霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一七章 (きつね)()〔一〇二九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第37巻 舎身活躍 子の巻 篇:第3篇 阪丹珍聞 よみ:はんたんちんぶん
章:第17章 狐の尾 よみ:きつねのお 通し章番号:1029
口述日:1922(大正11)年10月10日(旧08月20日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
あるとき、杉山が教会を新築したいので寄付を募るための演説を信者にしてくれ、と喜楽に頼んできた。そのとき喜楽はまだ若く、父の病気も直して欲しかったから、まじめに演説の腹案を考えていた。
しかし祭典の際に高島ふみを観察していると、受付の爺さんの言った通りに偽の狐の尾を使って神がかりの振りをしていることが見て取れたので、急に演説の気乗りがしなくなってしまった。
しかしこのときの演説にはなぜか、杉山をはじめ信者たちも非常に感服していた様子であった。しかしその後、別の信者がいい加減な託宣に騙されたと高島ふみのインチキを衆目の前ですっぱ抜き、それ以降この教会は次第にさびれてしまったのである。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:205頁 八幡書店版:第7輯 108頁 修補版: 校定版:214頁 普及版:101頁 初版: ページ備考:
001 (しばら)くあつて御台(おだい)サンと(しよう)する高島(たかしま)ふみ()は、002総務格(そうむかく)(けん)良人(をつと)なる杉山(すぎやま)()(とも)(かへ)つて()た。003服部(はつとり)()(おやぢ)(おどろ)いて、004(にはか)徳利(とくり)(また)にかくす。005杉山(すぎやま)喜楽(きらく)姿(すがた)()て、006(うれ)(さう)(わら)ひ、007笑顔(ゑがほ)(つく)り、
008杉山(すぎやま)『あゝ喜楽(きらく)サン、009()()(くだ)さいました。010今日(けふ)はあなたに一席(いつせき)講演(かうえん)(ねが)はねばなりませぬ。011御存(ごぞん)じの(とほ)信者(しんじや)沢山(たくさん)()えまして、012何時(いつ)までもこんな不便(ふべん)(いへ)()つて()(わけ)にも()きませぬ。013どつかに新築(しんちく)をしたいと(おも)ひますがそれに()いては一寸(ちよつと)三千円(さんぜんゑん)(ばか)必要(ひつえう)なので、014(いま)寄附帳(きふちやう)(こしら)へて、015各自(かくじ)手分(てわ)けをなし、016世話方(せわかた)寄附金(きふきん)募集(ぼしふ)(ある)かうと相談(さうだん)(まと)まつた(ところ)御座(ござ)います。017()いては(わたし)教会(けうくわい)建築(けんちく)(はなし)をするのも(なん)だか面白(おもしろ)くありませぬから、018(ひと)つあなたが(わたし)(かは)つて演壇(えんだん)()つて(くだ)さいますまいかなア』
019()ふ。020喜楽(きらく)(その)(とき)はまだ二十六歳(にじふろくさい)021(ちち)病気(びやうき)(なを)して()しさに信仰(しんかう)をして()つたのだから、022神様(かみさま)(こと)なら(なん)でもいとはぬと()()になつて()た。023そこで(ただち)承諾(しようだく)(むね)()げ、024教会(けうくわい)仕様書(しやうがき)設計(せつけい)などを()せて(もら)ひ、025祭典(さいてん)がすめば一場(いちぢやう)演説(えんぜつ)(こころ)みようと(こころ)ひそかに腹案(ふくあん)(つく)つてゐた。026高島(たかしま)ふみ()027杉山(すぎやま)両人(りやうにん)非常(ひじやう)(よろこ)び、028丁重(ていちよう)料理(れうり)(とり)よせて、029(おく)()饗応(きやうおう)してくれた。030服部(はつとり)真赤(まつか)(かほ)をし、031フーフーと(くる)しさうな(いき)をし(なが)ら、032高島(たかしま)(まへ)にやつて()て、
033服部(はつとり)(いま)世話方衆(せわかたしう)()えました。034やがて信者(しんじや)追々(おひおひ)(あつ)まりませうから、035世話方(せわかた)()れまで(さけ)()んで(もら)ひませうか』
