霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第四章 初蚊斧(はつかふ)〔五〇〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第1篇 天岩戸開(一) よみ:あまのいわとびらき(一)
章:第4章 初蚊斧 よみ:はつこう 通し章番号:500
口述日:1922(大正11)年03月06日(旧02月08日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三宣伝使は蚊取別に自己紹介し、挨拶を交わした。三兄弟の宣伝使は、豊の国の白瀬川の滝に潜む魔神を言向け和すために旅をしている、と蚊取別に旅の目的を告げた。
偶然にも、蚊取別も白瀬川の大瀑布の魔神を退治にやってきたことを知った。
蚊取別は、霊縛をかけた群集たちに宣伝しようと、固まっている初公に、宣伝歌を歌わせる。初公は、かつての大自在天の部下であった。そのため蚊取別の昔の悪行を覚えていて、それを宣伝歌に歌いこんだ。
初公は、町の者がかわいそうだから、悪の仮面をかぶって酋長や春公に強談判をしただけなのだ、と言い訳をする。そして、蚊取別の改心を信用せず、三五教の仮面をかぶって悪いことをしているのだろう、と逆に問いかける。
蚊取別は、初公が霊縛をかけられながらも歯に衣を着せぬ物言いをするので、逆に感心して霊縛を解く。
初公は、他の者の霊縛も解くように懇願する。蚊取別は、神様の力で鎮魂ができるのだと諭し、初公に神様の機械になってやってみろ、と促す。
初公は不安の念にかられながらも、惟神霊幸倍坐世を二回唱えて人々に鎮魂術をかけると、一同は元の姿に戻った。人々は涙を流して宣伝使一同に感謝を現した。
初公は、酋長が自分を逮捕しに来ることを心配している。蚊取別は初公に、酋長や春公を言向け和しておいて、白瀬川の魔神退治に一緒に出かけよう、と誘う。
蚊取別はその場の村人一同に教えを諭し、四人の宣伝使は初公を伴って、酋長の館を指して進んでいった。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:29頁 八幡書店版:第2輯 636頁 修補版: 校定版:30頁 普及版:11頁 初版: ページ備考:
001 三柱(みはしら)宣伝使(せんでんし)蚊取別(かとりわけ)()てる(まへ)(あらは)れ、
002高光彦(たかてるひこ)『ヤ、003これはこれは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)蚊取別(かとりわけ)(さま)とやら、004(はじ)めてお()にかかります。005御高名(ごかうめい)(ちち)から(うけたま)はりました。006神様(かみさま)御引合(おひきあは)せ、007(おも)はぬ(ところ)でお()にかかりました』
008蚊取別(かとりわけ)『ヤア、009貴神(あなた)(がた)万寿山(まんじゆざん)磐樟彦命(いはくすひこのみこと)御子(おこ)(たち)ですか。010神国(しんこく)(ため)御苦労(ごくらう)御座(ござ)います。011あなた(がた)(これ)から(いづ)れの方面(はうめん)にお()しのお(かんが)へですか』
012『ハイ我々(われわれ)はイホの(みやこ)()えて、013筑紫島(つくしじま)014(とよ)(くに)白瀬川(しらせがは)(たき)魔神(まがみ)(ひそ)むで災害(わざはひ)をなすと()き、015言向和(ことむけやは)(ため)(まゐ)途中(とちう)御座(ござ)います』
