霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第五章 不審(ふしん)使神(ししん)〔一〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻 篇:第3篇 ロツキー山 よみ(新仮名遣い):ろっきーざん
章:第5章 不審の使神 よみ(新仮名遣い):ふしんのししん 通し章番号:105
口述日:1921(大正10)年11月14日(旧10月15日) 口述場所: 筆録者:栗原七蔵 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
ロッキー山は八王神・貴治彦のもと、八頭神・靖国別、靖国姫のもとに治まっていた。
ある夜、靖国姫の居間に地の高天原の密使と称し小島彦と名乗る神がやってきた。そして、地の高天原では悪神によって天使長・大八洲彦命が昇天し、国直姫命が窮地に陥った、と報告を伝えた。
貴治彦、靖国別はこの密使をいぶかったが、たちまち城下に十曜の神旗を押し立てた軍勢が到着すると、密使が城内にやってきて、国直姫命が地の高天原を追われて、ロッキー山に落ち延びてきた、と伝えた。
貴治彦、靖国別はこの様を見て、ただちに国直姫命一行をロッキー山に迎えた。この国直姫命は貴治彦と靖国別に命じ、地の高天原の惨状を視察するように、といって使いに出してしまった。
しかし一方で、貴治彦は竜宮城に先に密かに使いを出して、事の真相を確かめさせていた。
実際には地の高天原は平穏無事に治まっており、大八洲彦命は貴治彦の使いからこのことを聞いて大いに驚いた。そして言霊別命をロッキー山に使わした。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-03-07 19:25:02 OBC :rm0305
愛善世界社版:29頁 八幡書店版:第1輯 270頁 修補版: 校定版:31頁 普及版:12頁 初版: ページ備考:
001 ロツキー(ざん)紺色(こんいろ)(たま)を、002荘厳(さうごん)なる神殿(しんでん)建立(こんりふ)して鎮祭(ちんさい)され、003貴治彦(たかはるひこ)八王神(やつわうじん)となり、004靖国別(やすくにわけ)八頭神(やつがしらがみ)となり、005律法(りつぱう)遵守(じゆんしゆ)して、006きはめて平穏(へいおん)神事(しんじ)007神政(しんせい)(おこな)はれけり。
008 ある(とき)009靖国姫(やすくにひめ)居間(ゐま)()を、010ひそかに(たた)(もの)あり。011靖国姫(やすくにひめ)侍女(じぢよ)とともに(とびら)(ひら)き、
012『かかる深夜(しんや)()(たた)くは何者(なにもの)ぞ』
013()ひただせば、014(こゑ)(おう)じて、
015(わたくし)()高天原(たかあまはら)なる国直姫(くになほひめの)(みこと)密使(みつし)にして、016小島彦(をじまひこ)(まを)(もの)なり』
017附言(ふげん)018小島彦(をじまひこ)(しよう)するは(じつ)偽名(ぎめい)にて、019常世彦(とこよひこ)間者(かんじや)020玉醜別(たましこわけ)といふ曲者(くせもの)なりける)
021 靖国姫(やすくにひめ)小島彦(をじまひこ)一面識(いちめんしき)もなければその真偽(しんぎ)()らず、022国直姫(くになほひめの)(みこと)急使(きふし)()きて(おほ)いに(おどろ)き、
023『かかる夜陰(やいん)にひそかに(きた)りたまふは、024()高天原(たかあまはら)何事(なにごと)急変(きふへん)おこりしならむ。025まづわが居間(ゐま)に』
026小島彦(をじまひこ)引入(ひきい)れ、027その用務(ようむ)をあわただしく(いき)をはづませ()ひかくれば、028小島彦(をじまひこ)(こゑ)(ひく)ふし四辺(あたり)()(くば)り、029かつ(おそ)れながら、
030隣神(りんしん)(とほ)ざけたまへ』
031仔細(しさい)ありげなり。
032 靖国姫(やすくにひめ)はその(げん)のごとく隣神(りんしん)(とほ)ざけ、033小島彦(をじまひこ)としづかに対座(たいざ)したり。034小島彦(をじまひこ)(こゑ)(ひく)ふしていふ、
