霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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言華(昭和7年3月号)

インフォメーション
題名:言華(昭和7年3月号) 著者:出口王仁三郎
ページ:下巻 42
概要: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2025-10-18 22:22:22 文字数:4924 OBC :B145400c54
全世界の既成宗教ことごとく改革すべき時は迫りぬ
不合理なる教理ことごと否定して現代むきの立教の要(えう)あり
既成宗教肯定したる改革はしばしを糊塗(こと)する力(ちから)さへなし
現代の文明人はことごとく既成宗教を肯定せざらむ
改革の名刀振(ふる)ひ否定の斧(をの)既成宗教の頭上に加へむ
反宗教運動起(おこ)るも無理ならじ有害無益の既成教団に
殿堂の輪郭美観をたもてども精神のなき既成宗教
生活をはなれて政治宗教のあらざる理由を知らぬ現代
大寺(おほでら)の坊主は飽食暖衣(だんい)して愚者(ぐしや)の懐中搾取してをり
禁欲を標榜したる宗教の寺院の僧侶も酒呑(の)み妻もつ
酒を呑み妻帯するは不可ならず活動なきが僧侶の瑕(きづ)なり
宗教の改革説は幾度(いくたび)もあらはれたれど要領を得ず
根本的改革せざれば現代の宗教死滅(しめつ)の他(ほか)なかるべし
在来の惰力(だりよく)によりて命脈を保てる既成宗教さびしき
わが国の神道仏教ことごとく時代遅れの寝息(ねいき)ものなる
不徹底なる教理をいまにふりまはし得意然(とくいぜん)たる宗教家の愚劣さ
人心(じんしん)を収攬(しうらん)すべき宗教が今は大衆にかへりみられず
極楽と地獄をつくり人心(じんしん)をおびやかしたる宗教の末路
無始無終神(かみ)の御霊(みたま)の分派たる人は必ず不老不死なり
身体(しんたい)は人間そのものの容器なり容器はをりをり破るることあり
霊(れい)に偏(へん)し体(たい)に偏(へん)せる論説は決して正しき教理にあらず
霊(れい)力(りよく)体(たい)一致せざれば真実の世を救ふべき教(をしへ)にあらず
数千年以前(いぜん)の教理を現代にひろめむとする宗教家の迂闊(うくわつ)
冬衣(ふゆごろも)真夏の人にすすむるは既成宗教の矛盾なりけり
現代の文明人種を指導する宗教ならずば栄えざるなり
二千年の星霜(せいそう)を経(へ)たる宗教の害毒世界を混乱せしめし
人心(じんしん)を脅迫しつつ命脈を保ちし法(のり)の滅びは来(きた)れり
到るところ宗教の殿堂ありながらその福音に浴する者なし
凡俗よりきたなき心もつものは既成宗教の僧侶なりけり
棚蜘蛛(たなぐも)が巣をかけて虫を待つごとく亡者(まうじや)の葬式(とむらひ)待つ坊主かな
四(よ)ツ手(で)網(あみ)水に下(おろ)して魚(うを)あさる漁夫(ぎよふ)に似たるも今の坊主は
地の上に天国浄土を築かむとわれ朝夕(あさゆふ)に大道(おほみち)を説く
梅かをるこの初春(はつはる)を知らぬがにお玉杓子が選挙に狂ふ
国民(こくみん)の輿望(よばう)にかなひし政策をなしたる政治家いままでになし[※輿望とは、衆望の意。]
大政党の看板うてど実際の政治は一寸先(いつすんさき)も見えざる
金(きん)解禁又(また)再禁と政治家が民(たみ)の安危を度外するなり
立派なる主義綱領を並べたてわれ等(ら)をあざむく現代政治家
政治宗教教育芸術腐敗して世はますますに乱れゆくなり
満蒙の政策一歩あやまらばわが日(ひ)の本(もと)の前途危(あやふ)し
