霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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言華(昭和7年1月号)

インフォメーション
題名:言華(昭和7年1月号) 著者:出口王仁三郎
ページ:下巻 3
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-10-18 22:22:22 文字数:5392 OBC :B145400c52
惟神(かむながら)神の大道(おほぢ)にあらざれば今の世界はをさまらざるべし
私利私欲事(こと)とのみする政治家の群(むらが)る現代はわざわひなるかな
日の本の国体(こくたい)の真髄(しんずゐ)知らずして乱れたる世のをさまるべしやは
金銀は皆外国(とつくに)に流れ行きて不景気の風ますますすさぶ
皇軍の勝利の為に軍神(いくさがみ)鹿島(かしま)香取(かとり)の宮に詣(まう)でし
あやめ咲く潮来(いたこ)の島も冬されば見る眼さびしもまこも枯れつつ
千早振(ちはやぶ)る神代(かみよ)にいさを立てましし鹿島の宮は神(かむ)さびませり
杉(すぎ)桧(ひのき)天(てん)をふうじて並(な)み立てる鹿島の宮の荘厳なるかな
軍人(いくさびと)満洲の野(の)に戦へるこの初冬(はつふゆ)をさびしき神垣(かみがき)
八百万神軍(しんぐん)引連(ひきつ)れ満洲に御幸(みゆき)ませしか神垣(かみがき)さびしも
詣(まう)でみれば心さみしも戦ひのこの初冬(はつふゆ)を鹿島は静けし
鹿島おとし舟(ふね)乗りゆけば大利根(おほとね)の波にゆらるる初冬(はつふゆ)なりけり
大空(おほぞら)をふうじて暗き老杉(おいすぎ)の茂る香取の宮は尊(たふと)し
香取神宮(じんぐう)御前(みまへ)に伏(ふ)して皇軍の吾(われ)信徒(まめひと)と幸(さち)を祈れり
日本(やまと)男子(をのこ)吾(われ)は立つべき時なりと雲の流れを見つつ思へり
宣伝使(せんでんし)満洲の野(の)に送りおきてなほ安(やす)からぬこの頃の吾(われ)
時(とき)めける人と日夜(にちや)を語れ共(ども)これと言ふべき人のまれなる
村肝(むらきも)の心定(さだ)めて旅立たむ零下(れいか)四十度の寒き満洲へ
昼夜(ひるよる)のけじめもしらに国の為吾(われ)東京に活動をなす
物欲(ぶつよく)をすてて神国(みくに)につくさんとする人のなき日本(にほん)はさみしき
政権の欲に心をかたむけつ国の前途をよそに見るかな
とりが鳴く東(あずま)の都(みやこ)に来て見れば利欲(しよく)に走る人のみ多き[※「利欲」のフリガナ「しよく」は底本通り。]
まづしかる人に真心(まごころ)多くして富(とみ)たる人は我利(がり)亡者(まうじや)なる
満蒙の国の乱れををさめずば吾(わが)日の本の生命(せいめい)危(あやふ)し
国内は言ふも更(さら)なり満蒙の麻(あさ)の乱れを思ひてねむらず
神軍(しんぐん)のいさをによりて静まりし今後の満蒙一大事なり
満洲に新政権の立たざれば日本(にほん)のなやみ晴るる時なし
皇神(すめかみ)の示し給ひしその如く満洲事件は突発なしたり
大本の役員信者はおしなべて心を注げ満蒙の野(の)に
今日(けふ)の事あるを前知(ぜんち)し過(す)ぐる年(とし)吾(われ)は蒙古に向(むか)ひたるなり
玉の緒の生命(いのち)も宝も皇神(すめかみ)にささげて働く時となりたり
つかさ人(びと)政権欲にからまれて国のなやみをよそに見るかな
現代の経済機関は皇神(すめかみ)の心ならねば乱るると知れ
物質に眼(まなこ)くらみて日の本の稜威(みいづ)を知らぬ人多(おほ)き世なり
