか)(なが)らこのフル野ケ原(のがはら)は、061妖怪(えうくわい)変化(へんげ)隠顕(いんけん)出没(しゆつぼつ)(つね)ならざる、062魔窟ケ原(まくつがはら)であるから、063あまり安眠(あんみん)出来(でき)ますまい。064(しか)しコンパスを休養(きうやう)させる(ため)に、065(よこ)()てつて、066(そら)黒雲(くろくも)(にら)みつこでも(いた)しませうか』
067梅彦(うめひこ)『アヽモウ草臥(くたび)れた。068タルの(かは)河縁(かはべり)(つた)うて()たお(かげ)で、069草鞋(わらぢ)泥埃(どろぼこり)寄生虫(きせいちう)群生(ぐんせい)して、070十足(じつそく)ぶりの(おも)みを(かん)じた。071アーア疲労(くたび)れた(とき)(やす)(ほど)(らく)なものはない。072可愛(かあい)()には(たび)をさせとやら、073本当(ほんたう)に、074(かぜ)()(すさ)埃道(ほこりみち)を、075目的場所(あてど)もなしにテクツク(くらゐ)(くる)しい(こと)はない。076(その)(くる)しみを()やす(ため)に、077(あし)()ばして(やす)(とき)(たの)しさ、078少々(せうせう)小雨(こあめ)()つた(くらゐ)はナンの()にもなるものでないわ』
079亀彦(かめひこ)『わしも(ひと)(じま)から(なが)(あひだ)080(ふね)()られて、081サツパリ(あし)(たましひ)が、082どつかへ移住(いぢゆう)したと()えて、083ナンダか、084他人(ひと)(あし)(やう)心持(こころもち)がして仕方(しかた)がない。085マアゆつくりと今夜(こんや)此処(ここ)休息(きうそく)さして(もら)はう』
086『サアサア(みな)(もの)087休眠(やす)まうぢやないか』
088()(なが)ら、089()出別(でわけ)雑草(ざつさう)(うへ)にコロリと(よこ)たはり、090鼾声(かんせい)(らい)(ごと)く、091(たちま)華胥(くわしよ)(くに)遊楽(いうらく)するものの(ごと)くなりけり。
092鷹彦(たかひこ)『アア、093(なん)(つみ)のない豪胆(がうたん)宣伝使(せんでんし)だらう。094昨日(きのふ)まで極力(きよくりよく)反対(はんたい)して()吾々(われわれ)(そば)()いて、095(なん)懸念(けねん)もなく、096率先(そつせん)して他念(たあい)もなく(しん)()く。097(その)度量(どりやう)(おほ)きいのには、098吾々(われわれ)(した)()かねばならぬ。099人間(にんげん)()うなくてはならない、100猜疑心(さいぎしん)や、101嫉妬心(しつとしん)や、102疑惑(ぎわく)があると、103つひ他人(ひと)(こと)()になつて、104安心(あんしん)出来(でき)ぬものだ。105疑心暗鬼(ぎしんあんき)(しやう)ずと()つて、106(ひと)自分(じぶん)(こころ)自分(じぶん)(くるし)めるのだ。107ウラル(けう)六人(ろくにん)(づれ)(たび)をしても、108夜中(やちう)(なに)襲来(しふらい)するか()れないと()つて、109交代(かうたい)一人(ひとり)(づつ)110(その)(そば)哨兵(せうへい)()たせて()く。111(これ)れを(おも)へば、112(じつ)三五教(あななひけう)淡泊(たんぱく)なものだ。113博愛(はくあい)(をしへ)だ。114……オイ貴様(きさま)(たち)安心(あんしん)して()たがよからう』
115駒彦(こまひこ)『ソラさうだ、116昨日(きのふ)(てき)今日(けふ)味方(みかた)117(おに)(ささや)き、118(とら)(うそぶ)きと(きこ)えしは、119(まつ)()(かぜ)となりにけりだ。120サアサア(みな)一同(いちどう)(こころ)のキルクを()いて、121今日(けふ)一蓮托生(いちれんたくしやう)122(まくら)(なら)べて討死(うちじに)……オツトドツコイ打揃(うちそろ)(しん)()かうぢやないか』
