霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 正夢(まさゆめ)〔五〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第12巻 霊主体従 亥の巻 篇:第2篇 天岩戸開(二) よみ:あまのいわとびらき(二)
章:第9章 正夢 よみ:まさゆめ 通し章番号:505
口述日:1922(大正11)年03月09日(旧02月11日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年9月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
高光彦、玉光彦、国光彦の三兄弟は、イホの都にほどちかい森の祠で、三五教の酋長の夏山彦や春彦と、人民たちの争いを目にした。
そこに現れた蚊取別が、暴れる初公を帰順させ、一行は大蛇の滝へと進むうち、睡魔に襲われて寝込んでしまっていたのであった。
蚊取別は起き上がり、日の出神の諭しを受けて、大蛇の背から振り落とされそうになった恐ろしい夢を語り、自らの慢心を戒めた。不思議にも、三兄弟や初公も同じ夢を見ていた。
そこへ酋長の夏山彦の一隊がやってきて、宣伝使たちを認めると、丁重に館に迎え入れた。
初公は、自分の全身は聖地エルサレムの行成彦の従神・行平別命であると明かして、大音声で酋長の館に進み入る。
宣伝使一行も館に迎え入れられるが、そこへ一弦琴の音が響いてくる。
主な登場人物: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:
愛善世界社版:73頁 八幡書店版:第2輯 652頁 修補版: 校定版:76頁 普及版:31頁 初版: ページ備考:
001常夜(とこよ)ゆく(やみ)()らして皇神(すめかみ)
002(うづ)御子(みこ)たち(たす)けむと
003稜威(みいづ)(たか)高光彦(たかてるひこ)
004(かみ)より()けし伊都能売(いづのめ)
005玉光彦(たまてるひこ)(たま)()
006大海原(おほうなばら)(ただよ)ひて
007海月(くらげ)なす国光彦(くにてるひこ)
008みづの身魂(みたま)三柱(みはしら)
009イホの(みやこ)(まち)はづれ
010老樹(らうじゆ)(しげ)れる(もり)(した)
011(つゆ)(いと)ひて仮枕(かりまくら)
012国魂神(くにたまがみ)(まつ)りたる
013(ほこら)(うしろ)()(かく)
014まどろむ(をり)しも何処(どこ)よりか
015(あつ)まり(きた)(ひと)(かげ)
016神灯(みあかし)神酒(みき)(たてまつ)
017常夜(とこよ)(さま)(なげ)きたる
018イホの(みやこ)酋長(しうちやう)
019世人(よびと)(たす)くる手段(てだて)さへ
020夏山彦(なつやまひこ)神司(かむづかさ)
021(かみ)御前(みまへ)太祝詞(ふとのりと)
022(とな)ふる(こゑ)もいと(きよ)
023(こころ)(やみ)春公(はるこう)
024(くら)あけ(わた)食物(おしもの)
025(かみ)(ちか)ひて()れぞれに
026(まくば)(あた)饑渇(うゑかわ)
027(すく)ふはいとど(やす)けれど
028(みたま)(ゑば)()つるべき
029(をしへ)(ゑば)(くるし)みつ
030(かみ)御前(みまへ)諸人(もろびと)
031(あつ)めて(さと)(かみ)(のり)
032食物(をしもの)着物(きもの)()(いへ)
033(さけ)より(ほか)(こころ)なき
034(しこ)身魂(みたま)如何(いか)にして
035(かみ)(うやま)長上(ちやうじやう)