吾(われ)は只(ただ)神の御言(みこと)にしたがひて神国(みくに)の為に心つくさむ
満蒙の天地(てんち)を包むむら雲(くも)を吹き払はなむ神の伊吹(いぶき)に
満蒙の雲はらはずば日の本の生命線(せいめいせん)をつなぐすべなし
草枕(くさまくら)東(あづま)の旅にありながら吾(われ)内外(うちそと)に心をくばる
朝夕(あさゆふ)を御国(みくに)の為につくしつつ休(やす)らふひまなき東(あづま)の旅なり
吾(わが)誠(まこと)天津(あまつ)御神(みかみ)に通(つう)じけむ左右の肩にかかる責任
日の本に吾(わ)が生(うま)れたる責任を一入(ひとしほ)強くさとるこの頃
日の本は言ふも更なり全(ぜん)亜細亜(あじあ)の人草(ひとぐさ)の為につくすべき時
支那と言ふ酔(よ)ひどれ男(をとこ)を相手取(ど)り話まとむるはむつかしき哉(かな)
公平無私愛(あい)と善との力(ちから)もて吾(われ)満蒙に進むべき時
満蒙の野にはたらける同胞(はらから)の労苦(らうく)思ひて涙にくるる
乱暴な敵と戦ひ厳寒(げんかん)と戦ふ兵士に感謝の念湧(わ)く
報国の念やみ難(がた)く人(ひと)派(は)して満洲の野に活動せしめぬ
満洲の野に翻(ひるが)へる愛善旗(あいぜんき)は在留邦人の力(ちから)なりけり
邦人は言ふも更なり満洲人(まんしうじん)朝鮮人(てうせんじん)救ふ愛善の旗(はた)
日出麿(ひでまる)をはじめ大本役員等(ら)舎身(しやしん)活躍(くわつやく)満洲になす
大業(たいげふ)を遂行せんと思ふにも今の時代は金(かね)が先(さき)だつ
神神(かみがみ)の造り給ひし地の上は神ならずしておさまるべきやは
政治経済行詰(ゆきづま)りたる世の中ををさむる人の早く出(で)よかし
いづれにか谷(たに)の奥より神人(しんじん)の現(あらは)れ来(きた)りてこの世を治めむ
弥陀(みだ)の世は終(をは)りとなりぬ現幽(げんいう)を救ふみろくの早(はや)出(いで)よかし
常暗(とこやみ)の岩戸を明けてまかがよふ天照(あまて)る神の御代(みよ)ぞまたるる
天照(あまてらす)神(かみ)は御空(みそら)に輝けど中空(なかぞら)包む黒雲(くろくも)いまはし
高山(たかやま)の庵(いほり)を包む黒雲(くろくも)を伊吹(いぶ)き払へよ科戸辺(しなどべ)の神
中空(なかぞら)のくろ雲(くも)はらへば日の本は光り輝く神代(みよ)となるべし
天津日(あまつひ)の光さへぎりて中空(なかぞら)にふさがる雲を払ふべき時
月も日も御空(みそら)に高く照りませど黒雲(くろくも)湧きて地上は闇(やみ)なる
科戸辺(しなどべ)の神の伊吹(いぶき)のなかりせばこの黒雲(くろくも)をいかに払はむ
中空(なかぞら)の雲の行き交(か)ひ眺めつつ吾(わが)魂(たましひ)は満蒙に飛ぶ
来(きた)るべき時は来(きた)りぬいざさらば吾(われ)神国(かみくに)の為につくさむ
今更(いまさら)に教祖(けうそ)の神示(しんじ)の畏(かしこ)さを思ひうかべて夜(よる)もねむられず
四尾(よつを)の山に輝く月光(つきかげ)は夜(よ)の食国(をすくに)の守りなりけり
七夕(たなばた)の神鶴山(つるやま)に天降(あも)りして綾(あや)と錦(にしき)のはたを織らすも
一日(いちにち)も早く身魂(みたま)を磨き上(あ)げこの国難(こくなん)に当(あた)れ国人(くにびと)
吾国(わがくに)は世界の親国(おやぐに)本(もと)つ国(くに)天地(てんち)を守る貴(うづ)の神国(かみくに)
村肝(むらきも)の心急(いそ)ぎつ東京に事(こと)はかる身の吾(われ)はくるしき
急がずばならず急げば又悪(わる)し吾(われ)東京にありて気をもむ
過ぐる年(とし)蒙古に軍(いくさ)進めしも今日(こんにち)あるを思へばなりけり