016蚊取別(かとりわけ)『それは結構(けつこう)ですナ。017白瀬川(しらせがは)には六箇(ろくこ)大瀑布(だいばくふ)があつて、018そこには悪竜(あくりう)悪蛇(あくだ)棲処(すみか)(かま)へ、019八頭八尾(やつがしらやつを)大蛇(をろち)気脈(きみやく)(つう)じて、020(この)(とほ)(てん)(くも)らせ、021()(けが)して()るといふ(こと)022(わたし)一旦(いつたん)黄金山(わうごんざん)(かへ)り、023附近(ふきん)()宣伝(せんでん)して()ましたが、024今度(こんど)長駆(ちやうく)して白瀬川(しらせがは)魔神(まがみ)退治(たいぢ)(つも)りで、025此処(ここ)(まで)やつて()途中(とちう)026()れば、027前方(ぜんぱう)炬火(たいまつ)(ひかり)028(ひと)(さけ)(ごゑ)029合点(がつてん)()かずと宣伝歌(せんでんか)(うた)ひながら(はし)つて()()れば、030(あに)(はか)らむや、031御覧(ごらん)(とほ)立派(りつぱ)人形(にんぎやう)陳列会(ちんれつくわい)032何処(どこ)技師(ぎし)(つく)つたものか()りませぬが、033よくも出来(でき)たものです。034おまけに(この)人形(にんぎやう)(べつ)仕掛(しかけ)はない(やう)ですが、035()(たま)(うご)かし、036(なみだ)をこぼし、037つひ最前(さいぜん)までは、038(さけ)()法螺(ほら)をふく、039(うた)(うた)ふといふ(めう)人形(にんぎやう)です』
040三人(さんにん)『アハヽヽヽ』
041蚊取別(かとりわけ)(みな)さまどうでせう。042一々(いちいち)この人形(にんぎやう)(たましひ)()れて、043ものを()はせ、044立派(りつぱ)立働(たちはたら)(やう)にやつて()ませうか。045きつと三五教(あななひけう)(をしへ)帰順(きじゆん)する(やう)になるでせう』
046高光彦(たかてるひこ)我々(われわれ)万寿山(まんじゆざん)立出(たちいで)てより、047まだ一回(いつくわい)宣伝(せんでん)(こころ)みた(こと)はありませぬ。048何分(なにぶん)にも沙漠(さばく)野原(のはら)ばかりを(わた)つて()たものですから………』
049蚊取別(かとりわけ)(わたし)一寸(ちよつと)手本(てほん)()しますから手伝(てつだ)つて(くだ)さい』
050といひ(なが)ら、051化石(くわせき)(やう)になつた人々(ひとびと)(まへ)(すわ)()み、
052『サアサア人形(にんぎやう)さま、053(まへ)()ばかり(うご)かして()るが、054(いま)(くち)(うご)(やう)にしてやる。055(わし)()(とほ)りに()ふのだよ……ウンよしよし、056承知(しようち)か、057(うなづ)いて()るナ……(かみ)(おもて)(あら)はれて』
058 (はつ)059(くち)をモジヤモジヤさせ(なが)ら、
060初公(はつこう)『カメカオモテテニアラワワレテ』
061蚊取別(かとりわけ)『モツト確乎(しつかり)()はぬか。062サアも一遍(いつぺん)()うた』
063初公(はつこう)『カ……カ……(かな)わぬ、064カニして(くだ)さい。065(かなら)(かなら)(こころ)(なほ)します』
066蚊取別(かとりわけ)『ヨシ、067それは(わか)つたが、068(かみ)(おもて)(あら)はれてを(うた)へ』
069 (はつ)は、
070(かみ)(おもて)(あら)はれて
071(ぜん)(あく)とを立別(たてわけ)
072(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
073(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
074ただ何事(なにごと)(ひと)()
075直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
076()(あやま)ちは()(なほ)
077蚊取(かとり)(わけ)(かみ)さまよ
078()けばお(まへ)(その)(むかし)
079()くもない(こと)沢山(やつと)して
080悪神(あくがみ)さまと(うた)はれて
081(いま)(えら)そに其処(そこ)(ぢう)
082(うし)から(うま)()()へて
083(ぜん)ぢや(あく)ぢやと()(ある)
084ホンに世界(せかい)(ひろ)いもの
085わしも(むかし)自在天(じざいてん)
086(かみ)(つか)へた悪神(あくがみ)ぢや
