道宣りて帰る夕べを人の尾の坂になやみぬ雪解の春を
ぐらぐらと空の奥より降る雪をわけつつ進みぬ宣伝の旅
わが思ふ心あかさむ術もなし雲りきりたる世の人々に
木枯に吹きまくられて山路行くも神代の春を思へばなりけり
踏みてゆく道の隈手も恙なく三十余年を越えて来しわれ
百舌雀雲雀の群にかこまれて三十余年を道のりにけり
幾度か涙の川をうち渡りなやみの谷を過ぎて来し吾
醜神のいたけりくるふ闇の世もむねに朝日のかげを仰ぎつ
いづくよりか神の光のさしそひて吾は悪魔の中をよぎれり
一人のみただ一人のみ奥山の瀧にかかりし若き日のわれ
わが胸をいためし事の幾度か頑迷愚霊の曲を教ふと
秋山の紅葉の色の紅は世のためつくす吾が心はも
夜昼のけじめもわかずかりごもの世をなげきつつ人を教ふる
秋ふかみ神路の山の紅葉葉は天照らす神の御衣なるらむ
このままに死なんはをしと千早振る神の大道をふみし吾れなり
風さむき冬の夜更けを洋燈のもとに神書を書きつづけたり
庭の面の椿の花の音もなく落つる夕べをはかなむ人の世
幾度か死よりもつらき苦しみを味ひにつつ吾れは生きたり
月花も知らず過ぎけり三十年を神の御為身を捧げつつ
ひそやかに曲津のおそふ世の中を安けく生きよ神にまかせて
まなかひに入らねば醜の八十神は人の身魂をうかがひ居るなり
しめやかにみ教を聞きし夕暮は月の面もわけて清しき
大空のひろきがなかに二つなきわが魂をなげ入れて見たき
ま夜中にまなかひさめてふと思ふ人の住む世のあまりせまきを
朝夕に神の教を聞きにつつわが魂はふくらみにけり
世を思ふ涙はあつしみ恵みを感謝の涙はひとしほあつし
業終へて家路に帰る黄昏をうれしみおもふその日の働き
永久に動かぬ山の心もて神の大道に仕へたきかな
蒲公英の花にも宿る天地の神のめぐみを目のあたり見る
もの思ひ日日にたえねば天地の神なつかしみ道に従ふ
人を愛し人を恋ふるはかんながら神のたまひし誠の心ぞ
かむながら自然の道をたどるこそ人のふむべき道義なりけり
かびの生えし古道徳のからをぬぎて吾れは自然の道を歩めり
孔孟の教も仏耶の説法も世に入れられぬ時となりけり
緋衣を着かざりくさい顔をして聖者をよそほふ世捨人あはれ
既成宗教古き道徳世にすたれ真教のなき末世はさびし
今の世に吾が大本の道なくば世はたちまちに闇となるべし
世は降ち人の心はねじけつつ地獄の相は日日に深めり
つくづくと思へば淋しき世となりぬ内外に聞ゆる鬨の声しげし
青山の空にかかれる月光を鏡と窓辺にわが神書編む
雨もよし風もまたよし雷も人の世守る神のいさをし
千早振る神の大道をさとりてゆ見る月かげはわけてさやけき
野に山にしたたる露は天わたる月の鏡の恵みなるべし
居ながらに外国の便り聞き得るもひらけたる世の恵みなりけり
雨の日も風の夕べも知らぬがに三十余年を道説きしわれ
昼夜をゑらぎて暮す人の家は誠の神の館となるべし
足引の山の奥にも月読の恵みの露はうるほひにけり
富士ケ嶺のみ空に冴ゆるかげ見つつ吾が日の本の稜威をおもふ
現世をわかれてゆかむ魂の永久の住家は高天の原なり
しんしんと雪降る山を越えにつつ道宣りし日の吾れ若かりき
心なき舌の剣にかこまれて吾れ言問はず道に仕へし
死後の国ありとはかたく信ずれど惜まるるものは命なりけり