036(たふと)(つか)真心(まごころ)
037本霊(もとつみたま)にことごとく
038立直(たてなほ)さしめ天地(あめつち)
039(かみ)御子(みこ)たる(つとめ)をば
040(おの)(おの)もに(つく)させて
041(かみ)(いかり)淡雪(あはゆき)
042()けて(うれ)しき(はる)()
043(はな)()(にほ)百鳥(ももどり)
044(うた)(うれ)しき(かみ)()
045日月(じつげつ)(そら)(かがや)きて
046(おに)探女(さぐめ)もナイル(がは)
047(たき)(あら)ひしその(ごと)
048(きよ)めむものと酋長(しうちやう)
049心筑紫(こころつくし)白瀬川(しらせがは)
050世人(よびと)(おも)真心(まごころ)
051(なみだ)(たき)(ごと)くなり
052(ゆめ)(うつつ)蚊取別(かとりわ)けて
053言霊(ことたま)(きよ)宣伝歌(せんでんか)
054(やみ)(すか)して()(わた)
055(とき)しもあれや初公(はつこう)
056(しこ)雄健(をたけ)(ふみ)たけび
057(くる)(をり)しも宣伝使(せんでんし)
058双手(もろて)()みし言霊(ことたま)
059(その)一声(ひとこゑ)(きも)()たれ
060(たま)(みが)かれて(おのおの)
061(めぐ)みも(ふか)皇神(すめかみ)
062(こころ)(さと)服従(まつろ)ひし
063その(うれ)しさに(むね)(をど)
064(こころ)(いさ)みて四柱(よはしら)
065(かみ)(みこと)宣伝使(せんでんし)
066(はじ)めて()ひし初公(はつこう)
067(ともな)(すす)(やみ)(みち)
068四方(よも)(ふさ)がる村雲(むらくも)
069(そら)(いよいよ)春公(はるこう)
070青葉(あをば)(しげ)夏山彦(なつやまひこ)
071(やかた)()して(いで)()
072途中(とちう)睡気(ねむけ)(もよほ)して
073ここに五人(ごにん)一行(いつかう)
074(つゆ)をも()かぬ(くさ)(うへ)
075(こし)打掛(うちか)けて(いこ)ふうち
076何時(いつ)睡魔(すゐま)(おそ)はれて
077(もろ)くも此処(ここ)(よこた)はり
078()()()くも白瀬川(しらせがは)
079ナイルの(たき)森林(しんりん)
080黎明(よあけ)()ちて秋月(あきづき)
081(たき)魔神(まがみ)一々(いちいち)
082()つの(たき)まで(きよ)めむと
083(やみ)木下(こした)(いこ)(をり)
084(ひと)()(たちま)(あら)はれて
085一行(いつかう)五人(ごにん)(こころ)をば
086(てら)させ(たま)(ゆめ)(あと)
087大蛇(をろち)(せな)より飛下(とびお)りて
088(こし)()かせし(つか)()
089つかつか(きた)夏山彦(なつやまひこ)
090(ひき)ゆる人数(にんず)足音(あしおと)
091いと高々(たかだか)(きこ)()る。
092蚊取別(かとりわけ)『ヤア、093エライ(おそ)ろしい(ゆめ)()たものだナア。094(あんま)()らず()らずの(あひだ)慢心(まんしん)して、095大蛇(をろち)背中(せなか)()せられ、096(くも)(うへ)まで引張(ひつぱ)()げられて(しま)つて()た。097(めくら)(へび)()ぢずと()(こと)があるが、098本当(ほんたう)目明(めあき)(つも)りで、099(われ)こそは天下(てんか)宣伝使(せんでんし)100世界(せかい)(めくら)(つんぼ)()をあけてやらうナンテ(えら)さうに()つて(ある)いて()つたが、101エライ(こは)(ゆめ)()たものだ。