霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 ウラナイ(けう)〔五七五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第15巻 如意宝珠 寅の巻 篇:第1篇 正邪奮戦 よみ:せいじゃふんせん
章:第8章 第15巻 よみ:うらないきょう 通し章番号:575
口述日: 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
広い館の門には、風雨にさらされた表札に、神代文字で「ウラナイ教の本部」と書かれていた。安彦は、田加彦と百舌彦に中の様子を見てくるように依頼した。
二人が塀を乗り越えて館の中の様子を見ると、高姫という教主らしい肥えた中婆が中央に控え、七八人の宣伝使らしい男女がとろろ汁を吸っている。いずれも、盲人のような手つきである。
田加彦と百舌彦は、盲人らしいのを幸いに、とろろ汁を奪って吸ってしまう。ウラナイ教徒たちは、仲間にとろろ汁を取られたと思って喧嘩を始めてしまう。
高姫は盲人の真似をしていただけだったので、二人に気づき、出刃包丁を持って追いかけ、大騒ぎになる。
田加彦と百舌彦は、逃げる途中に針だらけの枝が仕掛けてある水ためにはまり込んでしまうが、高姫もよろめくはずみに水ために落ちて苦しむ。その隙に田加彦、百舌彦は逃げてしまう。
安彦、国彦、道彦は水ための側を通りかかり、高姫を救出した。そこへ田加彦、百舌彦が戻ってきた。高姫は二人がとろろ汁を盗んだことを非難する。道彦は話を聞いて吹きだし、お詫びに田加彦と百舌彦をウラナイ教にくれてやろう、という。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm1508
愛善世界社版:92頁 八幡書店版:第3輯 314頁 修補版: 校定版:92頁 普及版:41頁 初版: ページ備考:
001 安彦(やすひこ)002国彦(くにひこ)003道彦(みちひこ)宣伝使(せんでんし)(はじ)め、004田加彦(たかひこ)005百舌彦(もずひこ)五人(ごにん)は、006(この)(ひろ)(やかた)門前(もんぜん)(たたず)内部(ないぶ)様子(やうす)(みみ)()ませて()()たり。
007 フト表門(おもてもん)(なが)むれば、008風雨(ふうう)(さら)された標札(へうさつ)(かすか)に『ウラナイ(けう)本部(おほもと)』と神代文字(じんだいもじ)にて(しる)されてある。009安彦(やすひこ)覚束(おぼつか)なげに(なかば)()げたる文字(もじ)()み、
010『ヤア此奴(こいつ)は、011ウラル(けう)三五教(あななひけう)合併(がつぺい)した変則的(へんそくてき)神教(しんけう)本山(ほんざん)()える(わい)012それにしても最前(さいぜん)(をんな)(こゑ)013(なん)となく()(おぼ)えのある(かん)じがする。014ハテなア、015オー百舌彦(もずひこ)016田加彦(たかひこ)017(なんぢ)はそつと(この)(へい)()()え、018(なか)様子(やうす)(さぐ)吾等(われら)(まへ)報告(はうこく)して()れ』
019 百舌彦(もずひこ)020田加彦(たかひこ)(うれ)()()(うなづ)き、021木伝(こづた)(さる)か、022小蟹(ささがに)蜘蛛(くも)振舞(ふるまひ)逸早(いちはや)く、023ヒラリと(へい)飛越(とびこ)えて、024庭先(にはさき)()(しげ)みに姿(すがた)(かく)し、025様子(やうす)(うかが)ひつつありき。