われはただ黙黙(もくもく)として満蒙の政治の結果みるばかりなる
政権に無関心なるわれながら人心(じんしん)をさむることは忘れず
満蒙に愛善の旗ひるがへし民(たみ)の安危をわれ守るなり
正義人道地(ち)をはらひたる現代は正(ただ)しき者の圧迫されつつ
四面(しめん)楚歌(そか)の中にわれ泰然として愛善の道をひらきし
一石(いつこく)の籾種(もみだね)播(ま)くを半石(はんごく)にへらして緊縮政策といふ
苗代(なはしろ)にまかず河原(かはら)に籾種(もみだね)をまきて積極政策といふ
人間の屑(くず)が蛙(かはず)となり変(かは)り日比谷(ひびや)ケ原(はら)にガアガア啼(な)きたつ
政治家の応援演説馬鹿らしくわれ高殿(たかどの)に昼寝の夢みる
衆議院候補の中(うち)はおとなしく当選のあかつき変(かは)る人格
蓄音機米(こめ)つきばつたの遠近(をちこち)を迷ひまはれる選挙の春なり
憲政か将(はた)権勢かは知らねども鞍馬天狗をみる心地すも
○
帝展(ていてん)の陳列作品眺(なが)めつつ芸術界の無気力おもふ
入選の展画(てんぐわ)を見ればことごとく画面にうかぶ情実(じやうじつ)の文字(もじ)
代議士も博士(はかせ)も帝展入選も残らず金(かね)のお化(ばけ)なりけり
絶世の学者も黄白(くわうはく)なき時は到底博士(はかせ)になれぬ御代(みよ)なり
経済の真諦(しんてい)知らぬ政治家の上(かみ)にたつ世は禍(わざは)ひなるかな
真人(しんじん)と偽人(ぎじん)を知らぬ政治家が何時(いつ)も偽人(ぎじん)の甘言(かんげん)にのる
東西南北天(そら)と地(つち)よりせめらてわれ大本を開(ひら)き来(き)にけり
どこまでも正義の光りを輝かし常暗(とこやみ)の世をてらさむとおもふ
○
小人(せうじん)は人(ひと)の小事(せうじ)を指摘して大事(だいじ)の如く狂ふものなり
小人(せうじん)はわが心魂(しんこん)をかへりみず人のことのみ目につくものなり
井底(ゐぞこ)よりみ空(そら)を仰ぐ如くなる小人(せうじん)の目に真理はうつらず
俗人の目にみえざるは聖雄の言行心(げんかうしん)の動きなりけり
同気相(あい)求むるといふ諺(ことわざ)の如く曲津(まがつ)に曲津(まがつ)あつまる
大神(おほかみ)の名を看板に強欲な人の心をあざむく曲神(まがかみ)
曲神(まがかみ)にあざむかれつつ損をするは貪欲心(どんよくしん)の報いなりけり
愛善の道より他(ほか)に野心(やしん)なきわれ満蒙をしづかにみてをり
欲の皮はげてほろぶる時来(く)ればわれは天下の為に起(た)つべし
名誉餓饑(がき)我利我利亡者政治餓饑(がき)の末(すゑ)をみてやる愛善のわれ
内外(ないぐわい)の人の心を愛善のまことの光りに照(てら)したきもの
愛善のまことに燃ゆるわれにしてひややかにみる満蒙の新政(しんせい)
満蒙の新政(しんせい)をする子供等(ら)の御手際(おてぎは)しばらく拝見せむと思ふ
心境の変化なき世をどこまでも初心を貫(つらぬ)け宣伝使たち
大本を宣伝するは神のため御国(みくに)のため世の人のため
大本の教理を既成宗教と盲(めくら)学者が比較している
不徹底な迷信くさき教理とは天地(てんち)霄壌(せうじやう)の差ある大本
かく言へば我田(がでん)引水(いんすゐ)大法螺(おほぼら)と盲(めくら)学者はあざけるならむ
世の中のあらゆる学者の質問に応じてひるまぬ大本の道
千早振(ちはやふ)る古き神代(かみよ)のことがらをいや新(あたら)しく説けるわが道
単純より複雑となり単純にかへりはじめて真理さとらむ
愛善の光り宇内(うだい)に輝きて地上天国の礎(いしずゑ)かたまる
満蒙の天地(てんち)にわれは野望なし地上の人類愛善に救はむ