102コリヤきつと霊夢(れいむ)であらう、103アーア慢心(まんしん)はし(やす)いものだナア。104慢心(まんしん)大怪我(おほけが)(もと)だと、105何時(いつ)口癖(くちぐせ)(やう)()ひながら、106箕売(みう)(かさ)でひると()うたとへは自分等(じぶんら)(こと)だ。107(ひと)(わる)いとか馬鹿(ばか)だとか(おも)うてゐると(みんな)自分(じぶん)のことだ、108これから(ひと)(たましひ)焼直(やきなほ)しをして(かか)らねばならぬワイ。109(あゝ)神様(かみさま)有難(ありがた)御座(ござ)います。110()()をつけて(くだ)さいました』
111高光彦(たかてるひこ)蚊取別(かとりわけ)さま、112どんな(ゆめ)御覧(ごらん)になりました。113我々(われわれ)(おそ)ろしい(ゆめ)()ました。114四方(しはう)八方(はつぱう)真暗(まつくら)がりで、115秋月(あきづき)(たき)(まへ)だと(おも)へば、116大蛇(をろち)()()せられて、117エライ(とこ)鰻上(うなぎのぼ)りではなうて蛇上(へびのぼ)りに(のぼ)つてきつい(いまし)めに()ひ、118中天(ちうてん)から()びおりて、119(こし)をぬかし本当(ほんたう)(めう)(ゆめ)()ましたよ』
120蚊取別(かとりわけ)『ハア、121我々(われわれ)(ゆめ)同一(どういつ)ですワ』
122(こゑ)をかすませ、123(くび)(ひね)る。124玉光彦(たまてるひこ)125国光彦(くにてるひこ)126初公(はつこう)異口同音(いくどうおん)に、
127(わたし)(その)(とほ)りそのとおり』
128(むね)(とどろ)かせ(なが)ら、129小声(こごゑ)になつて(くび)(しき)りに(かたむ)けて()る。130折柄(をりから)物音(ものおと)前方(ぜんぱう)()れば、131提灯(ちやうちん)(ひかり)(またた)き、132数十人(すうじふにん)人声(ひとごゑ)此方(こなた)(むか)つて(すす)(きた)る。
133初公(はつこう)『あの提灯(ちやうちん)(しるし)(まる)(じふ)134たしかに夏山彦(なつやまひこ)酋長(しうちやう)手下(てした)者共(ものども)135(いよいよ)初公(はつこう)さまを召捕(めしとり)()よつたな。136ヨーシ、137今迄(いままで)初公(はつこう)さまと(おも)つて()るか、138あまり(われ)は、139(えら)(えら)いと(おも)うて()るとスコタン()うぞよ。140足許(あしもと)真暗(まつくら)がり、141(やみ)(からす)のまつ黒々助(くろくろすけ)142夏山彦(なつやまひこ)家来(けらい)(やつ)(ども)143(かた)(ぱし)から「ウウーン、144ウーン」と阿吽(あうん)言霊(ことたま)145(ひら)くや(いな)四方(しはう)八方(はつぱう)に、146蜘蛛(くも)()()らすが(ごと)く、147チリチリバツト、148(はな)(あらし)(その)(ごと)く、149(みな)()()りに()げて()く………』
150蚊取別(かとりわけ)『コラコラ、151(なに)()(とぼ)けてるのだ。152あまりウーンに慢心(まんしん)をすると、153(いま)(やう)(こは)(ゆめ)()せられて、154警告(いましめ)()けるのだぞ。155ウーンも()加減(かげん)使(つか)つて………乱用(らんよう)するとまた(ゆめ)()せられるぞ』
156『モシ蚊取別(かとりわけ)さま、157あれは(ゆめ)だが、158(いま)そこへ()るのは現実(げんじつ)ですよ』
159蚊取別(かとりわけ)幻術(げんじゆつ)でも、160妖術(えうじゆつ)でも、161神術(しんじゆつ)でも無暗(むやみ)使(つか)ふものぢやないよ』
