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第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第3巻(寅の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 国魂の配置
01 神々の任命
〔101〕
02 八王神の守護
〔102〕
第2篇 新高山
03 渓間の悲劇
〔103〕
04 鶴の首
〔104〕
第3篇 ロツキー山
05 不審の使神
〔105〕
06 籠の鳥
〔106〕
07 諷詩の徳
〔107〕
08 従神司の殊勲
〔108〕
第4篇 鬼城山
09 弁者と弁者
〔109〕
10 無分別
〔110〕
11 裸体の道中
〔111〕
12 信仰の力
〔112〕
13 嫉妬の報
〔113〕
14 霊系の抜擢
〔114〕
第5篇 万寿山
15 神世の移写
〔115〕
16 玉ノ井の宮
〔116〕
17 岩窟の修業
〔117〕
18 神霊の遷座
〔118〕
第6篇 青雲山
19 楠の根元
〔119〕
20 晴天白日
〔120〕
21 狐の尻尾
〔121〕
22 神前の審判
〔122〕
第7篇 崑崙山
23 鶴の一声
〔123〕
24 蛸間山の黒雲
〔124〕
25 邪神の滅亡
〔125〕
26 大蛇の長橋
〔126〕
第8篇 神界の変動
27 不意の昇天
〔127〕
28 苦心惨憺
〔128〕
29 男波女波
〔129〕
30 抱擁帰一
〔130〕
31 竜神の瀑布
〔131〕
32 破軍の剣
〔132〕
第9篇 隠神の活動
33 巴形の斑紋
〔133〕
34 旭日昇天
〔134〕
35 宝の埋換
〔135〕
36 唖者の叫び
〔136〕
37 天女の舞曲
〔137〕
38 四十八滝
〔138〕
39 乗合舟
〔139〕
第10篇 神政の破壊
40 国の広宮
〔140〕
41 二神の帰城
〔141〕
42 常世会議
〔142〕
43 配所の月
〔143〕
第11篇 新規蒔直し
44 可賀天下
〔144〕
45 猿猴と渋柿
〔145〕
46 探湯の神事
〔146〕
47 夫婦の大道
〔147〕
48 常夜の闇
〔148〕
49 袖手傍観
〔149〕
第12篇 霊力体
50 安息日
〔150〕
岩井温泉紀行歌
余白歌
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第3巻
> 第7篇 崑崙山 > 第23章 鶴の一声
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(B)
(N)
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第二三章
鶴
(
つる
)
の
一声
(
ひとこゑ
)
〔一二三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
篇:
第7篇 崑崙山
よみ(新仮名遣い):
こんろんざん
章:
第23章 鶴の一声
よみ(新仮名遣い):
つるのひとこえ
通し章番号:
123
口述日:
1921(大正10)年11月20日(旧10月21日)
口述場所:
筆録者:
出口瑞月
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年3月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0323
愛善世界社版:
135頁
八幡書店版:
第1輯 309頁
修補版:
校定版:
139頁
普及版:
60頁
初版:
ページ備考:
001
崑崙山
(
こんろんざん
)
には
紅色
(
こうしよく
)
の
国魂
(
くにたま
)
を、
002
紅能宮
(
くれなゐのみや
)
を
造営
(
ざうえい
)
して
鄭重
(
ていちやう
)
に
鎮祭
(
ちんさい
)
され、
003
八王神
(
やつわうじん
)
には
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
を
任
(
にん
)
じ、
004
妻
(
つま
)
磐玉姫
(
いはたまひめ
)
は
神務
(
しんむ
)
を
輔佐
(
ほさ
)
し、
005
八頭神
(
やつがしらがみ
)
は
大島彦
(
おほしまひこ
)
が
任
(