026 ウラナイ(けう)教主(けうしゆ)()えて、027ぼつてり(こえ)(ばば)一人(ひとり)028雑水桶(ざふづをけ)(こほり)のはつたやうな()をキヨロつかせながら中央(ちうあう)(ひか)へて()る。029七八人(しちはちにん)宣伝使(せんでんし)らしき男女(だんぢよ)は、030(いづ)れも白内障(はくないしやう)か、031黒内障(こくないしやう)()んだ盲人(まうじん)(ごと)く、032表面(へうめん)(まなこ)はキロキロと(ひか)りながら、033(なに)()えぬと()えて手探(てさぐ)りして巨大(きよだい)なる丼鉢(どんぶりばち)麦飯(むぎめし)薯蕷汁(とろろじる)多量(どつさり)()り、034ツルリツルリと()うて()る。035二人(ふたり)薬鑵頭(やくわんあたま)禿爺(はげおやぢ)は、036(しき)りに摺鉢(すりばち)(やま)(いも)()つて()る。037これも()うやら盲人(めくら)らしく手探(てさぐ)りしつつ(はたら)いて()る。038二人(ふたり)(この)光景(くわうけい)()やり、
039『オイ百舌公(もずこう)040此処(ここ)(やつ)何奴(どいつ)此奴(こいつ)(みな)盲人(めくら)ばかりだと()える。041(おほ)きな丼鉢(どんぶりばち)麦飯(むぎめし)薯蕷汁(とろろじる)をズルズルと(すす)つて()るぢやないか、042俺達(おれたち)(これ)()ると(にはか)()()格納庫(かくなふこ)空虚(くうきよ)(うつた)()したよ。043どうだ、044(めくら)(さひは)ひにそつと一杯(いつぱい)頂戴(ちやうだい)して()ようぢやないか』
045 百舌彦(もずひこ)は、
046『ソイツは面白(おもしろ)からう』
047()ひながら、048のそりのそりと足音(あしおと)(しの)ばせ一同(いちどう)(まへ)(あら)はれ、049素知(そし)らぬ(かほ)して(ひか)へて()る。050禿爺(はげおやぢ)丼鉢(どんぶりばち)麦飯(むぎめし)薯蕷汁(とろろじる)()り、
051『サアサアお(かは)りが出来(でき)ました、052高姫(たかひめ)サン』
053とニウツと()()す。054高姫(たかひめ)()中年増(ちうどしま)のお多福(たふく)(ばば)機械(きかい)人形(にんぎやう)のやうに両手(りやうて)(まへ)にさし()した。055(をり)(をり)百舌彦(もずひこ)面前(めんぜん)()()した丼鉢(どんぶりばち)百舌彦(もずひこ)(つく)(ごゑ)をしながら、
056『ハイ、057これは御馳走様(ごちそうさん)058もう一杯(いつぱい)(くだ)さいな』
059 (おやぢ)丼鉢(どんぶりばち)百舌彦(もずひこ)(わた)し、
060『よう(あが)高姫(たかひめ)サンぢや』
061小声(こごゑ)(つぶや)きながら(また)(さぐ)(さぐ)台所(だいどころ)(はう)(かへ)()き、062一生懸命(いつしやうけんめい)(いも)()つて()る。
063高姫(たかひめ)『コレ松助(まつすけ)064何処(どこ)()いたのだえ、065(はや)此方(こちら)(わた)して()れないか』
066 松助(まつすけ)(みみ)(とほ)(めくら)()()るから、067(なん)容赦(ようしや)もなく一生懸命(いつしやうけんめい)(はな)(すす)りつつ(いも)()つて()る。068彼方(あちら)にも此方(こちら)にもミヅバナ(すす)るやうな(こゑ)が、069ずうずうと(きこ)えて()る。
070 百舌彦(もずひこ)071田加彦(たかひこ)は、072丼鉢(どんぶりばち)両方(りやうはう)より()みつくやうに(はら)()つたまま、073ツルツルと非常(ひじやう)吸引力(きふいんりよく)で、074蟇蛙(ひきがへる)(いたち)()くやうに大口(おほぐち)()けて()()んだ。075(この)(とき)松助(まつすけ)(また)(さぐ)(さぐ)麦飯(むぎめし)薯蕷汁(とろろじる)(かけ)大丼鉢(おほどんぶりばち)を、076足許(あしもと)覚束(おぼつか)なげに、077川水(かはみづ)(なか)(ある)くやうな体裁(ていさい)で、
078『サアサア高姫(たかひめ)サン、079(かは)りが出来(でき)ました』
080 田加彦(たかひこ)(また)もや(つく)(ごゑ)をして、
081『アア松助(まつすけ)082御苦労(ごくらう)であつた。083もう一杯(いつぱい)(かは)りを(たの)むよ』