162初公(はつこう)『それでも、163短兵(たんぺい)(きふ)()しよせて()た、164この(てき)にムザムザと(とりこ)にしられようものなら、165それこそ最早(もはや)ウーンの(つき)だ。166(うん)()きる(まで)(ひと)つ、167ウンウンを()つて()つて()(たふ)し、168(うん)一時(いちじ)(けつ)せむだ。169サア()勝負(しようぶ)………』
170高光彦(たかてるひこ)『アハヽヽヽ』
171初公(はつこう)(わら)(どころ)大変(たいへん)ですぜ。172あの提灯(ちやうちん)御覧(ごらん)173(まる)(じふ)だ』
174高光彦(たかてるひこ)(まる)(じふ)なら結構(けつこう)ぢやありませぬか、175三五教(あななひけう)裏紋(うらもん)だからな』
176初公(はつこう)裏紋教(うらもんけう)でも、177表教(おもてけう)でも、178大本(おほもと)でも、179かうなつては最早(もはや)百年目(ひやくねんめ)180自由(じいう)行動(かうどう)()ますから、181あなた(がた)四人(しにん)御方(おかた)はジツトして、182この初公(はつこう)のハツ人芸(にんげい)御覧(ごらん)なさい。183一人(ひとり)でハツ(にん)ぢや、184初夢(はつゆめ)初功名(はつこうみやう)185神力(しんりき)ハツ(てん)初舞台(はつぶたい)だ』
186蚊取別(かとりわけ)『コラコラ、187さうハツやぐものぢや()い、188ハツかしい(こと)(あと)になりて()()るぞよ。189(かみ)(まを)(うち)()かぬと、190()(いた)したら失敗(しくじ)るぞよ』
191 ()かる(ところ)(はや)くも夏山彦(なつやまひこ)一隊(いつたい)徐々(しづしづ)(あら)はれ()たる。
192初公(はつこう)『ヤア、193()せたり()せやがつたりな。194()れこそはイホの(みやこ)(かく)れなき初公(はつこう)さまだ。195召捕(めしと)るなら美事(みごと)召捕(めしと)つて()よ。196小癪(こしやく)(かま)汝等(なんぢら)振舞(ふるまひ)197(まま)になるなら、198麦飯(むぎめし)199稗飯(ひえめし)200粟飯(あはめし)201()もく(めし)202(こめ)(めし)203サア勝手(かつて)にメシ()つて()よ』
204蚊取別(かとりわけ)『アハヽヽヽ』
205三人(さんにん)『ワツハヽヽヽ』
206 群衆中(ぐんしうちう)より立派(りつぱ)姿(すがた)をした二人(ふたり)(をとこ)207蚊取別(かとりわけ)(まへ)悠々(いういう)(あら)はれ、
208『ヤ、209あなたは蚊取別(かとりわけ)宣伝使(せんでんし)(さま)210………御一同様(ごいちどうさま)211私等(わたしら)夏山彦(なつやまひこ)212春彦(はるひこ)でございます。213どうか(この)駕籠(かご)御召(おめ)(くだ)さいまして我々(われわれ)矮屋(わいをく)一夜(いちや)御逗留(ごとうりう)御願(おねがひ)(まを)したく、214態々(わざわざ)御迎(おむか)へに(まゐ)りました』
215初公(はつこう)『ヤア、216ナーンだ、217(てん)()となり、218()(てん)となる、219(かは)れば(かは)()(なか)だ。220オイオイ(その)駕籠(かご)大蛇(をろち)背中(せなか)とは(ちが)ふか』
221夏山彦(なつやまひこ)『ヤア、222(まへ)初公(はつこう)か、223我々(われわれ)蚊取別(かとりわけ)その()三人(さんにん)宣伝使(せんでんし)(さま)御挨拶(ごあいさつ)申上(まをしあ)げて()るのだ。224横間(よこあひ)から(やかま)しう(まを)さずに、225(しばら)()つて()()れ』
