火と水と土とをもちてつくりたるこの楽焼の五色のさえ
火と水と土のめぐみをねり固め日地月なす茶碗をつくる
日地月まるき形の楽焼にあらはれ出でし釉薬の星
世の人に神の道とく吾なれば自給自足の業をいとなむ
更生の年を迎へし吾ながら田作る業はうまざりにけり
八十四の母と並びて稲の田に今年も苗を植ゑて楽しき
待ちわびし梅雨あめふりて農園の田の面青青苗さし終る
植ゑし苗の秋のみのりを祈りつつ早苗振祭りつかへてしかな
汗しぼり夏の田の面に草をとる大百姓のいそしき姿よ
吾が植ゑし茄子の畠は紫のやは葉しげりてつぶら実なれり
一もとに千咲く花の悉くあだ花のなき茄子はめぐし
朝ばれの茄子の畠にわけ入れば露に光れる紫紺のつぶら実
茄子の畑のかたへに植ゑし胡瓜棚の筆先に匂ふ小さき黄の花
瓜の蔓かきわけみればうひうひしき蔓の根本に筆結び居り
天地の神の恵みに種津物しげる畠に立ちて楽しき
百姓の副業として鯉の子を買ひて放ちぬ神苑の田の面に
座食する既成宗教を匡さんと吾は自給の業にいそしむ
惟神まことの道は自給自足月日と共に働くにあり
いとまあれば絵筆に親しみ鎌をもちまた林業に吾はいそしむ
人間の生命の糧をつくるこそつとめの中のつとめなりけり
吾妹子は機にいそしみ農業に吾ははげみて糧をつくるも
ひまあれば著作にいそしみ歌つくりまたも選みて時を惜しみぬ
進みゆく月日の駒に神ならひ吾は進展主義をとるなり
とりこしの苦労もなさず過ぎ越しの苦労もおもはず刹那を進む
進展は神のみ心緊縮は皆凡人の心なりけり
こはれたる吾が大本を生かせしも吾が進展のいさをなりけり
肝玉を太く広けくもちながら心小さくくばりて進め
日に月に進展するは惟神畏縮退嬰人ながらなる
七転び八起の関を越えし吾この世の味をつぶさにさとりぬ
人間の力となるは神をおきて外に一つの何ものもなし
世はくだち人の皮きるけだもののをたけびゆゆし心ゆるすな
かりごもの乱れ乱れてゆきつまるこの世を救ふ人出でよかし
物質にのみたましひをうばはれてまことの道を知らぬ濁り世
外国のよからぬ思想はびこれる吾が神国を神に清めむ
日の本の魂濁りけがれつつ外国学びのみぞ栄ゆる
天津日の出づると共に起き出でて日の入るまでも働く人の道
吾が若き日にくらぶれば今の世の青年なべてなまけものなる
せちがらき世なりと云へど大神の道ゆく身には安かりにけり
宗教は牧師僧侶をふりすてて人の心の奥そこにすむ
神国のまことの政治は現代の政治家すてて龍宮に入る
諸善神皆龍宮に入りたまひ悪神ばかり跳梁する娑婆
会計と経済学とを混同し不景気風に悩む政治家
減俸の声に曲津はたち上り山川一度にどよみたるかな
個人主義の世とはなりたり吾が国の危急おもはず騒ぐ減俸
吾かつて活躍したる満蒙はいよいよ御国のなやみとなれり
盗人をとらへて縄を綯ふ様な盲目のやりかた国を亡ぼす
天津神国津御神の守りますこの神国は常世にもがも
言霊のたすくる国と云い乍ら其言霊を乱す人のみ
かかる世に吾が大本のなかりせばこの神国は乱れはてなむ
世の状を朝な夕なにながめつつ吾が大本の尊さを知る
宗教は数多あれどもおしなべて営利会社の変名なりけり
宗教の美名にかくれ曲神は人の汗吸ひあぶら飲むなり
宗教の名を聞くさへもいまはしく思はるるまで乱れたるかな
物質界に魂をぬかれて霊界の消息知らぬ世人をあはれむ
不老不死たまの生命をもちながら亡ぶと思ふ世人のあはれさ
人間の屑のみ多き世の中はまことの神の教へを聞かず
骸骨が山の尾の上にあらはれて亡びの種をまきちらすなり
骸骨にあざむかれつつ数千万の亡者は闇につかみあひつつ
きずものの器を床に並べ置きて小言のみ云ふ亡者連かな
折角につまみ上げたる蛍火は日比谷の蛙となりてさやぐも
田の中に生み落されしお玉杓子の蛙となりて日比谷野になく
うかうかと道も歩けぬ今の世は狐狸の娑婆にぞありける