036 高島(たかしま)小声(こごゑ)で、
037高島(たかしま)世話方(せわかた)なんと()つた(ところ)で、038いつも()()(さけ)をのむ(ばか)りで(なん)にもなりやしない』
039()つたのを、040服部(はつとり)()きかじつて、041巻舌(まきじた)になり(なが)ら、
042服部(はつとり)『ナヽ(なに)がイヽ稲荷(いなり)のお(だい)サン、043キヽ(きつね)サン、044(やく)()たぬのだ。045(あさ)から(ばん)までおめし給銀(きふぎん)でこき使(つか)はれて()るのだから、046たまたま一升(いつしよう)(くらゐ)(さけ)()んだつて、047ゴテゴテ()ひなさるな』
048高島(たかしま)『コレ服部(はつとり)サン、049ソリヤ(なに)()つてゐなさるのだ。050(はや)御世話方(おせわかた)にお(さけ)でも()して叮嚀(ていねい)にあしらうて(くだ)さい』
051服部(はつとり)今日(けふ)神様(かみさま)一年(いちねん)一度(いちど)春季(しゆんき)大祭(たいさい)だから、052(わたし)(かみ)さまの御神酒(おみき)(いただ)いた(くらゐ)で、053ゴテゴテ()ひはしませぬだらうな。054(じつ)(ところ)学校(がくかう)小使(こづかひ)使(つか)うてやらうと()(ひと)があるのだけれど、055(まへ)サンが(おこ)つて、056(きつね)でも使(つか)ふてあたんでもすると(こま)るから、057そんな(こと)アおけと友達(ともだち)()ふてくれるので、058辛抱(しんばう)して()るのだが、059今日(けふ)はモウ喜楽(きらく)サンが()()るのだから、060(きつね)()(だけ)はやめなさいや』
061()(なが)ら、062ヒヨロリ ヒヨロリと玄関口(げんくわんぐち)(はう)(はし)つて()く。
063 いよいよ午後(ごご)三時過(さんじすぎ)になると、064ボツボツと参詣人(さんけいにん)(あつま)つて()て、065牡丹餅(ぼたもち)菓子(くわし)066(こめ)067(つつ)(もの)068小豆(あづき)069(まめ)など沢山(たくさん)(そな)へられ、070いよいよ午後(ごご)四時(よじ)()して祝詞(のりと)(はじ)まり、071神殿(しんでん)(まへ)護摩(ごま)をたき(はじ)めた。072五寸(ごすん)(ばか)りに()つて()つた木切(きぎ)れに、073一々(いちいち)姓名(せいめい)年齢(ねんれい)()(しる)し、074それを(たか)くつんで、075(おほ)きな(なべ)(なか)で、076()をつけてもやす、077(その)(うへ)には(へい)()つてぶら(さが)つてゐる。078杉山(すぎやま)(はじ)服部(はつとり)(その)()沢山(たくさん)世話方(せわかた)は、079(なべ)(つく)つた火鉢(ひばち)のぐるりから、080祝詞(のりと)一生懸命(いつしやうけんめい)(とな)へる。081()はポーポーと(おと)()ててもえる。082アワヤ(うへ)()つた御幣(ごへい)()()えつかうとすると、083(みづ)()るやうな(さかき)をポツとくべて()(ふせ)ぐ、084(また)燃上(もえあが)らうとすると(さかき)()をくべる、085それでも()はだんだんと(はげ)しくなつてくる。086高島(たかしま)ふみ()(れい)神憑(かむがか)りになり、087羽織(はおり)のあひからチヨロチヨロと(あか)(いろ)(きつね)尻尾(しつぽ)()せながら、088御幣(ごへい)をふつて、089(はげ)しく()()がる()(なか)()()し、090(うへ)から()つた御幣(ごへい)延焼(えんせう)せむとするのを(ふせ)ぎつつ、091(その)(へい)(また)もや信者(しんじや)(あたま)(うへ)左右左(さいうさ)とふる。092すみからすみまで、093百四五十人(ひやくしごじふにん)(あたま)(うへ)(ひと)(ひと)御幣(ごへい)でしばいてまはる、094護摩(ごま)()はだんだん(たか)くなり、095アワヤ()(さげ)たフサフサとした御幣(ごへい)()(うつ)らうとする危険(きけん)(せま)ると、096四五人(しごにん)世話方(せわかた)一割(いちわり)(おほ)きな(こゑ)で、097シヤクル(やう)祝詞(のりと)()げる、098それを合図(あひづ)高島(たかしま)ふみ()(さかき)青葉(あをば)(くく)りつけた御幣(ごへい)を、099あわてて()吊幣(つりへい)との(あひだ)にグツとつき()延焼(えんせう)(ふせ)(その)巧妙(かうめう)さ。