六十の坂を越えたる吾(われ)乍(なが)ら満洲の野に甦(よみがへ)らむとす
日を重ね月を閲(けみ)して神業(しんげふ)の進むを見つつ吾(われ)は雄猛(をたけ)ぶ
玉の緒の生命(いのち)保ちて国の為吾(われ)満蒙に雄猛(をたけ)びせんとす
愛善のまことの徳を輝かせ満蒙の民(たみ)救はんと思ふ
満蒙の民(たみ)は更(さら)なり地の上の民(たみ)ことごとく愛に救はむ
一切の権威にいます皇神(すめかみ)の教(をしへ)にこの世の闇(やみ)を照らさむ
生活のなやみ無き身となりし身は天地(てんち)に身魂(みたま)投じて動かむ
大空(おほぞら)を仰げば高し地の上を望めば広し惟神(かむながら)の道
在(あ)りとある力(ちから)かたむけ満蒙の民(たみ)救はばや愛善の道
大神(おほかみ)は明治の廿五年より今日(けふ)のなやみを警告し給ふ
大神(おほかみ)の教(をしへ)を無視(なみ)せし国人(くにびと)の今日(けふ)のなやみをあはれと思ふ
願(ねが)はくば一人(いちにん)なりと大神(おほかみ)の道を伝へて世を救はばや
神事(かみごと)を吾(われ)に託して神去(かむさ)りし教御祖(をしへみおや)を偲(しの)びつつなく
吾(わが)教祖(けうそ)捲(う)まず撓(たゆ)まず国の為なやみ給ひぬ廿七年(ねん)
吾(われ)も亦(また)神の大道(おほぢ)に入(い)りてより卅五年(ねん)の月日(つきひ)経(へ)にけり
卅五年(ねん)神の大道(おほぢ)につくしつついさをしなきを恥(はぢ)らひこの頃
外国(ぐわいこく)の空に心を馳(は)せ乍(なが)ら内津(うちつ)御国(みくに)の様(さま)を憂(うれ)ふる
日(ひ)に夜(よる)に訪(と)ひ来(く)る人の大方(おほかた)は我利(がり)と我欲(がよく)の亡者なりけり
天(あま)つ神(かみ)ひらき給ひし国体(こくたい)を知らぬ学生多(おほ)き御代(みよ)なり
外国(ぐわいこく)の教(をしへ)をこのみ日の本のまことを知らぬ学生あはれ
いざさらば吾(われ)満蒙に旅立たむ内外(うちそと)国人(くにびと)救はんがため
曇りたる世にもまことの吾(わが)心(こころ)知る人のあり心(こころ)強しも
一切の物欲を捨てて愛善のまことささげん神の御国(みくに)に
国人(くにびと)のねぢけ曲(まが)れる魂(たましひ)を昔の神代(みよ)に生かす大道(おほみち)
吾(われ)たたば四方(よも)の国人(くにびと)驚かむ三五(あななひ)の月の光(ひかり)仰ぎて
天地(あめつち)の闇(やみ)を照(てら)して輝ける月の光りに木草(きくさ)うるほふ
地の上の総てのものに玉の露(つゆ)めぐみ輝く三五(あななひ)の月
日の出(い)づる国の光りを満蒙の天地(てんち)に照らす時は来(き)にけり
(昭和六・一二・三 於東京)
○
信仰の荒蕪(くわうぶ)地帯たる蝦夷(えぞ)ケ嶋(しま)を開(ひら)きし田中(たなか)師の労苦を思ふ
大神(おほかみ)の経綸(しぐみ)の時機の切迫の今日(こんにち)の吾(われ)は苦言(くげん)のみ吐(は)く
北海道芦別山(あしべつやま)の国魂石(くにたまいし)送りし蝦夷(えぞ)の信徒(しんと)のいさをし
北海道開(ひら)きし田中宣伝使は国魂神(くにたまがみ)の御手代(みてしろ)なりけり
寒国(かんごく)の蝦夷(えぞ)ケ島根(しまね)に道を説く各(かく)宣伝使の健在を祈る
地の上の国とふ国のことごとは行詰(ゆきづま)りけり思想と経済
悪思想(あくしさう)あまねく地上に氾濫(はんらん)しヒマラヤの峰を浸(ひた)さんとぞする
地獄餓鬼(がき)畜生の世となりにけりわれ天国(てんごく)を建てんといそしむ
天国の福音あまねく地の上に鳴り響くらむ神代(かみよ)近みて