にん
)
ぜられ、
006
大島姫
(
おほしまひめ
)
妻
(
つま
)
として
神政
(
しんせい
)
を
内助
(
ないじよ
)
し、
007
紅能宮
(
くれなゐのみや
)
の
司
(
つかさ
)
には
明世彦
(
はるよひこ
)
、
008
明世姫
(
はるよひめ
)
の
二神
(
にしん
)
奉仕
(
ほうし
)
し、
009
崑崙山
(
こんろんざん
)
一帯
(
いつたい
)
の
地方
(
ちはう
)
は、
010
きはめて
太平
(
たいへい
)
無事
(
ぶじ
)
に
治
(
をさ
)
まりゐたりける。
011
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
は
名利
(
めいり
)
に
薄
(
うす
)
く、
012
かつ
忠誠
(
ちゆうせい
)
無比
(
むひ
)
にして、
013
一切
(
いつさい
)
の
宝玉
(
ほうぎよく
)
、
014
珍品
(
ちんぴん
)
を
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に
献納
(
けんなふ
)
し、
015
自己
(
じこ
)
を
薄
(
うす
)
くし、
016
下
(
しも
)
を
憐
(
あはれ
)
み、
017
善政
(
ぜんせい
)
を
布
(
し
)
きたまひて、
018
四辺
(
しへん
)
よく
治
(
をさ
)
まり、
019
鼓腹
(
こふく
)
撃壌
(
げきじやう
)
して
神人
(
しんじん
)
その
業
(
げふ
)
を
楽
(
たのし
)
み、
020
小弥勒
(
せうみろく
)
の
神政
(
しんせい
)
は
樹立
(
じゆりつ
)
されたる
姿
(
すがた
)
なり。
021
ために
天上
(
てんじやう
)
の
日月
(
じつげつ
)
は
清
(
きよ
)
く
晴
(
は
)
れわたり、
022
蒼空
(
さうくう
)
一点
(
いつてん
)
の
妖気
(
えうき
)
をとどめず、
023
五風
(
ごふう
)
十雨
(
じふう
)
の
順序
(
じゆんじよ
)
ととのひ、
024
地
(
ち
)
には
蒼々
(
さうさう
)
として
樹草
(
じゆさう
)
繁茂
(
はんも
)
し、
025
五穀
(
ごこく
)
ゆたかに、
026
鳥
(
とり
)
啼
(
な
)
き
花
(
はな
)
笑
(
わら
)
ひ、
027
四季
(
しき
)
ともに
春陽
(
しゆんやう
)
の
気
(
き
)
充
(
み
)
ちて、
028
世界
(
せかい
)
第一
(
だいいち
)
の
楽土
(
らくど
)
と
羨望
(
せんばう
)
さるるにいたりける。
029
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
は、
030
『
天下
(
てんか
)
克
(
よ
)
く
治
(
をさ
)
まり、
031
神人
(
しんじん
)
みづから
田
(
た
)
を
耕
(
たがや
)
して
食
(
しよく
)
し、
032
井
(
ゐ
)
を
穿
(
うが
)
つて
飲
(
の
)
み、
033
室
(
しつ
)
に
憤怨
(
ふんえん
)
の
声
(
こゑ
)
なく、
034
神人
(
しんじん
)
和楽
(
わらく
)
の
色
(
いろ
)
あり。
035
かかる
瑞祥
(
ずゐしやう
)
の
世
(
よ
)
には、
036
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱう
)
も
徒
(
いたづら
)
に
空文
(
くうぶん
)
と
化
(
くわ
)
し、
037
八王神
(
やつわうじん
)
の
聖職
(
せいしよく
)
もまた
無用
(
むよう
)
の
長物
(
ちやうぶつ
)
たるに
似
(
に
)
たり。
038
日夜
(
にちや
)
無事
(
ぶじ
)
に
苦
(
くる
)
しみつつ
高位
(
かうゐ
)
にあるは、
039
天地
(
てんち
)
に
対
(
たい
)
し
何
(
な
)
ンとなく
心愧
(
こころはづ
)
かしさに
堪
(
た
)
へず。
040
すみやかに
八王神
(
やつわうじん
)
の
聖職
(
せいしよく
)
を
辞退
(
じたい
)
して
下
(
しも
)
に
降
(
くだ
)
り、
041
神人
(
しんじん
)
とともに
神業
(
しんげふ