愛善のまことの道を知る人はわれに来(きた)りてともに働け
荒(くわう)蕪地(ぶち)は涯(はて)しも知らにいや広し一時(いちじ)も早くまことの種(たね)播(ま)け
種(たね)まけば必ず花さく地の上と思ひて開(ひら)けわが宣伝使
ゆくとして可(か)ならざるなき神業(かむわざ)はまことの神の守ればなりけり
○
世の人に踏みにじられて堪えしのび忍びてわれは道を開けり
親族(うから)家族(やから)友垣(ともがき)までもわが業(わざ)をさまたげしたる昔をおもふ
神業(かむわざ)に三十余年仕(つか)へつつなお寸暇(すんか)なきわれなりにけり
二十年教御祖(をしへみおや)と相並びわれ大本の道を説きたる
堪へ忍び堪へ忍びつつ御教(みをしへ)を信徒(まめひと)とともにわれ開きたり
小心(せうしん)なる信徒(まめひと)たちに囲まれて三十年を悩み来(き)にけり
古(いにしへ)の道を開きし宗祖(しうそ)にもまさりて百(もも)の悩みにあひぬ
幾度(いくたび)かわが生命(せいめい)をねらはれて安く大道(おほぢ)に仕へ来(き)しかな
愛善のまことの力(ちから)に敵すべきものはあらじとしみじみ思へり
力(ちから)限りわれに背(そむ)きし信徒(まめひと)もいまはまことの御子(みこ)となりけり
大(おほ)いなる望みはあれど些細(ささい)なる世の事柄に心はなさず
幾度(いくたび)か危(あやふ)き橋を渡りつれど安く来(き)にけり神の守りに
わが影(かげ)のほかに頼まむものなしと幾(いく)たび歎(なげ)きしこともありけり
わがかげも曇りたる日は従(したが)はず淋しきままに神に頼りぬ
鶴山(つるやま)の高殿(たかどの)に雪を眺めつつ昔の綾部を思ひ出(い)でけり
教祖神(みおやがみ)よさし給ひし鶴山(つるやま)はいま大本の聖場(せいじやう)となる
こはたれし宮居(みやゐ)のあとの神声碑(しんせいひ)三千世界に呼びかけてをり
○
無気力な正直者に曲津神(まがつかみ)うつりてあらぬ事のみをいふ
救世(きうせい)の光りは東方よりといふ教(をしへ)をたてに曲津(まがつ)おたけぶ
貪欲の信者は曲津(まがつ)の醜事(しこごと)にあざむかれつつ微笑(ほほゑ)むおかしさ
吾(われ)こそは三千世界の救ひ主と欲にとぼけた信者をあざむく
口(くち)とがり目はつり上(あが)り相好(さうごう)は遂に狐の正体あらはす
日(ひ)出(い)づる国の御民(みたみ)にあるまじき言辞を弄(ろう)する曲津(まがつ)の容器(いれもの)
千早振(ちはやふ)る神の造りし神の国は神の御裔(みすゑ)のしろしめす国
天照(あまてらす)神の御裔(みすゑ)は日(ひ)の本(もと)を千代(ちよ)万代(よろづよ)に治めます君(きみ)
大君(おほぎみ)を敬(いや)まひまつり神斎(いつ)く御業(みわざ)は御民(みたみ)の務めなりけり
上谷(うへだに)にすぐひし曲神(まがかみ)時を得ず八木(やぎ)にうつりて偽りごとせし
小北山(こぎたやま)八木(やぎ)の曲神(まがかみ)大阪に走りて深の魂による[*「深の魂」は底本通り。フリガナは無し。]
吾(われ)こそは厳(いづ)の霊(みたま)の再来よ大(おほ)みろくよとよた云ふ曲神(まがかみ)
聖師より特別契約ありといひてまつかな嘘(うそ)をこねる曲神(まがかみ)
不徹底な信者に対し曲神(まがかみ)は絶対服従を強要するなり
狸(たぬき)でも病(やまひ)ぐらゐは直すなり神との区別をあやまるなゆめ
いや果ての救世主こそ吾(われ)なりと瑞霊(ずゐれい)いひしと信者をあざむく
瑞霊(ずゐれい)があなたは何をしてもよいといはれたなどと信者をあざむく
一厘の経綸(しぐみ)はすなはち吾(われ)なりと人三(にんさん)化七(ばけしち)信者をあざむく