123岩彦(いはひこ)『サアお前達(まへたち)(みな)(やす)め、124この岩彦(いはひこ)()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)保護(ほご)(にん)にあたらねばならぬ。125(これ)(おれ)真心(まごころ)だから……』
126鷹彦(たかひこ)真心(まごころ)とは真赤(まつか)(いつは)りだらう。127(こころ)のマは悪魔(あくま)()だらう。128貴様(きさま)はまだ安心(あんしん)出来(でき)ないと()えて、129熟睡(じゆくすい)して()()に、130()出別命(でわけのみこと)喉笛(のどぶえ)でもかかれはせぬかといふ猜疑心(さいぎしん)があるのだよ』
131岩彦(いはひこ)『ナニ(けつ)して(けつ)して、132さうではないよ。133(この)フル野ケ原(のがはら)には、134沢山(たくさん)大蛇(をろち)()るといふ(こと)だ。135(ひと)(にほひ)がすれば()ぎつけて、136何時(なんどき)やつて()るか()れぬ。137それだから拙者(せつしや)保護(ほご)(にん)(あた)るのだよ』
138鷹彦(たかひこ)『ナニソンナ心配(しんぱい)()らぬ。139(はや)(やす)んだがよからうぞ』
140梅彦(うめひこ)『オイオイ、141大変(たいへん)大変(たいへん)だ』
142鷹彦(たかひこ)(なに)大変(たいへん)だ』
143梅彦(うめひこ)()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)のお姿(すがた)()えぬぢやないか』
144 (この)一言(いちごん)に『アツ』と()(なが)ら、145附近(あたり)()れば(かげ)もない。
146岩彦(いはひこ)『それ()ろ、147やつぱりフル野ケ原(のがはら)妖怪窟(えうくわいくつ)だ。148()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)を、149大蛇(をろち)(やつ)150忍術(にんじゆつ)使(つか)つて、151そつと()んで仕舞(しまひ)よつたのだらうも()れぬぞ』
152鷹彦(たかひこ)『ナーニ、153ソンナ(こと)があるものか。154あの(かた)神様(かみさま)化身(けしん)だから、155変幻(へんげん)出没(しゆつぼつ)自由自在(じいうじざい)だ。156吾々(われわれ)(やう)罪悪(ざいあく)凝結(かたまり)とは(ちが)つて、157浄化(じやうくわ)して御座(ござ)るのだから、158(すきとほ)つて()えないのだらう』
159 (この)(とき)(なん)とも()れぬ血腥(ちなまぐさ)き、160湿潤(しめり)ある、161蒸暑(むしあつ)(かぜ)がサツと()いて()た。
162音彦(おとひこ)『ヤア(この)(かぜ)はナンダ、163怪体(けつたい)調子(てうし)だぞ。164どうしてもフル野ケ原(のがはら)(しき)だ』
165鷹彦(たかひこ)恐怖心(きようふしん)()られて、166全身(ぜんしん)(こま)かく、167ブルブルブル野ケ原(のがはら)野宿(のじゆく)といふ体裁(ていさい)だ。168アハヽヽヽ、169臆病風(おくびやうかぜ)がソロソロ()()したワイ』
170音彦(おとひこ)(むか)うから悪魔(あくま)(やつ)171魔風(まかぜ)()かしよるから、172此方(こちら)()けぬ()になつて、173言霊(ことたま)(いち)()(さん)()()(ろく)(しち)(はち)()(じふ)(ひやく)(せん)(まん)億病風(おくびやうかぜ)だ』
