霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四四章 可賀(かか)天下(てんか)〔一四四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻 篇:第11篇 新規蒔直し よみ(新仮名遣い):しんきまきなおし
章:第44章 可賀天下 よみ(新仮名遣い):かかてんか 通し章番号:144
口述日:1921(大正10)年12月08日(旧11月10日) 口述場所: 筆録者:栗原七蔵 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国祖は地の高天原の役職について、天上より高照姫命を降して宰相とし、天使長とした。また真澄姫、言霊姫、竜世姫らを天使と定めた。
この新体制により、八王たちは八王大神の支配を離れて高照姫命に帰順したため、一時は世界は前にもまして平和に治まることとなった。加えて、竜宮城の三重の金殿から顕国の御玉の霊光が発揮して邪神を照らし、地の高天原と竜宮城に神威をますます加えた。
顕国の御玉の霊威は、万寿山に退去した四神の祈念の力によるものであった。しかし高照姫命以下地の高天原・竜宮城の神々は、須佐之男大神のご守護の賜物であることを悟らず、慢心したために、徐々に世界には不平不満の声が満ちてくるようになった。
ここにいたって八王大神は、大国彦とはかって各地の八王・八頭に邪霊を憑依させ、再び聖地に反逆させることに成功した。八王大神らが再度聖地に攻め寄せると、高照姫命らは軍事力でこれに対抗し、国祖の戒めを無視して戦いを続けたために、聖地は戦乱によって悲惨を極めた。
激しい戦いの末、神器の威力もあって地の高天原軍が勝利するが、東北から強風が突如として吹き起こり、聖地聖城を倒壊させ、甚大な被害が生じた。また洪水が氾濫して竜宮城は水没するほどになってしまった。
神々は国祖の神勅をないがしろにした報いであろうと謝罪の天津祝詞を必死で称えたが、天変地異は一向に収まる気配がなかった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0344
愛善世界社版:257頁 八幡書店版:第1輯 351頁 修補版: 校定版:261頁 普及版:116頁 初版: ページ備考:
001 大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)以下(いか)天使(てんし)聖地(せいち)退去(たいきよ)ののちは、002国治立(くにはるたちの)(みこと)奏請(そうせい)により、003天上(てんじやう)より高照姫(たかてるひめの)(みこと)(くだ)したまひて、004これを()高天原(たかあまはら)宰相神(さいしやうがみ)(にん)じ、005天使長(てんしちやう)聖職(せいしよく)()かしめ、006真澄姫(ますみひめ)007言霊姫(ことたまひめ)008竜世姫(たつよひめ)をして天使(てんし)聖職(せいしよく)につかしめたまひぬ。009ここに女神司(によしん)四柱(よはしら)(あひ)(なら)びて神務(しんむ)神政(しんせい)奉仕(ほうし)することとなり、010神々(かみがみ)心気(しんき)(あらた)にすることを()たりけり。
011 (いつ)たん常世彦(とこよひこ)威力(ゐりよく)(あつ)せられ、012八王(やつわう)聯盟(れんめい)(くは)はりゐたる諸天使(しよてんし)は、013八頭神(やつがしらがみ)引連(ひきつ)八王(やつわう)大神(だいじん)(そむ)きてふたたび高照姫(たかてるひめの)(みこと)幕下(ばくか)となり、014前非(ぜんぴ)()い、015ここに目出度(めでた)帰順(きじゆん)することとなり、016聖地(せいち)神政(しんせい)はまつたく復活(ふくくわつ)することを()たりき。