霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 野人(やじん)(ゆめ)〔一一三一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻 篇:第2篇 恋海慕湖 よみ:れんかいぼこ
章:第6章 第42巻 よみ:やじんのゆめ 通し章番号:1131
口述日:1922(大正11)年11月14日(旧09月26日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年7月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
カールチンは自宅に帰り、奥の間に一人悦に入っている。そこへユーフテスとセーリス姫が訪ねてきた。セーリス姫は、姉のヤスダラ姫に代わってカールチンの気持ちを確かめに来たのだという。
カールチンがヤスダラ姫(清照姫)に執心であることを見届けると、ユーフテスとセーリス姫は帰って行った。
テーナ姫が帰ってきたが、カールチンはそっけなく出迎えた。テーナ姫は、カールチンが数日前からそわそわして様子が違うことから、早速若い女と浮気したことに気づいてカールチンに掴みかかった。
テーナ姫は荒れ狂い修羅場が展開したが、カールチンはあくまで落ち着いてあしらっていた。テーナ姫はとうとう、自分を送ってきたマンモスを連れて右守の館を出て行ってしまった。
後に右守は、テーナ姫を追い出す手間が省けたとほくそ笑んでいる。するとやにわに戸を開けてテーナ姫が入ってきてカールチンに襲い掛かってきた。
と見るや、これは夢であった。カールチンはテーナ姫に揺り起こされて目を覚ました。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm4206
愛善世界社版:81頁 八幡書店版:第7輯 671頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:30頁 初版: ページ備考:
001 カールチンは(わが)(やかた)(おく)()(ただ)一人(ひとり)ニコニコしながら(こひ)瞑想(めいさう)(ふけ)つてゐる。002そこへやつて()たのはユーフテス、003セーリス(ひめ)二人(ふたり)であつた。
004右守(うもり)さま、005最前(さいぜん)はようこそ御登城(ごとじやう)(うへ)006(あね)にお()(くだ)さいまして、007(まこと)有難(ありがた)御座(ござ)ります。008貴方(あなた)がお(かへ)(あそ)ばしたその(あと)(あね)非常(ひじやう)気分(きぶん)がよくなつたと(まを)し、009それはそれは(えら)御機嫌(ごきげん)(ござ)ります。010()いては(あね)(まを)しますのには、011男心(をとこごころ)(あき)(そら)012如何(どう)(かは)るやら心許(こころもと)ない。013右守(うもり)司様(かみさま)に、014一度(いちど)()にかかる(まで)安心(あんしん)ならない。015もしや奥様(おくさま)(かん)づかれ(あそ)ばして、016種々(いろいろ)御争(おいさか)ひの結果(けつくわ)017心変(こころがは)りをなされはすまいかと(まを)しまして、018(わたし)一遍(いつぺん)御様子(ごやうす)(うかが)つて()てくれと、019まるで狂人(きちがひ)(やう)(まを)しますの。020貴方(あなた)(かぎ)つてそんな水臭(みづくさ)(かた)ぢやないから御安心(ごあんしん)(あそ)ばせと何度(なんど)()つても()きませぬ。021それ(ゆゑ)夜中(やちう)にも(かかは)らず、022御邪魔(おじやま)をいたした(やう)次第(しだい)(ござ)ります。023夜中(やちう)御門前(ごもんぜん)(とほ)れないと(ぞん)じまして、024ユーフテス(さま)について()(いただ)きました』
025 カールチンは小声(こごゑ)で、
026『あゝさうでしたか、027それは御苦労(ごくらう)でした。028屹度(きつと)心変(こころがは)りするなと(ひめ)()つてやつて(くだ)さい。029さうすりや安心(あんしん)するでせう』