035()高天原(たかあまはら)には大変事(たいへんじ)出来(しゆつたい)し、036天使長(てんしちやう)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)は、037八王(やつわう)大神(だいじん)部下(ぶか)(かみ)悪辣(あくらつ)なる計略(けいりやく)におちいり、038つひに上天(しようてん)せり。039その()天使(てんし)善後策(ぜんごさく)につき協議中(けふぎちう)にして、040一歩(いつぽ)外出(ぐわいしゆつ)することを()ず。041(うへ)(した)への大騒(おほさわ)ぎなれば、042(われ)をして天使(てんし)代理(だいり)として(つか)はしたまふ。043ゆゑに()(げん)国直姫(くになほひめの)(みこと)神言(しんげん)にして、044天使(てんし)(げん)同様(どうやう)なり。045(いち)()(はや)靖国別(やすくにわけ)貴下(きか)より伝言(でんごん)せられたし』
046顔色(がんしよく)(へん)じていひければ、047靖国姫(やすくにひめ)はそのまま使者(ししや)をわが居間(ゐま)()たせおき、048靖国別(やすくにわけ)寝殿(しんでん)にいたり、049密使(みつし)次第(しだい)逐一(ちくいち)進言(しんげん)したりけり。050靖国別(やすくにわけ)(おほ)いに(おどろ)きしばらく双手(もろて)()ンで思案(しあん)(てい)なりし。051たちまち()()つて、052貴治彦(たかはるひこ)御殿(ごでん)参向(さんかう)し、053密使(みつし)次第(しだい)逐一(ちくいち)奏上(そうじやう)したりける。
054 貴治彦(たかはるひこ)はこれを()きて(おほ)いに(いぶ)かり、
055国直姫(くになほひめの)(みこと)密使(みつし)ならば、056第一着(だいいちちやく)()れに(つた)へらるべきはずなり。057しかるに如何(いか)なる変事(へんじ)ありとて()れを()しおき、058しかも女性(ぢよせい)居間(ゐま)をたたき、059かかる一大事(いちだいじ)報告(はうこく)すべき理由(りいう)なし。060(おも)ふに反逆(はんぎやく)(くはだ)つる(もの)奸手段(かんしゆだん)なるべし。061(なんぢ)らはすみやかに、062その密使(みつし)()(まへ)にともなひ(きた)れ。063(われ)(かれ)()実否(じつぴ)調査(てうさ)せむ』
064言葉(ことば)(のこ)して殿中(でんちう)(すす)()りける。
065 靖国別(やすくにわけ)(めい)(ほう)じ、066小島彦(をじまひこ)(とも)なひひそかに殿中(でんちう)伺候(しこう)し、067貴治彦(たかはるひこ)にむかつて(えつ)()ひしに、068(みこと)小島彦(をじまひこ)にむかつて密使(みつし)次第(しだい)詳細(しやうさい)訊問(じんもん)したりける。069小島彦(をじまひこ)低頭(ていとう)平身(へいしん)して言葉(ことば)たくみに、070前述(ぜんじゆつ)次第(しだい)奏上(そうじやう)し、071(いち)()もはやく貴治彦(たかはるひこ)()高天原(たかあまはら)へのぼられることを懇請(こんせい)し、072かついふ。
073(いたづら)躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)して(とき)(うつ)さば一層(いつそう)大事変(だいじへん)惹起(じやくき)し、074つひには国直姫(くになほひめの)(みこと)()身辺(しんぺん)(あやふ)からむ。075大神(おほかみ)一大事(いちだいじ)076(はや)くこの()()つて、077(われ)らとともに()高天原(たかあまはら)参向(さんかう)されたし』
078進言(しんげん)せる。