常闇(とこやみ)の地上くまなく照らさむとわが放(はな)ちたる東(あづま)の光よ
地獄餓鬼(がき)修羅の巷(ちまた)を眼(ま)のあたりいま満洲の荒野(くわうや)にみるかな
愛善の光りにあまねく地の上の民(たみ)救はんと雄猛(をたけ)ぶわれは
世の中の人の心をおさむるは皆(みな)愛善のまことの光よ
地の上の人の心を和(なご)めおきてわれ愛善の光明(くわうみやう)とならむ
愛善のまことなければ現(うつ)し世(よ)の民(たみ)はいつ迄(まで)従(したが)はざるべし
現(うつ)し世(よ)の政権よりも愛善の光り地上に放(はな)たんと思ふ
空虚なる集団力(りよく)を基礎として政治の衝(しよう)にあたるは危(あやふ)し
風(かぜ)なみがよければ集(つど)ひ悪(あし)ければ皆(みな)散りてゆく現代の政党
人間のサツクを着たる獣(けだもの)が政治に当(あた)る世界は寂(さび)し
黄金(わうごん)の万能力(りよく)を誤信(ごしん)せし報(むく)ひは忽(たちま)ち今の混乱
東洋のわれを忘れてあらがねのこの地の上の光とならむ
神の在(いま)すわが日(ひ)の本(もと)の御光(みひかり)を普(あまね)く地上に照らしたきもの
名(な)ばかりの国際連盟恐(おそ)るるな張子(はりこ)の虎の首(くび)ふるのみなる
連盟は日本(にほん)の国に相対(あひたい)し墓石(ぼせき)の下(した)の姑(しうとめ)なりけり
新(あたら)しき昭和の御代(みよ)は新(あたら)しき人の出(い)でずば栄えざるべし
満洲に新政権を樹(た)つるにも基礎となるべき愛善の道
宗団(しうだん)は既に亡びて迦藍堂(がらんどう)墓石(ぼせき)ばかりが淋しく残る
大寺(おほでら)の裏庭(うらには)見れば累累(るいるい)と役にも立たぬ墓石(ぼせき)並べる
居士(こじ)大姉(たいし)院殿(ゐんでん)などと売りつけるいやしき坊主の所作(しよさ)をあはれむ
いかめしく院殿(ゐんでん)刻(きざ)みし石塔(せきたふ)に襁褓(むつき)を干(ほ)せる末世(まつせ)の寺院よ[※「襁褓(むつき)」とは、赤子に着せる産着のこと。]
満洲の兵(つはもの)の苦(く)を知らずして飽食(ほうしよく)暖衣(だんい)の坊主憎(にく)らし
キリストの奇跡を無視して科学者におもねる牧師の饒舌(ぜうぜつ)いまはし
キリストの牧師は真(しん)のキリストの教(をしへ)を知らぬサタンなりけり
キリストの教(をしへ)の権威を墜(おと)したる偽(にせ)牧師等(ら)の罪(つみ)はかられず
霊界の地獄は牧師僧侶にて空席無き迄(まで)みたされしといふ
真正の宗教解(かい)する者ならばわが愛善の道に集(つど)はむ
猜疑心(さいぎしん)嫉妬心(しつとしん)にてみたされし現代日本の職業宗教家よ
人格のすぐれたる者一人(いちにん)も無き宗教界は末法の相(さう)
死骸(なきがら)を墓場に送る職業と思ひゐるらし今の坊主は
天国も地獄も来世(らいせ)に無きものといふ宗教家の愚劣(ぐれつ)に呆(あき)れる
金襴(きんらん)の袈裟(けさ)を美美(びび)しく飾りたて売僧(まいす)は婆媽(ばばかか)の虎の子をねらふ
現代の政治宗教教育は来(きた)るべき世の破産者なりけり
神の道歩(あゆ)む世なれば斯(か)くばかりわが魂(たましひ)のわずらひ無(な)からむ
所所(ところどころ)偽(に)せ救(すく)ひ主(ぬし)現(あらは)れて迷へる羊を地獄に堕(おと)しつ
代議士は五六万円博士号(はかせごう)は一万円で買ひ取るものなり
茶の道の宗匠(そうせう)するも千円の謝金(しやきん)出さねば許さぬ闇(やみ)の世
帝展(ていてん)に出品するも数千円の金(かね)つかはねばパスせぬ世なり
蔓(つる)あればしなびた南瓜(かぼちや)瓢箪(へうたん)も雲井(くもゐ)にのぼる社会なりけり