087(その)(とき)(まへ)猩々(しやうじやう)
088(やう)にガブガブ(さけ)(くら)
089(ひと)()かした(やつ)なれど
090どうした(かぜ)()(まは)
091(いま)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)
092(こころ)(いろ)(かは)れども
093やつぱり(かは)らぬ(その)姿(すがた)
094茹蛸(ゆでだこ)みた()姿(すがた)して
095(ひと)(をし)へて(ある)くとは
096それやマア(なん)とした(こと)
097ホンに世界(せかい)(ひろ)いもの』
098蚊取別(かとりわけ)『コラコラ(なに)()ふのだ。099(むかし)(むかし)100改心(かいしん)すれば(その)()から(ぜん)(かみ)だ。101(くち)だけ自由(じいう)にして()れば、102(すぐ)にそれだから………貴様(きさま)容易(ようい)改心(かいしん)出来相(でけさう)にもない。103マア改心(かいしん)出来(でけ)るまで、104百年(ひやくねん)でも千年(せんねん)でも(かた)くなつて(しやち)こばつて()るが()いワイ』
105初公(はつこう)『お(まへ)(むかし)馴染(なじみ)だ。106つひ心安(こころやす)いものだから()つたのだ。107そんな意地(いぢ)(わる)(こと)()はずに、108身体(からだ)(もと)(とほ)りにせむかい蚊取別(かとりわけ)
109『アハヽ、110どこまでも負惜(まけをし)みの(つよ)(やつ)だナア』
111初公(はつこう)(よわ)くて(この)()(わた)れるか。112負惜(まけをし)みなつと(つよ)くなければ、113優勝劣敗(いうしようれつぱい)弱肉強食(じやくにくきやうしよく)(この)()(なか)(わた)れるものか。114(ぜん)ぢや(ぜん)ぢや()(ため)だ、115(くに)(ため)ぢや、116(ひと)(ため)には身命(しんめい)()してナンて()かす(やつ)は、117みんな偽善者(ぎぜんしや)だ。118(おれ)()()えても、119(あく)にも(つよ)ければ(ぜん)にも(つよ)いのだ。120(しか)(なが)らどうしたものか、121(あく)()りたくない。122(まち)(やつ)可愛相(かあいさう)だから、123(いや)でも(おう)でも(あく)仮面(かめん)(かぶ)つて(にく)まれ(もの)になつて、124酋長(しうちやう)物持(ものもち)春公(はるこう)掛合(かけあ)つて()たのだ。125世間(せけん)(やつ)(ぜん)()せて(あく)()る、126(おれ)(あく)()せて(ぜん)(おこな)ふのだ。127蚊取別(かとりわけ)128(まへ)取分(とりわ)けて抜目(ぬけめ)のない(をとこ)だつた。129常世会議(とこよくわいぎ)では一寸(ちよつと)失敗(しくじ)りよつたが、130しかし宣伝使(せんでんし)仮面(かめん)(かぶ)つて(あひ)(かは)らず(わる)(こと)()つとるのだらう。131(かほ)()らぬ宣伝使(せんでんし)なら、132叮寧(ていねい)(たの)みもし、133謝罪(あやまり)もするが、134何分(なにぶん)(まへ)素性(すじやう)(ひやく)承知(しようち)135(まん)合点(がつてん)して()(おれ)としては、136チヤンチヤラ可笑(おか)しいて、137真面目(まじめ)改心(かいしん)するなぞと()はれたものかい。138そんな悪戯(いたづら)をせずに(はや)霊縛(れいばく)()け』
139蚊取別(かとりわけ)()いてやるが、140()いたらモウ(しやべ)らぬか。141三人(さんにん)(わか)宣伝使(せんでんし)(まへ)で、142(むかし)棚卸(たなおろ)しをやられると面目玉(めんぼくだま)(つぶ)して(しま)ふ。143どうだ、144(なに)()はぬと(ちか)ふか』
