霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 (まが)(たけび)〔一〇四三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第1篇 千万無量 よみ(新仮名遣い):せんまんむりょう
章:第6章 曲の猛 よみ(新仮名遣い):まがのたけび 通し章番号:1043
口述日:1922(大正11)年10月14日(旧08月24日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
そして、教祖様の言として、上田は結構な御魂を邪神界の神だと言って霊縛をかけたり神界の邪魔ばかりするので、綾部に帰れないようにするのだとおっしゃった。すると大雨で和知川の水があふれ、橋が流されてしまったのも、まったくご神徳のなせる業だと、懇々と説き聞かせ、自分に忠告するのであった。
自分は相当教育もある人たちが、こんなことを信じてわざわざ自分に言って聞かせるために綾部からやってきたことに呆れていた。
足立氏らと入れ違いに、出口澄子がやってきて、福島寅之助や四方春蔵らの神がかりが無茶苦茶に荒れ狂って上田先生の悪口を言い、信者たちがそれを信じ切ってしまっている、と注進に来た。教祖様は何事も神様に任すがよいと言って静観しているが、自分に早く綾部に帰ってもらい、一同の目を覚まして欲しいという。
また祐助爺さんがやってきて、綾部は福島らの神がかり騒ぎで町中の人が野次馬に集まり、しまいには野次馬の中で喧嘩が始まり、車引きの人足がご神前に土足のまま暴れまわって見物人がますます面白がり、困り果てていると報告した。
祐助爺さんは、また信者たちが教祖様の財産を食い物にして、日清戦争に出征した教祖様の息子・清吉さんの恩給もすっかり食いつぶし、それでいてお賽銭も入れず会計もせずに、神がかりだの霊眼だのにかまけていると嘆いた。
喜楽は半紙に爺さんの苦労を慰める狂歌を書いて渡すと、爺さんはありがたく押し頂いて懐に入れて帰った。二三日後、また祐助爺さんがやってきて、大切そうに牛人の金神からの筆先だとうやうやしく差し出す。
喜楽は、爺さんの眼を覚ますために、目の前で筆先を引き破った。爺さんは驚いたが、喜楽は爺さんに、金神からもらった扇子を破ってみろ、と進めた。爺さんは扇子を引き破ったが、罰が当たる気配もないので、また狂乱した村上房之助の神がかりに騙された、と怒った。
喜楽は祐助爺さんと一緒に綾部に帰った。大広間は信者があふれ、外には見物人がごった返してちょっとした騒ぎになっている。村上房之助に何者かが憑依して、信者におかしな命令をなしてたぶらかしていた。
神がかりの村上は自分を見るなり、扇子に何か書いたものをもったいぶって差し出したので、喜楽は一同の目を覚ますちょうとよい機会だと、扇子で村上の顔をたたいた。
奥からは四方春蔵ら三人が、喜楽に神罰を当てろと細い声で叫んでいる。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-31 14:13:07 OBC :rm3806
愛善世界社版:55頁 八幡書店版:第7輯 177頁 修補版: 校定版:55頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 四方(しかた)源之助(げんのすけ)002西村(にしむら)文右衛門(ぶんうゑもん)両氏(りやうし)は、003喜楽(きらく)のすすむる(ちや)()(なが)ら、004(また)(はなし)(つづ)けられた。