174鷹彦(たかひこ)(なに)洒落(しやれ)るのだ、175それそれ(また)(あめ)だ』
176音彦(おとひこ)あめ(した)住居(すまゐ)する吾々(われわれ)が、177(あめ)(こは)くて(この)()()れるか。178(あめ)より(こは)いは、179アーメニヤのウラル(ひこ)(さま)だ。180吾々(われわれ)()うして、181飛行(ひかう)宣伝中(せんでんちう)宙返(ちうがへり)をうつたと()ふことが(きこ)えたら、182それこそ大変(たいへん)だ。183到底(たうてい)(もと)のアーメニヤの城内(じやうない)に、184格納(かくなふ)して(もら)(こと)最大(さいだい)難事(なんじ)だよ』
185鷹彦(たかひこ)『まだ貴様(きさま)は、186アーメニヤが(こひ)しいのか』
187音彦(おとひこ)『ナーニ、188アーメニヤが(こひ)しいのぢやない、189肝腎(かんじん)(ちから)(おも)うた()出別神(でわけのかみ)(さま)が、190雲煙(くもけむり)となつて磨滅(まめつ)して(しま)つたものだから、191心細(こころぼそ)くなつて()たのだ。192それで今度(こんど)はアーメニヤの盤古神王(ばんこしんわう)のお(とがめ)(おそ)ろしくなつて()たのだ。193(おれ)だつて()出別(でわけ)宣伝使(せんでんし)にしやツついてさへ()れば、194(こころ)大丈夫(だいぢやうぶ)だが、195コンナ魔窟(まくつ)放擲(はうてき)されて、196チツトは愚痴(ぐち)()ようまいものでもなからうぢやないか』
197亀彦(かめひこ)『さうぢや、198同感(どうかん)々々(どうかん)199(たれ)だつて(ひと)(こころ)九合八合(ぐがふはちがふ)だ。200(いま)此処(ここ)()てられたら、201それこそ一升(いつしよう)(うらみ)だ。202オイオイ一斗(いつと)(もの)203一石(いつこく)(はや)在処(ありか)(たづ)ねて()ようぢやないか。204桝々(ますます)(はか)()られぬ宣伝使(せんでんし)変幻出没(へんげんしゆつぼつ)205こりやマア、206どうしたら()からうかな』
207 (この)(とき)ボンヤリとした、208薄暗(うすぐら)い、209生茂(おひしげ)(かや)(なか)から、210ズズ(ぐろ)(おほ)きな(かほ)がヌツと(あら)はれて、
211化物(ばけもの)『キエーヘヽヽヽ、212キヤーハヽヽヽ、213キヨーホヽヽヽ、214キューヽヽヽヽ』
215音彦(おとひこ)音高(おとたか)音高(おとたか)し、216(しづ)かにめされ化物(ばけもの)殿(どの)
217化物(ばけもの)『キヤーヽヽヽヽ、218キユーヽヽヽヽ』
219音彦(おとひこ)『オイオイ(みな)(やつ)220呪文(じゆもん)(とな)へるのだ。221(むか)うがキユーキユーだから、222此方(こつち)窮々(きうきう)如律令(によりつれい)だ。223サア()うたり()うたり』
224 一同(いちどう)(こゑ)(そろ)へて、
225窮々(きうきう)如律令(によりつれい)226窮々(きうきう)如律令(によりつれい)
227化物(ばけもの)『ワハヽヽヽ、228(くる)しいか、229(おそ)ろしいか、230キユーキユー()つてゐよるナア。231キヤヽヽヽヽ、232キヤハヽヽヽヽキヨホヽヽヽ』
233岩彦(いはひこ)『ナーンダ、234脱線(だつせん)だらけの鵺的(ぬえてき)言霊(ことたま)陳列(ちんれつ)しよつて、235……ソンナものは何時迄(いつまで)()いといても、236売約済(ばいやくずみ)(ふだ)()かんぞ。237モツト舶来(はくらい)精巧(せいかう)無比(むひ)238天下(てんか)一品(いつぴん)といふ言霊(ことたま)陳列(ちんれつ)せぬかい』