226初公(はつこう)『ヨーシ承知(しようち)した。227(しか)駕籠(かご)四台(よんだい)よりないぢやないか、228初公(はつこう)さまの駕籠(かご)(あと)から()るのかい』
229春彦(はるひこ)生憎(あひにく)四台(しだい)よりありませぬので一台(いちだい)………』
230初公(はつこう)『オイオイ、231四台(しだい)よりない?………(なん)(なさけ)なきシダイなりけりだ。232(いち)だいのテレ(くさ)(はぢ)(さら)しだワイウフヽヽヽ』
233蚊取別(かとりわけ)折角(せつかく)思召(おぼしめし)()にするも(なん)となく心許(こころもと)なく(おも)ひますが、234我々(われわれ)はさ(やう)贅沢(ぜいたく)駕籠(かご)などに()ることは出来(でき)ませぬ』
235初公(はつこう)『ヤア(いま)あまり調子(てうし)()つて、236ウンウン気張(きば)ると()つて、237ウンが増長(ぞうちよう)して(たか)(たか)いコクウンの(なか)までおつぽり()げられ、238スツテンドウと地上(ちじやう)真逆様(まつさかさま)()ちて、239(こし)()つた(ゆめ)()よつたものだから………そんな(にはか)殊勝(しゆしよう)らしい(こと)(あふ)せられるのだ。240恰度(ちやうど)それならそれで都合(つがふ)()いわ。241三人(さんにん)宣伝使(せんでんし)(さま)(この)初公(はつこう)さまと四人(よつたり)()せて(もら)はう』
242玉光彦(たまてるひこ)(わたし)駕籠(かご)(ひら)御免(ごめん)(かうむ)ります』
243国光彦(くにてるひこ)我々(われわれ)もその(とほ)り』
244初公(はつこう)拙者(せつしや)同様(どうやう)245駕籠(かご)(ひら)にお(ことわ)(まを)す』
246 群衆(ぐんしう)(なか)より、
247『コラ初公(はつこう)248貴様(きさま)がお(ことわ)(どころ)か、249(たの)んだつてコチラからお(ことわ)りだよ』
250夏山彦(なつやまひこ)折角(せつかく)(こころざし)251どうぞお()(くだ)さいませ』
252蚊取別(かとりわけ)『イヤ(また)()(さき)から振落(ふりお)ちねばならぬと(こま)るから、253乗物(のりもの)(ひら)にお(ことわ)(まを)します』
254初公(はつこう)『モシモシ蚊取別(かとりわけ)さま、255どうやら此処(ここ)大蛇(をろち)(せな)ぢやあるまいか、256足許(あしもと)がツルツルするぢやないか。257夏山彦(なつやまひこ)(うち)御馳走(ごちそう)(いただ)いたと(おも)へば、258牛糞(うしぐそ)馬糞(うまぐそ)か、259(わけ)(わか)らぬ(もの)()はされて、260舌鼓(したづつみ)()つた(ゆめ)()連中(れんちう)だから、261この夏山彦(なつやまひこ)(ゆめ)(なか)ぢやあるまいかナア』
262蚊取別(かとりわけ)(ゆめ)でも(なん)でもよいぢやないか。263(てん)(くら)(つき)(ひかり)()く、264(いづ)悪魔(あくま)跋扈跳梁(ばつこてうりやう)する()(なか)だ。265()暗黒(くらがり)になつて()ると、266(まこと)(もの)(ひと)つもないと(おも)つたら落度(おちど)はない。267マア(ゆめ)でも化物(ばけもの)でも(なん)でも(かま)はぬ。268刹那心(せつなしん)だ、269()(とこ)(まで)()かうかい』
270一行(いつかう)五人(ごにん)夏山彦(なつやまひこ)以下(いか)群衆(ぐんしう)(むか)へられて、271今度(こんど)(いよいよ)(ゆめ)でもない、272(まぼろし)でもない、273曲神(まがかみ)(やかた)でもない、274正真正銘(しやうしんしやうめい)夏山彦(なつやまひこ)(やかた)()いたのである。