自分等(ら)の鎮魂力(りよく)は絶対だ医者も薬もいらぬとほざけり
穏(おだや)かな人の相好(さうごう)変(かは)りたり曲(まが)につかれし去年(こぞ)の春より
きみなくば鹿島(かしま)香取(かとり)に詣らぬと瑞霊(ずゐれい)言つたと信者にほら吹く
人のことさばくはいやな吾(われ)なれど世人(よびと)の為に暴露するなり
宣伝使も嘘を平気で語るやうになればその身の破滅とこそ知れ
今の中(うち)に改めざれば止(や)むを得ず吾(われ)神界の帳(ちやう)をきるべし
信徒(まめひと)は知らず信ずと云ひ乍ら泥に落つれば泥の身となる
江戸つ子は五月(さつき)の鯉(こひ)の吹き流し空(むな)しき腹にあきれはてたり
落着(おちつき)のない東京の人人(ひとびと)は狐(きつね)狸(たぬき)をこよなく信ずる
天然社(てんねんしや)明道会(めいだうくわい)と次次にあざむかれつつ世に恥(はぢ)をかく
川崎の不動や穴守(あなもり)稲荷など軽薄者(けいはくもの)の心に叶へり
○
綾部町(あやべまち)の屋根に白白(しろじろ)積む雪をてらして清(すが)しき鶴山(つるやま)の月
月の夜(よ)を高台(たかだい)にたちて眺め入(い)る綾部の戸戸(ここ)の雪はすがしも
天国もかくやと思ふばかりなり雪の綾部を照(てら)す月かげ
鶴山(つるやま)の雪の神苑(みその)に照る月をわれ高殿(たかどの)にあかなく見てをり
総選挙に一日(ひとひ)をあますこの春を雪に埋(うづ)もる奥丹波(おくたんば)かな
何一ついふこと知らぬ候補者が激戦場裡(り)に駒(こま)を走らす
当落(たうらく)の峠にたてる候補者のけふこの頃の心をあはれむ
人心(ひとごころ)なきまで狂ふ候補者の駒(こま)のあがきのしのばるるかな
当選の栄(えい)を勝ち得た暁(あかつき)は陣笠(ぢんがさ)つけて端後兵(たごへい)となる
名誉心の餓饑(がき)にかられて候補者がとらぬ狸(たぬき)の皮算用(かはざんによ)する
劫(がふ)を経(へ)し狐(きつね)狸(たぬき)がいどみあふ選挙の春に深雪(みゆき)降(ふ)るなり
人間の屑(くず)が蛙(かはづ)にならむとて雪つまる野(の)をかけめぐるなり
かけまはる米(こめ)つきばつたも当選のあしたとなればそりかへるなり
横柄面(おうへいづら)さげて蛙(かはづ)はそりかへるポンチ絵(ゑ)に似し姿をかしき
田吾作(たごさく)も選挙の日までは拝まれてあとは忽(たちま)ち蛙(かはづ)切りなり
田吾作の家にも総理大臣の手紙舞(ま)ひこむ選挙の春かな
蓄音機米(こめ)つきばつたの化者(ばけもの)が選挙の春をかけめぐるなり
一票は米一俵に値(あたひ)すと鼻うごめかす杢平(もくべい)田吾作
杢平(もくべい)も二月廿日(はつか)の朝までは大臣の前に顎(あご)しやくるなり
威張るだけ威張つておけよ田吾作よもう一日(いちにち)で二月廿日(はつか)だ
二月廿日(はつか)すぐれば杢平(もくべい)もとの木阿弥(もくあみ)と肥(こえ)かつぎして脂(あぶら)しぼらる
総選挙なければ総理大臣の手紙は田吾作の家には降(ふ)らず
田吾作も立憲政治の有(あり)がたさ総理大臣の手紙を手にする
一度(ひとたび)もたづねしことなき田紳(でんしん)の膝(ひざ)をりに来る選挙の春なり
大本の信者になるとて候補者がしらばくれ来(く)る選挙の春かな
代議士といふ怪物(くわいぶつ)の心境は晴曇(せいどん)常(つね)なき秋(あき)に似たるも
一流の紳士なりせば醜悪な代議士などは望まざるなり
国民(こくみん)は政党政治にあきはてぬ展開すべき世を待ちにつつ
熊公(くまこう)のあとに虎公(とらこう)があらはれて木によぢ登り又(また)落つるなり