030(はや)くも女房扱(にようばうあつかひ)にしてゐる。031セーリス(ひめ)可笑(をか)しさを(こら)へ、032故意(わざ)湿(しめ)つぽい(こゑ)()して、
033『ハイ有難(ありがた)(その)言葉(ことば)034(わたし)(をつと)になつて(くだ)さつた(やう)(うれ)しう(ござ)りますわ、035ホヽヽヽヽ』
036『これこれセーリス(ひめ)殿(どの)037()(おほ)(こと)()つちやなりませぬぞ。038貴女(あなた)最愛(さいあい)のユーフテスが其処(そこ)()るぢやありませぬか。039大変(たいへん)()()んで、040(かほ)(いろ)まで()へて()りますよ。041アハヽヽヽヽ』
042『ホヽヽヽヽこんな(くち)()れた、043(もの)(ろく)()へぬ(やう)(をとこ)044(わたし)(にはか)(いや)になつちまつたのですよ…………と()ふのは表向(おもてむ)き、045ねえユーフテスさま、046貴方(あなた)047(わたし)(こころ)(うち)はよく()つてゐますね。048(ひと)(まへ)でさう惚気(のろけ)()へませぬからな』
049 ユーフテスは(うれ)しさうな(かほ)して、
050『ウフヽヽヽ』
051(わら)ふ。
052『あのマア()かぬたらしい(わら)(やう)わいな。053本当(ほんたう)(いや)になつてしまふワ。054如何(どう)して、055こんな()かぬたらしい(をとこ)()きになつたのだらう。056(われ)(わが)(こころ)判断(はんだん)がつかぬワ』
057『これこれセーリスさま、058あまりぢやありませぬか。059(なに)(ひと)(おご)つて(もら)ひませう。060たつぷりとお惚気(のろけ)()かされまして』
061『お惚気(のろけ)はお(たがひ)(さま)ですわ。062(おご)るだけは倹約(けんやく)(いた)しまして、063為替(かはせ)(ねが)ひませうか。064(とき)にカールチンさま、065奥様(おくさま)処置(しよち)如何(どう)なさいましたの。066それを(うけたま)はらねば、067(あね)矢張(やつぱ)()()みますから、068なあユーフテスさま、069さうでしたね』
070『そ……それが肝腎要(かんじんかなめ)只今(ただいま)御用(ごよう)ですわ。071もし旦那様(だんなさま)072如何(どう)なりましたか。073屹度(きつと)直様(すぐさま)074(なん)とか御処置(ごしよち)()られたでせうな』
075(じつ)(ところ)076今日(けふ)はマンモス、077サモア(ひめ)(まね)かれて、078テーナは()(かへ)つて()ないのだ。079(しか)しながら()()けにそんな(こと)()つたら、080(この)(さい)一悶錯(ひともんさく)(おこ)るから、081(しば)らく執行(しつかう)猶予(いうよ)(ねが)ひたいものだ。082(いづ)(をり)()(うま)くやる(つも)りだから、083ヤスダラ(ひめ)にもカールチンの(こころ)大磐石心(だいばんじやくしん)だから安心(あんしん)せよと(つた)へて(くだ)さい。084それよりも(ひめ)(はう)心変(こころがは)りのせないやうと(この)(はう)から(かへつ)()()んでゐる(くらゐ)だ。085アハヽヽヽヽ』
086()(をとこ)さまに(うま)れると()()める(こと)ですな。087(わたし)(やう)なお多福(たふく)(はう)(かへつ)(さいは)ひかも()れませぬわ。088それでも世間(せけん)(ひろ)いもので、089干瓢(かんぺう)目鼻(めはな)をつけた(やう)なユーフテスさまが秋波(しうは)(おく)つて(くだ)さいますもの、090多福(たふく)だつて、091さう悲観(ひくわん)したものぢや(ござ)りませぬな』
092『あゝ(なん)だか(めう)気分(きぶん)になつて()ましたわい。093貴女(あなた)()()きませぬな。094ユーフテスの(やう)(をとこ)をつれずに、095何故(なぜ)(ねえ)さまをソツと()れて()ないのですか。096さうすれば何事(なにごと)(すぐ)氷解(ひようかい)出来(でき)ますがね。097矢張(やはり)(ねえ)さまよりもユーフテスの(はう)()いと()えますな』