)
を
楽
(
たのし
)
まむ』
042
と
決意
(
けつい
)
し、
043
ひそかに
八頭神
(
やつがしらがみ
)
大島彦
(
おほしまひこ
)
を
招
(
まね
)
き、
044
その
意
(
い
)
を
告
(
つ
)
げたまひける。
045
大島彦
(
おほしまひこ
)
はこの
言
(
げん
)
を
聞
(
き
)
きておほいに
驚
(
おどろ
)
き、
046
暫時
(
ざんじ
)
黙然
(
もくねん
)
として
何
(
なん
)
の
答弁
(
たふべん
)
もなく、
047
八王神
(
やつわうじん
)
の
顔
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めつつありしが、
048
たちまち
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
り
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
諫
(
いさ
)
めていふ。
049
『
崑崙山
(
こんろんざん
)
一帯
(
いつたい
)
の
今日
(
こんにち
)
の
至治
(
しち
)
太平
(
たいへい
)
なる
祥運
(
しやううん
)
は、
050
貴神司
(
きしん
)
の
神徳
(
しんとく
)
の
致
(
いた
)
すところにして、
051
我
(
われ
)
らをはじめ
下
(
しも
)
万神
(
ばんしん
)
万民
(
ばんみん
)
の
貴神司
(
きしん
)
を
慕
(
した
)
ひたてまつりて、
052
感謝
(
かんしや
)
措
(
お
)
く
能
(
あた
)
はざるところなり。
053
しかるに
貴神司
(
きしん
)
にして
聖位
(
せいゐ
)
を
捨
(
す
)
て、
054
野
(
や
)
に
下
(
くだ
)
らせたまへば、
055
いづれの
神司
(
しんし
)
か、
056
よくこの
国土
(
こくど
)
を
治
(
をさ
)
むべき。
057
上
(
かみ
)
を
敬
(
うやま
)
ひ
下
(
しも
)
を
愛撫
(
あいぶ
)
し、
058
もつて
社稷
(
しやしよく
)
を
安全
(
あんぜん
)
に
保
(
たも
)
つは
聖者
(
せいじや
)
の
天賦
(
てんぷ
)
的
(
てき
)
聖職
(
せいしよく
)
なり。
059
願
(
ねが
)
はくば
大慈
(
だいじ
)
大悲
(
だいひ
)
の
聖徳
(
せいとく
)
によりて、
060
なにとぞ
退位
(
たいゐ
)
の
儀
(
ぎ
)
は、
061
断念
(
だんねん
)
させたまへ』
062
と
声涙
(
せいるい
)
交々
(
こもごも
)
下
(
くだ
)
つて、
063
諫言
(
かんげん
)
よく
努
(
つと
)
めけるに、
064
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
は
答
(
こた
)
へて、
065
『
我
(
われ
)
は
八王神
(
やつわうじん
)
として、
066
高天原
(
たかあまはら
)
の
大神
(
おほかみ
)
より
重職
(
ぢうしよく
)
を
忝
(
かたじけ
)
なうし、
067
何
(
なん
)
の
功労
(
こうらう
)
もつくさず、
068
日夜
(
にちや
)
神恩
(
しんおん
)
の
深
(
ふか
)
きを
思
(
おも
)
ふごとに、
069
慙愧
(
ざんき
)
の
念
(
ねん
)
胸
(
むね
)
に
迫
(
せま
)
りて
苦
(
くる
)
しく、
070
一日
(
いちじつ
)
として
心
(
こころ
)
を
安
(
やす
)
んずることあたはず。
071
下
(
しも
)
神人
(
しんじん
)
は
日夜
(
にちや
)
営々
(
えいえい
)
兀々
(
こつこつ
)
として
神業
(
しんげふ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
し、
072
汗油
(
あせあぶら
)
をしぼりて
勤勉
(
きんべん
)
神業
(
しんげふ
)
を
励
(
はげ
)
むなる
世
(
よ
)
に、
073
吾
(
われ
)
はいたづらに
雲
(
くも
)
深
(
ふか
)
く
殿中
(
でんちう
)
にありて
安逸
(
あんいつ
)
の
生
(
せい
)
を
送
(
おく