017天使長(てんしちやう)高照姫(たかてるひめの)(みこと)国治立(くにはるたちの)(みこと)神命(しんめい)(ほう)じ、018八王(やつわう)八頭(やつがしら)(ひき)ゐて、019天地(てんち)律法(りつぱう)をあまねく地上(ちじやう)世界(せかい)宣伝(せんでん)し、020(いち)()()(とり)もおとすばかりの大勢力(だいせいりよく)にして、021世界(せかい)各山(かくざん)各所(かくしよ)には天津(あまつ)祝詞(のりと)(こゑ)充満(じゆうまん)し、022神人(しんじん)動植物(どうしよくぶつ)はことごとくその()(やす)んじ、023(じつ)天下(てんか)泰平(たいへい)(をさ)まり、024邪神(じやしん)はおのおの(かげ)をひそめ国土(こくど)安穏(あんをん)にして、025天日(てんじつ)いよいよ()(かがや)き、026月光(げつくわう)()みわたり蒼空(さうくう)一点(いつてん)妖気(えうき)なく、027(じつ)完全(くわんぜん)無欠(むけつ)神世(しんせい)現出(げんしゆつ)せしめたれば、028世界(せかい)神人(しんじん)こぞつて可賀(かか)天下(てんか)賞揚(しやうやう)するの聖代(せいだい)とはなりける。
029 竜宮城(りゆうぐうじやう)(くも)をしのぎて聳立(しようりつ)せる、030三重(みへ)金殿(きんでん)より顕国(うつしくに)御玉(みたま)神霊(しんれい)発動(はつどう)して、031(うな)りを(はつ)し、032ときどき不可思議(ふかしぎ)なる光輝(くわうき)発射(はつしや)して邪悪神(じやあくしん)(おもて)()らしたまへば、033()高天原(たかあまはら)聖地(せいち)竜宮城(りゆうぐうじやう)聖城(せいじやう)も、034()ましに神威(しんゐ)霊徳(れいとく)くははり、035金色(こんじき)(からす)036銀色(ぎんしよく)神鳩(しんきう)嬉々(きき)として中空(ちうくう)()(あそ)び、037天男(てんなん)天女(てんによ)はつねに四辺(しへん)囲繞(ゐぜう)して太平(たいへい)音楽(おんがく)(そう)し、038五風(ごふう)十雨(じふう)(じゆん)をたがへず、039禾穀(くわこく)豊穣(ほうじやう)して神人(しんじん)その(げふ)(たの)しみ、040神界(しんかい)理想(りさう)黄金(わうごん)世界(せかい)現出(げんしゆつ)するにいたり、041遠近(をちこち)邪神(じやしん)静謐(せいひつ)帰順(きじゆん)をよそほひ、042野心(やしん)(ふか)(つつ)みて現実(げんじつ)(てき)暴動(ばうどう)(つつし)み、043天下(てんか)一点(いつてん)妖雲(えううん)()ざる瑞祥(ずゐしやう)()とはなりにける。044これは万寿山(まんじゆざん)退去(たいきよ)されし(ぜん)天使長(てんしちやう)以下(いか)日夜(にちや)専念(せんねん)(てき)祈念(きねん)(ちから)によりて、045その精霊体(せいれいたい)活動(くわつどう)をおこし、046聖地(せいち)聖域(せいゐき)霊徳(れいとく)発輝(はつき)したまひしが(ゆゑ)なり。047されど天使長(てんしちやう)高照姫(たかてるひめの)(みこと)以下(いか)三天使(さんてんし)をはじめ神将(しんしやう)神卒(しんそつ)にいたるまで、048須佐之男(すさのをの)大神(おほかみ)昼夜(ちうや)()守護(しゆご)(たまもの)たることを(すこ)しも(さと)らず、049天運(てんうん)循環(じゆんかん)と、050新天使(しんてんし)以下(いか)神務(しんむ)神政(しんせい)完全(くわんぜん)無欠(むけつ)にして、051天地(てんち)神明(しんめい)神慮(しんりよ)にかなひ(まつ)れる結果(けつくわ)ならむと、052(こころ)おごりて、053顕国(うつしくに)御玉(みたま)守護(しゆご)と、054大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)以下(いか)専心(せんしん)祈念(きねん)(たまもの)たることを忘却(ばうきやく)し、055つひには女神司(によしん)のあさはかにも驕慢心(けうまんしん)増長(ぞうちよう)し、056その結果(けつくわ)天地(てんち)律法(りつぱう)まで軽視(けいし)するにいたり、057神徳(しんとく)日々(ひび)(おとろ)各所(かくしよ)不平(ふへい)不満(ふまん)(こゑ)おこり、058漸次(ぜんじ)()()(つき)(かさ)ぬるとともに、059可賀(かか)天下(てんか)神政(しんせい)(のろ)神々(かみがみ)勃発(ぼつぱつ)するの形勢(けいせい)馴致(じゆんち)したりける。