239化物(ばけもの)『ウーン、240ウンウン』
241梅彦(うめひこ)『ナアーンダ、242(かが)みよつたな』
243岩彦(いはひこ)『どうだ、244(おれ)言霊(ことたま)には、245(ばけ)チヤン往生(わうじやう)しただらう。246それだから(この)(はう)が、247ウラル(けう)宣伝使長(せんでんしちやう)(えら)ばれたのだ。248ウラル(ひこ)眼力(がんりき)(じつ)天晴(あつぱ)れなものだらう』
249音彦(おとひこ)『あまり()くない。250何時(いつ)だつて(しり)(つづま)りが()うた(こと)が、251一度(いちど)でもあるかい。252貴様(きさま)言霊(ことたま)化物(ばけもの)閉息(へいそく)したと(おも)へば(あて)(ちが)うぞ。253あの(こゑ)()いたか、254ウンウンウンといつただらう、255(かや)()(なか)で、256団尻(だんじり)引捲(ひきまく)つて、257ウンと瓦斯(ガス)残滓物(ざんさぶつ)放出(はうしゆつ)して、258それから第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)にかからうと()手段(しゆだん)だよ』
259岩彦(いはひこ)何程(なにほど)ウンウン()つたつて、260(うん)(てん)()りだ、261(ひと)(これ)から運比(うんくら)べをやるのだ』
262 と()(なが)ら、263岩彦(いはひこ)(しり)ひきまくり、264化物(ばけもの)(かが)んだ(はう)(むか)つて、
265岩彦(いはひこ)『ヤア、266折悪(をりあ)しくウンの持合(もちあは)せがない、267仕方(しかた)がないワ、268(この)(はう)臀肉(でんにく)(くら)へ、269(しり)(あき)れるワ』
270()()(たた)いて()せる。
271(おと)272(うめ)『アハヽヽヽ、273こいつあ面白(おもしろ)い、274洒落(しやれ)てけつかるワイ』
275 草原(くさはら)より(ふたた)化物(ばけもの)はニユーツと(くび)()し、
276『ヤア岩彦(いはひこ)277有難(ありがた)い、278(まへ)(けつ)(これ)から頂戴(ちやうだい)する。279そこ(うご)くな』
280岩彦(いはひこ)『ヤア、281バババケ(こう)282(うそ)(うそ)だ、283一寸(ちよつと)愛想(あいそ)()つて()たのだ。284(まへ)はウンウンと()つて(くそ)をこいたが、285(おれ)(うそ)をこいたのだ。286コンナ(こと)を、287真面目(まじめ)()不風流(ぶふうりう)(やつ)があるかい。288(まへ)もよつぽど原始的(げんしてき)(ばけ)チヤンだナア』
289化物(ばけもの)『オ……オ……(おれ)原始的(げんしてき)だから、290(まへ)(やう)風流(ふうりう)持合(もちあは)せはないワイ。291何事(なにごと)(かみ)(みち)正直(しやうぢき)一番(いちばん)だ。292(まへ)(いやし)くも天下(てんか)宣伝使(せんでんし)293滅多(めつた)戯談(じやうだん)嘘偽(うそ)()(はず)はあるまい。294言行(げんかう)一致(いつち)だ。295サアサア宣言(せんげん)履行(りかう)して(もら)はうかい』
296鷹彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、297(この)化州(ばけしう)298あぢな(こと)()ひよる。299オイオイ化州(ばけしう)300コンナ岩公(いはこう)(やう)(わか)らずやに相手(あひて)になるな、301見逃(みのが)見逃(みのが)せ』