005金明会(きんめいくわい)()広間(ひろま)では、006先日(せんじつ)から()()ちて御座(ござ)つた、007沢山(たくさん)金神(こんじん)(さま)竜神(りうじん)(さま)が、008今度(こんど)勿体(もつたい)なくも(うしとら)金神(こんじん)さまが、009(この)()へおでましなさるに(つい)て、010今度(こんど)(さい)に、011今迄(いままで)おちてゐた(かみ)(この)()()げて、012(その)霊魂(みたま)(すく)ふてやらねば、013モウ(この)(さき)万劫(まんごふ)末代(まつだい)あがることが出来(でき)ぬから、014(いま)上田(うへだ)審神者(さには)綾部(あやべ)(かへ)つて()たら、015邪神界(じやしんかい)(かみ)ぢやといふて(ふう)()めたり、016()(ぱら)つたり、017霊縛(れいばく)をかけたり、018いろいろと神界(しんかい)邪魔(じやま)(ばか)(いた)すに()つて、019()(どく)(なが)ら、020(しばら)くの(あひだ)上田(うへだ)綾部(あやべ)(かへ)らぬ(やう)にしてやると仰有(おつしや)つた。021教祖(けうそ)(さま)()言葉(ことば)(とほ)り、022(にはか)大雨(おほあめ)()つて()て、023和知川(わちがは)一升(いつしよう)二合(にがふ)(みづ)()て、024綾部(あやべ)大橋(おほはし)(なが)れて(しま)ひました(ゆゑ)025上田(うへだ)サンが綾部(あやべ)(かへ)れぬやうになつたのも、026これも(まつた)出口(でぐち)(かみ)広大(くわうだい)無辺(むへん)()神徳(しんとく)だと(おも)ひます。027(かみ)さまは大変(たいへん)先生(せんせい)(きら)うて()られますから、028今度(こんど)綾部(あやべ)へお(かへ)りになつても、029(いま)までみたやうに()()さぬ(やう)にして、030何事(なにごと)()らず、031出口(でぐち)(かみ)(さま)神懸(かむがか)りサンの(ことば)(したが)うて(くだ)さらぬと、032いつもゴテゴテ(いた)しまして、033先生(せんせい)には綾部(あやべ)()つて(もら)ふことが出来(でき)ぬやうになりますから、034(わたくし)たちは先生(せんせい)大事(だいじ)(おも)(あま)り、035ソツと()意見(いけん)()たのであります。036兎角(とかく)()(くひ)()たれると()ひますから、037何神(なにがみ)さまにでも敵対(てきたい)なさらぬが天下(てんか)泰平(たいへい)ぢや、038先生(せんせい)()()(とく)ぢや』
039忠告(ちうこく)をする。040喜楽(きらく)相当(さうたう)教育(けういく)あり、041(むら)でも町村会(ちやうそんくわい)議員(ぎゐん)まで(つと)めてゐる(やう)(ひと)が、042こんな(こと)()ふと(おも)へば(あま)りのことで(あき)れて(こた)へる(ことば)()らなんだ。043二人(ふたり)はいろいろと喜楽(きらく)意見(いけん)をした(のち)(かへ)つて()く。
044 それと行違(ゆきちがひ)に、045喜楽(きらく)上谷(うへだに)まで(かへ)つたと()いて、046出口(でぐち)澄子(すみこ)(ひそ)かに(はし)つて()て、
047澄子(すみこ)先生(せんせい)048あなたの()不在中(ふざいちう)に、049四方(しかた)春三(はるざう)サンやら村上(むらかみ)サン、050黒田(くろだ)サン、051塩見(しほみ)サン()()広間(ひろま)(かへ)つて()て、052無茶(むちや)苦茶(くちや)神懸(かむがかり)をしたり、053他愛(たあい)もないこというたり、054()んだり、055(はね)たり、056しまひには(はだか)になつた(まま)屋外(をくぐわい)(はし)つたり、057上田(うへだ)神界(しんかい)大敵役(だいかたきやく)だから、058今度(こんど)(かへ)つて()ても金明会(きんめいくわい)()れることはならぬ、059(みな)(もの)がよつてたかつて()()して(しま)へ、060三人世(さんにんよ)(もと)061これ(だけ)()つたら結構(けつこう)々々(けつこう)062上田(うへだ)悪神(あくがみ)守護神(しゆごじん)ぢや、063(おに)(れい)だから、064鬼退治(おにたいぢ)をすると()つて、065春三(はるざう)サンが先