春(はる)されば国国(くにぐに)の蛙(かはず)日比谷野(ひびやの)に集(あつま)り来(きた)りて騒ぎたつるも
三千年(さんぜんねん)以来開(ひら)けし宗教に現在(げんざい)を治(をさ)むる権威あるなし
古(いにしへ)の未開の人を治めたる宗教この世に何の用なし
反宗教打倒(たたふ)宗教運動はまことの神の心なるべし
現代の既成宗教悉(ことごと)く白壁(しらかべ)塗りの雪隠(せつちん)なりけり
神徳(しんとく)のいやちこなりと人のいふ琴平宮(ことひらぐう)に仕(つか)ふる曲神(まがかみ)
心(こころ)暗く魂(みたま)捻(ねぢ)けし凡俗(ぼんぞく)のよろこび迷ふ曲神(まがかみ)の教(のり)
誤解程(ほど)恐ろしいきもの世にあらじ心を配れ宣伝使達(たち)
神言(かみこと)と人語(じんご)を混同なし乍(なが)ら世人(よびと)を地獄に導く宣使(せんし)よ
人間の編輯したる宗教に世人(よびと)を治むる永遠性なし
日(ひ)の本(もと)の固有のまことあらはして外国(ぐわいこく)導く人(ひと)無き世なり
学校の設備は完全しながらも不徹底なる精神教育
足引(あしびき)の山の奥まで立派なる学校建ちて人心(じんしん)乱(みだ)るる
学校の教員招(まね)き使(つか)ひみればその無学さに吾(わ)れは呆(あき)るる
国体の真義も知らぬ人々が大学教授になる世なりけり
人生にかかはり薄き蟻(あり)一つ研究すれば博士(はかせ)なりけり
大方(おほかた)の宗教寺院教会は大(おほ)泥棒の棲処(すみか)なりけり
政党に属する政治家の大方(おほかた)は米搗(こめつき)バツタの権化(ごんげ)なりけり
学問の切売りをして飯(めし)を食(く)ふ大学教授は蓄音器かも
棺桶に片足入(い)れし元老(げんらう)に頭(あたま)あがらぬ弱き政治家
神神(かみがみ)の開(ひら)きし国を知らずして外国(とつくに)真似る弱き政治家
政治芸術教育までも外国(ぐわいこく)のまねばかりなる現代は寂し
日比谷野(ひびやの)の蛙(かはず)の鳴く声飽(あ)きにけり人間らしき言の葉聴(き)きたき
党会(たうくわい)の議員が住まふ日比谷野(ひびやの)は国家の安危(あんき)をよそに見るかな
足引(あしびき)の北原山(きたはらやま)に白雪(しらゆき)の積(つも)るとみればあきすぎにけり
足引(あしびき)の北原山(きたはらやま)はかげりつつ雪真白(ましろ)にて吹く風寒(さむ)し
草枕(くさまくら)旅にし立てば国々の歌人(かじん)くれくれわれを訪(と)ひゆく
くれくれはルンペンのみと思ひしに驚きにけり歌人(かじん)ありとは
愛善の道を地上にひろめたる吾(われ)には惜(を)しき政治界なり
政治家にならんと思へば曲道(まがみち)を踏まねばならぬ社会の現状
代議士の虚名(きよめい)にあこがれ道ならぬ道を踏みつつ囹圄(れいご)の身(み)となる
五十鈴川(いすずがは)清(きよ)き流れを汲みあげて世人(よびと)の渇(かは)ける魂(たま)うるほさむ
ハルマゲドンいくさ迫りて地の上の諸族ことごと騒ぎ出したり
人間をサツクとなして獣(けだもの)の伊猛(いたけ)り狂ふ今の世さびし
御仏(みほとけ)を商品として飯(めし)を食(く)う坊主の仕業(しわざ)に世は乱れたり
平和会議とは表向き裏面(りめん)には殺人機械の製作に忙(いそが)し
外国(ぐわいこく)の空に御教(みのり)を説く人のなやみ思へば安(やす)からぬわれ
血に飢(う)えし虎狼(こらう)にひとしき人の世を神の力(ちから)にあらためんと思ふ
倫理道徳名(な)ばかりありて実(じつ)の無き獣(けもの)のさばる闇世(やみよ)なるかな
烏羽玉(うばたま)の闇(やみ)は地上におりにけり天津(あまつ)御神(みかみ)を知らぬ世界に