275 正門(せいもん)左右(さいう)開放(あけはな)され、276門内(もんない)薄暗(うすぐら)けれど、277(ちり)一本(いつぽん)なき(まで)(きよ)箒目(はうきめ)(ただ)しく、278掃除(さうぢ)行届(ゆきとど)いて()様子(やうす)である。279表門(おもてもん)入口(いりぐち)より一間巾(いつけんはば)(ほど)(うるは)しき真砂(まさご)敷詰(しきつ)められ、280一行(いつかう)歓迎(くわんげい)した酋長(しうちやう)真心(まごころ)(この)砂路(すなみち)にも(あら)はれ()たりける。
281初公(はつこう)『ヤア(これ)一遍(いつぺん)(とほ)つた。282(もん)()門番(もんばん)貫公(くわんこう)283徹公(てつこう)(おぼろ)ながらも(かほ)()ひ、284玄関(げんくわん)様子(やうす)285一分一厘(いちぶいちりん)間違(まちが)ひのない仕組(しぐみ)だ。286コラ(また)(ゆめ)だらう、287………オイオイ蚊取別(かとりわけ)さま、288一寸(ちよつと)(わし)(ほほ)べた(ひね)つて()()れぬか、289自分(じぶん)がひねつたのでは、290(ゆめ)(ゆめ)ぢやないか明瞭(はつきり)せない………アイタヽヽヽあまり(ひど)(こと)すな、291(はな)捻上(ねぢあ)げよつて………』
292蚊取別(かとりわけ)(ひね)つて()れと()ふから、293註文(ちゆうもん)(どほ)(ひね)つてやつたのだ。294貴様(きさま)(はな)はあまり(ひく)いのと(よこ)つチヨに()いとるものだから、295頬辺(ほほべた)だと(おも)つて(ひね)つたのだ。296はなはなもつて見当(けんたう)()れぬ面付(つらつき)だなア』
297初公(はつこう)本当(ほんたう)にさうだ、298ケントウがとれぬワイ。299提灯(ちやうちん)()れても、300軒灯(けんとう)(たか)(とこ)()つてあるから、301(おれ)(やう)(せい)(ひく)(もの)では、302一寸(ちよつと)()(にく)いなア』
303蚊取別(かとりわけ)今度(こんど)(ゆめ)ぢやない、304本当(ほんたう)だ』
305初公(はつこう)本当(ほんたう)(うそ)か、306蚊取別(かとりわけ)さまのお言葉(ことば)もあまり(あて)にはなりませぬワイ。307(ひと)此処(ここ)(いち)(ばち)かぢや、308真偽(しんぎ)(たしか)めて()よう』
309()(なが)ら、310初公(はつこう)(うで)()り、311ドシドシと(おく)()(すす)()り、
312『ヤア、313拙者(それがし)今日(こんにち)(まで)イホ(むら)侠客(けふかく)権太郎(ごんたらう)初公(はつこう)()つたは()(しの)(かり)()314(もと)(ただ)せば聖地(せいち)エルサレムに(おい)て、315行成彦(ゆきなりひこ)従神(じうしん)たりし行平別命(ゆきひらわけのみこと)316(なんぢ)夏山彦(なつやまひこ)八岐(やまた)大蛇(をろち)片腕(かたうで)となり、317白瀬川(しらせがは)大蛇(をろち)となり、318(この)イホの(みやこ)尻尾(しつぽ)(あら)はし、319我々(われわれ)立派(りつぱ)(やかた)()せかけ、320牛糞馬糞(うしぐそうまぐそ)馳走(ちそう)()せかけて()はさうと(いた)(その)計略(けいりやく)は、321(まへ)(もつ)承知(しようち)拙者(それがし)322サア尋常(じんじやう)白状(はくじやう)(いた)せばよし、323白状(はくじやう)(いた)さぬに(おい)ては、324十握(とつか)宝剣(ほうけん)(もつ)寸断(すんだん)にするぞ』