)
り、
074
何
(
なん
)
の
活動
(
くわつどう
)
をもなさず、
075
曠職
(
くわうしよく
)
いたづらに
光陰
(
くわういん
)
を
消
(
せう
)
するは、
076
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
対
(
たい
)
したてまつり
恐懼
(
きやうく
)
にたへず。
077
今日
(
こんにち
)
の
至治
(
しぢ
)
泰平
(
たいへい
)
は、
078
要
(
えう
)
するに
貴下
(
きか
)
らが
誠実
(
せいじつ
)
と
苦心
(
くしん
)
の
賜
(
たまもの
)
なり。
079
すみやかに
吾
(
われ
)
の
思望
(
しばう
)
を
許
(
ゆる
)
し、
080
貴下
(
きか
)
は
直
(
ただ
)
ちに
八王神
(
やつわうじん
)
の
位
(
くらゐ
)
に
昇
(
のぼ
)
りて
神務
(
しんむ
)
を
主管
(
しゆくわん
)
されたし。
081
吾
(
われ
)
はこれより
夫妻
(
ふさい
)
ともに
山野
(
さんや
)
に
隠
(
かく
)
れ、
082
修験者
(
しうげんじや
)
となりて
神明
(
しんめい
)
に
祈
(
いの
)
り、
083
神政
(
しんせい
)
の
万歳
(
ばんざい
)
を
守
(
まも
)
らむ。
084
男子
(
だんし
)
たるもの
一度
(
いちど
)
決心
(
けつしん
)
したるうへは、
085
いかなる
諫言
(
かんげん
)
も
拒止
(
きよし
)
も
耳
(
みみ
)
にはいり
難
(
がた
)
し』
086
と
決心
(
けつしん
)
の
色
(
いろ
)
面
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれ
容易
(
ようい
)
に
動
(
うご
)
かすべからず。
087
大島彦
(
おほしまひこ
)
も、
088
平素
(
へいそ
)
寡欲
(
くわよく
)
にして
恬淡
(
てんたん
)
水
(
みづ
)
のごとき
八王神
(
やつわうじん
)
なれば、
089
如何
(
いかん
)
ともするに
由
(
よし
)
なく、
090
ただ
黙然
(
もくねん
)
として
深
(
ふか
)
き
憂
(
うれひ
)
に
沈
(
しづ
)
みゐたりしが、
091
ヤヽありて
大島彦
(
おほしまひこ
)
は
口
(
くち
)
をひらき、
092
『
貴神司
(
きしん
)
の
潔白
(
けつぱく
)
なる
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
は、
093
神人
(
しんじん
)
ともに
常
(
つね
)
に
歎賞
(
たんしやう
)
おかざるところ、
094
今更
(
いまさら
)
いかに
諫
(
いさ
)
めたてまつるとも、
095
初志
(
しよし
)
を
翻
(
ひるがへ
)
させ
給
(
たま
)
ふことなからむ。
096
されど
貴神司
(
きしん
)
の
身魂
(
みたま
)
は
貴神司
(
きしん
)
の
単独
(
たんどく
)
に
処置
(
しよち
)
さるべき
軽々
(
かるがる
)
しきものに
非
(
あら
)
ず、
097
遠
(
とほ
)
き
神世
(
かみよ
)
の
因縁
(
いんねん
)
によりて
上下
(
じやうげ
)
の
名分
(
めいぶん
)
定
(
さだ
)
まり、
098
天地
(
てんち
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
優渥
(
いうあく
)
なる
御
(
ご
)
委任
(
ゐにん
)
に
出
(
い
)
づるものなれば、
099
吾
(
われ
)
らはこれより
直
(
ただ
)
ちに
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に
参上
(
まゐあ
)
がり
神示
(
しんじ
)
を
蒙
(
かうむ
)
りしうへ、
100
その
結果
(
けつくわ
)
を
詳
(
くは
)
しく
奏上
(
そうじやう
)
せむ。
101
何
(
なに
)
はともあれ、
102
それまでは
何事
(
なにごと
)
も
吾
(
われ
)
らに
一任
(
いちにん
)
あらむことを』
103
と
力
(
ちから
)
をこめて
歎願