鬼大蛇(をろち)伊猛り狂ふ地の上も天津(あまつ)月日(つきひ)は照(てら)したまへり
若比婁女(わかひるめ)神(かみ)の仕組(しぐみ)の時は来て錦(にしき)の御旗(みはた)織り初(そ)めにけり
惟神(かむながら)神の御国(みくに)に生(おひ)ながら神(かみ)知らぬ人(ひと)多き御代(みよ)なり
夜(よる)されば月の御神(みかみ)の玉の露(つゆ)に地上の生物(せいぶつ)はぐくまれゆく
国魂(くにたま)の神よいでませ神国(かみくに)は獣(けもの)ばかりのすさぶ世の中
八衢(やちまた)に迷へる人を天国(てんごく)に導き救ふ麻柱(あななひ)の教(のり)
満洲の冬は寒けし神兵(しんぺい)のむかふ所に天津日(あまつひ)輝(かがよ)ふ
剣銃(けんじう)をかざして進む神兵(しんぺい)のいむかふ所敵(てき)なき満洲
冬の日の寒さ厭(いと)はず満洲の荒野(あらの)に進む神兵(しんぺい)を思ふ
皇国(くわうこく)の権益を護(まも)る神兵(しんぺい)の進まむ道に幸(さち)あれと祈る
厭離(えんり)穢土(ゑど)と釈迦はいへ共(ども)人間の住むべき地上は天国(てんごく)なりけり
非人道(ひにんだう)非常識なる人間は神の国土を穢土(ゑど)とみるなり
百八十(ももやそ)の曲津(まがつ)の猛(たけ)ぶ今の世は神の光りを覆(おほ)はんとする
世界皆(みな)われに刃向(はむか)ふ世ありとも退(しりぞ)くべきやは神の大道(おほぢ)を
高山(たかやま)の尾上(おのへ)に巣食(すく)う野天狗(のてんぐ)の鼻を折らるる神世(かみよ)近(ちか)めり
恋愛を知る人ならば天国(てんごく)を慕(した)ふ心のあるべきものを
相聞(さうもん)のわれ歌詠(よ)めど真心(まごころ)は神の大道(おほぢ)を知らさむ為(ため)なる
月読(つきよみ)の神は霜夜(しもよ)も雪の夜(よ)も地上の民(たみ)を見守りたまふ
根(ね)の国のさまとなりけり神の坐(ま)すわが日(ひ)の本(もと)も曲(まが)のすさびに
なやましきこの世なるかな政治家は政治を知らず宗教を知らず
むつかしき閻魔(えんま)の面(つら)も弁天の笑凹(えくぼ)に吸はるる浮世(うきよ)なりけり
浮雲(うきぐも)の如き栄華を夢みつつ獣(けもの)のサツクが選挙に疲(つか)るる
一年の先さへ見えぬ政治家が上(うへ)に立つ世は禍(わざはひ)なるかな
野(の)に叫ぶ予言者ならずヒマラヤの尾嶺(をね)に下(くだ)りし伝達使(でんたつし)なり
欧米の国の空まで愛善の珍(うづ)の光りはさしそひにけり
皇孫(すめみま)の天降(あも)り給ひし神国(かみくに)は皆(みな)神の子の棲処(すみか)なりけり
絵に描きし餅(もち)にも似たり現代の人間味(あぢ)なく食(く)らへんものかな
天国と地獄の有無(うむ)を知らずしてことさやぐかな醜(しこ)の牧師が
浅ましき世とはなりけり獣(けだもの)が人の皮着(き)て神のまねする
さまざまの宗教あれど天国に導く道を知るものはなし
木に餅(もち)のなりたる如き法話にて世人(よびと)欺(あざむ)くきたなき坊主よ
行詰(ゆきつま)り行詰(ゆきつま)りたる現代を展開させる宗教はなし
目に見えぬものはことごと否定する現代学者のこざかしきかな
弥勒の世はや来(こ)よかしと祈りつつ信徒(まめひと)地獄の所作のみをする
死の神はものいふ間(ま)さへわが命(いのち)狙ふと知らぬ暢気者(のんきもの)かな
新玉(あらたま)の春は来(き)にけりいざさらば神の御国(みくに)を地上に建てむ
白梅(しらうめ)の花の薫りの清(すが)しさを保ちてこの世に生きむとぞ思ふ
(昭和六・一二・二二 於高知)
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