生(せんせい)(かほ)(つの)()えた()()いて、066(くぎ)()つたり(たた)いたり、067(つば)()きかけたりして、068大変(たいへん)(けむ)たがつて、069(わる)(くち)(ばか)()ひますので、070(みな)信者(しんじや)がそれを()()け、071そんな先生(せんせい)なら()んで(もら)へと、072口々(くちぐち)()ふので仕方(しかた)がないので、073教祖(けうそ)さまにチツと()うて()かして(もら)はうと(おも)うて(まを)()げますと、074教祖(けうそ)ハンは平気(へいき)(かほ)で、075何事(なにごと)神界(しんかい)(まか)すがよいと()うて(だま)つて()られますなり、076一体(いつたい)(なに)(なに)やら(わけ)(わか)りませぬ(ゆゑ)077(いち)()(はや)(かへ)つて(もら)うて、078(みな)(ひと)()()()ましたいと(おも)ひ、079役員(やくゐん)信者(しんじや)(かく)れて、080()らせに一人(ひとり)(はし)つて()ました』
081気色(けしき)ばんで報告(はうこく)するのであつた。082そこで喜楽(きらく)は、083(あと)修業者(しうげふしや)四方(しかた)藤太郎(とうたらう)()(まか)しておき、084一先(ひとま)綾部(あやべ)立帰(たちかへ)らうとしてゐる(ところ)へ、085又々(またまた)(れい)祐助(いうすけ)(ぢい)サンが(はし)つて()て、086大地(だいち)()をついて泣声(なきごゑ)()(なが)ら、
087祐助(いうすけ)一寸(ちよつと)先生(せんせい)申上(まをしあ)げます。088昨日(きのふ)夕方(ゆふがた)からお(ひる)までが(あま)(さわ)がしいので、089町中(まちぢう)(ひと)芝居(しばゐ)でも()るやうに面白(おもしろ)がつて(あつ)まり(きた)り、090門口(かどぐち)(みち)(やま)()うに、091大勢(おほぜい)冷笑(ひやかし)()ますので、092大変(たいへん)(こま)りましたけれ(ども)093(なん)にも()らぬ盲人間(めくらにんげん)だと(おも)うて、094相手(あひて)にせずに役員(やくゐん)信者(しんじや)も、095一生(いつしやう)懸命(けんめい)幽斎(いうさい)修行(しうぎやう)して()ました(ところ)096夕方(ゆふがた)西八田(にしやた)小万(こまん)といふ(くるま)ひきが、097(よこ)細路(ほそみち)空車(からぐるま)をひき(なが)ら……金神(こんじん)々々(こんじん)阿呆(あはう)金神(こんじん)098気違(きちがひ)金神(こんじん)099夢金神(ゆめこんじん)100乞食(こじき)金神(こんじん)101()つからましな人間(にんげん)()(じん)ぢや……と(おほ)きい(こゑ)でいろいろ(わる)いことを(なら)()て、102沢山(たくさん)見物人(けんぶつにん)(わら)はして(とほ)りつつ、103(くるま)泥田(どろた)(なか)転覆(てんぷく)さしました(ところ)が、104丁度(ちやうど)そこを(とほ)りかかつた(ひと)が、105それを()て……お(まへ)(あま)金神(こんじん)さまの悪口(わるくち)()うたので、106神罰(しんばつ)(あた)つたのぢやと()ひましたら、107人力曳(くるまひき)小万(こまん)(おこ)つて、108(その)(ひと)(なぐ)りかけましたので、109ビツクリして西(にし)(はう)一目散(いちもくさん)逃出(にげだ)しました。