第二七章 不意の昇天〔一二七〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
篇:第8篇 神界の変動
よみ(新仮名遣い):しんかいのへんどう
章:第27章 不意の昇天
よみ(新仮名遣い):ふいのしょうてん
通し章番号:127
口述日:1921(大正10)年11月28日(旧10月29日)
口述場所:
筆録者:桜井重雄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1922(大正11)年3月3日
概要:
舞台:
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備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :rm0327
愛善世界社版:161頁
八幡書店版:第1輯 318頁
修補版:
校定版:165頁
普及版:72頁
初版:
ページ備考:
001 天地の律法御制定とともに各山各地の守護神は、002いづれも更迭を命ぜられける。003その中に高白山や長高山のごとく以前のままに守護神としてとどまり、004神務を奉仕する神司もありける。005ただ重要なる地域にかぎり十二柱の八王神と八頭神らを配置したまへり。006ローマは神界経綸上もつとも大切なる地域なるより、007神界にてもことに有力なる神人をして守護せしめられたり。008ローマの都には白色の国魂を祭りこれを白玉の宮と名づけ、009また白波の宮とも称へけり。010元照別を八王神に任じ元照姫を妻として神務を輔佐し、011朝照彦は八頭神を命ぜられ朝照姫を妻として神政を補助せしめ、012水口別、013大依別を部将とし盛ンに経綸をおこなひ、014神徳隆々として旭日昇天の勢なりけり。
015 このとき山口別といふ者あり、016ローマを占領せむことを企てゐたり。017彼は鬼雲別、018蚊取別らの魔を奉じて羅馬城を顛覆しここに大根拠をかまへ、019漸次に進ンで竜宮城を奪取し、020つひに地の高天原をも占領せむと企て、021常世の国の八王大神なる常世彦を首領として、022あまたの邪神とともに四方八方より全力をつくしてローマに攻め寄せけり。023元照別は朝照彦とともに地の高天原に急使を馳せて、024救援軍を送られむことを請ひ来りぬ。
025 地の高天原においては国直姫命、026大八洲彦命、027真澄姫協議の結果、028大足彦に道貴彦を副へてローマの救援に向はしめられたり。029しかるにローマは地の高天原および万寿山と相並びて、030神界の経綸上、031その大半はここに根拠を据ゑざるべからざる要所なり。
032 大足彦は八王神元照別、033八頭神朝照彦ら、034各地に配置されたる十一柱の八王神をここに集め、035十二の八頭神に国魂の守護を一時委任することと定め、036十一の八王神はあまたの神将神卒を引つれローマにあつまり、037八王大神の魔軍にむかつて、038あるひは攻め或ひは防ぎ全力を傾注し、039一時は非常なる勢力にて、040さすがの八王大神の全力をつくしたる攻撃軍も敵しかね、041旗色俄にさびしくなりきたりて、042やや小康を得たるローマの聖都は、043八王神おのおの心をゆるめ、044難を避け安きに移らむとする萠しを馴致したりける。
045 ここに十二の八王神はたがひに嫉視反目して同志討ちをはじめたる。046この虚に乗じて常世彦の魔軍は、047醜女、048探女を深く城内に入らしめ、049内部より土崩瓦潰せしめむと全力を傾注したり。050八王神各自の嫉視反目はおひおひ激しく、051あたかも洪水の堤を崩すごとく、052さすがの大足彦、053道貴彦も、054これを鎮定するの手段尽きたりにける。
055 かくして八王神はローマに集まり、056争闘につぐに争闘をもつてし、057許多の年月を経過したり。058七王も八王も協心戮力もつて敵を亡ぼさむとしたる計画は、059かへつて失敗の大原因となり、060そのあひだに大国彦、061常世彦の両派の魔軍は、062八頭神を使嗾して八王神にたいし反旗を揚げしめ、063独立を計ることとなりぬ。064これぞ世界の国々の分立割拠する端緒となりける。
065 ローマ城は内部の暗闘と探女の陰密的活躍に加へて、066外部よりふたたび常世彦の部下の山口別らの総攻撃にあひ、067つひに支へがたき状態に陥りぬ。068大足彦は天の鳥船にのり夜陰に乗じてひそかに竜宮城へ帰還し、069ローマの窮状を逐一国直姫命に進言したり。070そのとき何処より出で来りけむ、071常世姫は大足彦の前にあらはれ、072ローマ守備の粗漏きはまれる施設を口をきはめて罵倒し、073かつ……速やかに大足彦を排除されたし……と国直姫命に進言したり。074国直姫命は何故かこの解決を与へず、075ただちに雲を起し天へ上りたまひける。
076 常世姫は時期到来とひそかに喜びつつ、077国直姫命の遺言なりと偽り、078魔我彦、079魔我姫をして神務と神政を行はしめ、080みづから国直姫命の地位に就かむと企てゐたりける。
081(大正一〇・一一・二八 旧一〇・二九 桜井重雄録)