145初公(はつこう)『チガフかチガハヌか、146そら()らぬが、147記憶(きおく)にある(こと)は、148(おれ)()ふまいと(おも)つても、149(はら)(なか)から()うて()るのだから仕方(しかた)がないワ。150一寸先(いつすんさき)(こと)(わか)らぬから、151(かた)約束(やくそく)出来(でけ)ぬワイ。152(おれ)身体(からだ)自由(じいう)になつたら、153(むし)居所(ゐどころ)()つては、154(まへ)薬鑵頭(やくわんあたま)をブン(なぐ)るかも()れぬ、155(その)(とき)(その)(とき)(こと)だ』
156蚊取別(かとりわけ)『イヤア面白(おもしろ)い。157貴様(きさま)()かけに()らぬ正直(しやうぢき)(やつ)だ。158中々(なかなか)よく身魂(みたま)(みが)けて()るワイ』
159初公(はつこう)『ハヽヽヽヽ、160さうだらう。161大勢(おほぜい)(かは)りになつて、162名誉(めいよ)も、163生命(いのち)も、164(なに)投出(なげだ)して、165(この)イホの(みやこ)でも威勢(ゐせい)(たか)酋長(しうちやう)や、166物持(ものもち)春公(はるこう)掛合(かけあ)うて()(くらゐ)だから、167(いづ)明日(あす)(くらゐ)には酋長(しうちやう)(やつ)168沢山(たくさん)家来(けらい)()れて(おれ)召捕(めしと)りに()るのは、169印判(はんこ)()した(やう)なものだよ』
170 蚊取別(かとりわけ)は、
171『サア、172これから霊縛(れいばく)()いてやる』
173といひ(なが)ら、
174『ウン』
175一声(ひとこゑ)176初公(はつこう)(もと)身体(からだ)(ふく)し、
177『ヤア、178有難(ありがた)う。179蚊取別(かとりわけ)大明神(だいみやうじん)180よつぽどお(まへ)御神徳(ごしんとく)(もら)うたなア。181(わし)もこれ(だけ)神力(しんりき)があれば、182酋長(しうちやう)三人(さんにん)五人(ごにん)(ぐらゐ)ウーンと(れい)をかけて、183対方(むかふ)をウンと(たて)(くび)()らしてやるのだけれどナア』
184蚊取別(かとりわけ)『そンな(こと)(なん)でもないワ、185(おれ)がするのぢやない。186神様(かみさま)のお(ちから)だ。187(おれ)背後(うしろ)には結構(けつこう)神様(かみさま)守護(しゆご)して御座(ござ)るのだ』
188初公(はつこう)『アヽさうか、189(えら)いものだナア。190(しか)(おれ)だけ自由(じいう)になつたが、191(ほか)(もの)()(どく)だ。192(ひと)(みな)にそのウンを()つて()れぬか』
193蚊取別(かとりわけ)『お(まへ)(おれ)()つた(やう)()()んで、194(みんな)(もの)にウンと一声(ひとこゑ)かけて()よ。195(たちま)(もと)(とほ)りになるのは請合(うけあひ)だ。196(しか)神力(しんりき)(あら)はれても、197(まへ)(ちから)だと(おも)つたら(ちが)ふぞ。198九分九厘(くぶくりん)まで神様(かみさま)のお(ちから)だから、199さう心得(こころえ)ろ』
200初公(はつこう)()つても()からうかな。201(わし)()素人(しろうと)がウンを()つても()くだらうか』
202蚊取別(かとりわけ)『それが(わる)いのだ。203自分(じぶん)()ると(おも)ふから間違(まちが)ふのだ。204(まへ)(ただ)神様(かみさま)機械(からくり)になる(だけ)だ。205サア()()むで一同(いちどう)()かつてウンと()つて()い』
206 初公(はつこう)不安(ふあん)(ねん)()られ(なが)ら、207惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)二回(にくわい)心細(こころぼそ)げに(とな)へて、208大勢(おほぜい)(むか)ひ、209ウンと鎮魂術(ちんこんじゆつ)(おこな)ふ。210不思議(ふしぎ)にも一同(いちどう)(もと)姿(すがた)立復(たちかへ)四人(よにん)宣伝使(せんでんし)(まへ)(はし)(きた)り、211(ひざまづ)いて(なみだ)(なが)合掌(がつしやう)()たりけり。