084『ハイハイ、085もう(いも)へたばかりじやが、086それでも(よろ)しければお(あが)りなさいませ』
087(つら)(ふく)らし、088部屋(へや)引返(ひきかへ)す。089高姫(たかひめ)は、
090『コラコラ松助(まつすけ)091()()つて()ぬか、092何処(どこ)()いたのだい』
093 田加彦(たかひこ)094百舌彦(もずひこ)矢庭(やには)一杯(いつぱい)(たひら)げた。095(そば)十数人(じふすうにん)盲人(めくら)は、096丼鉢(どんぶりばち)(まへ)()ゑ、097一口(ひとくち)()つては(した)()(たの)しんで()る。
098 百舌彦(もずひこ)(かふ)丼鉢(どんぶりばち)をソツと(おつ)(まへ)()き、099(おつ)丼鉢(どんぶりばち)(へい)(まへ)()き、100(へい)丼鉢(どんぶりばち)高姫(たかひめ)(まへ)にソツと()ゑた。
101(かふ)『まだ半分(はんぶん)(あま)りはあつた(つも)りだに何時(いつ)()此様(こんな)()つて仕舞(しま)つたらう、102オイ貴様(きさま)(おれ)のを一緒(いつしよ)(たひら)げて仕舞(しま)つたな』
103(おつ)馬鹿(ばか)()ふな、104(おれ)丼鉢(どんぶりばち)何処(どこ)かへやりよつたのだ。105自分(じぶん)一人前(いちにんまへ)(たひら)げて()いて()他人(ひと)のまで()つて()うとは、106(あんま)りぢやないか』
107(たがひ)盲人(めくら)同志(どうし)喧嘩(けんくわ)(はじ)まつた。108十数人(じふすうにん)盲人(めくら)は、109()られては一大事(いちだいじ)丼鉢(どんぶりばち)(かた)(にぎ)り、110(した)にも()かず、111ツルツルズルズルと()うて()る。112田加彦(たかひこ)は、113火鉢(ひばち)(はい)(つか)んで、114盲人(めくら)丼鉢(どんぶりばち)一摘(ひとつま)みづつソツと(くば)つて(まは)つた。
115『ヤア()んだ、116この丼鉢(どんぶりばち)の………(にはか)薯蕷汁(とろろじる)(あぢ)(かは)つたやうだ。117他人(ひと)盲人(めくら)だと(おも)つて馬鹿(ばか)にしよるナ、118(たれ)(はい)()れよつたわい』
119百舌彦(もずひこ)ハイハイ120左様々々(さやうさやう)
121高姫(たかひめ)『ヤヽ、122(たれ)(こゑ)(ちが)(やつ)()()るらしい、123オイ(みな)(もの)()をつけよ、124(なん)だか最前(さいぜん)から(あや)しいと(おも)つて()た。125(わし)最前(さいぜん)から盲人(めくら)真似(まね)をして()れば、126何処(どこ)(やつ)()らぬが、127二人(ふたり)のヒヨツトコ野郎(やらう)()128()らぬ悪戯(いたづら)をしよつた。129サアもう了見(れうけん)ならぬ、130(うち)(おやぢ)(きつ)肺病(はいびやう)で、131此処(ここ)薯蕷汁(とろろじる)によう()(たん)一杯(いつぱい)(たくは)へてある。132(これ)(くら)つてサツサと()()せ』
133 百舌(もず)田加(たか)(あたま)()きながら、
134『ヤア、135そいつは御免(ごめん)だ』
136高姫(たかひめ)御免(ごめん)(くそ)もあつたものか、137ヤアヤア長助(ちやうすけ)138伴助(はんすけ)139二人(ふたり)(もの)(しば)つて(しま)へ』
140(かしこ)まつた』
141(つぎ)()より、142(あら)はれ()でたる(だい)(をとこ)143出刃庖丁(でばぼうちやう)()(かざ)し、144二人(ふたり)(むか)つて(せま)()る。145高姫(たかひめ)(まゆ)逆立(さかだ)て、146出刃庖丁(でばぼうちやう)逆手(さかて)()ち、147三方(さんぱう)より二人(ふたり)(むか)つて()つてかかる。148百舌彦(もずひこ)149田加彦(たかひこ)丼鉢(どんぶりばち)(あたま)(かぶ)りトントントンと(おもて)()して逃出(にげだ)す。150百舌彦(もずひこ)(かぶ)つた丼鉢(どんぶりばち)には(おやぢ)()いた(たん)一杯(いつぱい)()つてあつた。151(あたま)から(たん)(いつ)ぱい()びたまま、152スタスタと(おもて)()して()()す。153二人(ふたり)荒男(あらをとこ)大股(おほまた)()()りながら二人(ふたり)(あと)()ひかけ(きた)り、154(こぼ)れた(たん)つるり(すべ)つて、155スツテンドウと仰向(あふむ)けに(たふ)れた。
