諒解は人生にとり偉大なる信用なれば心配れよ
艱難の重なる度に自己愛の私欲の念慮薄らぎ去るなり
人間の自己の力を知悉して進退すれば過つことなし
理想的人の少なき世の中は不徹底なる宗教に迷ふ
静けさも閑に入らずば天地の神に通ずる考察力なし
疑ひの的となるべき物事に関係せざれ神を知る身は
群衆は勢ひに乗り諒解の無きまま大事を決議するなり
我以上偉大の人に交はれば人格とみに向上するなり
世の中に不羈独立の身なりせば居宅の如きは不用とぞなる
熱心と熱中心と熱狂は信仰上に大区別あり
久方の天津御神の御心にかなふは真の天爵なりけり
虚勢のみ張りて実質微力なるは皆人間の事業なりけり
国政の一部と雖も野心家に任せる時は私利を貪ぼる
私利私欲外に物なき政治家に左右さる国禍なるかな
親密なる朋友の間は人の見て却つて疎なる如く思はる
念に念入れし事業の成果こそ天地に適する恵みなりけり
私の欲望なくば人の世は心痛むる災は無し
記憶力強き弱きは敏鈍の力を試めす度衡なりけり
日々に己を責めて世の人を賞むるは神の心に叶へり
前後無きは今日の日一日と思ひて一事をなほざりにすな
常識は神の誠の道学び得たる智慧より何ものもなし
人生に汗と油のなかりせば四魂五情の紅き血もなし
神ならぬ人の身なれば十全は難しと知りて直ぐに改め
用の無き人は来らず必ずや裏面の在りと知りて交はれ
曲世には曲の策略も咎無しと唱へて曲が世を乱し行く
何事も取り過ぐるより他の人に与え過ぐるぞ過ち尠なし
貸主の忘れたるをば奇貨として返戻せざるは盗人なりけり
村肝の人の心の行き交ひは天気の如く定まりし無し
長上に弁解するは人として難事の中の難事なりけり
篤実の村には別に法規なし神の友垣法規を知らず
何事も己が心の迷ひより知らず識らずに敵招くなり
世の中に軽挙妄動する罪はいや永久に消ゆる事なし
世の中に学者賢者と称へられ衆を愚弄し飯を食ふなり
欲望を制し切らずば必ずや死に制せらる世の中と知れ
一切に優らき人々押し並べて生れ乍らに自ら大なり
正しきを貫徹すれば強烈なる邪悪忽ち逃げ失するなり
憂愁に沈む心を押し開き歓喜の苑に遊ぶまめ人
逆境に立つは己れの浅見の罪にこそあれ運命にあらず
惟神かみに任かせば先見の明智自ら具はるものなり
先見の明智無ければ烏羽玉の暗世に如何で立つことを得む
千早振神より出でし智慧なれば闇路行くとも過つこと無し
心安く楽しみ多き世の中を苦しみもがく神知らぬ曲
月も日も清くさやけく照れる世に迷ふは欲の雲あればなり
思ふこと百分一も成らぬ世とくやむは曲の叫びなりけり
一善を為さざりし日は何んとなく心の不快を感ずるものなり
取り止めも無き法螺を吹く人間の多き暗世に心ゆるすな
熱心が過ぎて失敗する大も多き世なれば程々にせよ
反対をさるれば之を応用し進めば大なる勝利とぞなる
不潔なる人の住家は病神の鎮座の地点となるぞ由々しき
目的と主義の貫徹望みなば先づ実行を第一とせよ
便秘は心身共に硬塞す流水の如霊魂を持て
家に風山林に火と人に虫何れも強き仇敵なりけり
目的の善良なれば方法も至つて軽く遂げ易からむ
綾錦高天原の神苑に今日珍らしく仏法僧きく
神苑の松の翠のすくすくと稜威の光伸び立ちにけり
さらさらと松吹く風の音にさへ天津祝詞の言の葉響けり
高天原清き姿をその侭に移して栄ゆる綾の神山
なやましき言の葉しらぬ神苑は家鶏の声さへ爽かなりけり
晴れ渡る御空の色の移るかと思ふ斗りに茂る神苑
松桧の木梅の梢も青々と若葉の翠清しき苑かな
山青く池水清き神苑を彷徨ひ胸を洗ひけるかな
楽焼の土京都より届きしと近侍の便りに聞きし今日かな
若々と本宮山の樹々の枝陽に光りたり露に映えたり
古の神代の姿をそのままに綾の高天の苑に見るかな
君ケ代の千代の栄を祝ぎ奉り栄え栄ゆる鶴山の松
四面皆青垣山に包まれてこの鶴山の静なるかな
地の上に塵一つ無き鶴山の神の御庭の荘厳なるかな
賑はしく祝詞の声の朝夕にどよめき渡る清しき神苑
久し振り綾の聖地に帰り来て心おきなく休らいけるかな
右左松の若樹に囲まれて空仰ぎけり宮居の跡に
いぬる年吾腸をゑぐりたる破殿の槌の音よみがへる
倫常の廃れ果てたる暗の夜を照して救ふ神の御光
命毛の筆にするさへ肌に粟生ふる心地す昔偲べば
浮き沈み七度八度百千度世の荒波を潜り来しかな
国の御祖斎き祀りし神殿も暫時は曲の荒びに任せり
皇神の貴の御在舎建つる日の待たれけるかな鶴山の空
鶴山の貴の風光に憧憬れて日の暮るるさへ忘れけるかな
鵺鳥の影も何時しか消え去りてほととぎす啼く鶴山の森
降りしきる五月の雨も白雲の空啼き渡る山ほととぎす
昔より神の選みし聖場に吾言霊の雄たけびを為す
行き交はす空の村雲眺むれば世の移り行く状に似しかな
縷々として尽きざる神諭千万言繰り返しつつ錦の機織る
現世の事さへ判かぬ人草に御国を諭す業の難きも
選まれて神の手代の宣伝使四方に宣りゆく天の福音
罌粟粒の如き小さき罪科も祓はずあれば根の国を生む
宣伝使形あるもの目にかけずいや進みつつ天国建てゆく
天国に昇る身魂は必ずや月の霊国階段を踏む
願ぎ事の一つ叶へば又一つ願ぎ事の湧く浮世なりけり
平然と大震災の中に立ち人を救ひし大本信徒
目に見えぬ神の御姿朝夕に拝がみ仕ふる吾となりけり
縁の糸に結ばれ吾は和妙の綾の高天に錦の機織る
蓮華台昇りて見れば月冴えて樹々の梢に露の玉照る
遠国の空まで照らす大本の御教は全地の光なりけり
鬼の住みし丹波の国の山奥に光の神の出づる御代かな
斯の道の奥処に深く分け入りて浦安国の鍵を握れり
そむきたる人も追々大本に蘇生り来る時となりけり
年を経て吾植ゑ込みし神苑の諸木見まがふ許り茂れり
能亞の船龍宮館につなぎおきて誠の人を待つぞ久しき
本宮山登りて見れば言ひ知れぬ悔しさの湧く神殿の跡
望の夜の月円山に輝きて霧の丹波も明け初めにけり
夜となく又昼となく大本の神の大道を辿る吾かな
路傍相逢ふ人々も同胞となりて仕うる神の道かな
怖るべき物は此の世に一つなしされど曲れる道は危ふし