079 (をり)からたちまち城下(じやうか)におこる(とき)(こゑ)080(みこと)(いそ)勾欄(こうらん)にのぼり山下(さんか)はるかに見渡(みわた)せば、081夜陰(やいん)のため(たし)かにそれと判別(はんべつ)はつかざれども、082()ちならぶ無数(むすう)高張(たかはり)は、083十曜(とえう)神紋(しんもん)(しる)されありき。084ただごとならじと(もと)()にかへり、085靖国別(やすくにわけ)何事(なにごと)耳語(じご)したまひける。086矢叫(やさけ)びの(こゑ)087(とき)(こゑ)088次第(しだい)(ちか)づききたる。089そのとき()高天原(たかあまはら)従神司(じゆうしん)豊彦(とよひこ)(じつ)常世姫(とこよひめ)間者(かんじや))は軽装(けいさう)のまま(はし)りきたり階下(かいか)平伏(へいふく)し、
090(おそ)れながら八王(やつわう)(かみ)注進(ちうしん)(たてまつ)る。091()高天原(たかあまはら)はほとんど破壊(はくわい)運命(うんめい)逢着(ほうちやく)し、092国治立(くにはるたちの)(みこと)行衛(ゆくへ)不明(ふめい)となり、093大混乱(だいこんらん)状態(じやうたい)におちいり、094収拾(しうしふ)すべからざる惨状(さんじやう)なり。095国直姫(くになほひめの)(みこと)従者(じゆうしや)をしたがへ小島彦(をじまひこ)(あと)()ひ、096ただ(いま)出御(しゆつぎよ)(あひ)なりたり。097相当(さうたう)(れい)をつくして諸神司(しよしん)をして城門(じやうもん)奉迎(ほうげい)せしめたまへ』
098とあはただしく奏上(そうじやう)したるにぞ、099(みこと)寝耳(ねみみ)(みづ)注進(ちうしん)にしばし茫然(ばうぜん)としてゐたりしが、100ただちに靖国別(やすくにわけ)(めい)じて城内(じやうない)諸神司(しよしん)非常(ひじやう)召集(せうしふ)(めい)じ、101国直姫(くになほひめの)(みこと)城門(じやうもん)(むか)へたてまつるの準備(じゆんび)着手(ちやくしゆ)されたりける。
102 (みこと)命令(めいれい)一下(いつか)とともに、103諸神司(しよしん)各自(かくじ)礼装(れいさう)をととのへ、104城門(じやうもん)奉迎(ほうげい)したり。
105 ここに国直姫(くになほひめの)(みこと)諸神(しよしん)とともに悠然(いうぜん)として()りきたり、106慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)()べ、107()高天原(たかあまはら)惨状(さんじやう)物語(ものがた)られける。108ここに国直姫(くになほひめの)(みこと)命令(めいれい)(ほう)じて貴治彦(たかはるひこ)109靖国別(やすくにわけ)少数(せうすう)神軍(しんぐん)をひきゐ、110()高天原(たかあまはら)応援(おうゑん)のため参向(さんかう)することに(けつ)したり。
111 あまたの諸神(しよしん)将卒(しやうそつ)靖国姫(やすくにひめ)守護(しゆご)し、112ロツキー(ざん)城中(じやうちう)にとどまり、113しばらく形勢(けいせい)観望(くわんばう)することとはなりける。
114 これよりさきに貴治彦(たかはるひこ)は、115国彦(くにひこ)をひそかに()高天原(たかあまはら)につかはし、116実否(じつぴ)(ただ)さしめ、117かつ小島彦(をじまひこ)密使(みつし)真偽(しんぎ)調査(てうさ)せしめゐたりしなり。
118 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)国彦(くにひこ)(げん)()いておほいに(おどろ)き、
119()高天原(たかあまはら)はかくのごとく平穏(へいおん)無事(ぶじ)なるに、120かかる密使(みつし)をだすべき理由(りいう)なし。121(さつ)するところ邪神(じやしん)奸策(かんさく)ならむ。122このままに()ておかば、123ロツキー(ざん)は、124いかなる運命(うんめい)逢着(ほうちやく)するや(はか)りがたし』
125と、126言霊別(ことたまわけの)(みこと)に、127国彦(くにひこ)()へ、128あまたの従神(じゆうしん)とともに、129ロツキー(ざん)(いそ)出発(しゆつぱつ)せしめられたるぞ(かし)こけれ。
130大正一〇・一一・一四 旧一〇・一五 栗原七蔵録)
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