110サアさうすると小万(こまん)が……金神(こんじん)信者(しんじや)たるものが、111(ひと)(どろ)まぶれになつて(こま)つて()るに(ばち)とは(なん)ぢや、112そんなことを(ぬか)した(やつ)を、113(いま)ここへ(ひき)ずり()せ……と呶鳴(どな)つて広間(ひろま)へあばれ()み、114西原(にしばら)善太郎(ぜんたらう)サンが(まゐ)つて()りましたら、115(しろ)浴衣(ゆかた)()てゐた餓鬼(がき)ぢや、116此奴(こいつ)(ちが)ひないと()つて、117土足(どそく)のままで()神前(しんぜん)へあがり、118あばれ(くる)ひ、119(かみ)さまの()道具(だうぐ)(かた)(ぱし)からメチヤメチヤに(たた)(こわ)して(しま)ひ、120沢山(たくさん)(まち)(ひと)面白(おもしろ)がつて、121……ヤレ金神(こんじん)征伐(せいばつ)ぢや、122ヤレヤレ……とケシをかけたり嘲笑(あざわら)つたりして、123一人(ひとり)仲裁(ちうさい)する(もの)はなし、124散々(さんざん)(かみ)さまの悪口(あくこう)()うた揚句(あげく)ヤツとのことで(その)(ばん)十二(じふに)()(ごろ)(かへ)つて()きました。125(みな)信者(しんじや)はチクチクと(こは)がつてゐますなり、126警察(けいさつ)(そば)にあつても、127(つね)から足立(あだち)サンの行状(ぎやうじやう)(わる)いとか()つて、128保護(ほご)もして(くだ)さらぬなり、129(この)()イも(まこと)残念(ざんねん)残念(ざんねん)(たま)りませぬ』
130とソロソロ(こゑ)(はな)つて()()した。
 
131 (こがらし)(いぬ)()えつく(かべ)(みの)
 
132 (なみだ)をふいて(また)祐助(いうすけ)(ぢい)サンがソロソロと(くや)()した。
133祐助(いうすけ)『モシ先生(せんせい)さま、134よう()いて(くだ)さいませ。135出口(でぐち)(かみ)さまが、136日清(につしん)戦争(せんそう)台湾(たいわん)()くなられた清吉(せいきち)サンの恩給(おんきふ)とか年金(ねんきん)とかを、137これは生命(いのち)釣換(つりかへ)(かね)ぢやからと()うて、138一文(いちもん)使(つか)はずに(ため)ておかれたお(かね)を、139銀行(ぎんかう)からひつぱり()して、140勿体(もつたい)ない白米(はくまい)二石(にこく)()うて(くだ)さりましたが、141毎日(まいにち)日日(ひにち)(みな)(もの)()()()ふので、142最早(もはや)一升(いつしよう)もないやうになりましたから、143(また)出口(でぐち)(かみ)(さま)銀行(ぎんかう)から(かね)()して()て、144白米(はくまい)(あぶら)()うて(くだ)さいましたが、145種油(たねあぶら)(だけ)でも五六升(ごろくしよう)(いち)(にち)(この)(ごろ)()ります。146それでもまだ邪神界(じやしんかい)(くら)いから、147マツと灯明(とうみやう)をつけてくれと、148(さん)(にん)サンの神懸(かむがかり)(くち)をかつて仰有(おつしや)るので、149百目(ひやくめ)蝋燭(らふそく)二三十(にさんじつ)(ぽん)づつ()てますので、150大変(たいへん)物要(ものい)りで御座(ござ)いますが、151(かね)一銭(いつせん)()げやうとせず、152どれもこれも(みな)よいことにして、153出口(でぐち)(かみ)さまの手足(てあし)(ばか)りかぢつて、154心配(こころくば)気配(きくば)りする(まこと)信者(しんじや)一人(ひとり)もなし、155(まこと)にお()(どく)千万(せんばん)で、156(この)()イも(かみ)さまに(まを)(わけ)がない、157四方(しかた)平蔵(へいざう)サンは天眼通(てんがんつう)とかが上手(じやうづ)だというて、158(さん)(にん)サンと(ひと)つになつて、159望遠鏡(ばうゑんきやう)でも(のぞ)くやうに(めう)格好(かくかう)して、160……平蔵(へいざう)どのあれを()やいのう……と(さん)(にん)サンが仰有(おつしや)ると、161平蔵(へいざう)サンが()をふさいでハイハイ(をが)めました(をが)めました、162(おほ)きな竜神(りうじん)さまが(あら)はれましたとか()つて、163一心(いつしん)不乱(ふらん)になつて御座(ござ)るもんだから、164会計(くわいけい)のことは一寸(ちよつと)(かま