国民の心の悩みまつぶさにミカエルたちてはらはせ給はむ
大祥殿み教の話聞きにつつ心の光はときめきわたる
白梅の花をかざして永久の春を御開祖は天に昇りぬ
わが思ふ望はなかばとげねども今日の生日を楽しみて居り
ひしひしと心に迫る悲しみを祓はせたまふいづのめの教
永久にこの世のものにあらじかし人の生命は霊の故郷よ
神書を座右におきて朝夕を一人つつしむ天国の民
永久に月日をうつす瑞御霊神の心はほがらかなりけり
時をりに吾が歌詠むも楽しみのためにはあらじ道説かんため
大方の世の人々は相応になげかひもてり神知らずして
法悦の涙にむせぶ吾れにしてなげきの涙かはき果てけり
誠てふものは断然なき世かな言の葉草のいや繁らひて
父母はからたまの親主の神は吾が玉の緒の命の親なり
これといふ喜び持たぬ吾れながら心の神にゑませられゐる
大木の梢に宿る百島のやすさ思ひて神にすがらな
わが思ふ心の誠は歌となり言霊となりて世に響くなり
時鳥姿を見せずなき渡る声にひそめる開祖のなげかひ
地の上の旅を終りてまだ見ざる天津神国へゆく人の魂
おほけなくも神のみ国のあちこちに蕃神館のあるは淋しも
雑踏の巷に居ながら淋しきは神の恵みを知らぬ人草
ひたすらに身魂を神に任せつつ死後のみくにを作りおかまし
主の神の救世の舟に浮びたり誠ある人集へ港へ
たなつものゆたかに実る神国は瑞の霊のよさす天国
喜びの色を湛へて集ひ来る人の沢なる地上霊国
主の神のひらき給ひし天国は千代を寿ぐ鶴山にあり
日の本の生命線にあたらしく満洲国は建てられにけり
石の上古き日本の魂を植ゑつけ照らす満洲の国
皇軍の稜威かがやく唐国の野に建てられし満洲の国
夜昼のけじめもわかずおそひ来る新満洲の匪賊なやまし
旗色のよきにまつろひ旗いろの悪きにそむく満洲の民
満洲の民の心をなごめつつ愛善の旗ひるがへしゆく
何一つ野心をもたぬ日の本に猜疑の眼光らす国国
日本魂わが神国になかりせば満洲国は危かるべし
満洲の国民性を調査して時期相応の政事をなすべき
潮泡のこりてなるてふ外国は満洲国に目をみはり居り
内外の蒙古に力尽さずば満洲国は危かるべし
わが国の約三倍の土地をもつ満洲国の難治をおもふ
支那ロシヤ蒙古の国に囲まれし満洲国の難治をおもふ
わが建てし愛善会の精神は国と人との垣とるにあり
わが宣りし人類愛善の提唱にさやらんものはあらじと思ふ
厳魂大本ひらきみづみたま人類愛善の道をひらけり
地の上にわが名のくまなく及ぶ時ミカエルみろくはあらはれ給ふ
ひねくれしわが同胞は世の終り来らんまでは目ざめざるべし
蕃神の醜の教にあざむかれわが国民の心くもれり
千早ぶる神のみ国の日の本もその内実は蕃神の国
神国の誠の道をさとさむといそしむわれをあざける国民
頑迷なるわが国民もやむを得ず眼さまさん時は近めり
四面楚歌の内よりエス語を採用し世界に誠の道をひらきし
支那道院紅卍字会と提携し日支親善のためにつくせし
国国の教の司とあひ計り世界平和の為につくせり
朝夕を神の大道に仕へつつ絵をかき歌詠む暇もてりけり
「神の国」「真如の光」「明光」誌われ世のために刷り初めたり
終日を流れてつきぬ川の瀬にわがなす業を思へば恥し
人知れず世をなげかひし大本の開祖の心をかたじけなみ思ふ
心安く見ゆれどわれは惟神神のみわざにいとまなき身よ