156 高姫(たかひめ)出刃(でば)()(かざ)しながら(おもて)()()で、157二人(ふたり)荒男(あらをとこ)(つまづ)き、158バタリと()けた(はづみ)長助(ちやうすけ)(はら)(うへ)出刃(でば)()()て、159長助(ちやうすけ)はウンと一声(いつせい)七転八倒(しちてんばつたふ)160のた()(まは)る。161(たちま)(やかた)(うち)大騒動(おほさうどう)おつ(ぱじ)まりける。
162 田加彦(たかひこ)163百舌彦(もずひこ)一生懸命(いつしやうけんめい)()()し、164道端(みちばた)(たま)(いけ)にザンブと飛込(とびこ)み、165(たん)(あら)(おと)さうとした。166(この)水溜(みづため)数多(あまた)(うを)(かこ)うてある。167(いたち)川獺(かはをそ)襲来(しふらい)(ふせ)ぐために()()(はり)だらけの(えだ)一面(いちめん)()()んであつた。168二人(ふたり)はそれとも()らず真裸(まつぱだか)となつて飛込(とびこ)()()(はり)()されて身体(からだ)一面(いちめん)(あな)だらけとなり(から)うじて()(あが)りメソメソ()()してゐる。
169 (ばば)(まゆ)逆立(さかだ)二本(にほん)(つの)一寸(いつすん)(ばか)(かみ)(あひだ)より(あら)はしながら(この)()(あら)はれた。170二人(ふたり)姿(すがた)()心地(ここち)よげに()(わら)ひ、171蹌跟(よろめ)(はづみ)(また)もや(いけ)(なか)にザンブと(ばか)()()み、
172『アイタタアイタタ』
173婆々(ばば)(もだ)(くる)しむ可笑(おか)しさ、174二人(ふたり)真裸(まつぱだか)のまま、
175(ざま)()やがれ』
176()ひつつ(あし)ちがちがさせ田圃道(たんぼみち)(はし)つて()く。177安彦(やすひこ)178国彦(くにひこ)179道彦(みちひこ)三人(さんにん)素知(そし)らぬ(かほ)して宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつこの(いけ)(かたはら)(とほ)()ぎむとするや、180(いけ)(なか)より高姫(たかひめ)()(あは)し、181(しき)りに(たす)けを()んで()る。182三人(さんにん)宣伝使(せんでんし)()(どく)さに()()ね、183(やうや)くにして高姫(たかひめ)(すく)ひあげた。184高姫(たかひめ)(おほい)(よろこ)三人(さんにん)(むか)つて救命(きうめい)大恩(たいおん)感謝(かんしや)したりける。
185 (この)(とき)()()つた百舌(もず)186田加(たか)二人(ふたり)(をとこ)真裸(まつぱだか)(まま)(ふる)(ふる)(この)()(あら)はれ(きた)り、
187『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)188(さむ)くつて(たま)りませぬワ、189()うぞウラナイ(けう)()アサンに適当(てきたう)着物(きもの)(もら)つて(くだ)さいな。190ナア()アサン、191(まへ)宣伝使(せんでんし)のお(かげ)命拾(いのちびろ)ひをしたのだから着物(きもの)(ぐらゐ)進上(しんじやう)なさつても(やす)いものだらう』
192安彦(やすひこ)『ヤア吾々(われわれ)着物(きもの)(ごと)きものは必要(ひつえう)御座(ござ)らぬ。193(ひら)にお(ことわ)(まを)します』