302化物(ばけもの)『それでも岩公(いはこう)(やつ)303(たしか)(しり)をまくつて、304(くら)へと()つたのだ。305(まへ)たちの(みみ)にも(あらた)なる(ところ)306()的確(てきかく)意思(いし)表示(へうじ)をやつた以上(いじやう)は、307何処(どこ)までも強制(きやうせい)執行(しつかう)をやるのだ』
308岩彦(いはひこ)執行(しつかう)とはナンダ、309執拗(しつこい)ぢやないか、310()加減(かげん)(くだ)けぬかい』
311化物(ばけもの)(くだ)ける(くだ)ける、312(まへ)(ほね)が、313木葉微塵(こつぱみぢん)(くだ)けるぞ。314(あた)つて(くだ)けと()ふことがあるぢやないか、315(まへ)立派(りつぱ)一人前(いちにんまへ)(をとこ)だらう。316(あた)つて(くだ)けたらどうだい』
317岩彦(いはひこ)『イヤ(おれ)一人前(いちにんまへ)ぢやない、318四人前(よにんまへ)だ』
319化物(ばけもの)四人前(よにんまへ)なら猶更(なほさら)(こと)だ、320余人(よにん)はいざ()らず、321(なんぢ)一人(ひとり)(かぎ)つて絶対的(ぜつたいてき)実行(じつかう)をするのだ。322そこ(うご)くな』
323岩彦(いはひこ)(うご)けと()つたつて、324(うご)くものかい。325(いは)サンは(その)()(ごと)く、326(てん)として(うご)からざる(こと)327磐石(いはじやく)(ごと)しだ』
328化物(ばけもの)『さうだらう、329(こし)()かしよつて、330()らず(ぐち)(たた)くない』
331鷹彦(たかひこ)『アーア、332(この)(ねむ)たいのに、333気楽(きらく)(ばけ)()がやつて()よつて、334種々(いろいろ)余興(よきよう)をやるものだから可笑(おか)しくつて、335(ろく)(ねむ)(こと)出来(でき)やしないワ』
336岩彦(いはひこ)『オイオイ鷹彦(たかひこ)337(なに)余興(よきよう)だ。338(おれ)()にも(ひと)つなつて()い』
339鷹彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、340貴様(きさま)あまり頑固(ぐわんこ)だつたから、341一寸(ちよつと)神様(かみさま)(くぎ)()たれて()るのだ。342ナアモシ、343化神(ばけがみ)さま……』
344化物(ばけもの)『さうだ、345鷹彦(たかひこ)仰有(おつしや)(とほり)346(おれ)()(とほ)りだ。347一分一厘(いちぶいちりん)間違(まちがひ)のない(はなし)だ』
348岩彦(いはひこ)『オイ鷹彦(たかひこ)349(いは)いでもよい(こと)()ふな、350貴様(きさま)(ばけ)(やつ)共鳴(きようめい)しよつて、351本当(ほんたう)(あや)しからぬ(やつ)ぢや』
352鷹彦(たかひこ)『アハヽヽヽ、353貴様(きさま)(また)昨夜(ゆふべ)(やう)(ゆめ)でも()とるのぢやないか』
354岩彦(いはひこ)『さうかなア、355(ゆめ)なら結構(けつこう)だが……ヤアどうしても(ゆめ)(やう)(おも)はれぬぞ。356()きてはテクテクと曠野(くわうや)(わた)り、357()てはコンナ(おそ)ろしい(ゆめ)()せられては(たま)つたものぢやないワ』
358化物(ばけもの)『ヤア(いは)チヤン、359永々(ながなが)邪魔(じやま)(いた)しました。360(ゆめ)でもない、361(うつつ)でもない、362本当(ほんたう)のフル野ケ原(のがはら)(ばけ)チヤンだ。363ユメユメ(うたが)ふこと(なか)れ、364アリヨース』
365()つた()り、366『ブスツ』と()(やう)(あや)しき(おと)(とも)()えて(しま)つた。