(
たんぐわん
)
したりしに、
104
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
は、
105
『
貴下
(
きか
)
の
言
(
げん
)
道理
(
だうり
)
にかなへり、
106
万事
(
ばんじ
)
は
一任
(
いちにん
)
すべし。
107
よきやうに
計
(
はか
)
らひくれよ』
108
と
言
(
げん
)
を
残
(
のこ
)
して
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
姿
(
すがた
)
をかくしたまひける。
109
大島彦
(
おほしまひこ
)
はただちに
天
(
あま
)
の
磐船
(
いはふね
)
に
乗
(
の
)
り、
110
従者
(
じゆうしや
)
をともなひ
空中
(
くうちゆう
)
風
(
かぜ
)
をきつて
竜宮城
(
りゆうぐうじやう
)
に
到着
(
たうちやく
)
し、
111
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
に
謁
(
えつ
)
をこひ、
112
八王神
(
やつわうじん
)
の
退隠
(
たいいん
)
の
件
(
けん
)
につき、
113
裁断
(
さいだん
)
を
下
(
くだ
)
されむことを
奏請
(
そうせい
)
したりける。
114
ここに
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
は、
115
すぐさま
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
の
大宮
(
おほみや
)
にいたりて
国直姫
(
くになほひめの
)
命
(
みこと
)
に
拝謁
(
はいえつ
)
し、
116
前述
(
ぜんじゆつ
)
の
次第
(
しだい
)
を
逐一
(
ちくいち
)
奏上
(
そうじやう
)
し、
117
神勅
(
しんちよく
)
の
降下
(
かうか
)
を
願
(
ねが
)
ひしに、
118
国直姫
(
くになほひめの
)
命
(
みこと
)
は
衣服
(
いふく
)
を
更
(
あらた
)
め、
119
身体
(
しんたい
)
を
清
(
きよ
)
め、
120
大神殿
(
だいしんでん
)
に
進
(
すす
)
みいり、
121
恭
(
うやうや
)
しく
神勅
(
しんちよく
)
を
乞
(
こ
)
ひたまひ、
122
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
を
近
(
ちか
)
く
召
(
め
)
し、
123
容姿
(
ようし
)
をあらため
厳
(
おごそ
)
かに
神示
(
しんじ
)
のおもむきを
伝達
(
でんたつ
)
されたり。
124
その
神示
(
しんじ
)
の
大要
(
たいえう
)
は、
125
『
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
は
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
よりの
御魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
によりて、
126
崑崙山
(
こんろんざん
)
に
八王神
(
やつわうじん
)
の
聖職
(
せいしよく
)
を
拝
(
はい
)
するは
動
(
うご
)
かすべからざる
神界
(
しんかい
)
の
一定
(
いつてい
)
不変
(
ふへん
)
の
経綸
(
けいりん
)
なり。
127
君
(
きみ
)
は
万古
(
ばんこ
)
君
(
きみ
)
たるべく、
128
臣
(
しん
)
はまた
万古
(
まんご
)
末代
(
まつだい
)
臣
(
しん
)
たるべし。
129
王
(
わう
)
にして
臣
(
しん
)
となり、
130
あるひは
下賤
(
げせん
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
降
(
くだ
)
り、
131
臣
(
しん
)
にしてたちまち
王
(
わう
)
の
位
(
くらゐ
)
に
進
(
すす
)
むごときは、
132
天地
(
てんち
)
の
真理
(
しんり
)
に
違反
(
ゐはん
)