325大音声(だいおんじやう)(よば)はつて()る。326夏山彦(なつやまひこ)(この)(こゑ)(おどろ)きて(この)()(はし)(きた)り、
327『ヤア、328(たれ)かと(おも)へば初公(はつこう)ぢやないか、329(なん)(おほ)きな(こゑ)()して………』
330初公(はつこう)(おほ)きな(こゑ)(おれ)地声(ぢごゑ)だ。331大蛇(をろち)化物(ばけもの)ツ』
332夏山彦(なつやまひこ)『モシモシ宣伝使(せんでんし)(さま)333この(をとこ)はどうかして()るのでせうな』
334蚊取別(かとりわけ)『イヤどうもして()りませぬ。335一寸(ちよつと)副守護神(ふくしゆごじん)()(うつ)つて、336(わけ)もない(こと)()ざくのですよ』
337初公(はつこう)『ナニ、338副守護神(ふくしゆごじん)だ!馬鹿(ばか)にするない。339フクはフクだが世界(せかい)(ふく)守護(しゆご)する七福(しちふく)守護神(しゆごじん)だぞ』
340蚊取別(かとりわけ)雑巾(ざふきん)()たしたらそこらをフク守護神(しゆごじん)341雪隠(せんち)()つても、342(ろく)(しり)(だけ)()かぬ守護神(しゆごじん)343法螺(ほら)ばつかり()守護神(しゆごじん)だ。344(かに)(やう)(あわ)()守護神(しゆごじん)345(ねつ)()守護神(しゆごじん)だ。346アハヽヽ』
347夏山彦(なつやまひこ)御一同様(ごいちどうさま)348疲労(くたびれ)御座(ござ)いませう。349どうぞ(ゆつく)り、350()()(ころ)まで()()御座(ござ)います。351(この)(ごろ)()()()つても、352日輪様(にちりんさま)のお姿(すがた)(くも)(つつ)まれて(をが)めませぬが、353ここに(ひと)()(とも)して()きますから、354ゆつくり御飯(ごはん)でも召上(めしあが)つて、355今晩(こんばん)はお(やす)(くだ)さいませ。356明日(あす)ゆつくりお()にかかりませう』
357初公(はつこう)『それ()蚊取別(かとりわけ)さま、358初公(はつこう)()(くろ)いものだ、359やつぱり大蛇(をろち)(せなか)だ。360()出神(でのかみ)だとか()()だとか、361(ひと)()とか()うたぢやないか』
362蚊取別(かとりわけ)此奴(こいつ)まだ(ゆめ)()てゐる、363(こま)つた(やつ)だナア』
364とまた(はな)(ちから)(かぎ)りに()()げる。
365初公(はつこう)『イヽヽヽイツタイ、366蚊取別(かとりわけ)367フニヤ フニヤ フニヤ、368ヘタイ ヘタイ ヘタイ ヘタイ、369ハヤセ ハヤセ ハヤセ ハヤセ』
370蚊取別(かとりわけ)『アハヽヽヽ』
371初公(はつこう)『あまり(ひと)馬鹿(ばか)にすな。372(この)()(をとこ)(ぷり)(はな)引延(ひきの)ばしよつて……天狗(てんぐ)(やう)になつたぢやないか』
373蚊取別(かとりわけ)『ヤ、374(これ)へつこむだ(はな)()びて調和(てうわ)()れた。375ハナの(みやこ)初花姫(はつはなひめ)(やう)な、376立派(りつぱ)(かほ)になつたよ』
377 この(とき)(おく)()より、378嚠喨(りうりやう)たる一絃琴(いちげんきん)(おと)(かす)かに(きこ)え、379女神(めがみ)(うた)(こゑ)380蚊取別(かとりわけ)(みみ)(とく)()()(やう)であつた。381蚊取別(かとりわけ)(くび)(かたむ)(なが)()()み、
382蚊取別(かとりわけ)『ハテなア』
383大正一一・三・九 旧二・一一 松村真澄録)