098『そりやさうでせうとも。099何程(なにほど)(ねえ)さまが綺麗(きれい)だと()つても、100(をんな)同士(どうし)世帯(しよたい)()(わけ)には()かぬぢやありませぬか。101何程(なにほど)ヒヨツトコでも瓢箪(へうたん)でも干瓢(かんぺう)さまでも蜥蜴(とかげ)欠伸(あくび)した(やう)(をとこ)でも、102(をつと)とすれば、103ヤツパリ贔屓(ひいき)がつきますわ。104オホヽヽヽヽ』
105(とき)にセーリス(ひめ)(さま)106()()てる(やう)()みませぬが、107(いま)女房(にようばう)(かへ)つて()(かん)づかれては大変(たいへん)ですから、108何卒(どうぞ)ユーフテスと(とも)此処(ここ)立退(たちの)いて(くだ)さいますまいか』
109『はい、110承知(しようち)(いた)しました。111()()かぬ(をんな)だと思召(おぼしめ)すでせう。112これが(あね)だつたら、113そんな(こと)滅多(めつた)仰有(おつしや)いますまいに。114多福(たふく)はヤツパリ仕方(しかた)がありませぬわ。115奥様(おくさま)がお()()ねでせう。116何卒(どうぞ)御夫婦(ごふうふ)(むつ)まじうお(くら)しなさいませ。117(あね)御親密(ごしんみつ)御夫婦(ごふうふ)だと()いたら、118(さぞ)()()みませう、119いや(よろこ)びませう。120(まこと)にいけすかない(をんな)(まゐ)りまして()みませぬでした。121何卒(なにとぞ)神直日(かむなほひ)122大直日(おほなほひ)見直(なほ)聞直(ききなほ)して(くだ)さいまして、123永当々々(えいたうえいたう)御贔屓(ごひいき)(ねが)ひまアす』
124『(東西屋(とうざいや)口調(くてう))チヨン チヨン チヨン、125えー今晩(こんばん)はこれで大切(おほぎ)りと(いた)しまして、126(また)明晩(みやうばん)新手(あらて)()()へ、127大序(だいじよ)より大切(おほぎ)りまで御覧(ごらん)()れます。128芸題(げだい)入那(いるな)(しろ)入那(いるな)(しろ)129登場(とうぢやう)役者(やくしや)右守(うもり)(かみ)カールチン殿(どの)130ヤスダラ(ひめ)のローマンスの情味(じやうみ)津々(しんしん)たる艶場(つやば)をお()にかけますれば、131近所合壁(きんじよがつぺき)(さそ)(あは)せ、132賑々(にぎにぎ)しく御観覧(ごくわんらん)(ほど)(ひとへ)()(ねが)ひあげよこ(まつ)ります。133アハヽヽヽヽ』
134セーリス『ウツフヽヽヽヽ』
135『(義太夫(ぎだいふ))「右守(うもり)悠然(いうぜん)として立上(たちあが)り、136テーナ(ひめ)(やかた)をさして、137()りにける。138(あと)(のこ)りし両人(りやうにん)は、139四辺(あたり)をキツと打見(うちみ)やり、140(たがひ)()()()()はし、141ヤイノ ヤイノと意茶(いちや)つく()もなく、142(おもて)(きこ)ゆる(ひと)足音(あしおと)143コリヤ(かな)はぬと、144(やみ)(まぎ)れて()()せたりチヨン」と()(ところ)ですな。145イヒヽヽヽヽ』
146カールチン『セーリス(ひめ)殿(どの)147(また)(あらた)めてお()にかかりませう』
148()ひすて足早(あしばや)(おく)()()して姿(すがた)をかくした。149二人(ふたり)是非(ぜひ)なく(やみ)(まぎ)れて(やかた)()で、150木枯(こがらし)(はげ)しき野道(のみち)をよぎり、151城内(じやうない)()して(かへ)()く。