060 ここに一旦(いつたん)(ほこ)をおさめ帰順(きじゆん)をよそほひゐたる八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこ)は、061常世姫(とこよひめ)再挙(さいきよ)をくはだて、062大国彦(おほくにひこ)(はか)り、063世界(せかい)各所(かくしよ)八王(やつわう)八頭(やつがしら)に、064八頭(やつがしら)八尾(やつを)大蛇(をろち)霊魂(みたま)憑依(ひようい)せしめ、065その女神司(によしん)には金毛(きんまう)九尾(きうび)悪狐(あくこ)(れい)憑依(ひようい)せしめ、066部下(ぶか)神司(かみがみ)には六面(ろくめん)八臂(はつぴ)邪鬼(じやき)眷属(けんぞく)憑依(ひようい)せしめて、067(にはか)反逆心(はんぎやくしん)(はつ)せしめたり。068世界(せかい)神人(かみがみ)はまたもや(いち)()()つて、069()高天原(たかあまはら)神政(しんせい)反抗(はんかう)(てき)態度(たいど)をあらはし、070あまたの神人(かみがみ)魔軍(まぐん)(へん)じて、071八王(やつわう)大神(だいじん)指揮(しき)のもとに、072まづ諸山(しよざん)神軍(しんぐん)(くだ)し、073(かち)(じやう)じて聖地(せいち)にむかひ、074(あま)磐船(いはふね)数百千(すうひやくせん)とも(かぎ)りなく建造(けんざう)して天空(てんくう)(かけ)り、075(むれ)をなして()めよせ(きた)りぬ。076天使長(てんしちやう)高照姫(たかてるひめの)(みこと)周章(しうしやう)狼狽(らうばい)結果(けつくわ)077神勅(しんちよく)()ふのいとまなく、078ただちに数百隻(すうひやくせき)(あま)鳥船(とりふね)(つく)り、079橄欖山(かんらんざん)より(てき)にむかつて攻入(せめい)り、080蒼空(さうくう)(たか)一大(いちだい)激戦(げきせん)開始(かいし)し、081一勝(いつしよう)一敗(いつぱい)たがひに雌雄(しゆう)(あらそ)ひ、082ふたたび聖地(せいち)紛乱(ふんらん)(ちまた)(くわ)()りにける。083空中(くうちゆう)(たたか)ひは()()につぎほとンど(いち)(ねん)有余(いうよ)(つひ)やしたり。084国祖(こくそ)国治立(くにはるたちの)(みこと)はまたもや神勅(しんちよく)(くだ)し、
085天地(てんち)律法(りつぱう)遵奉(じゆんぽう)(けつ)して暴力(ばうりよく)をもつて(たたか)ふべからず。086大慈(だいじ)大悲(だいひ)親心(おやごころ)をもつて(てき)言向和(ことむけや)はせ、087善一(ぜんひと)つの大道(だいだう)(をし)(みちび)くべし』
088厳命(げんめい)されたれども、089高照姫(たかてるひめの)(みこと)090真澄姫(ますみひめ)091言霊姫(ことたまひめ)092竜世姫(たつよひめ)は、
093今日(こんにち)場合(ばあひ)かかる緩漫(くわんまん)なる方法(はうはふ)をもつて(てき)改心(かいしん)せしめむとするは、094(じつ)無謀(むぼう)迂遠(うゑん)(さく)にして到底(たうてい)寸効(すんかう)なかるべし。095いたづらに宋襄(そうじやう)(じん)(ほどこ)しかへつて(てき)(じやう)ぜられ、096噬臍(ぜいせい)(くい)後日(ごじつ)にのこさむよりは、097強暴(きやうぼう)にたいするに強暴(きやうぼう)をもつてし、098(われ)らの実力(じつりよく)(しめ)して(てき)全滅(ぜんめつ)せしめ、099後難(こうなん)()つに()かず。100いかに国祖(こくそ)神命(しんめい)なればとて、101危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)102実力(じつりよく)なき天地(てんち)律法(りつぱう)をふりかざして、103なんの(かう)をか()さむや。104神勅(しんちよく)は、105われらは(つと)めて遵奉(じゆんぽう)せざるべからずといへども、106それは(とき)位置(ゐち)とに(くわん)して(おこな)ふべきものなり。107急場(きふば)(よう)()つべきものにあらず』