)うて(くだ)さらず、165中村(なかむら)(たけ)サンは、166筆先(ふでさき)一心(いつしん)不乱(ふらん)(あさ)から(ばん)まで、167(ばん)から夜中(よなか)まで、168阿呆(あはう)のやうになつて、169(ふし)()けては、170()かれ(ぶし)(やう)に、171()んで()んでよみ(たふ)して、172アハヽヽヽ、173オホヽヽヽと(わら)うて(ばか)り、174(なん)にも(やく)には()たず、175出口(でぐち)(かみ)さまはお筆先(ふでさき)御用(ごよう)(ばか)りして、176こんな大騒(おほさわ)ぎをして()るのに、177そしらぬ(かほ)をして()られますなり、178(わたし)もコラ()うなることかと、179(あま)心配(しんぱい)(いた)しますので、180(もと)から沢山(たくさん)ない禿頭(はげあたま)一入(ひとしほ)禿(はげ)て、181(その)(うへ)(かまど)(けむり)黒光(くろびかり)になつて(しま)ひまして、182(みな)役員(やくゐん)サンが……()苦労(くらう)(くろ)うの祐助(いうすけ)とひやかします、183アタ阿呆(あはう)らしい、184(かみ)さまの(こと)でなかつたら、185隠居(いんきよ)身分(みぶん)安楽(あんらく)(くら)せるものを、186(たれ)がこんなことを(いた)しませうか』
187涙交(なみだまじ)りの(くろ)(かほ)(くろ)()()(まは)し、188歯糞(はくそ)(たま)つた(くち)から一口(ひとくち)々々(ひとくち)(つば)()ばして、189喜楽(きらく)(かほ)()きかけ(なが)ら、190一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて(しやべ)()ててゐる。191そこで喜楽(きらく)(そば)にあつた半紙(はんし)(ふで)(はし)らせ、
192禿頭(はげあたま)鳥居(とりゐ)もかみもなきままに
193クロウクロウと愚痴(ぐち)祐助(いうすけ)
194()いて(あた)へたら、
195祐助(いうすけ)『アハヽヽヽ此奴(こいつ)有難(ありがた)い』
196(よろこ)んで押頂(おしいただ)き、197(ふところ)捻込(ねぢこ)んで一目散(いちもくさん)(また)もや綾部(あやべ)(かへ)つて()く。
198 それから三日目(みつかめ)(また)(この)()イさんがスタスタとやつて()て、199(なに)大切(たいせつ)(さう)風呂敷(ふろしき)(づつみ)から手紙(てがみ)(やう)(もの)()し、
200祐助(いうすけ)先生(せんせい)201これは(おそれおほ)くも、202牛人(うしうど)金神(こんじん)(さま)から、203上田(うへだ)先生(せんせい)(たい)しお気付(きづ)けのお筆先(ふでさき)御座(ござ)いますから、204叮重(ていちやう)にして御覧(ごらん)(くだ)さいませ』
205()()す。206喜楽(きらく)(ただち)(ひら)いて()ると、207不規律(ふきりつ)乱雑(らんざつ)書方(かきかた)で、
208牛人(うしうど)金神(こんじん)上田(うへだ)一寸(ちよつと)()をつけるぞよ。209(かみ)都合(つがふ)があるから、210修業者(しうげふしや)一統(いつとう)(ひき)つれて(かへ)るべし、211(この)(かみ)命令(めいれい)(そむ)いたら(こは)いぞよ云々(うんぬん)……』
212(しる)してある。213喜楽(きらく)祐助(いうすけ)()イサンの(まよ)ひを()ます(ため)に、214(その)手紙(てがみ)()(まへ)でバリバリと(ひき)さいて()せた。215(ぢい)サン吃驚(びつくり)して、
216祐助(いうすけ)『アヽ先生(せんせい)勿体(もつたい)ない、217そんな(こと)をなさると神罰(しんばつ)(たちま)(あた)りますぞ』
218躍気(やくき)となる。219喜楽(きらく)祐助(いうすけ)サンに(むか)つて、