152 カールチンは二人(ふたり)(わか)れ、153(おく)大広間(おほひろま)座蒲団(ざぶとん)幾枚(いくまい)()(かさ)ね、154ばい化物然(ばけものぜん)とすまし()み、155(しき)りに(くび)をかたげて時々(ときどき)(こら)へきれぬ(やう)(ゑみ)(もら)し、156鼻糞(はなくそ)をほぜくつたり、157()(かふ)歯糞(はくそ)()つたり、158眉毛(まゆげ)(くせ)(なほ)したり、159首筋(くびすぢ)()()げたり(など)して、160(にはか)(わか)やいだ気分(きぶん)になつて上機嫌(じやうきげん)(をさ)まり(かへ)つてゐる。161そこへマンモスに(おく)られて(かへ)つて()たのはテーナ(ひめ)であつた。
162旦那様(だんなさま)163今日(けふ)奥様(おくさま)(むさくる)しい(ところ)御入来(おいで)(ねが)ひまして(じつ)光栄(くわうえい)御座(ござ)いました。164サモア(ひめ)大変(たいへん)満足(まんぞく)(いた)しましたと、165旦那様(だんなさま)へお(れい)申上(まをしあ)げて()れよと(まを)しました。166今日(けふ)はツイにない御機嫌(ごきげん)なお(かほ)(はい)し、167マンモスに(おい)ても恐悦(きようえつ)至極(しごく)(ぞん)じます』
168『マンモス、169よう(おく)つて()てくれた。170(すこ)(おそ)くても(かま)はなかつたになあ』
171 テーナ(ひめ)不機嫌(ふきげん)(かほ)をして一杯(いつぱい)機嫌(きげん)(さいは)ひ、172カールチンの(まへ)(すす)()矢庭(やには)胸倉(むなぐら)をグツと()り、
173『これ、174旦那(だんな)さま、175薬鑵老爺(やくわんおやぢ)さま、176もちつと(なが)くともよいとは、177そりや(なん)()(こと)仰有(おつしや)いますか。178大方(おほかた)貴方(あなた)(わたし)(かへ)つて()るのがお()()らぬのでせう。179二三日前(にさんにちぜん)から、180(なん)だかソワソワして落着(おちつ)かぬ(ふう)ぢやと(おも)つてゐましたが、181到頭(たうとう)本音(ほんね)()いたぢやありませぬか。182ツイ二三日前(にさんにちぜん)まで(わたし)一息(ひといき)()()らなくても八釜(やかま)しく仰有(おつしや)つたぢやありませぬか。183貴方(あなた)(なに)(ほか)()(はな)出来(でき)たのでせう。184いやもの()(はな)手折(たお)つて()たのでせう。185サア今日(けふ)何処迄(どこまで)調(しら)()げねばおきませぬぞ。186女房(にようばう)()(した)罪人(ざいにん)だと(おも)つて何時(いつ)馬鹿(ばか)にしてゐなさるが、187もう(わたし)今日(けふ)了簡(れうけん)しませぬ。188さあ白状(はくじやう)しなさい、189(をとこ)らしう』
190()ひながら力限(ちからかぎ)襟髪(えりがみ)をとつて前後(ぜんご)にシヤクリまはす。
191『アハヽヽヽ、192悋気(りんき)()加減(かげん)にしたが()からうぞ。193十九(つづ)二十(はたち)()ぢやあるまいし、194四十女(しじふをんな)姥桜(うばざくら)分際(ぶんざい)として、195その(ざま)(なん)だ。196あまり()つともよくないぢやないか』
197(すずめ)(ひやく)まで雄鳥(をんどり)(わす)れぬと()ふぢやありませぬか。198四十女(しじふをんな)がいやなら、199(もと)十七(じふしち)にして(かへ)しなさい。200(まへ)さまに(かし)づいて(とし)をとらされたのだから、201(もと)のスタイルにさへして(もら)へば何時(いつ)にても(かへ)りますわ。202サア何処(どこ)何奴(どいつ)意茶(いちや)ついて()た。203白状(はくじやう)しなさい。204(じつ)(ところ)今日(けふ)マンモスに(まね)かれて()つたのも、205(まへ)さまの秘密(ひみつ)(さぐ)()めだつた。206(かく)しても駄目(だめ)ですよ。207(なに)もかも(みな)ユーフテスやセーリス(ひめ)のドスベタの取持(とりも)ちでやつて()(こと)はチヤンとマンモスに探偵(たんてい)がさしてあるのですよ。208あまり(ひと)盲目(めくら)にしなさるな。209サア(これ)でもお(まへ)さまは()らぬと()ひますか』
210(なん)(えら)権幕(けんまく)だな。211まるで狂人(きちがひ)(やう)ぢやないか』