108四柱(よはしら)天使(てんし)はきはめて強硬(きやうかう)なる態度(たいど)()し、109神勅(しんちよく)(はな)(さき)にてあしらひゐたりけり。
110 (とき)しも(てき)はますます(すす)ンで聖地(せいち)上空(じやうくう)雲霞(うんか)のごとく()びきたり、111(てん)三柱宮(みはしらのみや)(うへ)火弾(くわだん)無数(むすう)()げつけたれば、112たちまち黒煙(こくえん)濛々(もうもう)として()ちのぼり、113さしも荘厳(さうごん)(きは)めたるエルサレムの大神殿(だいしんでん)もたちまち烏有(ういう)()したり。114(とき)しも火焔(くわえん)(なか)より巨大(きよだい)なる神将(しんしやう)あらはれ、115味方(みかた)鳥船(とりふね)にうち()(てき)神将(しんしやう)醜原別(しこはらわけ)にむかつて衝突(しようとつ)(こころ)みたりければ、116醜原別(しこはらわけ)はもろくも()(おと)され、117火焔(くわえん)(なか)につつまれ苦悶(くもん)結果(けつくわ)つひに焼死(せうし)したりける。118味方(みかた)神将(しんしやう)神卒(しんそつ)()()ちてよろこび、119快哉(くわいさい)(さけ)びしが、120その(こゑ)天地(てんち)(ゆる)ぐばかりなり。121言霊姫(ことたまひめ)(また)もや破軍(はぐん)(つるぎ)抜放(ぬきはな)ち、122(てき)魔軍(まぐん)にむかつて前後(ぜんご)左右(さいう)空中(くうちゆう)()がけて()()りしにぞ、123宝剣(ほうけん)威徳(ゐとく)ただちに(あら)はれたまひて、124(てき)将卒(しやうそつ)(あめ)のごとく地上(ちじやう)落下(らくか)し、125あるひは火焔(くわえん)(なか)墜落(つゐらく)して黒焦(くろこげ)となり滅亡(めつぼう)したり。126敵軍(てきぐん)将卒(しやうそつ)不意(ふい)()たれて一敗(いつぱい)()にまみれ、127(いのち)からがら西天(せいてん)をかすめて(とほ)姿(すがた)(ぼつ)しける。128東北(とうほく)強風(きやうふう)突如(とつじよ)として()きおこり聖地(せいち)聖城(せいじやう)倒潰(たうくわい)し、129動植物(どうしよくぶつ)被害(ひがい)()もあてられぬ悲惨(ひさん)なる光景(くわうけい)となりければ、130真澄姫(ますみひめ)131竜世姫(たつよひめ)はおほいに(おどろ)き、
132(わらは)神勅(しんちよく)違反(ゐはん)行動(かうどう)()りたるを大神(おほかみ)赫怒(かくど)したまひて、133かくのごとく災害(さいがい)頻発(ひんぱつ)するならむ』
134と、135天地(てんち)拝跪(はいき)して謝罪(しやざい)天津(あまつ)祝詞(のりと)一生(いつしやう)懸命(けんめい)奏上(そうじやう)したれども、136東北(とうほく)(かぜ)はますます強烈(きやうれつ)となり、137洪水(こうずゐ)氾濫(はんらん)してつひには竜宮城(りゆうぐうじやう)水中(すゐちゆう)(ぼつ)せむとするに(いた)れり。138聖地(せいち)聖城(せいじやう)神将(しんしやう)神卒(しんそつ)は、139(いま)さらのごとく一斉(いつせい)天地(てんち)拝跪(はいき)して救助(きうじよ)(いの)神言(かみごと)奏上(そうじやう)したれども、140天地(てんち)(いか)りは容易(ようい)()けず、141祝詞(のりと)奏上(そうじやう)すればするほど風勢(ふうせい)刻々(こくこく)猛烈(まうれつ)()をくはへ、142(あめ)はいよいよ(しげ)()りきたり、143雷鳴(らいめい)天柱(てんちゆう)くじけ、144地維(ちゐ)()くるかと(うたが)ふばかりの大音響(だいおんきやう)すさまじく(とどろ)きわたり、145電光(でんくわう)ひらめきわたりて()(ひら)くあたはず、146神人(かみがみ)らの面色(めんしよく)土色(つちいろ)(へん)じ、147(いき)をこらして地上(ちじやう)平伏(へいふく)するのみなりける。
148大正一〇・一二・八 旧一一・一〇 栗原七蔵録)
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