百舌(もづ)雲雀(ひばり)四十雀(しじふがら)にも似たるかな口(くち)で誤魔化す多弁(たべん)の政治家
国民(こくみん)の義務を重んじ棄権せずわれも一票投じたりけり
我利(がり)蛙(かはづ)日比谷ケ原に集(あつま)りてなきたつ声のさわかしきかな
泥池(どろいけ)のおたま杓子(じやくし)も手足はえ蛙(かはづ)となりて日比谷野(ひびやの)に騒ぐ
墓標(ぼへう)議員着炭(ちやくたん)議員つぎつぎに集(あつま)る日比谷の蛙(かはづ)合戦
落選をすればところにをられぬと泣く候補者の蛙顔(かはづがほ)なる
落選のあしたの顔は小山田(をやまだ)のなきそこねたる蛙(かはづ)に似たるも
親族や知己(ちき)朋友(ほういう)をかけまはり膝(ひざ)をり頼む候補者あはれ
当選をした代議士よ腹たてず御国(みくに)のために働いてくれ
何事(なにごと)も多数政治の現代は蛙(かはづ)も一つの力(ちから)となるなり
百舌鳥(もづどり)が白木(しろき)黒木(くろき)の枝により囀(さへず)りまはる選挙の春かな
満洲の野(の)に苦(くる)しめる兵士(つはもの)を知らず顔(がほ)なる選挙の競争
百年の国家の基礎をうちわすれうちに争ふ総選挙かな
玉の緒の命(いのち)をしまず国のため働く兵士の労苦をおもふ
○
国のため世界のために愛善の道を朝夕(あさゆふ)吾(われ)は宣(の)るなり
代議士になれよとすすむる人ありぬ吾(われ)は人間蛙(かはづ)とならず
政権の欲にからるる我利(がり)亡者(まうじや)の狂へる現時(げんじ)は禍(わざはひ)なるかな
一銭のほどこしもせぬ候補者が湯水(ゆみづ)と金(かね)まく選挙の春なり
家倉(いへくら)を傾け当選したあとで解散風(かいさんかぜ)にをののく蛙(かはづ)
当選をせずば国にはをられぬと田舎の村村(むらむら)叫びまはるも
村のため上様(うへさま)のため国のため吉(よ)き一票をたまへとまはる
あしだまり生(うま)れ故郷(こきやう)にこしらへて均(ひと)しくめぐる村村(むらむら)町町(まちまち)
落選をすれば忽(たちま)ちつばらぬと矢武心(やたけごころ)にかけまはるなり
当選をすれば忽(たちま)ちそりかへる代議士さんのをさだまりなり
日比谷野(ひびやの)の蛙(かはづ)の行列向(むこ)う水(みづ)島のはしばしひこひこまはる
第三区(だいさんく)代議士候補めいめいに大惨苦(だいさんく)をばなめて働く
あわてもの人の選挙を頭痛にやみかけまはるかな百舌(もづ)の如くに
この頃は握手の請求せずとても握手求むる数多の候補者
昨日まで政友今日(けふ)は民政と応援演説する五十雀(ごじふがら)
代議士になる金(かね)あれば満洲の吾(われ)窮民(きうみん)を救はむとおもふ
何もかもしち八おいて苦面(めん)して渋面(めん)つくる落選候補者
政治ごろのくひものとなる候補者の家内(かない)忽(たちま)ち火の雨の降(ふ)る
火の雨を家(いへ)に降(ふ)らして勝ち得たる代議士どもはろくなことせず
家倉を傾けてなりし代議士の知事にもなれぬはかなさ惨めさ
政党の提灯もちて陣笠(ぢんがさ)の役をつとむる田舎の代議士
釣鐘(つりがね)の重さに等しき金(かね)つかひ代議士政党の提灯持(も)ちする
政党の提灯もちをするために釣鐘(つりがね)の如き大金(たいきん)をつかふ
国民(こくみん)の選良様(せんりようさま)をこきおろしすまぬ私(わたし)をゆるし給はれ
国民(こくみん)の千両役者を蛙(かはづ)などと向(むか)ふみずなる吾(わが)言(げん)をゆるされ
(昭和七・二・九 於穹天閣)
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