194(くに)195(みち)吾々(われわれ)同様(どうやう)196衣服(いふく)なんか必要(ひつえう)御座(ござ)らぬ』
197百舌彦(もずひこ)『エヽ()()かぬ宣伝使(せんでんし)だな、198此処(ここ)二人(ふたり)着物(きもの)()御方(おかた)御座(ござ)るのが()につきませぬかい』
199道彦(みちひこ)吾々(われわれ)はウラナイ(けう)信者(しんじや)になつたと()え、200薩張(さつぱり)明盲人(あきめくら)になつて仕舞(しま)つたよ。201アハヽヽヽヽ』
202高姫(たかひめ)『お前等(まへら)は、203ノソノソと()座敷(ざしき)()()み、204薯蕷汁(とろろ)二三杯(にさんばい)もソツと横領(わうりやう)して()ひ、205(その)(うへ)大勢(おほぜい)盲人(めくら)()()み、206薯蕷汁(とろろ)(なか)(はい)(つま)んで()れた不届(ふとど)きの(やつ)ぢや、207着物(きもの)をやる(どころ)ぢやないが、208(しか)生命(いのち)(たす)けてもらつた(その)(れい)として、209長公(ちやうこう)210伴公(はんこう)死人(しにん)着物(きもの)()れてやらうか』
211道彦(みちひこ)『これやこれや、212貴様等(きさまら)二人(ふたり)薯蕷汁(とろろ)(ぬす)()つたのか』
213百舌彦(もずひこ)『ハイ、214トロロウをやりました。215(その)(かは)(ひど)()()たんぢや、216(きたな)(もの)(あたま)(かぶ)たんぢや。217盲人(めくら)(だま)して薯蕷汁(とろろ)多量(どつさり)()たんじや、218それから長公(ちやうこう)伴公(はんこう)()ひかけられてタンタンタン一生懸命(いつしやうけんめい)()げたんじや。219門口(かどぐち)長公(ちやうこう)伴公(はんこう)転倒(ひつくりかへ)たんぢや、220其処(そこ)(ばば)()んで()()たんぢや、221()けた拍子(へうし)長公(ちやうこう)のどん(ばら)()たんぢや、222二人(ふたり)一生懸命(いつしやうけんめい)223(たん)(からだ)(きよ)めんと溜池(ためいけ)矢庭(やには)飛込(とびこ)たんぢや、224()(はり)身体(からだ)()かれて(いた)かつたんぢや、225たんたん立派(りつぱ)着物(きもの)頂戴(ちやうだい)(いた)()いもんぢや、226なア田加(たか)たん
227 道彦(みちひこ)()()し、
228『アハヽヽヽ、229身魂(みたま)(きたな)(やつ)ぢやなア、230貴様(きさま)(これ)から改心(かいしん)(いた)してウラナイ(けう)盲人(めくら)仲間(なかま)()れて(もら)うと都合(つがふ)がよからう。231モシモシお()アサン此等(これら)二人(ふたり)三五教(あななひけう)教理(けうり)到底(たうてい)高遠(かうゑん)にして体得(たいとく)する(こと)出来(でき)ませぬ、232(ぜん)とも(あく)とも(おろか)とも(わけ)(わか)らぬ(はん)ドロ(てき)人間(にんげん)ですから、233ウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)にでもお使(つか)(くだ)さらば(もつと)適任(てきにん)でせう』
234(ばば)『それはそれは(まこと)有難(ありがた)御仰(おんあふ)せ、235ウラナイ(けう)宣伝使(せんでんし)には至極(しごく)適当(てきたう)人物(じんぶつ)236幾何(いくら)()つて(くだ)さいますか』
237道彦(みちひこ)『サア、238ほんの(のこ)(もの)未成品(みせいひん)もので御座(ござ)いますから、239無料(ただ)にまけて()きます。240(こめ)(むぎ)()べさして(もら)うと()(そこ)ねますから、241身魂(みたま)相当(さうたう)(どぢやう)(かわづ)()うてやつて(くだ)さい、242アハヽヽヽ』
243(ばば)『オホヽヽヽ』
244大正一一・四・一 旧三・五 加藤明子録)