し、
133
かつ
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
を
無視
(
むし
)
するものなり。
134
神勅
(
しんちよく
)
一度
(
ひとたび
)
出
(
いで
)
てはふたたびこれを
更改
(
かうかい
)
すべからず。
135
神
(
かみ
)
の
一言
(
いちげん
)
は
日月
(
じつげつ
)
のごとく
明
(
あき
)
らかにして
一毫
(
いちがう
)
も
犯
(
をか
)
すべからず。
136
かつ
名位
(
めいゐ
)
は
神
(
かみ
)
の
賦与
(
ふよ
)
する
正欲
(
せいよく
)
にして、
137
長者
(
ちやうじや
)
たるものの
欠
(
か
)
くべからざる
栄誉
(
えいよ
)
なり。
138
磐玉彦
(
いはたまひこ
)
いかなればかかる
明瞭
(
めいれう
)
なる
問題
(
もんだい
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
して、
139
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
を
悩
(
なや
)
ませ
奉
(
たてまつ
)
るぞ。
140
たとへ
生
(
い
)
くるも
死
(
し
)
するもみな
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
のままなり。
141
一時
(
ひととき
)
も
早
(
はや
)
く
片時
(
かたとき
)
もすみやかに
神慮
(
しんりよ
)
を
反省
(
はんせい
)
し、
142
もつて
神勅
(
しんちよく
)
のまにまに
八王神
(
やつわうじん
)
の
聖職
(
せいしよく
)
を
奉仕
(
ほうし
)
し、
143
今後
(
こんご
)
ふたたびかかる
問題
(
もんだい
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
し
神慮
(
しんりよ
)
を
煩
(
わづら
)
はすこと
勿
(
なか
)
れ』
144
との
厳命
(
げんめい
)
なりける。
145
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
は
神示
(
しんじ
)
を
拝
(
はい
)
し、
146
恭
(
うやうや
)
しく
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べ、
147
大島彦
(
おほしまひこ
)
を
近
(
ちか
)
く
招
(
まね
)
きて、
148
神示
(
しんじ
)
を
詳細
(
しやうさい
)
に
諭達
(
ゆたつ
)
したまへり。
149
大島彦
(
おほしまひこ
)
はおほいに
歓
(
よろこ
)
び
急
(
いそ
)
ぎ
崑崙山
(
こんろんざん
)
に
飛還
(
ひくわん
)
し、
150
八王神
(
やつわうじん
)
に
一切
(
いつさい
)
の
神示
(
しんじ
)
を
恭
(
うやうや
)
しく
復命
(
ふくめい
)
奏上
(
そうじやう
)
したりけり。
151
素
(
もと
)
より
正義
(
せいぎ
)
純直
(
じゆんちよく
)
の
八王神
(
やつわうじん
)
は、
152
神勅
(
しんちよく
)
を
重
(
おも
)
ンじ
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
い、
153
ふたたび
元
(
もと
)
の
聖職
(
せいしよく
)
につき、
154
その
後
(
ご
)
数百
(
すうひやく
)
年
(
ねん
)
のあひだは、
155
実
(
じつ
)
に
至治
(
しぢ
)
至楽
(
しらく
)
、
156
泰平
(
たいへい
)
の
聖代
(
せいだい
)
は
継続
(
けいぞく
)
されたり。
157
神命
(
しんめい
)
の
犯
(
をか
)
すべからざるは、
158
これにても
窺
(
うかが
)
ひ
知
(
し
)
らるべし。
159
(
大正一〇・一一・二〇
旧一〇・二一
出口瑞月
録)
160
(第二一章~二三章 昭和一〇・一・一六 於亀の井旅館 王仁校正)
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