212良妻賢母(りやうさいけんぼ)(をつと)仕打(しうち)(わる)いと、213こんなになるのですよ。214権幕(けんまく)(あら)くなつたのも狂人(きちがひ)になつたのも、215(なに)かの素因(そいん)がなくてはなりますまい。216あゝ残念(ざんねん)や、217くゝゝゝ口惜(くや)しやな。218こんな(こと)()つたなら、219何故(なぜ)二十年(にじふねん)(むかし)(いのち)までかけて恋慕(こひした)うて()つたキユールさまに、220()はなかつたのだらう』
221焼糞(やけくそ)になつて悋気(りんき)(つの)()やし、222(ふすま)(たたみ)其処辺(そこら)道具(だうぐ)にあたり()らす。223(たちま)箪笥(たんす)顛覆(てんぷく)する、224(ふすま)(たふ)れる、225土瓶(どびん)(はら)(やぶ)つて小便(せうべん)()れる、226火鉢(ひばち)(ちう)()ふ。227座敷(ざしき)一面(いちめん)灰煙(はひけむり)濛々(もうもう)(つつ)む。228()(あし)もつけられなくなつて(しま)つた。
229『マンマンマン モスモスモスもすこし()つて(くだ)さい。230(おく)さま、231さう(はら)()てちやお身体(からだ)(さは)ります。232まだ(たしか)なことは見届(みとど)けてないのですから、233さう(はや)くから予行(よかう)演習(えんしふ)をやられちや、234旦那様(だんなさま)(まを)すに(およ)ばず、235マンモスまでが(たちま)迷惑(めいわく)(いた)します。236()()づお(しづ)まりを(ねが)ひます』
237 カールチンはマンモスをハツタと()めつけ、238(こゑ)(ふる)はせて、
239『こりや、240マヽヽヽマン、241左様(さやう)不届(ふとど)きな(こと)(まを)して右守(うもり)(やかた)攪乱(かくらん)せむとするのか。242不忠(ふゆう)不義(ふぎ)()(もの)()243今日(けふ)(かぎ)(ひま)(つか)はす。244トツトと()()かう』
245『これカールチンさま、246マンモスが()ると大変(たいへん)御都合(ごつがふ)がお(わる)いでせう。247(ついで)(わたし)此処(ここ)()りますと貴方(あなた)御都合(ごつがふ)(さぞ)(わる)御座(ござ)いませう。248(わたし)はこれから御免(ごめん)(かうむ)ります。249何程(なにほど)貴方(あなた)()てられても、250(けつ)して難儀(なんぎ)(いた)しませぬ。251(ひろ)世界(せかい)(をんな)(すた)(もの)はありませぬぞや。252(をとこ)やもめ(うぢ)()きませぬぞえ。253(おほ)きに永々(ながなが)御世話(おせわ)になりました。254何卒(どうぞ)鬼薊(おにあざみ)(やう)なお(かた)末永(すえなが)うお()ひなさいませ。255これマンモス、256()てる(かみ)があれば(ひろ)(かみ)もある。257(わたし)財産(ざいさん)だつて、258()ふと()まぬが、259旦那様(だんなさま)より(ばい)以上(いじやう)もあるから心配(しんぱい)なさるな、260屹度(きつと)(やしな)うて()げますぞや。261えーえー、262こんな(ところ)にようも二十年(にじふねん)()つた(こと)だ』
263(あし)(たたみ)()()(かみ)ふり(みだ)し、264(はぢ)外聞(ぐわいぶん)(かま)はばこそ、265オンオンと狼泣(おほかみな)きしながら(やかた)(あと)何処(いづこ)ともなく姿(すがた)(かく)した。
266 (あと)見送(みおく)つてカールチンは、267さも(うれ)()(かた)(そび)やかし、268(あご)をしやくり独言(ひとりごと)()つてゐる。