220喜楽(きらく)『ナアに心配(しんぱい)()るものか、221(まへ)牛人(うしうど)金神(こんじん)(もら)うたとかいふ(その)扇子(せんす)(ひと)引裂(ひきさ)いてみるがよい。222(けつ)して(ばち)など(あた)るものでない』
223(はげ)ましてみると、224どつちやへでも(ひと)()ふことにつく、225阿呆(あはう)正直者(しやうぢきもの)祐助(いうすけ)サンは、226(その)()でベリベリと(やぶ)つて(しま)ひ、227(べつ)()(あし)(ゆが)(さう)にないので、228祐助(いうすけ)さんはソロソロ地団駄(ぢだんだ)()()し、
229祐助(いうすけ)(この)(あたま)禿()げた()イが、230まだ十八(じふはち)やそこらの村上(むらかみ)(だま)されたか、231エヽ残念(ざんねん)至極(しごく)口惜(くちを)しやなア』
232(その)扇子(せんす)大地(だいち)()げつけ、233()むやら()るやら、234(その)様子(やうす)可笑(おか)しさ、235()(どく)さ、236(なん)とも()ひやうがなかつた。
237 それから祐助(いうすけ)サンと同行(どうかう)して、238金明会(きんめいくわい)広間(ひろま)(かへ)つてみると、239()広前(ひろまへ)には信者(しんじや)(あふ)れて()り、240屋外(をくぐわい)には見物人(けんぶつにん)(やま)をなして、241邪神(じやしん)面白(おもしろ)神懸(かむがか)初版・愛世版では「神懸り」、校定版では「神憑り」。をひやかして()る。242喜楽(きらく)はすぐに(うち)這入(はい)ると、243村上(むらかみ)房之助(ふさのすけ)何者(なにもの)かが憑依(ひようい)して、244沢山(たくさん)信者(しんじや)をたぶらかし、245あつちやへ()け、246こつちやへ()けと(なぶ)(もの)にし(なが)()れまはつてゐる。247(なん)にも(わけ)()らぬ信者(しんじや)が、248(かみ)(さま)だと(おも)うて(こは)がり、249ヘイヘイハイハイと()ふが(まま)になつてゐた。250村上(むらかみ)自分(じぶん)(かほ)()るなり、
251村上(むらかみ)『オヽ上田(うへだ)か、252よく(かへ)つた。253(この)(はう)小松林(こまつばやしの)(みこと)だ。254その(はう)牛人(うしうど)金神(こんじん)命令(めいれい)をよく()いた、255(えら)(やつ)だ、256(その)褒美(ほうび)として(これ)(その)(はう)使(つか)はす(あひだ)257大切(たいせつ)保存(ほぞん)するがよからうぞよ』
258(おほ)きな(ほね)(あふぎ)に、259(なに)かクシヤクシヤと()いて勿体(もつたい)()つて差出(さしだ)すのを、260()()るより(はや)く、261数多(あまた)役員(やくゐん)信者(しんじや)()をさますにはよい機会(きくわい)だと(おも)つて、262(その)大扇(おほあふぎ)村上(むらかみ)(あたま)()()(たた)いてみせた。263信者(しんじや)各自(めいめい)不思議(ふしぎ)(かほ)をして、264喜楽(きらく)(かほ)(ばか)りながめて()る。265(おく)()(はう)から(れい)(さん)(にん)(ほど)(こゑ)として、
266上田(うへだ)殿(どの)(いま)(かへ)りよつた。267大神(おほかみ)さま(はや)神罰(しんばつ)()てて(くだ)さいよ』
268(ほそ)(こゑ)で、269(さけ)んで()た。
270(こころ)なき世人(よびと)(そしり)(なに)かせむ
271(かみ)()かせし(わが)()なりせば
272大正一一・一〇・一四 旧八・二四 松村真澄録)

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10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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