100喜楽(きらく)高島(たかしま)ふみ()(しり)からチヨロチヨロ()えて()(きつね)尻尾(しつぽ)をグツと(にぎ)ると、101ふみ()(おどろ)いて『シユーシユー』と()(なが)芋虫(いもむし)(いろ)ふた(やう)体裁(ていさい)でプリンと(しり)一方(いつぱう)へふり、102御幣(ごへい)をプイプイと()(まは)(また)(むか)ふの(はう)(はら)ひもつて()く。103(かく)(ごと)くして祭典(さいてん)無事(ぶじ)終了(しうれう)()げた。104服部(はつとり)(ぢい)サンの()つた(きつね)()万更(まんざら)ウソでない(こと)(さと)つた。105可笑(おか)しいやら馬鹿(ばか)らしいやら、106(にはか)信仰(しんかう)がさめて(しま)ひ、107それから三十一年(さんじふいちねん)二月(にぐわつ)108廿八歳(にじふはつさい)になるまで、109神様(かみさま)()(あは)すのがいやになり、110極端(きよくたん)無神論者(むしんろんじや)になつて(しま)つたのである。
111 祭典(さいてん)無事(ぶじ)()んだ。112杉山(すぎやま)(ぼう)から御馳走(ごちそう)(まで)(こしら)へて(たの)まれた演説(えんぜつ)(この)尻尾(しつぽ)()てから(なん)となく気乗(きのり)がせず、113折角(せつかく)(こしら)へておいた腹案(ふくあん)もどつかへ()えて(しま)ひ、114(まを)(わけ)(てき)十分間(じつぷんかん)(ほど)(とり)とめもない、115支離(しり)滅裂(めつれつ)演説(えんぜつ)をやつてのけた。116それでも不思議(ふしぎ)(こと)には、117杉山(すぎやま)(はじ)世話方(せわかた)信者(しんじや)()(たた)いて、118非常(ひじやう)感服(かんぷく)してゐる様子(やうす)であつた。119(なに)(わけ)(わか)らぬ婆嬶(ばばかか)迷信連(めいしんれん)(むか)つて、120自分(じぶん)でさへも(わけ)(わか)らぬ(こと)()つたのに、121(あま)反対(はんたい)()けず、122(かへつ)拍手(はくしゆ)(もつ)(むか)へられたのは合点(がつてん)のいかぬ(こと)であつた。123(わけ)(わか)らぬ人間(にんげん)(たい)しては、124ヤツパリ(わか)らぬ(こと)()ふて()かすのが、125よく(みみ)這入(はい)るものだなアと、126(みづか)感心(かんしん)せざるを()なかつた。
127 祭典(さいてん)無事(ぶじ)()み、128(だい)サンのおふみサンの()()けで馬路村(うまぢむら)()中川(なかがは)()信者(しんじや)から、129()無事(ぶじ)(うま)れたお(れい)だと()つて、130御供(おそな)へした沢山(たくさん)牡丹餅(ぼたもち)百四五十人(ひやくしごじふにん)信者(しんじや)(ふた)つづつ(くば)つて(まは)つた。131そしておふみサンの言草(いひぐさ)面白(おもしろ)い。
132(みな)サン中川(なかがは)サンの(おく)サンは、133御妊娠(ごにんしん)をなさつてから、134十二ケ月(じふにかげつ)になるのに、135()()ませぬので、136(この)大神様(おほかみさま)にお(まゐ)りになり、137(うかが)(あそ)ばした(ところ)138(この)(ひと)懐妊(みもち)になつてから、139(うし)(つな)(また)げたから、140(その)(ばち)(うし)()宿(やど)つたので、141十二ケ月(じふにかげつ)(はら)()らはつたのです。142神様(かみさま)御言葉(おことば)では、143(この)(まま)(はな)つといたら(うし)()(うま)れるに()つて、144信仰(しんかう)をせよと仰有(おつしや)りました。145それから中川(なかがは)サン御夫婦(ごふうふ)二里(にり)もある(ところ)(かは)(がは)御参拝(ごさんぱい)になつて、146とうとう立派(りつぱ)人間(にんげん)(をとこ)()がお(うま)れになつたので、147今日(けふ)はお(まつり)(さいは)ひに、148牡丹餅(ぼたもち)をお(そな)へになつたので御座(ござ)います。149(みな)サンあやかつて(くだ)さいませ。150神様(かみさま)信心(しんじん)さへ(つよ)うすればどんな(こと)でも()いて(くだ)はります。151どうぞ(みな)サンも(うたが)はずに信心(しんじん)をして(くだ)さりませ、152キツと広大(くわうだい)御利益(ごりやく)(いただ)けますぞえ』