212『ヤア(みな)さま、213安心(あんしん)なされ、214この初公(はつこう)御神力(ごしんりき)(いただ)いたらこんなものだ。215モウモウ明日(あした)(こと)心配(しんぱい)するに(およ)ばぬ。216今日(けふ)(こと)今日(けふ)一生懸命(いつしやうけんめい)(はたら)いて、217取越苦労(とりこしくらう)をせぬ(やう)にするのだ。218マアマア(そろ)うて神様(かみさま)にお(れい)申上(まをしあ)げようかい。219酋長(しうちやう)春公(はるこう)()げて(しま)つたが、220(いづ)捕手(とりて)()るだろう。221()たつて(かま)はぬ。222この初公(はつこう)一寸(ちよつと)()()んでただ一声(ひとこゑ)223ウンとやれば、224(なん)(こと)はない。225ウンもスンも()はずに往生(わうじやう)するのだ。226ナンと神様(かみさま)(えら)いものだらう』
227高光彦(たかてるひこ)『ヤア何事(なにごと)神様(かみさま)のお(かげ)です。228どうだ(はつ)さま、229(これ)から酋長(しうちやう)(はる)さまを言向和(ことむけや)はしておいて、230白瀬川(しらせがは)悪魔(あくま)退治(たいぢ)()かけたらどうだ。231(まへ)のウンの(ため)(どき)だ』
232初公(はつこう)『イヤ有難(ありがた)う、233(わたし)神力(しんりき)はないが神様(かみさま)神力(しんりき)天晴(あつぱ)悪神(あくがみ)言向(ことむ)けて()ませう』
234 群集(ぐんしふ)(なか)より(あら)はれたる斧公(をのこう)(かほ)をあげて、
235『ヤア(はつ)さまよ、236(まへ)本当(ほんたう)(えら)(やつ)だ、237よう(かは)つたものだナ。238(むかし)(わる)(をとこ)だつたが、239義侠心(ぎけふしん)()んだ(ひと)だと町中(まちぢう)評判(ひやうばん)だよ。240どうぞ(おれ)にも(その)ウンを(をし)へて(もら)うて()れぬか。241(まへ)宣伝使(せんでんし)のお(とも)をして(この)(まち)立退(たちの)くとなると、242(あと)(さび)しいからのう』
243初公(はつこう)『それもそうだ…………モシモシ、244蚊取別(かとりわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)245(この)斧公(おのこう)にも(ゆる)してやつて(くだ)さいナ』
246蚊取別(かとりわけ)(わたし)(ゆる)すのぢやない。247三五教(あななひけう)(をしへ)有難(ありがた)いといふ(こと)(わか)れば、248神様(かみさま)直接(ちよくせつ)御神徳(ごしんとく)(さづ)けて(くだ)さるのだ。249モシモシ(をの)さまとやら、250神様(かみさま)おのぞみ次第(しだい)251おのおの身魂(みたま)相応(さうおう)御用(ごよう)仰付(おほせつ)けられるのだから、252十分(じふぶん)(たま)(みが)きなさい。253(はつ)さまが(この)(まち)()るとお前達(まへたち)()(ゆる)してもたれる()になるから()かない。254(はつ)さまが(この)(まち)立去(たちさ)つたが最後(さいご)255(みんな)(こころ)引締(ひきしま)り、256(ひと)(つゑ)()くといふ依頼心(いらいしん)がなくなつて(しま)ふ。257さうすれば(ちから)(たの)むのは神様(かみさま)ばかりだ。258そこにならぬと御神力(ごしんりき)(あた)へて(くだ)さらぬ。259マア安心(あんしん)して大神様(おほかみさま)信仰(しんかう)しなさい。260天下(てんか)宣伝使(せんでんし)(けつ)して(うそ)掛値(かけね)()はぬ。261(まへ)さまは初公(はつこう)さまの(かは)りになつて、262(まち)(もの)()(まも)つてやつて(くだ)さい』
263斧公(おのこう)有難(ありがた)御座(ござ)います。264何分(なにぶん)(よろ)しく……』
265(かしら)()()涕泣(ていきふ)()る。266いよいよ四人(よにん)宣伝使(せんでんし)初公(はつこう)(ともな)ひ、267酋長(しうちやう)(やかた)()して(すす)()く。
268大正一一・三・六 旧二・八 松村真澄録)