政界の浪高まりて山鳩の通ひかねたる東京湾かな
海荒れて白白にほふ浪の花見つつ思ふも乱れたる世を
荒浪にもまれたたかれ磯ばたの石は残らず円まりてをり
磯の辺の百津石村を行きかひて踏みなづみつつ人の世をおもふ
空蝉の人の心は曇りきりて金に操を曲ぐる世なりき
政権欲にかられて顔の色をかへ都大路を鼻高が飛ぶ
万丈の黄塵立ちて鳥がなく東の空はくもらひにけり
改まる時は来れり蛙等のはらわた露出のみじめなるかも
山鳩の姿も消えて日比谷野の蛙の声も静まりにけり
上も下もくさり果てたる人心清めむとして神は出ませり
大空にとどろき渡る鳥船の翼白白光れる真昼間
国人はスラブの企み白雲のよそに見るなり非常時の春を
宝持つ人は仁義を知らずして私欲のために世を乱すなり
国民の怨嗟の声も木耳の高木に巣ふ山鳩の群
聖場を立ちて三月となりながら未だ定まらぬ国の行方
今日もまた飛行機海中に落ちたりと聞く夕暮に御国を寂しむ
米の値を釣り上げ税金増さむとする我政治家の智恵なき方針よ
天津風都大路に吹きつけて地上のちりを払ひ清めむ
武蔵野の芒の上に嵐して露と散りゆく蛙の玉子よ
幾百の蛙は餌の乏しさにあなたこなたと飛びて逃げゆく
時津風吹きのはげしき夕暮は都大路に人影罕なり
もののふの雄猛びするも永遠の国守らむと思へばなりけり
奴婆玉の闇は追追深まりて我政界に微光さへなし
上も下も悪魔の狂ふ今の世は神の出現またれけるかな
今日もまた鳥船一つ落ちにけり神の心を知らぬ報いか
ソビエートの深き仕組を白波の沖にただよふ国人の群
大亜細亜光とならむ吾にしてただ徒らに時を待つべき
一つ一つ注意しながら進み行く人の臆病大成難し
小人は神の意を知らずして一つ一つに恐れを抱くも
細心もよけれど非常時に対して大胆ならねば大事は成らず