153としたり(がほ)教服(けうふく)をつけたまま、154上座(かみざ)()つて(しやべ)()て、155(つぎ)()這入(はい)つた。156大勢(おほぜい)信者(しんじや)()(いただ)いて、157一口(ひとくち)かぶつては(めう)(かほ)をし(なが)(ふところ)から(かみ)()して(つつ)(たもと)()れる。158(たれ)もかれも厭相(いやさう)(かほ)をしてゐる。159自分(じぶん)(ふた)(もら)うたが、160(めう)(にほひ)だと(おも)うて()つて()ると牛糞(うしくそ)(つつ)んであつた。
161 大勢(おほぜい)(なか)から、
162『オイお(だい)サン、163コリヤ牛糞(うしくそ)()ぜつとりますぜ』
164(さけ)(もの)がある。165さうするとあちらからも此方(こちら)からも、
166『あゝ(くさ)かつた、167エーエー』
168(かみ)使(つか)ふものも出来(でき)()た。169高島(たかしま)ふみ()サンは(おどろ)いて、170上装束(うはせうぞく)をぬぎ、171(きつね)()細帯(ほそおび)(くく)つたまま、172()るのを(わす)れて、173(この)()(はし)(きた)り、
174高島(たかしま)(みな)サン勿体(もつたい)ない(こと)仰有(おつしや)るな。175そんな(もの)神様(かみさま)にお(そな)へしそうな(こと)がありませぬ』
176()ふや(いな)や、177中川(なかがは)()(をとこ)178三十二三歳(さんじふにさんさい)(すこ)(いろ)(くろ)い、179細長(ほそなが)(かほ)をして、180神壇(しんだん)(まへ)()ち、
181中川(なかがは)(わたくし)馬路村(うまぢむら)中川(なかがは)(ぼう)()(もの)です。182(わたくし)家内(かない)妊娠(にんしん)をしてから(つき)()ちても出産(しゆつさん)せぬので、183ここへ(うかが)ひに()(ところ)184ここの奴狐(どぎつね)がぬかすには、185(うし)(つな)をまたげたから、186(うし)()宿(やど)つて()るのだ、187信心(しんじん)さへすれば人間(にんげん)()(うま)れさしてやると、188バカな(こと)をぬかしやがる、189人間(にんげん)さまを馬鹿(ばか)にしやがるも(ほど)があると(おも)うて()つたが、190それでも出来(でき)()ねば(わか)らぬと(おも)ひ、191女房(にようばう)(かは)りに毎日(まいにち)(まゐ)つて()りました。192そした(ところ)193女子(ぢよし)出来(でき)るとぬかしたに(かかは)らず、194立派(りつぱ)(をとこ)()(うま)れました。195そんな(こと)(はら)(なか)(こと)まで(わか)(やう)稲荷(いなり)なら、196牡丹餅(ぼたもち)(なか)牛糞(うしくそ)()れて(そな)へたらキツト()つてるだらう、197モシ()らぬやうな(こと)なら山子婆(やまこばば)溝狸(どぶだぬき)だと(おも)うてをつたら、198(あん)(でう)199牛糞(うしくそ)神様(かみさま)(まへ)(そな)へて(をが)んでをる可笑(おか)しさ。200(わたし)(みな)さまに(くつ)(くだ)さいと()ふて牡丹餅(ぼたもち)()つて()たのだないから、201(みな)さま(おこ)つて(くだ)さるな。202ここの(ばば)アが(わる)いのだ、203アハヽヽ稲荷下(いなりさげ)山子(やまこ)バヽ、204(しり)でもくらへ、205これから(おれ)がそこら(ぢう)206(この)次第(しだい)をふれ(ある)いてやる』
207()(なが)ら、208一目散(いちもくさん)飛出(とびだ)(かへ)つて()つた。209これより旭日昇天(きよくじつしようてん)(いきほ)ひであつた、210(この)教会(けうくわい)次第々々(しだいしだい)にさびれて、211(つひ)には維持(ゐぢ)出来(でき)なくなり、212京町(きやうまち)天神(てんじん)さまの境内(けいだい)移転(いてん)して、213(わづ)かに命脈(めいみやく)(たも)つて、214明治(めいぢ)四十五年(しじふごねん)(ごろ)まで継続(けいぞく)して()たのであつた。
215大正一一・一〇・一〇 旧八・二〇 松村真澄録)