367音彦(おとひこ)『ヤアヤア()(たい)(こと)があつたものだ。368(いま)()よつたお(ばけ)は、369ナンデも雪隠(せつちん)のお(ばけ)()える。370(くそ)()れる終局(しまひ)()てには(いたち)最期屁(さいごぺ)ぢやないが、371ブスツと(おと)をさせて屁古垂(へこた)れよつた』
372岩彦(いはひこ)『ワハヽヽヽ、373(めう)なものだ。374(おれ)(こし)もモウ大丈夫(だいぢやうぶ)だ。375オイどうだ、376貴様(きさま)377(おれ)(こし)()かしたと本当(ほんたう)(おも)うて()つたのだらう、378ソンナ(よわ)(こと)宣伝使(せんでんし)(つと)まるかい。379キヤハヽヽヽ、380キユフヽヽヽ、381キヨホヽヽヽ』
382鷹彦(たかひこ)『オイオイ岩公(いはこう)383ソンナ言霊(ことたま)使(つか)うと、384第二(だいに)妖怪(えうくわい)変化(へんげ)のお見舞(みまひ)だぞ』
385岩彦(いはひこ)ようかい神界(しんかい)もあつたものかい。386吾輩(わがはい)勢力(せいりよく)範囲(はんゐ)(ない)立入(たちい)つて、387(なに)ようかい容喙(ようかい))するのぢや、388権利(けんり)侵害罪(しんがいざい)起訴(きそ)するぞ』
389鷹彦(たかひこ)起訴(きそ)するとは、390奇想(きそう)天外(てんぐわい)だ、391天涯万里(てんがいばんり)(あめ)がフル野ケ原(のがはら)392どうで(ろく)(こと)はないからマアマア(たのし)んで、393ゆつくりと()()()いで旅行(りよかう)するのだなア』
394 (この)(とき)何処(いづく)ともなく、395化物(ばけもの)(こゑ)にて、
396(かみ)(おもて)(あら)はれて
397(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
398化物(ばけもの)此処(ここ)(あら)はれて
399(うそ)(くそ)とを立別(たてわ)ける
400(うそ)(かた)めた岩公(いはこう)
401(いは)より(かた)頑固者(ぐわんこもの)
402荒肝(あらぎも)()られて(こし)()つて
403(ほね)一々(いちいち)(きざ)まれた
404(やう)(くる)しい(おも)ひして
405(なみだ)をソツと押隠(おしかく)
406泰平楽(たいへいらく)()らず(ぐち)
407(この)行先(ゆくさき)荒屋(あばらや)
408(また)もや(おれ)待受(まちう)けて
409どつと(あぶら)(しぼ)つてやろか
410アハヽヽヽ、オホヽヽヽ、イヒヽヽヽ』
411岩彦(いはひこ)『エヽ、412五月蝿(うるさ)い、413(また)しても(また)しても。414(しか)今度(こんど)笑方(わらひかた)正式(せいしき)だ、415最前(さいぜん)(やう)な、416キューキューキューと()かしよると気持(きもち)(わる)い……オイ(ばけ)チヤン、417(わら)ふなら、418(いま)流儀(りうぎ)だよ』
419 (ふたた)中空(ちうくう)より、420化物(ばけもの)(こゑ)
421(いは)(まつ)さへ()えるぢやないか、422()つて()はれぬ(こと)はない。423アハヽヽヽ、424ウフヽヽヽ、425マハヽヽヽ、426イヒヽヽヽ』
427鷹彦(たかひこ)『オイ岩公(いはこう)428(よろこ)べ、429あの笑声(わらひごゑ)(なん)(おも)ふ、430アーウマイ、431アウマイと(わら)つただらう、432巧妙(うま)いこと()かしよるナア』
433岩彦(いはひこ)『アーア、434ウン……ウン、435マーマ、436イーイ、437イーワイ』
438大正一一・三・一七 旧二・一九 松村真澄録)
   
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