269『アハヽヽヽヽ、270都合(つがふ)()(とき)には何処(どこ)までも都合(つがふ)()いものだな。271如何(どう)して追放(おつぽ)()さうかと、272そればかり思案(しあん)してゐたのに、273自分(じぶん)(はう)から()()すと()ふのは、274()したマア都合(つがふ)のいい(こと)だらう。275あれ(だけ)乱暴(らんばう)して()つた以上(いじやう)は、276よもやテーナも(かへ)つて()(かんが)へぢやあるまいし、277(おれ)だつてあれだけ()みつけられた(をんな)を、278(また)ノメノメと(うち)において()(やう)(こと)では、279右守(うもり)(かみ)威勢(ゐせい)(から)つきり駄目(だめ)になつて(しま)ふ。280もう何人(なんぴと)仲裁(ちうさい)這入(はい)つても()必要(ひつえう)はない。281エヘヽヽヽヽ(ふく)(かみ)御入来(ごじゆらい)282貧乏神(びんばふがみ)御退却(ごたいきやく)283(じつ)(おそ)入谷(いりや)鬼子母神(きしぼじん)284そこへヤスダラ(ひめ)弁財天(べんざいてん)御降臨(ごかうりん)(あそ)ばし、285(しばら)天之御柱(あめのみはしら)286国之御柱(くにのみはしら)(めぐ)()ふうち、287(たちま)布袋(ほてい)さまと早変(はやがは)り、288大黒天(だいこくてん)さまもお(うらや)(あそ)ばすやうな円満(ゑんまん)家庭(かてい)(つく)り、289仮令(たとへ)女房(にようばう)素性(すじやう)毘舎門天(びしやもんてん)でも美人(びじん)でさへあれば、290それで本能(ほんのう)満足(まんぞく)するのだ。291それさへあるにヤスダラ(ひめ)刹帝利(せつていり)御種(おんたね)292こんな結構(けつこう)(こと)が、293ようマア如何(どう)して勃発(ぼつぱつ)したのだらうかな。294南無大自在天(なむだいじさいてん)大国彦大神(おほくにひこのおほかみ)295(つつし)(うやま)感謝(かんしや)(たてまつ)ります。296あゝあ今日(けふ)(くらゐ)()(うへ)(こぶ)がとれて愉快(ゆくわい)(こと)があらうか。297エヘヽヽヽヽもう(たれ)遠慮(ゑんりよ)()らぬ、298天下(てんか)()れての夫婦(ふうふ)だ』
299独言(ひとりごと)(ひと)(よろこ)んでゐる。300そこへ(となり)(ふすま)をガラリと()()け、301(かみ)ふり(みだ)し、302馮河暴虎(ひようがばうこ)(いきほひ)(あら)はれたのはテーナ(ひめ)であつた。303矢庭(やには)首筋(くびすぢ)剛力(がうりき)(まか)せてグツと(おさ)へ、
304『えーえ、305(なに)もかも()らぬかと(おも)うて(かへる)(くち)から白状(はくじやう)(いた)したな。306もう(この)(うへ)はテーナ(ひめ)死物狂(しにものぐる)307生首(なまくび)()()地獄(ぢごく)八丁目(はつちやうめ)まで(かた)げて()つて(おに)()はしてやるから左様(さう)(おも)へ、308如何(どう)ぢや如何(どう)ぢや』
309(あたま)めしやげる(ほど)(たたみ)(おさ)へつける。310カールチンは(くる)しさに()へかね、311キヤツと悲鳴(ひめい)をあげる途端(とたん)に、
312『これこれ旦那様(だんなさま)
313()(おこ)したのはテーナ(ひめ)であつた。
314旦那様(だんなさま)315えらう(うな)されてゐましたな。316しつかりなさいませ。317えらい冷汗(ひやあせ)()てゐますよ』
318『あゝあ、319(ゆめ)だつたか、320ま、321(ゆめ)でよかつた。322貴様(きさま)余程(よほど)ひどい(やつ)だな』
323(なん)ですか、324(わたし)(ゆめ)御覧(ごらん)になりましたの。325へー、326(なに)(わたし)(おこ)られるやうな(こと)をなさつてゐられるので、327そんな(ゆめ)御覧(ごらん)になつたのでせう』
328(なに)329(まへ)武者振(むしやぶり)(ゆめ)()たのだ。330それはなア随分(ずゐぶん)331白馬(はくば)(うへ)(また)がつて軍隊(ぐんたい)指揮(しき)する(いきほひ)目覚(めざま)しいものだつたよ。332あれが(わし)女房(にようばう)かと驚嘆(きやうたん)のあまり()()めたのだよ、333アハヽヽヽ』
334『オホヽヽヽ』
335大正一一・一一・一四 旧九・二六 北村隆光録)
   
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